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JP4680205B2 - 順次両心室ぺーシング・パラメータの調整 - Google Patents

順次両心室ぺーシング・パラメータの調整 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2003年1月28日に出願の米国特許出願第10/352,780号の一部継続出願である2003年12月19日に出願の米国特許出願第10/742,630号の継続出願であり、その優先権を主張するものである。それぞれの開示を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、心臓機能障害を治療するためのペースメーカや他の埋込型デバイスなど、心リズム管理デバイスに関する。
心リズム管理デバイスは、選択した心腔に電気刺激を与えて心リズム障害を治療する埋込型デバイスである。たとえば、ペースメーカは心臓をぺーシング・パルスでタイミングよくぺーシングさせる心リズム管理デバイスである。ペースメーカは、最も一般的には、心室レートが非常に低い徐脈の治療に使用される。永久的または間欠性の房室伝導欠損(すなわちAVブロック)や洞機能不全症候群は、永久的ぺーシングが必要とされる徐脈の最も一般的な原因とされている。ペースメーカは、適正に機能すれば、最低心拍数を強制し、および/またはAV伝導を人工的に回復させることによって、代謝要求を満たすために、心臓が適正なリズムでぺーシングできないことを補う。
ぺーシング療法を心不全の治療に使用することもできる。心不全とは、心機能の異常によって正常な心臓出量が周辺組織の代謝要求を十分に満たすレベルよりも低下する臨床症候群を指す。それが補償されないと、付随して起こる静脈や肺のうっ血により、うっ血心不全を発症することが多い。心不全は様々な原因で起こるが、虚血性心疾患が最も多い。心不全の患者の一部は、心室内および/または心室間の伝導欠損(たとえば脚ブロック)があり、心室収縮の同期化を電気刺激で改善することによって患者の心送出量を増加させることができることが分かっている。こうした問題に対処するため、心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:CRT)と呼ばれる、1つまたは複数の心腔に適正なタイミングで電気刺激を与えて心房および/または心室の収縮の協調性の改善を試みる埋込型心臓デバイスが開発されている。心室再同期化は直接変力を加えるものではないが、再同期化によって心室のより協調的な収縮がもたらされ、ポンピング効率が上がり、心臓出量が増加するため、心不全の治療に有用である。現在、最も一般的な形のCRTでは、刺激パルスが両心室に同時に、または特定の両心室のオフセット間隔で別々に、かつ固有の心房収縮の検出に関して特定の房室遅延間隔の後に与えられる。心機能の最適な改善を行うには、こうしたぺーシング・パラメータの適切な仕様が必要であり、本発明は主にこの問題に関するものである。
本発明は、心臓再同期療法を施すためのぺーシング・パラメータを最適に決定するシステムおよび方法に関する。このシステムは、埋込型心リズム管理デバイスとこのデバイスと通信する外部プログラマとを含か、または埋込型デバイスだけを含む。本発明によれば、システムは固有の拍動中に生成される電位信号から1つまたは複数の固有の伝導パラメータを測定する。次いで、一組の特定の係数で規定されたように、最適な早期興奮タイミング・パラメータを測定した固有の伝導パラメータに関連付ける式に従って、最適な早期興奮タイミング・パラメータを決定することができる。特定の係数は、心機能を表す他のパラメータの同時測定によって、測定した固有の伝導パラメータの特定値を早期興奮タイミング・パラメータの最適値に関連付ける臨床母集団データの線形回帰分析から事前に導出することができる。こうして最適に決定することができる早期興奮タイミング・パラメータは、右心室と左心室のペース間隔をあける両心室のオフセット間隔、および心房トラッキングまたはAV順次ぺーシングで使用される房室遅延間隔である。
心臓再同期療法を最も効果的な方法で適用するには、幾つかのぺーシング・パラメータの最適な選択が必要である。以下に記載するのは、再同期ぺーシングを左心室(LV)および/または右心室(RV)に送って、心室伝導遅延を補償し、心室収縮の同調性を改善するように構成可能な心リズム管理デバイスである。本発明によれば、こうしたパラメータの一部を、埋め込まれたデバイスの感知チャネルを使用して心臓内伝導時間の測定値に基づいて設定または調整することができる。こうしたぺーシング・パラメータを設定するためのアルゴリズムを、外部プログラマのプログラミング、または埋込型デバイス自体のプログラミング、あるいは印刷したルックアップ・テーブルの手順に従って実装することができる。前者の実施形態では、外部プログラマはテレメトリ・リンクを介して埋込型デバイスと通信し、生電位データ、特定の感知されたイベントに対応するマーカ、または埋込型デバイスによって計算される特定の感知されたイベント間の間隔の測定値を受信する。次いで外部プログラマは、ぺーシング・パラメータの最適な設定を計算し、それが即時プログラミングのために埋込型デバイスに送信され、または外部プログラマを操作する臨床医に推奨として示される。他の実施形態では、埋込型デバイスは、デバイスの感知チャネルから収集される情報に従って幾つかのぺーシング・パラメータを自動的に設定するようにプログラムされる。こうした実施形態のどちらかで設定することができるぺーシング・パラメータの中には、ぺーシングされる心腔、房室遅延間隔、両心室オフセット間隔の選択、および代替のLVぺーシング部位の選択がある。
1.例示のデバイスの説明
埋込型ペースメーカによる従来の心臓ぺーシングは、ぺーシング・パルスを心筋と電気的に接触している電極に送ることによって心臓に興奮性電気刺激を与えるものである。ペースメーカは、通常、患者の胸部の皮下に埋め込まれ、上部静脈系の血管を縫うように通って心臓に入るリードによって電極に接続される。電極を、電極部位で心臓電気活動を表す電位信号を生成する感知チャネルに組み込み、および/またはその部位にぺーシング・パルスを送るためのぺーシング・チャネルに組み込むことができる。
図1に、複数の感知チャネルとぺーシング・チャネルを有する埋込型マルチサイト・ペースメーカのブロック図が示されている。(本明細書で使用されるように、用語「ペースメーカ」は、ぺーシング機能を有する埋込型電気除細動器/除細動器など任意の心リズム管理デバイスを指すものと考えられたい。)ペースメーカのコントローラは、双方向データ・バスを介してメモリ12と通信するマイクロプロセッサ10を備え、メモリ12は、通常、プログラム記憶用のROM(読取り専用メモリ)とデータ記憶用のRAM(ランダムアクセス・メモリ)を含む。コントローラは、状態機械タイプの設計を用いた他のタイプの論理回路(たとえば個別の構成要素あるいはプログラム可能な論理アレイ)によって実装することもできるが、マイクロプロセッサベースのシステムが好ましい。本明細書では、コントローラのプログラムは、特定機能を実行するように構成された個別論理回路、またはマイクロプロセッサによって実行されるコードを指すと考えるべきである。コントローラは、幾つかのプログラムされたモードでペースメーカを動作させることができ、プログラムされたモードは、感知されたイベントと時間間隔の終了に応答してどのようにぺーシング・パルスが出力されるかを決める。テレメトリ・インターフェース80は、外部プログラマ300と通信するために設けられている。外部プログラマは、関連する表示装置や入力手段を備えたコンピュータ・デバイスであり、ペースメーカに問い合わせ、記憶されたデータを受信する他に、ペースメーカの動作パラメータを直接調整することができる。以下に記載するように、ぺーシング・パラメータを設定するシステムの幾つかの実施形態では、外部プログラマを使用して、埋込型デバイスからテレメトリ・リンクを介して受信したデータから最適なぺーシング・パラメータを計算し、次いでそのパラメータを自動的に設定し、または推奨の形で臨床医に示すことができる。
