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JP4678844B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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JP4678844B2
JP4678844B2 JP2005292283A JP2005292283A JP4678844B2 JP 4678844 B2 JP4678844 B2 JP 4678844B2 JP 2005292283 A JP2005292283 A JP 2005292283A JP 2005292283 A JP2005292283 A JP 2005292283A JP 4678844 B2 JP4678844 B2 JP 4678844B2
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Description

本発明は、フレキシブル配線基板と、電気信号を記録素子基板に伝達するための手段としてフレキシブル配線基板を用いた液体吐出記録ヘッドユニットとに関するものである。
一般的なフレキシブル配線基板は、可撓性を有する基材(一般的に「ベースフィルム」と呼ばれる)の上に、銅配線がパターニングされ、パターニングされた銅配線がフィルム材(一般的に「カバーフィルム」と呼ばれる)によって被覆されている。すなわち、銅配線がベースフィルムとカバーフィルムとによって挟まれて保護されているサンドイッチ構造を有する。そこで、ベースフィルムとカバーフィルムをまとめて保護フィルムと呼ぶ場合もある。
このような構造を有するフレキシブル配線基板は、電子部品や基板の実装レイアウトの自由度を向上させることができるといった利点を有し、小型から大型にいたる種々の電子機器等に幅広く用いられている。例えば、特許文献1には、インクジェット記録へッドに用いられたフレキシブル配線基板が記載されている。このフレキシブル配線基板は、2箇所の折り曲げ部の間で幅が増大するとともに、それに対応してそこに設けられている複数の配線のピッチも増大する構成が記載されている。更に、その幅の増大に対応して曲げ部近傍で配線そのものの幅が広くなっている構成も記載されている。ところが、フレキシブル配線基板を屈曲させて使用する場合、屈曲部における曲げ応力に起因してフレキシブル配線基板と他部材との間の電気接続部の不良を生じることがある。これに対しては、特許文献2にあるように、フレキシブル配線基板の折り曲げ部の幅を電極を配した基板部分の幅の40%〜70%とするフレキシブル配線基板が開示されている。
また、同じような課題を解決するため、特許文献3には、折り曲げ位置の端に切り欠き部を形成したフレキシブル配線基板が開示されている。この構成により、折り曲げに対する反発応力(折り曲げたフレキシブルな部材の復元しようとする力)を低減して、正確な位置での折り曲げを容易に実施できるというものである。さらに、特許文献3には、図8に示すように、折り曲げ予定位置301における配線パターン302のピッチ間隔t1を折り曲げ予定位置301以外におけるピッチ間隔t1と比較して狭くする構成が開示されている。しかしながら、この構成は、折り曲げ予定位置301に当たるフレキシブル配線基板の端に切り欠き部303を形成する領域を確保するためであると記載されている。また、同じく図8に示すように、折り曲げ予定位置301におけるフレキシブル配線基板300の端から直近の配線パターン302の縁までの距離s2を、折り曲げ予定位置301以外における距離s1と比較して長くする構成が開示されている。しかしながら、この構成も、折り曲げ予定位置301におけるフレキシブル配線基板300の端部の面積を広くして、切り欠き部303の形成を容易にするためであると記載されている。そのため、フレキシブル配線基板300に最も曲げ応力が作用するはずの折り曲げ予定線304の線上においても、上記距離s1と切り欠き部303での距離s3とは同じ大きさとなっている。なお、ここで折り曲げ予定線とは、折り曲げ予定位置301において、折り曲げられた際にフレキシブル配線基板300に生成することが予定されている折線のことである。
