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JP4665135B2 - バイオセンサーの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオセンサー製造法に関する。さらに詳しくは、折り曲げ工程を有するバイオセンサー製造法に関する。
従来、使い捨て型のセンサー(特許文献1および特許文献3)としては定量性を確保するために立体構造をとり、さらに毛細管現象(特許文献5および特許文献6)などを利用して試料液が自動的にセンサーの内部に導入する仕組みが知られている(特許文献7)。このような構成のセンサーは、電気絶縁性の基板上に、スペーサー、さらにカバーを積層して組み立てられる。基板上には電極パターン、カバー上には毛細管現象に必要な空気が抜けるために必要な空気孔が開けられている。これらの構成部品は各々所定の形状に予め打ち抜いておく必要があり、また立体加工における各部品の正確な重ねあわせのための位置決めも必要となるため、構成部品の数が増えるに従って立体加工の工程が複雑になる。さらに、これらのセンサーに分子識別素子やメデイエーターなどの試薬の塗布(特許文献2および特許文献4)や妨害物質の影響から回避するための膜(特許文献8)の形成などを必要とする場合は、さらに複雑な工程となるといった問題がある。
特開昭47−500号公報 特開昭48−37187号公報 特開昭52−142584号公報 特開昭54−50396号公報 特開昭56−79242号公報 特表昭61−502419号公報 特開平1−291153号公報 特開平3−202764号公報 特開平5−199898号公報 特開平9−222414号公報 特開2001−204494号公報 WO 01/33216号公報 US 4225410 US 5653864 US 6071391 A.Ahmadian et al., Biotechniques, 32, 748(2002)
上述した従来のセンサーは製造に多くの工程、材料を要し、複雑な構造をとらざるを得なかった。その結果として、製造ラインに多大な設備投資を必要とし、また製品の歩留まりも充分ではなく、コスト的に負担が大きかった。当然、材料調達時、製造時の環境負荷も大きいものであった。さらに特性上では複雑な工程、特に基板積層時の位置合わせなどのため、製造されたセンサー特性のばらつきの指標である変動係数(CV)も充分ではなかった。また、バイオセンサーの形状変化は測定の精度や再現性の低下を招くため、該バイオセンサーにおいて、製造後、カバー等の反り返りなどが発生しない、長期形状安定性を確保することが求められていた。
上記課題を解決するために、発明者らは先に一枚の電気絶縁性平面基板を折り加工または曲げ加工または折り曲げ加工することにより製造されるバイオセンサーを提案している。このバイオセンサーは一枚の電気電気絶縁性基板上に電極を形成させ、電極が基板の内側に配置されるように一枚の平面基板を立体的に加工することで電極配置を平面または立体的として、狭小な部位での定量的な測定を可能にするものであり、一枚の平面基板からセンサーの主要構造を構成することに特徴がある。しかるにかかる方法では、折畳み部分の反り返りを防ぐため、該折畳み部分への固定具の装着や、熱圧着、切断などが必要であり、また基板とカバーとの間に形成されるスペーサーの空きスペースを利用して試料導入口が形成されるため、試料導入口付近の基板とスペーサー、カバーの各構成材料との境界部分に形成される溝に試料液が染み渡り、試料体積が変動する問題があった。
特開2005−233917号公報
図7を用いて、上記バイオセンサーの問題点について詳しく説明する。a)およびb)は基板1の形状が異なるのみであり、従来のバイオセンサーの一組立例を示している。i)には、表面に導電体7,7が形成され、折畳み部分となるミシン目16が設けられた一枚の基板1およびこれに被覆されるレジスト層6が示されている。レジスト層6は、スペーサー2としても働く。ii)には、表面上にレジスト層が形成された基板1および次の組立工程で被覆される接着剤層5が示されている。ここで、接着剤層5はレジスト層6と同様にスペーサー2としても働く。iii)では、表面に接着剤層5が形成された基板がミシン目16に沿って折畳まれ、重なる前の状態を示している。iv)では、基板1によって形成された折畳み成形体14であるバイオセンサー3を示している。この場合、ミシン目16に沿って形成された折畳み部分がレジスト層6や接着剤層5などのスペーサーの厚みによって反り返ることがあるため、この部分に固定具を装着したり、熱圧着により反り返りストレスを除くなどの何らかの処置が必要であった。
