JP4656108B2 - 一軸配向共役系高分子薄膜パターンの製造方法 - Google Patents
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Description
明るいLCDを得るためには強いバックライトを用いなければならず、液晶セルの温度上昇や消費電力の増大などの問題がある。
この技術は優れた方法であるが、一般に塗布膜の表面に比較して基板側の界面での配向が不十分になりがちである。特に、膜厚が比較的厚い場合この傾向が顕著になる。したがって偏光素子の場合、透過率が上がりにくい場合があり、高分子発光ダイオードの場合の偏光度は、発光部分の膜内での深さによっては上がりにくい場合がある。
一般式(1)または(2)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子スルホニウム塩を基材に擦り付けた後、該基材に熱を加えるか、または光、電子線、もしくは放射線を照射し、一般式(3)で表される構造の繰り返し単位を有する共役系高分子に変換することにより一軸配向共役系高分子薄膜を製造することができる。
本発明は、共役系高分子の薄膜において、薄膜面内にパターンがあり、該パターンにおいて該膜が300nmから800nmに少なくとも1種類以上の吸収ピークを持ち、該吸収ピーク波長において該パターン以外の部分よりも高い二色性比を有する一軸配向共役系高分子薄膜パターンの製造方法であって、前記共役系高分子を、表面にフッ素系樹脂配向膜を有する基材上に塗布後、パターン状の光を照射することを特徴とする一軸配向共役系高分子薄膜パターンの製造方法に係るものである。
はじめに本発明の一軸配向共役系高分子薄膜の製造方法について説明する。
本発明では一般式(3)または(4)で表される構造の繰り返し単位を含む高分子からなる一軸配向共役系高分子薄膜を得ることができる。
この場合、高分子スルホニウム塩を安定に得るためには、一般式(1)または(2)におけるR1 を選択する必要がある。このようなR1 としては、単環芳香族炭化水素基[パラフェニレン基、アルキル置換パラフェニレン基(2−エチル−パラフェニレン基、2、5−ジメチルパラフェニレン基等)、アルコキシ置換パラフェニレン基(2−メトキシ−パラフェニレン基、2、5−ジメトキシ−パラフェニレン基、2、5−ジエトキシ−パラフェニレン基等]、4、4’ビフェニレン基、多環芳香族炭化水素基[1、4−ナフタレン基、2、7−フェナントリレン基等]、非環式不飽和炭化水素基[ビニレン基、1−メチルビニレン基、1−フェニルビニレン基、1、4−ブタジエニレン等]、単環式不飽和炭化水素基[1−シクロヘキセニレン基、1−シクロペンタニレン基等]を挙げることができる。
これらの中で、比較的高分子量の高分子スルホニウム塩が得られる点で、単環芳香族炭化水素基[パラフェニレン基、アルキル置換パラフェニレン基(2−エチル−パラフェニレン基、2、5−ジメチル−パラフェニレン基等)、アルコキシ置換パラフェニレン基(2−メトキシ−パラフェニレン基、2、5−ジメトキシ−パラフェニレン基、2、5−ジエトキシ−パラフェニレン基等]または4、4’ビフェニレン基が好ましい。
一般式(1)または(2)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子スルホニウム塩は、単一モノマーの重合物を使用してもよいし、複数のモノマーの共重合物を用いてもよい。該高分子スルホニウム塩の平均重合度は、重合条件を適宜選択して制御することができる。一般にこの方法では平均重合度を上げることができるが、50〜5000の範囲が好ましく、100〜5000の範囲がさらに好ましく、1000〜5000の範囲が特に好ましい。
本発明の[1]の一軸配向共役系高分子薄膜の製造方法においては、一般式(1)または(2)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子スルホニウム塩を基材に擦り付けた後、該基材に熱を加えるか、または光、電子線、もしくは放射線を照射し、一般式(3)で表される構造の繰り返し単位を有する共役系高分子に変換する。
擦り付ける基材は、安定で平滑な材料を使用することができる。このような材料として、ガラス、透明電極[(Indium−Tin Oxide)、In2 O3 、SnO2 など]を被覆したガラス、耐熱性高分子材料[ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等]、金属[ステンレス、真鍮、銅、アルミニウム、ニッケル等]が例示される。
一軸配向共役系高分子薄膜をそのまま偏光素子として使用する場合には、可視光に対して透明で平滑なものが用いられ、前記の材料の中で、ガラス、透明電極を被覆したガラス、耐熱性高分子材料が例示されるが、安定性の点でガラス、透明電極を被覆したガラスが好ましい。
また、一軸配向共役系高分子薄膜をそのまま高分子発光ダイオードとして使用する場合には、透明電極を表面に設けた可視光に対して透明で平滑なものが用いられ、透明電極を被覆したガラス、透明電極を被覆した耐熱性高分子材料が例示されるが、安定性の点で透明電極を被覆したガラスが好ましい。
