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JP4689148B2 - 回折構造を有する転写箔 - Google Patents

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JP4689148B2 JP2003050619A JP2003050619A JP4689148B2 JP 4689148 B2 JP4689148 B2 JP 4689148B2 JP 2003050619 A JP2003050619 A JP 2003050619A JP 2003050619 A JP2003050619 A JP 2003050619A JP 4689148 B2 JP4689148 B2 JP 4689148B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折構造をその一部に有する転写箔であり、特にその一部を構成する回折構造形成層がそこへ回折構造を形成するための回折構造版に対して取られにくくなっていると共に、極僅かな負荷によって安定した転写を可能とすることを特徴とする回折構造を有する転写箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、その一部に回折構造を有する転写箔は、例えば、基材に剥離層と回折構造形成層となる薄膜とを順次コーティングした後、前記薄膜に回折構造版を加熱した状態で押し付け、さらに反射層や接着層等を設けることより製造されている。この際、回折構造版から回折構造形成層となる薄膜に加える温度は、回折構造形成層を構成する樹脂の軟化点付近であるため、樹脂にタックが出やすく、回折構造形成層の一部が剥離層と共に剥がれて回折構造版に付着し、回折構造が所定のように形成できないことがよくあった。
【0003】
このような現象を回避するため、回折構造形成層を電子線硬化樹脂や紫外線硬化樹脂で構成することにより、回折構造版を使用した加熱方式によらずに回折構造を複製する方法を採る場合もあるが(例えば、特許文献1参照。)、回折構造版を使用して加熱方式により回折構造を形成するタイプの転写箔においては、転写性を向上させ、さらに回折構造形成時の版取られの現象の低減化をも可能とする転写箔の開発が強く望まれるようになってきている。
【0004】
このような転写箔においては、転写しようとする部分の適正な剥離が軽い負荷で可能で、しかもバリの出にくいものが、一般的には性能が良いとされる。しかし、上述したような構成の転写箔、すなわち基材に剥離層と回折構造形成層となる薄膜とを順次コーティングした後、加熱した回折構造版を回折構造形成層となる薄膜に押し付けることにより回折構造形成層が形成される転写箔においては、転写性を向上すべく基材と剥離層との界面における軽剥離化を図ろうとすると、上記の如く、回折構造形成層の一部が回折構造版に付着してしまう、所謂版取られの現象がさらに顕著となり、問題となっていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−222282号公報
【0006】
【問題を解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、回折構造を形成するための回折構造版に対して離型性を示す離型剤を回折構造形成層中に含有させることにより、回折構造の形成に当たっては版取られ現象を起こさず、しかも転写時における軽剥離化をも可能にした、回折構造を有する転写箔を供給することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされ、請求項1に記載の発明は、少なくとも基材、剥離層、回折構造形成層、反射層、接着層がこの順で形成してあると共に、反射層に面する回折構造形成層には回折構造となる微細な凹凸が形成してある転写箔において、回折構造形成層は回折構造となる微細な凹凸を形成するための回折構造版に対して離型性を示す離型剤を含有おり、該回折構造形成層はウレタン樹脂材料から構成され、該離型剤は、フッ素系もしくはシリコーン系のポリマーからなり離型性を付与する離型セグメントとアクリルポリオール系からなり回折構造形成層からの脱離を防ぐアンカーセグメントからなるブロックコポリマーであり、離型セグメントは回折構造形成層を構成する材料との親和性が低く、アンカーセグメントは回折構造形成層と相溶性が高いことを特徴とする回折構造を有する転写箔である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記離型セグメントは回折構造形成層の表面側にあることを特徴とする。
【0009】
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の回折構造を有する転写箔において、回折構造形成層に含有される離型剤のアンカーセグメントが、回折構造形成層を構成する他成分もしくは他の離型剤のアンカーセグメントとの化学反応により結合していることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は回折構造を有する転写箔の概略の断面構造を示している。
この回折構造を有する転写箔1は、基材2上に剥離層3と回折構造形成層4と反射層5と接着層6とがこの順で積層されてなるものであり、転写時には反射層5と回折構造形成層4と剥離層3の一部とが一体的に剥離し、この順序で被転写体上に接着層6により一体的に接着・固定されるようになっている。回折構造形成層4にはホログラムや回折格子等の回折構造が形成されているので、この回折構造を有する転写箔1を使用した転写により、被転写体上では所望の回折現象が転写部分において観察されるようになっている。