以上述べた如く、かかる折畳み式センサーでは製造工程の大幅な簡略化、材料の削減、極めて単純な構造などにより、従来のセンサー製造法を大いに改善することに成功しているものの、該製造法により形成されたセンサーは、折畳み部分の反り返りを防ぐため、該折畳み部分への固定具の装着や、熱圧着、切断などが必要であり、改善が望まれている。
本発明の目的は、従来のセンサーのように製造に多くの工程、材料を要することなく製造が可能なバイオセンサーであって、かつ形状変化のないバイオセンサー製造法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、電極を形成した電気絶縁性基板およびカバーの表面にスペーサーを形成させた後、電気絶縁性基板およびカバーを軟質シートで繋ぎ、電極をバイオセンサー内部に収めるように、電気絶縁性基板およびカバーを繋ぐ軟質シート部分で折畳むことにより達成される。
本発明に係る製造法により得られるバイオセンサーは、軟質材料よりなる軟質シートにより電気絶縁性基板およびカバーが繋がれているため、折畳み部分の反り返りが発生せず、これを防ぐための折畳み部分への固定具の装着や、熱圧着、切断などが必要ないといったすぐれた効果を奏する。
さらに、本発明に係る製造法により得られる針一体型バイオセンサーは、折畳み構造のバイオセンサー内に穿刺針を内包固定した場合に、穿刺採血時に電気絶縁性基板およびカバーを繋ぐ軟質シート部分を穿刺針が突き破り、穿刺後、軟質シート材料の復元力によって穿刺針が元の位置に戻り、その際に新たに形成された試料導入口から採血が導入されることで、採血成分を電気化学的に測定することができる。
基板およびカバーとしては、電気絶縁性のものであれば足り、例えばプラスチック、生分解性材料、紙などが用いられ、好ましくはポリエチレンテレフタレートが用いられる。また、酸素透過性材料を用いることもでき、この場合には試薬の還元を防ぐことができるため、還元の状態に依存した測定値の変動を抑えるといった効果を奏する。
電極は、基板上にスクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法、箔貼り付け法、メッキ法などにより形成され、その材料としては、カーボン、銀、銀/塩化銀、白金、金、ニッケル、銅、パラジウム、チタン、イリジウム、鉛、酸化錫、白金黒などが挙げられる。ここで、カーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、フラーレン、デンドリマーもしくはそれらの誘導体を用いることができる。
電極は、作用極と対極で形成される2極法または作用極と対極、参照極で形成される3極法、あるいはそれ以上の極数の電極法であってもよい。ここで、3極法を採用すると、測定対象物質の電気化学測定の他に、搬送路内に導入される採血の移動速度の計測ができ、これによりヘマトクリット値が測定できる。また、2組以上の電極系で構成されていても良い。
電極が形成された基板上には、試薬層(電極反応部)を形成することができる。試薬層はスクリーン印刷法またはデスペンサー法により形成され、この試薬層の電極表面または基板表面への固定化は、乾燥を伴う吸着法または共有結合法により行うことができる。バイオセンサーの電極反応部に配置する試薬としては、例えば血糖値測定用に構成する場合、酸化酵素であるグルコースオキシターゼおよびメディエーターとしてのフェリシアン化カリウムを含むものが挙げられる。試薬が血液によって溶解されると、酵素反応が開始される結果、反応層に共存させているフェリシアン化カリウムが還元され、還元型の電子伝達体であるフェロシアン化カリウムが蓄積される。その量は、基質濃度、すなわち血液中のグルコース濃度に比例する。一定時間蓄積された還元型の電子伝達体は、電気化学反応により酸化される。後述する測定装置本体内の電子回路は、このとき測定される陽極電流から、グルコース濃度(血糖値)を演算・決定し、本体表面に配置された表示部に表示する。
また、採血口の周辺および電極あるいは試薬層(電極反応部)表面に界面活性剤、脂質を塗布することができる。界面活性剤や脂質の塗布により、試料の移動を円滑にさせることが可能となる。