特開2003−72042号公報 特開平10−76647号公報 特開2004−235321号公報
上記のように、比較的自由に屈曲させることができることを特徴とするフレキシブル配線基板において、折り曲げたフレキシブル配線基板が元の形状に復元しようとすることによる課題の認識はこれまでもあった。
しかしながら、本件発明者らは、屈曲部が直角や直角に近い小さな曲げ半径で折り曲げられることで生じ得る新たな課題を見出した。それは、フレキシブル配線基板を直角や直角に近い小さな曲げ半径で折り曲げると、ベースフィルムとカバーフィルムの圧縮側と伸び側との間で大きな応力差が生じ、ベースフィルムとカバーフィルムが局部的に剥離する可能性があるということである。そして、ベースフィルムとカバーフィルムとが剥離すると、剥離部分やその近傍においてフィルム間の浮きが発生し、配線との間に空間が生じ、配線の保護機能が低下するという問題が生じるおそれがあるということである。また、上記空間がフレキシブル配線基板の端部にまで拡大すると、外部から保護フィルム間に電解質を含む液体が侵入し、ショートやリーク、配線の腐食といった様々な問題が誘発されるおそれがあるということである。
本発明は、直角や直角に近い小さな曲げ半径で折り曲げられても、保護フィルムの剥離が発生し難いか、万一剥離が発生したとしてもその範囲が拡大し難いフレキシブル配線基板およびこれを用いた液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
本発明は、折り曲げ方向の両端と配線とを含み、該配線の長手方向に交差する方向に配線基板を折り曲げて生成する折り曲げ線上において、前記配線基板の端と該端に最も近い前記配線との距離を大きくしたフレキシブル配線基板を提供することを他の目的とする。また、上記フレキシブル配線基板を用いた液体吐出ヘッドを提供することを他の目的とする。
本発明のフレキシブル配線基板は、基材の上に並列して配された配線がフィルム剤によって被覆され、前記基材の表面側又は裏面側に折り曲げ可能なフレキシブル配線基板である。そして、前記配線を含み、該配線の長手方向に交差する方向に前記フレキシブル配線基板を折り曲げることで生成される折り曲げ線上に、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向の両端が含まれている。さらには、前記折り曲げ線上における前記フレキシブル配線基板の端と該端に最も近い前記配線との間の間隔が前記折り曲げ線外における同間隔よりも大きい。
本発明の液体吐出へッドは、外部からの電気信号に応じて液体を吐出する液体吐出へッドであって、液体を吐出する記録素子基板と、前記記録素子基板へ前記電気信号を供給するフレキシブル配線基板とを有する。前記フレキシブル配線基板は、基材の上に並列して配された配線がフィルム剤によって被覆され、前記基材の表面側又は裏面側に折り曲げ可能である。そして、前記配線を含み、該配線の長手方向に交差する方向に前記フレキシブル配線基板を折り曲げて形成された折り曲げ線上に、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向の両端が含まれている。さらに、前記折り曲げ線上における前記フレキシブル配線基板の端と該端に最も近い前記配線との間の間隔が前記折り曲げ線外における同間隔よりも大きい。
本発明によれば、直角や直角に近い小さな曲げ半径で折り曲げられても、保護フィルムの剥離が発生し難いか、万一剥離が発生したとしてもその範囲が拡大し難いフレキシブル配線基板と、該基板を用いた液体吐出ヘッドとが提供される。
(実施形態1)
以下、本発明のフレキシブル配線基板の実施形態の一例について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本例のフレキシブル配線基板1Aの幅方向断面図、図2は一部省略の平面図である。
