JP4684822B2 - 車両間通信システムおよび無線通信装置 - Google Patents
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Description
集中制御方式にあっては、基地局が各車両間の無線通信を制御するため、無線通信衝突が生じることなく信頼性の高い通信を実現することが可能である。しかしながら、自動車専用道路などでは車両が高速で移動するため、広域なサービスエリアが必要となり、システムが煩雑化し、また、コストが膨大化する。
これに対してコンテンション方式は、基地局が不要であるため比較的安価に車両間通信システムの構築が可能となる。このため近年では、自動隊列走行のための無線通信制御方式としてコンテンション方式を用いることが検討されている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、無線通信干渉を回避することのできる車両間通信システムおよび無線通信装置を提供することを目的とする。
図1は本実施の形態に係る車両間通信システム1の構成を模式的に示す図である。この車両間通信システム1は車両の自動運転制御による隊列走行を実現するための通信システムであり、同図に示すように、複数の車両2−1、2−2・・・(以下、各車両を特に区別する必要が無いときは車両2という)を有し、各車両2には無線通信装置11と車両制御装置12と位置検出手段としてのカーナビゲーション装置13が搭載されている。そして、この車両間通信システム1にあっては、各車両2が略一定の車間距離L(例えば10M(メートル))を保って隊列走行している。
この図に示すように、無線通信装置11は、CPU101と、メモリ102と、データリンク部103と、変復調部104と、RF部105と、アンテナ106とを備えている。
CPU101は、無線通信装置11の各部を制御するものである。また、このCPU101は、図示せぬインターフェースを介して車両制御装置12に接続されており、この車両制御装置12がカーナビゲーション装置13から走行情報を取得し、CPU101に入力する構成となっている。
メモリ102は、CPU101によって実行される各種のプログラムやデータ、変数などを格納するものであり、無線通信動作時には、自他車両2の走行情報を一時的に格納する通信バッファとしても機能する。
変復調部104は、例えば周波数多重分割通信方式等に基づいて送受信データを変復調するものであり、データ送信時にはデータリンク部103から受け取った送信データを変調してRF部105に出力し、データ受信時にはRF部105から受け取った受信データを復調してデータリンク部103に出力する。
なお、本実施の形態では、上記無線通信装置11が通信に使用する無線チャンネルを車両2が走行する車線に応じて車両制御装置12が決定するが、それについては後述することにする。
すなわち、本実施の形態では、隊列走行を行う車両2の間で、例えば、先頭車両2から後続車両2に向けて各車両2が順番に無線送信を行うといったように、各車両2が一定の順番で無線送信を行うこととし、このように各車両2が順番に無線送信することで、無線信号の衝突の発生を回避している。以下の説明では、各車両2が一定の順番に無線送信する場合として、隊列走行する複数の車両2のうち、進行方向先頭の車両2から後続車両2に向けて1台ずつ順番に無線送信する場合を説明する。
この無線送信フレーム300には、車両2の現在位置を含む走行情報が格納されており、この無線送信フレーム300を送信することで、自車両2の走行情報が周辺の他の車両2に報知されるようになっている。
無線ヘッダ部301は、本車両間通信システム1にて用いられている無線通信方式に準拠したヘッダ情報を格納するものであり、このヘッダ情報が無線ヘッダ300Aに格納される。
無線テイラ300Xは、無線送信フレーム300を受信した無線通信装置11が、受信した無線送信フレーム300のエラー(誤り)を検出するためのフレームチェックシーケンス(FCS)であり、この無線テイラ300Xには例えばCRC(巡回冗長検査)のためのデータが格納されている。また、この無線テイラ300Xに格納されているデータに基づいて、上記無線ヘッダ部301と無線データ部302とがそれぞれ識別される。
なお、無線ヘッダ部301と無線データ部302とを識別するための専用の情報を無線送信フレーム300に付加する構成としても良い。
また、無線データ部302には、上記の情報の他にも、車両速度や移動方向といった走行情報が格納され、これらの走行情報が周辺の他車両2に向けて送信される。