以上の採血が満たされる電極上に試薬層が設けられたバイオセンサーは、採血口から送り込まれる採血が電極上の試薬層と接触することにより、採血と試薬とが反応する。この反応は、電極における電気的な変化としてモニタリングされる。
さらに、バイオセンサーは電極がレジスト層により規定されていてもよく、このレジスト層もスクリーン印刷などで容易に形成できる。レジストは、基板と反応あるいは溶解しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線硬化型のビニル・アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂などからなり、その厚みが約5〜500μm、好ましくは約10〜100μmのものが用いられる。レジストの使用の目的は主に電極パターンを明確にし、上記の電極面積の規定をはっきりさせる以外にも、試薬層が存在しない試料搬送路を絶縁するなどの目的がある。そのため、レジスト層は後述する接着剤層と同様のパターンを形成しても、形成しなくてもどちらでもよい。
電極(およびレジスト層)が形成された基板およびカバーは、アクリル樹脂系接着剤などの接着剤を介して接着されてバイオセンサーを構成する。かかる接着剤層も、スクリーン印刷法により形成することが可能であり、約5〜500μm、好ましくは約10〜100μmの厚さで形成され、かかる接着剤層はレジスト層が形成された場合と同様スペーサーとしても作用する。なお、接着剤層中に上記試薬を含有させることもできる。
軟質シートは、基板と反応あるいは溶解せず、折畳み時に折畳み部分の反り返りが発生しない程度の軟質な材料からなるもの、例えば紫外線または可視光線硬化型のビニル・アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニル、セロハンなどからなり、これらは(1)スクリーン印刷法、(2)熱圧着ラミネート法、(3)粘着テープを用いる方法または(4) シート状に成形されている上記材料を接着剤を用いて基板およびカバーに固定する方法など、好ましくは粘着テープを用いる方法により形成することができる。具体的方法は、下記の通りである。
(1)電気絶縁性基板およびカバーの間に、剥離板を配置した後に、軟質シートをスクリーン印刷法により形成する。かかる剥離板の材質としては、シリコーン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどが挙げられ、これらの剥離材を任意の板材表面に塗工したものを使用することもできる。この剥離板は電気絶縁性基板およびカバーの間の軟質シート部分を折畳む時に、剥離することによって取り除かれる。
(2)セロハンテープなどの粘着テープを軟質シートとして用いて、基板およびカバーを繋ぐ。ただし、基板およびカバー間には、粘着部分が露出することとなるので、センサー形成後に該露出部分を切断することが好ましい。
(3)基板およびカバーに接着剤層を形成後、軟質シートを積層して固定する。
(4)熱圧着可能なポリプロピレンシートの圧着面を、電極形成基板上へ重ね、100℃、250kg/cm2の条件で熱圧着する。このとき、シートの柔軟性を保つ必要がある部分に関しては、熱圧着を加えなければ足りる。このような熱圧着可能なシートは、市販されているポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニルなどのラミネート材をそのまま用いることができる。
特開昭56−42652号公報
かかる軟質シートを用いて基板およびカバーを繋ぐにあたっては、基板とカバーとの間隔を全く設けずに繋ぐか、基板とカバーとの間隔、すなわち基板およびカバー間を繋ぐ軟質シートの長さが、10mm以下、好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましくは1.0〜5.0mmとしたうえで繋ぐことができる。前者の場合には、軟質シートをバイオセンサー内部に配置することで、製造時においてスペーサーなどの厚みを考慮する必要がないといった効果を奏し、一方、後者の場合には、基板とカバーとの繋ぎ部分に測定対象試料を導入するための試料導入口を設けることができ、さらにバイオセンサー内部に穿刺針を配置し、かつ真空とする場合に、所望の真空雰囲気空間を設定できるといった効果を奏する。