図1で示した実施形態は、3つの感知/ぺーシング・チャネルを有する。ぺーシング・チャネルは電極に接続されたパルス発生装置からなり、感知チャネルは電極に接続されたセンス増幅器からなる。マイクロプロセッサによって制御されるMOSスイッチング・ネットワーク70は、電極をセンス増幅器の入力からパルス発生装置の出力に切り替えるために使用される。スイッチング・ネットワーク70により、感知チャネルとぺーシング・チャネルが、使用可能な電極の様々な組合せを有するようにコントローラによって構成可能になる。チャネルを、デバイスが心房トラッキングを有するまたは有さない従来の心室単一部位ぺーシング、両心室ぺーシング、あるいは単一腔の複数部位ぺーシングを行うことができるようにする心房または心室チャネルとして構成することができる。例示の一構成では、右心房感知/ぺーシング・チャネルは、双極リード43cのリング電極43aと先端電極43b、センス増幅器41、パルス発生装置42、チャネル・インターフェース40を備える。右心室感知/ぺーシング・チャネルは、双極リード23cのリング電極23aと先端電極23b、センス増幅器21、パルス発生装置22、チャネル・インターフェース20を備え、左心室感知/ぺーシング・チャネルは、双極リード33cのリング電極33aと先端電極33b、センス増幅器31、パルス発生装置32、チャネル・インターフェース30を備える。チャネル・インターフェースは、マイクロプロセッサ10のポートと双方向に通信し、センス増幅器からの感知信号入力をディジタル化するためのアナログ・ディジタル変換機、センス増幅器の利得と閾値を調整するための書込み可能なレジスタ、ぺーシング・パルスの出力を制御しおよび/またはぺーシング・パルス振幅を変更するためのレジスタを備える。この実施形態では、デバイスには、ぺーシング・パルスの出力および/または固有の活動の感知に使用される2つの電極を含む双極リードが装備されている。他の実施形態では、感知とぺーシングのための単一電極を有する単極リードを使用することができる。スイッチング・ネットワーク70は、デバイス・ハウジングまたは缶60に対して単極または双極リードの電極を基準とすることによって、チャネルを単極の感知またはぺーシング用に構成することができる。
コントローラ10は、メモリに記憶されたプログラムされた命令に従ってデバイスの動作全体を制御する。コントローラ10は、感知チャネルからの電位信号を解釈し、ぺーシング・モードに従ってペースの送出を制御する。ペースメーカの感知回路は、特定チャネルの電極によって感知された電圧から心房と心室の電位信号を生成する。電位図は体表面EKGに類似しており、固有のまたはぺーシングされた拍動中に生じる心臓脱分極と再分極の時間経過と振幅を示す。心房または心室感知チャネルの電位信号が特定の閾値を超えた場合に、コントローラはそれぞれ心房または心室のセンスを検出し、ぺーシング・アルゴリズムは開始または抑制ぺーシングを使用することができる。
2.心臓再同期ぺーシング療法
心臓再同期療法は、徐脈ぺーシング・モードで最も都合よく施される。徐脈ぺーシング・モードは、一定の最低心拍数を保持する方法で心房および/または心室をぺーシングするのに使用されるぺーシング・アルゴリズムを指す。非同期ぺーシングで不整脈が誘発される危険性があるため、徐脈を治療するための大抵のペースメーカは、いわゆる要求モードで同期して動作するようにプログラムされ、規定の間隔内で生じる感知された心臓イベントによってぺーシング・パルスが開始または抑制される。抑制された要求ぺーシング・モードでは、感知された固有の活動に従ってぺーシングを制御するための補充収縮間隔が使用される。抑制要求モードでは、腔による固有の拍動が検出されない規定の補充収縮間隔が終了した後にだけ、ぺーシング・パルスが心周期中に心腔に送られる。たとえば、心室をぺーシングするための心室補充収縮間隔は、心周期(CC)間隔と呼ばれ、その逆は下限レートまたはLRLであるが、心室イベントの間に決めることができる。CC間隔は、各心室センスまたはペースと共に再始動される。心房トラッキングとAV順次ぺーシング・モードでは、別の心室補充収縮間隔が、房室ぺーシング遅延間隔またはAVDと呼ばれる心房と心室のイベントの間に決められ、前に心室センスが発生しない場合は、房室ぺーシング遅延の心室ぺーシング・パルス遅延期間が終了したときに心室ぺーシング・パルスが送られる。心房トラッキング・モードでは、房室ぺーシング遅延間隔が心房センスによって開始され、心室センスまたはペースによって停止される。心房補充収縮間隔は、心房だけをぺーシングし、または心室ぺーシングに追加するように決めることもできる。AV順次ぺーシング・モードでは、房室遅延間隔が心房ペースによって開始され、心室センスまたはペースによって停止される。通常、心房トラッキングとAV順次ぺーシングは組み合わされて、AVDが心房ペースまたはセンスと共に開始するようになされる。
上記のように、心臓再同期療法は、伝導遅延を補償する方法で1つまたは複数の心腔に与えられるぺーシング刺激である。心室再同期ぺーシングは、直接変力を加えるものではないが、再同期化により心室のより協調的な収縮をもたらされ、ポンピング効率が上がり、心臓出量が増加するため、心室間または心室内伝導欠損の患者の心不全の治療に有用である。患者によっては、左心室伝導欠損の患者の右心室の代わりに左心室など単一の異常な部位をぺーシングすることによって、心室再同期化を行うことができる。再同期ぺーシングは、右左の心室に同時または順次に送られるペースでの両心室ぺーシングを含むこともでき、ペースの間隔は両心室オフセット(BVO)間隔と呼ばれる(ときにLVオフセット(LVO)間隔またはVV遅延とも呼ばれる)。オフセット間隔は、両心室を同時にぺーシングするためのゼロでもよく、または左と右の心室を順次にぺーシングするためのゼロ以外でもよい。一実施形態では、オフセット間隔は、正の値が右の後に左へのぺーシングを示し、負の値が右の前に左へのぺーシングを示す符号が付けられる。他の実施形態では、オフセット間隔は、最初にぺーシングされる心室に対する房室ぺーシング遅延と2番目にぺーシングされる心室に対する房室ぺーシング遅延の差に符号が付けられない。
心臓再同期療法は通常、左心室伝導機能障害によって生じる、または誘発される左心室機能障害による心不全の患者の治療に適用される。こうした患者は、左心室または左心室の一部が心臓収縮中に正常時よりも遅く収縮するためにポンピング効果が損なわれる。こうした患者の心室収縮を再同期化するためにぺーシング療法が適用されて、左心室または左心室の一部が固有の収縮で脱分極化されるときよりも早期に興奮されるようにする。所与の患者の最適な早期興奮を両心室ぺーシングまたは左心室だけのぺーシングで得ることができる。
3.早期興奮タイミング・パラメータの最適な調整
患者のために特定の再同期ぺーシング・モードを選択した後、早期興奮を与える方法と程度を指定しなければならない。こうした早期興奮タイミング・パラメータには、たとえば房室ぺーシング遅延(AVD)や両心室オフセット間隔が含まれる。両心室オフセット間隔は、左心室が右心室のイベントに対して早期興奮される方法を決定する。固有の房室遅延に対して指定されるAVDの長さは、心周期のどれくらい早い時期にぺーシング刺激を最初に心室に送るか、したがって、患者に送られる早期興奮の程度を表す。こうしたパラメータを最適に指定するには、患者は、埋め込み後に臨床的な血行力学性の検査を受けなければならない。パラメータは心機能の評価に従って変わる。たとえば、最大左心室内圧変化(dP/dt)など心機能を表すパラメータの測定による決定に基づいて、最大心機能をもたらすパラメータの値を決定するために、早期興奮タイミング・パラメータを変えながら、患者に再同期化刺激が与えられる。