無線チャンネル監視期間TCは、各車両2(無線通信装置11)が送信する無線送信フレーム300の衝突を回避するために設けられた期間であり、この無線チャンネル監視期間TCにあっては、無線通信装置11が、例えば、キャリアセンスをおこない無線チャンネルが使用中であるか否かを判別し、使用中であれば、無線送信動作が禁止(停止)される。
このような無線チャンネル監視期間TCの時間長の決定や無線送信タイミングTs(無線通信期間TAの開始タイミング)の決定などを、本実施の形態では、無線通信装置11のデータリンク部103が行う構成としている。
この図に示すように、データリンク部103は、位置情報処理部401と、カウンタ到達値算出部402と、無線データ部検出部403と、カウンタ部404と、FCS判定部405と、比較判定部406とを備えている。
位置情報処理部401は、受信された無線送信フレーム300と、自車両2の位置情報とを受け取り、無線送信フレーム300の送信車両位置300Cに格納されている送信元車両2の位置情報と、自車両2の位置情報とから車両間の相対距離を算出してカウンタ到達値算出部402に出力するものである。このとき、位置情報処理部401は、送信元車両2が自車両2よりも前方に位置する場合には相対距離に正の符号を、後方に位置する場合には負の符号を相対距離に付加し、送信元車両2が自車両2の前後のどちらにいるかを判別可能とする。
より具体的には、カウンタ部404は、上記無線データ部検出部403からカウント開始信号が入力された場合に、カウンタ値をクリアするとともに、初期値からカウンタをカウントアップさせて、カウントを開始する。これにより、無線データ部302の終了タイミング、すなわち、無線通信期間TAの終了タイミングt1からカウントが開始される。
また、カウンタ部404は、上記無線データ部検出部403からカウント停止信号が入力された場合、または、後述する比較判定部406からの無線送信開始信号が入力された場合に、カウンタのカウントアップを停止する。したがって、カウンタ部404は、無線通信期間TAの終了タイミングt1からカウント動作を開始し、他の無線通信装置11が送信した無線送信フレーム300を次に受信したとき、または、自装置が無線送信フレーム300を送信開始したときにカウント動作を停止することになる。
比較判定部406は、カウンタ到達算出部402から出力された無線送信タイミングTsまでの時間と、カウンタ部404のカウンタ値とを比較して、無線送信タイミングTsの到来を検出し、例えばCPU101などの無線送信を制御する各部に対して無線送信開始信号を出力するものである。
このとき、比較判定部406は、FCS判定部405の判定結果により、受信した無線送信フレーム300に誤りがあると判定されている場合には、無線送信タイミングTsの検出処理を停止する。これにより、誤りを含む無線送信フレーム300に基づいて無線送信が開始されてしまうのを防止している。
また、上述の通り、無線チャンネル監視期間TCは、車両間の相対距離に比例して長くなるため、先に無線送信フレーム300を送信した車両2と相対距離が最も短い直後方の車両2の無線通信装置11が、他の車両2よりも先駆けて次の無線通信期間TAの開始タイミングt3が到来し、無線送信動作が開始される。このとき、他の車両2の無線通信装置11にあっては、新たな無線送信フレーム300が受信されて、カウンタ部404のカウント動作が停止するため、自装置の無線送信が停止される。以下、このときの動作を、図5を参照してより詳細に説明する。
すなわち、先頭から2番目の車両2−2からの無線送信フレーム300Bを他の車両2−3および2−4の無線通信装置11が受信すると、それぞれの無線通信装置11が次の無線送信タイミングTsのカウントを開始する。このとき、2番目の車両2−2の前方に位置する先頭の車両2−1の無線通信装置11にあっては、2番目の車両2−2との相対距離が負符号となるため、無線送信タイミングTsのカウントを行わず、無線送信が停止されている。
このように、上記手順を用いれば、無線送信時の無線信号衝突を発生させることなく無線通信が実現される。
一般に、隊列走行を行う各車両2では、車両2の衝突などの事故を回避するために、一定の時間間隔で自車両2の走行情報の無線送信が必要となる。この一定の時間間隔を決定する際には、走行時の車両間距離と走行速度(移動速度)とが重要なパラメータとなる。
制動距離Y=V2/(2×g×μ)
但し、V:走行速度(km/時)、Y:制動距離(m)、g:重力加速度(9.8m/s2)、μ:摩擦係数である。