また、以上の構成よりなるバイオセンサーは、電極を多数形成した長大な基板および長大なカバーを繋ぐように軟質シートを設けたうえで、軟質シートの基板およびカバーを繋ぐ部分に沿って折りたたんだ後、センサー形状に打ち抜くことにより、一度に大量のバイオセンサーを製造できる。このような製造方法により作製される針一体型バイオセンサーは、再現性も大変に良くなり、従来の積層法によっては成しえなかった特長を有している。
また、接着剤層上には被検体の皮膚から体液を採取するための穿刺針を配置することもできる。穿刺針としては、被検体を穿刺する必要があるため、これに耐え得る強度を持ち、鋭利であることが望ましく、また穿刺時の痛みを抑えるために、細い穿刺針であることが好ましい。具体的には、テルモ社製で、21〜33ゲージのものが用いられる。穿刺針は被検体の皮膚を突き破ることができれば中空針であっても棒状針でも良い。さらに、穿刺針は使用されるまでバイオセンサー内に衛生的に収納されている必要があることから、抗菌・抗ウィルスに効果がある光触媒機能を針の先端表面に付与させても良い。その場合、酸化チタンまたは二酸化チタンの膜が望ましい。
ここで、試料搬送路内への試薬層、界面活性剤あるいは脂質の塗布により、その内部に収まる穿刺針が汚染される可能性がある。このような汚染を防ぐためには、穿刺針先端の周囲にこれらの試薬を塗布しないようにするか、あるいはレジスト層または接着剤層によって試料搬送路内の試薬層から隔離することが好ましい。
以上の構成よりなる針一体型バイオセンサーのうちバイオセンサー内部が密閉されているものについては、外気よりも陰圧の条件下、好ましくは真空条件下において製造することにより、センサー内部が陰圧状態で密閉され、穿刺後の試料搬送路内への採血の移動について毛細管現象に加えて、外気圧との差を利用した吸引手段を併用することができる。このような構成を採用することにより、採血を円滑に行なうことが可能となる。ここで、穿刺採血口付近に採血導入ガイドを設けることができる。採血導入ガイドの材質としては、例えばゲル、弾性材料、発泡性材料などが挙げられ、レジストと同一素材を用いることもできる。かかる材質よりなる採血導入ガイドは、陰圧を維持するとともに、被検体の皮膚と穿刺採血口との密着性を向上させるといった効果も併せて奏する。
本発明の針一体型バイオセンサーは穿刺駆動を備えた測定装置により穿刺・採血・測定の一連の操作が成されることが望ましい。その場合、例えば穿刺駆動については針がバイオセンサーの軟質材を貫通して被検体の皮膚を突き破る機構と、穿刺直後、速やかに元の位置に戻る機構を備えていることが望ましい。
測定装置の構造上の特徴の一例を述べる。本測定装置は穿刺針駆動部と測定装置部が一体化しており、穿刺針駆動部は引き金部、穿刺開始ボタン部、バネなどの弾性体による駆動部から構成される。一方、測定装置部については、センサー導入部、コネクター、電気化学測定用回路、メモリ部、操作パネル、バイオセンサーの電極における電気的な値を計測する計測部および計測部における計測値を表示する表示部を基本構成としており、さらに、無線手段として電波、例えばブルートゥース(登録商標)を搭載することもできる。かかるスライド構造により、針一体型バイオセンサーを確実にホールドした状態を保ったまま穿刺駆動を受けるので、測定装置全体としての強度を高めることができる。測定装置には、さらに針一体型バイオセンサーの穿刺針を中心線とした左右非対称構造を測定用端子の突出部で認識できる機構を備えることができる。
測定装置の穿刺駆動は、針一体型バイオセンサー上部を鉛直方向にたたいた後、速やかに戻る機構がよく、さらに被検体の皮膚を穿刺する深度が調節可能な機構を有することが好ましい。
測定装置には糖尿病疾患による視覚障害に対応した音声ガイド機能及び音声認識機能、電波時計の内臓による測定データ管理機能、測定データなどの医療機関などへの通信機能、充電機能などを併せ持たせることができる。
測定装置の計測部における計測方法としては、特に限定はしないがポテンシャルステップクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法またはサイクリックボルタンメトリー法などを用いることができる。
以上より、本発明の針一体型バイオセンサーは、使用者を限定することのない、すなわち、ユニバーサルな企画に対応し得るものとなっている。
