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JP4673626B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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JP4673626B2
JP4673626B2 JP2004564507A JP2004564507A JP4673626B2 JP 4673626 B2 JP4673626 B2 JP 4673626B2 JP 2004564507 A JP2004564507 A JP 2004564507A JP 2004564507 A JP2004564507 A JP 2004564507A JP 4673626 B2 JP4673626 B2 JP 4673626B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08K5/00Use of organic ingredients
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Description

本発明は、ベース樹脂と、特定の有機リン化合物と、特定の難燃助剤(リン含有化合物、芳香族樹脂、窒素含有化合物、無機金属系化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物)とで構成された難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこの難燃性樹脂組成物で形成された成形体に関する。
熱可塑性樹脂のうち、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂等は、優れた機械的特性、電気的特性、耐候性、耐水性、耐薬品性や耐溶剤性を有するため、電気・電子部品、自動車部品など種々の用途に利用されている。一方、利用分野が拡大するにつれ、難燃特性の向上が検討されている。
従来より、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を用いた難燃剤を添加することにより、熱可塑性樹脂を難燃化する方法が提案されている。例えば、特開昭63−150349号公報(特許文献1)には、ポリアミド樹脂とナイロン66からなる混合樹脂に、ガラス繊維、有機ハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を配合して難燃化された樹脂組成物が開示されている。しかし、ハロゲン系難燃剤においては、燃焼分解時にダイオキシン系化合物を発生する場合があり、環境問題上好ましくない。そこで、非ハロゲン系難燃剤として、窒素含有化合物やリン系化合物等を使用して、難燃化する方法が提案されている。
特開平5−70671号公報(特許文献2)には、(A)固有粘度が0.3〜1.5dl/gのポリアルキレンテレフタレート、(B)強化充填材、(C)メラミン・シアヌル酸付加物、及び(D)レゾルシノールビスアリールホスフェートで構成された難燃性樹脂組成物が開示されている。また、特開平11−152402号公報(特許文献3)には、補強成分と、ポリ(ブチレンテレフタレート)、芳香族ホスフェートオリゴマー及びメラミンピロホスフェートを含む混合難燃剤を含有するポリマー成分とで構成された難燃化ポリエステル組成物が開示されている。さらに、特開2000−103973号公報(特許文献4)には、熱可塑性樹脂と、ホスホニル基(>P(=O)H)を有するリン化合物と、フェノール樹脂とを含む難燃性樹脂組成物が開示されている。
しかし、非ハロゲン系難燃剤は、有害なハロゲンを含まないものの、ハロゲン系難燃剤と比較して、難燃効果が劣るため、多量の難燃剤を必要とする。リン酸エステル系やホスホニル基を有するリン化合物系難燃剤の添加は、ブリードアウトや樹脂の機械的特性の低下を引き起こす。そのため、難燃性とともに、機械的特性を向上させることができない。
このように、従来の方法では、樹脂の特性を低下させることなく、高い難燃性を付与することは困難である。また、上記の難燃剤においては、特定の樹脂に対して難燃化可能であるものの、幅広い熱可塑性樹脂に対しては、高い難燃性を付与できない。
特開昭63−150349号公報 特開平5−70671号公報 特開平11−152402号公報 特開2000−103973号公報
従って、本発明の目的は、少量の難燃剤であっても、高いレベルで難燃化された非ハロゲン系難燃性樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、樹脂の特性を低下させることなく、難燃剤のモールドデポジット及びブリードアウト(又はブルーミング)を有効に抑制でき、高度に難燃化された難燃性樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、難燃性が改善された成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、ベース樹脂に、特定の有機リン化合物と難燃助剤とを組み合わせて添加することにより、高いレベルで難燃化できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂(A)と、有機リン化合物(B)と、難燃助剤(C)とで構成された難燃性樹脂組成物であって、前記有機リン化合物(B)は下記式(1a)
Figure 0004673626
(式中、Arは芳香族炭化水素環又は窒素含有芳香族複素環を示し、X1は酸素原子又はイオウ原子を示し、Y1及びY2は同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を示し、Z1はアルキレン基又はアルキルアミンに対応する窒素含有二価基を示す。Y1及びY2は互いに結合して隣接するリン原子とともに環を形成してもよい。aは0又は1を示し、bは1〜6の整数を示す)
で表されるユニットを有する化合物である。
前記ベース樹脂(A)は、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などであってもよい。前記ポリエステル系樹脂は、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、C2-4アルキレンテレフタレート(エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)及びC2-4アルキレンナフタレートから選択された少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポリエステルであってもよい。
前記有機リン化合物(B)は下記式(1)で表される化合物であってもよい。
Figure 0004673626
(式中、R1は有機基を示し、cは0〜9の整数を示す。Ar、X1、Y1、Y2、Z1、a及びbは前記に同じ)
前記式(1)において、R1は、炭化水素基、N−置換アミノ基、アミノ基含有炭化水素基、ヒドロキシル基、置換ヒドロキシル基などの有機基(特にヒドロキシル基又は置換ヒドロキシル基)、環Arは、C6-20芳香族炭化水素環(C6-12芳香族炭化水素環など)又は環の構成原子として1〜4個の窒素原子を有する6〜20員芳香族複素環、Y1及びY2で表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基、Y1及びY2が隣接するリン原子とともに形成する環は、リン原子を環を構成するヘテロ原子として有する4〜20員ヘテロ環などであってもよい。前記有機リン化合物(B)は、下記式(2)〜(4)で表される化合物のうち少なくとも一種で構成されていてもよい。
Figure 0004673626
[式中、X2は酸素原子又はイオウ原子を示し、Y3は、P及びX2を環の構成原子として含み、置換基を有していてもよい5〜10員環を示し、Y4及びY5は同一又は異なって、Pを環の構成原子として含み、置換基を有していてもよい4〜10員環を示し、Z2はアルキレン基を示し、R2は水素原子、アルキル基、下記式(2a)、(3a)、又は(4a)
Figure 0004673626
(式中、X1、X2及びY1〜Y5は前記に同じ)
で表される基を示し、d及びeは同一又は異なって、0又は1を示し、eが1である場合、dは1である。R1、Ar、X1、Y1、Y2、及びa〜cは前記に同じ]
前記式(3)及び(3a)において、環Y3とX1とX2とで形成されるリン含有基は下記式で表される基であってもよく、式中の芳香環には有機置換基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、シアノ基など)を有してもよい。
Figure 0004673626
前記有機リン化合物(B)は、ジアリールホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類、ジアルキルホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類、10−(ポリヒドロキシアリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類、及びシクロアルキレンホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類などであってもよい。また、前記有機リン化合物(B)は、モノ又はビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]ベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類、モノ又はビス[(シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類、及びN−モノ又はN,N−ビス[(シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類などであってもよい。有機リン化合物(B)は、前記式(1)において、R1がヒドロキシル基又はエステル形成可能な誘導体基であり、cが2以上であるリン含有ポリヒドロキシ化合物と、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分とから得られるオリゴマー又はポリマーであってもよい。
前記難燃助剤(C)は、(C1)(c1)無機リン化合物、(c2)オルトリン酸エステル又はその縮合物、(c3)リン酸エステルアミド、(c4)ホスホニトリル化合物、(c5)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する亜リン酸エステル又はその金属塩、及び(c6)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する有機ホスフィン酸化合物又はその金属塩から選択されたリン含有化合物、(C2)芳香族樹脂、(C3)非リン系の窒素含有環状化合物又はその塩、(C4)無機金属系化合物、(C5)硫黄含有化合物、(C6)ケイ素含有化合物などであってもよい。
前記難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂(A)と、下記式(2)〜(4)から選択された少なくとも一種の有機リン化合物(B)と、難燃助剤(C)とで構成された難燃性樹脂組成物であってもよい。
Figure 0004673626
(式中、dは1である。R1、R2、Ar、X1、Y1、Y2、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
Figure 0004673626
(式中、R1、R2、Ar、X1、X2、Y3、Z2、及びb〜eは前記に同じ)
Figure 0004673626
(式中、dは1である。R1、R2、Ar、X1、Y4、Y5、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
このような難燃性樹脂組成物において、有機リン化合物(B)は下記式(2c)、(3b)、(3c)及び(4c)から選択された少なくとも一種の化合物であってもよい。
Figure 0004673626
(式中、R1、R2、Ar、Y1〜Y5、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
ベース樹脂(A)100重量部に対して、有機リン化合物(B)及び難燃助剤(C)の総量は0.01〜300重量部程度であってもよく、前記有機リン化合物(B)と前記難燃助剤(C)との割合は、前者/後者=5/100〜1000/100程度であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤、フッ素系樹脂、及び充填剤から選択された少なくとも一種を含んでもよい。
本発明には、ベース樹脂(A)と、前記有機リン化合物(B)と、前記難燃助剤(C)とを混合して難燃性樹脂組成物を製造する方法、並びに前記難燃性樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。
本発明では、ベース樹脂と、特定の有機リン化合物及び難燃助剤とを組み合わせるので、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、少量であっても難燃化でき、高いレベルで難燃化できる。また、樹脂の特性が低下させることなく、難燃剤のモールドデポジット及びブリードアウト(又はブルーミング)を有効に抑制でき、高度に難燃化できる。さらに、このような樹脂組成物により、難燃性が改善された成形体を得ることができる。
[ベース樹脂(A)]
ベース樹脂としては、成形用として利用される種々の樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトンの重縮合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホモポリエステル又はコポリエステルである。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、飽和ポリエステル系樹脂、特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数4〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜14程度のジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜16程度のジカルボン酸)、又はこれらの誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
好ましいジカルボン酸成分には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が含まれる。
ジオール成分には、例えば、脂肪族アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコール、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコール)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用してもよい。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
好ましいジオール成分には、C2-6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコール)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。
ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが含まれる。
好ましいポリエステル系樹脂には、アルキレンテレフタレート、アルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステル[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンナフタレート)などのホモポリエステル;アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含有するコポリエステル]が含まれる。特に好ましいポリエステル系樹脂には、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートコポリエステル)、トリメチレンテレフタレート単位を主成分とするポリトリメチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートコポリエステル)やエチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリエステル)が含まれる。なお、これらのポリエステル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、コポリエステルにおいて、共重合可能な単量体としては、C2-6アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール(ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど)、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール[2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパンなど]、C6-12脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸など)、オキシカルボン酸(オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)などが挙げられる。なお、ポリエステル系樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、架橋されていてもよい。また、液晶ポリエステルであってもよい。
ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより製造できる。
(2)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなど)の単独又は共重合体;スチレン系単量体とビニル単量体(例えば、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などのα,β−モノオレフィン性不飽和カルボン酸又は酸無水物あるいはそのエステルなど)との共重合体;スチレン系グラフト共重合体、スチレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、ゴム成分にスチレン系単量体が重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレン系グラフト又はブロック共重合体などが含まれる。ポリスチレン系グラフト共重合体としては、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体および共重合性単量体がグラフト重合した共重合体(例えば、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したABS樹脂、アクリルゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したAAS樹脂、塩素化ポリエチレンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したACS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、エチレン−プロピレンゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、ポリブタジエンにスチレンとメタクリル酸メチルをグラフト重合したMBS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムにスチレン及びアクリロニトリルがグラフト重合した樹脂などが挙げられる。ブロック共重合体としては、ポリスチレンブロックとジエン又はオレフィンブロックとで構成された共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体)などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。
(3)ポリアミド系樹脂
ポリアミドには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導されるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリアミド;ラクタム、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸との併用により誘導されたポリアミドが含まれる。ポリアミドには、少なくとも2種の異なったポリアミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれる。
ジアミンとしては、例えば、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ジアミンが挙げられる。また、フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンを併用してもよい。これらのジアミンは1種で又は2種以上使用できる。
ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸などのC4-20脂肪族ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(ダイマー酸);シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸やテレフタル酸、ナフタレンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、例えば、アミノヘプタン酸、アミノノナン酸、アミノウンデカン酸などのC4-20アミノカルボン酸が例示される。アミノカルボン酸も一種で又は二種以上使用できる。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカラクタムなどのC4-20ラクタムが挙げられる。これらのラクタムも1種で又は2種以上組み合せて使用できる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸および/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなど)とから得られるポリアミド、芳香族および脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は混合して使用できる。好ましいポリアミドには、非芳香族及び脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12など)、半芳香族ポリアミド(ナイロンMXD6、ナイロン9Tなど)、半芳香族共重合ポリアミド(ナイロン6T/6、ナイロン6T/66、ナイロン6T/12、ナイロン6I/6、ナイロン6I/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/6I/6、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/M5Tなど)などが含まれる。ポリアミド系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましくはビスフェノール化合物である。
ビスフェノール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4-10シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトンなどが挙げられる。
好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカーボネート系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリフェニレンオキシド系樹脂
ポリフェニレンオキシド系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂)には、単独重合体および共重合体が含まれる。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−メトキシ−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレン)オキシド等のポリ(モノ、ジ又はトリC1-6アルキル−フェニレン)オキシド、ポリ(モノ又はジC6-20アリール−フェニレン)オキシド、ポリ(モノC1-6アルキル−モノC6-20アリール−フェニレン)オキシドなどが挙げられる。
ポリフェニレンオキシドの共重合体としては、前記単独重合体のモノマーユニットを2つ以上有する共重合体(例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド単位と、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンオキシド単位とを有するランダム共重合体など)、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂などのベンゼン環含有化合物のホルムアルデヒド縮合物)やアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂に、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどのアルキルフェノールを反応させて得られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアルデヒド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレンオキシドブロックとで構成された変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合体にスチレン系モノマー及び/又は不飽和酸無水物がグラフトしている変性グラフト共重合体などが挙げられる。ポリフェニレンオキシド系樹脂は1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(6)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル;塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、クロロプレン);フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど);メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのビニルアミン類など)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。
前記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)も使用できる。これらのビニル系樹脂は1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(7)オレフィン系樹脂
オレフィン系樹脂としては、例えば、鎖状オレフィン(エチレン、プロピレンなどのα−C2-10オレフィンなど)、環状オレフィン、又はこれらの誘導体(アルキル置換体、カルボキシ置換体など)などの単独又は共重合体が挙げられる。前記環状オレフィンとしては、シクロアルケン(シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのC3-10シクロアルケンなど)、シクロアルキン(シクロプロピン、シクロブチン、シクロペンチン、シクロヘキシン、シクロオクチンなどのC3-10シクロアルキンなど)、架橋環式シクロオレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジシクロヘプタジエン、テトラジシクロドデセン、ヘキサシクロヘプタデセンなど)などが挙げられる。
