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JP4667114B2 - 梁と柱との接合方法 - Google Patents

梁と柱との接合方法 Download PDF

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JP4667114B2 JP2005132463A JP2005132463A JP4667114B2 JP 4667114 B2 JP4667114 B2 JP 4667114B2 JP 2005132463 A JP2005132463 A JP 2005132463A JP 2005132463 A JP2005132463 A JP 2005132463A JP 4667114 B2 JP4667114 B2 JP 4667114B2
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Description

本願発明は、木造建築物における梁と柱とを接合する方法に係り、特に梁と柱との接合部で相対的な変形が拘束され、双方間で曲げモーメントの伝達が生じる梁と柱との接合方法に関する。
一般に普及している木造建築物では古くから梁と柱との接合を、柱に設けたほぞ穴に梁の端部を加工したほぞを差し入れることによって行っている。このような接合構造では、双方間における変形を許容し、曲げモーメントはほとんど伝達されない。つまり、曲げモーメントに抵抗することができず、複数の柱および複数の梁(胴差、軒けた、土台等の横
方向に架設される部材を含む)で形成される軸組みは、変形が生じ易い。このため、柱間
の壁内に筋交いを配置し、地震時等の水平方向力が作用したときの変形に抵抗するものとなっている。
筋交いは、一般に複数の位置に設けられ、さらに傾斜の方向が逆となる二つの方向に必要となる。したがって、従来の木造建築物では筋交いを設ける壁体を確保する必要があるために、開口部の設定や屋内空間の利用に支障を生じることがある。このような事情から、例えば特許文献1及び特許文献2には、柱と梁とをいわゆる剛結合、つまり曲げモーメントの伝達が生じる結合とし、軸組みをラーメン構造とすることで筋交いの量を低減する提案がなされている。
特許文献1に記載の梁と柱の接合構造は、図8に示すように、梁102が柱101と当接する面に2本のスクリュー部材111が所定間隔をおいて鉛直方向にねじ込まれている。これらのスクリュー部材111の下端部には軸線方向にネジ穴が穿設されている。一方、この梁102と対向している柱の端面に切り欠き101aが設けられ、この切り欠き内に柱固定金具112(接続金具)が接合されており、この柱固定金具112の上部に設けられたボルト挿入孔からボルト113を挿通して、前記スクリュー部材111のネジ穴にボルト113を螺合し締め付ける。これにより、柱固定金具112を介して梁102と柱101が連結される。したがって、柱101と梁102との間に曲げモーメントが作用したときに、二つのスクリュー部材111の一方に引張力が、他方には圧縮力が作用し、これらがスクリュー部材111の全長にわたる周面から梁102に伝達され、梁102には局所的に大きな応力が集中することがなく、柱101と梁102との間で曲げモーメントの伝達が可能となる。
特許文献2に記載の柱と梁の接合構造は、図9に示すように、梁122が柱121と当接する面に埋めこみボルト123(スクリュー部材)が所定間隔をおいて鉛直方向に2本埋め込まれ、この埋めこみボルト123の端部には軸線方向にネジ穴が穿設されている。また、柱121の梁122と対向する端面には切り欠き121aが設けられ、この切り欠き内から柱121の軸線方向に埋め込みボルト124が埋め込まれている。この埋め込みボルト124の端部にも軸線方向にネジ穴が穿設されている。そして、柱121の切り欠き121aに接合金具125が介挿され、この接合金具125に設けられたボルト挿入孔からボルト126が挿通され、梁122及び柱121に埋め込まれている埋め込みボルト123,124のネジ穴にそれぞれボルト126が螺合され、締め付けられることにより接合金具125を介して梁122と柱121とが連結される。
特開2004−092149号公報 特開2004−143779号公報
しかしながら、上記のような従来から知られている梁と柱の接合構造及びこの接合構造を用いた接合方法では、次のような未解決の課題がある。
