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JP4688125B2 - 導電性高分子およびそれを用いた固体電解コンデンサ - Google Patents

導電性高分子およびそれを用いた固体電解コンデンサ Download PDF

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JP4688125B2
JP4688125B2 JP2001360189A JP2001360189A JP4688125B2 JP 4688125 B2 JP4688125 B2 JP 4688125B2 JP 2001360189 A JP2001360189 A JP 2001360189A JP 2001360189 A JP2001360189 A JP 2001360189A JP 4688125 B2 JP4688125 B2 JP 4688125B2
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性高分子およびその導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性高分子は、その高い導電性により、アルミニウムコンデンサ、タンタルコンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質などに用いられている。
【0003】
そのような用途における導電性高分子としては、ピロール、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって合成したものが用いられている。
【0004】
酸化重合を行う際のドーパントには、主に有機スルホン酸が用いられ、それらの中でも特に芳香族スルホン酸が多用されている。
【0005】
しかしながら、芳香族スルホン酸の出発材料であるアルキルベンゼンのアルキル鎖は、長鎖の場合、混合アルキルであって単一化合物として一定していないので、得られる導電性高分子の導電性がばらつく原因となる。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸(分子量326)のように単一分子量であっても、構造異性体の存在が電気特性に影響する。また、長鎖アルキル基を有する長鎖型芳香族スルホン酸は、分子サイズが大きいため、ドーピングしづらく、結果として初期重合段階では充分な導電性が得られない。
【0006】
一方、短鎖型芳香族スルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸(分子量158)やトルエンスルホン酸(分子量172)は、分子サイズが小さく、ドーピングしやすいので初期重合段階では良好な導電性が得られるものの、その小さい分子サイズのため、脱ドーピングが起こりやすく、特に高温・高湿条件下で放置した場合には、顕著な導電性の低下が認められる。
【0007】
上記のような状況から、初期重合段階で良好な導電性が得られ、しかも高温・高湿条件下で放置しても大きな導電性の低下が認められず、導電性のばらつきが少ない導電性高分子を構成することができるドーパントが求められている。
【0008】
そこで、上記のような要求に応えるべく、導電性高分子用ドーパントとして、Chemistry Letters,1996,253〜,Shinji Takeoka,et.al.にOH基が付いた芳香族スルホン酸を用いて、電解酸化重合により導電性高分子を形成することが提案されている。しかしながら、一般的に上記のような芳香族スルホン酸は、乳化力が弱く、モノマーを完全に乳化できないため、均一な導電性高分子を合成することができないという問題があった。また、乳化力を高めるため、別途アルキル基を付加することも考えられるが、反応が繁雑になり、かつ経済的ではない。
【0009】
また、化学酸化重合の場合、酸化剤としてアルコキシル基の付いた芳香族スルホン酸を遷移金属塩、例えば第二鉄塩や第二銅塩に仕上げる必要があるが、水酸基またはカルボキシル基が付いた芳香族スルホン酸鉄は、キレート作用が強いため、均一な鉄塩を調製することができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、導電性が優れ、しかも耐熱性が優れた導電性高分子を提供し、かつ、それを固体電解質として用いて高温・高湿条件下での信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ピロール、チオフェンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして合成された導電性高分子であって、メトキシベンゼンスルホン酸またはエトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとして含む導電性高分子が、導電性が優れ、しかも耐熱性が優れていて、上記課題を解決できる特徴を有していることを見出した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ドーパントとしては、メトキシベンゼンスルホン酸またはエトキシベンゼンスルホン酸を用いる。
【0013】
上記のようなメトキシベンゼンスルホン酸またはエトキシベンゼンスルホン酸は、メトキシベンゼンやエトキシベンゼンなどのアルコキシベンゼンを濃硫酸に混合してスルホン化した後、苛性ソーダなどのアルカリ剤で中和し、晶析分離などの精製処理をすることによって合成することができる。
【0014】
本発明で用いる導電性高分子合成用モノマーとしては、ピロール、チオフェンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いる。
【0015】
つぎに、本発明の導電性高分子の合成および上記導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサについて説明する。
【0016】
本発明の導電性高分子の合成にあたっては、まず、ピロール、チオフェンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の導電性高分子合成用モノマーを、上記メトキシベンゼンスルホン酸またはエトキシベンゼンスルホン酸からなるアルコキシベンゼンスルホン酸をドーパントとして用いて、化学酸化重合または電解酸化重合を行う。
【0017】