好ましいオレフィン系樹脂としては、α−C2-3オレフィン系樹脂[例えば、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸金属塩共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(エチレン−エチルアクリレート共重合体など)、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体など]、環状オレフィン系樹脂(例えば、環状オレフィンの単独重合体、α−C2-10オレフィン−環状オレフィン共重合体など)などが挙げられる。
(8)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸又はそのエステルなど)の単独又は共重合体の他、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体などが含まれる。
(9)その他の樹脂
その他の樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、脂肪族ポリケトン系樹脂(ケトン樹脂);ポリスルホン(例えば、熱可塑性ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホンなど);ポリエーテルケトン;ポリ(エーテルエーテルケトン);ポリエーテルイミド;熱可塑性ポリウレタン系樹脂(例えば、トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、前記グリコール及び/又は前記ジアミンとの反応により得られる重合体、ポリテトラメチレングリコールなどのセグメントを有していてもよいポリウレタンエラストマーなど);熱可塑性ポリイミド;ポリオキシベンジレン;熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
これらの高分子化合物を、単独でまたは二種以上組合わせて使用してもよい。
好ましいベース樹脂としては、液晶ポリエステルであってもよいポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられる。特にポリエステル系樹脂(PBT系樹脂、PTT系樹脂、PET系樹脂など)が好ましい。また、ポリエステル系樹脂(PBT系樹脂、PTT系樹脂、PET系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリフェニレンオキシド系樹脂から選択された少なくとも一種(特にポリエステル系樹脂)とスチレン系樹脂とを併用してもよい。
前記ベース樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、樹脂の種類や用途に応じて適宜選択され、例えば、5×103〜200×104、好ましくは1×104〜150×104、さらに好ましくは1×104〜100×104程度の範囲から選択できる。また、ベース樹脂がポリエステル系樹脂の場合、数平均分子量は、例えば、5×103〜100×104、好ましくは1×104〜70×104、さらに好ましくは1.2×104〜30×104程度であってもよい。
[有機リン化合物(B)]
有機リン化合物(B)は、下記式(1a)で表されるユニットを有する化合物である。
Figure 0004673626
(式中、Arは芳香族炭化水素環又は窒素含有芳香族複素環を示し、X1は酸素原子又はイオウ原子を示し、Y1及びY2は同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を示し、Z1はアルキレン基又はアルキルアミンに対応する窒素含有二価基を示す。Y1及びY2は互いに結合して隣接するリン原子とともに環を形成してもよい。aは0又は1を示し、bは1〜6の整数を示す)
このような有機リン化合物には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 0004673626
(式中、R1は有機基を示し、cは0〜9の整数を示す。Ar、X1、Y1、Y2、Z1、a及びbは前記に同じ)
前記式(1)において、R1で表される有機基としては、アルキル基[メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどのC1-10アルキル基(C1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基など)など]、シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基、特にC5-8シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル、ナフチル基などのC6-20アリール基(C6-14アリール基、特にC6-10アリール基など)など]、アラルキル基[ベンジル、フェネチル基などのC6-20アリール−C1-6アルキル基(C6-14アリール−C1-6アルキル基、特にC6-10アリール−C1-4アルキル基など)など]などの炭化水素基;N−置換アミノ基[例えば、アミノ基の窒素原子に炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)が1又は2個置換したN−置換アミノ基(N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基など)又はN,N−二置換アミノ基(N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基など)など];アミノ基含有炭化水素基[アミノ基を1又は複数(例えば、2〜4)個有する炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)、例えば、アミノアルキル基(アミノC1-6アルキル基など)、アミノアリール基(モノ又はジアミノC6-10アリール基など)など];ヒドロキシル基;置換ヒドロキシル基(ヒドロキシル基の水素原子が置換された誘導体基)などが挙げられる。
前記置換ヒドロキシル基としては、アルコキシ基[ヒドロキシル基のアルキルエーテル誘導体基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシなどのC1-10アルコキシ基(C1-6アルコキシ基、特にC1-4アルコキシ基など)など]、シクロアルキルオキシ基(すなわち、ヒドロキシル基のシクロアルキルエーテル誘導体基、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基、特にC5-8シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基[すなわち、ヒドロキシル基のアリールエーテル誘導体基、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ基などのC6-20アリールオキシ基(C6-14アリールオキシ基、特にC6-10アリールオキシ基など)など]、アラルキルオキシ基[すなわち、ヒドロキシル基のアラルキルエーテル誘導体基、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ基などのC6-20アリール−C1-6アルコキシ基(C6-14アリール−C1-6アルコキシ基、特にC6-10アリール−C1-4アルコキシ基など)など]などが挙げられる。また、ヒドロキシル基の水素原子が置換された誘導体基、例えば、エステル基[アルキルカルボニルオキシ基(すなわち、アルキルカルボン酸エステル誘導体基、例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ基などのC1-6アルキル−カルボニルオキシ基など)、アリールカルボニルオキシ基(すなわち、アリールカルボン酸エステル誘導体基、例えば、フェニルカルボニルオキシ基などのC6-10アリール−カルボニルオキシ基など)、アラルキルカルボニルオキシ基(ベンジルカルボニルオキシ基などのC6-10アリール−C1-4アルキル−カルボニルオキシ基など)、アルコキシカルボニルオキシ基(メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ基などのC1-4アルコキシ−カルボニルオキシ基など)、アリールオキシカルボニルオキシ基(フェノキシカルボニルオキシ基などのC6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基など)など];アルキレンオキシド付加基[エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド(例えば、C2-3アルキレンオキシド)付加基など];イミノエステル基[アルキルイミノカルボニルオキシ基(メチルイミノカルボニルオキシ、エチルイミノカルボニルオキシ基などのC1-4アルキルイミノ−カルボニルオキシ基など)、アリールイミノカルボニルオキシ基(フェニルイミノカルボニルオキシ基などのC6-10アリールイミノ−カルボニルオキシ基など)など];グリシジルエーテル基などが挙げられる。
好ましいR1は、ヒドロキシル基、置換ヒドロキシル基(アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など)、特にヒドロキシル基である。また、これらのヒドロキシル基又は置換ヒドロキシル基とともに、アルキル基、アリール基、アラルキル基(特にC1-6アルキル基及びC6-10アリール基など)などの炭化水素基、アミノ基などを併有するのも好ましい。
前記式(1a)及び(1)において、Arで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ポリアリール類[ビフェニル環;2,2−ビフェニルプロパンなどのビスC6-10アリール−C1-4アルカンに対応する芳香族環;ジフェニルスルホンなどのビスC6-10アリールスルホンなどのC6-20ビスアリール類(C6-14ビスアリール類など)]などのC6-20芳香族炭化水素環(C6-14芳香族炭化水素環)などが挙げられる。また、窒素含有芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン[1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン(特に1,3,5−トリアジン)などのトリアジン]などの単環式複素環;多環式複素環[キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン(1,8−ナフチリジン環など)、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、フェナンスリジン、アクリジンなど]などの環の構成原子として1〜4個の窒素原子を有する6〜20員(例えば、6〜14員)芳香族複素環が挙げられる。好ましい芳香族環は、C6-12芳香族炭化水素環、環の構成原子として1〜3個の窒素原子を有する6〜10員芳香族複素環などである。
環ArにおけるR1の置換位置は、通常、芳香族環Arを構成する炭素原子上である。Arが単環式炭化水素環(ベンゼン環、単環式窒素含有環)である場合、置換位置は炭素原子上であれば、リン含有基(前記式(1)において基>P(=X1)−を含む基)に対して、2〜6位のいずれであってもよい。また、Arが多環式炭化水素環(例えば、ビフェニルなどのポリアリール類;ナフタレン、フェナントレンなど)又は多環式複素環である場合、R1は、炭素原子上であれば、多環式炭化水素環を構成するいずれの環のいずれの位置の炭素原子に置換していてもよい。なお、Arが縮合環(ナフタレン環、フェナントレン環など)である場合、R1のうちヒドロキシル基又は置換ヒドロキシル基は、リン含有基が置換している環に置換しているのが好ましく、他の置換基は他の環に置換しているのが好ましい。
環Arに関連して、リン原子に直接又は間接的に結合する基−Ar−R1が、下記式で表される2,5−ジヒドロキシフェニル、2,7−ジヒドロキシナフチル基(2−(1,4−ジヒドロキシナフチル)基)、2−ヒドロキシ−5−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル基、又はこれらの誘導体基(R1がヒドロキシル基の誘導体基、例えば、エステル基、エーテル基、アルキレンオキサイド付加基などである場合)であるのが好ましい。
Figure 0004673626
前記式(1a)及び(1)において、X1は好ましくは酸素原子である。
前記式(1a)及び(1)において、Y1及びY2としては、前記R1の項で例示の炭化水素基(特に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基など)、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びアラルキルオキシ基が例示できる。難燃性の点からは、Y1及びY2の双方が炭化水素基、又は少なくとも一方が芳香族性基(すなわち、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基)であるのが好ましい。
1及びY2は、前記R1の項で例示のアルキル基、アミノ基、N−置換アミノ基、アミノ基含有炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基などの置換基を1〜3個(例えば、1又は2個)程度有していてもよい。
1及びY2がリン原子と共に形成する環としては、リン原子を環を構成するヘテロ原子として有する4〜20員ヘテロ環、好ましくは5〜16員ヘテロ環などが挙げられ、非芳香族性環及び芳香族性環のいずれであってもよい。また、前記環は、ビシクロ環であってもよい。
前記ヘテロ環は、前記R1の項で例示の置換基、例えば、炭化水素基[前記例示のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの他、アルケニル基(ビニル基、アリル基などのC2-10アルケニル基、特にC2-6アルケニル基など)、シクロアルケニル基(シクロヘキセニル基などのC5-8シクロアルケニル基など)なども含む]、アミノ基、N−置換アミノ基、アミノ基含有炭化水素基、ヒドロキシル基、置換ヒドロキシル基などを有していてもよい。好ましい置換基は、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基などである。置換基の個数は、特に制限されず、ヘテロ環の員数に応じて、例えば、1〜9個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個(例えば、1又は2個)程度である。
前記式(1a)及び(1)において、bは1〜6の整数、好ましくは1〜5の整数、さらに好ましくは1〜4の整数である。
前記式(1)において、cは0〜9の整数、好ましくは1〜6の整数、さらに好ましくは1〜4の整数である。
前記式(1)の有機リン化合物(B)には、例えば、下記式(2)〜(4)で表される化合物が含まれる。
Figure 0004673626
[式中、X2は酸素原子又はイオウ原子を示し、Y3は、P及びX2を環の構成原子として含み、置換基を有していてもよい5〜10員環を示し、Y4及びY5は同一又は異なって、Pを環の構成原子として含み、置換基を有していてもよい4〜10員環を示し、Z2はアルキレン基を示し、R2は水素原子、アルキル基又は下記式(2a)〜(4a)
Figure 0004673626
(式中、X1、X2及びY1〜Y5は前記に同じ)
で表される基を示し、d及びeは同一又は異なって、0又は1を示し、eが1である場合、dは1である。R1、Ar、X1、Y1、Y2、及びa〜cは前記に同じ]
前記式(2)〜(4)において、X2は、好ましくは酸素原子である。
前記式(2)〜(4)において、二価基−Z2−N(R2)−は、前記式(1)における二価基Z1に対応し、Z2で表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基などのアルキレン基(C1-6アルキレン基など)などが挙げられる。好ましいアルキレン基は、C1-4アルキレン基(特にC1-2アルキレン基)である。
前記式(2)〜(4)において、R2で表わされるアルキル基としては、メチル、エチル基などのC1-6アルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)などが挙げられる。R2は、好ましくは水素原子、C1-2アルキル基又は前記式(2a)〜(4a)で表されるリン含有基である。
前記式(2)〜(4)において、bは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数、特に1又は2である。
前記式(2)〜(4)において、cは好ましくは0〜4の整数、さらに好ましくは0〜3(例えば、1〜3)の整数、特に1又は2である。
前記式(2)で表される有機リン化合物は、好ましくは下記式(2b)又は(2c)で表される。
Figure 0004673626
(式中、R1、R2、Ar、Y1、Y2、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
式(2b)において、cは好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1又は2、特に2である。
式(2c)において、bは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。また、cが0である場合、bは1〜4の整数(例えば、1又は2)であってもよい。式(2c)において、cは好ましくは0〜3の整数である。
前記式(2b)で表わされる有機リン化合物としては、ジアルキルホスフィンオキシド類[ジメチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジエチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジプロピルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジブチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジオクチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、メチルエチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、エチルブチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、及びこれらのジアルキルホスホニル−ハイドロキノンに対応するジアルキルホスホニル−ナフタレンジオール(ジアルキルホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びジアルキルホスホニル−ジヒドロキシビフェニル(ジアルキルホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのジC1-10アルキル−C6-20アレーンポリオールなど]、ジシクロアルキルホスフィンオキシド類[ジシクロペンチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジシクロヘキシルホスホニル−1,4−ハイドロキノン及びこれらのジシクロアルキルホスホニル−ハイドロキノンに対応するジシクロアルキルホスホニル−ナフタレンジオール(ジシクロアルキルホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びジシクロアルキルホスホニル−ジヒドロキシビフェニル(ジシクロアルキルホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのジC5-10シクロアルキル−C6-20アレーンポリオールなど]、アリールホスフィンオキシド類[ジアリールホスホニル−ハイドロキノン類(ジフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジトリルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジキシリルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジ(トリメチルフェニル)ホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジナフチルホスホニル−1,4−ハイドロキノンなど)、アルキルアリールホスホニル−ハイドロキノン類(メチルフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、エチルフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ブチルフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノンなど)、アリールアリールオキシホスホニル−ハイドロキノン類(フェニルフェノキシホスホニル−1,4−ハイドロキノン、フェニルトリルオキシホスホニル−1,4−ハイドロキノン、フェニルキシリルオキシホスホニル−1,4−ハイドロキノンなど)、これらのアリールホスホニル−ハイドロキノン類に対応するアリールホスホニル−ナフタレンジオール類(アリールホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びアリールホスホニル−ジヒドロキシビフェニル類(アリールホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのモノ又はジC6-20アリールホスホニル−C6-20アレーンポリオールなど]、アラルキルホスフィンオキシド類[アラルキルホスホニル−ハイドロキノン類(ベンジルフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジベンジルホスホニル−1,4−ハイドロキノンなど)、アラルキルホスホニル−ハイドロキノン類に対応するアラルキルホスホニル−ナフタレンジオール(アラルキルホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びアラルキルホスホニル−ジヒドロキシビフェニル(アラルキルホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのモノ又はジ(C6-20アリール−C1-6アルキル)ホスホニル−C6-20アレーンポリオールなど]などが例示できる。
前記式(2b)で表される有機リン化合物のうち、特に、ジアリールホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類(ジフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジフェニルホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)、ジアルキルホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類(ジエチルホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ジエチルホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)などが好ましい。
前記式(2c)で表される化合物において、e=0である有機リン化合物の例としては、Arがベンゼンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、1,3−又は1,4−ビス[(ジエチルホスホニル)メチル]ベンゼンなどのモノ又はビス[(ジC1-10アルキルホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類;1,3−又は1,4−ビス[(ジフェニルホスホニル)メチル]ベンゼンなどのモノ又はビス[(ジC6-20アリールホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類などが挙げられる。これらの化合物のうち、特にZ2がメチレンであるベンジル誘導体又はキシリレン誘導体が好ましい。
前記式(2c)において、e=0である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、前記Arがベンゼン環である化合物に対応する芳香族複素環類、例えば、(ジC1-10アルキルホスホニル)C1-4アルキル芳香族複素環類;(ジC6-20アリールホスホニル)C1-4アルキル芳香族複素環類などが挙げられる。
前記式(2c)において、e=1である化合物のうち、Arがベンゼンである化合物としては、N−モノ又はN,N−ビス[(ジC1-10アルキルホスホニル)C1-4アルキル]アミノベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(ジC6-20アリールホスホニル)C1-4アルキル]アミノベンゼン類などが挙げられる。
前記式(2c)において、e=1である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、Arがトリアジンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、N−モノ又はN,N−ビス[(ジC1-10アルキルホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類、N−モノ又はN,N−ビス[(ジC6-20アリールホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類などが挙げられる。
前記式(3)で表される有機リン化合物は、好ましくは下記式(3b)又は(3c)で表される。
Figure 0004673626
(式中、R1、R2、Ar、Y3、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
前記式(3b)において、cは好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に2である。
前記式(3c)において、bは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。また、cが0である場合、bは1〜4の整数(例えば、1又は2)であってもよい。式(3c)において、cは好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2、特に0又は1である。
前記式(3)、及び(3a)〜(3c)において、Y3で表されるP及びX2を環の構成原子として含む環は、前記式(1)におけるY1、Y2及びリン原子で形成されるヘテロ環に相当し、P及びX2をヘテロ原子として含む5〜10員ヘテロ環、好ましくは5〜8員ヘテロ環、特に5又は6員ヘテロ環であり、非芳香族環であるのが好ましい。非芳香族性ヘテロ環Y3は、1〜2個の炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。環Y3は前記例示の置換基を有していてもよい。
また、環Y3には、置換基として芳香族環[前記R1の項で例示のアリール基に対応する芳香族環(ベンゼン、ナフタレン環などのC6-10芳香族環、特にベンゼン環)]が、1〜3個(特に、1又は2個)程度縮合(ortho縮合及びortho and peri縮合、特にortho縮合)していてもよい。
ヘテロ環Y3に縮合する芳香族環には、1〜4個、好ましくは1〜3個(例えば、1又は2個)程度の置換基[ヒドロキシル基;前記R1の項で例示のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルコキシ基;アシル基(アセチル基などのC1-4アルキル−カルボニル基など);シアノ基などの有機基など]を有していてもよい。
このような芳香族環が縮合した環Y3とX1とで形成されるリン含有基としては、X1が酸素原子である下記式で表わされる10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンオキシド基などが好ましい。
Figure 0004673626
