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JP4662644B2 - 帯電ローラおよびそれを用いた帯電装置 - Google Patents

帯電ローラおよびそれを用いた帯電装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等における静電潜像プロセスにおいて、感光体等の被帯電体を帯電させる場合に好適に用いられる帯電ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンター等の電子写真装置では、まず、感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成する静電潜像プロセスにより静電潜像を得、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成、紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
この場合、最初の感光体を帯電させる操作としては、従来、コロナ放電方式が一般に採用されていた。しかし、このコロナ放電方式は6〜10kVもの高電圧印加が必要とされるために、機械の安全保守の観点から好ましくなく、また、コロナ放電中にオゾン、NOx等の有害物質が発生するために、環境上の問題もあった。
【0004】
このため、コロナ放電に比べて低い印加電圧で帯電を行うことができ、かつ、オゾン等の有害物質の発生を抑制することができる帯電方式への取り組みがなされており、新たな帯電方式として、電圧を印加した帯電用部材を感光体等の被帯電体に所定の圧力で接触させることにより被帯電体を帯電させる、接触方式による帯電方法が提案されている。
【0005】
この接触帯電方式で使用される帯電部材としては、例えば、芯金(シャフト)の外周にゴムやウレタンフォーム等からなる導電性弾性層(基層)を形成し、さらに、表面の平滑性確保やトナーの付着防止のために、ウレタン、ナイロン等の樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液や水に溶解もしくは分散させた樹脂溶液をディッピング法やスプレー法などにより塗布してなる塗膜層を設けた帯電ローラが知られている。
【0006】
かかる帯電ローラにおいては、抵抗値が高すぎると感光体等の被帯電体の帯電不良により画像不良が発生し、逆に低すぎると感光体に流れる電流値が大きくなるために感光体の寿命を短くしてしまう等の不都合があることから、ローラ抵抗として適正な領域が存在する。そのため、かかる適正なローラ抵抗を得るために、基層上に、さらに複数の抵抗層を設けることが行われている。例えば、基層上に上層および下層からなる二層の抵抗層を設けた層構成のローラにおいては、これら三層の抵抗を適宜設定することにより帯電ローラとしての所望の抵抗を得るものである。
【0007】
一方、多層の膜構成を有する帯電ローラにおいて、特に、基層としてウレタンフォーム等の発泡体を用いた場合には、基層表面に発泡セルが存在すると、基層と、その上に設けられる抵抗層(下層)との間の接着性が不十分となるという問題がある。層間の接着性が不十分だと、抵抗層の塗膜の機械的強度が低いために劣化が生じやすく、帯電性能が低下して帯電不良が生じたり、また、実機での使用時に塗膜剥離が起こる場合もあることから、これを解消するために、基層と下層との間に、密着性を向上するための接着層を設けることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる接着層を設けた従来の帯電ローラにおいては、基層と下層との間の接着性は改良されるものの、帯電能力の点に問題があり、画像上に黒いポチ(斑点)が発生して、画像不良を引き起こすことがあった。
【0009】
そこで本発明の目的は、基層と抵抗層との間に接着層を設けた構成を有する多層膜構造の帯電ローラにおいて、基層と接着層との抵抗を適正な範囲内とすることにより、良好な帯電性能を有し、画像不良を生ずることのない、高性能の帯電ローラを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の帯電ローラは、以下のとおりである。
(1)被帯電体に当接させて、該被帯電体との間に電圧を印加することにより該被帯電体を帯電させる帯電ローラであって、シャフトの外周面上に、基層と、接着層と、少なくとも下層および上層の二層を含む塗膜層とが順次設けられてなる帯電ローラにおいて、
上記基層がウレタンフォームからなり、上記塗膜層のうち下層がアクリル樹脂を含み、上記塗膜層のうち上層がフッ素樹脂を含むとともに、上記基層の体積抵抗値が0.01〜0.03MΩ・cmであり、上記接着層の体積抵抗値が0.01〜2MΩ・cmであり、かつ、前記塗膜層の各層の体積抵抗値が10〜1012Ω・cmであることを特徴とする帯電ローラである。
【0014】
(2)上記(1)の帯電ローラにおいて、上記接着層の厚さが1〜100μmである帯電ローラである。
【0015】
(3)上記(1)または(2)の帯電ローラにおいて、部材表面のJIS10点平均粗さRzが6μm以下である帯電ローラである。
