図1は、本発明の一実施形態にかかる生産管理システムの全体ハードウェア構成を示す。
図1に示すように、複数の生産場所、例えば、1以上の部品工場10A、10Bと1以上の組立工場20A、20Bが存在する。部品工場10A、10Bの生産活動と、組立工場20A、20Bの生産活動とは互に連携関係にある。すなわち、部品工場10A、10Bにて種々の部品11、11、…が生産され、それらの部品11、11、…が組立工場20A、20Bに搬送され、組立工場20A、20Bにて種々の完成品(図示の例の場合には、各種の車両)21、21、…が組み立てられる。
部品工場10Aでは、そこで生産される部品11、11、…の各々のそれ自体又はそれを載せたパレットに、ICタグと呼ばれる無線通信機能をもつ小型の半導体メモリ12が取り付けられる。部品工場10Aでは終始、各部品11とICタグ12とが一緒に移動する。各部品11用のICタグ12には、予め、その部品11を識別するための識別データが記憶されている。この識別データには、その部品11の品目を識別するための品番と、その部品11の個体を識別するための個体番号が含まれる。個体番号としては、その部品11が種類品(所定の種類に属するならば、どの部品であっても生産ニーズを満たすもの)である場合には、その部品11のロットに固有のロット番号が用いられ、特定品(その特定の部品でなければ、生産ニーズを満たさないもの)である場合には、その特定の部品11に固有のシリアル番号が用いられる。
部品工場10A内では、各部品11は、調達されてから出荷されるまでの間に複数の工程を経由することになる。それら複数の工程が行われる複数の現場にはそれぞれICタグリーダ/ライタ13、13、…が設置されている。各現場の各ICタグリーダ/ライタ13は、各現場に各部品11が存在するときに、各部品11と一緒のICタグ12から無線通信により各部品11の識別情報を読み取る。ICタグリーダ/ライタ13、13、…は、部品工場10A内のLAN14に接続されている。このLAN14には、部品工場10A内のローカルサーバ15及びモニタ用端末16も接続されている。複数の現場でICタグリーダ/ライタ13、13、…により読み取られた部品11、11、…からの識別データは、ローカルサーバ15に収集される。ローカルサーバ15に収集された部品11、11、…の識別データは、部品工場10Aの現在の生産実績、すなわち、現在それぞれの部品11、11、…が部品工場10A内のどの工程に居るかということを示しており、ローカルサーバ15内のデータベースに生産実績として記憶される。モニタ用端末16は、ローカルサーバ15と通信可能である。
上述した部品工場10Aと同様の仕組みが、他の部品工場10Bにも採用される。
また、組立工場20Aでは、そこで生産される完成品21、21、…の各々のそれ自体又はそれを載せたパレットに、上述したと同様のICタグ22が取り付けられる。組立工場20Aでは終始、各完成品21とICタグ22とが一緒に移動する。各完成品21用のICタグ22には、予め、その完成品21を識別するための識別データが記憶されている。この識別データには、その完成品21の機種を識別するための機名符号と、その完成品21の個体を識別するための個体番号が含まれる。個体番号としては、完成品21に固有のシリアル番号が用いられる。
組立工場20A内では、各完成品21は、調達されてから出荷されるまでの間に複数の工程を経由することになる。それら複数の工程が行われる複数の現場にはそれぞれICタグリーダ/ライタ23、23、…が設置されている。各現場の各ICタグリーダ/ライタ23は、各現場に各完成品21が存在するときに、各完成品21と一緒のICタグ22から無線通信により各完成品21の識別情報を読み取る。ICタグリーダ/ライタ23、23、…は、組立工場20A内のLAN24に接続されている。このLAN24には、組立工場20A内のローカルサーバ25及びモニタ用端末26も接続されている。複数の現場でICタグリーダ/ライタ23、23、…により読み取られた完成品21、21、…からの識別データは、ローカルサーバ25に収集される。ローカルサーバ25に収集された識別データは、組立工場20Aの現在の生産実績、すなわち、現在それぞれの完成品21、21、…が組立工場20A内のどの工程に居るかということを示しており、ローカルサーバ25内のデータベースに生産実績として記憶される。モニタ用端末26は、ローカルサーバ25と双方向通信が可能である。
上述した組立工場20Aと同様の仕組みが、他の組立工場20Bにも採用される。
上述した部品工場10A、10BのLAN14、14と、組立工場20A、20BのLAN24、24が、コンピュータ間通信ネットワーク、例えばインターネット30に接続されている。また、公開サーバ40が、インターネット30に接続されている。公開サーバ40の設置場所は、この実施形態ではいずれの工場のLANの外に存在するが、いずれかの工場のLAN上にあってもよい。公開サーバ40は、インターネット30を通じて、部品工場10A、10Bのローカルサーバ15、15に対しても、組立工場20A、20Bのローカルサーバ25、25に対しても、双方向通信が可能である。部品工場10A、10Bのローカルサーバ15、15と組立工場20A、20Bのローカルサーバ25、25とは、双方向通信可能であってもよいし、そうでなくてもよい。更に、いずれの工場のLAN上ではない箇所にもモニタ用端末41、41が存在してもよく、それらもインターネット30を通じて、いずれかの工場のローカルサーバ15、15、25又は25、又は公開サーバ40と双方向通信が可能である。