本実施形態のフレキシブル配線基板1Aは、30μm〜100μm厚の基材(ベースフィルム2)の表面全体に、5μm〜20μm程度の厚みでベースフィルム接着剤3が塗布され、この接着剤3によって10μm〜50μm厚の銅配線5が接着されている。銅配線5は、エッチングなどの手法によって所望のレイアウトにパターニングされたものである。具体的には、ベースフィルム2の長手方向に細長い多数本の銅配線5が、ベースフィルム2の幅方向に沿って配列されている。銅配線5の周囲には、カバーフィルム接着剤6が塗布され、この接着剤6を介して1μm〜30μm厚のフィルム材(カバーフィルム7)が積層されている。
図1から明らかなように、カバーフィルム接着剤6は、銅配線5の上面(カバーフィルム7と対向する面)のみでなく、隣接する銅配線5間の隙間を埋める形で銅配線5の周囲にも塗布されている。なお、ベースフィルム接着剤3とカバーフィルム接着剤6とは同質の接着剤である。
以下に述べる構成は、フレキシブル配線基板に設けられた配線の走査方向とは交差する方向に折り曲げる位置を折り曲げ線あるいは折り曲げ部とする。特に、折り曲げ線とは、フレキシブル配線基板を折り曲げたときにそのフレキシブル配線基板に生成する折線をいい、最も折り曲げ応力が作用する位置である。
カバーフィルム接着剤6を介した、金属材料からなる銅配線5と樹脂材料からなるカバーフィルム7との間の接着力をF1とする。また、ベースフィルム接着剤3とカバーフィルム接着剤7とを介した、共に樹脂材料からなるベースフィルム2とカバーフィルム7との間の接着力をF2とする。このとき、F1<F2の関係があるので、曲げ応力などが加わると、銅配線5とカバーフィルム7との間の接着不良が生じやすい傾向にある。より具体的には、銅配線5の上面とカバーフィルム接着剤6の界面とが剥離しやすい傾向にある。そこで、フレキシブル配線基板1Aがその使用に際して折り曲げられる所定部位(折り曲げ部10)を含む同方向の一定領域Xにおける銅配線5の幅をフレキシブル配線基板1Aの幅が同じ他の領域における銅配線5の幅と比べて細く絞ることにした。少なくとも、折り曲げ部10の折り曲げ線上では、銅配線5の幅(銅配線が複数本ある場合は、少なくとも1本の銅配線の幅)がフレキシブル配線基板の同一幅の他領域での銅配線の幅より細くすることとした。なお、この領域Xは、フレキシブル配線基板1Aの長手方向の一部であって、長手方向と交差する方向にフレキシブル配線基板を横切る領域であって、折り曲げ線を含むものである。これにより、折り曲げ部10及びその近傍における接着力の向上を図り、特に銅配線5の上面とカバーフィルム接着剤6の界面が剥離し難くなるように図った。
具体的には、折り曲げ部10を含む領域X内における各銅配線5の幅をm0〜mnとし、そのm0〜mnの総和をWmとする。また、フレキシブル配線基板1Aの幅が領域X(少なくとも折り曲げ部10)と同一である他領域における各銅配線5の幅をl0〜lnとし、そのl0〜lnの総和をWlとしたとき、次の関係が成立する。
Figure 0004678844
これは、領域Xにおける銅配線5の幅の総幅がその他の領域における銅配線5の幅の総幅より小さいことを現している。フレキシブル配線基板1Aの幅が一定の範囲内にある場合には、更に以下のように言い換えることができる。例えば、幅が一定の場合には、領域Xにおける各銅配線5の総幅(Wm)とベースフィルム2の幅(W)との比(Wm/W)が、それ以外の領域における各銅配線5の総幅(Wl)とベースフィルム2の幅(W)との比(Wl/W)よりも小さいものである。少なくとも、折り曲げ部10の折り曲げ線上では、各銅配線5の総幅(Wm)とベースフィルム2の幅(W)との比(Wm/W)が、それ以外の領域における各銅配線5の総幅(Wl)とベースフィルム2の幅(W)との比(Wl/W)よりも小さいものである。ここでベースフィルム2の幅はWで同じである。
