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JP4656006B2 - 色変換装置及び色変換プログラム - Google Patents

色変換装置及び色変換プログラム Download PDF

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Description

本発明は、色変換装置び色変換プログラムに係り、より詳しくは、特に、入力側と出力側のカラー画像信号の色再現可能領域が異なる場合にカラー画像信号に対して色変換処理を行う色変換装置び色変換プログラムに関する。
カラー画像を出力する機器として、例えばCRTやカラーLCDなどの表示装置や、プリンタなどの印刷機器等がある。これらの出力装置では、それぞれの出力方式の違いなどによって、再現可能な色範囲が異なっている。CRTでは、出力方式として蛍光体を光らせる方式であるため、明度の高い領域で鮮やかな色を表現できる。一方、プリンタでは色材を重ねて色を表現する方式であるため、1次色以外では高明度高彩度の色を表現することは難しく、全体的に低明度領域での色再現が可能である。
このように、出力装置に応じて色再現可能領域が異なるため、例えばCRT上で作成した画像をプリンタで印刷する場合など、異なる出力装置で同じ画像データによる出力を行おうとすると、再現できない色が生じる可能性がある。例えば高明度高彩度の色については、CRT上では出力可能であるが、プリンタでは再現できない場合があり、逆に、低明度高彩度の色については、プリンタでは再現可能であるものの、CRTでは表示できない場合がある。そのため、少なくとも再現できない色については最も近いと考えられる色に置き換えて出力し、画像全体としてその出力装置においては最良の画質で再現できるようにしている。このとき、与えられるカラー画像信号を、出力装置の色再現可能領域内の色に置き換える色の写像(Color Mapping)が必要となる。
色の写像を行う従来の技術として、様々な目的に対応した色変換係数を用意しておき、所望の目的に応じた色変換係数を用いて色変換を行う技術があり、例えばICCプロファイルを用いた色変換がある。ICCプロファイルでは、3つのインテント(パーセプチャル:Perceptual,サチュレイション:Saturation,リラティブカラリメトリック:RelativeColorimetric)が用意されている。これら3つのモードは、使用目的も写真、グラフィックス、測色的に一致と大きく異なり、これらのインテントにユーザーの目的が必ずしも一致するとは限らない。
これに対し、特許文献1には、色再現モード毎ごとに色相角と焦点色を決定し、色変換を行う技術が開示されている。
また、特許文献2には、異なる2つの色再現目的間の任意の位置をユーザーが選択できるように構成し、その位置に応じたマッピングLUT(ルックアップテーブル)を2つの色再現目的のLUTから求めることにより、2つの色再現目的間で任意の色再現を可能とした技術が開示されている。
特開2004−153337号公報 特開2003−324620号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明では、予め用意された色再現モードでしか色変換を行うことができず、ユーザーの意図にあった色変換を行うことができない、という問題があった。
また、上記特許文献2に記載された発明では、予め定めた2種類の色再現目的間においては任意の色再現が可能であるが、色再現目的が2種類に固定されているため、必ずしもユーザーが意図する色再現とはならない、という問題があった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、ユーザーの意図した色再現を可能とする色変換装置び色変換プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比、予め定められた主要色についての純色の再現、及び色変換対象を設定する設定手段と、前記複数の色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した圧縮係数のテーブルデータを記憶した記憶手段と、第1の色空間における第1の画像信号を前記第1の色空間と異なる第2の色空間における第2の画像信号に変換するための色変換関数に含まれる、前記色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した前記圧縮係数を、前記テーブルデータから決定する決定手段と、前記決定手段により決定した前記圧縮係数を含む前記色変換関数に基づいて、前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換すると共に、前記純色再現が設定された前記予め定められた主要色については、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行する変換手段と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、設定手段によってユーザーがICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比、予め定められた主要色についての純色の再現、及び色変換対象を設定することができる。