図2は、本実施形態における一つの部品工場10と一つの組立工場20を例にとり、その2つの工場10、20のための生産管理の概略的な流れを示す。
図2に示すように、部品工場10の生産活動も、組立工場20の生産活動も、調達と製造と出荷のプロセスに大別できる。調達プロセスでは、製品(部品工場10の場合は部品、組立工場の場合は完成品)の製造に必要な材料や副部品又は部品が調達される。製造プロセスは、通常、複数の工程から成り、それらの工程を経由して製品が製造される。出荷プロセスでは、出来上がった製品が出荷される。
部品工場10では、部品工場10に専用の生産計画50が用意され、同様に、組立工場20では、組立工場20に専用の生産計画60が用意される。各工場10、20用の生産計画50、60には、上述した調達、製造及び出荷のプロセスの製品毎のスケジュールをそれぞれ定義したデータである調達計画、製造計画及び出荷計画が含まれる。また、部品工場10から組立工場20までの製品毎の輸送のスケジュールを定義した輸送計画が、いずれかの工場の生産計画、例えば部品工場10用の生産計画50に含まれてもよい。部品工場10用の生産計画50は、部品工場10内のローカルサーバ15のデータベース52に記憶され、また同様に、組立工場20用の生産計画60は、組立工場20内のローカルサーバ25のデータベース62に記憶される。
各工場10、20では、調達から製造を経由して出荷に至るまでの間に複数の工程が実施される。従来からそうであるように、図中で点線の矢印で示されるように、各工場10、20内の複数の工程は、各工場10、20用の生産計画50が定めたスケジュールに極力沿うように実施されるように制御される。しかし、様々な要因により、実際の生産活動が計画通りに進捗しない場合がよくある。
各工場10、20内の各工程が実施される作業場所にはICタグリーダ/ライタ13が設置され、各ICタグリーダ/ライタ13はその場所を通過する製品に付随するICタグ12からその製品の識別データを読み取る。部品工場10内でICタグリーダ/ライタ13、13、…で読み取られた種々の製品(部品)の識別データは、生産実績51として、部品工場10内のローカルサーバ15に収集され、データベース52に記憶される。同様に、組立工場20内でICタグリーダ/ライタ13、13、…で読み取られた種々の製品(完成品)の識別データは、組立工場20内のローカルサーバ25に収集され、組立工場20の生産実績61として、データベース62に記憶される。各工場10、20の生産実績51、61は、各工場10、20の生産計画50、60と対比できるように、各工場10、20での調達、製造及び出荷のプロセスの製品毎の実績をそれぞれ示す調達実績、製造実績及び出荷実績を含んでいる。
部品工場10のローカルサーバ15は、生産計画制御処理プログラム53を有し、これを実行する。ローカルサーバ15で実行される生産計画制御処理プログラム53は、データベース52に記憶された部品工場10用の生産計画50と生産実績51とを対比して、部品工場10での生産活動の進捗状況(例えば、調達、製造及び出荷の実績が、調達、製造及び出荷の計画に対して一致しているか、進んでいるか遅れているか、或いは多いか少ないかという、生産時間又は生産量における相違値)を判断する。その判断の結果、生産実績51が生産計画50から所定閾値以上に相違していることが検出された場合には、その相違を解消するように部品工場10での生産活動又は生産計画50を調整すること(以下、アジャスト・アクションという)を要求するアジャスト・アクション指示が、生産計画制御処理プログラム53から出力される。アジャスト・アクション指示が出力されると、アジャスト・アクション指示は部品工場10内のモニタ端末16(図1参照)に表示され、その指示に基づいて生産活動又は生産計画50の調整を行なうことができる。この調整は人手で行うこともできるし、或いは、特に生産計画50の調整については、ローカルサーバ15又は他の生産計画管理用のコンピュータシステム(図示せず)により自動的に行うこともできる。
同様に、組立工場20のローカルサーバ25も、生産計画制御処理プログラム63を有し、これを実行する。ローカルサーバ25で実行される生産計画制御処理プログラム63は、データベース62に記憶された組立工場20用の生産計画60と生産実績61とを対比して、組立工場20での生産活動の進捗状況を判断し、その結果、生産実績61が生産計画60から所定閾値以上に相違していれば、その相違を解消するための組立工場20用のアジャスト・アクション指示を出力する。このアジャスト・アクション指示は組立工場20内のモニタ端末26(図1参照)に表示され、その指示に基づいて生産活動又は生産計画60の調整を行なうことができる。この調整も、人手で行えるし、或いは、特に生産計画60の調整については、ローカルサーバ15又は他の生産計画管理用のコンピュータシステム(図示せず)により自動的に行うこともできる。
このようにして、それぞれの工場10、20では、ローカルサーバ15、25により、別個の生産計画50、60に基づいて生産管理が個別に実行される。これに加えて、部品工場10と組立工場20の生産活動を調和的に連携させるための制御が、共有サーバ40により次のように実行される。
