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JP4677670B2 - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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JP4677670B2 JP2000397025A JP2000397025A JP4677670B2 JP 4677670 B2 JP4677670 B2 JP 4677670B2 JP 2000397025 A JP2000397025 A JP 2000397025A JP 2000397025 A JP2000397025 A JP 2000397025A JP 4677670 B2 JP4677670 B2 JP 4677670B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、新規な有機電界発光素子(以下有機EL素子)の製造方法、特に、素子のエージングに関する。
【0002】
【従来の技術】
高輝度発光が可能で薄く、低消費電力化が可能な有機EL素子は次世代の発光素子として着目されているが、長期間の安定な発光が実現されていないという問題がある。この問題に対してこれまでに有機EL素子全体の外側を覆って外気を遮断して有機層の劣化を防ぐ方法や、有機発光材料の耐久性の向上、電極電圧の低下などの方法が提案されている。素子寿命の長寿命化に関するこうした方法の一つとして、素子に対してエージング処理を施して素子特性を安定化させることが知られている(例えば、特開平5−182764号公報、特開平8−185979号公報、特開平10−208880号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平8−185979号公報には、有機EL素子を安定化させるエージング方法として、実際の素子使用時における駆動電流密度の5〜1000倍の電流密度でエージングする方法が提案されている。こうしたエージング処理は、有機EL素子は初期の輝度低下率が大きいので、製品として出荷する前に予め初期特性を変化させて特性を安定化させておく目的で行われている。しかし、素子の初期特性がどのように変化するまでエージングすればよいか、つまり処理時間等についての考察は現在までになされていない。ところが、エージング処理は、これを実行することで処理後の発光効率は低下するから、過度にエージングを行うと輝度の経時劣化は抑制できても、発光効率は著しく低下し、目的輝度を実現するために素子への印加電圧が大きくなってしまうという問題がある。
【0004】
また、特開平8−185979号公報では、エージング処理を室温で施している。しかし、処理温度が室温程度では、仮に実用輝度(数百cd/m2)において、10000時間の半減寿命を有する有機EL素子の場合、駆動時の電流密度の100倍の電流密度でエージングしても、エージングに1日程度の時間を要する。このような長時間のエージングは素子製造工程の効率化という点で大きな問題になる。
【0005】
また、他の問題として、従来、エージング条件の決定のための輝度の経時変化測定においては、実際の製品となる素子とは異なるテストピースが用いられていることが挙げられる。テストピースを用いてエージング条件を決定し、そのテストピースにおいてエージングによって、所望の長寿命化が達成されたとしても、実際の素子に同様のエージング処理を行ってテストピースで達成されたような長寿命化の効果が得られないという問題があった。この原因として、テストピースと製品となる素子とが異なる基板、異なるバッチにて製造されることにより、特性が同一にならないためと考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされ、エージング処理により素子間にばらつきなく安定した長寿命化の達成が可能な有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、以下のような特徴を備える。
【0008】
まず、有機EL素子の製造方法において、有機膜の成膜工程、電極の形成工程及び素子の封止工程に加え、さらに、エージング工程を備える。そして、このエージング工程は、予め測定した素子の輝度経時変化の測定結果を輝度低下関数でフィッティングして該輝度低下関数におけるフィッティングパラメータを求め、該求めたフィッティングパラメータを用い、経験式からエージング処理によって初期輝度から低下させる目標輝度を求め、該目標輝度まで前記素子の輝度が低下するよう前記素子を駆動することで実行する。