従って、領域Xにおけるベースフィルム2とカバーフィルム7との接着面積が他の領域に比べて大きくなり、該領域Xにおける接着力が相対的に向上する。この結果、折り曲げ部10が直角や直角に近い小さな曲げ半径で曲げられても、ベースフィルム2とカバーフィルム7との間に剥離は発生し難くなる。特に、図2に示すように、フレキシブル配線基板1Aの幅方向両外側寄りの銅配線5a、5bの幅を細く形成しておくと、これら銅配線5a、5bとベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向端部との間の距離が領域X内において最大となる。さらに、領域X内における各銅配線5の間隔を銅配線5の幅よりも広くすることで、領域X内におけるベースフィルム2とカバーフィルム7との間の接着強度が向上する。よって、銅配線5とカバーフィルム7との剥離が発生し難く、仮にいずれかの銅配線5とカバーフィルム7との間に万一剥離が生じたとしても、その剥離がベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向端部にまで拡大する可能性は極めて低い。
尚、図2に示すフレキシブル配線基板1Aでは、全ての銅配線の幅が領域X内において領域X以外の銅配線の幅に比べて細くなっている。しかし、本実施形態のフレキシブル配線基板1Aは、上述の数式(1)〜(3)の関係が満たされてさえいればよく、全ての銅配線5の幅を細くすることは必須の構成ではない。少なくとも、1本以上の銅配線の幅が細くなっていればよい。また、各銅配線の幅は、領域X内における幅も含めて一様である必要はない。さらに、上述の数式(1)〜(3)の関係が満たされている領域Xを、フレキシブル配線基板1Aの長手方向に沿って2箇所以上設けることもできる。
ここで、折り曲げ部10において、課題とする銅配線部分でのベースフィルムとカバーフィルムとの剥離が生じた場合であっても、最も端に位置する銅配線5aから端側で剥離が生じなければよい。この場合には、最悪の場合であっても、外部からのインク等の侵入を防止することができる。そのために、本実施形態では、フレキシブル配線基板の同一幅の領域において、最も端に位置する銅配線から端までの距離を、折り曲げ部10の折り曲げ線上で大きくなるようにした。あるいは、折り曲げ部10を含む領域Xでの上述距離を、領域Xに隣接する領域での上述距離より大きくなるようにした。本実施形態では、銅配線5aの幅を折り曲げ部10で細くなるようにすることで、銅配線5aからフレキシブル配線基板1Aの端までの距離d1を折り曲げ部10に隣接する領域におけるd2よりも大きくしている。
(実施形態2)
以下、本発明のフレキシブル配線基板の実施形態の他例について図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態のフレキシブル配線基板1Bを示す一部省略の平面図である。このフレキシブル配線基板1Bの基本構成は、図1に示すフレキシブル配線基板1Aと同一である。また、折り曲げ部10を含む領域X内における各銅配線5の幅をそれぞれ順次a0〜anとし、そのa0〜anの総和をWaとする。また、フレキシブル配線基板1Bの幅が領域X(少なくとも折り曲げ部10)と同一幅である他領域における各銅配線5の幅をそれぞれ順次b0〜bnとし、そのb0〜bnの総和をWbとしたとき、次の(4)〜(6)の関係が成立している。これは、実施形態1の式(1)〜(3)と同様の関係である。
Figure 0004678844
本実施形態のフレキシブル配線基板1Bが実施形態1のフレキシブル配線基板1Aと大きく異なるところは、領域Xにおいて、各銅配線がフレキシブル配線基板1Bの幅方向中央側に蛇行している点である。具体的には以下のとおりである。折り曲げ部10の折り曲げ線上における、フレキシブル配線基板1Bの幅方向の最も外側の銅配線5aと、ベースフィルム2及びカバーフィルム7の同方向端部と、の間の距離をG0とする。同様に、銅配線5aとは反対側で最も外側の銅配線5bと、ベースフィルム2及びカバーフィルム7の同方向端部と、の間の距離をGn+1とする。一方、フレキシブル配線基板1Bの幅が領域Xと同一幅の他領域において対応する距離をそれぞれGb0、Gbn+1とする。ここで、他の領域には、領域Xに隣接するものを含む。このとき、本実施形態では、G0>Gb0 かつ Gn+1>Gbn+1の関係が成立している。