化学酸化重合の場合、上記アルコキシベンゼンスルホン酸を遷移金属塩、例えば第二鉄塩や第二銅塩とし、それらの金属塩と導電性高分子合成用モノマーとを、有機溶媒で特定濃度となるよう、それぞれ別途あらかじめ希釈しておき、溶液同士を混合して一定時間反応させた後、洗浄、乾燥して導電性高分子を合成することができる(ここで用いているスルホン酸塩は、その遷移金属成分が導電性高分子合成用モノマーの酸化重合剤として働き、残りのスルホン酸成分は高分子マトリックス中に含有され、いわゆるドーパントの役割を果たす)。上記重合に際して用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどが挙げられ、洗浄の際にも上記溶媒のいずれかを用いればよい。
【0018】
電解酸化重合の場合、上記アルコキシベンゼンスルホン酸またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)と、導電性高分子合成用モノマーとを、溶媒に溶解しておき、定電位または定電流条件下でモノマーの重合を進めて導電性高分子を合成する。この電解酸化重合に際して用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどが挙げられ、洗浄の際にも上記溶媒のいずれかを用いればよい。
【0019】
このようにして合成された導電性高分子は、導電性が優れ、しかも耐熱性が優れている。その理由は現在のところ必ずしも明確ではないが、電解酸化重合の場合、アルコキシベンゼンスルホン酸塩は、界面活性能があるので、モノマーを均一に乳化することができ、それによって、均一な導電性高分子が形成されて初期重合段階から優れた導電性が得られるようになるものと考えられる。
【0020】
また、化学酸化重合の場合、アルコキシベンゼンスルホン酸を遷移金属塩、例えば、第二鉄塩や第二銅塩とした場合、OH基のようにキレート作用がないため、均一な遷移金属塩を得ることができる。そして、上記アルコキシベンゼンスルホン酸遷移金属塩を酸化重合剤として使用した場合、均一な導電性高分子が形成されるので、初期重合段階から優れた特性が得られるようになるものと考えられる。このようにして導電性高分子中に取り込まれたドーパントのアルコキシル基は、長期保存中に分解されやすく、その際、アルコキシル基がOH基に変わるので、優れた耐熱性が得られるようになるものと考えられる。
【0021】
上記のように、本発明の導電性高分子は、導電性が優れ、しかも耐熱性が優れているので、コンデンサ、バッテリー、帯電防止シート、耐腐食用塗料などの用途において有用である。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。また実施例に先立ち、実施例の導電性高分子のドーパントとなるメトキシベンゼンスルホン酸の合成例を合成例1として示し、エトキシベンゼンスルホン酸の合成例を合成例2として示す。なお、以下において、溶液や分散液などの濃度を示す%は質量基準によるものである。
【0023】
合成例1
室温下で攪拌しながら、98%硫酸560gをメトキシベンゼン600gに滴下した。上記硫酸の滴下後、反応液の温度を75℃に上げ、その温度を保ちながら3時間攪拌した。反応終了後、500gの蒸留水を加え、エーテル200gを添加し、2層分離した下層部分のみを取り出し、さらに蒸留による濃縮と水の添加を2度繰り返して、未反応のメトキシベンゼンを除去することにより、メトキシベンゼンスルホン酸を得た。さらに2mol/lの水酸化ナトリウムにより中和してメトキシベンゼンスルホン酸のナトリウム塩も得た。
【0024】
合成例2
メトキシベンゼンに代えてにエトキシベンゼン678gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、エトキシベンゼンスルホン酸を得た。
【0025】
実施例1
室温下、1000mlの蒸留水にFe(SO ・8HOを108.6g(0.2mol)溶解して調製した溶液を激しく攪拌しながら、その中に5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと添加してpH7に調整した後、遠心分離により上澄みを取り除いて水酸化第二鉄の沈殿を得た。余分の水溶性塩を取り除くため、4000mlの蒸留水に上記水酸化第二鉄の沈殿を分散させた後、遠心分離で上清を取り除く操作を2回繰り返した。得られた水酸化第二鉄の沈殿を500gのノルマルブタノールに分散させた。
【0026】
これとは別に、合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸203gをあらかじめ500gのノルマルブタノールにそれぞれ溶解しておき、その溶液中に上記方法で調製した水酸化第二鉄の分散液を添加した。室温下、12時間かきまぜて反応させた後、蒸留して濃度50%のメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩のノルマルブタノール溶液を得た。
【0027】
上記メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩を濃度が0.5mol/lになるようにn−ブタノールを添加して濃度調整した後、その溶液に3,4−エチレンジオキシチオフェンを濃度が0.5mol/lになるように添加し、充分にかき混ぜ、上記メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩を酸化剤として、3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を開始させ、それを直ちに、3cm×5cmのセラミックプレート上に180μl滴下した。そして、そのセラミックプレート上で湿度55%、温度25℃で12時間重合した後、エタノール中に上記プレートをその上に形成された重合物膜と共に入れ、洗浄し、130℃で30分間乾燥した。乾燥後、上記プレートに1.5tの荷重をかけたまま5分間放置して、膜厚を均等にした後、その重合物であるポリエチレンジオキシチオフェンの電導度を4探針方式の電導度測定器(三菱化学社製のMCP−T600)により測定した。その結果を後記の表1に示す。
【0028】
実施例2
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸に代えて、合成例2で得たエトキシベンゼンスルホン酸218gを用いた以外は、実施例1と同様に3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を行い、得られたポリエチレンジオキシチオフェンについて電導度を測定した。その結果を後記の表1に示す。
【0029】
比較例1
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸に代えて、p−トルエンスルホン酸186gを用いた以外は、実施例1と同様に3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を行い、得られたポリエチレンジオキシチオフェンについて電導度を測定した。その結果を後記の表1に示す。
