JP4663651B2 - Qkdシステムにおける検出器のオート・キャリブレーション - Google Patents
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Description
ベネット‐ブラッザールの論文と‘410特許は、それぞれいわゆる「一方向」型QKDシステムについて述べている。一方向型QKDシステムとは、アリスが単一光子の偏光又は位相をランダムに暗号化して、ボブがそれら光子の偏光又は位相をランダムに測定するものである。‘410特許に述べられている一方向型システムは、二光束マッハ・ツェンダー干渉計に基づいている。アリスとボブは、干渉計の位相を制御できるように、干渉計の各部にアクセスすることが可能である。アリスからボブに送信された信号(パルス)は、時分割され、異なった経路をたどる。従って、干渉計は、熱ドリフトを補正するために、伝送中は動的に安定化している必要がある。
[QKDシステムの実施例]
図1は、折り返し型QKDシステム200の一実施例の概念図であり、本発明の方法が最も良く適合する。システム200は、2つの鍵暗号化ステーション、すなわち、送信/受信ステーションであるボブと、反射ステーションであるアリスとを有する。以下、単にボブ、アリスと称する。
[ボブ]
図1への参照を続けると、ボブは、光パルス204を発光するレーザ202を有する。レーザ202は、入力端208A、入力/出力端208B、及び検出器出力端208Cを有する時間多重化/逆多重化光学システム206に連結されている。光学システム206は、入力端208Aで入力パルス204を受信し、各パルスを時間多重化された2つのパルスP1,P2に分割し、それらのパルスを入力/出力端208Bで出力する。同様に、光学システム206は、下記に示すように、光パルスを入力/出力端208Bでも受信する。
ボブは、さらに、コントローラ248を有している。コントローラ248は、レーザ202と、検出器216と、PM220とに、これらの操作を制御するために下記に述べるように動作可能に(例えば、電気的に)連結されている。一実施例において、コントローラ248は、コンピュータによる読み取り可能な媒体250に記憶された指示(例えば、「ソフトウェア」)を実行可能なプログラマブル・コンピュータを有している。一実施例では、コンピュータによる読み取り可能な媒体250に記憶された指示は、下記に述べるように本発明に係る方法を含んでいる。
[アリス]
アリスは、光ファイバ240に連結された可変光学的アッテネータ(VOA)264を有している。位相変調器(PM)266は、VOA264の下流に配置され、VOA264に光学的に連結されている。ファラデーミラー270はPM266の下流に配置され、PM266に光学的に連結されている。
[QKDシステム動作]
図1への参照をさらに続けると、システム200の動作において、時間多重化/逆多重化光学システム206によって、パルス204は2つの別個のパルスP1とP2に分離される。本実施例においては、パルスP1とP2は、比較的弱いパルスである。パルスは、PM220に向かって光学システムの入力/出力端208Bを出て行く。PM220は、パルスが変調されずに通過可能なようにゲートされている。パルスP1とP2は、次に光ファイバ240越しにアリスへ送られる。パルスP1とP2は、続いてVOA264を通過していき、そこでは、必要であれば、パルスを減衰可能である。次に、パルスは、PM266を通過し、ファラデーミラー270で反射され、再度PM266に送り返される。
[最適なシステム動作を維持する方法]
図2は、QKDシステム200の最適なシステム動作を維持するための本発明の方法を示すフロー図300である。この方法は、下記に述べる方式によって、検出器ゲート・スキャンと検出器ゲート・ディザの両方を行う。
一旦TMAXとNMAXが決定されると、次にプロセスは306に移行し、検出器ゲート・スキャンが停止される(すなわち、オフされる)。
図3を再び参照すると、曲線上の4個のデータ・ポイントd1,d2,d3及びd4は、例示のために強調されている。データ・ポイントd1が最初に計測され、次により大きな到着時間値Tに関連したデータ・ポイントd2が計測されると想定する。d2に関連した光子カウント数がd1に関連した光子カウント数より少ないため、到着時間Tは減らされている。データ・ポイントd1に関連したゲート・パルス位置のための光子カウント数は再測定される。d1において第2データ・ポイントに関連する光子カウント数Nはデータ・ポイントd2に関連する光子カウント数より高いため、到着時間Tはさらに減らされ、光子カウントが測定される。この結果はデータ・ポイントd3であり、それはデータ・ポイントd1に対する光子カウントより多い光子カウントを有している。到着時間Tはこのようにして再び減らされ、データ・ポイントd4に関連した低い光子カウントを産出する。この計測はd3のための計測より少ないため、検出器ゲート・パルスS3の到着時間Tは増やされるが、それほど多くはないのでそれはデータ・ポイントd2に関連した値に戻る。
前述の実施形態においては、理解を簡単にするために様々な実施例において様々な特徴をまとめた。本発明の特徴及び効果の多くは詳細な明細書から明らかであり、それ故、添付の明細書は、本発明の真の趣旨及び範囲に従う開示された装置のそのような特徴及び効果を全て網羅することを意図している。さらに、当技術分野の技術者ならば多くの修正や変更を容易に思いつくであろうから、本発明は、ここで述べた構成、動作、及び実施例に厳密に限定されるものではない。従って、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
Claims (11)
- 量子鍵配送(QKD)システムにおいて弱い光子パルスを検出するための単一光子検出器のオート・キャリブレーション方法であって、
a)検出器ゲート・パルスを前記単一光子検出器に送り、さらに、第1選択範囲R1にわたって前記検出器のゲート・パルスの到着時間Tを変化させることにより、検出器ゲート・スキャンを実行して、前記単一光子検出器からの光子カウントの最大数NMAXに対応する最適な到着時間TMAXを決定すること、
