JP4680426B2 - 軽量盛土構造の施工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、軽量盛土構造の施工法に関し、道路などの拡幅に必要な盛土を硬質ウレタンフォームを現場で発泡させて盛土本体とし、軽量化および施工の容易化を図るとともに、法面の緑化もできるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路などの拡幅を行う場合には、土を盛り上げる盛土が行われていたが、盛土の重量軽減を図るために、盛土材として発泡スチレンや発泡ウレタンを用いる軽量盛土工法が提案されており、重量を土やコンクリートを用いる場合の1/50〜1/200に軽量化することができる。
【0003】
また、近年、道路などの設置場所によっては地球環境との融和を図るため鉄筋コンクリート製の擁壁の裏込め材として発泡スチレンや発泡ウレタンのブロックを用いたり、現場で発泡することで軽量化を図るだけでは足りず、法面を緑化することが行われている。
【0004】
このような盛土の軽量化と同時に、法面を緑化できる盛土構造としては、以下のような軽量盛土構造が知られている。
【0005】
例えば、図3に示すように、地山1の表面及び盛土すべき地面(下面)2に水処理用の暗渠などを設けた後、盛土すべき地面(下面)2に網状シート(網状補強材)3を敷設し、その基端部をアンカー4で地山1に固定する。
【0006】
そして、この網状シート3の法面側に植生土のう5を、例えば2段積み上げ、その背面に砕石と敷砂とを転圧して水平にした後、さらに、例えば2段の植生土のう5を積み上げて安全ネット6で上下面と外側面をコ字状に覆い被せ、これら4段の植生土のう5の背面にポリスチレン発泡体7を積み上げ、ポリスチレン発泡体7の背後と地山1との間を埋戻土8で埋め戻し、安全ネット6に通した棒材にロープ9を結び埋戻土8にアンカー4で固定する。
【0007】
同様にしてさらに4段の植生土のう5とポリスチレン発泡体7を積み上げたのち、盛土の法面を覆う網状シート3を巻き上げて中間部にジョイントパイプ10をさして番線11で引っ張って埋戻土8にアンカー4で固定する。
【0008】
このような植生土のう5およびポリスチレン発泡体7の積み上げ、安全ネット6のアンカー4での固定を繰り返すことで、所定高さの盛土本体を形成し、最後に網状シート3の先端を引っ張って盛土の法面全体を覆い、その端を地山1にアンカー4で固定し、この後、積み上げられたポリスチレン発泡体7の背後の埋戻土8を転圧して盛土が完成する。
【0009】
また、既に説明した植生土のう5に替えて、図4に一部分を拡大して示すように、L型鋼の縦材12と平型鋼の横材13とでなる鋼材14を法面に配設してラス15を張設し、このラス15に土壌改良材、植物種子および肥料を含んだ生物基盤材を吹き付けるようにし、ポリスチレン発泡体7の前面にパイプ16を配置し、これに連結したロープ17を埋戻土8にアンカー4で固定するようにしている。
【0010】
なお、図示省略したが、網状シート3など他の構成は既に説明した軽量盛土構造と同一である。
【0011】
一方、軽量盛土材としてブロック状のポリスチレン発泡体7に代え、現場発泡ウレタンを用いる工法も有るが、コンクリートなどの擁壁を構築した後、擁壁を型枠としてその背面と地山との間に現場発泡する工法であり、法面を緑化することができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、法面を緑化することができるいずれの軽量盛土構造でも、植生土のう5やラス15を張る鋼材14を法面に保持するための網状シート3や安全ネット6を固定する必要があるが、ポリスチレン発泡体7に接着力がないため、網状シート3や安全ネット6を埋戻土8部分まで引き伸ばして転圧してアンカー4で固定したり、地山1の表面まで引き伸ばしてアンカー4で固定しなければならず、網状シート3や安全ネット6自体やこれを固定するための部材の使用量が多く、また、植生土のう5の積み上げに足場の設置が必要になるなど施工も大変であるという問題がある。
【0013】
また、軽量盛土材として使用されるポリスチレン発泡体7を積み上げる場合には、ブロック状のものを連結する必要があり、連結に使用する連結金具で網状シートの固定も兼ねるようにすることもあるが、網状シートが連結金具の端によって切断される恐れがあるという問題がある。
【0014】
この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、法面に設置される法枠を固定する網状シートの敷設長さを少なくでき、しかも簡単に固定することができる軽量盛土構造の施工法を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載の軽量盛土構造の施工法は、法面部および底部を備え盛土の法面に設置される法枠と、この法枠の内側に設置される法面緑化用の植生土部材と、この植生土部材の内側と地山面との間に充填される現場発泡の硬質ウレタンフォームで構成される盛土本体と、前記法枠の底部に連結され前記盛土本体を構成する現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設固定される網状シートとからなる軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