【0030】
比較例2
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸に代えて、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸352gを用いた以外は、実施例1と同様に3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を行い、得られたポリエチレンジオキシチオフェンについて電導度を測定した。その結果を後記の表1に示す。
【0031】
比較例3
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸に代えて、ナフタレンスルホン酸225gを用いた以外は、実施例1と同様に3,4−エチレンジオキシチオフェンの化学酸化重合を行い、得られたポリエチレンジオキシチオフェンについて電導度を測定した。その結果を後記の表1に示す。
【0032】
上記実施例1〜2および比較例1〜3で得たポリエチレンジオキシチオフェンの電導度を表1にドーパントと共に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004688125
【0034】
表1に示すように、実施例1〜2のポリエチレンジオキシチオフェンは、比較例1〜3のポリエチレンジオキシチオフェンに比べて、電導度が高く、導電性が優れていた。
【0035】
すなわち、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例1のポリエチレンジオキシチオフェンおよびエトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例2のポリエチレンジオキシチオフェンは、p−トルエンスルホン酸をドーパントとする比較例1のポリエチレンジオキシチオフェン、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする比較例2のポリエチレンジオキシチオフェンおよびナフタレンスルホン酸をドーパントとする比較例3のポリエチレンジオキシチオフェンより、高い電導度を有していて、導電性が優れていた。
【0036】
つぎに、上記実施例1〜2および比較例1〜3のポリエチレンジオキシチオフェンについて高温貯蔵による電導度の低下率を調べた。その結果を表2に示す。その高温貯蔵試験の方法は次の通りである。
【0037】
高温貯蔵試験:
上記実施例1〜2および比較例1〜3のポリエチレンジオキシチオフェンのシートについて、前記のように電導度を測定した後、各シートを130℃の恒温槽中に貯蔵し、経時的にシートを取り出して電導度を測定して、高温貯蔵による電導度の低下率を調べた。なお、電導度の低下率は、初期電導度値(すなわち、貯蔵前に測定した電導度値)から貯蔵後の電導度値を引いた時の差を初期電導度値で割り、パーセント(%)で示した。これを式で表すと次の通りである。
【0038】
【式】
Figure 0004688125
【0039】
【表2】
Figure 0004688125
【0040】
表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜2のポリエチレンジオキシチオフェンは、比較例1〜3のポリエチレンジオキシチオフェンに比べて、24時間貯蔵後、48時間貯蔵後とも、電導度の低下が少なく、耐熱性が優れていた。
【0041】
すなわち、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例1のポリエチレンジオキシチオフェンおよびエトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例2のポリエチレンジオキシチオフェンは、p−トルエンスルホン酸をドーパントとする比較例1のポリエチレンジオキシチオフェン、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする比較例2のポリエチレンジオキシチオフェンおよびナフタレンスルホン酸をドーパントとする比較例3のポリエチレンジオキシチオフェンに比べて、高温貯蔵による電導度の低下が少なく、耐熱性が優れていた。
【0042】
つぎに、電解酸化重合により導電性高分子を合成し、その評価をした例を実施例3および比較例4〜6として示す。
【0043】
実施例3
まず、電解酸化重合の陽極として用いる導電性高分子でコートしたセラミックプレートの作製を行った。すなわち、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄塩を水溶液状で用い、実施例1と同様の操作で化学酸化重合を行うことにより、ポリエチレンジオキシチオフェンでコートしたセラミックプレートを作製した。得られたセラミックプレート(すなわち、ポリエチレンジオキシチオフェンでコートしたセラミックプレート)を陽極とし、ステンレス鋼(SUS304)を陰極として以下に示すようにピロールの電解酸化重合を行った。
【0044】
前記合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸のナトリウム塩をあらかじめ濃度が0.04mol/lになるように純水で濃度調整した溶液に、ピロールを濃度が0.04mol/lになるように添加した。そして、上記に示した電極を用い、1mA/cmの定電流を70分かけて電解酸化重合することにより、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとして取り込んだポリピロールを合成した。得られたポリピロールをエタノールにより充分に洗浄し、150℃で1時間乾燥した後、4探針方式の電導度測定器(三菱化学社製のMCP−T600)により表面抵抗を測定した。その結果を後記の表3に示す。
【0045】
比較例4
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸のナトリウム塩に代えて、p−トルエンスルホン酸のナトリウム塩を用いた以外は、実施例3と同様にピロールを電解酸化重合し、得られたポリピロールの表面抵抗を測定した。その結果を後記の表3に示す。
【0046】
比較例5
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸のナトリウム塩に代えて、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩を用いた以外は、実施例3と同様にピロールを電解酸化重合し、得られたポリピロールの表面抵抗を測定した。その結果を後記の表3に示す。
