JP4679487B2 - モータ制御装置並びに冷凍空調装置 - Google Patents
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Description
また、上記脈動抑制ゲインを十分大きくすれば定常偏差を無視できる程小さくすることは可能となるが、一方出力トルク脈動情報における高周波のノイズに対して制御が敏感となるため運転自体が不安定となるなどの問題があった。
この発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、負荷トルクの脈動に基づき周期的に発生する電流脈動を抑制してモータの出力効率向上を図るモータ制御装置並びに冷凍空調装置を提供することを目的としている。
図1はこの発明の実施の形態1におけるモータ制御装置の構成を示す図である。
図において、直流電源1の出力側にインバータ2が電気的に接続され、さらにインバータ2の出力側にモータ3が電気的に接続されている。モータ3には機械的に接続される脈動負荷4が接続される。脈動負荷4は回転に応じて負荷トルクが周期的に変化する特性を持ち、例えば図6の様なトルクパターンとなっている。インバータ2とモータ3の接続線には、上記接続線を通じてモータに流れる電流情報を制御手段6に出力する電流検出手段5が設けられている。制御手段6は、上記電流情報と、外部より与えられる速度指令(所定の周波数であり、図1のω*である。この速度指令は、モータの電機子の回転に同期して発生する機械角周波数に相当するものであり、以下、ωmと称することもある)、および直流電源1の電源電圧情報の各入力部と、インバータ2への制御信号の出力部を有し、内部には電流脈動検出手段7、電流脈動補正手段8、波形生成手段9、駆動制御手段10、座標変換器11、積分器12a、12bがそれぞれ設けられている。
なお、直流電源1の電源電圧情報Vdcは必ずしもセンサを用いて検出する必要はない。
上記機械角周波数ωmは、変換器13によって磁極の極対数Ppを乗算され乗算結果が電気角周波数ωe(以下、インバータ周波数と称することもある)になる。
また、駆動制御手段10は、速度指令ω*即ち機械角周波数ωmに同期した電流成分から式(1)によって電圧指令Vを生成する。
ωmに同期した電流成分を回転子の回転に同期した回転座標に変換する座標変換を用いて直流成分として抽出し出力する。電流脈動補正手段8は上記電流脈動検出手段7の出力した所定周波数の脈動成分から周波数補償量Δωを生成し、脈動成分を抑制するようにインバータ周波数ωeの補正用として出力する。波形生成手段9は加算手段14aによって周波数補償量Δωが補正されたインバータ周波数ωeを積分して得られた電気角位相θと、駆動制御手段10の演算する出力電圧指令を用いてインバータ2の制御信号(PWM信号)を生成し出力する。
上記において、モータ3および脈動負荷4は例えば圧縮機等で構成される。また制御手段6は例えばマイクロコンピュータ等で構成される。
次に、モータ制御装置の動作について図10に基づき説明する。
制御手段6は外部からの速度指令ω*に基づき、インバータ2にモータ3を所定周波数で駆動するための制御信号(PWM信号)を逐次出力する。インバータ2は上記制御手段6からの制御信号(PWM信号)に基づき、内部のスイッチング素子をON・OFFし、モータ3に交流電圧を供給する。この交流電圧信号に応じてモータ3は回転し、脈動負荷4を駆動する(ステップ1)。脈動負荷4は上述のように回転に同期した脈動トルク特性を有するため、モータの回転速度は脈動し、電流は脈動した電流波形となる。この時の電流波形の一例を図7に示す。
具体的には、以下のようにして算出する。ブラシレスDCモータを制御する場合、固定子を流れる電流を仮想的に磁束成分とトルク成分に分けて制御するベクトル制御を行うと、高精度良なモータ制御を行うことができる。そこで、このベクトル制御を行うための準備として、まず電流脈動検出手段7は、検出したモータ電流を回転子の回転位相と略一致する回転座標系に変換する。この場合、ブラシレスDCモータの回転子のN局の方向(磁束方向)をd軸とし、d軸から電気的に90度進んだ方向(トルク方向)をq軸としたとき、d軸の電流成分(励磁電流と称する)をid、q軸の電流成分(トルク電流と称する)をiqとし、モータ端子のU、V、Wの電流iu、iv、iwとしたとき、座標変換は式(2)のように表記される。
なお、実際には、モータの位置(d−q軸)をセンサで検出せず、回転子の回転座標と同期して回転する、インバータ2が推定した座標軸を用いる。このインバータ2が推定した座標軸をγ−δ軸と呼び、ブラシレスDCモータの回転子のN局の方向(磁束方向)をγ軸とし、γ軸から電気的に90度進んだ方向(トルク方向)をδ軸としたとき、γ軸の電流成分(励磁電流と称する)をiγ、δ軸の電流成分(トルク電流と称する)をIδとし、モータ端子のU、V、Wの電流iu、iv、iwとしたとき、上記インバータの推定による座標変換は式(3)のように表記される。