すなわち、共有サーバ40は、両工場10、20のローカルサーバ15、25から、インターネット30(図1参照)を通じて、両工場10、20の生産計画50、60と生産実績51、61のうち、両工場10、20間の連携の制御に必要な部分の生産計画50A、60A及び生産実績51A、61Aを受け取り、共有サーバ40のデータベース42に記憶する。共有サーバ40は、生産計画制御処理プログラム43を有し、これを実行する。共有サーバ40で実行される生産計画制御処理プログラム43は、データベース42に記憶された部品工場10用の生産計画50Aと生産実績51Aに基づいて、部品工場10での生産活動の進捗状況値(例えば、生産計画50Aと生産実績51A間の相違値)を計算し、また、組立工場20用の生産計画60Aと生産実績61Aに基づいて、組立工場20での生産活動の進捗状況値(例えば、部品の在庫量や、完成品の生産計画60Aと生産実績61A間の相違値など)を計算する。
その結果、生産計画制御処理プログラム43は、部品工場10での生産活動の進捗状況値(例えば、生産計画50Aと生産実績51A間の相違)が所定の許容範囲を超えているか判断し、そうである場合、組立工場20での生産活動の進捗状況から受ける影響値を計算し、そして、その影響値を加味して、部品工場10の進捗状況値を補正する計算を行う。組立工場20からの影響値の加味により、部品工場10での進捗状況は、悪化する方向へ補正される場合もあれば、改善される方向へ補正される場合もある。生産計画制御処理プログラム43は、このように補正された部品工場10の進捗状況値を所定の基準値と対比して、部品工場10の進捗状況が抱える問題の大きさを評価し、その問題が大きい場合には、その問題を解消するための部品工場10用のアジャスト・アクション指示及び/又は組立工場20用のアジャスト・アクション指示を出力する。
上記と同様に、生産計画制御処理プログラム43は、組立工場20での生産活動の進捗状況値(例えば、生産計画60Aと生産実績61A間の相違値)が所定の許容範囲を超えているかを判断し、そうである場合、部品工場10での生産活動の進捗状況から受ける影響値を計算し、そして、その影響値を加味して、組立工場20の進捗状況値を補正する計算を行う。そして、生産計画制御処理プログラム43は、このように補正された組立工場20の進捗状況値を所定の基準値と比較して、組立工場20の進捗状況が抱える問題の大きさを評価し、その問題が大きい場合には、その問題を改善するための組立工場20用のアジャスト・アクション指示及び/又を部品工場10用のアジャスト・アクション指示を出力する。
上記のようにして、共有サーバ40から出力された部品工場10用のアジャスト・アクション指示は、部品工場10のローカルサーバ15に受信され、部品工場10内のモニタ用端末16に表示される。このアジャスト・アクション指示に基づいて、部品工場10での生産活動又は生産計画50の調整を行うことができる。同様に、共有サーバ40から出力された組立工場20用のアジャスト・アクション指示は、組立工場20のローカルサーバ25に受信され、組立工場20内のモニタ用端末26に表示される。このアジャスト・アクション指示に基づいて、組立工場20での生産活動又は生産計画60の調整を行うことができる。いずれの工場10、20においても、生産活動又は生産計画50、60の調整は、手動で行なうことができ、或いは、特に生産計画50、60の調整については、ローカルサーバ15、25又は他の生産計画管理用のコンピュータシステム(図示せず)により自動的に行うこともできる。
このような共有サーバ40が行う制御により、部品工場10と組立工場20の生産活動の進捗状況の相互間での影響値が計算され、その影響値に基づいて、一方の工場での進捗状況に応じて他方の工場での生産活動又は生産計画を調整することが可能になる。その結果、部品工場10と組立工場20間で生産活動を調和的に連携させることが容易になる。例えば、部品工場10で或る部品の生産が遅れているために、組立工場20でその部品の在庫が無くなる可能性がある場合、組立工場20では、その部品を使用する完成品の生産を遅らせ、代わりに、在庫が十分有る別の部品を使用する完成品の生産を早めるように調整することができる。或いは、例えば、組立工場20で或る製品の生産が遅れている場合、部品工場10では、その製品に使用される部品の生産を遅らせ、代わりに、より早い生産が所望されている別の部品の生産を早めるよう調整することができる。或いは、例えば、部品工場10で或る部品の生産が遅れている場合、部品工場10内で閉じた生産管理に従えば、その部品の生産の遅れを取り戻す調整が行われるとことであるが、もし、組立工場20でその部品を使用する製品の生産が遅れていることが判明したならば、部品工場10ではその部品の生産の遅れを取り戻す調整をせずに、代わりに、早い生産が所望されている別の部品の生産を早めるよう調整することができる。
なお、このような部品工場10と組立工場20間の調和的連携のための制御は、本実施形態では共有サーバ40により実行されるが、必ずしもそうである必要は無い。変形例として、部品工場10と組立工場20のローカルサーバ15と25同士が双方向通信しながら、共有サーバ40で行われる制御を実行するようにしてもよく、この場合には、共有サーバ40は必要ではない。
以下では、共有サーバ40(或いは、ローカルサーバ15と25)で行われる、部品工場10と組立工場20間の調和的連携のための制御の具体的な流れを説明する。