摩擦係数μは路面の状態に応じた係数であり、乾燥アスファルトにあってはμ=0.70、湿アスファルトにあってはμ=0.45〜0.60、コンクリートにあってはμ=0.50、砂利道にあってはμ=0.55、固まった雪道にあってはμ=0.15、氷上にあってはμ=0.07となる。
したがって、車両の走行速度Vが50km/時の場合、μ=0.7と仮定すると、制動距離Yは14mとなり、また、車両の走行速度Vが80km/時の場合、μ=0.7と仮定すると、制動距離Yは36mとなる。
自車両送信監視部601は、自車両2の無線送信フレーム300の送信開始(すなわち、無線通信期間TAの開始タイミング)を検出して、カウンタ部602に対してカウント開始信号を出力するものである。このとき、自車両送信監視部601は、無線送信フレーム300の無線データ部302の送信開始を検出するようにしても良い。
例えば高速道路などの複数の走行車線がある道路や、走行路線の上り線と下り線が併設された道路では、各車線を複数の隊列が走行する場合があり、また、高速道路における分岐や合流、インターチェンジなどでは、ある隊列の付近を別隊列が走行する場合がある。このような場合、何ら対策を講じなければ、隊列間で無線通信の混信などが生じ、安定した無線通信環境が阻害される恐れがある。
そこで本実施の形態では、無線通信装置11が周波数分割や符号分割などの周波数多重通信するように構成すると共に、走行路線の車線のそれぞれに予め無線チャンネルを割り当て、各車両2が走行中の走行路線に割り当てられている無線チャンネルを用いて無線通信する構成とすることで、複数の隊列が近接して走行する場合であっても、隊列内の各車両間2で安定した無線通信を維持可能としている。以下、かかる構成について高速道路を例にして詳述する。
図7に示すように、2つの高速道路(走行路線)H1、H2は、それぞれ上り車線R1および下り車線R2を有して構成されており、各高速道路H1、H2には、図8に示すように、それぞれの車線R1、R2ごとに互いに個別の無線チャンネルCH1〜CH4が予め割り当てられている。なお、以下の説明では、以下、各車線R1、R2を特に区別する必要のないときは符号Rを付し、また、無線チャンネルCH1〜CH4についても同様に符号CHを付す。
なお、カーナビゲーション装置13に無線チャンネルCHの割当を予め格納し、当該カーナビゲーション装置13が自車位置に基づいて走行中の車線Rの無線チャンネルCHを特定して車両制御装置12に出力する構成としても良い。
この図に示すように、高速道路H1の上り車線R1は、分岐部Bにて分岐して合流部Jにて高速道路H2の上り車線R1に合流するようになっており、本実施の形態では、車両2が路線、すなわち、車線Rを変更する場合には、分岐部Bから合流部Jまでの区間Kにて無線通信に使用する無線チャンネルCHを切替えるようにしている。
これにより、分岐部Bから合流部Jまでの区間Kにおいても、各車両2間での無線通信が可能となり、安定した無線通信環境を実現することができる。また、区間Kを走行中に合流先の車線R1を走行する車両2との間での無線通信も可能となるため、合流時の安全を確保することができる。
また、無線通信装置11が、切替前の無線チャンネルCH1を用いて無線通信するための第1無線通信手段と、切替後の無線チャンネルCH3を用いて無線通信するための第2無線通信手段との2つの無線通信手段を備える構成とし、第1および第2無線通信手段を用いて切替前後の両方の無線チャンネルCHで無線通信するようにしても良い。
例えば、上述した実施の形態では、車両2が自車両の走行位置や走行状況(車速および走行方向)をカーナビゲーション装置13から取得する構成としたが、これに限らず、車速センサやジャイロセンサなどの各種センサを用いて取得する構成としても良い。
具体的には、図9に示すように、車線R1に車線R2が合流部Jにて合流するような路線の構成において、合流部Jの手前(例えば200M)の車線R2の道路に路側無線機(路線側通信機器)700を配設し、車線R2を走行する車両2に対して当該路側無線機700から合流先である車線R1の無線チャンネルCHを送信し、この無線チャンネルCHを受信して車両2側が無線チャンネルCHを切替える。
これにより、車両2側が車線Rごとの無線チャンネルCHの割当データを有していない場合であっても、走行中の車両2に対して車車間通信のために使用すべき無線チャンネルCHを通知可能となる。また、車線Rに割り当てる無線チャンネルCHを動的に変更可能となる。
また、車線R1と車線R2との合流に路側無線機700を用いる構成に限らず、分岐などにも用いることができる。さらには、工事などにより例えば車線R1における所定区間だけ無線チャンネルCHの割付を変更する場合や、また、新規の路線(車線)が形成された場合などにも、路側無線機700を用いることで、車両2に対して無線通信に使用すべき無線チャンネルCHを通知することができるため、車線Rへの無線チャンネルCHの割当を容易に変更することが可能となる。