この場合、先に求めたトルク電流Iδは機械角周波数ωmで脈動する成分を含有する式(4)で表されるものとする。
ωmt+α に相当する。
上記の式(4)に示したように、通常トルク電流には直流分が含まれているが、脈動量を抽出するにはこの直流分を除去する必要があるので、ハイパスフィルタ(以後、HPFと呼ぶ)を用いて直流分を除去する。HPF処理後のトルク電流をiδacとすると、iδacは式(5)で表される。
すなわち、ロータリ圧縮機などモータの機械的回転位置に同期して負荷トルクが繰り返し脈動することが既知である場合、そのトルク脈動の位相と大きさを抽出すれば、モータの出力トルクや電流の制御をより精度良く算出できる。そこで、この脈動の大きさや振幅を直流量として検出するための手段として座標変換を用いる。次に、電流脈動補正手段8aにおいて、積分器81は抽出した電流脈動を積分し(ステップ3)、さらに座標変換器82は、この積分結果を上記機械角周波数で回転する位相情報θmを用いて座標変換(逆変換)し周波数補正情報Δωを算出する(図3のブロック81、82参照)。
上記の座標変換(逆変換)の動作を数式で表すと、機械角周波数で回転する角度
ωmt+α=θm を用いて直交する座標系(この座標軸を静止座標系と称し、a−b軸とする)における2つの電流成分Ima、Imbに分離する。この場合、Ima、Imbは式(6)のように表記される。
この式は、角速度の目標値に対する変化分Δωma、Δωmbをa軸電流誤差成分Ima、b軸電流誤差成分Imbを用いて制御することを意味する。
電流脈動補正手段8aは上記式(9)を用いて周波数補償量のa軸成分Δωma、周波数補償量のb軸成分Δωmbを算出する。
出力トルクの脈動が複数の高次成分を含んでいる場合、この高次成分を少なくとも1つ補償することができる。
図4は3次高調波までのトルク脈動を補償する場合の制御ブロックの例である。同図において、15a、15b、15cはいずれも図3に示した制御ブロックモジュールを示している。図4の2θm、3θmはそれぞれ機械角周波数の2倍、3倍で回転する位相情報である。以上のように構成することで制御ブロックモジュール15b、15cの出力はそれぞれ機械角周波数の2倍、3倍の周波数成分の出力トルク脈動を補償するように制御される。このように出力トルクの脈動が複数の高次成分を含んでいる場合、所望の機械周波数の速度指令を指定することで、対応する高次成分を補償することができ、異なる機械周波数の速度指令を同時に指定することで同時に複数の高次成分を補償することが可能になる。
なお、上記では3次高調波までのトルク脈動を補償する場合について説明したが、これに限らないことは言うまでもない。
また、切替スイッチ17aの動作時刻と、切替スイッチ17bの動作時刻は異なる。
電流脈動検出手段7において、トルク電流iδは直流分がHPF16で除去された後、電流脈動補正手段8aにおいて、切替スイッチ17aにより機械角周波数で回転する位相情報θmの値に応じていずれか1つの積分器18が選択され、この積分器18と接続される。この際、位相情報θmのタイミングで切り替わるので、切替スイッチ17aによる切替が座標変換器72による座標変換に相当する。HPF16により直流分を除去されたトルク電流iδの変動成分はさらに接続された積分器18により積分される。次の位相情報θmのタイミングで積分結果は位相情報θmの値に応じて切り替わる切替スイッチ16bにより出力側と接続され周波数補償量Δωとして出力される。
実施の形態1では、電流脈動補正手段8aは、周波数補償量Δωを用いてインバータ周波数ωeを補正する形態について説明したが、電圧補償量ΔVを用いてインバータ電圧Vを補正してもよい。この実施の形態2では、この電圧補償量ΔVを用いた補正について説明する。
図3〜図10はこの実施の形態2でも用いられる。
図2はこの発明の実施の形態2におけるモータ制御装置の構成を示す図であり、図1とは周波数補償量Δωを用いて電気角周波数ωeを補正する代わりに電圧補償量ΔVを用いて電圧指令Vを補正する以外は同じであるため、異なる部分について説明する。
電流脈動補正手段8は、式(1)の右辺でωに依存する項のみを抽出し、ωを上記
Δωmに置換した式(11)により電圧補償量ΔVを算出する。
Claims (8)
- 直流電力を交流電力に変換してモータを可変速駆動するインバータと、
このインバータの出力電流を検出する電流検出手段と、
この電流検出手段が検出した電流に基づいて前記インバータを制御する制御手段と、を備えたモータ制御装置において、
前記制御手段は、
前記電流検出手段が検出した電流をモータの電気角で回転する第1の座標系に変換して磁束方向の励磁電流とこの磁束と垂直な方向のトルク電流を出力する第1の座標変換手段と、
この第1の座標変換手段から出力された前記トルク電流に含まれる電流脈動成分を検出する電流脈動検出手段と、
外部から、速度指令を入力し、この速度指令を機械角周波数から電気角周波数に変換してインバータ周波数指令を出力する変換器と、
前記第1の座標変換手段から出力された励磁電流及びトルク電流と、前記外部からの速度指令とに基づきインバータ電圧指令を出力する駆動制御手段と、