圧力は、高分子と擦り付ける基材の種類により適宜選択できるが、一般に0.01kgf/cm2 以上100kgf/cm2 以下が使用でき、0.1kgf/cm2 以上50kgf/cm2 以下がさらに好ましく、1kgf/cm2 以上20kgf/cm2 以下が特に好ましい。
擦り付ける速度も高分子と擦り付ける基材の種類により適宜選択できる。一般には0.01cm/秒以上10cm/秒以下が好ましい。
擦り付ける際の温度、圧力、速度を適宜選択することにより生成する一軸配向共役系高分子薄膜の膜厚を制御することができる。一般に高温、高圧、低速でより厚い一軸配向共役系高分子薄膜を得ることができる。
一般式(1)または(2)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子スルホニウム塩を一般式(3)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子に変換する方法としては、熱、光、電子線、放射線等を使用することができるが、変換の収率の点で熱が好ましい。
加熱時の温度は、一般式(1)または(2)で表される構造の繰り返し単位を有する高分子スルホニウム塩の種類によって適宜選択することができるが、一般には、100℃以上400℃以下が使用され、100℃以上350℃以下が好ましく、200℃以上350℃以下が特に好ましい。また、変換時の酸化を防ぐために、変換は真空中または不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム等)中で行なうことが好ましい。
擦り付ける基材は安定で平滑な材料を使用することができる。このような材料として、前記の[1]の一軸配向共役系高分子薄膜の製造方法において説明したのと同様に、ガラス、透明電極[(Indium−Tin Oxide)、In2 O3 、SnO2 など]を被覆したガラス、耐熱性高分子材料[ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等]、金属[ステンレス、真鍮、銅、アルミニウム、ニッケル等]が例示される。
一軸配向共役系高分子薄膜をそのまま偏光素子として使用する場合には、可視光に対して透明で平滑なものが用いられ、前記の[1]の一軸配向共役系高分子薄膜の製造方法において説明したのと同様に、ガラス、透明電極を被覆したガラス、耐熱性高分子材料が例示されるが、安定性の点でガラス、透明電極を被覆したガラスが好ましい。
また、一軸配向共役系高分子薄膜をそのまま高分子発光ダイオードとして使用する場合には、透明電極を表面に設けた可視光に対して透明で平滑なものが用いられ、前記の[1]の一軸配向共役系高分子薄膜の製造方法において説明したのと同様に、透明電極を被覆したガラス、透明電極を被覆した耐熱性高分子材料が例示されるが、安定性の点で透明電極を被覆したガラスが好ましい。
圧力は、高分子と擦り付ける基材の種類により適宜選択できるが、一般に0.01kgf/cm2 以上100kgf/cm2 以下が使用できるが、0.1kgf/cm2 以上50kgf/cm2 以下がやや好ましく、1kgf/cm2 以上20kgf/cm2 以下が特に好ましい。
擦り付ける速度も高分子と擦り付ける基材の種類により適宜選択できる。一般には0.01cm/秒以上10cm/秒以下が好ましい。
擦り付ける際の温度、圧力、速度を適宜選択することにより生成する一軸配向共役系高分子薄膜の膜厚を制御することができる。一般に高温、高圧、低速でより厚い一軸配向共役系高分子薄膜を得ることができる。
具体的には、シス型/トランス型の比率が0.2以上であることが好ましく、0.4以上がさらに好ましく、0.6以上が特に好ましい。このような共役系高分子は、重合方法の選択、精製方法の選択により得ることができる。すなわち、重合方法としては、重合工程内で加熱されることがない方法を例示することができる。具体的にはウィッティヒ反応による重合を挙げることができる。
一方、一般にトランス型はシス型に比べ溶媒への溶解度が落ちる傾向があるため、これを利用してトランス型を沈殿させてシス型の含有量を高める方法も好適に行われる。また、共役系高分子の平均重合度は、共役系高分子の種類により異なるが、一般に平均重合度が低い方が配向が優れる傾向がある。一般的には平均重合度が通常3〜1000の範囲が使用できるが、膜形成を塗布で行うためには適当な溶解性を有する必要があるので、具体的には5〜500の範囲が好ましく、5〜100の範囲がさらに好ましく、10〜100の範囲が特に好ましい。
平均重合度は、重合方法、重合条件を選択することにより適宜調整することができるが、ウィッティヒ反応による重合によると平均重合度を上記範囲に制御しやすい。