本発明による実施態様の針一体型バイオセンサーについて、それぞれ図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に制限されるものではない。
図1は、電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの一組立例を示す図である。(a)には、電気絶縁性の基板1とレジスト層6が示されている。基板1の表面には導電体7が設けられている。(b)には、レジスト層6が設けられた基板1上に配置される接着剤層5が示されている。ここで示したレジスト層6および接着剤層5は試料搬送路および電極反応部を形つくるためのスペーサー2としても働く。(c)には基板1のほか、電気絶縁性のカバー15部材と、接着剤層5を表面に有する軟質シート41が示されている。この軟質シート41は接着剤層5により、(d)に示す如く基板1とカバー15をバイオセンサー作製時の外部に相当する側を繋いでいる。この状態で軟質シート41をカバー15部材と基板1を折畳んで重ね合わせるための繋として機能させることで、(e)に示すような折畳み成形体14であるバイオセンサー3が製作できる。ここで示したA-A’断面を(f)に示す。基板1とカバー15は粘着テープに例示される接着剤層5を備えた軟質シートを繋として使用することで、折畳み成形体を作ることができ、このとき基板1上に設けたスペーサー2の空き部分は電極10が露出した試料搬送路8と電極反応部13を形成させるための空間を形成させることでバイオセンサー3を構成する。ここでは、あらかじめ接着剤層5を設けた軟質シート41を用いているが、軟質シート41の配置部分の基板1とカバー15部分に接着剤層5を設け、そこに接着剤層5を設けていない軟質シート41を接着してバイオセンサーを製作しても良く、また上述した他の方法により軟質シートを形成して、バイオセンサーを製作することもできる。このようにバイオセンサー外部に、表面に接着剤層を設けた軟質シートを接着することで、電極およびスペーサー層が内側に配置されるように基板とカバーが張り合わされて折畳み成形体であるバイオセンサーが作製される。軟質シートが、バイオセンサー作製時の外部に相当する側に設けられていることで、後述する図3に示されるような軟質シートをバイオセンサー内部に配置せしめたものとは異なり、レジスト層の形成にあたって、軟質シートの存在を考慮しなくて良いといったメリットがある。
図2は、図1に示した電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの一製造例を示す図である。この図では、バイオセンサー3を複数個(5個)まとめて製造する工程を示している。(a)には、2本一組の導電体7が5組と、スペーサー2としてレジスト層6と接着剤層5が配置された基板1と、その基板1を覆うカバー15部材、および接着剤層5を設けた軟質シートが示されている。基板1およびカバー15は、一枚の長大な基板から切り出すことによって形成することもできる。この軟質シート41の接着層5を基板1とカバー15を繋ぐように貼り付けた状態が(b)に示されている。ここで、(b)(i)は基板1のバイオセンサー内部を構成する側を、(b)(ii)は基板1のバイオセンサー外部を構成する側を示している。この状態で基板1上の電極等がカバー15部材が覆われるように軟質シートを境にして折畳むことで(c)に示されるような折畳み成形体14が製作される。(c)に示される如く、折畳み成形体14の製造では複数個のバイオセンサー3をまとめて形成させることにより、基板1とカバー15部材の折り重ね精度が高くなるため、既存の積層法と比べると特別な位置決め機構が不要となり、経済性に優れたバイオセンサーの製作が可能となる。(d)は、(c)に点線で示した切断線に沿って個々のセンサー3に切り出した状態を示している。このようにして製造されたバイオセンサーの構成は(e)および(f)に示される。
図3は、電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの他の組立例を示す図である。図1と異なる点は、軟質シート41が接着剤層5により、(d)に示す如く基板1とカバー15をバイオセンサー作製時の内部に相当する側を繋いでいる点にある。そのため、(b)では接着剤層5の配置がレジスト6と一致しない部分があり、この部分には(c)で示す軟質シート41が貼り付けられる態様が、(d)に示されている。