2 車両
11 無線通信装置
12 車両制御装置
13 カーナビゲーション装置
103 データリンク部
300 無線送信フレーム
700 路側無線機(路線側通信機器)
A 無線通信エリア
L 車間距離
T 無線送信期間
TA 無線通信期間
TB 無線通信休止期間
TC 無線チャンネル監視期間
Ts 無線送信タイミング
CH 無線チャンネル
Claims (8)
- 無線通信装置が搭載された車両を複数有し、それぞれの無線通信装置の間で送信データを送受する車両間通信システムにおいて、
車線ごとに無線チャンネルを割り当て、
各車両の無線通信装置のそれぞれが、走行中の車線に割り当てられた無線チャンネルを用いて無線通信し、
他の路線に分岐する分岐部、及び当該分岐部から前記他の路線に合流する合流部を経て前記車両が前記他の路線の車線に車線変更した場合、当該車両に搭載された無線通信装置は、前記車両が前記合流部から所定距離を走行するまでの間、変更前の車線および変更後の車線のそれぞれに割り当てられている両方の無線チャンネルで無線通信する
ことを特徴とする車両間通信システム。 - 前記車両のそれぞれは、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された現在位置に基づいて車線に割り当てられている無線チャンネルを特定する無線チャンネル特定手段とを有し、
前記無線通信装置のそれぞれは、前記無線チャンネル特定手段により特定された無線チャンネルを用いて無線通信する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両間通信システム。 - 前記車線に割り当てられた無線チャンネルを、当該車線を走行する車両に対して送信する路線側通信機器を道路に配設した
ことを特徴とする請求項1に記載の車両間通信システム。 - 前記車両のそれぞれは、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段を有し、
前記無線通信装置のそれぞれは、
前記送信データに自車両の現在位置を含めて送信すると共に、
他車両の無線通信装置から前記送信データを受信したときには、この受信のタイミングから当該他車両と自車両との間の相対距離に応じた時間が経過したタイミングで、自車両の現在位置を送信データに含めて送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両間通信システム。 - 前記無線通信装置のそれぞれは、
他の無線通信装置から他車両の現在位置を含む送信データを受信したタイミングから当該他車両と自車両との間の相対距離に応じた時間が経過するまでの間に、新たな送信データを受信したときには、当該新たな送信データを受信したタイミングから、当該新たな送信データを送信した車両と自車両との間の相対距離に応じた時間が経過したときに、前記送信データを送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両間通信システム。 - 前記無線通信装置のそれぞれは、
他の無線通信装置から他車両の現在位置を含む送信データを受信したときに、当該他車両が自車両よりも進行方向後方に位置する場合には、前記送信データの送信を禁止する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の車両間通信システム。 - 前記無線通信装置のそれぞれから送信された前記送信データに基づいて、前記車両の各々が隊列走行する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両間通信システム。 - 車両に搭載され、他の車両に搭載された無線通信装置との間で送信データを送受する無線通信装置において、
車両が走行中の車線に割り当てられている無線チャンネルを取得し、当該無線チャンネルを用いて無線通信し、
他の路線に分岐する分岐部、及び当該分岐部から前記他の路線に合流する合流部を経て前記車両が前記他の路線の車線に車線変更した場合、前記車両が前記合流部から所定距離を走行するまでの間、変更前の車線および変更後の車線のそれぞれに割り当てられている両方の無線チャンネルで無線通信する
ことを特徴とする無線通信装置。
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