上記特許文献1及び特許文献2に記載の接合構造は、接合金具のボルト挿入孔にボルトを挿通し、梁にねじ込まれているスクリュー部材(埋め込みボルト)のネジ穴にこのボルトを螺合させ締め付けることにより、柱と梁を接続するものである。したがって、梁をクレーン等で吊り支持し、柱の上の正確な位置に載置した状態で、ボルトを接合金具のボルト挿入孔から挿通して、梁にねじ込まれたスクリュー部材(埋め込みボルト)のネジ穴に螺合しなければならない。このとき梁の位置が正確に調整されていないと、ボルトをネジ穴に螺合することができず、ネジ穴とボルト挿入孔の位置を合わせるのに時間を費やし、作業性が低下する。
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲げモーメントを確実に伝達することができるように木製の梁と柱とを接合する方法であって、現場での接合作業を簡易に、効率よく行うことができる梁と柱との接合方法を提供することである。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、 横方向に架設される木製の梁と、この梁の下面に端面を当接して木製の柱を接合する方法であって、 前記柱の端部には、前記梁の下面と対向する水平板部を備えた接合金具を固着しておき、 前記梁には、該梁を前記柱と接合して組み立てる現場へ搬入するまでに、端面から軸線方向に所定長のネジ穴を有するスクリュー部材を、前記柱と接合したときに前記接合金具と対向する位置に鉛直方向にねじ込んでおき、 前記梁を前記柱と接合して組み立てる現場に搬入した後、前記スクリュー部材のネジ穴に、一方の端部が先端へ近づくにしたがって径が小さくなっている頭なしボルトをねじ込み、 立設された柱の上方に前記梁を吊り支持し、徐々に下降させながら前記頭なしボルトの径が縮小された先端を、前記接合金具の水平板部に設けられた貫通孔に挿通し、 該頭なしボルトに螺合されたナットを締め付けることよって該接合金具を前記梁に固着することを特徴とする梁と柱との接合方法を提供する。
この接合方法では、梁にねじ込まれたスクリュー部材のネジ穴に頭なしボルトを螺合しておき、柱に固着されている接合金具の貫通孔には、この頭なしボルトの突出している先端を導き入れるので、吊り支持した梁の位置を調整しながら、容易に頭なしボルトを貫通孔に挿通することができる。さらに、この頭なしボルトの先端部は径が先端に近くなるほど縮小されているので、前記貫通孔に容易に挿通でき、径が縮小された部分の傾斜面を貫通孔の内周面に沿って移動させ、梁を正確な位置に導くことができる。そして、梁が柱上の正確な位置に載置された後、接合金具をナットで締め付けることにより、接合金具を介して梁と柱を緊結することができる。
以上説明したように、本願発明によれば、梁にねじ込まれたスクリュー部材のネジ穴に、径が先端に向かって縮小された頭なしボルトを予め螺合しておくことにより、柱に固着されている接合金具の貫通孔にこの頭なしボルトを容易に挿通し、ナットで締め付けることができる。これにより、接合金具を介して、梁と柱を確実に緊結することができるとともに、梁と柱との接合作業を容易かつ効率よく行うことが可能となる。
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の柱と梁の接合方法が好適に用いられる木造建築物の構造躯体を示す概略斜視図である。
この構造躯体は、1階を構成する下層部分及び2階を構成する上層部分が、それぞれ剛結合であるラーメン架構体を複数組み合わせて形成されており、これらを積層することによって全体の構造躯体が形成されている。それぞれのラーメン架構体は、木製の柱1、3の上に木製の梁2、4を載置して接合するいわゆる梁勝ち構造となっており、それぞれラーメン架構体を構成する柱1、3及び梁2、4は、これらの軸線を含む立面と平行な方向の断面寸法を大きく、これと直角方向の断面寸法を小さくして扁平な部材となっている。したがって、各ラーメン架構体の接合部は一方向の曲げに抵抗する構造となっている。
これらのラーメン架構体は、平面上で方向が互いに直角となるように、つまり複数のラーメン架構体の梁2−1,2−2,4−1,4−2が互いに直角となるように接合されている。これにより、異なる方向の水平力に抵抗する複数のラーメン架構体が互いに組み合わされ、あらゆる方向の水平力に抵抗可能な構造躯体となっている。そして、上層部分の柱3は、下層のラーメン架構体の梁2上に立設され、これらの接合部でも曲げモーメントが伝達されるものとなっている。
図2は、図1に示すラーメン架構体で用いられる梁2と下層部分の柱1との接合構造を示す分解斜視図である。また、図3は、同じ接合構造の断面図であり、ラーメン架構体の軸線と平行な断面を示すものである。