しかし、臨床的な血行力学性の検査によって、患者ごとに最適ぺーシング・パラメータを決定することは難しく、コストが高い。こうした最適ぺーシング・パラメータを、興奮が患者の心臓内で固有の拍動中に伝導される方法を表す固有の伝導パラメータの測定値から決定することができれば有利であろう。したがって、本発明の手法では、固有の伝導データが体表面EKGまたは埋込型心臓再同期装置の感知チャネルから収集され、次いで再同期ぺーシング・パラメータの最適値の計算に使用される。ぺーシング・パラメータの設定技法は、外部プログラマが固有の伝導データを臨床医に示し、次いで臨床医が埋込型デバイスを固有の伝導データから計算されたパラメータで(たとえば印刷したルックアップ・テーブルや手順を使用して)手動でプログラムするシステムとして実施することができる。この技法は、最適ぺーシング・パラメータを設定する自動システムとして実施することもできる。自動システムは、埋込型デバイスだけで、または無線テレメトリ・リンクを介して埋込型デバイスと通信する外部プログラマで構成することができる。システムは、埋込型デバイスのぺーシング・パラメータを計算された最適値に自動的に設定し、または最適値を推奨の形で臨床医に示すことができる。一実施形態では、1つまたは複数の固有の伝導パラメータを固有の拍動中に埋込型心臓再同期デバイスの感知チャネルによって生成される電位信号から測定することができ、測定した固有の伝導パラメータは、特定数の固有拍動中に得られた値の平均を表すことができる。次いで、自動システムまたは臨床医によるデバイスの手動プログラミングで、早期興奮タイミング・パラメータの最適値を特定の係数を掛け算した測定した固有伝導パラメータの線形和と均等化する式によって、AVDまたは両心室オフセット間隔など早期興奮タイミング・パラメータが計算される。
後でシステムにプログラミングするために、または臨床医が使用するために特定の係数を事前に導出するには、心機能を表す他のパラメータ(たとえば最大dP/dtまたは最低心房レート)の同時測定による決定に基づいて、測定した固有の伝導パラメータの特定の値を早期興奮タイミング・パラメータの最適値に関連付ける臨床母集団データを得る。次いで線形回帰分析を実行して、早期興奮タイミング・パラメータを設定するための式で使用する特定の係数の値を導出する。したがって、特定の係数は回帰係数である。
a.AVDの最適調整
AVD間隔によって再同期化で送られる早期興奮の程度が決定され、患者の早期興奮の最適値は患者の固有の房室間隔と患者の伝導病理の程度に依存する。後者は、体表面心電図のQRS幅によって表される固有の収縮中の心室脱分極時間に関連する。患者が再同期療法に反応する程度によって、患者を2つのグループに分類することができることが実験的に判明している。患者の測定QRS幅に基づいて患者がどちらのグループであるか識別できることも判明している。再同期ぺーシングで収縮機能の大幅な向上が見られた強反応者は、QRS幅が150ミリ秒より大きい患者であると確認することができる。再同期ぺーシングであまり向上が見られない弱反応者は、QRS幅が150ミリ秒以下の患者であると確認することができる。それぞれ2つのグループで、再同期ぺーシングの最適AVD間隔と患者の測定した房室間隔(AVI)の間に線形関係が存在することが判明している。したがって、一実施形態では、最適AVD間隔を以下の式で決定することができる。
AVD=a1AVI+a2 (QRS>150ミリ秒の場合)、または
AVD=b1AVI+b2 (QRS<150ミリ秒の場合)
ただし、係数a1、a2、bl、b2は代表的母集団データの線形回帰分析から得られる。固有のAV間隔とQRS幅は、それぞれ体表面EKGまたは心臓内電位図から決定することができる。
患者をQRS幅に基づいて2つのグループに分類するのに、必ずしも感度や特異性を限定する必要はない。しかし、さらに、再同期ぺーシングのための最適AVD間隔は、QRS幅(または脱分極時間を表す他のパラメータ)と測定した固有AV遅延間隔の両方の連続関数である式に基づくことができることが判明している。すなわち以下の通りである。
AVD=k1AVI+k3QRS+k4
上記の式をさらに絞り込むには、埋込型デバイスの右心室と左心室の感知チャネルから得られる別々に測定した左右の心室の固有AV遅延間隔を使用する。
AVD=k1AVR+k2AVL+k3QRS+k4
ただし、AVRは右心室固有のAV間隔であり、AVLは左心室固有のAV間隔である。
上記のように、最適AV遅延を計算するための固有伝導パラメータを、埋込型デバイスの感知チャネルによって生成される心臓内電位図から得ることができる。したがってシステムをプログラムして、電位信号から固有伝導パラメータを測定し、それを最適AVDを計算するための上記の線形回帰で得られる係数と共に式で使用するようにすることができる。システムをプログラムして、計算された最適AVD間隔に従ってプログラムされたAVD間隔を自動的に設定し、または外部プログラマの操作者に対して、プログラムされたAVD間隔を計算された最適AVD間隔に設定するように推奨するようにすることができる。測定した固有伝導パラメータは、単一測定値または複数の測定値の平均でもよい。
図2は、埋込型心臓デバイスまたは外部プログラマの適切にプログラムされたプロセッサによって実現することができる、最適AVDを決定するための上記の方法の例を示す図。この実施形態では、最適AVDは以下の式によって得られる。
AVD=k1AVR+k2AQ* L+k3AQ**+k4
ただし、AVRは心房センスと右心室センスの間隔として測定された右の固有の房室遅延、AQ* Lは電位図の心房センスと左心室脱分極の開始の間の間隔として測定された左の固有の房室遅延、Q**は電位図の左心室脱分極開始から左心室脱分極の終わりまでの間隔として測定された心室の脱分極時間である。脱分極の開始と終わりは、腔センスの検出で使用されたのと同様の閾値基準を使用する電位図から埋込型デバイスによって検出することができる。特定の係数はk1、k2、k3、k4であり、異なるセットの係数が、現在プログラムされているモードでぺーシングされている腔と左心室ぺーシング・リードの位置に応じて使用される。特定の1つまたは複数の腔をぺーシングするためのぺーシング・モードを使用し、左心室ぺーシング・リードの特定の位置を使用して測定した固有伝導パラメータに最適AVDを関連付ける臨床データの回帰分析によって、特定の係数の各セットを送ることができる。
やはり図2を参照すると、システムは、ステップA1とA2で、埋込型デバイスが右心室だけのぺーシング・モード(RVモード)、両心室ぺーシング・モード(BVモード)、または左心室だけのぺーシング・モード(LVモード)であるかを決定する。RVモードの場合、そのモードでのAVD間隔の最適設定のための特定の係数がステップA5eで得られる。BVモードの場合、システムはステップA3で左心室ぺーシング・リードが前方または側方の心室位置にあるかを判断する。側方の心室位置は左心室自由壁に相当する。左心室ぺーシング・リードが側方にある場合、この状態でのAVDの最適設定の特定の係数は、ステップA5aで得られるが、左心室ぺーシング・リードが前方にある場合、AVDの最適設定のための特定の係数はステップA5bで得られる。同様にステップA2で、デバイスがLVモードで動作していると判断された場合、左心室ぺーシング・リードの位置がステップA4で決定され、その結果、AVD設定のための特定の係数は、左心室ぺーシング・リードの位置がそれぞれ側方にあるか、または前方にあるかによってステップA5cまたはA5dで得られる。次にステップA7で計算されたAVD値が右の固有の房室遅延と比較される。計算されたAVD値が右の固有の房室遅延よりも大きい場合、AVDは右の固有の房室遅延に特定のマージン(この場合は30ms)を加えた値に設定される。ステップA9からA12で、計算されたAVDが特定の最大限界値と最小限界値(この場合はそれぞれ300msと50ms)と比較される。計算されたAVDが最大限界値を超える場合、AVDは最大限界値に設定される。計算されたAVDが最小限界値未満の場合、AVDは最小限界値に設定される。代替実施形態では、計算されたAVDが最小である右の固有の房室遅延の固定の割合(たとえば70%)または固定値(たとえば300ms)よりも大きい場合、AVDは2つの値(すなわち固有AV遅延の固定の割合または固定値)のうちの小さい方に設定され、または計算されたAVDが最小限界値未満の場合は最小限界値に設定される。