の法面部の内側に植生土部材を設置する空間をあけて前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて前記網状シートを埋設固定するとともに、硬質ウレタンフォームを吹き付けて前記法面部高さの盛土本体を形成した後、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この軽量盛土構造の施工法によれば、軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の法面部の内側に植生土部材を設置する空間をあけて前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて前記網状シートを埋設固定するとともに、硬質ウレタンフォームを吹き付けて前記法面部高さの盛土本体を形成した後、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしており、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設することで接着固定でき、網状シートを短くできるとともに、簡単に固定できるようになる。そして、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納することで、植生土部材の設置等のために足場を設ける必要もない。また、必要な高さの盛土を、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設して接着固定しながら積み重ねることで簡単に構築できるようになる。
【0017】
また、この発明の請求項2記載の軽量盛土構造の施工法は、法面部および底部を備え盛土の法面に設置される法枠と、この法枠の内側に設置される法面緑化用の植生土部材と、この植生土部材の内側と地山面との間に充填される現場発泡の硬質ウレタンフォームで構成される盛土本体と、前記法枠の底部に連結され前記盛土本体を構成する現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設固定される網状シートとからなる軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、当該植生土部材が積み重ねられた背後に前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて吹き付けて前記網状シートを埋設固定するとともに、前記法面部高さの盛土本体を形成するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
この軽量盛土構造の施工法によれば、軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、当該植生土部材が積み重ねられた背後に前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて吹き付けて前記網状シートを埋設固定するとともに、前記法面部高さの盛土本体を形成するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしており、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設することで接着固定でき、網状シートを短くできるとともに、簡単に固定できるようになる。そして、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ねることで、植生土部材の設置等のために足場を設ける必要もない。また、必要な高さの盛土を、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設して接着固定しながら積み重ねることで簡単に構築できるようになる。
【0019】
ここで、植生土部材とは、土、植物の種子、肥料などを混合して土のうに入れた植生土のうや土、植物の種子、肥料などを混合したものを植生シートに包んだものをいい、土のうや植生シートで土などが固められた状態で保持でき、しかも発芽した植物が土のうや植生シートの外側で育つようになるものであればよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の軽量盛土構造の施工法の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2は、この発明の軽量盛土構造の施工法の一実施の形態にかかり、図1は軽量盛土構造全体の横断面図、図2は作業工程の説明図である。
【0021】
この施工法が適用される軽量盛土構造20は、道路などの拡幅すべき幅に応じた間隔を地山21との間にあけて法枠22が配置され、植生土部材としての植生土のう23等を法面に保持するようになっている。
【0022】
この法枠22は、図2(a)中に拡大して示すように、法面に位置する法面部22aと植生土のう23などが載せられる底部22bとを備え、略L状に形成されており、これら法面部22aおよび底部22bは鉄等の金属棒を格子状に配置して枠状とされ、例えば法面部22aと底部22bを連続する棒材でL字状に形成し、これらを間隔をあけて配置して水平の棒材で連結することで一体に形成されている。