図4は、図3に示したバイオセンサーの一製造例を示す。軟質シート41がバイオセンサー内部で基板1およびカバー15を繋ぐ本態様にあっては、基板1上に導電体7等を形成後、さらに基板1およびカバー15を移動させることなく、これらを繋ぐかたちで軟質シート41を配置することができるため、軟質シート41がバイオセンサー外部で基板1およびカバー15を繋ぐ図2の態様とは異なり、より容易かつ正確にバイオセンサーの製造を行うことができるといった効果を奏する。
図5は、電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれている吸引採血型針一体型バイオセンサーの一組立例を示す図である。(a)〜(d)は針一体型バイオセンサーの作製例であり、i)は針一体型バイオセンサーの製作に要する構成材料、ii)ではその成形体を示している。(a)(i)には、表面に導電体7が設けられた基板1と、レジスト6が示されている。また、レジスト6には電極面積を規定するための貫通穴37が示されている。(b)(i)には、レジスト6が基板1の表面に設けられており、(a)(ii)で形成したレジスト6の表面に接着剤層5および、カバー側接着剤層5の表面に配置する穿刺針部33、基板側接着剤層5の空き部分に配置する通気フィルター25が示され、それらがレジスト6表面上に配置された状態が(b)(ii)に示されている。(c)(i)では穿刺針部33の表面上にさらに接着剤層5が配置される様子が示されている。ここで、穿刺針部33を挟んだカバー側接着剤層5には、穿刺針20を接着剤層5から突出させるための凹状の窪みが設けられている。この窪みは針一体型バイオセンサーの形成時には試料搬送路となる((c)(ii))。さらにここでは、片面に接着剤層5を設けた軟質シート41がバイオセンサー外部に相当する基板1およびカバー15を繋いでいる状態が示されている。この軟質シート41の中央には接着剤層5が設けられていないが、この部分は穿刺時に穿刺膜の役目を果たす箇所となる。(d)(i)は、(c)(ii)で示した成形体を裏から示したもので、軟質シート41の折り曲げ部には軟質材よりなる採血導入ガイド36が取付けられる。基板1およびカバー15を内側にして折畳んで成形された針一体型バイオセンサー29が(d)(ii)に示される。
(e)および(f)は、(d)(ii)に示したA-A’断面とB-B’断面をそれぞれ示している。(e)では基板1上のレジスト層6に設けられた貫通穴によって形成された空き部分に形成された電極10とその周囲の電極反応部13、試料搬送路8が軟質シート41の折り曲げ空間内に設けられ、空間26は接着剤層5のパターンに従って、基板1の中央にも広く設けられている。この空間26は、折重ね工程時に雰囲気を真空にすることで針一体型バイオセンサー単位40の内部圧を真空(陰圧)状態にすることができ、吸引採血用の針一体型バイオセンサーとすることができる。穿刺針20については、穿刺先端部以外が接着剤層5により保護されており、電極反応部13に設けた試薬との直接的な接触を防いでいる。さらに、穿刺方向には軟質シート41があり、この部分は穿刺採血口32として作用し、穿刺により貫通穴が形成される穿刺膜として機能する。そのとき穿刺膜付近に設けられた採血導入ガイド36は採血を穿刺膜に設けられた貫通穴から円滑にセンサー29内部へと導くためのもので、皮膚との密着性の高いものであれば良い。(f)は(e)とは別の部位における断面図であり、(e)に示されていた試料搬送路8を含む真空の空間は存在しないものの、基板中央には真空の空間26が広く設けられている。このような構造とすることにより、試料体積は少なくてすむ一方、真空体積を広く取ることで採血をより円滑にできる特徴がある。
図6は、図5に示された吸引採血型針一体型バイオセンサーの一使用例を示す図である。この吸引採血型針一体型バイオセンサー29では、(a)に示される如く被検体の皮膚27に穿刺採血口32を近づけ、採血導入ガイド36を密着させ、さらにセンサー29を皮膚27に押しつけることで、(b)で示される如く穿刺針20が軟質シート41の接着剤層が設けられていない部分を突き破り、皮膚を穿刺する。このとき、軟質シート41の折り曲げにより形成されていた空間26は、軟質シート41が持つ柔軟性により一時的に収縮した状態となる。次いで皮膚27を穿刺した後、軟質シート41の弾性が働いて針20が速やかに定位置に戻ると、穿刺時に形成された貫通穴32を介して採血24が試料搬送路8および電極反応部13へと導かれる。このとき、内部の陰圧が働くために採血24の導入はさらに円滑になる。ここで、電極反応部13と中央部に設けた広い真空空間26との間には通気フィルター25が設けられており、採血24は電極反応部13より内部へは到達できないようになっている。以上により、センサー内部への採血の導入が行われ、血中成分の測定が行われることとなる。