【0016】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの帯電ローラを用いたことを特徴とする帯電装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本発明の帯電ローラは、上述のように、導電性の弾性層である基層上に接着層を介して複数の塗膜層を形成した多層膜構成であり、基層および接着層の抵抗値を所定範囲内とすることにより良好な帯電性能を実現したものである。図1に、基層3をシャフト2の外周に形成し、該弾性層3の外側に、接着層4を介して下層5aおよび上層5bからなる塗膜層5を形成した帯電ローラ1を例示する。この場合、シャフト2としては、金属あるいはプラスチック製のシャフトを用いることができ、また帯電ローラの形態や帯電ローラが用いられる帯電装置の機構などによっては、このシャフト2を省略することもできる。
【0018】
本発明においては、基層3の体積抵抗値(以下、「抵抗値」とも称する)が0.03MΩ・cm以下、好ましくは0.01MΩ・cm〜0.03MΩ・cmであり、かつ、接着層4の体積抵抗値(以下、「抵抗値」とも称する)が2MΩ・cm以下、好ましくは0.01MΩ・cm〜2MΩ・cmである。従来、基層および接着層の体積抵抗値を夫々0.05MΩ・cmおよび6MΩ・cmとすることは知られているが、本発明においては、これら各層の体積抵抗値を上記範囲内とすることにより、帯電ローラとしての適正な帯電性能を有し、実機使用時に画像上の黒ポチ等の画像不良の発生がない、優れた帯電ローラを実現したものである。
【0019】
基層3は、抵抗値が上記範囲を満たすものであれば、他には特に限定されず、ゴムあるいは樹脂、またはこれらの発泡体(以下「フォーム」という)で形成することができ、具体的には、例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が挙げられる。中でも、特にポリウレタンが好ましく、より好ましくは発泡倍率が1.5〜50倍のポリウレタンフォームを用いる。なお、この場合のフォーム密度は、0.05〜0.9g/cm3程度が適当である。
【0020】
本発明においては、上記範囲を満たす抵抗値を得るために、基層3中に導電剤を添加する。使用する導電剤としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF3SO3、NaCl4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等のLi+、Na+、K+等の周期律表第1族の金属塩、あるいはNH4 +塩等の電解質、また、Ca(ClO42等のCa2+、Ba2+等の周期律表第2族の金属塩、およびこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それら等と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電剤、またはケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属および金属酸化物、ポリアニリンポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。これら導電剤の配合量は、所望の抵抗値を得るためには、0.5重量%〜50重量%、特には1重量%〜40重量%とすることが好ましい。
【0021】
また、接着層4は、抵抗値が上記範囲を満たし、基層3と塗膜層5との間の密着性を向上する機能を担うものである。形成材料としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ウレタン変性アクリル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂等を挙げることができ、これに上記導電剤を適宜添加することにより上記範囲の抵抗値とする。かかる導電剤の添加量としては、1重量%〜100重量%、特には10重量%〜30重量%とすることが好ましく、これにより所望の抵抗値を実現することができる。尚、接着層4の厚さは、基層3と塗膜層5との間の接着性確保のために、好ましくは1〜100μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0022】
塗膜層5は、図示する例では下層5aおよび上層5bからなる二層構成であるが、特にこれには限定されず、三層以上としてもよい。塗膜層5の各層は、目的に応じて適切な樹脂で形成することができ、例えば、ナイロン、ポリエステル、ウレタン変性アクリル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができるが、これらには制限されない。特には、塗膜層5のうち少なくとも一層がアクリル樹脂を含有することが好ましい。アクリル樹脂は、従来より帯電ローラ用樹脂として一般的に用いられてきたウレタンやナイロン等に比べてかなり誘電率が小さいため、静電容量が小さくなり、交流電圧印加による帯電ローラ/被帯電体間の電気的引力・反発力が低減することから、帯電音を低減化することができるためである。