図3〜図5は、この制御で使用されるデータの例を示す。すなわち、図3は、この制御で使用される部品工場10側の生産計画50Aと生産実績51Aに含まれるデータの例を示し、図4は、組立工場20側の生産計画60Aと生産実績61Aに含まれるデータの例を示し、図5は、各種の参照データの例を示す。
図3に示されるように、部品工場10側の生産計画50Aに含まれるデータには、例えば、部品製造計画100(図3A)と部品出荷計画102(図3C)があり、生産実績51Aに含まれるデータには、例えば、部品製造実績101(図3B)と部品出荷実績103(図3D)がある。
図3Aに示されるように、部品製造計画100は、部品毎のレコードを有し、各部品のレコードには、各部品の識別データ(例えば、品番と、種類品の場合にはロット番号又は特定品の場合にはシリアル番号)と、製造スケジュールと、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図3Bに示されるように、部品製造実績101は、部品毎のレコードを有し、各部品のレコードには、各部品の識別データと、実際の製造終了日時と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図3Cに示されるように、部品出荷計画102は、部品毎のレコードを有し、各部品のレコードには、各部品の識別データと、出荷スケジュールと、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図3Dに示されるように、部品出荷実績103は、部品毎のレコードを有し、各部品のレコードには、各部品の識別データと、実際の出荷日時と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図4に示されるように、組立工場20側の生産計画60Aに含まれるデータには、例えば、完成品製造計画110(図4A)と完成品出荷計画112(図4C)があり、生産実績61Aに含まれるデータには、例えば、完成品製造実績111(図4B)と完成品出荷実績113(図4D)と部品在庫状況114(図4E)がある。
図4Aに示されるように、完成品製造計画110は、完成品毎のレコードを有し、各完成品のレコードには、各完成品の識別データ(例えば、機名符号とシリアル番号)と仕様データと、製造スケジュールと、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図4Bに示されるように、完成品製造実績111は、完成品毎のレコードを有し、各完成品のレコードには、各完成品の識別データと仕様データと、実際の製造開始(ラインオン)と終了(ラインオフ)の日時と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図4Cに示されるように、完成品出荷計画112は、完成品毎のレコードを有し、各完成品のレコードには、各完成品の識別データと仕様データと、出荷先(取引先)と出荷予定数量と出荷スケジュールと、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図4Dに示されるように、完成品出荷実績113は、完成品毎のレコードを有し、各完成品のレコードには、各完成品の識別データと仕様データと、出荷先(取引先)と実際の出荷数量と出荷数量と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図4Eに示されるように、部品在庫状況114は、品番(品目)毎のレコードを有し、各品番(品目)のレコードには、品番と、在庫場所の識別データ(ロケーションコード)と、在庫数と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図5に示されるように、参照データには、部品製造基準値120(図5A)、部品出荷基準値121(図5B)、部品在庫基準値122(図5C)、完成品生産基準値123(図5D)、完成品出荷基準値124(図5E)、及び品番・機種変換テーブル125(図5F)などがある。
図5Aに示されるように、部品製造基準値120は、部品の品目毎のレコードを有し、各品番のレコードには、各品目の品番と、ロケーションコードと、製造の計画と実績間の相違値の許容範囲の上限と下限をそれぞれ示す基準値と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図5Bに示されるように、部品出荷基準値121は、部品の品目毎のレコードを有し、各品目のレコードには、各品目の品番と、ロケーションコードと、出荷の計画と実績間の相違値の許容範囲の上限と下限をそれぞれ示す基準値と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図5Cに示されるように、部品在庫基準値122は、部品の品目毎のレコードを有し、各品目のレコードには、各品目の品番と、ロケーションコードと、在庫数の許容範囲の上限と下限をそれぞれ示す基準値と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図5Dに示されるように、完成品製造基準値123は、完成品の機種毎のレコードを有し、各機種のレコードには、各機種の機名符号と、製造の計画と実績間の相違値の許容範囲の上限と下限をそれぞれ示す基準値と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。図5Eに示されるように、完成品出荷基準値124は、完成品の機種毎のレコードを有し、各機種のレコードには、各機種の機名符号と、出荷の計画と実績間の相違値の許容範囲の上限と下限をそれぞれ示す基準値と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図5Fに示されるように、品番・機種変換テーブル125は、部品の品目毎のレコードを有し、各品目のレコードに、各品目の品番と、その品番の部品が使用される完成品の機名符号と、そのレコードの登録日時と更新日時が記録される。