また、溶液の塗布を用いる場合、共役系高分子が溶解する必要がある。よって、一般式(3)または(4)におけるR1 は、溶解性を確保するため炭素数4以上のアルキル鎖またはアルコキシ基を少なくとも1つ以上含むことが好ましく、炭素数6以上のアルキル鎖またはアルコキシ基を少なくとも1つ以上含むことがさらに好ましく、炭素数6以上のアルキル鎖またはアルコキシ基を少なくとも2つ以上含むことが特に好ましい。このような共役系高分子として、具体的には表1記載の(3)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)を挙げることができる。
一般的には、芳香族炭化水素とその誘導体[ベンゼン、トルエン、セカンダリブチルベンゼン等]、エーテル[テトラヒドロフラン、エチルエーテル等]、アルコール[ターシャリブタノール、2−プロパノール等]、ハロゲン化アルキル[クロロホルム、塩化メチレン等]、ケトン等を例示することができる。
これらの中で、芳香族炭化水素とその誘導体[ベンゼン、トルエン、セカンダリブチルベンゼン等]、ハロゲン化アルキル[クロロホルム、塩化メチレン等]が好ましく、芳香族炭化水素とその誘導体[ベンゼン、トルエン、セカンダリブチルベンゼン等]が特に好ましい。
このようなフッ素系溶媒としては、クロロフルオロカーボン(CFC)[1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタン、2、2、3−トリクロロヘプタフルオロブタン、2、3−ジクロロオクタフルオロブタン、1、1、1、3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1、2−ジクロロヘキサフルオロプロパン等]、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)[3、3−ジクロロ−1、1、1、2、2−ペンタフルオロプロパン、1、3−ジクロロ−1、1、2、2、3−ペンタフルオロプロパン、1、2−ジクロロ−1、1、3、3、3−ペンタフルオロプロパン、1、2−ジクロロ−1、2、3、3、3−ペンタフルオロプロパン、1、1−ジクロロ−1、2、2、3、3−ペンタフルオロプロパン、2−クロロ−1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロプロパン、1−クロロ−1、1、2、3、3、3−ヘキサフルオロプロパン、1、2−ジクロロ−1、3、3、3−テトラフルオロプロパン、1−クロロ−2、2、3、3、3−ペンタフルオロプロパン、1、3−ジクロロ−1、2、2−トリフルオロプロパン、1、1−ジクロロ−2、2、3−トリフルオロプロパン、1、1−ジクロロ−1、2、2−トリフルオロプロパン、1、2−ジクロロ−3、3、3−トリフルオロプロパン、1、1、2、2−テトラクロロ−1−フルオロエタン、1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタン等]、パーフルオロ芳香族およびその誘導体[メチルペンタフルオロベンゼン、オクタフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン等]、フルオロアルキルエーテル[2、2、3、3、3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル等]、フルオロアルキルエステル[メチルパーフルオロプロピオネート、エチルパーフルオロプロピオネート、メチルパーフルオロブチレート、エチルパーフルオロブチレート等]、フルオロアルキルアルコール[2、2、2−トリフルオロエタノール、2、2、3、3、3−ペンタフルオロプロパノール、2、2、3、3、4、4、4−ヘプタフルオロブタノール、2、2、3、3、4、4、5、5、5−ノナフルオロペンタノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等]、ハイドロブロモフルオロカーボン[1、2−ジブロモ−1、1−ジフルオロエタン等]等を例示することができる。
これらの中では、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、パーフルオロ芳香族およびその誘導体が好ましく、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタン、3、3−ジクロロ−1、1、1、2、2−ペンタフルオロプロパン、1、3−ジクロロ−1、1、2、2、3−ペンタフルオロプロパン、メチルペンタフルオロベンゼンがさらに好ましく、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンが特に好ましい。
また、これらのフッ素系溶媒は単独で用いてもよいし、相溶するもの同士を混合して用いることもできる。
これらの中では、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとクロロホルム、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとトルエン、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとセカンダリブチルベンゼンがさらに好ましく、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとトルエン、1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンとセカンダリブチルベンゼンが特に好ましい。