【0023】
この場合、アクリル樹脂は、特に制限されるものではないが、ガラス転移温度が−60〜20℃、好ましくは−50〜10℃のものが好適に用いられる。即ち、ガラス転移温度が20℃を超えるものは、塗膜を形成することは可能であるが、帯電動作時にすぐに割れ等が生じ易く、実用に耐えない場合があり、一方ガラス転移温度が−60℃よりも低いものは、良好な柔軟性を有するものの、粘着が激しく、塗膜形成時の作業性や被帯電体として一般的な感光体との相性の問題で実用上あまり好ましくない。また、アクリル樹脂には、熱可塑性タイプと、自己架橋、メラミン架橋、イソシアネート架橋等の架橋タイプとがあるが、上記ガラス転移温度の範囲内のものであれば、いずれのタイプのものも好適に使用することができる。特には、塗膜形成工程上、および、硬度の面から、熱可塑性タイプが好ましく用いられる。
【0024】
また、塗膜層5の最表面層、図示する例では上層5bは、トナー付着防止や表面平滑性確保等の目的に応じた材料構成とすることが好ましく、特に、帯電ローラの表面平滑性や感光体等との低密着性などの観点から、フッ素樹脂が好適に用いられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が挙げられ、これらを溶液中で重合させたものや重合後の樹脂を有機溶剤に溶解させた溶剤系フッ素樹脂等が用いられる。
【0025】
塗膜層5には、導電剤を添加して導電性を付与または調整することができる。使用する導電剤としては、上記したと同様のものを挙げることができ、特に制限されないが、好適にはカーボンであり、特に帯電ローラの表面を形成する塗膜層の最表面層には、導電剤としてカーボンを用いることが好ましい。
【0026】
上記導電剤の添加量は、所望の抵抗が得られるように適宜調整することができ、これにより、塗膜層5の各層の抵抗を、夫々、体積抵抗値が103〜1012Ω・cm、特には105〜1010Ω・cmとすることが好ましい。導電剤としてカーボンを用いた場合の添加量は、通常、外層の10〜100重量%であり、特には20〜40重量%程度である。
【0027】
また、塗膜層5には、増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜添加剤を所望に応じて適量添加することができ、この場合添加剤は無機系、有機系のいずれであってもよい。
【0028】
塗膜層5の厚さは、特に制限されるものではないが、基層3の柔軟性を損なわないために薄層とすることが好ましく、具体的には、1〜30μm、特には1〜10μmとすることが好ましい。
【0029】
尚、接着層4および塗膜層5の形成方法としては、特に制限はないが、これら各層を形成する各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法により塗布する方法を好ましく用いることができる。
【0030】
本発明の帯電ローラとしての抵抗値は、装着される帯電装置や被帯電体に応じて適宜選定すればよく、特に制限はないが、良好な画像を得るためには、体積抵抗値が102〜1012Ω・cm、特には105〜1010Ω・cmであることが好ましい。
【0031】
また、本発明の帯電ローラは、好適には、静電容量が1×10-9F以下、特には8×10-10F以下、更には6×10-10F以下であり、これにより帯電動作時の騒音発生をより効果的に抑制することができる。尚、この場合、静電容量は、例えばインピーダンスアナライザー測定機を用いる測定方法や金属ドラムを相手とした電気測定等により求めることができる。
【0032】
静電容量の測定方法について詳述すると、まずインピーダンスアナライザーによる測定は、例えばロール状の帯電ローラの場合、金属等の高導電性板やドラムにロール状帯電ローラを押し当て、ロールと高導電性板やドラムとの間にインピーダンスアナライザー測定機を接続し、インピーダンスアナライザーにより静電容量を算出する方法である。
【0033】
また、金属ドラムを相手とした電気測定は、帯電ローラがプリンターや複写機等の中で稼働している状態を想定して静電容量を算出する方法である。例えば、ロール状帯電ローラの場合、金属製のドラムとロールとを圧接させた状態で回転させ、この圧接状態で回転する両者間に所定の条件で電圧を印加する。この場合、所定の条件とは帯電ローラがプリンターや複写機内で印加される電圧とほぼ同一の条件であり、例えば有機感光ドラムの場合はその帯電電位は約−700V前後のものが多く、この場合その帯電電荷を補給するために、ロールには約7μA程度の直流電流が流れていることになり、金属ドラムを相手にこの電流を流すことにより直流抵抗を求めることができる。更に、帯電電位を均一に保つために交流電流を流すタイプのプリンターや複写機もあり、その交流電流は定電流制御され、金属ドラムを相手にこの交流電流を流すことにより、交流抵抗を求めることができる。従って、ロールの回路モデルを直流抵抗成分と静電容量成分の並列モデルとして、上記直流抵抗値と交流抵抗値を代入すれば、静電容量が算出できる。
【0034】
尚、帯電ローラの表面に凹凸があると、この凹部内にトナーが詰まって画像不良の原因となることがあるため、部材表面はできるだけ平滑であることが好ましく、好適には、JIS10点平均粗さRzで6μm以下、特に3μm以下、更には2μm以下とする。
