JP4668048B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。
また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。例えばポジ型の化学増幅型レジストは、ベース樹脂として、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤とを含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ可溶性となる。
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)が用いられてきた。しかし、PHS系樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を有するため、248nmよりも短波長、例えば193nmの光に対する透明性が充分ではない。そのため、PHS系樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、例えば193nmの光を用いるプロセスでは解像性が低いなどの欠点がある。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主に用いられている(例えば特許文献1参照)。
特に、近年のように高解像性のレジストパターンへの要求が高まるにつれ、現像後に形成されるレジストパターンのLWRの改善が一層望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、LWRが低減された良好な形状のレジストパターンが得られるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)は、下記一般式(A−2)で表される構成単位(a1−1)と、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含む高分子化合物(A1)を含有し、かつ、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を含有しないことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
本発明において、(A)成分は、前記一般式(A−1)で表される構成単位(a1)と、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含む高分子化合物(A1)を含有する。
好ましくは、前記(A)成分は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を含有しないものである。
好ましくは、前記高分子化合物(A1)は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を含む。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
前記高分子化合物(A1)は、前記一般式(A−1)で表される構成単位(a1)を含む。本発明においては、該構成単位(a1)と、後述する構成単位(a2)とを含む高分子化合物(A1)を用いることにより、LWRが低減された良好な形状のレジストパターンが得られる。
前記一般式(A−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基である。Rのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基については、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよいハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。Rは、中でもメチル基であることが最も好ましい。
R11の酸解離性溶解抑制基は、解離前は高分子化合物(A1)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの高分子化合物(A1)全体をアルカリ可溶性へ変化させるものである。
R11としては、炭素数6以上の鎖状の第三級アルキル基であれば特に制限はなく、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
ここで、本発明において「第三級アルキル基」とは、第三級炭素原子を有する1価の飽和炭化水素基を示す。したがって、「炭素数6以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基」は、合計の炭素数が6以上の分岐鎖状のアルキル基からなり、環式基を有さない酸解離性溶解抑制基を意味する。
R11の炭素数は6以上であり、好ましくは6〜10であり、より好ましくは6〜8であり、最も好ましくは6〜7である。
Ra〜Rcは、それぞれ独立して炭素数1〜5の低級アルキル基であり、かつRa〜Rcの合計の炭素数は5以上である。
該低級アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
Ra〜Rcの合計の炭素数は5以上であり、5〜9であることが好ましく、5〜7であることがより好ましく、5〜6であることが最も好ましい。
構成単位(a1−1)としては、本発明の効果に優れることから、Ra〜Rcがいずれも直鎖状のアルキル基であるもの、Ra〜Rcの炭素数が同じアルキル基であるものが好ましく、中でもRa〜Rcがいずれも直鎖状であって炭素数が同じアルキル基であるものが特に好ましく、Ra〜Rcがいずれもエチル基であるものが最も好ましい。
高分子化合物(A1)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子化合物(A1)中の構成単位(a1)の割合は、高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましく、30〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。また、上記範囲内とすることで本発明の効果が向上する。
前記高分子化合物(A1)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を含む。本発明においては、該構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)とを含む高分子化合物(A1)を用いることにより、LWRが低減された良好な形状のレジストパターンが得られる。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、高分子化合物(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
高分子化合物(A1)中の構成単位(a2)の割合は、高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
前記高分子化合物(A1)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を含むことが好ましい。構成単位(a3)を含むことにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
高分子化合物(A1)中、構成単位(a3)の割合は、当該高分子化合物(A1)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
高分子化合物(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
係る共重合体としては、例えば、構成単位(a1)及び(a2)からなる共重合体、構成単位(a1)、(a2)及び(a3)からなる共重合体等が例示できる。
Ra〜Rcは、いずれもエチル基であることが最も好ましい。
また、高分子化合物(A1)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された高分子化合物は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中、高分子化合物(A1)の割合は、本発明の効果の点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
前記樹脂成分(A)は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を含有しないことが好ましい。該構成単位(a1’)を含有しないことにより、前記構成単位(a1)を含有させることによる効果がより向上する。
構成単位(a1’)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は構成単位(a1’)を含む高分子化合物全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの高分子化合物全体をアルカリ可溶性へ変化させるものである。
環式基を有する酸解離性溶解抑制基としては、その構造中に環式基を有するものであれば特に制限はなく、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基と、環状の第三級アルキルエステルを形成する基、または環状のアルコキシアルキルエステルを形成する基などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
なお、前記環式基を有するアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第三級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第三級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
X1は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば環状のアルコキシアルキル基、環状の第三級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができる。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいシクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