【0009】
また、有機EL素子の製造方法において、有機膜の成膜工程と、電極の形成工程と、素子の封止工程と、を含む製造工程により素子本体と共にテスト用発光部を形成し、さらに、前記テスト用発光部における輝度経時変化を測定し、測定結果を輝度低下関数でフィッティングして該輝度低下関数におけるフィッティングパラメータを求め、該求めたフィッティングパラメータを用いて、経験式からエージング処理によって初期輝度から低下させる目標輝度を求め、該目標輝度まで前記素子本体の輝度が低下するよう前記素子を駆動するエージング工程を有する
【0010】
た、前記エージング工程は、用いた前記有機膜の中で最も低いガラス転移温度以下かつ50°C以上の温度において、素子の初期輝度が1000〜20000cd/mを達成する定電流または定電圧供給条件で実行する。
【0011】
さらに、前記エージング工程の条件決定に用いられる前記フィッティングパラメータは、有機膜成膜、電極形成及び素子封止工程を経て製造され、かつエージング処理前の素子から、任意に選択した素子又は定期的に選択した素子に対して測定した前記輝度経時変化の測定結果に基づいて算出する。
【0012】
また、前記エージング工程におけるエージング実行条件と同一条件で素子の輝度経時変化を測定し、前記素子の発光輝度が、前記目標輝度に到達するまでの時間を測定し、求めた時間をエージング実行時間とする。
【0013】
以上のような手法によりエージング条件を最適化することができ、エージング処理により最終製品とした場合の有機EL素子の輝度の経時劣化を抑制でき、また素子間の特性ばらつきを低減することが容易となる。
【0014】
また、本発明では、上述のようにエージング処理における目標輝度や処理時間について、その決定に際し、有機EL素子それ自身又は該素子内に作り込んだテスト用発光部の輝度の経時劣化を予め測定することで算出する。このため、特性が必ずしも一致しない各有機EL素子に対しそれぞれに最適な条件でエージングを行うことが可能となる。
【0015】
また、前記輝度低下関数が下記式(1)
【数3】
Figure 0004677670
で表される。
【0016】
また、前記経験式が、下記式(2)
(1−a+aA min) ・・・(2)
但し、a=0.3〜1.2、A minは、式(1)のkのうち最小のkを示す項のAで表される。
【0017】
このように、本発明では、エージング条件の決定に際し、上記式(1)を用いてフィッティングする。上記式(1)に示されるように、輝度比L/L0は、複数の項の和で表され、輝度劣化は有機EL素子の本質的な劣化と初期劣化とに分離することができる。
【0018】
本質的劣化は、式(1)中、最も小さなkiを示す項で表される劣化成分であり、素子の駆動(通電)に伴い素子を構成する有機材料が電荷を伝搬する際に起こる酸化・還元反応により、有機化合物の一部が発光抑制種に変化するという化学反応に起因すると考えられる。
【0019】
また、式(1)中、上記以外の項が初期劣化成分である。これらは、印加された電界による有機膜での内部分極や不純物イオンによって内部電界が形成され実効的な電界が減少することに起因する、或いは発光層に色素をドープすることが関与した素子構造的な原因により発生する、などが可能性として考えられている。現段階でその原因は明確ではないが、初期劣化が発生することは事実として明らかである。
【0020】
式(1)においてフィッティングパラメータkは、劣化速度に対応した値(時定数)であり、経験式(2)に基づいて目標輝度を定めることにより、式(1)に表されている初期劣化成分を除去することが可能となる。また、Aiは、その総和が1であり、時定数kiが異なる指数関数の項についての分配係数となる。特に、式(1)の初期劣化成分を除去するために最適なエージング条件(目標輝度)は、式(2)においてa=1、つまりL×A minの場合である。但し、素子に要求される耐久性(輝度半減寿命)によっては、必ずしもa=1の条件を満たすまでエージング処理を行う必要はない。また、a=1を越えて過度にエージング処理を施すと、素子の発光効率が著しく低下してしまい、かえって駆動電圧の上昇が起こるなど好ましくない結果となる。エージングの程度としては、a=0.3〜1.2とするのが好適である。
【0021】