【0035】
本発明の帯電ローラは、上述したように、感光ドラム等の被帯電体に当接した状態に配設され、被帯電体と本発明の帯電ローラとの間に電圧を印加することにより被帯電体を帯電させるものである。この場合、帯電ローラと被帯電体との間に印加する電圧は、直流電圧であっても交流電圧であってもよく、特に制限されないが、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して帯電を行うようにすることが好ましく、これにより被帯電体をより均一に帯電させることができる。また、本発明の帯電ローラと被帯電体との間の接触圧力は、50〜2000g、特には100〜1000gとすることが好ましく、これにより良好な帯電を確実に得ることができる。
【0036】
本発明の帯電ローラを用いた帯電装置については、例えば、図2に示したように、本発明の帯電ローラ1を感光ドラム等の被帯電体7に当接させ、電圧印加手段6から被帯電体7との間に電圧を印加するように構成した帯電装置を例示することができるが、これに限定されるものではなく、被帯電体7、帯電ローラ1の形態や電圧印加手段6による電圧印加方式等は適宜変更することが可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例1〜3および比較例1〜3
最初に、導電性基体としてのシャフト2の外周上に、以下に示す材料に加え、導電剤としてのカーボンブラックの添加量を下記表1に示すよう変化させることにより抵抗値を調製した基層3を、厚さ3mmにて形成した。この際、抵抗値の測定は、図3に示すように、芯金と0.5cm幅の電極間に250Vの電圧を印加して、そのときの抵抗を測定することにより行った。
<基層の材料>
ポリオール:100重量部
イソシアネート:30重量部
【0039】
次に、この基層3上に、上記と同様に導電剤の量を変化させることにより抵抗値を調製した接着層4を、厚さ30μmにて形成した。
<接着層の材料>
ウレタン樹脂:100重量部
【0040】
次に、この接着層4上に、図1に示す下層5aおよび上層5bを順次成膜して、帯電ローラ1を作製した。尚、このローラ表面のJIS10点平均粗さRzは1.0μm、静電容量は6×10-10Fであった。なお、静電容量は、得られたローラと金属ドラムとを圧接させた状態で回転させ、両者間に直流電流7μAを通電した時の直流電圧から直流抵抗値を求めると共に、交流電流560μAを通電した時の交流電圧を測定して、ローラを直流抵抗成分と静電容量成分との並列モデルとして算出した。
<下層の材料>
アクリル樹脂:100重量部
抵抗値:106Ω・cm
<上層の材料>
フッ素樹脂:100重量部
抵抗値:106Ω・cm
【0041】
得られた各帯電ローラをプリンターに装着して、温度25℃、湿度55%RHにて画像出しを行い、画像上の黒ポチの発生について評価を行った。評価基準は以下の通りである。得られた結果を下記表1に併記する。
○:黒ポチなし
△:1cm2内の黒ポチ数1〜5個
×:1cm2内の黒ポチ数6個以上
【0042】
【表1】
Figure 0004662644
【0043】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、良好な帯電性能を有する帯電ローラを得ることができ、この帯電ローラを搭載した帯電装置においては、黒ポチ等の画像不良の発生のない高い画像性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ローラの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る帯電装置の一例を示す概略図である。
【図3】実施例で用いた抵抗測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 シャフト
3 基層
4 接着層
5 塗膜層
5a 下層
5b 上層
6 電圧印加手段
7 被帯電体
8 リング電極

Claims (4)

  1. 被帯電体に当接させて、該被帯電体との間に電圧を印加することにより該被帯電体を帯電させる帯電ローラであって、シャフトの外周面上に、基層と、接着層と、少なくとも下層および上層の二層を含む塗膜層とが順次設けられてなる帯電ローラにおいて、
    上記基層がウレタンフォームからなり、上記塗膜層のうち下層がアクリル樹脂を含み、上記塗膜層のうち上層がフッ素樹脂を含むとともに、上記基層の体積抵抗値が0.01〜0.03MΩ・cmであり、上記接着層の体積抵抗値が0.01〜2MΩ・cmであり、かつ、前記塗膜層の各層の体積抵抗値が10〜1012Ω・cmであることを特徴とする帯電ローラ。
  2. 上記接着層の厚さが1〜100μmである請求項記載の帯電ローラ。
  3. 部材表面のJIS10点平均粗さRzが6μm以下である請求項1または2記載の帯電ローラ。
  4. 請求項1〜のうちいずれか一項記載の帯電ローラを用いたことを特徴とする帯電装置。
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