また、このときの雰囲気として、酸素が少ないことが好ましい。具体的には、不活性気体[アルゴン、ヘリウム、窒素等]中または真空中を例示することができる。
本発明の一軸配向共役系高分子薄膜パターンでは、該パターンにおいて該膜が配向しているので、該パターンにおいて上記の二色性比を有することが好ましい。
例えば、該一軸配向共役系高分子簿膜もしくはそのパターンからなる発光層、または該一軸配向共役系高分子簿膜もしくはそのパターンと電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する。)との混合物からなる発光層の両面に一対の電極を有する構造のもの、さらに陰極と発光層の間に電子輸送材料を含有する電子輸送層および/または陽極と発光層の間に正孔輸送材料を含む正孔輸送層を積層したものが例示される。また、発光層や電荷輸送層は、1層の場合と複数の層を組み合わせる場合も使用できる。
正孔輸送材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、電子輸送材料としてはオキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体が好ましい。特に、正孔輸送材料としては4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、電子輸送材料としては2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好ましい。
これらのうち、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物のいずれか一方、または両方を同時に使用すればよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、該発光層と電荷輸送層とを積層する場合には、上記の成膜方法で発光層を設ける前に陽極の上に正孔輸送層を形成する、および/または発光層を設けた後にその上に電子輸送層を形成することが好ましい。電荷輸送層の膜厚は、少なくともピンホールが発生しないような厚みが必要であるが、あまり厚いと、素子の抵抗が増加し、高い駆動電圧が必要となり好ましくない。したがって、電荷輸送層の膜厚は、好ましくは1nm〜1μm、さらに好ましくは2nm〜500nm、特に好ましくは5nm〜200nmである。
なお、本発明における二色性比とは、特定の波長における、一軸配向共役系高分子薄膜の配向方向に平行な方向の偏光の吸光度(A1)と、一軸配向共役系高分子薄膜の配向方向と直交する方向の偏光の吸光度(A2)を測定し、次の式により求めたものであり、特に吸収ピーク波長での値を用いた。吸光度の値としては、基材による吸収を差し引いて、一軸配向共役系高分子薄膜そのものの吸収を用いた。
二色性比=A1/A2
<共役系高分子の合成>
p−キシリレンビス(テトラメチレンスルホニウムクロリド)106重量部をイオン交換水1500重量部に溶解させた液を、0〜5℃の温度で窒素バブリンブした後、同様に冷却した0.25NのNaOH水溶液1212重量部を70分かけて滴下し、そのまま0〜5℃の温度で6時間攪拌を続けて、ゲル状の沈殿物を得た。反応液を中和し、多量のアセトンを加え,生成した沈殿物を回収した。
この沈殿物はメタノール可溶であった。この沈殿物をメタノールに溶解したのち、メタノール/水混合溶媒中で透析処理した。
この透析液を濃縮し,これにアセトンを加えて再沈した。この沈殿物をメタノールに溶解した後、濾過して精製された高分子スルホニウム塩溶液を得た。この溶液を窒素気流中でキャストすることで高分子スルホニウム塩のフィルムを作製した。
<一軸配向共役系高分子薄膜の形成>
ガラス基板(2.5cm×8.0cm)上に、高分子スルホニウム塩のフィルムを押しつけ移動することにより基板上に薄膜を得た。この薄膜を200℃で20分加熱して、一軸配向共役系高分子薄膜を得た。膜厚は約7nmであった。
<二色性比の評価>
300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、430nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は3であった。
<共役系高分子の合成>
tーブチルアルコール70重量部にt−ブトキシカリウム6.7重量部を溶解した溶液に2、5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロリド8.6重量部をキシレン80重量部に溶解させた溶液を溶剤還流下で30分間かけて滴下した。さらに90℃溶剤還流下で7時間反応を継続したところ、赤色の沈殿物が得られた。