この式において、各芳香環には1〜4個程度の有機置換基(特に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、シアノ基などの前記例示の有機基など)を有してもよい。
前記式(3b)で表わされる有機リン化合物としては、R1としてヒドロキシル基を有する化合物を例に挙げて説明すると、10−(モノ又はポリヒドロキシC6-20アリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類[10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−[2−ヒドロキシ−5−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル]−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,5−ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)−1,4−ハイドロキノン、2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼンなど]、10−(モノ又はポリヒドロキシ−C1-6アルキル−C6-20アリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類[10−(2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシ−4−t−ブチルフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど]、10−(モノ又はポリヒドロキシ−C6-20アリールC1-4アルキル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類[10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど]などが例示できる。
前記式(3b)で表される有機リン化合物のうち、特に、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−[2−ヒドロキシ−5−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル]−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,5−ビス(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)−1,4−ハイドロキノン、2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼンなどの10−(ポリヒドロキシアリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類が好ましい。
前記式(3c)で表される化合物において、e=0である有機リン化合物の例としては、Arがベンゼンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼン、[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アニリン、1,3−又は1,4−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼンなどのモノ又はビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]ベンゼン類などが挙げられる。これらの化合物のうち、特にZ2がメチレンであるベンジル誘導体又はキシリレン誘導体が好ましい。
前記式(3c)において、e=0である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、前記Arがベンゼン環である化合物に対応する芳香族複素環類、例えば、2−[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ピリジンなどの[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]芳香族複素環類などが挙げられる。
前記式(3c)において、e=1である化合物のうち、Arがベンゼンである化合物としては、N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アニリン、1,3−、又は1,4−[N−モノ又はN,N−ビス[モノ又はビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アミノ]ベンゼン、1−モノ又は1,3−ジアミノ−3,5−ビス又は5−モノ[N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アミノ]ベンゼンなどのN−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]アミノベンゼン類などが挙げられる。
前記式(3c)において、e=1である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、Arがトリアジンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、2−モノ、2,4−ビス又は2,4,6−トリス[N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アミノ]−1,3,5−トリアジン、2−モノ又は2,4−ビス[N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アミノ]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−モノ又は2,4−ビス[N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]アミノ]−6−メチル−1,3,5−トリアジンなどのN−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類などが挙げられる。
前記式(3c)で表される有機リン化合物のうち、特に、モノ又はビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]ベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類などが好ましい。
前記式(4)で表される有機リン化合物は、好ましくは下記式(4b)又は(4c)で表される。
Figure 0004673626
(式中、R1、R2、Ar、Y4、Y5、Z2、b、c及びeは前記に同じ)
前記式(4b)において、cは好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1又は2、特に2である。
前記式(4c)において、bは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。また、cが0である場合、bは1〜4の整数(例えば、1又は2)であってもよい。式(4c)において、cは好ましくは0〜3の整数である。
前記式(4)、(4a)、(4b)及び(4c)において、Y4(又はY5)で表されるP原子を環の構成原子として含む環としては、P原子をヘテロ原子として含む4〜10員ヘテロ環、好ましくは4〜8員ヘテロ環、さらに好ましくは5〜7員ヘテロ環が挙げられ、非芳香族性環が好ましい。特に環Y4及びY5、並びにリン原子で、ビシクロ環を形成するのが好ましい。ヘテロ環Y4及びY5は、前記例示の置換基を有していてもよい。
前記式(4b)で表わされる有機リン化合物としては、アルキレンホスホニル−ハイドロキノン類[プロピレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ブチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ペンタメチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、ヘキサメチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノンなどのC2-8アルキレンホスホニル−ハイドロキノンなど]、これらのアルキレンホスホニル−ハイドロキノン類に対応するアルキレンホスホニル−ナフタレンジオール(アルキレンホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びアルキレンホスホニル−ジヒドロキシビフェニル(アルキレンホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのC2-8アルキレンホスホニル−ポリヒドロキシC6-20アレーン;シクロアルキレンホスホニル−ハイドロキノン類[1,4−シクロペンチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、1,4−、1,5−又は5,8−ジメチル−1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン、1,4−、1,5−又は4,8−ジメチル−1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノンなどのC5-8シクロアルキレンホスホニル−ハイドロキノンなど]、シクロアルキレンホスホニル−ハイドロキノン類に対応するシクロアルキレンホスホニル−ナフタレンジオール類(シクロアルキレンホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)及びシクロアルキレンホスホニル−ジヒドロキシビフェニル類(1,4−シクロオクチレンホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−シクロオクチレンホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのシクロアルキレンホスホニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど)などのC5-8シクロアルキレンホスホニル−ポリヒドロキシC6-20アレーンなどが例示できる。
前記式(4b)で表される有機リン化合物のうち、特に、シクロアルキレンホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類(1,4−又は1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノン及び1,4−又は1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ナフタレンジオールなど)などが好ましい。
前記式(4c)で表される化合物において、e=0である有機リン化合物の例としては、Arがベンゼンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、(プロピレンホスホニルメチル)ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(プロピレンホスホニル)メチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ブチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ペンタメチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ヘキサメチレンホスホニル)メチル]ベンゼンなどのモノ又はビス[(C2-10アルキレンホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類;1,3−又は1,4−ビス[(1’,4’−シクロペンチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、[(1’,4’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(1’,4’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、[(1’,5’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(1’,5’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、モノ又はビス[(1’,4’−、1’,5’−又は5’,8’−ジメチル−1’,4’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン、モノ又はビス[(1’,4’−、1’,5’−又は4’,8’−ジメチル−1’,5’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼンなどのモノ又はビス[(C5-10シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類などが挙げられる。これらの化合物のうち、特にZ2がメチレンであるベンジル誘導体又はキシリレン誘導体が好ましい。
前記式(4c)において、e=0である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、前記Arがベンゼン環である化合物に対応する芳香族複素環類、例えば、(C2-10アルキレンホスホニル)C1-4アルキル芳香族複素環類;(C5-8シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル芳香族複素環類などが挙げられる。
前記式(4c)において、e=1である化合物のうち、Arがベンゼンである化合物としては、N−モノ又はN,N−ビス[(C2-10アルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(C5-8シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノベンゼン類などが挙げられる。
前記式(4c)において、e=1である化合物のうち、Arが窒素原子を環の構成原子として有する芳香族複素環である化合物としては、Arがトリアジンである場合を例に挙げて説明すると、例えば、N−モノ又はN,N−ビス[(C2-10アルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類、N−モノ又はN,N−ビス[(C5-8シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類[例えば、2−モノ、2,4−ビス又は2,4,6−トリス[N−モノ又はN,N−ビス(1’,4’−又は1’,5’−シクロオクチレンホスホニルメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン、2−モノ又は2,4−ビス[N−モノ又はN,N−ビス(1’,4’−又は1’,5’−シクロオクチレンホスホニルメチル)アミノ]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−モノ、2,4−ビス又は2,4,6−トリス[N−モノ又はN,N−ビス(1’,4’−、1’,5’−、4’,8’−又は5’,8’−ジメチル−1’,4’−又は1’,5’−シクロオクチレンホスホニルメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン、2−モノ又は2,4−ビス[N−モノ又はN,N−ビス(1’,4’−、1’,5’−、4’,8’−又は5’,8’−ジメチル−1’,4’−又は1’,5’−シクロオクチレンホスホニルメチル)アミノ]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンなど]などが挙げられる。
前記式(4c)で表される有機リン化合物のうち、特に、モノ又はビス[(シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(シクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類、特に、モノ又はビス[(ビシクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]ベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(ビシクロアルキレンホスホニル)C1-4アルキル]アミノトリアジン類などが好ましい。
これらの有機リン化合物(B)は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記有機リン化合物(B)は、慣用の方法、例えば、前記式(1)におけるAr−(R1c又はX3−(Z1a−Ar−(R1cに対応する化合物と、下記式で表される前駆体などとを、不活性溶媒中で加熱反応させることにより得られる。
Figure 0004673626
(式中、X3は、水素原子、ヒドロキシル基、又はハロゲン原子(塩素又は臭素原子など)を示す。X1、Y1、Y2、Z1及びaは前記に同じ)
例えば、R1としてヒドロキシル基(又は置換ヒドロキシル基)を有する化合物については、前記式(1)におけるAr−(OH)c(式中、Ar及びcは前記に同じ)に対応するキノン類[例えば、ベンゾキノン類(1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノンなど)、ナフトキノン類(1,4−ナフトキノン、1,2−ナフトキノン、2,6−ナフトキノンなど)、4,4’−ジフェノキシキノン、2,2’−ジフェノキシキノン、3,10−ペリレンキノンなど]と前駆体(例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類、2級ホスフィンオキシド類、亜ホスフィン酸エステルなど)とを不活性溶媒中で加熱反応させることにより得られる。
不活性溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、プソイドクメン、シメン、メチルナフタレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、クロロナフタレンなど)、エーテル類(アニソールなどの芳香族エーテル;ジオキサンなどの環状エーテルなど)、セロソルブ類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブなど)などが使用できる。
1としてヒドロキシル基又は置換ヒドロキシル基を有する有機リン化合物の調製には、例えば、特開昭61−236787号公報、特開昭63−185992号公報、特開昭64−66195号公報、特開平5−331179号公報、WO02/00667号公報、特開昭2001−302685号公報などを参照できる。また、商品名「HCA−HQ」(10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンオキシド:三光(株)製)、商品名「CPHO−HQ」(日本化学工業(株)製)などとして入手できる。前記式(3c)で表される有機リン化合物のうち、eが0である化合物の調製については、例えば、特開平11−106619号公報などを参照でき、eが1である化合物の調製には、例えば、特開昭51−78874号公報、特開昭54−3081号公報、特開昭54−16566号公報などを参照できる。
有機リン化合物(B)には、少なくとも前記式(1)〜(4)、(2b)、(3b)及び(4b)の化合物のうち、R1がヒドロキシル基又は置換ヒドロキシル基(アルコキシ基などのエステル形成可能な誘導体基など)であり、cが1以上(特にcが2以上)である化合物の縮合物(オリゴマー又はポリマーなど)、例えば、ポリエステル系(特に、ポリアリーレート系)、ポリカーボネート系、ポリウレタン系及びエポキシ系オリゴマー又はポリマーなども含まれる。
このようなオリゴマー又はポリマー(以下、単にポリマーと称する場合がある)のうち、リン含有ポリエステル系ポリマーは、cが2以上である前記式(1)〜(4)、(2b)、(3b)及び(4b)のリン含有ポリヒドロキシ化合物と、ジカルボン酸(特に、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分)との縮合反応により得られる。また、リン含有ポリカーボネート系ポリマーは、前記リン含有ポリヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応により得られ、リン含有ポリウレタン系ポリマーは、前記リン含有ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物との縮合反応により得られ、リン含有エポキシ系ポリマーは、前記リン含有ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとの縮合反応により得られる。リン含有ポリヒドロキシ化合物は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ジカルボン酸としては、前記ポリエステル系樹脂の項で例示したジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸)が挙げられる。ジカルボン酸は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と前記リン含有ポリヒドロキシ化合物とから得られるリン含有ポリアリーレート系ポリマーが好ましい。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などのC8-16芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのうち、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのC8-12芳香族ジカルボン酸(特に、イソフタル酸、テレフタル酸)が好ましい。ジカルボン酸成分には、必要に応じて、前記ポリエステル系樹脂の項で例示した脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
リン含有ポリアリーレート系ポリマーには、リン含有ポリアリレート系ポリマーの効果を損なわない範囲で、他の共重合成分[他のポリヒドロキシ化合物(ジオールなど)やオキシカルボン酸など]を併用してもよい。他のポリヒドロキシ化合物としては、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのC2-6アルキレングリコール)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、芳香族ジオール[ハイドロキノン、レゾルシノール、1,4−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオールなどのC6-10芳香族ジオール;ビフェノール;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールF、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレングリコール、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテルなどのビスフェノール類など]などが挙げられる。オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。これらの共重合成分は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい有機リン高分子化合物としては、リン含有ポリアリーレート系ポリマー、特に、前記好ましい有機リン化合物(2b)、(3b)及び(4b)[特に、10−(ポリヒドロキシアリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類、ジアリールホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類、及びシクロアルキレンホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類]から選択された少なくとも一種のポリヒドロキシ(特に、ジヒドロキシ)モノマー成分と、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸(特に、テレフタル酸及びイソフタル酸)から選択された少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸成分とを重合して得られるリン含有ポリアリーレート系ポリマーが挙げられる。
リン含有ポリアリーレート系ポリマーの数平均分子量は、特に制限されず、例えば、100〜5×104、好ましくは500〜1×104、さらに好ましくは1×103〜1×104程度である。
このようなリン含有ポリアリーレート系ポリマーは、慣用の芳香族ポリエステル製造方法、例えば、溶融重合法、固相重合法、界面重縮合法又は溶液重合法に従って製造できる。特に、リン含有芳香族ポリヒドロキシ化合物(リン含有芳香族ジヒドロキシ化合物など)のポリアセテート体(ジアセテート体)と、芳香族ジカルボン酸とを、重合触媒存在下で溶融重合するアセテート法が好ましく用いられる。リン含有ポリマーの(有機リン高分子化合物)の調製には、例えば、特開昭61−78832号公報、特開昭61−261320号公報、特開昭64−5143号公報などを参照できる。
[難燃助剤(C)]
本発明では、難燃助剤(C)には、リン含有化合物(C1)[(c1)無機リン化合物、(c2)オルトリン酸エステル又はその縮合物、(c3)リン酸エステルアミド、(c4)ホスホニトリル化合物、(c5)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する亜リン酸エステル又はその金属塩、及び(c6)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する有機ホスフィン酸化合物又はその金属塩など]、芳香族樹脂(C2)、窒素含有化合物(C3)(非リン系の窒素含有環状化合物又はその塩など)、無機金属系化合物(C4)ケイ素含有化合物(C5)、硫黄含有化合物(C6)などが含まれる。これらの難燃助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C1)リン含有化合物
リン含有化合物(C1)には、前記有機リン化合物(B)を除くリン化合物、例えば、(c1)無機リン化合物、モノマー型有機リン化合物[(c2)オルトリン酸エステル又はその縮合物、(c3)リン酸エステルアミド、(c4)ホスホニトリル化合物、(c5)ホスホニル基(>P(=O)H)又はホスフィニコ基(>P(=O)OH)を有する亜リン酸エステル又はその金属塩、(c6)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する有機ホスフィン酸化合物又はその金属塩、(c7)ホスフィンオキシド(トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィンオキシドなど)など]、前記モノマー型有機リン化合物の縮合物であるポリマー型有機リン化合物などが含まれる。これらのリン含有化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(c1)無機リン化合物
無機リン化合物には、例えば、赤リン、(ポリ)リン酸塩[オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸(メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等)、ポリ亜リン酸(メタ亜リン酸、ピロ亜リン酸等)などの非縮合又は縮合リン酸類のアンモニウム塩又は金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)など]、リン酸ホウ素などが含まれる。