決定手段は、1の色空間における第1の画像信号を前記第1の色空間と異なる第2の色空間における第2の画像信号に変換するための色変換関数に含まれる、前記色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した前記圧縮係数を、前記テーブルデータから決定する。
そして、変換手段が、決定手段により決定した前記圧縮係数を含む前記色変換関数に基づいて、第1の画像信号を第2の画像信号に変換すると共に、前記純色再現が設定された前記予め定められた主要色については、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行する
このように、ユーザーが設定したICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比及び色変換対象に基づいて色変換関数を決定して色変換するので、ユーザーの意図した色再現を容易に実現することができる。
また、請求項に記載したように、前記決定手段は、明彩度圧縮率、色相移動量、及び明度移動量の少なくとも一つである圧縮・伸張の要素毎に前記色変換関数を決定し、前記設定手段は、前記色変換関数を決定する圧縮・伸張要素を設定可能である構成としてもよい。
また、請求項に記載したように、前記変換手段は、前記決定手段により決定した色変換関数に基づいて前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換する色変換ルックアップテーブルを作成する作成手段を含む構成としてもよい。
また、請求項に記載したように、前記設定手段は、作成した色変換ルックアップテーブルについて、名称を付与して記憶可能である構成としてもよい。
請求項記載の発明の色変換プログラムは、ICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比、予め定められた主要色についての純色の再現、及び色変換対象を設定するステップと、前記複数の色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した圧縮係数のテーブルデータから、第1の色空間における第1の画像信号を前記第1の色空間と異なる第2の色空間における第2の画像信号に変換するための色変換関数の、前記色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した前記圧縮係数を決定するステップと、定した前記圧縮係数を含む前記色変換関数に基づいて、前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換すると共に、前記純色再現が設定された前記予め定められた主要色については、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行するステップと、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
この発明によれば、ユーザーが設定したICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比及び色変換対象に基づいて色変換関数を決定して色変換するので、ユーザーの意図した色再現を容易に実現することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ユーザーの意図した色再現が可能になる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
先ず、はじめに、画像処理装置の概略構成を説明する。図1は、本発明に係る色変換装置の概略構成例を示すブロック図である。ここで説明する色変換装置は、ディジタル複写機やプリンタ等といった画像出力装置に搭載され、若しくはその画像出力装置に接続するサーバ装置に搭載され、またはその画像出力装置に動作指示を与えるコンピュータ(ドライバ装置)に搭載されて用いられるもので、図例のように、入力部1と、出力部2と、ユーザインタフェース(以下「UI」と略す)部3と、色空間信号変換部4と、を備えたものである。
入力部1は、入力画像信号を取得するためのものである。入力画像信号としては、例えば、CRT等に表示させるためのRGB色空間におけるカラー画像信号、CIELab色空間におけるカラー画像信号、CMYK色空間におけるカラー画像信号が挙げられる。本実施形態では、入力画像信号はRGB色空間のカラー画像信号である場合について説明する。
出力部2は、出力画像信号を出力するためのものである。出力画像信号としては、例えば、プリンタ等に印刷させるためのYMC色空間あるいはYMCK色空間のカラー画像信号が挙げられる。本実施形態では、出力画像信号はYMCK色空間のカラー画像信号である場合について説明する。
UI部3は、ユーザーが操作することによって、色空間信号変換部4に対する各種設定を行うためのものである。
色空間信号変換部4は、入力部1が取得した入力画像信号を、出力部2で出力する出力画像信号に変換するためのものである。ただし、色空間信号変換部4では、出力画像信号への変換を、入力画像信号に対する圧縮・伸張処理を経て行うようになっている。
ここで、この色空間信号変換部4について、さらに詳しく説明する。図2は、色空間信号変換部の概略構成例を示すブロック図である。図例のように、色空間信号変換部4は、色変換部11と、色変換係数設定部12と、メモリ13と、を備えたものである。