前記電流脈動検出手段によって検出された電流の脈動成分に基づいて周波数補正情報を出力する電流脈動補正手段と、
前記変換器からの出力に基づき、インバータ電気角位相指令を出力する第1の積分器と、
前記駆動制御手段からの出力と、前記第1の積分器からの出力とに基づいて前記インバータを制御するPWM信号を生成する波形生成手段と、
前記速度指令を積分して機械角周波数から負荷トルク脈動に同期した機械角位相に変換する第2の積分器と、
を備え、
前記電流脈動検出手段は、前記トルク電流から直流分を除去するハイパスフィルタと、このハイパスフィルタによって直流分を除去されたトルク電流を前記第2の積分器から出力された機械角位相で回転する第2の座標系に変換して直流量として出力する第2の座標変換手段とを備え、
前記電流脈動補正手段は、前記第2の座標変換手段によって直流量に変換されたトルク電流を積分する第3の積分器と、この第3の積分器の積分結果を前記第2の座標系から元の第1の座標系に戻してインバータ周波数指令の補正値として出力する逆変換手段とを備えたことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記電流脈動補正手段の出力はインバータ周波数指令の補正値であり、
この補正値を前記変換器の出力に加算する加算器を備え、
前記第1の積分器は、前記加算器からの出力を積分してインバータ電気角位相指令を出力することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。 - 直流電力を交流電力に変換してモータを可変速駆動するインバータと、
このインバータの出力電流を検出する電流検出手段と、
この電流検出手段が検出した電流に基づいて前記インバータを制御する制御手段と、を備えたモータ制御装置において、
前記制御手段は、
前記電流検出手段が検出した電流をモータの電気角で回転する第1の座標系に変換して磁束方向の励磁電流とこの磁束と垂直な方向のトルク電流を出力する第1の座標変換手段と、
この第1の座標変換手段から出力された前記トルク電流に含まれる電流脈動成分を検出する電流脈動検出手段と、
外部から、速度指令を入力し、この速度指令を機械角周波数から電気角周波数に変換してインバータ周波数指令を出力する変換器と、
前記第1の座標変換手段から出力された励磁電流及びトルク電流と、前記外部からの速度指令とに基づきインバータ電圧指令を出力する駆動制御手段と、
前記電流脈動検出手段によって検出された電流の脈動成分に基づいて電圧補正情報を出力する電流脈動補正手段と、
前記変換器からの出力を積分してインバータ電気角位相指令を出力する第1の積分器と、
前記駆動制御手段からの出力と、前記第1の積分器からの出力とに基づいて前記インバータを制御するPWM信号を生成する波形生成手段と、
前記速度指令を積分して機械角周波数から負荷トルク脈動に同期した機械角位相に変換する第2の積分器と、
を備え、
前記電流脈動検出手段は、前記トルク電流から直流分を除去するハイパスフィルタと、このハイパスフィルタによって直流分を除去されたトルク電流を前記第2の積分器から出力された機械角位相で回転する第2の座標系に変換して直流量として出力する第2の座標変換手段とを備え、
前記電流脈動補正手段は、前記第2の座標変換手段によって直流量に変換されたトルク電流から補正電圧を生成し、この結果をインバータ電圧指令の補正に用いることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記電流脈動補正手段の出力はインバータ電圧指令の補正値であり、
この補正値を前記駆動制御手段の出力に加算する加算器を備え、この加算器の出力を前記波形生成手段へ供給することを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。 - 前記電流脈動検出手段の代わりに、前記トルク電流から直流分を除去するハイパスフィルタを備えた電流脈動検出手段と、
前記電流脈動補正手段の代わりに、並列に配置された複数の積分器と前記第2の積分器から出力された機械角位相情報に応じて前記複数の積分器の内のいずれか一つを選択する切替スイッチとを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。 - 電流脈動検出手段および電流脈動補正手段は対をなし、異なる周波数に対して複数対並列に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
- 圧縮機に接続されたモータと、請求項1、2、5、6のいずれかに記載のモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。
- 圧縮機に接続されたモータと、請求項3または請求項4に記載のモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。
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