赤リンは、難燃効果が高く、少量であっても樹脂に難燃性を付与できる。また、少量で効果が得られるため、樹脂の特性(例えば、機械的特性や電気的特性)を損なうことなく難燃化できる。赤リンとしては、通常、安定化処理を施した赤リン(安定化赤リン)が好ましく用いられる。特に、赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させずに微粒子化する方法で得られた赤リン、さらには、赤リンの表面が、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により単独で又は2種以上組み合わせて被覆された赤リンなどが使用できる。
赤リンの表面を被覆する熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等が挙げられ、金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化スズ等が挙げられる。
さらに、赤リンの表面を金属で被覆し安定化する方法としては、例えば、無電解メッキ法により、金属(鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、スズ、チタン、ジルコニウムなど)又はこれらの合金で被覆する方法が挙げられる。その他の赤リン表面の被覆方法としては、金属塩(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタン、銅、銀、鉄、ニッケルなどの塩)の溶液で赤リンを処理し、赤リンの表面に金属リン化合物を形成させて安定化する方法なども含まれる。
特に、赤リン表面に破砕面を形成させないで赤リンを微粒子化する方法を用い、金属成分(金属水酸化物や金属酸化物)の被膜と樹脂の皮膜とを組み合わせて複数層で被覆処理、特に金属成分の被膜で被覆した上に樹脂被覆で多重に被覆処理してもよい。これらの安定化赤リンは、耐熱安定性、耐加水分解性に優れており、水分の存在下や高温下での分解反応によりホスフィンの生成が著しく少なく、本発明の樹脂組成物を製造する際、および成形品を製造する際の安全上の観点から好ましい。
赤リンとしては、通常、安定化赤リンを粉粒状で使用できる。安定化赤リンの粒子径としては、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度である。
(c2)オルトリン酸エステル
オルトリン酸エステルとしては、脂肪族オルトリン酸エステル[リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸ペンタエリスリトール(例えば、Great Lakes Chemical社のNH−1197、特開2001−106889号公報に記載のビシクロリン酸エステルなど)などのオルトリン酸トリC1-10アルキルエステル;前記オルトリン酸トリエステルに対応するオルトリン酸ジC1-10アルキルエステル及びリン酸モノC1-10アルキルエステルなど]、芳香族オルトリン酸エステル[リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、リン酸ジフェニルエチルクレジルなどのオルトリン酸トリC6-20アリールエステルなど]、脂肪族−芳香族オルトリン酸エステル[リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエチル、スピロ環状芳香族オルトリン酸エステル(ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート、ジクレジルペンタエリスリトールジホスフェート、ジキシリルペンタエリスリトールジホスフェートなど)など]などが挙げられる。
(c3)リン酸エステルアミド
リン酸エステルアミドとしては、リン酸エステル及びリン酸アミドの結合様式を含み、特開2001−354684号公報、特開2001−139823号公報、特開2000−154277号公報、特開平10−175985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭63−235363号公報に記載のリン酸エステルアミドなどが使用できる。
好ましいリン酸エステルアミドとして、縮合リン酸エステルアミド類が挙げられる。このようなリン酸エステルアミドとしては、例えば、N−(ジアリールオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(ジフェノキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジトルイルオキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジキシリルオキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジ又はトリメチルフェニルオキシホスフィニル)ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(ジアリールオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(ジフェノキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジトルイルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジキシリルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジ又はトリメチルフェニルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジフェノキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジトルイルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジキシリルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジ−トリメチルフェニルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、N−(環状アルキレンジオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(環状アルキレンジオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、N−(環状アリーレンジオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(フェニレン−1,2−ジオキシホスフィニル)ピペラジン、1,3−又は1,4−ビス[(ビフェニレン−2,2′−ジオキシホスフィニル)アミノメチル]ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(環状アリーレンジオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(フェニレン−1,2−ジオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ビフェニレン−2,2′−ジオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、3,9−ビス(N−置換アミノ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−ウンデカン−3,9−ジオキシド類[例えば、N−置換アミノ基が、ジアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基など)、環状アミノ基(ピペリジノ基、ピペコリノ基、ジメチルピペリジノ基、モルホリノ基など)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基など)、アルキルアリールアミノ基(メチルフェニルアミノ基など)などであるスピロ環状リン酸エステルアミド]などが含まれる。
リン酸エステルアミドは、商品名「リン酸エステルアミド系難燃剤SPシリーズ(例えば、SP−601、SP−670、SP−703、SP−720など)」(四国化成工業(株)製)として入手できる。
(c4)ホスホニトリル化合物
ホスホニトリル化合物としては、例えば、(ポリ)フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン、(ポリ)メチルナフチルオキシホスファゼン等の環状又は鎖状アリールオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシフェノキシホスファゼン、(ポリ)メトキシトリルオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシナフチルオキシホスファゼン等の環状又は鎖状アルコキシアリールオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシホスファゼンなどの環状又は鎖状アルコキシホスファゼン等が例示できる。また、アリールオキシホスファゼン又はアルコキシホスファゼンの誘導体(例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビフェノール、ビスフェノール類で変性された環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼンなど)なども前記ホスホニトリル化合物に含まれる。
(c5)有機ホスホン酸化合物
有機ホスホン酸(亜リン酸)化合物には、ホスホニル基(>P(=O)H)又はホスフィニコ基(>P(=O)OH)を有する亜リン酸エステル又はその金属塩が含まれる。また、有機ホスホン酸化合物には、亜リン酸トリエステル、ホスホノカルボン酸エステル又はその金属塩なども含まれる。これらの有機ホスホン酸化合物は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ホスホニル基を有する亜リン酸エステルとしては、ホスホニル基を有する亜リン酸ジ又はモノエステル[芳香族亜リン酸ジエステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリル等である亜リン酸ジC6-20アリールエステルなど);脂肪族亜リン酸ジエステル(アルキルが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル等である亜リン酸ジC1-10アルキルエステルなど);前記亜リン酸ジエステルに対応する芳香族又は脂肪族亜リン酸モノエステル(亜リン酸モノC1-10アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
ホスフィニコ基を有するその他の有機亜リン酸エステルとしては、アルキル置換ホスホン酸モノエステル[アルキルが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチルなどであるC1-6アルキルホスホン酸モノC1-6アルキルエステル;アリールが、フェニル、ナフチルなどであり、かつ前記アルキルホスホン酸モノアルキルエステルに対応するC1-6アルキルホスホン酸モノC6-10アリールエステルなど]、アリール置換ホスホン酸モノエステル[アリールがフェニル、ナフチルなどであり、かつ前記アルキルホスホン酸モノアルキル又はアリールエステルに対応するC6-10アリールホスホン酸モノC1-6アルキル又はC6-10アリールエステル(10−ヒドロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど)など]などが挙げられる。
有機亜リン酸エステルとしては、例えば、アルキルが前記例示のアルキルであり、アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるC1-6アルキルホスホン酸ジC1-6アルキル(ペンタエリスリトールビス(メチルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(エチルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(プロピルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(ブチルホスホネート)などのスピロ環状アルキルホスホン酸エステルなど)、C1-6アルキルホスホン酸ジC6-10アリール、C1-6アルキルホスホン酸C1-6アルキルC6-10アリールなどのアルキルホスホン酸ジエステルなども含まれる。
亜リン酸トリエステルとしては、芳香族亜リン酸トリエステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリル等である亜リン酸トリC6-20アリールエステルなど)、脂肪族亜リン酸トリエステル(アルキルが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル等である亜リン酸トリC1-10アルキルエステルなど)などが挙げられる。
ホスホノカルボン酸エステルとしては、メトキシカルボニルメチルホスホン酸ジメチルなどのC1-4アルコキシカルボニルオキシC1-4アルキルホスホン酸ジC1-6アルキル又はC6-10アリールエステルなどのホスホノカルボン酸トリエステルなどが挙げられる。
また、有機亜リン酸化合物の金属塩としては、前記亜リン酸モノエステル又はホスホノカルボン酸(例えば、アルキルホスホン酸モノアルキルエステル、アルキルホスホン酸モノアリールエステル、アリールホスホン酸モノアルキルエステル、アリールホスホン酸モノアリールエステルなど)の金属塩(Ca,Mg,Zn,Ba,Al塩など)が挙げられる。また、有機亜リン酸化合物の金属塩には、アルキルホスホン酸又はアリールホスホン酸の金属塩(Ca,Mg,Zn,Ba,Al塩など)も含まれる。このような有機ホスホン酸化合物の金属塩の代表的な化合物に関しては、例えば、特開昭59−139394号公報、特開昭63−22866号公報、特開平1−226891号公報、特開平4−234893号公報、特開平8−245659号公報、特開平9−272759号公報、特開2001−139586号公報などを参照できる。
(c6)有機ホスフィン酸化合物
ホスホニル基を有する有機ホスフィン酸化合物としては、アルキル基(C1-4アルキル基など)又はアリール基(C6-10アリール基など)が一置換していてもよいホスフィン酸エステル(ホスフィン酸メチルなどのホスフィン酸C1-6アルキル、ホスフィン酸フェニルなどのホスフィン酸C6-10アリール[10−C1-30アルキル置換−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどの環状ホスフィン酸エステル]など)などが含まれる。
ホスフィニコ基を有する有機ホスフィン酸化合物としては、前記アルキル基又はアリール基が一又は二置換した有機ホスフィン酸(メチルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸などのモノ又はジC1-6アルキルホスフィン酸;フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸などのモノ又はジC6-10アリールホスフィン酸など)、ホスフィニコカルボン酸エステル[例えば、3−メチルホスフィニコプロピオン酸エステル、3−フェニルホスフィニコプロピオン酸エステルなどのホスフィニコカルボン酸のC1-6アルキル又はC6-10アリールエステルなど]などが挙げられる。
有機ホスフィン酸化合物の金属塩としては、前記例示のアルキル基又はアリール基が置換した有機ホスフィン酸などの金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)が例示できる。これらの有機ホスフィン酸の金属塩の代表的な化合物としては、例えば、特開昭55−5979号公報、特開平11−60924号公報、特開平11−140228号公報、特開平11−236392号公報、特開2001−2686号公報、特開2001−513784号公報、特表2001−513784号公報、特表2001−513786号公報、米国特許第5973194号明細書、米国特許第6011172号明細書、米国特許第6248921号明細書等を参照できる。
(ポリマー型有機リン化合物)
前記ポリマー型有機リン化合物としては、モノマー型有機リン化合物の縮合物、例えば、ポリマー型リン酸エステル(すなわち、縮合リン酸エステル、例えば、前記オルトリン酸モノアルキル又はアリールエステルの縮合物など)を用いることができる。
前記オルトリン酸モノアルキル又はアリールエステルの縮合物には、このオルトリン酸モノエステル(特に、フェニルホスフェート、クレジルホスフェート、キシリルホスフェートなど)とジオール類との縮合物、例えば、レゾルシノールホスフェート類(レゾルシノールとフェニルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとクレジルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとキシリルホスフェートとの縮合物等)、ハイドロキノンホスフェート類(ハイドロキノンとフェニルホスフェートとの縮合物、ハイドロキノンとクレジルホスフェートとの縮合物、ハイドロキノンとキシリルホスフェートとの縮合物等)、ビフェノールホスフェート類(ビフェノールとフェニルホスフェートとの縮合物、ビフェノールとクレジルホスフェートとの縮合物、ビフェノールとキシリルホスフェートとの縮合物等)、ビスフェノールホスフェート類(ビスフェノールAとフェニルホスフェートとの縮合物、ビスフェノールAとクレジルホスフェートとの縮合物、ビスフェノールAとキシリルホスフェートとの縮合物等)などが含まれる。このようなポリマー型リン酸エステルの代表的な製造方法としては、米国特許第261687号明細書、米国特許第2636876号明細書、米国特許第4482693号明細書、特開昭48−91147号公報、特開平9−255786号公報、Polymer,Vol29,p756(1988)などを参照できる。
また、前記ポリマー型有機リン化合物は、ヒドロキシル基を有するポリマー(フェノール樹脂など)のリン酸エステルであってもよい。さらに、前記ポリマー型有機リン化合物には、前記有機ホスフィン酸化合物の単独又は共重合体(例えば、ポリホスフィニコカルボン酸エステルなど)、ポリホスホン酸アミドも含まれる。
これらのリン含有化合物(C1)のうち、無機リン化合物(例えば、赤リン、(ポリ)リン酸アンモニウム、リン酸類の金属塩など)、オルトリン酸エステル(例えば、ビシクロ脂肪族リン酸エステル、スピロ環状芳香族リン酸エステル、芳香族リン酸エステル及び縮合リン酸エステルなど)、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸エステル(有機亜リン酸金属塩など)、有機ホスフィン酸化合物(ジアルキルホスフィン酸金属塩など)、特に、無機リン化合物、縮合リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物及びジアルキルホスフィン酸金属塩などが好ましい。
(C2)芳香族樹脂
芳香族樹脂には、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族ナイロン、ポリエーテルイミド系樹脂、芳香族エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、芳香族ビニル樹脂等の炭化性又はチャー形成性芳香族樹脂が含まれる。ポリフェニレンオキシド系樹脂及びポリカーボネート系樹脂としては、前記ベース樹脂の項で例示した樹脂と同様の樹脂を使用することができ、ベース樹脂と芳香族樹脂とは、通常、異種の樹脂が使用される。
(ポリフェニレンスルフィド系樹脂)
ポリフェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンチオエーテル系樹脂)としては、ポリフェニレンスルフィド骨格−(Ar1−S−)−[式中、Ar1はフェニレン基を示す]を有する単独重合体及び共重合体が含まれる。フェニレン基(−Ar1−)としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基(例えば、C1-5アルキル基などの置換基を有するアルキルフェニレン基や、フェニル基などの置換基を有するアリールフェニレン基)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基等が例示できる。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、このようなフェニレン基で構成されるフェニレンスルフィド基のうち、同一の繰返し単位を用いたホモポリマーであってもよく、組成物の加工性の点から、異種繰返し単位を含むコポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、p−フェニレンスルフィド基を繰返し単位とする実質上線状のものが好ましく用いられる。コポリマーは、前記フェニレンスルフィド基の中で相異なる2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、コポリマーとしては、p−フェニレンスルフィド基を主繰返し単位とし、m−フェニレンスルフィド基を含む組み合わせが好ましく、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から、p−フェニレンスルフィド基を60モル%(好ましくは70モル%)以上含む実質上線状のコポリマーが特に好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、比較的低分子量の線状ポリマーを酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーであってもよく、2官能性モノマーを主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に線状構造の高分子量ポリマーであってもよい。得られる成形物の物性の点からは、縮重合によって得られる実質的に線状構造ポリマーの方が好ましい。又、ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、前記のポリマーの他に、3個以上の官能基を有するモノマーを組み合わせて重合した分岐又は架橋ポリフェニレンスルフィド樹脂や、この樹脂を前記の線状ポリマーにブレンドした樹脂組成物も用いることができる。
ポリフェニレンスルフィド系樹脂としては、ポリフェニレンスルフィドやポリビフェニレンスルフィド(PBPS)の他、ポリフェニレンスルフィドケトン(PPSK)、ポリビフェニレンスルフィドスルホン(PPSS)等も使用できる。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリフェニレンスルフィド系樹脂の数平均分子量は、例えば、300〜30×104、好ましくは400〜10×104程度である。
(芳香族ナイロン)
難燃剤を構成する芳香族ナイロンとしては、前記ベース樹脂のポリアミド樹脂とは異種の樹脂が使用される。このような樹脂としては、下記式(5)で表される単位を有する化合物などが使用できる。
Figure 0004673626
(式中、Z3およびZ4は、同一又は異なって、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択され、かつ少なくとも一方が芳香族炭化水素基であり、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基及びアリール基から選択され、また、R3及びR4は、直結して環を形成してもよい)。
このような芳香族ナイロンには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導されるポリアミドであって、ジアミン成分およびジカルボン酸成分のうち、少なくとも一方の成分が芳香族化合物であるポリアミド;芳香族アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリアミドが含まれる。芳香族ナイロンには、少なくとも2種の異なったポリアミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれる。
ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、2,4−ジアミノメシチレン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、キシリレンジアミン(特に、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン)、ビス(2−アミノエチル)ベンゼン、ビフェニレンジアミン、ビフェニル骨格を有するジアミン(例えば、4,4−ジアミノ−3,3′−エチルビフェニル)、ジフェニルアルカン骨格を有するジアミン[例えば、ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−エチル)ジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパンなど]、ビス(4−アミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびそれらのN−置換芳香族ジアミンが挙げられる。また、1,3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族アミンおよびそれらのN−置換脂肪族ジアミンなどを併用してもよい。これらのジアミンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジアミンとしては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン、N,N′−ジアルキル置換キシリレンジアミン)を使用するのが好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸などのC2-20脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(例えば、ダイマー酸)などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸(特に、アジピン酸などのC6-20脂肪族ジカルボン酸)を使用するのが好ましい。
芳香族又は脂環族アミノカルボン酸としては、例えば、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、アミノ安息香酸などが例示される。アミノカルボン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、芳香族ナイロンとして、難燃剤としての特性を損わない範囲で、ラクタム及び/又はα,ω−アミノカルボン酸との縮合体を使用してもよい。ラクタムとしては、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム(ε−カプロラクタムなど)などのC3-12ラクタムなど、α,ω−アミノカルボン酸としては、7−アミノヘプタン酸、10−アミノデカン酸などが挙げられる。
その他の芳香族ナイロンの副成分として、一塩基酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ニコチン酸など)、モノアミン類(例えば、エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなど)、二塩基酸類(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シンコメロン酸など)、ジアミン類(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ラクタム類等から選択された少なくとも1種を粘度調整剤として使用できる。