図6と図7は、部品工場10と組立工場20との間の調和的連携のための制御の具体的な流れの代表例を示す。図6は、部品工場10の生産活動の進捗状況を端緒にして両工場10、20の生産活動を制御する場合の流れの例を示し、図7は、組立工場20の生産活動の進捗状況を端緒にして両工場10、20の生産活動を制御する場合の流れの例を示す。ここで、図6、図7における「部品工場」、「共通機能(工場間連携機能)」及び「組立工場」という区分は、それぞれ、その区分内の処理で用いられるデータがどの工場に属するか(「共通機能(工場間連携機能)」の場合は両工場のデータが使用される)を概略的に示したものであり、その処理が実行されるサーバの場所を限定する趣旨ではない。前述のように、図6、7に示される処理は、共有サーバ40で集中的に行われてもよいし、或いは、ローカルサーバ15、25で分散的に行われてもよいし、或いは、共有サーバ40とローカルサーバ15、25で分散的に行われてもよい。
まず、図6を参照して、部品工場10の生産活動の進捗状況を端緒にした制御の流れを説明する。
ステップS1で、部品工場10内の各工程上の各部品のICタグ12から読み取られたデータが集められることにより、部品製造実績101及び部品出荷実績103が生成される。ステップS2で、部品製造計画100と部品製造実績101とが、また、部品出荷計画102と部品出荷実績103とが、それぞれ対比され、部品毎に、製造と出荷に関する進捗状況値(例えば、製造実績と製造計画間の相違値、及び出荷実績と出荷計画間の相違値)が求められる。それらの進捗状況値(相違値)に基づいて、ステップS3で、部品毎に、その製造と出荷が計画通りであるか、つまり進捗状況値が実質的にゼロか否かが判断される。その結果、或る部品について、計画通りではない(例えば、製造又は出荷の進捗状況値が3時間の遅れである)と判断されたとすると、その部品に関して、ステップS4に制御が進む。
ステップS4では、上述した製造又は出荷の進捗状況値(例えば、3時間の遅れ)が、部品製造基準値120又は部品出荷基準値121で定義された許容範囲(上限基準値と下限基準値)と対比される。その結果、ステップS5で、前記進捗状況値が許容範囲外であると判断されると、制御はステップS7へ進む。例えば、上記進捗状況値が3時間の遅れであり、上記許容範囲の上限基準値が1時間遅れ、下限基準値が1時間進みである場合、上記進捗状況値は許容範囲外と判断されるから、制御はステップS7に進む。
ステップS7では、上述した部品工場10での製造又は出荷に関する進捗状況値が、組立工場20での生産活動に関する影響値に換算される。そして、ステップS7では、その換算された影響値を用いて、組立工場20で実際に発生している生産活動に関する所定の進捗状況値が補正される。通常、部品工場10での製造又は出荷の遅れや進みは、組立工場20における部品在庫数や製造の進捗に影響を及ぼす。そこで、この実施形態においては、部品工場10での製造又は出荷の進捗状況値が、一例として、組立工場20での部品在庫への影響値に換算される。そして、その換算された影響値を用いて、組立工場20で現在実際に生じている部品在庫に関する進捗状況値(例えば、実際の部品在庫数)が補正される。
より具体的に説明すると、ステップS7では、部品在庫状況114から、前述のステップS3〜5で許容範囲を超える遅れ又は進みが生じている点で検出された部品(以下、検出部品という)の在庫数(例えば、3個)が読み込まれ、また、部品在庫基準値121から、検出部品の在庫数の許容範囲(例えば、上限基準値が5個、下限基準値が1個)が読み込まれる。ここで、部品在庫状況114は、前もってステップS6において、組立工場20内の部品保管場所に置かれている各部品のICタグ12からデータを読み取り収集することで生成されたものである。更に、ステップS7では、前述のステップS5で求められた部品工場10での検出部品の製造又は出荷の進捗状況値(例えば3時間遅れ)が、組立工場20での検出部品の在庫数の影響値に換算される。例えば、製造又は出荷の相違値が1時間に対して、在庫数への影響度が1個という換算率を採用したとすると、上記の3時間遅れという相違値は、3個の在庫数減少という影響値に換算される。そして、換算された影響値(例えば、3個の在庫数減)を用いて、実際の在庫数(例えば、3個)が補正され(例えば、在庫数3個から影響値3個が減算され)、補正された在庫数(例えば、0個)が求められる。そして、補正された在庫数(例えば、0個)が、上記在庫数の許容範囲(例えば、1個〜5個)と比較される。その比較結果に基づいて、ステップS8で、補正された在庫数が上記許容範囲内か否かが判断される。