色変換部11は、RGB色空間の入力画像信号を装置に依存しない色空間、例えばCIE−L*** 色空間(第1の色空間)の信号(第1の画像信号)に変換した後、これを色変換係数設定部12により作成された色変換ルックアップテーブル(LUT)又はメモリ13に記憶された色変換LUTによりYMCK色空間(第2の色空間)の出力画像信号(第2の画像信号)に変換する。
これらの各部11〜13は、例えば画像出力装置、サーバ装置またはドライバ装置が具備するもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなるコンピュータが、所定プログラムを実行することによって、それぞれ実現されたものとすることができる。
カラー画像信号の変換処理を行う場合には、先ず、予め入力側の色再現域および出力側の色再現域を求めておく。このとき、装置に依存しない色空間、例えばCIE−L***色空間において求めておくとよい。なお、以下の説明では内部の処理はCIE−L***色空間において行うものとする。
図3は、色再現域の一例を示す概念図である。一般に、色再現域は一様ではなく、図例のような複雑な3次元形状を有している。図に示した立体の内側が色再現が可能な領域であり、その外側は色を再現できない領域である。したがって、色再現域を求めるにあたっては、色再現が可能な領域と色を再現できない領域との境界を示す面(外郭面)の情報を求めておく。上述のようにこの外郭面の形状は一様ではないので、例えば三角形などの多角形状に分割して表現しておくとよい。図例では、外郭面の一部のみ、三角形状に分割して図示しているが、このような分割を外郭面の全面について行うことになる。
求めた入力側の色再現域および出力側の色再現域を表す色再現域データは、色空間信号変換部4のメモリ13に記憶される。なお、このメモリ13には、ICCプロファイルの各インテントに対応した色変換LUTが色変換対象毎に記憶されている。なお、各インテントに対応した色変換関数が色変換対象毎に記憶されていてもよい。
次に、色空間信号変換部4で実行される処理ルーチンについて、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップ100では、色変換係数設定部12は、ユーザーのUI部3の操作により色変換処理の実行が指示されたか否かを判断し、色変換処理の実行が指示された場合にはステップ102へ移行する。
ステップ102では、色変換係数設定部12は、色再現目的及び色変換対象を設定するための図示しない設定画面をUI部3に表示させ、ユーザーに色再現目的及び色変換対象を設定させる。色再現目的としては、例えばICCプロファイルで定義された前述の3つのインテント(パーセプチャル、サチュレイション、リラティブカラリメトリック)がある。これらは、モニタ重視、彩度重視、階調再現性、コントラスト、測色的一致 など、ユーザーの求める出力環境で必要とされる色再現の特徴を示したものである。また、色変換対象としては、自然画、グラフィック、テキスト、グラデーション等があるが、これに限られるものではない。また、色再現目的及び色変換対象の他に、特に変換したい指定色(例えば赤等)及びその変換目標値(例えば測色値等)を設定可能としてもよい。この場合、指定色が主要色(例えばC,M,Y,R,G,B等)の場合には、その主要色に色変換目標があるとしても、設定された変換目標値に変換することを優先させる。
色再現目的の設定は、例えば3つのインテントの何れかを単独で設定することもできるし、これら3つのインテントのうち少なくとも2つ以上のインテント間の比を設定することもできる。このインテント間の比の設定は、例えばユーザーに直接入力させるようにしてもよいし、各インテントの割合を互いに直交する3つの軸で表し、その3次元空間上で任意の位置を指定させ、その位置の座標をインテント間の比として設定するようにしてもよい。インテント間の比を設定できるようにすることにより、各インテントの特性を任意の割合で含む色再現が可能となり、ユーザーの意図に応じた色再現が可能となる。
なお、インテントは、ICCプロファイルで定義された3つのインテントに限らず、モニタ重視、彩度重視、階調再現性、コントラスト、測色的一致等の直感的に色再現目的を認識しやすい表現のインテントを設定してもよい。
ステップ104では、色変換係数設定部12は、設定した色再現目的及び色変換対象に応じた色変換LUTがメモリ13に記憶されているか否かを判断する。メモリ13には、最初は、例えばインテント毎に各色変換対象に対応した色変換LUTが予め記憶されている。この色変換LUTは、3次元のCIE−L***色空間を格子状に複数の直方体に分割し、各格子の格子点のL*、a*、b*の値と、出力装置のYMCK色空間におけるYMCKの各値との対応関係を表すデータである。なお、Lab−YMCKの色変換LUTではなく、RGB−YMCKの色変換LUTを用意してメモリ13に予め記憶しておいてもよい。
そして、ステップS102で設定した色再現目的及び色変換対象に応じた色変換LUTがメモリ13に記憶されている場合にはステップ114へ移行し、記憶されていない場合にはステップ106へ進む。
ステップ114では、色変換係数設定部12は、設定した色再現目的及び色変換対象に応じた色変換LUTをメモリ13から読み出し、色変換部11へ出力する。
一方、設定した色再現目的及び色変換対象に応じた色変換LUTがメモリ13に記憶されていない場合には、ステップ106において、入力画像信号を圧縮・伸張する際の圧縮・伸張関数(色変換関数)の圧縮係数を設定する。