異なる固有の伝導パラメータを使用してAVDを計算するための代替式を使用することもできる。その例を以下に示す。
AVD=k1AVR+k2AVL+k3**+k4
AVD=k1AVR+k2**+k3
AVD=k1AVL+k2AVR+k3
AVD=k1AVR+k2QRS+k3
ただし、AVLは心房センスと左心室センスの間隔として測定された左の固有の房室遅延、QRSは体表面電位図から決定されたQRS複合波の幅である。所与の状況でどの式が最良の結果をもたらすかは、個々の患者と特定の埋込型デバイスの両方に依存する。表1から3は、上記で論じた様々な式のうちの3つを使用してAVD間隔を計算するための特定の係数の例示の値を示す。式ごとの係数は、最適AVDを式の固有伝導パラメータに関連付ける、特定臨床集団から得られるデータの線形回帰分析によって計算されたものである。表では、ぺーシング・モードに付けられた接尾部は、左心室ぺーシング部位、前方(Ant)または側方の自由壁(Fwl)を示す。
Figure 0004680205
最適AVD間隔は、場合によっては、心室の1つまたは複数のペースが心房センスの後に送られたか、または心房ペースの後に送られたか(すなわち、ペースが心房トラッキング・モードで送られたか、またはAV順次ぺーシング・モードで送られたか)によって異なる。したがって、2つのタイプのぺーシングについて最適AVD間隔を別々に計算し、それを埋込型デバイスが、AVDが心房センスまたは心房ぺーシングのどちらによって開始されたかによって使用することができることが望ましい。ゆえに、上記の任意の式で、心房ペースの後に使用する最適AVD遅延を心房ペースの後に測定した固有のAVの1つまたは複数の間隔で計算することができ、心房センスの後に使用する最適AVDを固有の心房拍動の後に測定した1つまたは複数の間隔で計算することができる。
b.両心室オフセット間隔の最適調整
上記のように、再同期ぺーシングによって1つまたは両方の心室にもたらされる心房拍動に対する早期興奮の程度はAVD間隔によって決定される。心室再同期ぺーシングの最適化の主な要素はAVD間隔の最適な選択であると考えられているが、(LVオフセット間隔とも呼ばれる)両心室オフセット(BVO)間隔の最適な選択で多くの患者に収縮機能のさらなる改善がみられる。すなわち、一部の患者はLVだけのぺーシング(すなわち、左心室だけが早期興奮され、右心室はAV結節を通る伝導によって固有に活動化される)、または任意に選択される両心室オフセットでの両心室ぺーシングで最適な改善がみられるが、他の患者は、収縮機能の最適な改善には最適化した両心室オフセットでの両心室オフセット・ぺーシングが必要である。この後者のグループの患者には、固有の右心室から左心室への伝導時間と最良の両心室オフセットの間に予測される関係があることが判明している。好ましくは、その関係は線形式で表される。
BVO=k1・ΔRL+k2
ただし、BVOは最適な両心室オフセット間隔、ΔRLは測定した固有の右から左への心室伝導時間、かつk1、k2は実験で得られた特定の係数である。この式を当てはめることによって、再同期ぺーシングで収縮機能の最良の改善を行うためにこうした患者に必要とされる最適な両心室オフセットが得られる。
ΔRLパラメータを埋込型デバイスの右心室と左心室の感知チャネルによって生成される電位信号から得ることができる。ΔRLパラメータは、埋込型デバイスが左右の心室センス間の時間間隔を測定することによって、外部プログラマが埋込型デバイスから送られる電位図またはセンス・マーカからのRVセンスとLVセンス間の時間間隔を計算することによって、または臨床医が外部プログラマによって生成される電位図表示のRVとLVのセンス・マーカ間の距離を測定することによって得ることができる。ΔRLパラメータの推定値を他の手段で測定することができ、線形方程式で様々な係数と共に使用して最適な両心室オフセットを予測することができる。ΔRLの特定の推定値には、埋込型デバイスから記録する体表面ECGまたはリードレスECG上で測定されるQRS間隔の継続期間、および電位図の左心室脱分極の開始から左心室脱分極の終わりまでの間隔として心臓内リードによる電位図から測定されるQ**間隔が含まれる。ΔRLパラメータは、単一の測定値または幾つかの拍動から得られる測定値の平均でもよい。代表的な患者集団では、以下の式で最適な両心室オフセット間隔が計算されることが判明している。
BVO=−0.333・ΔRL−20
ただし、特定の係数は回帰分析によって得られ、この法則では正のΔRL値がRVセンスを遅らせるLVセンスを表す。システムをプログラムして、計算された最適な両心室オフセット間隔に従ってプログラムされた両心室と間隔を自動的に設定し、または外部プログラマの操作者に対して、プログラムされた両心室オフセット間隔を計算された最適な両心室オフセット間隔に設定するように推奨することができる。
図7は、ステップF1からF12で、埋込型心臓デバイスまたは外部プログラマの適切にプログラムされたプロセッサによって実行することができる、最適な両心室オフセット間隔を決定するための上記の方法の例示の実装を示す図。この実施形態では、最適BVOは以下の式によって得られる。
BVO=k1・ΔRL+k2
ただし、ΔRLは心電図の右心室センスと左心室センスの間隔である。心室センスは、腔センスの検出で使用されたのと同様の閾値基準を使用する電位図から埋込型デバイスによって検出することができる。異なる心室間の伝導遅延パラメータを使用するBVOを計算するための代替式を使用することもできる。その例を以下に示す。
BVO=k1・QRS+k2
BVO=k1・Q**+k2
ただし、QRSは体表面心電図からの決定に基づくQRS複合波の幅であり、Q**は電位図の左心室脱分極の開始から左心室脱分極の終わりまでの間隔として測定される心室の脱分極時間である。特定の係数はk1、k2であるが、様々なセットの係数がΔRL値の符号と大きさに応じて使用される。たとえば図7で示したように、ΔRLが閾値T1よりも大きい場合、一組の最初のLV係数が使用されるが、ΔRLが閾値T2よりも小さい場合は一組の最初のRV係数が使用される。ΔRLがT1よりも大きい場合、右から左への心室伝導遅延があり、それをLVを最初にぺーシングしてから次にRVをぺーシングすることによって補正することができる。したがって、最初のLVの係数はLVをRVの前にぺーシングするBVOを提供する。ΔRLがT2よりも小さい場合、左から右への心室伝導遅延があり、それをRVを最初にぺーシングしてからLVを次にぺーシングすることによって補正することができる。したがって、最初のRV係数はRVをLVの前にぺーシングするBVOを提供する。母集団データに基づく例の最初のLV係数はk1=−0.333かつk2=−20である。母集団データに基づく例の最初のRV係数はk1=0かつk2=0である。左心室と右心室の感知リードの様々な位置に基づいて様々な係数セットを選択することもできる。たとえば、2つの最初のLV係数セットがある。すなわち、1つは、左心室リードがLV隔壁付近に配置された場合に使用すべきものであり、他方は、左心室リードがLV側壁付近に配置された場合に使用すべきものである。やはり、ΔRLが心房感知時に測定されるか、心房ぺーシング時に測定されるかによって、異なる係数セットを選択することもできる。ΔRLがT1とT2の間にある場合は、心室間伝導遅延が順次両心室ぺーシングで補正されるには小さすぎるため、BVOは同時の両心室ぺーシングのためのゼロに設定される。たとえば、母集団データに基づく閾値は、T1=20msかつT2=−20msである。