なお、上記ステップS7での補正処理の変形例として、在庫数ではなく、在庫数の許容範囲を補正してもよい。例えば、在庫数の3個減少という影響値を求める代わりに、上記許容範囲の下限基準値の3個増加という影響値を求め、これを用いて、上記許容範囲の下限基準値である1個を4個に補正して、この補正された上限基準値4個と実際の在庫数5個とを比較しても良い。この変形例の方法でも、上述した在庫数を補正する方法と実質的に同じ判断結果が得られる。
上述したステップS8で、補正された在庫数が上記許容範囲外であると判断された場合、制御はステップS10へ進む。ステップS10では、品番・機種変換テーブル125を参照して、検出部品の品番から、検出部品が使用される完成品(以下、検出完成品という)がどれであるか(つまり、検出完成品の機名符号)が割り出される。そして、ステップS11で、完成品製造実績111中の検出完成品の製造実績と完成品製造計画110中の検出完成品の製造計画とが対比される。ここで、完成品製造実績111は、前もってステップS9で、組立工場20内の各工程上の各完成品のICタグ12からデータを読み取り収集することで作成されたものである。この対比により、その検出完成品について、その製造に関する進捗状況値(例えば、製造実績と製造計画との相違値)が求められる。この進捗状況値に基づいて、ステップS12で、検出完成品の製造が計画通り行われているか否かが判断される。その結果、計画通りである(上記製造の進捗状況値が実質的にゼロである)と判断された場合には、制御はステップS15に進む。他方、ステップS12で、検出完成品の製造が計画通りに行われていない(上記進捗状況値が実質的にゼロではない)と判断された場合には、制御はステップS13に進む。
ステップS13では、検出完成品の上記進捗状況値(例えば、1時間遅れ)が、検出部品の生産活動の進捗状況値への影響値に換算される。通常、完成品の生産活動において計画より或る時間分の遅れ又は進みがある場合、その完成品に使用される部品の生産活動も計画より同じ時間分だけ遅れ又は進んでも、完成品の生産に支障は生じない。そこで、この実施形態では、検出完成品の製造に関する進捗状況値(例えば、1時間遅れ)が、そのまま同じ値で(つまり、換算率1で)、検出部品の製造又は出荷に関する進捗状況値への影響値(例えば、部品の製造又は出荷の遅れ時間の1時間減少)に換算される。そして、換算された影響値(例えば、遅れ時間の1時間減少)を用いて、前述のステップS2で算出された検出部品についての製造又は出荷の進捗状況値(例えば、3時間)が補正される(例えば、進捗状況値3時間から影響値1時間が減算されて、補正された進捗状況値として2時間遅れが求まる)。そして、検出部品の上記補正された進捗状況値(例えば、2時間遅れ)が、部品製造基準値120に定義されている検出部品の進捗状況値の許容範囲(例えば、上限基準値が1時間遅れ、下限基準値が1時間進み)と比較される。この比較の結果から、ステップS14で、検出部品の上記補正された進捗状況値(例えば、2時間遅れ)が上記許容範囲(例えば、1時間遅れ〜1時間進み)内であるか否かが判断される。この判断の結果、上記補正された進捗状況値が上記許容範囲外であった場合、制御はステップS15へ進む。
ところで、上述したステップS10〜S13の処理は、部品の生産活動の進捗状況値(例えば、製造又は出荷の実績と計画間の相違値)を、その部品が適用される完成品の生産活動の進捗状況値(例えば、製造の実績と計画間の相違値)で修正することにより、部品の生産活動の進捗状況を、完成品の生産活動の進捗状況との関係から相対的に評価して、部品の生産活動の「実質的」な進捗状況値を計算することを意味する。例えば、部品の生産活動に生産計画から3時間の遅れが生じていても、もし、完成品の生産活動で生産計画から1時間の遅れが生じているならば、双方での1時間の遅れが相殺されて、完成品の生産活動との関係から相対的に評価された部品の生産活動の「実質的」な進捗状況値は、2時間遅れと計算されるわけである。
なお、上記ステップS13での補正処理の変形例として、部品生産活動の進捗状況値ではなく、進捗状況値の許容範囲を補正してもよい。例えば、遅れ時間の1時間減少という影響値を求める代わりに、上記許容範囲の上限基準値の1時間増加という影響値を求め、これを用いて、上記許容範囲の上限基準値である1時間遅れを2時間遅れに補正して、この補正された上限基準値2時間遅れと、部品の上記相違値3時間遅れとを比較しても良い。この変形例の方法でも、上述した上記進捗状況値を補正する方法と実質的に同じ判断結果が得られる。
さて、ステップS15に制御が進むと、そこでは、上述したステップS13で計算された検出部品の生産活動の「実質的」な進捗状況値が、組立工場及び/又は部品工場での生産活動(例えば、組立工場での検出部品の在庫状況や検出完成品の製造活動)への影響の大きさに応じてランク付けされる。なお、ステップS13〜S14を経由せずにステップS12から直ぐにステップS15へ制御が入った場合には、完成品の生産は計画通りに進んでいる場合なので、ステップS2で算出された検出部品の上記相違値(例えば、3時間遅れ)がそのまま、上記「実質的」な進捗状況値として使用される。ランク付けは、実質的な進捗状況値と所定の閾値とを比較することで行うことができる。例えば、実質的な進捗状況値(例えば、実質的な遅れ又は進みの時間長)が1時間未満なら影響「なし」、1時間以上3時間未満なら影響「小」、3時間以上なら影響「大」というようにランク付けされる。