この反応溶液を室温に冷却した後、メタノール中に投入し、沈殿物を濾過分離した。次に、この沈殿物をエタノール、エタノール/水混合液、エタノールとそれぞれ1回づつ洗浄した後、乾燥した。さらにクロロホルムに溶解し、これにエタノールを加え再沈殿させ濾過して液を除去して乾燥する操作で精製した。
以上の操作で得られた反応物がポリ(2、5ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)であることを赤外吸収スペクトルにより確認した。得られた反応物を再度クロロホルムに溶解してキャストする方法でポリ(2、5ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)のフィルムを得た。
<一軸配向共役系高分子薄膜の形成>
ガラス基板(2.5cm×8.0cm)上に、ポリ(2、5ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)のフィルムを押しつけ移動することにより基板上に薄膜を得た。
<二色性比の評価>
300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、490nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は3であった。
<フッ素系樹脂配向膜の形成>
米国特許5180470記載の方法を用いることにより、PTFEの配向膜を得た。具体的には、約300℃に加熱したガラス基板(2.5cm×8.0cm)およびITOの透明電極を被覆したガラス基板上に、それぞれ同様に加熱した長さ2cm直径1.0cmのPTFEの円柱の側面たる曲面を押しつけ、基板を0.1cm/秒の速度で移動することにより、幅2.0cm×長さ7.0cmのPTFE配向膜を得た。この際、円柱は5kgfの圧力で基板に押しつけた。基板との接触面積を観察すると約0.4cm2 であった。
<共役系高分子の合成>
2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロリドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩9.56重量部、テレフタルアルデヒド1.74重量部を、クロロホルムに溶解させた。1.56重量部のリチウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液をホスホニウム塩とジアルデヒドのクロロホルム溶液に滴下し、室温で3時間重合させた。
一夜室温で放置した後、沈殿物を回収しこれをエタノール、次にエタノール/水混合溶媒、さらにエタノールで洗浄後、クロロホルムに溶解させ、これにエチルアルコールを加え再沈精製した。これを減圧乾燥して、重合体3.02重量部を得た。
以上の操作で得られた反応物がポリ(2、5ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)−ポリ(フェニレンビニレン)交互共重合体であることを赤外吸収スペクトルにより確認した。得られた共役系高分子の 1H−NMRスペクトルを測定したところ、シス体のフェニル置換酸素に隣接するメチレン基に由来するシグナルが4.2〜3.7ppmに見られた。また、トランス体のフェニル置換酸素に隣接するメチレン基に由来するシグナルが3.7〜3.3ppmに見られた。上記の2種類のピークの積分比を求め、シス型/トランス型の比率を求めると1.9であった。
<一軸配向共役系高分子薄膜の形成>
ガラス基板上に得られたPTFEフッ素系樹脂配向膜上にポリ(2、5−ジオクチルオキシフェニレンビニレン)−ポリ(フェニレンビニレン)交互共重合体の溶液をスピンコーティングした。使用した溶媒はセカンダリブチルベンゼンと1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの混合溶媒で混合比率は、セカンダリブチルベンゼン:1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンが重量比で1:2であった。濃度は1.4重量%であった。この膜を蛍光灯を照射しながら真空下200℃で20分加熱した。膜厚は約70nmであった。
<二色性比の評価>
ガラス基板上の一軸配向共役系高分子薄膜の300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、475nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は1.7であった。
<一軸配向共役系高分子薄膜パターンの形成>
ITOの透明電極を被覆したガラス基板上に得られたPTFEフッ素系樹脂配向膜上にポリ(2、5−ジオクチルオキシフェニレンビニレン)−ポリ(フェニレンビニレン)交互共重合体の溶液をスピンコーティングする。使用した溶媒はセカンダリブチルベンゼンと1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの混合溶媒で混合比率はセカンダリブチルベンゼン:1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンが重量比で1:2である。濃度は1.4重量%である。この膜を蛍光灯をマスクを介してパターン状に照射しながら150℃で20分加熱する。