上記関係を満足することは、領域X(少なくとも、折り曲げ部10の折り曲げ線上)において、銅配線5a、5bとベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向における端部との間の距離が、実施形態1に比べてさらに拡大することを意味する。言い換えると、フレキシブル配線基板の同じ幅の部位で、折り曲げ線上の銅配線の存在領域幅Woを他の位置での存在領域幅Wpより狭くしている。従って、銅配線5とカバーフィルム7との間に万一剥離が生じたとしても、その剥離がベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向における端部にまで拡大する可能性がより一層低くなる。
さらに、本実施形態のフレキシブル配線基板1Bでは、折り曲げ部10における銅配線5間の間隔をGn(n=1〜n)としたときに、G0>Gn(n=1〜n)、かつ、Gn+1>Gn(n=1〜n)の関係が成立している。
上記関係を満足することは、ベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向における端部と銅配線5a、5bとの間の距離(G0 、Gn+1)が、同領域における他の銅配線5間の間隔よりも大きいことを意味する。従って、銅配線5とカバーフィルム7との間に生じた剥離がベースフィルム2及びカバーフィルム7の幅方向端部にまで連鎖的に拡大することをさらに確実に防止することができる。
尚、図3に示すフレキシブル配線基板1Bでは、該基板1Bの幅方向端部に近い銅配線5ほど折り曲げ部10における蛇行の程度が顕著となっている。このような形態に各銅配線5を配置すると、成るべく銅配線間の間隔が大きくなることを避けながらも所要の銅配線を無理なく配置することができる。しかし、本実施形態のフレキシブル配線基板1Bでは、G0>Gb0、かつ、Gn+1>Gbn+1の関係が満足されていれば、他の銅配線5の配置や間隔が多少の制限を受けるものの、蛇行の程度は特に限定されない。また、同様の理由により、全ての銅配線5が蛇行している必要もない。
また、図3に示すフレキシブル配線基板1Bでは、全ての銅配線の幅が領域X内において領域X以外の銅配線の幅に比べて細くなっている。例えばa0<b0である。しかし、本実施形態のフレキシブル配線基板1Bは、上述の数式(4)〜(6)の関係が満たされてさえいればよく、全ての銅配線5の幅を細くすることは必須の構成ではない。少なくとも、1本以上の銅配線の幅が細くなっていればよい。また、各銅配線の幅は、領域X内における幅も含めて一様である必要はない。さらに、上述の数式(4)〜(6)の関係が満たされている領域Xを、フレキシブル配線基板1Bの長手方向に沿って2箇所以上設けることもできる。
(実施形態3)
以下、本発明の液体吐出記録ヘッドユニット(以下「ヘッドユニット」と略す)の実施形態の一例について図および図5を参照しながら説明する。図4は、本実施形態のヘッドユニット20の構造を示す分解斜視図である。図5は、上述の実施形態のヘッドユニット20に用いられるフレキシブル配線基板1Bを示す平面図である。
本実施形態のヘッドユニット20は、フレキシブル配線基板1Bの他に、記録素子基板21、支持基板22、フィルタ(不図示)、タンクホルダー23などから構成されている。記録素子基板21は、シリコン製の基板であって、その表面には、インクを吐出させるためのエネルギーをする記録素子(ヒーター)と、各記録素子に電気信号を伝達するための電気配線とが少なくとも形成されている。また、基板の表面側には、記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口とがフォトリソ技術によって形成されている。さらに、基板には、複数のインク流路に連通するインク供給口が形成され、そのインク供給口は基板の裏面において開口している。以上の構造を有する記録素子基板21は、上述のインク供給口が支持基板22に設けられている液室(不図示)と連通するようにして、支持基板22の所定の面(搭載面)に接着固定されている。
フレキシブル配線基板1Bは、図3に示す本発明のフレキシブル配線基板1Bである。もっとも、図5に示すように、図3では省略されている長手方向一端には略長方形の開口25、26が設けられている点で相違している。開口25、26が設けられたフレキシブル配線基板1Bの一端は、2つの記録素子基板21が対応する開口25、26の内側にそれぞれ収まるようにして、記録素子基板21が固定されている支持基板22の搭載面に接着固定されている。また、フレキシブル配線基板1Bの銅配線5は記録素子基板21の所定の電気配線に接続されている。