【0023】
この法枠22の大きさは、例えば法面部22aの高さが500mm、底部22bの長さが400mm、幅が2000mmとされ、道路などの長さ方向には横方向に並べて連結することで対応し、盛土の高さ方向には複数段重ねることで対応することができる。
【0024】
このような法枠22を固定し、法面部22aの内側に植生土のう23等を積み重ねて保持できるようにするため、法枠22の底部22bの端部に網状シート24が連結される。
【0025】
この網状シート24としては、合成樹脂等を用いて網状に成形したシート材が用いられ、例えばポリオレフィンを1軸または2軸高延伸して高張力、低伸度の網目状としたジオグリッドと言われるものを使用することで、環境に優しく耐薬品性に優れ、現場発泡の硬質ウレタンフォームとの接着性にも優れる。
【0026】
そして、この網状シート24は法枠22の底部22bの端部に網目に通す連結部材25を用いて連結して、地山21方向へ向けて略水平に敷設し、その敷設長さは1000mm程度とされ、これまでのポリスチレン発泡体を盛土材として用いる場合に埋戻土部分まで敷設してアンカーで固定する場合に比べ大幅に短くなっている。
【0027】
このような網状シート24は盛土本体26を構成する現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設することで固定され、特にアンカーで固定する必要はない。
【0028】
この現場発泡の硬質ウレタンフォームは法枠22の法面部22aの背後に植生土のう23を積み重ねるための空間をあけた背後、あるいは法枠22の底面22b上に植生土のう23を積み重ねた背後と地山21との間に盛土本体26として充填するものであり、1回に30〜150mm程度の仕上り発泡厚さで層状に発泡成形し、これを数回繰り返して法枠22の法面部22aの高さ程度まで発泡成形する。
【0029】
なお、植生土のう23及び法枠22が、作業中に崩落しないように、法枠22に連結した網状シート24を硬質ウレタンフォームで固定した後、植生土のう23を積み重ねることが好ましい。
【0030】
このような現場発泡の硬質ウレタンフォームで構成される盛土本体26は、例えばその密度が30〜50kg/m 3 のものが使用されることから、従来のポリスチレン発泡体を用いる場合と同様に土などに比べて大幅な軽量化を図ることができる。
【0031】
また、硬質ウレタンフォームは強力な接着性があることから、発泡済みのウレタンフォーム自体、他の合成樹脂材や鉄材、セメントやコンクリートなどへの接着性に優れ、網状シート24上に硬質ウレタンフォームを形成することで、硬質ウレタンフォームが網目を貫通して下層に位置する硬質ウレタンフォーム自体と強固に一体化し、その結果、網状シート24が硬質ウレタンフォームに埋設固定される。
【0032】
これにより、法枠22を強固に固定することができ、底部22bに植生土のう23を積み重ねた状態で崩落することなくその荷重を保持することができる。
【0033】
このような盛土本体26として用いられる現場発泡の硬質ウレタンフォームとしては、硬質ポリウレタンフォームが用いられ、ポリオール成分に、ポリオール、触媒、減粘剤、難燃剤、発泡剤等が配合され、これとポリイソシアネート成分が混合されて発泡・硬化され、その密度を30〜50kg/m 3 、JIS−K7220に準拠した1%圧縮時の圧縮強度を約5 N/cm2 以上とすることが好ましい。
【0034】
また、ポリオールはエステル型とエーテル型があるが、耐久性、特に耐加水分解性の点からポリエーテルポリオールが好適に用いられる。ポリイソシアネート成分としては特に制限されないが、一般にはクルードMDI等の有機ジイソシアネートが用いられる。発泡剤としては、特に制限されないが、水を100%使用し、フロンを併用しない方が環境対策上好ましい。
【0035】
つぎに、法面を緑化するための植生土部材としては、植生土のう23が用いられ、土、植物の種子、肥料などが混合して詰められた土のうとされたり、土のうに代えて植生シートで土、植物の種子、肥料などを混合したものを覆って土のう程度につき固めたものであっても良く、土のうの場合には、予め作ってあるものを積み重ねるが、植生シートの場合には、植生シートを法枠22の内側に配置し、土、植物の種子、肥料などを混合したもの入れて覆った後、土のう程度につき固めるようにする。
【0036】
以上のように、盛土の法面上に、植生土のう23、あるいは植生シートで覆った植物の種子を混合した土砂などを格納し得る機能を持つ法枠22を配置し、この法枠22の底部22bに脱落防止のための網状シート24を連結部材25で連結して地山21側に向けて略水平に敷設し、この網状シート24が硬質ポリウレタンフォームで構成される盛土本体26中に埋設されて固定され、法枠22に植生土のう23、あるいは植生シートで覆った植物の種子を混合した土等を格納して軽量盛土構造20が構成される。
【0037】
そして、このような法枠22を必要な高さだけ複数段積み重ねるようにすることで軽量盛土が完成する。
【0038】
なお、このような軽量盛土構造20による法面勾配としては、1:0(90度)から1:1(45度)まで対応できるが、1:0.2から1:0.5程度の範囲とするのが用地確保の点で好ましい。
【0039】