<一軸配向共役系高分子薄膜パターンの2色性比の評価>
一軸配向共役系高分子薄膜パターンのパターン部分の300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、475±20nmに吸収ピークが得られる。吸収ピークでの2色性比は1.3以上のものが得られる。
<高分子発光ダイオードの作製>
ITOの透明電極を被覆したガラス基板上に得られた一軸配向共役系高分子薄膜パターン上に、減圧下80℃で1時間乾燥したのち、リチウムとアルミニウムを100nm共蒸着する。比率はリチウム:アルミニウムで1:100である。
<高分子発光ダイオードの評価>
リチウム−アルミニウムを陰極、透明電極を陽極として直流電圧を印加すると一軸配向共役系高分子膜パターンは、パターン内において500〜600nmの波長の光を発し、PTFEの摩擦方向に平行な方向の偏光がPTFEの摩擦方向に垂直な方向の偏光の1.3倍以上認められる。
<共役系高分子の合成>
2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロリドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩9.55重量部、2,5−ジオクチルオキシテレフタルアルデヒド3.9重量部を、テトラヒドロフランに溶解させた。3.36重量部のt−ブトキシカリウムを含むテトラヒドロフラン溶液をホスホニウム塩とジアルデヒドのテトラヒドロフラン溶液に滴下し、室温で3時間重合させた。
一夜室温で放置した後、イオン交換水を加えてから上層を回収し、これにエチルアルコールを加え再沈生成した。これを減圧乾燥して、重合体を得た。
以上の操作で得られた反応物がポリ(2、5ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)であることを赤外吸収スペクトルにより確認した。
<フッ素系樹脂配向膜の形成>
実施例3と同じ操作でガラス基板(2.5cm×8.0cm)上にPTFEの配向膜を得た。
<一軸配向共役系高分子薄膜の形成>
ガラス基板上に得られたPTFEフッ素系樹脂配向膜上に、ポリ(2、5−ジオクチルオキシフェニレンビニレン)の溶液をスピンコーティングした。使用した溶媒はクロロホルムと1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの混合溶媒で混合比率はクロロホルム:1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンが重量比で1:2であった。濃度は約1.7重量%であった。この膜を蛍光灯を照射しながら200℃で20分加熱した。膜厚は約100nmであった。
<二色性比の評価>
300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、450nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は1.8であった。
<フッ素系樹脂配向膜の形成>
実施例3と同じ操作でガラス基板(2.5cm×8.0cm)上にPTFEの配向膜を得た。
<共役系高分子の合成>
実施例2と同じ操作でポリ(2、5−ジオクチルオキシフェニレンビニレン)−ポリ(フェニレンビニレン)交互共重合体を得た
<一軸配向共役系高分子薄膜の形成>
ガラス基板上に得られたPTFEフッ素系樹脂配向膜上にポリ(2、5−ジオクチルオキシフェニレンビニレン)−ポリ(フェニレンビニレン)交互共重合体の溶液をスピンコーティングした。使用した溶媒はセカンダリブチルベンゼンと1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの混合溶媒で混合比率は、セカンダリブチルベンゼン:1、1、3、4−テトラクロロヘキサフルオロブタンが重量比で1:2であった。濃度は約1.8重量%であった。この膜をアルミ箔で覆って暗黒の状態で真空下200℃で20分加熱した。
<二色性比の評価>
300nmから700nmの範囲の偏光吸光度を測定すると445nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は1.1であった。
Claims (1)
- 共役系高分子の薄膜において、薄膜面内にパターンがあり、該パターンにおいて該膜が300nmから800nmに少なくとも1種類以上の吸収ピークを持ち、該吸収ピーク波長において該パターン以外の部分よりも高い二色性比を有する一軸配向共役系高分子薄膜パターンの製造方法であって、前記共役系高分子を、表面にフッ素系樹脂配向膜を有する基材上に塗布後、パターン状の光を照射することを特徴とする一軸配向共役系高分子薄膜パターンの製造方法。
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