やはり図7を参照すると、最適BVOが計算された後、システムは、心室再同期化を行う際にぺーシングすべき腔を選択する。システムは、BVOが閾値T3よりも小さいかどうか、またはAVDとBVOの差がオフセットS1だけ小さい右の固有の房室遅延(AVR)よりも大きいかどうかを判断し、どちらの場合もぺーシングにLV腔だけを選択する。閾値の一例は、T3=−80msである。BVOがこの値よりも小さい場合、LVペースがぺーシングされる前に最初のLVペースからの伝導は右心室に広がる可能性が高い。あるいは、固有の伝導が右心室に広がった後に、RVペースが生じることもある。これは、RVペースがAVRからオフセットS1後に生じるときに表され、その場合S1はたとえば0〜30msである。どちらの場合も順次両心室ぺーシングの効果はLVだけのぺーシングに等しい。同様に、システムはその逆も真であるかどうか、すなわち、BVOが閾値T4よりも大きいか、またはAVDとBVOの和が左の固有の房室遅延(AVL)よりも大きいかどうかを判断する。どちらの場合もぺーシングにRV腔だけを選択する。閾値の一例は、T4=80msである。これらの例外がどれも生じない場合、システムは、計算した両心室オフセット間隔でのぺーシングに両心室腔を選択する。
3.早期興奮タイミング・パラメータを決定するための例示のシステム
したがって、埋込型デバイスと外部プログラマ(または埋込型デバイスだけ)からなるシステムを、AVD間隔と両心室オフセット間隔のための最適値を決定するようにプログラムすることができる。例示の実施形態の以下の記載では、システムは、患者のΔRL伝導遅延の測定から最適な両心室オフセット間隔を決定する。計算された両心室オフセットと共に使用される最適AVD間隔は、臨床的に、またはシステムによって伝導遅延だけ、あるいは上記のようにQRS幅の測定値と組み合わせて使用する式から決定される。再同期療法で改善することができる収縮機能障害を持つ大抵の患者は、左心室の固有の活動の遅延が生じる伝導障害(たとえば左脚ブロック)がある。こうした患者は、左心室を早期興奮させる再同期療法で収縮機能が改善される。上記の最適AVD間隔を計算する式から、心房センスまたはペースと左心室ペースの間の時間を表すAVD間隔が得られる。しかし埋込型デバイスは、右心室タイミングに基づくぺーシング・モードに従って心室ペースを送ることができる。その場合、デバイスで使用されるAVD間隔は、心房センスまたはペースによって開始され、右心室センスによって停止され、終了時に右心室ペースをもたらす補充収縮間隔である。この2つのタイプのAVD間隔を調和させるには、計算した最適な両心室オフセットを計算した最適AVD間隔から差し引いてAVD間隔を得、それを埋込型デバイスで右心室タイミングに基づくぺーシング・モードで使用することができる。たとえば、計算した最適な両心室オフセットが−20ms(すなわち、LVペースがRVペースよりも20msだけ早い)であり、左心室の早期興奮用の計算した最適なAVD間隔が100ms(すなわち、心房センスまたはペースと左心室ペースの間の時間が最適に100msである)の場合、RVベースのタイミングを使用する埋込型デバイスによって使用される実際のAVD遅延は100−(−20)=120msであり、これは心房センスまたはペースと右心室ペースの間の時間である。
最適な早期興奮パラメータを選択するためのこの例示の実施形態で、システムによって実行されるステップは以下の通りである。最初に、固有のΔRLパラメータが、埋込型デバイスまたは外部プログラマによって自動的に、または電位図表示上で固有の伝導中に埋込型デバイスのRVセンスからLVセンス・イベント・マーカまでの間隔を手動で測定することによって決定される。固有ΔRL間隔を測定するには、埋込型デバイスがODOモードなど診断モードを一時的に感知するように設定される。システムに外部プログラマが含まれる場合、実時間の心房および心室マーカを外部プログラマに送信することもできる。デバイスが一時的に感知モードに移行した後、埋込型デバイスまたは外部プログラマの操作者は、固有のΔRL間隔を測定する前に少なくとも10心周期待たなければならず、通常の測定は固有のΔRLが安定しているときに行わなければならない。幾つかのサイクルからのΔRL値を平均することは有用である。測定を行う場合、以下のイベントを回避すべきである。それは、心室ぺーシング、プログラムされた最大トラッキング・レートを上回る固有の心房レート、心室期外収縮、異常な心房または心室感知である。任意の固有の伝導パラメータの測定時にも同じことが当てはまる。次いで、固有のΔRL測定値を使用して、上記の式から最適な両心室オフセットを計算し、または同等の表から最適な両心室オフセットを探索する。最適な両心室オフセットが決定された後、最適なAVD間隔が計算され、または他の方法で得られる。システムは、固有のAVD伝導遅延と心室の脱分極時間を測定して、上記の式から最適AVD間隔を計算することができる。最適AVD間隔の決定後、両心室オフセットを最適AVD間隔から差し引いて、RVベースのぺーシングで使用されるプログラムされたAVD間隔を得ることができる。
場合によっては、システムは、両心室オフセット間隔を最初に計算した最適値から変更することができる。たとえば、右心室センスに基づく頻拍性不整脈の検出は、左心室ペースによって開始される右心室感知チャネルの腔間感知不応期間のために、左心室の負のオフセット・ぺーシングによる影響を受ける。(参照により本明細書に組み込む、2001年10月25日に出願の米国特許出願第10/037,444号を参照。)すなわち、心臓を徐脈再同期ぺーシング・モードでぺーシングする間も、大抵の心リズム管理デバイスはなお頻拍性不整脈の発症に関して固有の心臓活動を監視する。デバイスは、順次の心室脱分極間の時間間隔を測定し、測定した間隔を特定の限界値と比較して、心室性頻拍性不整脈を検出する。この限界値は、頻拍性不整脈レート閾値間隔(TRTI)と呼ばれ、頻拍性不整脈レート閾値(TRT)と呼ばれる頻拍性不整脈とみなすべき最低固有レートに相当する。頻拍性不整脈の検出に有効な下限は、最大頻拍性不整脈レート閾値間隔MTRTIに相当し、それは、ぺーシング間隔PIと負の両心室オフセット間隔BVOで以下のように表される。
MTRTI=PI−BVO
したがって、ぺーシング間隔を縮小し、および/または両心室オフセットを増加することによって、頻拍性不整脈として検出することができる最低心室レートを上げることができる。したがってシステムをプログラムして、最大ぺーシング・レート(たとえば心房トラッキング・ぺーシング・モードの場合は最大トラッキング・レート、またはレート適応ぺーシング・モードの場合は最大センサ提示レート)と計算された最適な両心室オフセット間隔を比較して、頻拍性不整脈検出が不当に損なわれていないかどうかを判断することができる。次いで、システムは、両心室オフセット間隔を自動的に縮小し、または臨床医にそうするように忠告するメッセージを表示することができる。たとえば、システムは、特定の最大トラッキング・レートが与えられると、計算された両心室オフセット間隔を自動的に縮小して、頻拍性不整脈として検出可能な最低心室レートをプログラムされたTRTパラメータよりも5bpm小さくする(または外部プログラマを介して臨床医にそうするように忠告する)。