このような軽量盛土構造20によれば、網状シート24が短くても、接着性により一体となる硬質ウレタンフォームの盛土本体26で確実に埋設固定することができ、埋設固定された網状シート24によって法枠22を崩落しないように固定することができるので、網状シート24の使用量を削減できるとともに、固定のため埋戻土を転圧する必要もなく施工も容易となる。
【0040】
また、硬質ウレタンフォームを現場発泡して盛土本体26とするので、予め成形したポリスチレン発泡体のブロックを用いる場合に比べ、ブロック同士の連結作業や寸法合わせのための現場でのブロックの加工作業の必要がなく、一層施工が容易となるとともに、大量のブロックを保管するためのスペースを確保する必要もなく、特に山間地などに好適である。
【0041】
次に、このような軽量盛土構造20の具体的な施工法について説明すると、まず、図2(a)に示すように、道路などを拡幅すべき地山21の表面(傾斜面)とこれに続く盛土本体26の底部となる地面に排水層27を設ける。この排水層27としては、合成樹脂繊維をへちま状にした排水シートを一定間隔に敷設したり、不織布や孔のあいたホースと砂利などを敷設したり、これらを組み合わせて敷設して構成する。
【0042】
このような排水層27を敷設した後、盛土の法面となる位置に第1段目の法枠22を配置し、底部22bに連結部材25で網状シート24を連結する。
【0043】
そして、法枠22の内側に植生土のう23を格納するスペースをあけたり、あるいは法枠22の内側に植生土のう23を法面部22aの高さ分だけ積み上げておき、この背後と地山21の表面との間に、網状シート24を埋設固定した盛土本体26となる硬質ウレタンフォームを吹付方式等の現場発泡で充填する。
【0044】
この硬質ポリウレタンフォームの現場発泡は、1回の発泡厚さを30〜150mmとしてポリオール成分とポリシソシアネート成分とを混合した発泡成分を吹き付けて発泡させ、所定時間の間隔をあけて次の吹き付けを行うことを繰り返し、1日当り0.5〜1.5m程度の発泡層を形成する。
【0045】
そして、法枠22の高さ分の硬質ポリウレタンフォームの盛土本体26が発泡成形された後、植生土のう23を格納せずに盛土本体26を発泡成形した場合には、法枠22の背後に植生土のう23を積み重ねて格納する。
【0046】
こうして法枠22の1段分の軽量盛土が完成することから、同様にして必要な高さまで複数段の軽量盛土を構築する。
【0047】
このような軽量盛土構造20の施工法では、法枠22に連結した網状シート24を固定するために埋戻土やこれを転圧してアンカーを打ち込む必要もなく、簡単に施工することができるとともに、埋戻土を使用せずに盛土本体26が硬質ポリウレタンフォームで構成できるので、一層の軽量化を図ることができる。
【0048】
【実施例】
次に、この発明の軽量盛土構造の施工法の一実施例について説明するが、これに限定するものでない。
【0049】
幅4.4m、高さ6mで道路を拡幅し、盛土本体としてフロンを使用しない “ノンフロン”水発泡の環境に配慮した現場発泡の硬質ポリウレタンフォームを用い、法面勾配を1:0.5、法面を植生土のうで緑化する実験を行った。
【0050】
まず、地山の側面に、排水層として幅20cmの合成樹脂排水シート(商品名;ヘチマロン23BFS)を2m間隔で敷設した。
【0051】
この排水層の上に法枠として鋼製網状型枠を、網状シートとしてポリオレフィン製の網目シート(商品名;テンサー)を用い、鋼製網状型枠の底部の長さを約50cm、これに続く網目シートを1mとして山側方向に敷設して仮止めした。
そして、盛土本体となる硬質ポリウレタンフォームとして、ポリオール成分に、ポリオール、水、減粘剤、触媒、整泡剤等を用い、イソシアネート成分にクルードMDIを用い、2成分をウレタン発泡機(ガスマー社製H2000)を用いて吹き付けを行い、密度36kg/m 3 のフォームを発泡成形した。
【0052】
このウレタンフォームの現場発泡は、1回の発泡厚さを5cm、冷却時間を5分、吹付け間隔を10分、吹付け幅を2mとし、1日の盛土本体の発泡高さを1mとした。
【0053】
鋼製網状型枠の1段分の盛土本体が発泡成形された後、鋼製網状型枠の背後に植生土のうを4段積み重ねた。
【0054】
このようにして、鋼製網状型枠の高さが約50cmであるので、発泡高さ50cmごとに法枠としての鋼製網状型枠と、網状シートとしての網目シートを敷設しながら現場発泡による硬質ポリウレタンフォームの盛土本体を繰り返して発泡成形し、11段の鋼製網状型枠を法面に配置し、法面側に植生土のうが位置し、その背後に硬質ポリウレタンフォームの盛土本体が発泡充填された軽量盛土を構築した。
【0055】
こうして構築した軽量盛土の上部には、コンクリート床版を金網メッシュ入りで厚さ10cm施工し、砕石とアスファルトで厚さ50cmの仕上げ舗装を行って道路の拡幅を終了した。
【0056】
こうして拡幅された道路の法面は、崩落の心配もなく緑化に適したものとなった。