記録素子基板21及びフレキシブル配線基板1Bが固定された支持基板22は、タンクホルダー23の底面にネジ27によって固定され、フレキシブル配線基板1Bの他端は、タンクホルダー23の背面に装着されているコンタクト配線基板28に接続されている。コンタクト配線基板28は、ヘッドユニット20が搭載される記録装置から出力される電気信号を受け取るための外部信号入力端子30を備えている。その外部信号入力端子30に入力された電気信号は、フレキシブル配線基板1Bを介して記録素子基板21に伝達され、この電気信号に基づいて記録素子基板21からインク等の液体を吐出する。
図4に示されているように、支持基板22が固定されているタンクホルダー23の底面と、コンタクト配線基板28が固定されているタンクホルダー23の背面とは略直交している。従って、一端が支持基板22に固定され、他端がコンタクト配線基板28に固定されたフレキシブル配線基板1Bは、折り曲げ部10において略直角に折り曲げられる。しかしながら、本発明の実施形態に係るフレキシブル配線基板1Bは、その折り曲げ部10を直角や直角に近い小さな曲げ半径で曲げても、フィルム剥がれや剥がれたフィルムの間からのインク侵入などが発生し難いことは、既に説明したとおりである。
ここで、組み上がったヘッドユニット20を後述する記録装置に搭載すると、折り曲げ部10は、記録シートを搬送するための搬送機構、及び記録素子基板21の吐出口に蓋をするためのキャップ機構の近傍に配置されることになる。この搬送機構には、より精度の高い搬送を実現するために、吐出口になるべく近い位置で記録シートを搬送ローラ等のローラ対で挟持搬送することが要求される。そのため、吐出口を配して記録シートと対面するへッドユニット20の吐出口配設面は、可能な限り小さい方が好ましい。一方、キャップ機構により吐出口を確実に覆うためには、キャップが当接する吐出口配設面は平面である方が好ましい。また、キャップ機構には、1つのキャップで複数の吐出口列を含む全吐出口を覆うことが要求される。後者の要求に応えるためには、記録素子基板21の近傍に配置されるキャップを記録素子基板21に当接させ、密着させるための十分なスペースを確保する必要がある。しかし、このスペースを大きくすると、搬送ローラ等の搬送機構が記録素子基板21から離れ、記録シートの搬送精度の低下を招く。よって、記録装置に搭載されたヘッドユニット20の周辺の空隙をなるべく少なくすることによって、トレードオフの関係にあるスペース上の問題を解決することが望まれる。また、ヘッドユニット20の周囲の空隙を少なくすることは、記録装置全体の小型化にも寄与する。
フレキシブル配線基板1Bの折り曲げ部10をなるべく小さな曲げ半径で曲げてへッドユニット20の外面に沿って配置することは、ヘッドユニット20が記録装置に搭載された際に、へッドユニット20の周囲の空隙を少なくする観点から非常に有効である。さらには、へッドユニット20のタンクホルダー23の外面に密着して弛み無くフレキシブル配線基板1Bを配置すると、よりへッドユニット20の周囲の空隙を少なくすることができる。
タンクホルダー23は、複数のインクタンク31(図6)を着脱可能である。タンクホルダー23に装着されたインクタンク31内のインクは、タンクホルダー23に設けられている流路を通って支持基板22の液室に供給される。
次に、本実施例のヘッドユニット20が搭載される記録装置の概略について図6および図7を参照しながら説明する。図6は記録装置の構造を示す一部省略の斜視図であり、図7は側面透視図である。
シャーシ101は、下ケース101aと上ケース101bとの組合せによって、内部に後述の各機構を収納する構造をなしている。102は、記録シートを装置本体内へ自動的に給送する自動給送部である。103は、自動給送部102によって1枚ずつ送り出される記録シートを所望の記録位置へと導き、さらに排出部106へと導く搬送部である。104は、搬送された記録シートに所望の記録を行う記録部である。105は、記録部104などに対する回復処理を行う回復部である。これら102〜105は、記録動作機構を構成している。