システムは、比較的重要なAVD間隔を決定した後に最適な両心室オフセット間隔を実質的に変更するための論理を組み込むこともできる。たとえば、システムは、ゼロ両心室オフセットが患者により適していると判断することができる。ゼロ両心室オフセットがより適している場合、システムは、両心室オフセットをゼロに再プログラムすることを推奨し、または自動的にそうすることができる。以下のいずれかの環境で、そうなるようにプログラムすることができる。1)(直接的血行力学性の検査または他の有効性の立証の結果、正の両心室オフセットがプログラムされた場合のみ)正の両心室オフセットがプログラムされた、2)システムが、QRS<150msecまたはQRS<160msecで示されるように、患者がCRTに対する弱反応者または無反応者の可能性が高いと判断し、LVリードが前心臓静脈内にあり、低い基準の非同期を指示し、それには、より長いAV遅延で送って融合するように再同期化の程度を下げる必要がある。または3)RV活動がLV活動と比べて遅らされ(すなわち固有ΔRLが負である)、通常は患者が弱反応者であることを指す右脚ブロックのパターンが示唆される。
4.順次両心室ぺーシングのための左右の房室遅延の最適調整
心臓再同期療法のための早期興奮タイミング・パターンを決定するシステムの他の実施形態では、2つのAVD間隔の選択によって両心室オフセット間隔が決定される。すなわち、1)最初にぺーシングされる心室に対する房室遅延であるAVD1ST、および2)2番目にぺーシングされる心室に対する房室遅延であるAVD2NDである。AVD2NDとAVD1STの差は両心室オフセット間隔であり、それは常に正の値である。左右どちらの心室を先にぺーシングしてもよい。最適AVD間隔は臨床的に決定され、または上記のようにシステムによって式から決定される。式では伝導遅延だけが使用され、あるいは上記のようにQRS幅の測定値と組み合わせて使用される。一例では、AV間隔が心房センスによって開始される場合、最適AVD間隔は心房トラッキング用に決定される。他の例では、AV間隔が心房ペースによって開始される場合、最適AVD間隔はAV順次ぺーシング用に決定される。この実施形態では、4つの最適AV遅延間隔がシステムによって決定され、外部プログラマによって個々に埋込型デバイスにプログラムされる。それらは、1)右の感知されたAVD、2)左の感知されたAVD、3)右のぺーシングされたAVD、4)左のぺーシングされたAVDである。左心室が最初にぺーシングされた場合、左の感知かつぺーシングされたAVD間隔が最適な感知かつぺーシングされたAVD1ST間隔に設定され、右の感知かつぺーシングされたAVD間隔が最適な感知かつぺーシングされたAVD2ND間隔に設定される。右心室が最初にぺーシングされる場合は、逆の割り当てがなされる。
図8は、ステップG1からG11で、埋込型心臓デバイスまたは外部プログラマの適切にプログラムされたプロセッサによって実行することができる、最適AVD1STとAVD2NDを決定する例示の方法を示す。この実施形態では、最適AVD間隔は以下の式によって得られる。
AVD1ST=kl・AV1ST+k2・AV2ND+k3
AVD2ND=k4・AV1ST+k5・AV2ND+k6
ただし、AV1STは電位図の(感知またはぺーシングされた)心房イベントと右または左の心室センスの間の固有の間隔であり、そのどちらが先でもよく、AV2NDは電位図の心房イベントといずれかの2番目の心室センスの間の固有の間隔である。AVD間隔を計算するための代替式を上記の項(AVDの最適な調整)で示したように使用することもできる。図8の実施形態では、AVD間隔の式のための係数のセット(K1、K2、K3)および(K4、K5、K6)は、右から左への心室伝導遅延であるΔRL値の符号と大きさに基づく。たとえば図8で示したように、ΔRLが閾値T1よりも大きい場合、左心室が最初にぺーシングされるように選択され、一組の最初のLV係数が使用されるが、ΔRLが閾値T2よりも小さい場合は右心室が最初にぺーシングされるように選択され、一組の最初のRV係数が使用される。母集団データに基づくAVD1ST用の最初のLV係数の例が表1に表されており、AVD2ND用の係数の例が表4に示されている。表で示したように、左心室と右心室の感知リードの様々な位置に基づいて、様々な係数セットを選択することができる。やはり、ΔRLが心房感知で測定されたか、または心房ぺーシングで測定されたかによって、異なる係数セットを選択することもできる。ΔRLがT1とT2の間にある場合、心室間伝導遅延は順次両心室ぺーシングで補正するには小さすぎる。この場合、AVD1STは固有の伝導間隔に基づいて計算され、AVD2NDは同時両心室ぺーシングのためにAVD1STに等しくなるように設定される。
Figure 0004680205
やはり図8を参照すると、最適AVD間隔が計算された後、システムは、心室再同期化を行う際にぺーシングすべき腔を選択する。システムは、両心室オフセット間隔が閾値T3よりも大きいかどうか、AVD2NDがオフセットS1だけ小さい右の固有の房室遅延(AVR)よりも大きいかどうか判断する。どちらの場合も、最初にぺーシングされる腔だけがぺーシングに選択される。どちらでもない場合、システムは、計算したAVD間隔でぺーシングするために両心室腔を選択する。
5.他のぺーシング・パラメータの調整
図3は、上記の手順で早期興奮タイミング・パラメータの計算に使用される固有の伝導パラメータを得る他に、他の最適ぺーシング・パラメータを選択するための例示のアルゴリズムを示す。(本明細書で使用されるように用語、特定のぺーシング・パラメータを「設定する」または「選択する」は、選択したパラメータを外部プログラマの操作者に推奨し、または選択したパラメータで埋込型デバイスを自動的に構成することを指す。)アルゴリズムはデータ獲得期間中に実行されるが、その間は埋込型デバイスによるぺーシング療法が適用されない。ステップB1で、RV電位図とLV電位図を獲得するための感知チャネルが選択され、拍動カウンタ変数が初期化される。心房センスが生じた場合、ステップB2で1つの拍動が検出され、拍動カウンタ変数が増分される。順次両心室センスが生じない場合、ステップB3で拍動が異所性として廃棄され、ステップB4で試験されたように拍動カウンタ変数が特定の限界値を超えない場合、アルゴリズムはステップB2で次の拍動が検出されるまで待つ。さもなければ、ステップB5で、固有の伝導パラメータAVL、AVR、AQ* L、Q*L、Q** Lが拍動中に生成されたRV電位信号とLV電位信号から測定され、記憶される。AVL、AVR、AQ* L、Q** Lは上記のように決められ、Q*Lは左心室脱分極の開始から左心室センスまでの測定された間隔である。ステップB6で、拍動カウンタ変数が他の特定の限界値(この場合は15)と比較され、限界値に達していない場合、アルゴリズムは次の拍動を待つ。15の拍動からの伝導パラメータが記憶された後、ステップB7で、パラメータ測定値の平均値、中央値、標準偏差値が計算される。ステップB8で、伝導パラメータの測定値全てについて標準偏差値の平均値に対する割合が計算され、特定限界値Cと比較される。AVLとAVRの場合はC=0.25であり、AQ* L、Q*L、Q** Lの場合はC=0.4である。計算された割合が全てC未満の場合、ステップB9で、伝導パラメータごとに記憶された測定値の平均値が記録され、その伝導パラメータを示すために使用される。この実施形態で使用される記憶された測定値の平均値は中央値であるが、他の実施形態では、平均値、標準偏差値、または同様の統計を使用することができる。さらに、心室間伝導遅延パラメータΔL―Rは、AVLの平均値とAVRの平均値の差として計算される。