【0011】
この回折構造を有する転写箔1を構成する基材2としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリプロピレン等の樹脂フィルム、さらにはこれらの積層体等を用いることができる。この基材2の上には剥離層3を積層するが、転写時の剥離強度を調整するため、剥離層3を形成する面に離型処理を施しておいてもよい。
【0012】
一方、剥離層3は、転写時においてその一部においてが安定した剥離(転写)がなされると共に、被転写部分の最表面に位置してその表面を保護する機能を有する必要がある。従ってこの剥離層3は、これらの機能を満たす材料、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、またはスチレン樹脂等を用い、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ロールコーティング等の塗工方法や印刷方法等により設ける。
【0013】
他方、回折構造形成層4は、前述したように、ホログラムや回折格子等の回折構造が形成してある層である。この回折構造は、回折構造形成層となる薄膜に微細な凹凸が形成してある回折構造版を加熱した状態で押しつけて形成されるものである。従って、この回折構造形成層4を構成する材料としては、回折構造版により型取りがしやすく、かつ転写時の熱圧で一旦形成した回折構造が崩れにくい材料で設ける。
これらの要求を満足する材料としては、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロース、または塩酢ビ樹脂等を挙げることができる。
【0014】
この回折構造形成層4は、このような材料によりなる薄膜を基材2上に形成した後、薄膜をその軟化点付近まで加熱した状態でホログラムや回折格子等の微細な凹凸が形成してある回折構造版を押しつけて得られるものである。
この時、軟化点付近まで加熱した薄膜は、タックが現れはじめ、回折構造版にその一部が貼りつきやすくなる。特に、転写時にあまり負荷をかけずに転写が行えるよう、剥離層の剥離強度を低減させてある転写箔においては、剥離層3と回折構造形成層4とが一緒に基材2側から剥がれてしまい、回折構造版に付着してしまうという不具合を起こしやすくなる。
【0015】
このような不具合を回避するため、本発明の転写箔においては、その回折構造形成層4に回折構造版に対して離型性を示す離型剤を含有させる。この離型剤としては、フッ素系の樹脂またはオイル、シリーコン系の樹脂またはオイル等が挙げられる。これら離型剤の回折構造形成層における含有割合は、回折構造をプレス成型する際に回折構造版に貼りつかず、しかも回折構造形成層4上に設ける反射層5との密着に影響を与えないように調整する必要がある。
例えば、離型剤としてフッ素系の樹脂またはオイルを採用した場合には、その含有割合を回折構造形成層形成用材料全体に対して0.1〜5%の割合で含有すればよい。
【0016】
また、回折構造形成層4中の離型剤は、プレス成形加工中に回折構造形成層4から染み出し、回折構造版を汚すことがある。このような現象は、フッ素系、シリコン系等の離型剤が回折構造形成層4と親和性が低い時に生じるものである。このような現象は、図2に示すように、離型剤21として、回折構造版に対して離形性を示す離型セグメント22と回折構造形成層からの脱離を防ぐアンカーセグメント23とを有するブロックコポリマーを用いることにより改善される。
離型セグメント22は、フッ素系もしくはシリコン系のポリマーからなるセグメントであり、アンカーセグメント23は、回折構造形成層4と相溶性が高いポリマーからなる。
【0017】
このような特性を有する離型剤を含有する回折構造形成層4の構成材料をコーティングする時、図3に示すように、ブロックコポリマーの離型剤21の離型セグメント22側は、回折構造形成層22を構成する材料との親和性が低いため、主に表面側に押しやられるため、効率良く回折構造形成層4表面側の濡れ性を下げることができる。
【0018】
さらに、アンカーセグメント23を、回折構造形成層4を構成する他成分と、もしくは他のアンカーセグメント23と化学反応により結合を起こさせることにより、アンカー効果をより高めることができる。
ここで用いることができる化学反応としては、イソシアネート硬化型やメラミン硬化型の樹脂もしくはこれらを主体とする回折構造形成層構成材料に対する、OH基を持つアクリルポリオール系、塩酢ビ系、NC系等のアンカーセグメントによる結合、UVやEB硬化型の樹脂もしくはこれらを主体とする回折構造形成層構成材料に対する、アクリレート基を有するアンカーセグメントによる結合などが利用できる。
【0019】
このような構成になる回折構造形成層4に形成される回折構造は次のようにして形成される。
例えば、レリーフ型ホログラムは、まず、光学的な撮影方法により微細な凹凸パターンを有するレリーフ型のマスター版を作製し、次に、このマスター版から電気メッキ法により凹凸パターンを複製したニッケル製のプレス版を作製し、そして、このプレス版をホログラムを形成しようとする層上に加熱押圧することにより形成される。
また、回折格子は、微少なエリアに単純な構成の回折格子を複数種類配置して画素とし、グレーティングイメージ、ドットマトリックス(ピクセルグラム等)と呼ばれる画像を表現するものであるが、このような回折格子に対応する微細な凹凸を有するプレス版を用い、上記したレリーフ型ホログラムの形成方法と同様な方法で大量複製される。