この接合構造では、柱1の上端面における長辺方向の両端部に切り欠き部1bが設けられ、中央部1aは梁2の下面に当接されている。そして、柱1の切り欠き部1bからこの柱の軸線方向に2本の第1のスクリュー部材11、11がねじ込まれている。一方、梁2の対応する位置にも鉛直方向に2本の第2のスクリュー部材12、12がねじ込まれており、これら第1及び第2のスクリュー部材11、12には、端面から軸線方向にネジ穴11b、12bが穿設されている。梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材12、12のネジ穴12bには頭なしボルト15が螺合され、この頭なしボルト15にはナット16が螺合されている。一方、柱1にねじ込まれた第1のスクリュー部材11のネジ穴11bには、ボルト14が螺合されている。そして、柱の切り欠き部1b内に配置された接合金具13がボルト14によって第1のスクリュー部材11に結合され、頭なしボルト15とナット16とによって第2のスクリュー部材11に結合されている。これにより、柱1と梁2とはスクリュー部材11,12及び接合金具13を介して接合される。
上記第1及び第2のスクリュー部材11、12は同じものであり、図4に平面図及び正面図を示すように、棒状の鋼部材の側面に螺旋状の張り出し部11a、12aを設けたものであり、両端面には前述のように軸線方向のネジ穴11b、12bが設けられている。それぞれのスクリュー部材11、12は、図2に示すように、梁2又は柱1に鉛直方向の孔を設け、さらに螺旋状の溝を切削した後にねじ込まれたものである。
上記頭なしボルト15は、図5に示すように、全長にわたって雄ねじが形成されたボルト(長ねじボルト)であり、ナット16を用いて締め付けることができるようになっている。また、先端に近づくにしたがって径が小さくなっている。
上記接合金具13は、図6に示すように、互いに上下で対向する二つの上水平板部13aと下水平板部13bと、これらの水平板部13a、13bの縁部を互いに結合する側板部13cとを備え、上水平板部13aには上ボルト孔13dが、下水平板部には下ボルト孔13eがそれぞれ設けられている。上水平板部13aは、梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材12の下端面に当接され、上ボルト孔13dに挿通された頭なしボルト15とナット16とで締め付けて固着される。下水平板部13bは、柱1にねじ込まれた第1のスクリュー部材11の上端面に当接され、下ボルト孔13eに挿通されたボルト14によって固着されるものである。
また、上記接合金具13は、図6に示すように、一方の側部が開放されており、該開放された部分の反対側は、鉛直方向に軸線を有する円筒曲面となっている。つまり、鉛直方向に均等な断面となり、その平面形状の背面側が円弧状となっている。
この接合金具13の寸法は、水平方向の幅及び奥行きが柱1の幅より小さくなっており、高さは柱1の端部に設けられた切り欠き1bの鉛直方向の寸法とほぼ等しくなっている。
次に、上記柱1と梁2とを接合する工程について説明する。
柱1は、工場等における加工段階において、端部に所定の寸法の切り欠き1bを設ける。そして、この切り欠き内から軸線方向に孔を切削し、スクリュー部材11をねじ込む。このスクリュー部材11の端部に設けられたネジ穴11bにボルト14を螺合し、接合金具13を切り欠き内1bに固定しておく。また、梁2も工場等における作業により、所定の位置にスクリュー部材12をねじ込んでおく。
柱1及び梁2を組み立てる現場では、柱1を所定の位置に立設する。その上に架け渡す梁2に埋め込まれた第2のスクリュー部材12のネジ穴12bに頭なしボルト15をねじ込み、先端を下方に突き出しておく。その後、梁2を立設された柱の上方に吊り揚げて第2のスクリュー部材12に螺合された頭なしボルト15の先端が、柱1に固定された接合金具13と対向する位置に支持する。そして、梁2をゆっくりと下降させながら柱1に固定された接合金具13の上ボルト孔31dに頭なしボルト15を先端から挿通する。このとき、頭なしボルト15は先端部の径が小さくなっており、上ボルト孔13dに容易に導くことができる。そして、さらに梁をゆっくりと下降させることによって、頭なしボルト先端の傾斜面15aが上ボルト孔13dの内周面にガイドされ、梁2は正確な位置で柱上に載置される。