図4は、左心室リードの位置を決定するためにシステムによって実行されるアルゴリズムを示しており、その情報は図2で示したAVDを計算するアルゴリズムによって使用される。ステップC1での決定に基づいてパラメータの手動入力が可能な場合、アルゴリズムはステップC2で手動入力に従ってリードの位置を設定する。さもなければ、ステップC3でQ*Lパラメータの代表値が呼び戻され、ステップC4で限界値(この場合は100ms)と比較される。Q*Lパラメータが限界値未満の場合、ステップC5でリードの位置が前方に設定される。さもなければ、ステップC6でリードの位置が左心室の自由壁に設定される。
システムは、測定した固有伝導パラメータを使用して、最適な療法のための他のぺーシング・パラメータを計算することもできる。こうしたパラメータには、ぺーシングされる心腔、および左心室のぺーシングに使用すべき代替のLVぺーシング部位が含まれる。感知とぺーシングに使用される左心室リードは双極または多極リードでもよく、したがって、埋込型デバイスが左心室にペースを送るために代替の部位を使用することができるようになる。再同期療法を最適に施すための代替のLVぺーシング部位間の選択は、様々な部位から測定される相対的な固有AV伝導遅延に基づいて行うことができる。大抵の環境では、固有の収縮中に最も伝導遅延を被る左心室領域を、この遅延を補償するために早期興奮させることが望ましい。たとえば、2つのLVぺーシング部位L1、L2が使用可能な場合、それぞれ部位L1、L2で生成される電位図から検出される心房センスと左心室センスの間の間隔である固有の伝導パラメータAVL1、AVLV2を測定することができる。比較的長いAV遅延間隔によって表されるように固有の拍動中に遅く興奮されるぺーシング部位を次いでLVぺーシング部位として選択することができる。
図5は、AVL1、AVLV2パラメータを得て、ΔL1-L2で示したように、その差を計算するための例示のアルゴリズムを示す。ステップD1で、拍動カウンタ変数がリセットされ、埋込型デバイスは、代替の部位L1、L2から電位図を受信するように構成される。図1で示した特定のデバイスでは、スイッチング・ネットワーク70を介してL1、L2部位の電極を有する2つの感知チャネルを構成することが含まれる。ステップD2からD4で、異所性拍動が廃棄されるが、これは図3のステップB2からB4で前に記載したのと同様である。ステップD5で、伝導パラメータAVL1、AVLV2が2つの電位図から測定される。ステップD6で、拍動カウンタ変数が他の特定の限界値(この場合は5)と比較され、限界値に達していない場合、アルゴリズムは次の拍動を待つ。5つの拍動からパラメータの測定値が記憶された後、ステップD7でAVL1とAVLV2の測定値の平均値、中央値、標準偏差値が計算される。ステップD8で、標準偏差値の平均値に対する割合が計算され、それが特定限界値(この場合は0.25)未満であることが判明した場合、ΔLI―L2がAVL1とAVLV2の中央値の差として計算される。次いでシステムを、計算されたΔL1-L2パラメータに従ってLVぺーシング部位を選択するようにプログラムすることができる。この例示の手順が図6に示されている。ステップE1で、システムはぺーシング部位L2が使用可能かどうか検査し、使用可能でない場合は、ステップE5でデフォルト部位L1を選択する。L1とL2の両方の部位が使用可能な場合、ステップE2でΔL1-L2パラメータが呼び戻され、ステップE3でゼロと比較される。ΔL1-L2が負の場合は、固有の伝導中に部位L1が部位L2よりも早く興奮されたことを示しており、ステップE4で部位L2がLVぺーシング部位に選択される。ΔL1-L2がゼロ以上の場合は、部位L1が部位L2よりも遅く、または同時に興奮されたことを示しており、ステップE5で部位L1がLVぺーシング部位に選択される。
6.システムの実装
したがって上記のアルゴリズムを、埋込型デバイスと外部プログラマ、または埋込型デバイスだけを備えるシステムで使用して、再同期療法を最適に施すための1つまたは複数のぺーシング・パラメータを設定することができる。1つまたは複数のアルゴリズムを、システムで実行して再同期療法を施す前にパラメータを初期設定し、および/または定期的に実行してパラメータを更新する。埋込型心リズム管理デバイスは、心房と左右両方の心室の電気活動に対応する電位信号を生成するための感知チャネル、ぺーシング・パルスを左右の心室に送るための左右の心室のぺーシング・チャネル、およびぺーシング・パルスの出力を制御し電位信号を解釈するためのコントローラを備え、コントローラは、少なくとも1つの早期興奮タイミング・パラメータで規定される方法で少なくとも1つの心室をぺーシングするようにプログラムされる。システムは、埋込型デバイスの感知チャネルで生成される電位信号から固有の拍動中に、各心室感知チャネルの固有の房室遅延間隔、心室の脱分極時間、左右の心室活動の間の遅延が含まれる1つまたは複数の固有の伝導パラメータを測定するように(または測定可能に)プログラムされる。システムはさらに、測定した固有の伝導パラメータに基づいて、両心室、右心室だけ、または左心室だけのぺーシング・モードを選択し、および/または特定の係数で規定されるように測定した固有伝導パラメータの線形の組合せを含む式に従って早期興奮タイミング・パラメータの値を選択するようにプログラムされる。早期興奮タイミング・パラメータは、両心室または左心室だけのぺーシングを送るためのAVDおよび/またはオフセット間隔でもよい。システムをさらに、測定した固有の伝導パラメータに基づいて、および左心室感知チャネルとぺーシング・チャネルで使用される左心室リードの特定の位置に基づいて、両心室、右心室だけ、または左心室だけのぺーシング・モードを選択するようにプログラムすることができ、左心室リードの位置はユーザ入力によって指定され、またはQ*Lの値から決定される。デバイスは、複数の感知/ぺーシング電極、センス増幅器、パルス発生装置、選択した電極対を選択したセンス増幅器に接続することによって感知チャネルを構成し、選択した電極対を選択したパルス発生装置に接続することによってぺーシング・チャネルを構成するようにコントローラによって操作されるスイッチング・ネットワークを装備することもできる。複数の感知/ぺーシング電極は、異なる左心室部位に配置される少なくとも2つの代替の左心室電極を含むことができ、測定した固有の伝導パラメータは、少なくとも2つの代替の左心室電極から測定されるAV伝導遅延を含むことができる。次いでシステムをプログラムして、左心室ぺーシング・チャネルから測定される固有AV伝導遅延が最も長い左心室電極を有するように左心室ぺーシング・チャネルを構成することなどによって、各代替左心室電極から測定される固有AV伝導遅延に基づいて、左心室ぺーシング・チャネルを構成するための代替左心室電極を選択することができる。
一実施形態では、最適ぺーシング・パラメータを選択するためのシステムは、埋込型デバイスと、その埋込型デバイスと通信する外部プログラマを備える。埋込型デバイスと外部プログラマのプロセッサは、上記のように最適ぺーシング・パラメータを選択するためのステップを実行するようにプログラムされ、望ましいと考えられる任意の方法で計算負荷を2つのプロセッサに割り当てることができる。埋込型デバイスは、固有の伝導データを収集し、そのデータを様々な代替形態で外部プログラマに送ることができる。たとえば、送られる固有の伝導データは、生電位図、特定のイベント、それらが生じた時刻を示すマーカ、または導出された伝導パラメータ自体で構成することができる。次いで、固有伝導パラメータを処理し上記のアルゴリズムによって最適ぺーシング・パラメータを計算することが、全て外部プログラマによって行われ、または外部プログラマと埋込型デバイスに割り当てられる。最適ぺーシング・パラメータ値の計算後、外部プログラマは、計算した最適ぺーシング・パラメータ設定で埋込型デバイスを自動的にプログラムし、または最適値を外部プログラマを操作する臨床医に推奨の形で示すことができる。