搬送部103は、LFローラ202、ピンチローラ203、及びプラテン204等を備えている。LFローラ202は、回動自在に支持された駆動軸に固定されており、不図示のLFモータの駆動力によって回転するようになっている。また、ピンチローラ203は、LFローラ202に圧接付勢されて、LFローラ202の回転に対して従動回転する。
ヘッドユニット20は、キャリッジ軸101に沿って記録シートの搬送方向と直交する方向(走査方向)へと往復移動するキャリッジ112に設置される。そして、キャリッジ112と共に移動し、記録開始位置に待機している記録シートにインクを吐出して所定の画像情報に基づいたインク像を記録する。排出部106は、排出ローラ206と、その排出ローラ206に押圧されて従動回転する回転体207を備える。
これまで説明した記録装置は、ヘッドユニット20がキャリッジ112に対して着脱可能に搭載されるカートリッジ方式ものである。もっとも、本発明のヘッドユニットは、インクタンクとヘッドユニットとが一体化され、キャリッジに対して着脱可能に搭載されるヘッドタンク一体形カートリッジ方式の記録装置にも適用することができる。さらに、ヘッドユニットとキャリッジとが一体化され、インクタンクのみが着脱可能な方式の記録装置にも適用することができる。
本発明のフレキシブル配線基板の実施形態の一例を示す横断面図である。 図1に示すフレキシブル配線基板の一部省略の平面図である。 本発明のフレキシブル配線基板の実施形態の他例を示す一部省略の平面図である。 本発明の液体吐出記録ヘッドユニットの実施形態の一例を示す分解斜視図である。 図4に示すフレキシブル配線基板の平面図である。 図4に示す液体吐出記録ヘッドユニットが搭載される記録装置の一部を示す斜視図である。 図4に示す液体吐出記録ヘッドユニットが搭載される記録装置の側面透視図である。 フレキシブル配線基板の従来構成を示す一部省略の平面図である。
符号の説明
1A、1B フレキシブル配線基板
2 ベースフィルム
5、5a、5b 銅配線
20 ヘッドユニット
21 記録素子基板

Claims (4)

  1. 外部からの電気信号に応じて液体を吐出する液体吐出へッドであって、
    前記液体を吐出する記録素子基板と、前記記録素子基板へ前記電気信号を供給するフレキシブル配線基板とを有し、
    前記フレキシブル配線基板は、基材の上に並列して配された配線フィルム剤によって被覆するように前記基材と前記フィルム剤とが接着され、前記基材の表面側又は裏面側に折り曲げ可能であって、前記配線を含み、該配線の長手方向に交差する方向に前記フレキシブル配線基板を折り曲げて形成された折り曲げ線上に、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向の両端が含まれ、かつ、前記折り曲げ線上における前記フレキシブル配線基板の端と該端に最も近い前記配線との間の間隔が前記折り曲げ線外における同間隔よりも大きい、液体吐出へッド。
  2. 請求項記載の液体吐出へッドにおいて、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向の幅が同一の領域の前記折り曲げ線上における、前記基材の幅に対する前記折り曲げ方向の前記配線の総幅の比が、前記領域における前記折り曲げ線外における同比よりも小さい、液体吐出へッド。
  3. 請求項又は請求項記載の液体吐出へッドにおいて、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向に複数の配線が並設され、前記フレキシブル配線基板の前記折り曲げ方向の幅が同一の領域の前記折り曲げ線上における前記折り曲げ方向の前記配線同士の間隔が、前記領域の前記折り曲げ線外における同間隔よりも小さい、液体吐出へッド。
  4. 請求項乃至請求項のいずれかに記載の液体吐出へッドにおいて、前記フレキシブル配線基板の折り曲げ方向の幅が同一の領域の前記折り曲げ線上における、前記折り曲げ方向の前記配線の幅が、前記領域の前記折り曲げ線外における同幅よりも小さい、液体吐出へッド。
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