その後、柱1に固定された接合金具13の側面の開放された部分から頭なしボルト15の先端にナット16を螺合させる。このとき柱1に接合金具13を固定しているボルト14を少し緩めることによって、接合金具13はボルト14を中心にして回動が可能となる。接合金具13の側部に設けられた開放部分の背面側は、円筒曲面となって頂角部がないので、柱の切り欠き1b内の鉛直面に突き当たることがなく自由に回動する。したがって、この接合金具13を作業が容易となる方向へ向け、開放部分から工具を差し入れて、ナット16及びボルト14を締め付ける作業を効率よく行うことができる。そして、ボルト14及びナット16を強く締め付けることにより、接合金具13は柱1にねじ込まれた第1のスクリュー部材11及び梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材12との双方に強固に接合される。
上記のように柱1と梁2とが接合されることにより、梁2の下面は、柱1の中央部1aに圧接されるとともに、梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材12、12は、柱断面の長辺方向における両端部で第1のスクリュー部材11、11と接合金具13を介して連結される。これにより、梁2に作用する鉛直方向の荷重が柱1によって支持されるとともに、柱1と梁2との接合部で双方間の変形が拘束され、曲げモーメントが伝達される。これにより、大きな剛性を有するラーメン架構体が形成され、水平力に対しても抵抗できるものとなる。
以上に説明した実施形態は、下層部分の柱1と、その上に支持される梁2とを接合するものであるが、梁2とこの上に立設される上層部分の柱3との接合部にも、上下を反転して同様の構成を採用することができる。このときには、梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材に頭なしボルト15を螺合しておき、接合金具13が固着された柱3をつり上げて接合金具13のボルト孔に頭なしボルト15が挿通されるように柱をゆっくりと下降させる。
なお、下層部分の柱1と梁2とを上記構造によって接合した後、同じ位置に上層の柱3を立設するときには、梁2にねじ込まれた第2のスクリュー部材12を、上層部分の柱3と梁2の接合にも共通に用いることができる。これにより、下層の柱1と上層の柱3とは、第1のスクリュー部材11及び接合金具31により結合され、双方の柱1、3は通し柱に近い剛性を有するものとなる。
本願発明の梁と柱との接合方法が好適に用いられる木造建築物の構造躯体を示す概略斜視図である。 本願に係る発明の梁と柱との接合方法が適用される接合構造の一例を示す分解斜視図である。 本願に係る発明の梁と柱との接合方法が適用される接合構造を示す断面図であり、ラーメン架構体の軸線と平行な断面を示すものである。 図2及び図3に示す梁と柱との接合構造で用いられるスクリュー部材の平面図及び正面図である。 図2及び図3に示す梁と柱との接合構造で用いられる頭なしボルトの概略斜視図及び底面図である。 図2及び図3に示す梁と柱との接合構造で用いられる接続金具の概略斜視図である。 図2及び図3に示す梁と柱との接合構造を示す概略斜視図であって、斜め下方から視た図である。 従来の柱梁接合構造を示す概略斜視図である。 従来の柱梁接合構造の他の例を示す概略斜視図である。
1,3:柱、 1a:柱端面の中央部、 1b:切り欠き、
2,4:梁、
11:第1のスクリュー部材、 11b:ネジ穴、 12:第2のスクリュー部材、
12b:ネジ穴、 13:接合金具、 13a:上水平板部、 13b:下水平板部、 13c:側板部、 13d:上ボルト孔、 13e:下ボルト孔
14:ボルト、 15:頭なしボルト、 16:ナット

Claims (1)

  1. 横方向に架設される木製の梁と、この梁の下面に端面を当接して木製の柱を接合する方法であって、
    前記柱の端部には、前記梁の下面と対向する水平板部を備えた接合金具を固着しておき、
    前記梁には、該梁を前記柱と接合して組み立てる現場へ搬入するまでに、端面から軸線方向に所定長のネジ穴を有するスクリュー部材を、前記柱と接合したときに前記接合金具と対向する位置に鉛直方向にねじ込んでおき、
    前記梁を前記柱と接合して組み立てる現場に搬入した後、前記スクリュー部材のネジ穴に、一方の端部が先端へ近づくにしたがって径が小さくなっている頭なしボルトをねじ込み、
    立設された柱の上方に前記梁を吊り支持し、徐々に下降させながら前記頭なしボルトの径が縮小された先端を、前記接合金具の水平板部に設けられた貫通孔に挿通し、
    該頭なしボルトに螺合されたナットを締め付けることよって該接合金具を前記梁に固着することを特徴とする梁と柱との接合方法。
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