有機EL素子は、高温、高輝度発光の条件で駆動した場合であっても、輝度低下を伴う劣化のメカニズムは変わらず、劣化速度のみが加速することが本出願人の研究の結果判明した。つまり、室温、低輝度の条件でも、高温、高輝度の条件でも、素子の輝度低下(劣化)曲線は上記式(1)によってフィッティングすることができ、各項の係数Aiの値は、上記駆動条件が変化してもほぼ同じ値を示し、kiの値のみが変化する。このため、エージング工程に先立って輝度経時変化を測定し、その結果に基づいて上述のような目標輝度や、処理時間を決定する場合に、高温、高輝度発光などの駆動条件を採用することができる。つまり、本発明では、このようないわば劣化加速条件を測定条件として採用し、最適なエージング条件を迅速に求めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る有機EL素子の構成例を示している。この素子は、ガラスなどの透明基板10の上に、陽極としてITOなどの透明電極12、発光層を含む有機膜20、陰極として金属電極14がこの順に積層されて構成されている。また、これら積層構造を覆って保護膜16が形成されている。また、基板10の素子形成側からは金属などからなる封止キャップ30が被せられ、接着剤32によって基板10に接着されている。また封止キャップ30と基板上の素子との間の封止空間内に、素子の有機膜を劣化させる原因となる水分や、酸素などが侵入しないように、上記封止キャップ30の基板10への接着は、乾燥窒素雰囲気中で行われる。有機EL素子は以上のように積層形成され、さらに封止されて構成されている。
【0024】
本実施形態では、このような素子封止工程の後、得られた素子封止体に対してエージング工程を施す。このエージング工程は、実際のエージング処理に先立ち、まず以下のようにしてエージング条件を求める。
【0025】
まず、封止工程を経て得られた素子封止体を任意にサンプルとして抜き取り、所定条件下で、この素子封止体の輝度経時変化を測定する。
【0026】
次に、得られた測定結果を式(1)
【数4】
Figure 0004677670
で表される輝度低下関数を用いてフィッティングし、この輝度低下関数におけるフィッティングパラメータA (分配係数)及びk (時定数)を求める。なお、式(1)のnは、有機EL素子の構成によって異なり、一例としては、後述する図2のように発光層がドーピング材料を含んでいるような素子構成の場合、n=3とし、ノンドープタイプ素子構成の場合n=2に設定し、実際の輝度経時変化の測定結果との整合性を高める。
【0027】
ここで、上述の本質的劣化以外の初期劣化成分、つまり式(1)中、最も小さなkiを示す項以外の項は、その劣化速度が本質的劣化に比較しても非常に速く、本実施形態では、この初期劣化成分を除去する目的でエージング処理を実行する。そこで、本実施形態では、上記式(1)に基づいて求めたフィッティングパラメータAi及びkiに基づいて、下記経験式(2)
0(1−a+aAi min)・・・(2)
(但し、aは0.3〜1.2の範囲、Ai minは、式(1)のkiのうち最小のkiを示す項のAi)から、エージング処理の目標輝度、つまり初期輝度から低下させるべき目標輝度を算出し、これをエージングの目標輝度として設定する。
【0028】
以上のようにして目標輝度を求めた後、各素子封止体に対して該輝度までその素子初期輝度が低下するよう各素子を駆動し、エージング処理を実行する。このエージング処理に際し、処理温度は、有機膜20に用いた有機化合物の中で最も低いガラス転移温度(Tg)以下であって50°C以上とする。さらに、素子の初期輝度が1000〜20000cd/m2を達成する定電流または定電圧供給条件下で実行する。これらの処理条件は、特に、上記数値に限られるわけではないが、エージング処理を迅速に効率的に実行するために、素子の輝度低下を十分加速することのできる条件とすることが必要である。
【0029】
さらに本実施形態において、設定したエージング実行条件(駆動温度、駆動電流又は電圧)と同一の条件下にて、予め素子封止体の輝度経時変化を測定し、その素子封止体の発光輝度が、上記目標輝度に到達するまでの時間を測定し、その時間をエージング実行時間とする。このように、設定したエージング実行条件の下、目標輝度に到達するまでの時間を測定してその時間をエージング実行時間とすることで、過不足無く、かつ迅速に各素子にエージングを施すことができる。
【0030】
また、以上の説明では、製造した素子封止体を任意に抜き取って、エージング条件を定めるための輝度経時変化の測定に用いているが、これに限らず、例えば1日又は1週間に1回など、定期的に製造した素子封止体を抜き取って測定用に用い、その都度、エージング条件を決定してもよい。さらに、素子にエージング条件決定のためのテスト用発光部を作り込んでおき、全素子についてそのテスト用発光部の輝度経時変化を測定してそれぞれの素子に適したエージング条件を決定してもよい。このようにすれば、各素子に対してそれぞれ最適な条件でエージングを実行することができる。さらに、全ての素子に予めテスト用発光部を形成した場合であっても、もちろん、全素子について必ず輝度低下曲線を求めるための測定を実行しなくともよく、任意に又は定期的に抜き取って測定に用いてもよい。