芳香族ナイロンとしては、ジアミン成分が芳香族化合物であるポリアミド(例えば、ジアミン成分としてキシリレンジアミンを含むポリアミド又はコポリアミド)、好ましくは芳香族ジアミンとα,ω−C2-12ジカルボン酸とから得られるポリアミド[例えば、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド(MXD6)、スベリン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポリアミド(PMD6)、スベリン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸とN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、スベリン酸とN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と1,3−フェニレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンとから得られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンとから得られるコポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるコポリアミドなど]などが挙げられる。特に好ましい芳香族ナイロンとしては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン)とα,ω−C2-12脂肪族ジカルボン酸から得られるポリアミド(特に、MXD6)が挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの芳香族ナイロンは、例えば、特公昭44−22510号公報、特公昭47−51480号公報、特開昭57−200420号公報、特開昭58−111829号公報、特開昭62−283179号公報、工業化学雑誌74巻4号786頁(1971)、工業化学雑誌74巻10号2185頁(1971)、エンジニアリングプラスチック辞典74頁(技報堂出版、1998年)及びそれらに記載の参考文献を基に常圧直接法あるいは溶融重合法などにより調製される。
芳香族ナイロンの数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜10×104、好ましくは500〜5×104程度の範囲から選択できる。
(ポリアリレート系樹脂)
ポリアリレート系樹脂には、下記式(6)
[−O−Ar2−OC(O)−A1−C(O)−] (6)
(式中、Ar2は芳香族基を示し、A1は芳香族、脂環族、又は脂肪族基を示す)
で表される構造単位を有する化合物が使用できる。
このようなポリアリレート系樹脂は、ポリエステル化反応としてエステル交換法(例えば、アセテート法、フェニルエステル法など)、酸クロリド法、直接法、または重付加法などにより、溶融重合法、溶液重合法、または界面重合法などを使用して製造できる。
ポリアリレート系樹脂は、芳香族ポリオール成分とポリカルボン酸成分(芳香族ポリカルボン酸成分、脂肪族ポリカルボン酸成分、脂環式ポリカルボン酸成分など)との反応により得ることができる。ポリカルボン酸成分は、通常、少なくとも芳香族ポリカルボン酸成分を含む。
芳香族ポリオール(モノマー)としては、通常、単環式芳香族ジオール、多環式芳香族ジオールなどのジオール、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳香族ポリオールの塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、芳香族ポリオールのエステル(酢酸エステルなど)、シリル保護された芳香族ポリオール(トリメチルシリル化体など)など]が用いられる。
単環式芳香族ジオールとしては、例えば、ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノン、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールなど)、ナフタレンジオールなどの炭素数6〜20程度の芳香族環ジオールが挙げられる。
多環式芳香族ジオールとしては、ビス(ヒドロキシアリール)類(ビスフェノール類)、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、前記Z3及びZ4の項で例示のジヒドロキシジアリールアルカン類の他、ビスフェノールFなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンなど;ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン[例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C3-12シクロアルカンなど];ビス(ヒドロキシアリール)カルボン酸[例えば、ビス−4,4−(ヒドロキシフェニル)ブタン酸などのビス(ヒドロキシアリール)C2-6カルボン酸など]などが挙げられる。また、その他の多環式芳香族ジオールには、ビス(ヒドロキシアリール)骨格を有する化合物、例えば、前記Z3及びZ4の項で例示のジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシドの他、ジ(ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(C1-4アルキル置換ヒドロキシフェニル)アルカン[例えば、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど]、テルペンジフェノール類(例えば、1,4−ジ(C1-4アルキル置換ヒドロキシフェニル)−p−メンタンなど)なども含まれる。
これら芳香族ポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい芳香族ポリオールには、ベンゼンジオール類、ビスフェノール類、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなど)などが含まれる。
なお、前記芳香族ポリオールは、脂肪族又は脂環式ポリオールと併用してもよい。脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC1-10脂肪族ポリオールが挙げられる。また、前記脂肪族ポリオールには、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3-10脂肪族環を有する脂肪族ポリオールも含まれる。脂環式ポリオールとしてはシクロヘキサンジオールなどのC3-10脂環式ポリオールが挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳香族ポリカルボン酸ハライド(芳香族ポリカルボン酸クロライドなど)、芳香族ポリカルボン酸エステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)、芳香族ポリカルボン酸無水物など]が挙げられる。
単環式芳香族環ジカルボン酸には、例えば、前記芳香族ナイロンの項で例示の芳香族カルボン酸(ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度のアリールジカルボン酸)が挙げられる。なお、前記ベンゼンジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸(特に、ベンゼンジカルボン酸)には、1又は2個のC1-4アルキル基が置換していてもよい。
多環式芳香族ジカルボン酸としては、ビス(アリールカルボン酸)類、例えば、ビフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)メタンなどのビス(カルボキシアリール)C1-6アルカン;ビス(カルボキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(カルボキシアリール)C3-12シクロアルカン;ビス(カルボキシフェニル)ケトンなどのビス(カルボキシアリール)ケトン;ビス(カルボキシフェニル)スルホキシドなどのビス(カルボキシアリール)スルホキシド;ビス(カルボキシフェニル)エーテルなどのビス(カルボキシアリール)エーテル;ビス(カルボキシフェニル)チオエーテルなどのビス(カルボキシアリール)チオエーテルなどが挙げられる。
好ましい芳香族ポリカルボン酸成分には、単環式芳香族ジカルボン酸(特に、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸)、ビス(カルボキシアリール)C1-6アルカンなどが含まれる。
脂肪族ポリカルボン酸(モノマー)としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂肪族ジカルボン酸(特にC2-20脂肪族ジカルボン酸)が挙げられ、ジカルボキシメチルシクロヘキサンなどのC3-10脂肪族環を有するジカルボン酸であってもよい。脂環式ポリカルボン酸としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂環式ジカルボン酸(特にC3-20脂環式ジカルボン酸)が含まれる。
好ましいポリアリレート系樹脂には、芳香族ポリオールがベンゼンジオール類及び/又はビスフェノール類であるポリアリレート樹脂、例えば、ベンゼンジオール類(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)及び/又はビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4−ジヒドロキシフェニルなど)とベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸など)とのポリエステル、ベンゼンジオール類及び/又はビスフェノール類とビス(アリールカルボン酸)類[例えば、ビス(カルボキシフェニル)メタン、ビス(カルボキシフェニル)エタン、ビス(カルボキシフェニル)プロパンなどのビス(カルボキシアリール)C1-4アルカン]とのポリエステルなどが挙げられる。これらポリアリレート系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸に加えて、必要に応じて、芳香族トリオール、芳香族テトラオール[例えば、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンなど]、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、オキシカルボン酸(例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)などを併用してもよい。
また、ポリアリレート系樹脂の末端は、アルコール類、カルボン酸類など(特に、一価のアルコール類、一価のカルボン酸類など)で封鎖(結合)してもよい。ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖する一価のアルコール類としては、例えば、一価のアリールアルコール類(C1-10アルキル基及び/又はC6-10アリール基が置換していてもよい一価のフェノール類、例えば、フェノール、o,m,又はp位に1〜2個のメチル基などのC1-4アルキル基を有するアルキルフェノール;o,m,又はp位にフェニル、ベンジル、クミル基などを有するアリールフェノールなど)、一価のアルキルアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ステアリルアルコールなどのC1-20アルキルモノアルコール類)、一価のアラルキルアルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどのC7-20アラルキルモノアルコール類)などが含まれる。
ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖(結合)する一価のカルボン酸類としては、一価の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、オクタン酸などのC1-20脂肪族モノカルボン酸)、一価の脂環式カルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸などのC4-20脂環式モノカルボン酸)、一価の芳香族カルボン酸(安息香酸、トルイル酸、o,m,又はp−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等のC7-20芳香族モノカルボン酸)などが含まれる。また、前記カルボン酸類は、フェニル酢酸などの芳香族基が置換した一価の脂肪族カルボン酸(特に、C6-20芳香族基が置換したC1-10脂肪族モノカルボン酸)であってもよい。
また、ポリアリレート系樹脂は、ポリアリレート系樹脂以外の樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどとポリマーアロイを構成してもよい。前記ポリマーアロイは、単純混合物のみならずエステル交換反応させたポリマーアロイあるいは相溶化剤を含んだポリマーアロイも含まれる。
ポリアリレート系樹脂の数平均分子量は、例えば、300〜30×104、好ましくは500〜10×104程度である。
(芳香族エポキシ樹脂)
芳香族エポキシ樹脂には、エーテル系エポキシ樹脂[例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂(例えば、3,3’5,5’−テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂など)、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、不飽和環状炭化水素化合物により変性されたエポキシ樹脂(例えば(ジ)シクロペンタジエン型エポキシ樹脂など)、スチルベン型エポキシ樹脂など]、芳香族アミン成分を用いたアミン系エポキシ樹脂などが含まれる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂を構成するビスフェノールは、前記ビス(ヒドロキシアリール)類に同じである。好ましいビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、特にビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールFなどのグリシジルエーテルが挙げられる。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂には、分子量の大きな前記ビスフェノールグリシジルエーテル(すなわち、フェノキシ樹脂)も含まれる。
ノボラック型エポキシ樹脂を構成するノボラック樹脂としては、芳香族環にアルキル基(例えば、C1-20アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基などのC1-4アルキル基)が置換していてもよいノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)を挙げることができる。好ましいノボラック型エポキシ樹脂には、C1-2アルキル基が置換していてもよいノボラック樹脂のグリシジルエーテルが含まれる。
アミン系エポキシ樹脂を構成する芳香族アミン成分には、単環式芳香族アミン(アニリン、トルイジンなど)、単環式芳香族ジアミン(ジアミノベンゼン、キシリレンジアミンなど)、単環式芳香族アミノアルコール(アミノヒドロキシベンゼンなど)、多環式芳香族性ジアミン(ジアミノジフェニルメタンなど)、多環式芳香族性アミンなどが挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、200〜5×104、好ましくは300〜1×104、さらに好ましくは400〜6,000程度である。また、フェノキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、500〜5×104、好ましくは1,000〜4×104程度である。
芳香族エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤(例えば、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、メタフェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族アミンなど)、ポリアミノアミド系硬化剤、酸および酸無水物系硬化剤などの硬化剤により硬化して用いてもよい。
これらの樹脂成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(ヒドロキシル基及び/又はアミノ基含有芳香族環を有する樹脂)
ヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する芳香族環を有する樹脂としては、前記芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂が挙げられる。こられの樹脂のうち、芳香族環を主鎖に有する樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、不飽和環状炭化水素化合物により変性されたフェノール樹脂[例えば、(ジ)シクロペンタジエン型フェノール樹脂、特開昭61−291616号公報、特開昭62−201922号公報、特開平6−49181号公報記載のフェノール樹脂など]が例示でき、芳香族環を側鎖に有する樹脂としては、芳香族ビニル樹脂が例示できる。
(1)ノボラック樹脂
ノボラック樹脂は、下記式(7)で表される繰り返し単位を有している。
Figure 0004673626
(式中、R5〜R7は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、fは1以上の整数を示す)。
アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル等のC1-20アルキル基、好ましくはC1-12アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチルなどのC6-20アリール基、置換アリール基(メチルフェニル基、エチルフェニル基等のC1-4アルキル置換アリール基、ヒドロキシフェニル基など)が挙げられる。
ノボラック樹脂(特に、ランダムノボラック樹脂)は、一般に、フェノール類と、アルデヒド類との反応により得られる。フェノール類としては、例えば、フェノール、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノール、アルキルフェノール(例えば、t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのC1-20アルキルフェノール)、アリールフェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール)などが挙げられる。これらのフェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。好ましいアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。また、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドの縮合体も使用できる。フェノール類とアルデヒド類との割合は、前者/後者=1/0.5〜1/1(モル比)程度である。
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、例えば、無機触媒(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)、有機触媒(p−トルエンスルホン酸、シュウ酸など)などが挙げられる。
特に、1〜2核体が低減されたフェノールノボラック樹脂が好ましく用いられる。このようなフェノールノボラック樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジンPR−53647」、「スミライトレジンPR−NMD−100シリーズ」、「スミライトレジンPR−NMD−200シリーズ」として住友デュレズ(株)から入手できる。
また、ノボラック樹脂として、オルソ/パラ比が1以上のハイオルソノボラック樹脂を使用してもよい。
特に、ノボラック樹脂としては、オルソ/パラ比が、1以上、例えば、1〜20(特に1〜15)程度であるノボラック樹脂、すなわち、いわゆるハイオルソノボラック樹脂が好ましく用いられる。このようなハイオルソノボラック樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジンHPNシリーズ」として住友デュレズ(株)から入手できる。
これらのノボラック樹脂の製造方法としては、特開2001−172348号公報、特開2000−273133号公報、特開2000−273132号公報、特開2000−226423号公報、特開平11−246643号公報、特開平10−204139号公報、特開平10−195158号公報等を参照できる。
なお、前述のフェノール類と、ジオキシベンゼン類、ナフトール類、ビスフェノール類(例えば、前記Z3及びZ4の項で例示のビスフェノール類)、アルキルベンゼン類(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレンなど)、アニリン類、フルフラール類、尿素類やトリアジン類(例えば、尿素、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど)、テルペン類、カシューナット類、ロジン類などの共縮合成分との共縮合体も使用できる。特に、トリアジン類で変性されたアミノトリアジンノボラックは好ましい共縮合体である。このようなアミノトリアジンノボラックはフェノール類、トリアジン類、及びホルムアルデヒド類を、塩基性触媒(アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなど)及び/又は酸性触媒(シュウ酸など)の存在下又は非存在下で共縮合する方法[例えば、DIC Technical Review No.3、47頁(1997)、特開平8−253557号公報、特開平10−279657号公報など]により得られる。アミノトリアジンノボラックは、商品名「フェノライト」として大日本インキ化学工業(株)から入手できる。
また、ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性水酸基の一部又は全部が、リン化合物(例えば、リン酸、亜リン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸などのリン酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、又はエステル(特に、脂肪族エステル)など)、及びホウ素化合物(例えば、ホウ酸、有機ボロン酸、有機ボリン酸などのホウ酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、又はエステルなど)から選択された少なくとも1種を用いて変性された変性ノボラック樹脂(例えば、リン酸変性ノボラック樹脂、ホウ酸変性ノボラック樹脂など)も使用できる。ノボラック樹脂の水酸基は、通常、リン酸エステル又はホウ酸エステルとして変性されている。
さらに、ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部が、金属イオン、シリル基もしくは有機基(アルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基、グリシジル基など)で変性(又は置換)された変性ノボラック樹脂も使用できる。
好ましいノボラック樹脂としては、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂(例えば、t−ブチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、p−オクチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂)、およびこれらの共縮合体(アミノトリアジンノボラック樹脂)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜5×104、好ましくは300〜1×104程度の範囲から選択できる。
(2)アラルキル樹脂
アラルキル樹脂は、下記式(8)で表される構造単位を有している。
Figure 0004673626
(式中、Ar3は芳香族基を示し、Z5及びZ6は同一又は異なってアルキレン基を示し、R8は水素原子又はアルキル基を示す。X4はヒドロキシル基、アミノ基、又はN−置換アミノ基を示す)。
Ar3で示される芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基、例えば、フェニレン基(o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基など)、ナフチレン基など、好ましくはフェニレン基(特に、p−フェニレン基)を挙げることができる。
5及びZ6で示されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレンなどのC1-6アルキレン基、好ましくはC1-4アルキレン基(特にC1-2アルキレン基)が挙げられる。 8 で示されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル等のC1-20アルキル基(特にC1-4アルキル基)が挙げられる。
4で示されるN−置換アミノ基には、モノ又はジC1-4アルキルアミノ基、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が含まれる。
アラルキル樹脂としては、X4がヒドロキシル基であるフェノールアラルキル樹脂を用いる場合が多い。好ましいフェノールアラルキル樹脂には、前記式(8)において、Z5及びZ6がメチレン基、Ar3がフェニレン基、R8が水素原子であり、下記式(9)で表されるp−キシレン置換フェノールを繰り返し単位として有する樹脂が含まれる。
Figure 0004673626
アラルキル樹脂は、一般に、下記式(10)で表される化合物とフェノール類又はアニリン類との反応により得ることができる。フェノール類を用いるとフェノールアラルキル樹脂が、アニリン類を用いるとアニリンアラルキル樹脂を得ることができる。
6−Z5−Ar3−Z6−Y6 (10)
(式中、Y6はアルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。Ar3、Z5及びZ6は前記に同じ)。
式(10)において、 6 で示されるアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのC1-4アルコキシ基が含まれる。アシルオキシ基にはアセトキシ基などの炭素数が2〜5程度のアシルオキシ基が含まれる。また、ハロゲン原子には、塩素、臭素、ヨウ素などが含まれる。
前記式(10)で表される化合物としては、例えば、キシリレングリコールC1-4アルキルエーテル(p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−キシリレングリコールジエチルエーテルなど)などのアラルキルエーテル類、p−キシリレン−α,α′−ジアセテートなどのアシルオキシアラルキル類、p−キシリレン−α,α′−ジオールなどのアラルキルジオール類、p−キシリレン−α,α′−ジクロライド、p−キシリレン−α,α′−ジブロマイドなどのアラルキルハライド類が挙げられる。
フェノール類としては、例えば、前記ノボラック樹脂の項で例示のフェノール又はアルキルフェノールが挙げられる。これらフェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アニリン類としては、例えば、アニリン、アルキルアニリン(例えば、トルイジン、キシリジン、オクチルアニリン、ノニルアニリンなどのC1-20アルキルアニリン)、及びN−アルキルアニリン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどのN−C1-4アルキルアニリン)が挙げられる。これらアニリン類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記式(10)で表される化合物と、フェノール類又はアニリン類との割合は、例えば、前者/後者=1/1〜1/3(モル比)程度、好ましくは1/1〜1/2.5(モル比)程度である。