【0057】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明の請求項1記載の軽量盛土構造の施工法によれば、軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の法面部の内側に植生土部材を設置する空間をあけて前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて前記網状シートを埋設固定するとともに、硬質ウレタンフォームを吹き付けて前記法面部高さの盛土本体を形成した後、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたので、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設することで接着固定でき、網状シートを短くできるとともに、簡単に施工できる。そして、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納することで、植生土部材の設置等のために足場を設ける必要もない。また、必要な高さの盛土を、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設して接着固定しながら積み重ねることで簡単に構築することができる。
【0058】
また、この発明の請求項2記載の軽量盛土構造の施工法によれば、軽量盛土構造を施工するに際し、法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、当該植生土部材が積み重ねられた背後に前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて吹き付けて前記網状シートを埋設固定するとともに、前記法面部高さの盛土本体を形成するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたので、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設することで接着固定でき、網状シートを短くできるとともに、簡単に固定することができるようになる。そして、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ねることで、植生土部材の設置等のために足場を設ける必要もない。また、必要な高さの盛土を、法枠の底部に連結した網状シートを現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設して接着固定しながら積み重ねることで簡単に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の軽量盛土構造の施工法の一実施の形態にかかる軽量盛土構造全体の横断面図である。
【図2】 この発明の軽量盛土構造の施工法の一実施の形態にかかる作業工程の説明図である。
【図3】 従来のポリスチレン発泡体を用いる軽量盛土構造の横断面図である。
【図4】 従来の軽量盛土工法の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
20 軽量盛土構造
21 地山
22 法枠
22a 法面部
22b 底部
23 植生土のう(植生土部材)
24 網状シート
25 連結部材
26 盛土本体(硬質ウレタンフォーム)
27 排水層
Claims (2)
- 法面部および底部を備え盛土の法面に設置される法枠と、この法枠の内側に設置される法面緑化用の植生土部材と、この植生土部材の内側と地山面との間に充填される現場発泡の硬質ウレタンフォームで構成される盛土本体と、前記法枠の底部に連結され前記盛土本体を構成する現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設固定される網状シートとからなる軽量盛土構造を施工するに際し、
法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の法面部の内側に植生土部材を設置する空間をあけて前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて前記網状シートを埋設固定するとともに、硬質ウレタンフォームを吹き付けて前記法面部高さの盛土本体を形成した後、前記法枠の法面部と当該硬質ポリウレタンフォームの盛土本体との空間の前記底部上に前記植生土部材を格納するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたことを特徴とする軽量盛土構造の施工法。 - 法面部および底部を備え盛土の法面に設置される法枠と、この法枠の内側に設置される法面緑化用の植生土部材と、この植生土部材の内側と地山面との間に充填される現場発泡の硬質ウレタンフォームで構成される盛土本体と、前記法枠の底部に連結され前記盛土本体を構成する現場発泡の硬質ウレタンフォームに埋設固定される網状シートとからなる軽量盛土構造を施工するに際し、
法面部および底部を備えた法枠を盛土の法面に設置するとともに、この法枠の底部に網状シートを連結した後、前記法枠の前記法面部の内側の前記底部上に前記植生土部材を積み重ね、次いで、当該植生土部材が積み重ねられた背後に前記盛土本体となる硬質ウレタンフォームを現場発泡させて吹き付けて前記網状シートを埋設固定するとともに、前記法面部高さの盛土本体を形成するようにし、これら工程を繰り返して前記法枠を複数段重ねた軽量盛土を構築するようにしたことを特徴とする軽量盛土構造の施工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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