その結果、影響度が「小」であれば、ステップS16、S17で、部品工場10のローカルサーバ15と組立工場20のローカルサーバ25の双方(又は一方)に対して、注意を呼びかけるアジャスト・アクション指示が送られる。他方、影響度が「大」であれば、ステップS18、S19で、部品工場10に対して、警告を与え又は生産計画を調整するなどして、検出部品の生産遅れの挽回、或いは過剰生産の抑制などの対策を実施させるためのアジャスト・アクション指示が作成され、それが部品工場10のローカルサーバ15に送られる。また、ステップS20、S21で、組立工場20に対して、警告を与え又は生産計画を調整するなどして、検出部品の在庫量調整、或いは検出完成品の出荷時期調整などの対策を実施させるためのアジャスト・アクション指示が作成され、それが組立工場20のローカルサーバ25に送られる。なお、上記のような各種のアジャスト・アクション指示は、状況に応じて、部品工場10と組立工場20の双方へ送られる場合もあれば、いずれか一方のみへ送られる場合もある。このような状況に応じたアジャスト・アクション指示を受けて、それぞれの工場10、20では、相応の対策を人手で又は自動で実施することができる。
次に、図7を参照して、組立工場20の生産活動の進捗状況を端緒にした制御の流れを説明する。
図7に示すように、ステップS31で、組立工場20内の各工程上の各完成品のICタグ12から読み取られたデータが集められることにより、完成品製造実績111及び完成出荷実績113が生成される。ステップ32で、完成品製造計画110と完成品製造実績111とが、また、完成品出荷計画112と完成品出荷実績113とが、それぞれ対比され、完成品毎に、製造と出荷に関する進捗状況値(例えば、製造実績と製造計画間の相違値、及び出荷実績と出荷計画間の相違値)が求められる。それらの進捗状況値に基づいて、ステップS33で、完成品毎に、その製造と出荷が計画通りであるか、つまり上記進捗状況値が実質的にゼロか否かが判断される。その結果、或る完成品について、計画通りではない(例えば、製造又は出荷の進捗状況値が3時間の遅れである)と判断されたとすると、その完成品(以下、検出完成品という)に関して、ステップS34に制御が進む。ステップS34では、品番・機種変換テーブル125を参照して、検出完成品の機名符号から、その完成品で使用される部品(以下、検出部品という)がどれであるか(つまり、その検出部品の品番)が割り出される。
そして、制御はステップS36に進み、そこで、上記割り出された検出部品に関して、ステップS32〜S33で計算された検出完成品の進捗状況値が、組立工場20での生産活動に対しどの程度の影響を与えるかが判断される。すなわち、一般に完成品の製造や出荷の遅れや進みは部品の例えば在庫量の増減に影響する。そこで、この事実に着目して、この実施形態では、このステップS36で、検出完成品の進捗状況値が検出部品の在庫量に対する影響値に換算される。例えば、検出完成品について、その製造の1時間の遅れが検出部品の在庫量の1個の増加に対応するという換算率を採用するならば、検出完成品の進捗状況値である3時間遅れが、検出部品の在庫量の3個の増加という影響値に換算される。そして、上記影響値(例えば、在庫数の3個増加)を用いて、部品在庫状況114に記録されている検出部品の現在の実際の在庫数(例えば、3個)が補正され、それにより、補正された在庫数(例えば、6個)が計算される。ここで、部品在庫状況114は、前もってステップS35で、組立工場20内に在庫されている各部品のICタグ12から読み取られたデータを収集することで作成されたものである。そして、ステップS36では、更に、上記補正された在庫数(例えば、6個)が、部品在庫基準値122に定義されている検出部品の在庫数の許容範囲(例えば、上限基準値が5個、下限基準値が1個)と比較される。この比較の結果に基づいて、ステップS37で、上記補正された在庫数(例えば、6個)が、上記許容範囲(例えば、1個〜5個)内であるか否かが判断される。
なお、上記ステップS36での補正処理の変形例として、在庫数ではなく、在庫数の許容範囲を補正してもよい。例えば、在庫数の3個増加という影響値を求める代わりに、上記許容範囲の上限基準値の3個減少という影響値を求め、これを用いて、上記許容範囲の上限基準値である5個を2個に補正して、この補正された上限基準値である2個と、部品の実際の在庫数である例えば3個とを比較しても良い。この変形例の方法でも、上述した在庫数を補正する方法と実質的に同じ判断結果が得られる。
その後、ステップS39で、部品製造計画100及び部品出荷計画102に記録されている検出部品の製造及び出荷の計画と、部品製造実績101及び部品出荷実績103に記録されている検出部品の製造及び出荷の実績とが、対比される。ここで、部品製造実績101及び部品出荷実績103は、前もってステップS38で、部品工場10内の各工程上の各部品のICタグ12から読み取られたデータを収集することで作成されたものである。上記の対比により、検出部品の製造及び出荷に関する進捗状況値(例えば、製造計画と製造実績間の相違値、及び出荷計画と出荷実績間の相違値)が計算される。これら製造及び出荷の進捗状況値(例えば、製造又は出荷の1時間の遅れ)に基づいて、ステップS40で、部品工場10における検出部品の生産活動が計画通りに進んでいるか(つまり、上記進捗状況値が実質的にゼロか)が判断される。その判断の結果、計画通りであれば制御はステップS43に進み、計画から外れていれば制御はステップS41へ進む。