このようにして得られたアラルキル樹脂の軟化点は、例えば、40〜160℃程度、好ましくは50〜150℃程度、さらに好ましくは55〜140℃程度である。尚、他のアラルキル樹脂として、特開2000−351822号公報記載のアラルキル樹脂も使用できる。
また、アラルキル樹脂は必要に応じて硬化又は変性してもよい。硬化又は変性は、通常、ポリアミン(ヘキサメチレンテトラミンなど)によるメチレン架橋、エポキシ化合物(エピクロルヒドリンなど)によるエポキシ変性などの慣用の方法により行うことができる。
(3)芳香族ビニル樹脂
芳香族ビニル樹脂としては、例えば、下記式(11)で表される構造単位を有する樹脂が使用できる。
Figure 0004673626
(式中、R9は水素原子又はC1-3アルキル基、R10は芳香族環を示し、gは1〜3の整数である)。
式(11)において、好ましいC1-3アルキル基としては、メチル基が挙げられる。また、芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン環などのC6-20芳香族環が挙げられる。なお、芳香族環は、置換基(例えば、ヒドロキシル基;前記R5〜R7の項で例示のアルキル基;前記Y6の項で例示のアルコキシ基など)を有していてもよい。
式(11)において、ヒドロキシル基の水素原子は、金属イオン、シリル基もしくはアルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基、グリシジル基などの有機基(保護基)で保護されていてもよい。
このような誘導体から得られる樹脂は、例えば、下記式(12)に示される構造単位を有する。
Figure 0004673626
[式中、R9は前記に同じ。R11は−OH, −OSi(R123及び−OM(Mは金属カチオン、OR12及びOCOR12であり、R12は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基である)からなる群より選ばれる基である。また、hは1〜3の整数である]。
前記式において、Mは一価のアルカリ金属カチオン(ナトリウム、リチウム、カリウムなど)、又は二価のアルカリ土類金属カチオン(マグネシウム、カルシウムなど)もしくは遷移金属カチオンのいずれかであってもよい。
前記式の置換基R11は、オルト位、メタ位又はパラ位のいずれか一つに位置していればよい。さらに、置換基R11に加えて、ペンダント芳香族環はC1-4のアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ビニル系樹脂には、前記構造単位(11)に対応するヒドロキシル基を有する芳香族ビニルモノマーの単独又は共重合体、または他の共重合性モノマーとの共重合体などが含まれる。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルフェノール、ジヒドロキシスチレン、ビニルナフトールなどのヒドロキシル基含有芳香族ビニルモノマーなどが含まれる。これらの芳香族ビニルモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなど]、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサンなど)、重合性多価カルボン酸(フマル酸、マレイン酸など)、マレイミド系モノマー(マレイミド、N−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど)、ジエン系モノマー(イソプレン、1,3−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなど)、ビニル系モノマー(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールなどの窒素含有ビニルモノマーなど)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニルモノマーと共重合性モノマーとの割合は、例えば、10/90〜100/0(重量%)、好ましくは30/70〜100/0(重量%)、さらに好ましくは50/50〜100/0(重量%)程度である。
好ましい芳香族ビニル樹脂は、ビニルフェノール単独重合体(ポリヒドロキシスチレン)、特にp−ビニルフェノール単独重合体である。
芳香族ビニル樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜50×104、好ましくは400〜30×104程度の範囲から選択できる。
これらの芳香族樹脂のうち、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、芳香族ビニル樹脂、特にポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノボラック樹脂が好ましい。
(C3)窒素含有化合物
難燃助剤として用いられる窒素含有化合物としては、前記有機リン化合物とは異なり、非リン系の窒素含有環状化合物(分子内にリン含有基を含まない窒素含有環状化合物、例えば、非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物又はその塩、環状尿素化合物、及びテトラゾール化合物など)又はその塩が使用できる。また、窒素含有化合物(C3)として、(ポリ)リン酸アミドや非環状尿素化合物などを用いてもよい。このような窒素含有化合物(C3)は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記アミノ基を有する窒素含有環状化合物又はその塩には、(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合物、(b)前記アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との塩、(c)前記アミノ基を有する窒素含有環状化合物と有機リン酸との塩、(d)前記アミノ基を有する窒素含有化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との塩などが含まれる。
(a)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物
非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物には、少なくとも1つのアミノ基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環状化合物が含まれ、ヘテロ環は、窒素以外にイオウ、酸素などの他のヘテロ原子を有していてもよい。このような窒素含有ヘテロ環には、窒素含有5員環(ピロール、ピラゾリン、イミダゾール、トリアゾール等)、窒素及び硫黄含有5員環(チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン等)、窒素及び酸素含有5員環(オキサゾリン、フラザン等)、窒素含有6員環(ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン等)、窒素及び酸素含有6員環(オキサジンなど)、窒素及び硫黄含有6員環(チアジン、チアジアジン等)、縮合複素環(インドール、インダゾール、キノリン、プリン等)などの複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有ヘテロ環などが含まれる。このような窒素含有環のうち、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有環が好ましく、特に、トリアゾール及びトリアジンが好ましい。
トリアゾール化合物としては、1,2,3−トリアゾール類(1H−1,2,3−トリアゾール類;2H−1,2,3−トリアゾール類など)、及び1,2,4−トリアゾール類(グアナゾールなどの1H−1,2,4−トリアゾール類;グアナジンなどの4H−1,2,4−トリアゾール類など)が例示でき、アミノ基はトリアゾール環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基の個数は、特に制限されず、1〜3個、特に1〜2個程度である。
トリアジン化合物としては、1,3,5−トリアジン類[メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂など)などのメラミン又はその誘導体;アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸アミド類;グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナミン又はその誘導体など]、アミノ基含有1,2,3−トリアジン類(5−位、4,5−位、4,5,6−位などにアミノ基が置換した1,2,3−トリアジン、4−アミノ−ベンゾ−1,2,3−トリアジンなど)、アミノ基含有1,2,4−トリアジン類(3−位、5−位、3,5−位などにアミノ基が置換した1,2,4−トリアジンなど)などの各種アミノトリアジン類が挙げられる。アミノ基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基の個数は特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、1〜2個)程度である。
これらのうち、アミノ基含有トリアジン化合物、特にアミノ基含有1,3,5−トリアジン類が好ましい。
(b)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記(a)と同様の窒素含有環状化合物が使用できる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物は、環を構成する窒素原子部位(イミノ基)で酸素酸と塩を形成してもよいが、通常、環に置換した少なくとも1つのアミノ基と酸素酸とで塩を形成するのが好ましい。複数のアミノ基を有する場合、全てのアミノ基が酸素酸と塩を形成していてもよい。また、複数の同種又は異種の窒素含有化合物(前記窒素含有環状化合物や他のアミノ基含有窒素含有化合物)が1つのポリ酸と塩を形成して、ポリ酸の複塩を形成してもよい。
(酸素酸)
酸素酸には、硝酸、塩素酸(過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸など)、リン酸、硫酸、スルホン酸、ホウ酸、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タングステン酸、スズ酸、ケイ酸などが含まれる。好ましい酸素酸には、リン酸(ポリリン酸)、硫酸、スルホン酸、ホウ酸が含まれる。
(1)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物のリン酸塩
リン酸には、ペルオクソリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リン酸(ホスフィン酸)などの非縮合リン酸;ポリメタリン酸(HPO3j(式中、jは、2以上の整数を示す)、次リン酸、無水リン酸(五酸化二リン)などの縮合リン酸(ポリリン酸)などが含まれる。また、前記ポリリン酸には下記式(13)で表される縮合リン酸類も含まれる。
Figure 0004673626
(式中、kは2以上の整数を示す)。
前記式において、kは、好ましくは2〜2000の整数、さらに好ましくは3〜1000の整数である。
また、前記ポリリン酸には、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸なども含まれる。
複数の塩形成可能な部位を有するリン酸は、少なくとも一部の部位がアミンや尿素などの他のアミノ基含有化合物と部分塩(ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸尿素などの縮合酸の部分塩;オルトリン酸尿素などの非縮合酸の部分塩など)を形成してもよい。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のリン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のリン酸塩、例えば、非縮合リン酸塩(オルトリン酸メラミン、ホスホン酸メラミンなどの非縮合リン酸のメラミン塩;前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など)、ポリリン酸塩[ピロリン酸メラミン塩(ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン)、これらのピロリン酸メラミン塩に対応する三リン酸塩、四リン酸塩などのポリリン酸メラミン類;前記ポリリン酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。また、ポリリン酸塩は、硫酸に由来する硫黄原子を含んでいてもよい。前記トリアジン塩に対応するトリアゾール塩なども使用できる。
ポリリン酸塩には、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、メタリン酸メラミン・メラム・メレム複塩や、前記イオウ原子を含むポリ酸(リン原子の他に、イオウ原子、酸素原子などを含むポリ酸)のメラミン・メラム・メレム複塩なども含まれる。これらの複塩の詳細は特開平10−306081号公報、特開平10−306082号公報を参照できる。
(2)非リン系のアミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩
硫酸としては、ペルオクソ一硫酸、硫酸、亜硫酸等の非縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸等の縮合硫酸などが挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩、例えば、縮合硫酸塩[硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、硫酸グアニルメラミンなど)、硫酸メラミンに対応する亜硫酸メラミンなどの非縮合硫酸メラミン類;前記非縮合硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など)]、縮合硫酸塩[ピロ硫酸メラミン類(ピロ硫酸メラミン、ピロ硫酸ジメラミンなど)、ピロ硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。また、前記トリアジン塩に対応するトリアゾール塩も使用できる。
なお、硫酸メラミンは、例えば、特開平8−231517号公報に記載の方法などにより得ることができる。ピロ硫酸ジメラムは、例えば、A.C.S. Symposium Series No. 425 “Fire and Polymers”、第15章、211〜238頁(American Chemical Society, Washington D.C., 1990)、特開平10−306082号公報に記載の方法などにより得ることができる。このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)の硫酸塩としては、例えば、(株)三和ケミカルから「アピノン901」などとして入手可能である。
(3)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物のスルホン酸塩
スルホン酸としては、C1-10アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸など)、C6-20アレーンスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)等の有機スルホン酸が挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のスルホン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物(例えば、メラミン、メラム、メレム、メロン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど)のスルホン酸塩[スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩、メタンスルホン酸グアナミンなど)]が例示できる。このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)の有機スルホン酸塩としては、例えば、日産化学工業(株)から「メタンスルホン酸メラム MMS−200」などとして入手可能である。
(4)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物のホウ酸塩
ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;四ホウ酸、無水ホウ酸などの縮合ホウ酸などが挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のホウ酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のホウ酸塩、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸メラミン塩(オルトホウ酸モノ乃至トリメラミンなどのオルトホウ酸メラミン塩)、前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩などのオルトホウ酸塩;前記オルトホウ酸塩に対応するメタホウ酸塩]、ポリホウ酸塩[縮合ホウ酸メラミン塩(無水ホウ酸メラミン、四ホウ酸メラミンなど)、前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩]などが例示できる。
このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)のホウ酸塩としては、例えば、DMS社から「melapur」、Joseph Storey & Co LTD社から「STORFLAM MLB」、Budenheim Iberica Comercial社から「BUDIT 313」などとして入手可能である。
前記酸素酸塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との割合は、特に制限されないが、例えば、前者/後者(モル比)=1/20〜20/1、好ましくは1/10〜10/1(例えば1/5〜10/1)、特に1/2〜8/1程度である。窒素含有環状化合物が有するアミノ基と酸素酸の塩形成可能部位との当量比も特に制限されず、例えば、10/1〜1/2、好ましくは5/1〜1/1、特に4/1〜1/1程度である。
(c)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物と有機リン酸との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記(a)と同様のアミノ基を有する窒素含有環状化合物が例示できる。
有機リン酸としては、例えば、前記(b)の項で例示した非縮合リン酸[リン酸(オルトリン酸など)、ホスホン酸など]の部分エステル、及び有機基で置換されたホスホン酸又はホスフィン酸などが例示できる。有機リン酸は、アミノ基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成可能な部位を少なくとも1つ有していればよい。
リン酸エステル(有機オルトリン酸)には、アルコール類(一価又は多価アルコール、一価又は多価のフェノール類)のリン酸モノ又はジエステルが含まれる。前記アルコール類には、前記ポリアリレート系樹脂の項で例示した一価のアルコール(特にC1-10脂肪族モノオール)及び脂肪族ポリオールの他、グリセロール、ペンタエリスリトールなどのC1-10脂肪族ポリオール;ニトリロトリメタノールなどのヘテロ原子を有するC2-10脂肪族ポリオール;シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5-8脂環族モノオール(好ましくはC5-6シクロアルカノール);シクロヘキサンジオールなどのC5-8脂環族ジオール(好ましくはC5-6シクロアルカンジオール);フェノール、アルキルフェノール(例えば、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノール、トリメチルフェノール、t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのモノ乃至トリC1-20アルキルフェノール)、アリールフェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール)、ナフトール、ヒドロキシビフェニルなどの一価フェノール類;前記ポリアリレート系樹脂の項で例示した一価のアラルキルアルコール及び芳香族環ジオールなどが含まれる。
このようなリン酸エステルとしては、メチルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのモノ又はジC1-10アルキルホスフェート;エチレングリコールモノホスフェート、ペンタエリスリトールビスホスフェートなどのC2-10脂肪族多価アルコールのモノ乃至テトラホスフェート;モノフェニルホスフェート、モノクレジルホスフェート、モノキシレニルホスフェート、モノトリメチルフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート、ジキシレニルホスフェート、ジトリメチルフェニルホスフェートなどの置換基(C1-4アルキル基など)を有していてもよい一価フェノール類のリン酸エステル(例えば、C1-4アルキル基を有していてもよいモノ又はジC6-14アリールホスフェート);フェニレンビスホスフェートなどの置換基(C1-4アルキル基など)を有していてもよい多価フェノール類のモノ又はジホスフェート(例えば、C1-4アルキル基を有していてもよいC6-14アリーレンモノ又はジホスフェート)など]、アルキル−アリールリン酸エステル[メチルフェニルホスフェートなどのC1-10アルキルC6-14アリールホスフェート(好ましくはC1-6アルキルC6-10アリールホスフェート)など]などが含まれる。
有機ホスホン酸には、前記リン酸エステルに対応するホスホン酸モノエステル、ホスホン酸のリン原子に直接結合した水素原子が有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの有機基)で置換された有機ホスホン酸、前記アルコール類の有機ホスホン酸モノエステルなどが含まれる。
前記有機ホスホン酸には、脂肪族ホスホン酸[メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸などのアルキルホスホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1−ホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などの脂肪族ポリオールのモノ又はジホスホン酸エステル;ホスホノ酢酸、3−ホスホノプロピオン酸などのホスホノC1-10脂肪族カルボン酸又はそのカルボン酸エステル(ホスホノ酢酸エチル、3−ホスホノプロピオン酸エチルなどのホスホノカルボン酸のカルボン酸エステル類など)などのホスホノカルボン酸類などの置換基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基など)を有していてもよいC1-10アルキル基で置換されたホスホン酸(好ましくはC1-6アルキル置換ホスホン酸);エチレンビスホスホン酸などのC1-10アルキレンジホスホン酸;ニトリロトリス(メチルホスホン酸)などのヘテロ原子を有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸など]、芳香族ホスホン酸[フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸などのC6-10アリールホスホン酸;ホスホノ安息香酸などのホスホノC7-15芳香族カルボン酸又はそのカルボン酸エステル(ホスホノ安息香酸エチルなどのホスホノ芳香族カルボン酸のカルボン酸エステル類など)などのホスホノカルボン酸;フェニレンビスホスホン酸などの置換基(C1-4アルキル基など)を有していてもよい芳香族多価基で置換されたホスホン酸など]などが含まれる。また、前記有機ホスホン酸はポリマーと結合したホスホン酸(ポリビニルホスホン酸など)であってもよい。
有機ホスホン酸モノエステルには、前記有機ホスホン酸と前記リン酸エステルの項で例示のアルコール類とのモノエステル、例えば、メチルホスホン酸モノメチルエステルなどのC1-10アルキルホスホン酸モノC1-6アルキルエステル;ホスホノカルボン酸のジエステル(エトキシカルボニルメチルホスホン酸モノエチル、エトキシカルボニルエチルホスホン酸モノエチルなどのC2-6アルコキシカルボニルC1-6アルキルホスホン酸モノC1-6アルキルエステルなど);メチルホスホン酸モノフェニルエステルなどのC1-10アルキルホスホン酸モノC6-10アリールエステル;フェニルホスホン酸モノメチルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸C1-6アルキルエステル;フェニルホスホン酸モノフェニルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸モノC6-10アリールエステルなどが含まれる。なお、前記ホスホン酸エステルは、環状ホスホン酸エステル(9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−10−オキソ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなど)であってもよい。
有機ホスフィン酸には、ホスフィン酸のリン原子に有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基)が結合した有機ホスフィン酸が含まれる。このような有機ホスフィン酸としては、前記置換ホスホン酸に対応する置換ホスフィン酸、例えば、メチルエチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸などのモノ又はジC1-10アルキルホスフィン酸;メチルフェニルホスフィン酸などのC1-10アルキルC6-10アリールホスフィン酸;フェニルホスフィン酸などのC6-10アリールホスフィン酸;ホスフィニコカルボン酸[ホスフィニコジ酢酸などのホスフィニコジC1-6脂肪族カルボン酸;3−(メチルホスフィニコ)プロピオン酸などのC1-6アルキルホスフィニコ−モノC1-6脂肪族カルボン酸、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸などのC6-10アリールホスフィニコ−モノC1-6脂肪族カルボン酸、これらのホスフィニコカルボン酸のカルボン酸エステルなど;ホスフィニコモノ又はジC6-10アリールカルボン酸又はそのカルボン酸エステル];ヒドロキシホスフィンオキシド(1−ヒドロキシジヒドロホスホニルオキシド、1−ヒドロキシホスホランオキシドなど)などが挙げられる。