b)前記TMAXを決定したとき前記検出器ゲート・スキャンを終了させること、
c)前記光子カウントを最大値に維持するために、前記第1選択範囲R1より小さく且つ前記TMAXを含む第2選択範囲R2にわたって前記到着時間Tを変更することにより検出器ゲート・ディザリングを実行すること、
d)環境又は前記QKDシステムにおける変化があるかどうかを検出すること、及び
e)環境又は前記QKDシステムにおける変化があると検出した場合、前記検出器ゲート・ディザリングを終了させ、他の検出器ゲート・スキャンを実行すること、
を備えたオート・キャリブレーション方法。 - 前記環境又はQKDシステムにおける変化は、
−光子カウントレベルの変化;
−周囲温度の変化;
−前記QKDシステムの光経路の構成の変化;及び
−スケジュールに基づく変更
のいずれかを含む、請求項1に記載の方法。 - 前記QKDシステムは、プログラム可能なコントローラ及びコンピュータによる読み取り可能な媒体を有しており、前記コントローラが前記QKDシステムを指令して上記手順a)〜e)を実行できるように、前記方法は前記コンピュータによる読み取り可能な媒体で具現化されている、請求項1に記載の方法。
- 前記検出器ゲート・スキャンは、最適な検出器ゲート・パルス幅WMAXを確立するために、パルス幅RW1の範囲にわたって検出器ゲート・パルス幅Wを変更することを含む、請求項1に記載の方法。
- 検出器ゲート・ディザリングは、最適なパルス幅を維持するために、前記RW1より小さいパルス幅RW2の範囲にわたって前記検出器ゲート・パルス幅Wを変更することを含む、請求項4に記載の方法。
- コントローラに動作可能に連結された単一光子検出器を有する量子鍵配送(QKD)システムにおいて鍵を交換する方法であって、
a)検出器ゲート・パルス到着時間Tの範囲R1にわたって検出器ゲート・パルスを前記コントローラから前記検出器に送ることにより、第1検出器ゲート・スキャンを実行して、前記検出器からの光子カウントの第1最大数NMAXに対応する第1最適到着時間TMAXを確立すること、
b)前記第1最適到着時間TMAXが確立されたときに前記第1検出器ゲート・スキャンを終了すること、
c)前記範囲R1より小さく且つ前記第1最適到着時間TMAXを含む到着時間の範囲R2にわたって前記到着時間Tを変更することによって、第1検出器ゲート・ディザを実行して、前記範囲R2にわたって前記光子カウントの最大数NMAX又は光子カウントの異なる最大数N’MAXのいずれかを維持すること、
d)環境又は前記QKDシステムにおける変化があるかどうかを検出すること、
e)環境又は前記QKDシステムにおける変化があると検出した場合、前記第1検出器ゲート・ディザを終了させ、第2検出器ゲート・スキャンを実行すること、
f)前記QKDシステム内の暗号化ステーション同士間で弱い光子パルスを送り合い且つ交換する間に、前記手順a)からe)を実行すること、及び
g)前記QKDシステム内の暗号化ステーション同士間で交換した所定数のパルスから前記鍵を得ること、を備えた鍵交換方法。 - 前記検出器ゲート・ディザを実行すると、新しい最適な到着時間T’MAXとなる、請求項6に記載の方法。
- 前記第2検出器ゲート・スキャンを終了させること、及び
第2検出器ゲート・ディザを実行すること、
をさらに含んでいる、請求項6に記載の方法。 - 一連の検出器ゲート・ディザが実行されるように、前記第1検出器ゲート・ディザを定期的に終了及び繰り返すことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
- コントローラを有する量子鍵配送(QKD)システムの単一光子検出器のオート・キャリブレーション方法であって、
前記QKDシステムにおいて弱い光子パルスを暗号化ステーション同士間で送り合うこと、
検出器ゲート・パルス到着時間Tの範囲R1にわたって検出器ゲート・パルスを前記コントローラから前記検出器に送ることにより、第1検出器ゲート・スキャンを実行して、最適な到着時間TMAXを決定すること、
前記TMAXが確立されたときに前記第1検出器ゲート・スキャンを終了させること、
前記範囲R1より小さく且つ前記TMAXを含む到着時間の範囲R2にわたって前記到着時間Tを変更することによって定期的に第1検出器ゲート・ディザを実行し、前記検出器からの光子カウントの最大数を維持すること、
環境又は前記QKDシステムにおける変化があるかどうかを検出すること、及び
環境又は前記QKDシステムにおける変化があると検出した場合、前記第1検出器ゲート・ディザを終了させ、第2検出器ゲート・スキャンを実行すること、
を備えたオート・キャリブレーション方法。 - コントローラに連結された単一光子検出器を有する量子鍵配送(QKD)システムにおいて、光子検出器のオート・キャリブレーションを実行する方法であって、
検出器ゲート・パルス到着時間Tの範囲R1にわたって検出器ゲート・パルスを前記コントローラから前記検出器に送ることにより検出器ゲート・スキャンを実行して、前記QKDシステムの単一光子検出器からの光子カウントの最大数に対応する前記検出器ゲート・パルスの最適な到着時間TMAXを確立すること、
前記TMAXが確立されたとき前記検出器ゲート・スキャンを終了させること、
前記到着時間をわずかに調整して前記検出器が光子カウントの最大数を確実に産出するようにするために、前記範囲R1より小さく且つ前記TMAXを含む範囲R2にわたって前記到着時間Tを変更することによって検出器ゲート・ディザ・プロセスを実行すること、
環境又は前記QKDシステムにおける変化があるかどうかを検出すること、及び
環境又は前記QKDシステムにおける変化があると検出した場合、前記検出器ゲート・ディザ・プロセスを終了させ、他の検出器ゲート・スキャンを実行すること、
を備えた、オート・キャリブレーション方法。
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