本発明を上記の特定の実施形態と併せて説明したが、当業者には、多くの代替実施形態、変形実施形態、および変更実施形態が明らかであろう。他のこうした代替実施形態、変形実施形態、変更実施形態は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとする。
本発明を実施するための例示の心臓デバイスを示すブロック図。 心房トラッキング、AV順次ぺーシング・モードで使用される房室遅延間隔を計算するための例示のアルゴリズムを示す図。 固有の伝導パラメータを測定するための例示のアルゴリズムを示す図。 左心室のリードの位置を決定するための例示のアルゴリズムを示す図。 2つの左心室部位での相対的な固有のAV伝導遅延を測定するための例示のアルゴリズムを示す図。 2つの代替の左心室ぺーシング部位を選択するための例示のアルゴリズムを示す図。 最適な両心室のオフセット間隔を決定するための例示のアルゴリズムを示す図。 心室ごとに別々の房室遅延を決定するための例示のアルゴリズムを示す図。

Claims (18)

  1. 心臓再同期療法を施すときに埋込型心リズム管理デバイスで使用される複数のぺーシング・パラメータの1つを設定するためのシステムであって、
    心房内の電気活動に対応する電位信号を生成する心房感知チャネル、それぞれ右心室と左心室内の電気活動に対応する電位信号を生成する右心室と左心室の感知チャネル、それぞれ右心室と左心室にぺーシング・パルスを送るための右心室と左心室のぺーシング・チャネル、ぺーシング・パルスの出力を制御し電位信号を解釈するためのコントローラであって、要求ぺーシング・モードに従ってプログラムされた両心室オフセット間隔で左心室ペースと右心室ペースを別々に送るようにプログラムされたコントローラ、さらにテレメトリ・インターフェースを含む埋込型心リズム管理デバイスと、
    前記埋込型デバイスと前記テレメトリ・インターフェースを介して通信する関連する表示装置と入力手段を有する外部プログラマと
    を備え、
    ΔRLと呼ばれる固有の拍動中の右心室と左心室の活動間の遅延を測定することができる信号を生成するようにプログラムされ、かつ
    前記測定したΔRL間隔の関数として最適な両心室のオフセット間隔を表す式に従って最適な両心室のオフセット間隔を計算するようにプログラムされることを特徴とするシステム。
  2. 前記埋込型デバイスによって受信される電位信号から前記ΔRL間隔を測定するようにプログラムされる請求項1に記載のシステム。
  3. 前記埋込型デバイスの前記コントローラが、心房トラッキング・モードでの心房センスまたはAV順次ぺーシング・モードでの心房ペースの後に、プログラム可能な房室遅延(AVD)間隔内で心室をぺーシングするようにプログラムされる請求項1に記載のシステム。
  4. 固有の拍動中に電位信号から少なくとも1つの固有の房室遅延間隔を測定し、前記測定した固有の房室遅延間隔の関数として最適AVD間隔を表す式に従って最適AVD間隔を計算するようにプログラムされる請求項3に記載のシステム。
  5. 前記最適な両心室のオフセット間隔BVOを計算するための式が、
    BVO=k1(ΔRL)+k2であり、
    上式でk1、k2は特定の係数である請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
  6. 前記最適な両心室オフセットと前記測定したΔRL間隔の関係を決める前記特定の係数が、測定したΔRL間隔を、心機能パラメータの測定によって決定された、心臓再同期療法を施すための最適な両心室オフセットに関連付ける臨床母集団データの線形回帰分析から事前に導出されている請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
  7. 前記最適な両心室オフセット間隔BVOを計算するための式が、
    BVO=−0.333(ΔRL)−20
    である請求項5に記載のシステム。
  8. 前記計算された最適な両心室オフセット間隔に従って前記プログラムされた両心室オフセット間隔を自動的に設定するようにプログラムされる請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
  9. 前記外部プログラマの操作者に前記プログラムされた両心室オフセット間隔を前記計算された最適な両心室オフセット間隔に設定することを推奨するようにプログラムされる請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
  10. 前記測定したΔRL間隔が複数の固有の拍動についてとられた平均測定値を表す請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
  11. 前記計算された最適な両心室オフセット間隔が、所望の頻拍性不整脈レートの閾値を維持するために変更される請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
  12. 電位信号から左右の固有の房室遅延間隔と心室の脱分極時間を測定するようにプログラムされ、前記最適AVD間隔を計算するための前記式に前記測定した左右の固有の房室遅延と前記測定した心室の脱分極時間の線形結合が含まれる請求項4から11のいずれかに記載のシステム。
  13. 右の固有の房室遅延がAVRで示される心房センスと右心室センスの間隔として測定され、左の固有の房室遅延がAVLで示される心房センスと左心室センスの間隔として測定され、AVDを計算する式が、
    AVD=k1AVR+k2AVL+k3
    であり、上式でk1、k2、k3は特定の係数である請求項4から11のいずれかに記載のシステム。
  14. 電位図で前記右の固有の房室遅延がAVRで示される心房センスと右心室センスの間隔として測定され、前記左の固有の房室遅延がAQ* Lで示される電位図で心房センスと左心室脱分極開始の間隔として測定され、心室の脱分極時間がQ**で示される左心室脱分極の開始から左心室脱分極の終わりまでの間隔として測定され、最適AVDを計算する式は、
    AVD=k1AVR+k2AQ* L+k3**+k4
    であり、上式でk1、k2、k3、k4は特定の係数である請求項12または13に記載のシステム。
  15. 電位図で前記固有の房室遅延がAVRで示される心房センスと右心室センスの間隔として測定され、心室の脱分極時間がQ**で示される左心室脱分極の開始から左心室脱分極の終わりまでの間隔として測定され、最適AVDを計算する式が、
    AVD=k1AVR+k2**+k3
    であり、上式でk1、k2、k3は特定の係数である請求項4から14のいずれかに記載のシステム。
  16. 前記測定した固有の房室遅延間隔と前記測定した心室の脱分極時間との線形結合を決める特定の係数が、測定した固有の房室遅延間隔と測定した心室の脱分極時間を、心機能パラメータの測定値によって決定された心臓再同期療法を施すための最適AVDに関連付ける臨床母集団データの線形回帰分析から事前導出されている請求項4から15のいずれかに記載のシステム。
  17. 前記計算された最適AVD間隔に従って前記プログラムされたAVD間隔を自動的に設定するようにプログラムされる請求項4から16のいずれかに記載のシステム。
  18. 前記外部プログラマの操作者に前記プログラムされたAVD間隔を前記計算された最適AVD間隔に設定することを推奨するようにプログラムされる請求項4から17のいずれかに記載のシステム。
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