本発明にかかるバイオセンサーは、各種液体の成分濃度を、酵素などを利用して電気化学的に測定する、家庭内自己診断用の血糖計、尿糖計、糖化ヘモグロビン計、乳酸計、コレステロール計、尿酸計、タンパク質計、一塩基多型センサー、遺伝子診断に用いられるDNAチップ、他にアルコール計、グルタミン酸計、ピルビン酸計、pH計などに用いられるバイオセンサーとして有効に用いられる。
電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの一組立例を示す図である。 電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの一製造例を示す図である。 電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの他の組立例を示す図である。 電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれているバイオセンサーの他の製造例を示す図である。 電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれている吸引採血型針一体型バイオセンサーの一組立例を示す図である。 電気絶縁性基板およびカバーが軟質シートにより繋がれている吸引採血型針一体型バイオセンサーの一製造例を示す図である。 従来のバイオセンサーの一組立例を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 スペーサー
3 バイオセンサー
5 接着剤層
6 レジスト層
7 導電体
8 試料搬送路
9 試料導入口
10 電極
11 端子
12 空気排出口
13 電極反応部(試薬層)
14 折畳み成形体
15 カバー
16 ミシン目
17 試料液
19 穿刺針支持体
20 穿刺針
25 通気フィルター
26 真空空間
27 指
29 針一体型バイオセンサー
32 穿刺採血口
33 穿刺針部
36 採血導入ガイド
37 貫通穴
40 バイオセンサー単位
41 軟質シート

Claims (9)

  1. 電極を形成した電気絶縁性基板およびカバーの表面にスペーサーを形成させた後、電気絶縁性基板およびカバーを軟質シートで繋ぎ、電極をバイオセンサー内部に収めるように、電気絶縁性基板およびカバーを繋ぐ軟質シート部分で折畳むことにより製造されるバイオセンサーの製造法。
  2. 電気絶縁性基板およびカバーを繋いでいる軟質シートが、バイオセンサーの内部および外部の少なくとも一方に設けられている請求項1記載のバイオセンサーの製造法
  3. 電気絶縁性基板およびカバー間を繋ぐ軟質シートの長さが、10mm以下である請求項1記載のバイオセンサーの製造法
  4. 電気絶縁性基板およびカバーを繋いでいる軟質シート部に、測定対象試料を導入するための試料導入口が設けられている請求項3記載のバイオセンサーの製造法
  5. 軟質シートを形成する軟質材料が、ビニル・アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニルまたはセロハンよりなる請求項1記載のバイオセンサーの製造法
  6. 軟質シートが、片面または両面に粘着層を設けた粘着テープである請求項1記載のバイオセンサーの製造法
  7. 電極上に、酵素、メディエーターまたは界面活性剤のうち少なくとも一種の試薬層が形成されている請求項1記載のバイオセンサーの製造法
  8. さらに電気絶縁性基板およびカバーを繋いでいる軟質シート部に対して垂直に穿刺針が固定される請求項1記載のバイオセンサーの製造法。
  9. 電気絶縁性基板およびカバーの間を繋ぐ軟質シート上に、採血導入ガイドを設けた請求項8記載のバイオセンサーの製造法。
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