【0047】
比較例6
合成例1で得たメトキシベンゼンスルホン酸のナトリウム塩に代えて、ブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩を用いた以外は、実施例3と同様にピロールを電解酸化重合し、得られたポリピロールの表面抵抗を測定した。その結果を後記の表3に示す。
【0048】
上記実施例3および比較例4〜6で得たポリピロールの表面抵抗の測定結果を表3にそのドーパントと共に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0004688125
【0050】
表3に示すように、実施例3のポリピロールは、比較例4〜6のポリピロールに比べて、表面抵抗が小さく、高い電導度を有することが明らかであった。すなわち、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例3のポリピロールは、p−トルエンスルホン酸をドーパントとする比較例4のポリピロール、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする比較例5のポリピロールおよびブチルナフタレンスルホン酸をドーパントとする比較例6のポリピロールに比べて、表面抵抗が小さく、導電性が優れていた。特に実施例3のポリピロールは、ブチルナフタレンスルホン酸をドーパントとする比較例6のポリピロールに比べて、表面抵抗が小さく、導電性が優れていた。
【0051】
つぎに、上記実施例3および比較例4〜6のポリピロールについて、上記のように表面抵抗を測定した後、前記実施例1のポリエチレンジオキシチオフェンなどと同様に高温貯蔵試験を行い、高温貯蔵による表面抵抗の増加を調べた。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0004688125
【0053】
表4に示すように、実施例3のポリピロールは、比較例4〜5のポリピロールに比べて、24時間貯蔵後、48時間貯蔵後とも、表面抵抗が小さく、耐熱性が優れていた。
【0054】
すなわち、p−トルエンスルホン酸をドーパントとする比較例4のポリピロールと分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする比較例5のポリピロールは、前記表3に示すように、貯蔵前には、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする実施例3のポリピロールに比べて、それほど表面抵抗が大きくなかったが、高温で貯蔵した場合には、実施例3のポリピロールに比べて、表面抵抗が大きく増加して、耐熱性が劣っていた。また、ブチルナフタレンスルホン酸をドーパントとする比較例6のポリピロールは、高温貯蔵による表面抵抗の増加はそれほど大きくなかったが、前記表3に示したように、貯蔵前の表面抵抗が実施例3のポリピロールに比べて大きく、実施例3のポリピロールのように、優れた導電性および優れた耐熱性を兼備することができなかった。
【0055】
つぎに、導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサを実施例4〜5および比較例7〜9として示す。
【0056】
実施例4〜5および比較例7〜9
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行い、誘電体皮膜を形成した陽極箔と陰極箔としてのアルミニウム箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を作製した。そして、このコンデンサ素子のセパレータ部分に3,4−エチレンジオキシチオフェンを含浸させ、さらに実施例1〜2および比較例1〜3の過程で得られたそれぞれのスルホン酸の第二鉄塩をそれぞれ別々に含浸させ、60℃で2時間加熱することによりポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した。そして、それを外装材で外装して、固体電解コンデンサを得た。
【0057】
このようにして作製した実施例4〜5および比較例7〜9の固体電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)の測定した。その結果をドーパントの種類と共に表5に示す。
【0058】
【表5】
Figure 0004688125
【0059】
表5に示すように、実施例4〜5の固体電解コンデンサは、比較例7〜9の固体電解コンデンサに比べて、ESR値が小さかった。
【0060】
すなわち、メトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子を固体電解質として用いた実施例4の固体電解コンデンサおよびエトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子を固体電解質として用いた実施例5の固体電解コンデンサは、p−トルエンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子を固体電解質として用いた比較例7の固体電解コンデンサ、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子を固体電解質として用いた比較例8の固体電解コンデンサ、ナフタレンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子を固体電解質として用いた比較例9の固体電解コンデンサに比べて、ESRが低く、高温・高湿条件下における特性の信頼性が高かった。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、導電性が優れ、かつ耐熱性が優れた導電性高分子を提供することができ、また、その導電性高分子を固体電解質として用いて高温・高湿条件下における信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することができた。

Claims (2)

  1. ピロール、チオフェンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして合成された導電性高分子であって、メトキシベンゼンスルホン酸またはエトキシベンゼンスルホン酸をドーパントとして含むことを特徴とする導電性高分子。
  2. 請求項1記載の導電性高分子を固体電解質として用いたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
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