【0031】
ここで、上述のように、有機EL素子は、高温、高輝度発光の条件で駆動した場合であっても、輝度低下を伴う劣化メカニズムは変わらず、劣化速度のみが加速する。従って、エージング工程に先立って輝度経時変化を測定し、その結果に基づいて上述の目標輝度や、処理時間を決定する場合に、高温、高輝度発光などの駆動条件を採用することができ、これによりエージング条件の決定を含め、エージング工程の短縮化を図ることが可能になる。特に、素子にテスト用発光部を作り込んで各素子についてそれぞれエージング条件を決定しなければならない場合でも、条件決定のための輝度経時変化の測定を高温、高輝度条件下で実行すれば、適切なエージング条件を迅速に求めることが可能となる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の実施例についてそれぞれ説明する。
【0033】
[実施例1]
実施例1として、図2に示すような断面構造の有機EL素子を用いた。この素子は、発光面をガラス基板上に複数個有するセグメント表示型の素子である。この有機EL素子は、基板上に透明電極(ITO)、有機膜及び金属電極(LiFとAlの積層体)を順に成膜し、さらに、大気にさらすことなく窒素雰囲気中で、基板の素子形成側をステンレス製(SUS)キャップと封止樹脂とを用いて封止し完成したものである。なお、ここでは、有機膜は、陽極側から順に、正孔注入層(CuPc)10nm、正孔輸送層(トリフェニールアミン4量体:TPTE)30nm、発光層(キナクリドン(Qd)1%ドープのアルミキノリノールAlq)20nm、電子輸送層(Alq)45nmの積層構造からなる。
【0034】
完成した素子(封止体)を85℃の恒温槽に設置し、発光領域(発光面)の1つに配線し、該発光領域に直流定電流を供給して発光させた。そのときの該発光領域における輝度を恒温槽に設けられているガラス窓を介して輝度計によりモニターした。恒温槽のガラス窓での光損失による輝度のロスを考慮し、ガラス窓の無い状態であれば初期輝度8000cd/m2となるように定電流を流し、輝度の経時変化を測定した。その結果を図3に示す。図3においてプロットした点が測定データである。
【0035】
この測定結果を上式(1)を用いてフィッティングした。その結果次式(3)
L/L0=0.668exp(-6.79×10-6t)+0.258exp(-1.38×10-4t)+0.074exp(-2.59×10-3t)
・・・(3)
を得た。なお、式(3)において時間tの単位は、秒である。
【0036】
上記式(3)は図3において実線で示した。図3からもわかるように、実測点と実線との整合性が高く、式(1)によるフィッティングが測定結果をよく再現できることがわかる。次に、式(2)においてa=1の場合を選択し、初期輝度8000cd/m2に対して輝度が5344cd/m2に低下するまで有機EL素子を定電流駆動することをエージング条件とした。
【0037】
次いで恒温槽内の同一素子の残りの発光面の一つに対して輝度計を設定し、その発光面の初期輝度が8000cd/m2となるように電流を流し、これと同じ電流密度の電流を残りの全ての発光面についても同時に流す。このようにして輝度をモニタしている発光面の輝度が前述したエージング条件である5344cd/m2に低下するまで、全発光面を同じ電流密度で定電流駆動し、エージング処理を行った。このエージングに要した時間はおよそ3時間であった。
【0038】
有機EL素子を自動車の車載ディスプレイとして用いる場合、夏場の日中ともなれば車内はかなりの高温となるためこのような高温下での耐久性が求められる。例えばこのような環境を想定し、85℃の温度雰囲気下で初期輝度400cd/m2、1000時間連続駆動後の輝度低下が30%以内に収まることが車載のための1つの基準であると考えられる。
【0039】
そこで、この85℃に設定した恒温槽内で輝度をモニタしていた発光面について、その輝度が400cd/m2となるよう電流値を設定し直し、再び定電流駆動にて輝度の経時変化を測定した。その結果を図4に示す。図4に示されるように1000時間経過後において313cd/m2の輝度を示し、輝度低下率は22%であり、上記基準「30%以内」をクリアしている。
【0040】
エージングを行った同一素子の他の発光面の内、5つの発光面を選択し、それらについても85℃の恒温槽内で初期輝度400cd/m2の定電流駆動を行い輝度の経時変化の測定を行った。1000時間経過後の輝度は、最も高いもので320cd/m2、最も低いもので307cd/m2、輝度低下率の平均は22%であり、同一素子内における発光面の輝度のばらつきは±3%以内であり良好であった。