以下に、具体的な構成単位を例示する。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。具体的には、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等である。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有させることが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(D)成分としてアルキルアルコールアミンを用いることが好ましい。具体的には、トリエタノールアミン等である。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類及びその誘導体;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明においては、構成単位(a1)と構成単位(a2)とを含む高分子化合物(A1)が用いられる。
構成単位(a1)は、炭素数6以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を有する。すなわち、前記酸解離性溶解抑制基は、鎖状であることにより、環式基に比べてかさ高くなく、酸解離エネルギーが小さい。そのため、該酸解離性溶解抑制基が解離しやすくなり、レジスト膜の露光部は、現像液に速やかに溶解できると考えられる。
また、前記酸解離性溶解抑制基は、炭素数が6以上であることにより、該酸解離性溶解抑制基が適度な分子量を有している。そのため、露光後の加熱(PEB)処理で解離した前記酸解離性溶解抑制基が揮発しにくいことから、露光部と未露光部との境界部分の溶解コントラストの向上に寄与することができると考えられる。
また、構成単位(a2)を有することにより、基板への密着性が高まると考えられる。
以上により、LWRが低減された良好な形状のレジストパターンを形成できると推測される。
さらに、本発明においては、構成単位(a1)中の第三級炭素原子から分岐する分岐鎖が直鎖状であって炭素数が同じアルキル基ほど、本発明の効果が向上する。これは、該分岐鎖が直鎖状であって炭素数が同じ酸解離性溶解抑制基ほど解離しやすいためであると考えられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃、好ましくは90〜100℃の温度条件下、プレベーク(PAB)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃、好ましくは100〜110℃の温度条件下、露光後加熱(PEB)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。本発明においては、従来よりもプレベーク(PAB)および露光後加熱(PEB)の温度を低くすることができる。
次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、特に、ArFエキシマレーザーに対して有効である。また、液浸リソグラフィーに適用しても好適である。
下記化合物(1)〜(8)を用いて樹脂(A)−1〜(A)−6を合成し、各樹脂の質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)、組成比(モル比)を表1に示した。
質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準で求めた。組成比はカーボンNMRにより算出した。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン320g、1,1−ジメチル−n−ブチルメタクリレート(化合物(1))34.1g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−1(下記化学式)を得た。
なお、化学式中に付された数値は、樹脂中の各構成単位の割合(モル比)を示す。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン320g、1−エチル−1−メチル−n−プロピルメタクリレート(化合物(2))34.1g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−2(下記化学式)を得た。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン330g、tert−ヘプチルメタクリレート(化合物(3))36.9g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−3(下記化学式)を得た。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン370g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(化合物(4))46.9g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−4(下記化学式)を得た。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン300g、tert−ブチルメタクリレート(化合物(5))28.4g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−5(下記化学式)を得た。
窒素吹き込み管と還流器と、滴下ロートと温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン310g、tert−アミルメタクリレート(化合物(6))31.2g、γ−ブチロラクトンメタクリレート(化合物(7))34.0gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(化合物(8))23.6gを入れ、窒素置換した後、撹拌しながら70℃に昇温した。その温度を維持しつつ、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業製)11.5gを17gのテトラヒドロフランに溶解させた重合開始剤溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却し重合を完了した。
その後、得られた重合溶液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下して析出物を得た。この析出物をろ別し、洗浄、乾燥して樹脂(A)−6(下記化学式)を得た。
表2に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を調製した。但し、実施例1及び実施例2は参考例である。
(B)−2:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート 。
(D)−1:トリエタノールアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
[ラインワイズラフネス(LWR)の評価]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC−29」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を塗布し、ホットプレート上で225℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの反射防止膜を形成して基板とした。
次に、その基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物溶液を、スピンナーを用いて均一に塗布し、ホットプレート上で表3に示す温度で60秒間プレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、膜厚150nmのレジスト層を形成した。
次いで、ArF露光装置(波長193nm)NSR−S306(Nikon社製、NA(開口数)=0.78,2/3輪帯照明)を用い、ハーフトーンマスクを介して選択的に露光した。
そして、表3に示す温度で60秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて現像液(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行って、ラインアンドスペース(1:1)のレジストパターンを形成した。
ライン幅90nm、ピッチ180nmのラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が形成される感度(Eop,mJ/cm2)を測定した。
<ラインワイズラフネス(LWR)>
ライン幅120nm、ピッチ240nmのレジストパターンを形成し、そのライン幅を、側長SEM(日立製作所社製、商品名:S−9220)により、ラインの長手方向に5箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。この3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。結果を表3に示した。
また、本発明に係る実施例1〜3は、比較例1〜3よりもPAB温度およびPEB温度を低くすることができることが確認できた。
Claims (4)
- 酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)は、下記一般式(A−2)
で表される構成単位(a1−1)と、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含む高分子化合物(A1)を含有し、かつ、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を含有しないことを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 前記高分子化合物(A1)は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を含む請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1又は2記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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