【0020】
一方、反射層5は、金属もしくは高屈折率セラミックスにより形成される層である。金属系の材料としては、アルミニウム、すず、銀、銅、ニッケル、金等の金属の他にインコネル、青銅、アルミ青銅等の合金を用いることができる。また、セラミックス系の材料としては、TiO2、ZnS、Fe23の等の高屈折率材料を用いることができる。
反射層5は、これらの材料を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の薄膜形成方法により、10nmから100nm程度の厚さで回折構造形成層4上に設ければよい。
この反射層5は、回折構造形成層4に対して必ずしも全面に設ける必要はなく、デザインや使用形態等を考慮してその一部に設けてもよい。
【0021】
さらに、接着層6は、転写の際に、転写箔を構成する反射層5と回折形成構造層4並びに剥離層3の一部とを一体的に被転写体上に転移させた時に固着させるために設ける層であるが、例えば転写時に加えられる熱により粘着性が現れる感熱接着剤を用いて構成すればよい。
この接着層6は、所定の接着剤を用い、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ロールコーティング等の塗工方法や印刷方法等により反射層5上に積層して設ければよい。
【0022】
以上のような構成の、回折構造を有する転写箔を用い、アップダウン式のホットスタンプやロール転写型の転写機により、被転写体上に転写を行うこと、極僅かな負荷で被転写体上に転写を行うことができる。従って、転写部分においては、その一部に有する回折構造に係る回折現象が明瞭に観察することができるようになる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、厚さが16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材の一方の面に、アクリル系樹脂からなる剥離層をグラビアコーティング法により2μmの厚さで設け、さらにアクリルポリオールにイソシア硬化剤を加えたアクリル系樹脂をバインダーとし、シリコン系離型セグメントとアクリルポリオール系のアンカーセグメントからなるブロックコポリマーである離型剤を前記バインダーに対して1%の比率となるように含有させてなるコーテイング材料により薄膜を形成した後、エージングをかけて硬化させた。次に、前記工程で得られた積層構成の原反のアクリル樹脂系の薄膜に対して加熱した回折構造版を押し付け、回折構造を付与し、回折構造形成層を得た。回折構造形成層には回折構造版の微細な凹凸模様が忠実に反映されていた。
続いて、回折構造形成層上にアルミニウムからなる反射層を蒸着により厚さ50nmの厚さで設け、さらにアクリル系の樹脂を主体とする接着剤をグラビアコーティングにより2μmの厚さで設け、実施例に係る回折構造を形成した転写箔を作成した。
得られた転写箔を使用し、アップダウン式ホットスタンパーにより紙からなる厚さ0.1mmの被転写体に、加熱温度120℃、転写時間0.1秒の条件にて転写を行ったところ、被転写体上に快適かつ美麗な転写が行えることができた。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る回折構造を有する転写箔は、その一部を構成する回折構造形成層は回折構造となる微細な凹凸を形成するための回折構造版に対して離型性を示す離型剤を含有しているため、熱圧をかけて押圧する回折構造版に層の一部が取られにくくなっていると共に、極僅かな負荷によって安定した転写が可能となり、かつ転写された部分において所期の回折現象を的確に発現しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回折構造を形成した転写箔の概略の構造を示す説明図である。
【図2】回折構造形成層に添加する離型剤の構造を示す説明図である。
【図3】離型層とその上に形成した回折構造形成層における積層関係を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・回折構造を有する転写箔
2・・・基材
3・・・剥離層
4・・・回折構造形成層
5・・・反射層
6・・・接着層
21・・離型剤
22・・離型セグメント
23・・アンカーセグメント

Claims (3)

  1. 少なくとも基材、剥離層、回折構造形成層、反射層、接着層がこの順で形成してあると共に、反射層に面する回折構造形成層には回折構造となる微細な凹凸が形成してある転写箔において、回折構造形成層は回折構造となる微細な凹凸を形成するための回折構造版に対して離型性を示す離型剤を含有おり、
    該回折構造形成層はウレタン樹脂材料から構成され、
    該離型剤は、フッ素系もしくはシリコーン系のポリマーからなり離型性を付与する離型セグメントとアクリルポリオール系からなり回折構造形成層からの脱離を防ぐアンカーセグメントからなるブロックコポリマーであり、離型セグメントは回折構造形成層を構成する材料との親和性が低く、アンカーセグメントは回折構造形成層と相溶性が高いことを特徴とする回折構造を有する転写箔。
  2. 前記離型セグメントは回折構造形成層の表面側にあること特徴とする請求項1に記載の回折構造を有する転写箔。
  3. 回折構造形成層に含有される離型剤のアンカーセグメントは、回折構造形成層を構成する他成分もしくは他の離型剤のアンカーセグメントとの化学反応により結合していることを特徴とする請求項1または2に記載の回折構造を有する転写箔。
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