【0041】
なお、本実施例では、素子がモノカラー表示であったため、単一のエージング条件でエージング処理を実行したが、幾つか異なる発光色を有するエリアカラー型のマルチカラー表示素子やRGB各画素を備えたフルカラー表示素子の場合には、それぞれの発光色の発光面に対し最適なエージング条件を選択し、エージング処理することが望ましい。
【0042】
[比較例1]
実施例1に用いた素子と同じ工程で作成した同じ構造の素子を85℃の恒温槽内に設置し、その素子の1つの発光面について、エージング処理無しで、初期輝度400cd/m2となる定電流駆動を行い輝度の経時変化を測定した。その結果を図5に示す。およそ700時間で30%の輝度低下を示し上述の基準を満たしていないことがわかる。
【0043】
[実施例2]
実施例1に用いた素子と同じ工程で作成した同じ構造の素子を用い、実施例1と同様に素子全体を85℃の恒温槽内に設置し、発光面の一つを直流定電圧駆動にて初期輝度8000cd/m2からその輝度の経時変化の測定を行った。このとき、輝度に加えて発光面に印加される電圧の経時変化についても測定を行った。その結果を図6にプロットした。図6において左縦軸は輝度比、右縦軸は電圧を示している。輝度の測定結果に対して上記式(1)を用いてフィッティングを行った。その結果、次式(4)を得た。
【0044】
L/L0=0.685exp(-7.04×10-6t)+0.238exp(-1.45×10-4t)+0.077exp(-2.46×10-3t)
・・・(4)
なお、時間tの単位としては秒を用いている。
【0045】
上記式(4)についても、上述の式(3)と同様、図6にプロットした点との整合性が高く、式(1)によるフィッティングにより測定結果をよく再現できることがわかる。エージングの条件としては、式(2)においてa=1の場合を選択し、初期輝度8000cd/m2に対して輝度が5480cd/m2に低下するまで有機EL素子を定電流駆動する必要があることがことがわかる。
【0046】
しかし、製造工程の都合上、エージング工程中に有機EL素子の発光面の輝度をモニタできない場合や、パッシブ駆動のドットマトリクスディスプレイのように全画素を同時に定電流駆動することが困難な場合、あるいはアクティブマトリクス型ディスプレイであっても、電源の都合上、全画素を同じ電流密度で定電流駆動することが困難な場合が想定される。本実施例では、そのような場合を想定し、定電圧駆動で、かつ、輝度をモニターすることなくエージングを行う時間を規定し、エージング処理を施した。図6の測定結果から、駆動開始後5時間後においても電圧(陽極と陰極の間に印加する電圧)の上昇は0.3V程度と極めて小さく、このことから、定電圧駆動によりエージング処理を行ったとしても、定電流駆動でエージングした場合にほぼ等しいエージング効果が期待される。定電圧でのエージング条件としては、まず、図6の測定に用いた発光面で初期輝度8000cd/m2を得た時の電圧8.68Vを印加電圧とした。エージング時間は式(4)からL/L0=0.685となるまでの時間を求め、その時間、ここでは3時間とした。そして、この8.68V、3時間の条件で85℃の恒温槽内でエージングを行った。このエージングの後、5個の発光面について、85℃、初期輝度400cd/m2の定電流駆動にて、輝度の経時変化を測定した。1000時間経過後の輝度は、最も高い発光面で314cd/m2、最も低い発光面で302cd/m2、平均で308cd/m2であり、輝度低下率の平均は23%であった。以上の結果から明らかなように定電圧駆動によるエージング処理であっても車載のための高温耐久性として、上述の基準「輝度低下30%以内」をクリアしている。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、有機EL素子におけるエージング条件の最適化を行うことができ、適切なエージング処理により、その後の有機EL素子の輝度の経時劣化を抑制することができる。また、素子間での特性ばらつき(電流−電圧−輝度特性及び寿命特性のばらつき)を極力小さくすることが出来る。また、高温下、高輝度発光させてエージング処理をすることで、短時間で効率的にエージングを実行できる。
【0048】