ステップS41では、上記ステップS39で計算された部品工場10での検出部品の製造又は出荷の進捗状況値(例えば、1時間遅れ)が、組立工場20における検出完成品の製造又は出荷の進捗状況値への影響値に換算される。例えば、検出部品の生産に或る時間の遅れ又は進みがあっても、検出完成品の生産にも同じ時間の遅れ又は進みがあれば、両者の遅れは釣り合うという考えに基づけば、検出部品の製造又は出荷の1時間の遅れは、検出完成品の製造又は出荷の進捗状況値(遅れ時間)の1時間減少に対応するという換算率を用いることができる。この換算率を用いたならば、検出部品の製造又は出荷の進捗状況値である例えば1時間遅れは、検出完成品の製造又は出荷の進捗状況値(遅れ時間)の1時間減少という影響値に換算される。そして、換算された影響値(例えば、製造又は出荷の1時間遅れ)を用いて、前述のステップS36で算出された検出完成品の生産又は出荷の進捗状況値(例えば、3時間遅れ)が補正される(例えば、進捗状況値3時間から影響値1時間が減算されて、補正された進捗状況値として2時間遅れが求まる)。そして、検出完成品の補正された進捗状況値(例えば、2時間遅れ)が、完成品製造基準値123又は完成品出荷基準値124に定義されている進捗状況値の許容範囲(例えば、上限基準値が1時間遅れ、下限基準値が1時間進み)と比較される。この比較の結果から、ステップS42で、検出完成品の上記補正された進捗状況値(例えば、2時間遅れ)が上記許容範囲(例えば、1時間遅れ〜1時間進み)内であるか否かが判断される。この判断の結果、上記補正された進捗状況値が上記許容範囲外であった場合、制御はステップS43へ進む。
ところで、上述したステップS39〜S42の処理は、完成品の生産活動の進捗状況値(例えば、製造の実績と計画間の相違値)を、その完成品に適用される部品の生産活動の進捗状況値(例えば、製造又は出荷の実績と計画間の相違値)で修正することにより、その完成品の生産活動の進捗状況を、その部品の生産活動の進捗状況との関係から相対的に評価して、完成品の生産活動の「実質的」な進捗状況値を計算することを意味する。例えば、完成品の生産活動に生産計画から3時間の遅れが生じていても、もし、部品の生産活動で生産計画から1時間の遅れが生じているならば、双方の1時間遅れが相殺されて、部品の生産活動との関係から相対的に評価した完成品の生産活動の「実質的」な進捗状況値は、2時間遅れと計算されるわけである。
なお、上記ステップS41での補正処理の変形例として、進捗状況値ではなく、進捗状況値の許容範囲を補正してもよい。例えば、遅れ時間の1時間減少という影響値を求める代わりに、上記許容範囲の上限基準値の1時間増加という影響値を求め、これを用いて、上記許容範囲の上限基準値である1時間遅れを2時間遅れに補正して、この補正された上限基準値2時間遅れと、完成品の実際の進捗状況値である例えば3時間遅れとを比較しても良い。この変形例の方法でも、上述した進捗状況値を補正する方法と実質的に同じ判断結果が得られる。
さて、ステップS43に制御が進むと、そこでは、上述したステップS13で計算された検出完成品の生産活動の「実質的」な進捗状況値が、組立工場及び/又は部品工場での生産活動(例えば、組立工場での検出部品の在庫状況)への影響の大きさに応じてランク付けされる。なお、ステップS41〜S42を経由せずにステップS40から直ぐにステップS44へ制御が入った場合には、検出部品の生産は計画通りに進んでいる場合なので、ステップS32で算出された検出完成品の進捗状況値(例えば、3時間遅れ)がそのまま、上記「実質的」な進捗状況値」として使用される。ランク付けは、実質的な進捗状況値と所定の閾値とを比較することで行うことができる。例えば、実質的な進捗状況値(例えば、実質的な遅れ又は進みの時間長)が1時間未満なら影響「なし」、1時間以上3時間未満なら影響「小」、3時間以上なら影響「大」というようにランク付けされる。
ステップS44では、ランク付けされた影響度が「大」か「小」かが判断される。その結果、影響度が「小」であれば、ステップS45、S46で、組立工場20のローカルサーバ25と部品工場10のローカルサーバ15の双方(又は一方)に対して、注意を呼びかけるアジャスト・アクション指示が送られる。他方、影響度が「大」であれば、ステップS47、S48で、組立工場20に対して、警告を与え又は生産計画を調整するなどして、検出部品の在庫量調整、或いは検出完成品の出荷時期調整などの対策を実施させるためのアジャスト・アクション指示が作成され、それが組立工場20のローカルサーバ25に送られる。また、ステップS49、S50で、部品工場10に対して、警告を与え又は生産計画を調整するなどして、検出部品の生産遅れの挽回、或いは過剰生産の抑制などの対策を実施させるためのアジャスト・アクション指示が作成され、それが部品工場10のローカルサーバ15に送られる。なお、上記のような各種のアジャスト・アクション指示は、状況に応じて、部品工場10と組立工場20の双方へ送られる場合もあれば、いずれか一方のみへ送られる場合もある。このような状況に応じたアジャスト・アクション指示を受けて、それぞれの工場10、20では、相応の対策を人手で又は自動で実施することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。