前記有機リン酸塩は、塩形成可能な部位の一部又は全部でアミノ基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成でき、いずれの塩も使用できる。このような有機リン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の塩、例えば、有機リン酸エステルのメラミン塩(ペンタエリスリトールビスホスフェート・メラミン、ペンタエリスリトールビスホスフェート・ジメラミンなど)、C1-6アルキル置換ホスホン酸のメラミン塩、C1-6脂肪族ジオールのモノ又はジホスホン酸エステルのメラミン塩(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・ジメラミン、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・テトラメラミンなど)、ヘテロ原子を有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸のメラミン塩[ニトリロトリス(メチルホスホン酸)・テトラメラミン塩、ニトリロトリス(メチルホスホン酸)・ヘキサメラミン塩など]、及びC6-10アリールホスホン酸・メラミン(フェニルホスホン酸・メラミン、フェニルホスホン酸・ジメラミンなど)、ホスフィニコカルボン酸・メラミン塩[3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸・メラミン、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸・ジメラミンなどのアリールホスフィニコカルボン酸・メラミン塩];前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩;並びにペンタエリスリトールビスホスフェート・メラミン・メラム・メレムなどの前記メラミン塩に対応する複塩などが挙げられる。また、前記トリアジン化合物塩に対応するトリアゾール塩も使用できる。このような有機リン酸塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
このようなアミノ基を有する窒素含有化合物(特に、アミノ基含有トリアジン化合物)の有機リン酸塩の製造方法は、特に制限されないが、例えば、前記窒素含有化合物と有機リン酸と含む溶液又は分散液(水−アセトン混合系、水−アルコール混合系などの水溶液又は懸濁液など)を、適当な温度(例えば50〜100℃程度)で攪拌、混合し、生成する沈殿物を分離、乾燥する方法などにより製造できる。
(d)非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記(a)の項で例示したアミノ基を有する窒素含有環状化合物が例示できる。
ヒドロキシル基を有する窒素含有化合物には、少なくとも1つのヒドロキシル基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環とで構成された化合物が含まれる。前記ヘテロ環としては、前記アミノ基を有する窒素含有環状化合物に対応するヘテロ環が例示できる。好ましい窒素含有環は、前記と同様に、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有環、特に、トリアジンなどである。
トリアジン化合物としては、前記アミノ基を有する窒素環状化合物の項で例示したトリアジン化合物に対応するヒドロキシル基含有トリアジン化合物が例示できる。ヒドロキシル基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換してもよい。ヒドロキシル基の個数は、特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、2〜3個)程度である。好ましいヒドロキシル基含有トリアジン化合物は、ヒドロキシル基含有1,3,5−トリアジン類、特にシアヌール酸又はイソシアヌール酸、アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸又はその誘導体などである。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との塩としては、トリアジン類とシアヌール酸又はその誘導体との塩、例えば、メラミンシアヌレートなどのシアヌール酸のメラミン塩;メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、グアナミン塩(例えば、グアナミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミンシアヌレートなど)などが含まれる。
これらの塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との割合は、特に制限されないが、例えば、前者/後者(モル比)=1/2〜3/1、好ましくは1/1〜2/1程度である。
(e)尿素化合物
尿素化合物には、環状尿素化合物が含まれる。また、非環状尿素化合物を使用してもよい。尿素化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(環状尿素化合物)
環状尿素化合物は、少なくとも1つの尿素ユニット−NHCONH−を環の構成ユニットとして有する限り、特に制限されず、単環化合物、芳香族炭化水素環との縮合環、架橋環などのいずれであってもよい。このような環状尿素化合物には、環状モノウレイド、環状ジウレイド等が挙げられる。これらの環状尿素化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
環状モノウレイドとしては、例えば、アルキレン尿素[メチレン尿素、エチレン尿素、クロトニリデン尿素(CDU)などのC1-10アルキレン尿素(好ましくはC1-6アルキレン尿素)など]、アルケニレン尿素(ビニレン尿素、シトシン等のC2-10アルケニレン尿素など)、アルキニレン尿素[C2-10アルキニレン尿素(好ましくはC2-6アルキニレン尿素)など]、アリーレン尿素(イメサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド(パラバン酸、ジメチルパラバン酸、バルビツル酸、5,5−ジエチルバルビツル酸、ジリツル酸、ジアルル酸、アロキサン、アロキサン酸、イソシアヌール酸、ウラミル等)、β−アルデヒド酸のウレイド[ウラシル、5−メチルウラシル(チミン)、ジヒドロウラシル、ウラゾール、ベンゾイレン尿素等]、α−オキシ酸のウレイド[ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、1,1−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントイン等のヒダントイン類など]、又はその誘導体などが例示できる。
環状ジウレイドとしては、例えば、尿酸、3−メチル尿酸、プソイド尿酸、アセチレン尿素(グリコールウリル)、α−オキシ酸のジウレイド[1,1−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントインなど]、p−ウラジンなどのジウレア、ジカルボン酸のジウレイド(アロキサンチン、プルプル酸等)、又はその誘導体などが例示できる。
これらの環状尿素化合物のうち、2つの尿素ユニットを環の構成ユニットとして有する環状ジウレイド、特にアセチレン尿素、尿酸、それらの誘導体が好ましい。
(非環状尿素化合物)
非環状尿素化合物には、尿素、アルキル基などの置換基が置換したN−置換尿素[例えば、N−メチル体、N−エチル体などのN−C1-6アルキル体、アルキレンジウレア(例えば、メチレンジウレアなどのC1-6アルキレンジウレアなど)など]、非環状ウレイド化合物[オキサルル酸などのC2-6ジカルボン酸のウレイド酸、ウレイド酢酸などのウレイド基含有C1-6モノカルボン酸、ウレイドコハク酸などのカルバミド基含有C2-6ジカルボン酸、又はそれらの誘導体(アミド、エステルなど)などのモノウレイド;アラントイン酸などのC2-6カルボン酸のジウレイドなど]非環状の尿素縮合体[尿素の二量体(例えば、ビウレット、ビウレアなど)尿素の多量体、尿素とアルデヒド化合物との縮合体など]などが含まれる。
(f)テトラゾール化合物
テトラゾール化合物には、モノテトラゾール(5−フェニルテトラゾールなど)及びビテトラゾール(5,5′−ビテトラゾールなど)のアミン塩又は金属塩が含まれる。アミン塩としては、5−フェニルテトラゾール、5,5′−ビテトラゾールのアミン塩(例えば、2アンモニウム塩、2グアニジン塩、ピペラジン塩、メラミン塩、グアナミン塩、キシリレンジアミン塩など)などが挙げられる。金属塩としては、5,5′−ビテトラゾールの金属塩(例えば、Na塩、K塩などのアルカリ金属塩;Ca塩、Mg塩、Ba塩などのアルカリ土類金属塩;Zn塩、Al塩など)などが挙げられる。
これらのテトラゾール化合物の詳細については、特開平5−51476号公報、特開平6−166678号公報、特開2001−294497号公報などを参照できる。
(g)(ポリ)リン酸アミド
(ポリ)リン酸アミドとしては、前記酸素酸の項で例示したリン酸類と、−N=C=N−又は−N=C(−N<)2で表されるユニットを有する化合物(シアナミド誘導体など)との縮合物であり、アミド態の窒素を含有する高分子化合物である。このような(ポリ)リン酸アミドは、通常、前記リン酸と前記シアナミド誘導体とを、尿素及びリン酸尿素から選択された少なくとも一種(結合剤)の存在下で加熱(焼成など)することにより得られる。
前記リン酸類としては、非縮合リン酸(オルトリン酸、メタリン酸など)、ポリリン酸、リン酸の部分エステル(ポリリン酸アンモニウム、リン酸尿素など)などが好ましく使用できる。リン酸類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記シアナミド誘導体としては、アミノ基含有トリアジン類(メラミン、メラム、メレム、メロン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有1,3,5−トリアジン類、3−アミノ−1,2,4−トリアジンなどのアミノ基含有1,2,4−トリアジン類など)、アミノ基含有トリアゾール類(2,5−ジアミノ−1,3,4−トリアゾールなどのアミノ基含有1,3,4−トリアゾール類など)などの環状シアナミド誘導体;グアニジン類[グアニジン、グアニジン誘導体(ジシアンジアミド、グアニル尿素など)など]などの非環状シアナミド誘導体などが挙げられる。好ましいシアナミド誘導体は、アミノ基含有1,3,5−トリアジン類、グアニジン又はその誘導体、特にメラミンなどである。このようなシアナミド誘導体は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(ポリ)リン酸アミドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリリン酸アミドについては、例えば、特開平7−138463号公報を参照できる。このようなポリリン酸アミドは、特公昭53−2170号公報、特公昭53−15478号公報、特公昭55−49004号公報、特開昭61−126091号公報、特開平10−81691号公報、米国特許第4043987号明細書などに記載の方法などにより製造できる。ポリリン酸アミドは、「スミセーフPM」[住友化学工業(株)製]、「タイエンS」[太平化学産業(株)製]、「アピノンMPP」[(株)三和ケミカル製]、「Melapur」[DSM社製]、「Exolit」[クラリアント社製]、「AMGARD」[Albright&Wilson社製]として市販されている。
これらの窒素含有化合物(C3)のうち、トリアジン骨格を有する非リン系アミノ基含有化合物と、シアヌル酸、イソシアヌル酸、硫酸、(ポリ)リン酸、スルホン酸、有機ホスホン酸及び有機ホスフィン酸から選択された成分との塩(例えば、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、硫酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン等)、環状ジウレイド(例えば、尿酸、アセチレン尿素等)、ビテトラゾール(例えば、5,5′−ビテトラゾールの2アンモニウム塩、2アミノグアニジン塩、ピラジン塩、メラミン塩、アルカリ土類金属塩、Zn塩、又はAl塩など)、(ポリ)リン酸とシアナミド類又は誘導体との反応生成物(塩)(例えば、ポリリン酸アミド等)などが好ましい。
これらの窒素含有化合物(C3)は、エポキシ系化合物、カップリング剤(シラン系化合物、チタネート系化合物、アルミニウム系化合物など)、クロム系化合物などの表面改質剤により処理してもよい。また、窒素含有化合物(C3)は、金属、ガラス、トリアジン誘導体のシアヌール酸塩、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂又はこれらの共縮合樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミドなど)、熱可塑性樹脂などで被覆処理してもよい。これらの処理のうち、通常、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂など)で被覆処理する。例えば、窒素含有化合物(C3)の被覆処理方法として、特開昭52−125489号公報、特開昭62−21704号公報、特開昭63−110254号公報、特開平8−53569号公報、特開平8−53574号公報、特開2000−169120号公報、特開2001−131293号公報などを参照することができる。窒素含有化合物(C3)と被覆成分との割合は、特に制限されないが、例えば、被覆成分が被覆難燃剤の0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%(例えば、0.1〜8重量%)程度である。
(C4)無機金属系化合物
無機金属系化合物には、無機酸の金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属硫化物などが含まれる。前記無機酸の金属塩を構成する無機酸としては、リン酸、ホウ酸、スズ酸、モリブデン酸、タングステン酸等の各種無機酸が使用できる。
無機酸と塩を形成する金属には、アルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど);アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど);遷移金属(スカンジウムなどの第3A族金属;チタンなどの第4A族金属;バナジウムなどの第5A族金属;クロム、モリブデンなどの第6A族金属;マンガンなどの第7A族金属;鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの第8族金属;及び銅、銀などの第1B族金属)、第2B族金属(亜鉛など)、第3B族金属(アルミニウムなど)、第4B族金属(スズ、鉛など)、第5B族金属(アンチモン、ビスマスなど)などが含まれる。これらの金属は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(リン酸の金属塩)
リン酸としては、非縮合リン酸[オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等]、縮合リン酸[次リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸(三リン酸、四リン酸等)、ポリメタリン酸、無水リン酸塩類等]が例示でき、特に非縮合リン酸が好ましい。
金属は、アルカリ金属塩(Li、Na、K塩など)、アルカリ土類金属塩(Mg、Ca塩など)、周期表2B族金属塩(Zn塩など)、周期表3B族金属塩(Al塩など)等が例示できる。これらのうち、多価金属、例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B〜3B族金属、特に、アルカリ土類金属が好ましい。
リン酸の金属塩としては、前記リン酸と多価金属との塩の他、この多価金属リン酸塩に対応するリン酸水素塩が挙げられ、前記金属塩には、配位子(例えば、ヒドロキソ、ハロゲンなど)が配位していてもよい。
リン酸の金属塩としては、例えば、ピロリン酸塩(Ca227など)、ポリメタリン酸塩[Ca3(P392など]、無水リン酸塩類(Ca2(P412)、Ca5(P3102など)の他、Ca5(PO43(OH)、Ca5(PO43(F,Cl)などの縮合リン酸塩や、(次)亜リン酸アルミニウム塩などを使用してもよいが、リン酸水素塩を用いるのが好ましい。
このようなリン酸水素塩としては、例えば、オルトリン酸水素マグネシウム(リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウムなど)、オルトリン酸水素カルシウム(リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウムなど)などのアルカリ土類金属リン酸水素塩;リン酸水素マンガン(リン酸水素マンガン(III)など)、リン酸水素鉄[Fe(H2PO43など]等の遷移金属リン酸水素塩;リン酸水素亜鉛、リン酸水素カドミウムなどの周期表第2B族金属のリン酸水素塩;リン酸水素アルミニウムなどの周期表第3B族金属のリン酸水素塩;リン酸水素スズなどの周期表第4B族金属のリン酸水素塩などの非縮合リン酸水素塩などである。これらのうち、実質的に無水のリン酸水素金属塩、特にアルカリ土類金属リン酸水素塩[リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウム(CaHPO4)など]が好ましい。
(ホウ酸の金属塩)
ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;ピロホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸などの縮合ホウ酸、並びに塩基性ホウ酸などが好ましい。
金属としては、アルカリ金属などを用いてもよいが、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族金属の多価金属が好ましい。
ホウ酸金属塩は、通常、含水塩であり、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸カルシウム、メタホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属非縮合ホウ酸塩;オルトホウ酸マンガン、メタホウ酸銅などの遷移金属非縮合ホウ酸塩;メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の非縮合ホウ酸塩(特にメタホウ酸塩)など]、縮合ホウ酸塩(四ホウ酸三マグネシウム、ピロホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属縮合ホウ酸塩;四ホウ酸マンガン、二ホウ酸ニッケルなどの遷移金属縮合酸塩;四ホウ酸亜鉛、四ホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の縮合ホウ酸塩など);塩基性ホウ酸塩(塩基性ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の塩基性ホウ酸塩など)などが挙げられる。また、これらのホウ酸塩に対応するホウ酸水素塩(例えば、オルトホウ酸水素マンガンなど)なども使用できる。特に、アルカリ土類金属又は周期表第2B族金属ホウ酸塩(非縮合又は縮合ホウ酸塩)、特に、(含水)ホウ酸亜鉛類、(含水)ホウ酸カルシウム類が好ましい。
(スズ酸の金属塩)
スズ酸としては、スズ酸、メタスズ酸、オルトスズ酸、ヘキサヒドロオクソスズ酸等が例示できる。金属としては、アルカリ金属や、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族金属等の多価金属が例示できる。スズ酸の金属塩は、通常、含水塩であり、例えば、スズ酸のアルカリ金属塩(例えば、スズ酸ナトリウムやスズ酸カリウム等)、スズ酸のアルカリ土類金属塩(例えば、スズ酸マグネシウムなど)、スズ酸の遷移金属塩(例えば、スズ酸コバルトなど)、スズ酸の周期表2B族金属塩(例えば、スズ酸亜鉛など)が例示できる。これらのスズ酸の金属塩のうち、スズ酸の周期表2B族金属塩、特に(含水)スズ酸亜鉛類が好ましい。
(モリブデン酸の金属塩)
モリブデン酸の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。
例えば、(含水)モリブデン酸亜鉛[例えば、キクチカラー(株)の商品名 ボーエン「SK−26」、「SKN−301」、「SKN−545」、「SKR−803」、「SKR−805」]などが挙げられる。
(タングステン酸の金属塩)
タングステン酸の金属塩としては前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。
例えば、(含水)タングステン酸亜鉛などが挙げられる。
リン酸、ホウ酸、スズ酸、モリブデン酸及びタングステン酸以外の無機酸(酸素酸)の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。
無機金属系化合物のうち、金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マンガン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
金属硫化物としては、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化亜鉛などが挙げられる。
これらの無機金属系化合物(C4)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C5)硫黄含有化合物
硫黄含有化合物としては、有機スルホン酸[アルカンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸(パーフルオロブタンスルホン酸など)、アレーンスルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホフタル酸、スルホナフトエ酸、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸など)、スルホン化ポリマー(スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシドなど)など]、スルファミン酸、有機スルファミン酸、有機スルホン酸アミドの塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。
(C6)ケイ素含有化合物
ケイ素含有化合物には、(ポリ)オルガノシロキサン(樹脂、エラストマー、オイルなど)、ゼオライトなどが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン、モノオルガノシロキサンなどの単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)、又は共重合体などが含まれる。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン(ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサンなどのポリオルガノシルセスキオキサンなど)[例えば、東芝シリコーン(株)の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業(株)の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開2001−41219号公報、特開2000−159995公報、特開平11―158363号公報、特開平10−182832号公報、特開平10−139964号公報などに記載の化合物など]、分子端末や主鎖に、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン[例えば、東レ・ダウコーニング−シリコーン(株)の商品名Siパウダー「DC4−7051」、「DC4−7105」、「DC1−9641」]なども使用できる。
[各成分の割合]
(有機リン化合物(B)の使用割合)
本発明では、難燃剤として特定の有機リン化合物(B)を用いることにより、幅広いベース樹脂に対して、少量の添加であっても高い難燃性を付与できる。有機リン化合物(B)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは5〜70重量部程度である。ベース樹脂(A)に対して有機リン化合物(B)の割合が多すぎると、樹脂組成物の機械的特性が低下する。
(難燃助剤(C)の使用割合)
難燃助剤(C)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜300重量部、さらに好ましくは1〜200重量部程度である。
リン含有化合物(C1)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは3〜30重量部程度である。
ベース樹脂(A)と芳香族樹脂(C2)とは、通常、互いに異種の樹脂を使用し、その場合、ベース樹脂と芳香族樹脂との割合(重量比)は、ベース樹脂/芳香族樹脂=50/50〜100/0、好ましくは55/45〜100/0、さらに好ましくは60/40〜100/0程度である。
窒素含有化合物(C3)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜90重量部、さらに好ましくは3〜80重量部程度である。
無機系金属化合物(C4)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは3〜45重量部程度である。
硫黄含有化合物(C5)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜50重量部、好ましくは0.01〜30重量部、さらに好ましくは0,1〜10重量部程度である。
ケイ素含有化合物(C6)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して0.001〜50重量部、好ましくは0.01〜30重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度である。
有機リン化合物(B)及び難燃助剤(C)の総量は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜300重量部、好ましくは0.1〜200重量部、さらに好ましくは1〜200重量部(例えば、5〜150重量部)程度である。
有機リン化合物(B)と難燃助剤(C)との割合は、前者/後者(重量比)=1/100〜10000/100(例えば、1/100〜1000/100)の広い範囲から選択でき、例えば、5/100〜1000/100、好ましくは10/100〜700/100、さらに好ましくは15/100〜500/100程度である。
[添加剤]
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて種々の添加剤(例えば、他の難燃剤、ドリッピング防止剤、酸化防止剤、安定剤など)を含んでいてもよい。添加剤の全体の含有量は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
(他の難燃剤)
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、例えば、アルコール系難燃剤、無機系難燃剤、ラジカル発生有機系難燃剤などを含んでいてもよい。
アルコール系難燃剤としては、多価アルコール(ペンタエリスリトールなど)、オリゴマーの多価アルコール(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなど)、エステル化された多価アルコール、置換されたアルコール、セルロース類(セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ペクトセルロース、アジポセルロースなど)、糖類(単糖類、多糖類など)などが挙げられる。
ラジカル発生有機系難燃剤としては、ベンジルラジカル発生化合物[2,3−ジフェニル−2,3−ジメチルブタン、ポリ(α,α,α′,α′−テトラメチル−1,3−キシリレン)、ポリ(α,α,α′,α′−テトラメチル−1,4−キシリレン)など]、ニトロキシド発生化合物[2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ジヒドロキシ−ピペリジン、1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン又はそれらのカルボン酸エステル誘着体など]などが挙げられる。無機系難燃剤には、膨張性黒鉛なども含まれる。
これら他の難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他の難燃剤の含有量は、例えば、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部程度、好ましくは0.05〜30重量部程度、特に0.1〜20重量部程度の範囲から選択できる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤を含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)などが含まれる。
フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC2-10アルカンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又はトリオキシC2-4アルカンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3-8アルカントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC4-8アルキレンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1-3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1-3アルキルピペリジン)C2-20アルカンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギサレート、オギサレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが含まれる。
リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3-6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、(分岐C3-6アルキルフェニル)フェニルホスファイト[例えば、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、2−t−ブチルフェニルジフェニルホスファイトなど]、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C1-9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3-6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有している。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ、イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
これらの酸化防止剤は単独で又は二種以上使用できる。酸化防止剤の含有量は、例えば、難燃性樹脂組成物中、樹脂0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、特に0.1〜2重量%程度の範囲から選択できる。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、フッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよい。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記フッ素系樹脂は、粒子状で使用してもよく、平均粒径は、例えば、10〜5000μm程度、好ましくは100〜1000μm程度、さらに好ましくは100〜700μm程度であってもよい。
フッ素系樹脂の含有量は、例えば、難燃性樹脂組成物中、0.01〜18重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度、さらに好ましくは0.1〜3重量%程度である。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目的に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、安定剤(紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など)、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝撃改良剤、摺動剤、発泡剤、反応性高分子改質剤(エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−グリシジル(メタ)アクリル酸エステル共重合体(エチレン−メタアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体など)、エポキシ変性ポリスチレン(EGMA−g−PS4など)など)が挙げられる。
[充填剤]
本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填剤により改質されていてもよい。充填剤には、繊維状充填剤、非繊維充填剤(板状充填剤、粉粒状充填剤など)が含まれる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、繊維状ウォラストナイト、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示できる。
非繊維状充填剤のうち、板状(層状)充填剤には、例えば、カオリン、タルク、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔、層状リン酸塩(リン酸ジルコニウム、リン酸チタン等)などが例示できる。
粉粒状又は無定形状充填剤には、カーボンブラック、ホワイトカーボン、炭化ケイ素、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(ミルドガラスファイバーなど)、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻土等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等)、金属の炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属の硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム等)、金属粉末が含まれる。
好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維が挙げられ、好ましい非繊維状充填剤としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビーズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及びガラスフレークが挙げられる。
また、特に好ましい充填剤には、ガラス繊維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョップドストランドなど)が含まれる。
充填剤を用いる場合、難燃性樹脂組成物中の充填剤の割合は、例えば、1〜60重量%程度、好ましくは1〜50重量%程度、さらに好ましくは1〜45重量%程度である。
これらの充填剤の使用に当たっては、必要ならば、収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、好ましくはエポキシ系化合物、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
充填剤は、前記収束剤又は表面処理剤により、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、添加前に予め処理してもよい。
また、併用される官能性表面処理剤又は収束剤の使用量は、充填剤に対して5重量%以下、好ましくは0.05〜2重量%程度である。
本発明の難燃剤は、燃焼時に樹脂表面の炭化を促進するためか、樹脂を高度に難燃化できる。また、特定の有機リン化合物と、特定の難燃助剤とを組み合わせることにより、少量であってもベース樹脂を効果的に難燃化でき、ブリードアウトや耐熱性を低下させることもない。
[難燃性樹脂組成物の製造方法]
本発明の難燃性樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、ベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤と、必要によりドリッピング防止剤や他の添加剤などとを慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、(1)各成分を混合して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法などが採用できる。さらに、押出機によるペレットの製造方法としては、(1)脆性充填剤(ガラス系充填剤など)を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤成分を混合する製造方法、(2)リン系化合物及び脆性充填剤を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン系化合物を(同じフィード位置で)同時混合する製造方法、(3)リン系化合物及び脆性充填剤を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン系化合物を(別々のフィード位置で)順次混合する製造方法等が採用できる。この押出機によるペレット製造において、少量の芳香族化合物やハロゲン化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロホルム、トリクロロエチレンなど)を分散助剤として押出時に配合してもよい。この分散助剤は押出機のベント口から混練樹脂より除去される。また、成形品に用いられる組成物の調製において、ベース樹脂の粉粒体(例えば、ポリエステル系樹脂の一部又は全部を粉砕した粉粒体)と、他の成分(難燃剤など)とを混合して溶融混練すると、他の成分の分散を向上させるのに有利である。
なお、ハンドリングの観点から、非樹脂状成分(特定の有機リン化合物、リン系化合物、窒素含有化合物、無機金属系化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物など)と、樹脂状成分(ベース樹脂、芳香族樹脂など)とを一旦溶融混合することにより、マスターバッチを調製すると便利である。特に、赤リンを併用する場合、マスターバッチを調製する場合が多い。また、樹脂状成分でマスターバッチを構成する場合、ベース樹脂の一部をマスターバッチに用いることが多い。
マスターバッチには、例えば、(a)ベース樹脂の一部と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(b)芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(c)芳香族樹脂と樹脂状難燃剤と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(d)ベース樹脂の一部と芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(e)ベース樹脂の一部と樹脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(f)ベース樹脂の一部と芳香族樹脂と樹脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチなどが挙げられる。
なお、前記マスターバッチは、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フッ素系樹脂、酸化防止剤、リン系安定剤、充填剤などを含有していてもよい。
このようにして得られたマスターバッチと、ベース樹脂と、必要に応じて、残りの成分とを溶融混合することにより、難燃性樹脂組成物を製造できる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法により成形できる。
本発明の樹脂組成物で形成された成形品は、難燃性および成形加工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例えば、電気・電子部品、機械機構部品、オフィスオートメーション(OA)機器部品、家電機器部品、自動車部品、機械機構部品、包装材料やケースなどに好適に用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、下記の試験により樹脂組成物の難燃性とブルーミング性を評価した。
(燃焼性試験)
UL94に準拠して、試験片の厚み1.6mmで燃焼性を評価した。
(ブルーミング性の評価)
1.6mmの燃焼試験片を150℃で5時間加熱し、試験片表面の染み出し状態を目視観察し、以下の判断基準によりブルーミング性を評価した。
〇:染み出しが全く見られない
△:若干の染み出しが見られる
×:著しい染み出しが見られる。
[ベース樹脂 A]
A−1:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネックス、固有粘度=0.83、ポリプラスチックス(株)製]
A−2:ポリスチレン[トーヨースチロールG19、東洋スチレン(株)製]
A−3:アクリロニトリル−スチレン共重合体[セビアンJD、ダイセル化学工業(株)製]
A−4:ポリエチレンテレフタレート[ベルペットEFG10、カネボウ合繊(株)製]
A−5:12mol%イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートコポリマー[固有粘度=1.0]
A−6:ポリカーボネート[パンライトL1225、帝人化成(株)製]
A−7:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体[セビアンDP611、ダイセル化学工業(株)製]
A−8:液晶性ポリエステル[ロッドランLC3000、ユニチカ(株)製]
A−9:液晶性ポリエステル[ベクトラA950、ポリプラスチックス(株)製]
A−10:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド[PPEポリマーYPX−100F、三菱ガス化学(株)製]
A−11:ナイロン−6[UBEナイロン6、宇部興産(株)製]
A−12:ポリトリメチレンテレフタレート[固有粘度=1.0]。
[難燃剤 B]
B−1:10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
B−2:10−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
B−3:ジフェニルホスホニル−1,4−ハイドロキノン
B−4:シクロオクチレンホスホニルハイドロキノン[1’,4’−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノンと1’,5’−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ハイドロキノンとの混合物]
B−5:1,4−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼン
B−6:含リンポリアリレート[化合物B−1のジアセテートとテレフタル酸/イソフタル酸(モル比:50/50)から重縮合反応により調製した含リンポリアリレート]
B−7:N,N’−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゾグアナミン[HCA−BG、三光(株)製]
B−8:[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチル]ベンゼン[BCA(10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)、三光(株)製]
B−9:1,4−ビス[(シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン(1,4−ビス[(1’,4’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼンと1,4−ビス[(1’,5’−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼンとの混合物)
B−10:[(シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼン([(1,4−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼンと[(1,5−シクロオクチレンホスホニル)メチル]ベンゼンとの混合物)。
[難燃剤 B(比較例で用いた有機リン化合物)]
B−11:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
B−12:レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)。
[難燃助剤 C]
[リン含有化合物 C1]
C1−1:赤燐[ノーバエクセル140、燐化学工業(株)製]
C1−2:エチルメチルホスフィン酸アルミニウム[特開平11−60924号公報の実施例に準じて調製した。]
C1−3:レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)
C1−4:1,4−ピペラジンジイルテトラ−2,6−キシリルホスフェート[N,N′−ビス(ジ−2,6−キシリルオキシホスフィニル)ピペラジン]
C1−5:ポリフェノキシホスファゼン。
[芳香族樹脂 C2]
C2−1:ポリカーボネート[ユーピロンS3000、三菱ガス化学(株)製]
C2−2:ポリアリレート[ポリアリレートU100、ユニチカ(株)製]
C2−3:ナイロンMXD6[レニー6002、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製]
C2−4:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド[PPEポリマーYPX−100F、三菱ガス化学(株)製]
C2−5:ノボラック型フェノール樹脂[PR−53647、住友デュレズ(株)製]
C2−6:フェノールアラルキル樹脂[ミレックスXL−225、三井化学(株)製]
C2−7:ポリ(1,4−フェニレン)スルフィド
C2−8:フェノキシ樹脂[フェノトートYP−50、東都化成(株)製]
C2−9:ビスフェノールA型エポキシ樹脂[エピコート1004K、油化シェルエポキシ(株)製]
C2−10:ポリp−ビニルフェノール[マルカリンカーMS−1P、丸善石油化学(株)製]
C2−11:フェノールノボラック型エポキシ樹脂[EPPN−201、日本化薬(株)製]。
[窒素含有樹脂 C3]
C3−1:メラミンシアヌレート[MC610、日産化学工業(株)製]
C3−2:ポリリン酸メラム[PMP200、日産化学工業(株)製]
C3−3:ポリリン酸メラミン[Melapur200、DSM(株)製]
C3−4:硫酸メラミン[アピノン−901、(株)三和ケミカル製]
C3−5:5,5’−ビテトラゾールのピペラジン塩
C3−6:アセチレン尿素。
[無機系金属化合物 C4]
C4−1:硼酸亜鉛[FireBrake ZB、ボラックス・ジャパン(株)製]
C4−2:無水リン酸一水素カルシウム[平均粒子径=約30μm、太平化学産業(株)製]
C4−3:水酸化マグネシウム[キスマ5E、協和化学工業(株)製]
C4−4:硼酸亜鉛[FireBrake 415、ボラックス・ジャパン(株)製]。
[硫黄含有化合物 C5]
C5−1:スルホン化ポリスチレンのナトリウム塩[ライオン(株)製]
[ケイ素含有化合物 C6]
C6−1:ゼオライト[ゼオラムA−3,東ソー(株)製]
C6−2:シリコーン樹脂[SiパウダーDC4−7015、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製]
C6−3:シリコーン樹脂[X−40−9805、信越化学工業(株)製]。
[酸化防止剤 D]
D−1:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][イルガノックス1010、チバガイギー(株)製]。
[リン系安定剤 E]
E−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデカスタブPEP36、アデカアーガス(株)製]
E−2:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト[サンドスタブP−EPQ、サンド(株)製]。
[ドリッピング防止剤 F]
F−1:ポリテトラフルオロエチレン
[充填剤 G]
G−1:直径10μm、長さ3mmのガラスチョップドストランド
G−2:タルク[タルク3A、日本タルク(株)製]。
実施例1〜3、参考例4〜9、実施例10〜53、参考例54〜55、実施例56〜67、参考例68〜80、実施例81〜90及び比較例1〜46
上記成分を表1〜表11の割合(重量部)で混合し、小型混練機[東洋精機(株)製]により樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をプレス成形により試験用成形品を作製し、特性を評価した。
結果を表1〜表11に示す。
Figure 0004673626
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Claims (12)

  1. ベース樹脂(A)と、有機リン化合物(B)と、難燃助剤(C)とで構成された難燃性樹脂組成物であって、
    前記ベース樹脂(A)が、ポリエステル系樹脂、又は少なくともポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂とで構成された樹脂であり、
    前記有機リン化合物(B)が
    (B1)ジアリールホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類、ジアルキルホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類、10−(ポリヒドロキシアリール)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド類、及びシクロアルキレンホスホニル−ポリヒドロキシアレーン類から選択された少なくとも一種、
    (B2)モノ又はビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C 1−4 アルキル]ベンゼン類、N−モノ又はN,N−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキシド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)C 1−4 アルキル]アミノトリアジン類、モノ又はビス[(シクロアルキレンホスホニル)C 1−4 アルキル]ベンゼン類、及びN−モノ又はN,N−ビス[(シクロアルキレンホスホニル)C 1−4 アルキル]アミノトリアジン類から選択された少なくとも一種、又は
    (B3)下記式(1)
    Figure 0004673626
    (式中、Arは芳香族炭化水素環又は窒素含有芳香族複素環を示し、X は酸素原子又はイオウ原子を示し、Y 及びY は同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を示し、Z はアルキレン基又はアルキルアミンに対応する窒素含有二価基を示す。Y 及びY は互いに結合して隣接するリン原子とともに環を形成してもよい。R はヒドロキシル基又はエステル形成可能な誘導体基を示し、aは0又は1を示し、bは1〜6の整数を示し、cは2以上の整数を示す)
    で表される化合物と、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分とから得られるオリゴマー又はポリマーであり、
    前記難燃助剤(C)が(C1)(c1)無機リン化合物、(c2)オルトリン酸エステル又はその縮合物、(c3)リン酸エステルアミド、(c4)ホスホニトリル化合物、(c5)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する亜リン酸エステル又はその金属塩、及び(c6)ホスホニル基又はホスフィニコ基を有する有機ホスフィン酸化合物又はその金属塩から選択されたリン含有化合物、(C2)ベース樹脂(A)と異種の芳香族樹脂であって、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、芳香族ナイロン、ポリアリレート系樹脂、芳香族エポキシ樹脂、並びにヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂から選択された少なくとも一種の芳香族樹脂、(C3)窒素含有環状化合物又はその塩、(C4)無機金属系化合物、(C5)硫黄含有化合物、及び(C6)ケイ素含有化合物から選択された少なくとも一種であり、
    ベース樹脂(A)と芳香族樹脂(C2)との割合(重量比)が、前者/後者=60/40〜100/0である難燃性樹脂組成物。
  2. ポリエステル系樹脂が、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、C2−4アルキレンテレフタレート及びC2−4アルキレンナフタレートから選択された少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポリエステルである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリエステル系樹脂が、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、及びブチレンテレフタレートから選択された少なくとも一種の単位をホモ又はコポリエステルである請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 難燃助剤(C)が窒素含有環状化合物又はその塩(C3)を含み、かつ窒素含有環状化合物又はその塩(C3)が、非リン系のアミノ基を有する窒素含有環状化合物又はその塩、環状尿素化合物、テトラゾール化合物及び(ポリ)リン酸アミドから選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 難燃助剤(C)が無機金属系化合物(C4)を含み、かつ無機金属系化合物(C4)が、金属水酸化物、硼酸金属塩、リン酸水素金属塩、錫酸金属塩から選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 難燃助剤(C)が硫黄含有化合物(C5)を含み、かつ硫黄含有化合物(C5)が、有機スルホン酸金属塩から選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 難燃助剤(C)がケイ素含有化合物(C6)を含み、かつケイ素含有化合物(C6)が、直鎖又は分岐状オルガノシロキサン、及びゼオライトから選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
  8. ベース樹脂(A)100重量部に対して、有機リン化合物(B)及び難燃助剤(C)の総量が0.01〜300重量部であり、前記有機リン化合物(B)と前記難燃助剤(C)との割合が、前者/後者=5/100〜1000/100である請求項1記載の樹脂組成物。
  9. さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤、フッ素系樹脂、及び充填剤から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  10. ベース樹脂(A)と、有機リン化合物(B)と、難燃助剤(C)とを混合して請求項1記載の難燃性樹脂組成物を製造する方法。
  11. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物で形成された成形体。
  12. 電気・電子部品、オフィスオートメーション機器部品、家電機器部品、自動車部品、又は機械機構部品である請求項11記載の成形体。
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