また、有機EL素子においては、その輝度の経時劣化とは別に耐久性に関し、素子の有機膜等の短絡による急激な輝度低下が問題となることがしばしばある。本発明では、上述のようなエージング処理、つまり別の表現では、目標輝度に到達するまで輝度低下加速条件にて素子を駆動する処理を各有機EL素子に対して行うため、このような急激な輝度低下をスクリーニングすることも可能であり、最終製品としての信頼性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る有機EL素子封止体の構成例を示す図である。
【図2】 本発明の実施例1及び2に用いた有機EL素子の概略断面を示す図である。
【図3】 本発明の実施例1の有機EL素子の輝度の経時変化及びフィッティングにより得た式を示す図である。
【図4】 本発明の実施例1において用いた素子のエージング処理後の輝度経時変化を示す図である。
【図5】 比較例1で用いた有機EL素子の輝度の経時変化を示す図である。
【図6】 本発明の実施例2で用いた有機EL素子の輝度及び電圧の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
10 基板(透明基板)、12 陽極(透明電極)、14 陰極(金属電極)、16 保護膜、20 有機膜、30 封止キャップ、32 接着剤。

Claims (3)

  1. 有機電界発光素子の製造方法において、
    有機膜の成膜工程と、
    電極の形成工程と、
    素子の封止工程と、
    予め測定した素子の輝度経時変化の測定結果を輝度低下関数でフィッティングして該輝度低下関数におけるフィッティングパラメータを求め、該求めたフィッティングパラメータを用い、経験式からエージング処理によって初期輝度から低下させる目標輝度を求め、該目標輝度まで前記素子の輝度が低下するよう前記素子を駆動するエージング工程と、を有し、
    前記エージング工程は、用いた前記有機膜の中で最も低いガラス転移温度以下かつ50°C以上の温度において、素子の初期輝度が1000〜20000cd/mを達成する定電流または定電圧供給条件で実行し、
    前記輝度低下関数は、下記式(1)
    Figure 0004677670
    で表され、
    前記経験式は、下記式(2)
    (1−a+aA min) ・・・(2)
    但し、aは、0.3〜1.2の範囲、A minは、式(1)のkのうち最小のkを示す項のAで表され、
    前記エージング工程におけるエージング実行条件と同一条件で素子の輝度経時変化を測定し、前記素子の発光輝度が、前記目標輝度に到達するまでの時間を測定し、求めた時間をエージング実行時間とすることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 有機電界発光素子の製造方法において、
    有機膜の成膜工程と、電極の形成工程と、素子の封止工程と、を含む製造工程によりテスト用発光部を作り込んだ素子を形成し、
    さらに、前記テスト用発光部における輝度経時変化を測定し、測定結果を輝度低下関数でフィッティングして該輝度低下関数におけるフィッティングパラメータを求め、該求めたフィッティングパラメータを用いて、経験式からエージング処理によって初期輝度から低下させる目標輝度を求め、該目標輝度まで前記素子本体の輝度が低下するよう前記素子を駆動するエージング工程を有し、
    前記エージング工程は、用いた前記有機膜の中で最も低いガラス転移温度以下かつ50°C以上の温度において、素子の初期輝度が1000〜20000cd/mを達成する定電流または定電圧供給条件で実行し、
    前記輝度低下関数は、下記式(1)
    Figure 0004677670
    で表され、
    前記経験式は、下記式(2)
    (1−a+aA min) ・・・(2)
    但し、aは、0.3〜1.2の範囲、A minは、式(1)のkのうち最小のkを示す項のAで表され、
    前記エージング工程におけるエージング実行条件と同一条件で素子の輝度経時変化を測定し、前記素子の発光輝度が、前記目標輝度に到達するまでの時間を測定し、求めた時間をエージング実行時間とすることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有機電界発光素子の製造方法において、
    前記エージング工程の条件決定に用いられる前記フィッティングパラメータは、有機膜成膜、電極形成及び素子封止工程を経て製造され、かつエージング処理前の素子から、任意に選択した素子又は定期的に選択した素子に対して測定した前記輝度経時変化の測定結果に基づいて算出することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法
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