圧縮・伸張の特性としては、例えば色相変換特性、明度変換特性、明彩度圧縮特性、色相方向階調特性、彩度方向階調特性などがある。色相変換特性は色相方向の変換特性を表したものであり、色相領域ごとの色相移動量などである。図5は、色相の変更処理の一例を示す概念図である。CIE−L***色空間においては、色相の変更はL*軸を中心として回転移動させる処理となる。例えば図中に示した点アの色は、色相変換処理によって回転されて点イの色に変更される。
明度変換特性は明度方向の変換特性を表したものであり、彩度に応じて明度の変換量を決定する方法がある。
明彩度圧縮特性は、入力画像信号を出力画像信号へ圧縮する際に明彩度方向の圧縮特性を表すものである。図6は明彩度方向の圧縮処理の一例を示す概念図である。この場合、例えば、出力側の色再現域(同図において太線で示す)において最大彩度を有する点の明度を持つ無彩色を目標点とし、これと入力画像信号とを結ぶ線を変換ベクトルとして設定し、この変換ベクトル上で入力画像信号を圧縮して出力画像信号を求める(詳細は後述)。
色相方向階調特性は、色相方向へ変換した際の変換の粗密さを表したものである。図7は色相方向階調特性の一例を示す概念図である。第1の信号が変換前の信号、第2の信号が変換後の信号を表している。色相方向階調特性は、高彩度領域または各色相の最大彩度点の色相は前述の色相変換処理により変換されるが、所定の色相(hue1,hue2)の間ごとに、高彩度領域または色相の最大彩度点以外での色相方向の階調特性を表している。図7では、低彩度から中間の彩度までは、第1の信号の色相方向での階調を保ち、高彩度領域は色相方向の階調が少なくなっている。
図8は、彩度方向階調特性の一例を示す概念図である。図8では、入力画像信号の彩度方向の階調特性が、入力画像信号を変換した出力画像信号では高彩度領域の階調が少なく、低彩度ほど階調が多くなる特性となっている。
図9〜12には、圧縮・伸張の要素の分布と色再現目的との関係の一例を示した。圧縮・伸張の要素としては、例えば明彩度圧縮率、色相移動量、色相方向階調数、明度移動量、彩度階調数等がある。
図9には、明彩度圧縮率の要素分布の一例を示した。同図に示すように、パーセプチャルが最も明彩度圧縮率が高く、サチュレイション、カラリメトリックの順に明彩度圧縮率が低く変化する分布となっている。
図10には、色相移動量、色相方向階調数の要素分布の一例を示した。同図に示すように、色相移動量は、サチュレイション、パーセプチャル、カラリメトリックの順に低く変化する分布となっているのに対し、色相方向階調数は、パーセプチャル、カラリメトリック、サチュレイションの順に低く変化する分布となっている。さらに、高彩度領域と低彩度領域とで変化の特性が異なる。
図11には、明度移動量の要素分布の一例を示した。同図に示すように、サチュレイション、パーセプチャル、カラリメトリックの順に低く変化する分布となっている。これも、高彩度領域、低彩度領域とで変化の特性は異なっている。
図12には、彩度階調数の要素分布の一例を示した。同図に示すように、低彩度領域ではカラリメトリックの彩度階調数が多く、高彩度領域ではパーセプチャルの階調数が多くなる分布となっている。
上記の圧縮・伸張の特性は、それぞれの圧縮・伸張関数に含まれる圧縮係数をどのように設定するかによって変化する。このため、ステップ106では、色変換係数設定部12は、ステップ102で設定した色再現目的及び色変換対象に対応した圧縮係数を設定することにより圧縮・伸張関数を設定する。圧縮係数は、例えばインテント毎またはインテント間の比毎、色変換対象毎、圧縮・伸張の要素毎に予め圧縮係数テーブルデータとしてメモリ13に記憶しておき、ユーザーによって選択されたインテント及び色変換対象に対応した圧縮係数を求めて設定するようにしてもよいが、これに限られるものではなく、ユーザーが設定した色再現目的及び色変換対象に対応した圧縮係数を設定できるものであればよい。
ここで、圧縮方法について説明する。まず、上記の明彩度圧縮率及び彩度階調数に関する圧縮方法としては、例えば特開2005−191808号公報(以下、特許文献3という)に記載された方法を適用することができる。この圧縮方法の圧縮係数Cnl1は、入力画像信号を出力画像信号に変換するための非線形関数に変数として含まれるもので、上述した変換ベクトル上での圧縮率を特定するための変数である。このことから、圧縮係数Cnl1は、変換ベクトル上における目標点(無彩色点) と入力画像信号を示す点との距離に応じて特定されるようになっている。
図13は、非線形圧縮・伸張処理の一例を示す説明図である。同図に示すように、変換ベクトル上での無彩色点から入力色再現域の外郭点および出力色再現域の外郭点までの各々の距離Lin、Loutと、無彩色点から入力画像信号までの距離L'inと、色再現目的及び色変換対象に応じて設定された設定された圧縮係数Cnl1(図13ではCnlと表す)とに基づき、以下に示す(1)式および(2)式の非線形関数を用いて、変換ベクトル上での無彩色点から出力画像信号までの距離L'outを求める。
L'out=L'in×(Lout/Lin)f(x) ・・・(1)
f(x)=(L'i n/Lin)Cnl1 ・・・(2)
この圧縮係数Cnl1を変化させることにより、明彩度圧縮率や彩度階調数を変化させることができる。
次に、上記の色相移動量に関する圧縮方法としては、例えば特開2005−184601号公報(以下、特許文献4という)に記載された方法を適用することができる。この特許文献4に記載された方法では、所定の色相変換関数により色相の変換を行っており、この色相変換関数では、色相の変更を、入力画像信号における彩度によって色相変換の度合いが変化するようにしており、高彩度領域では色相が大きく変化し、逆に低彩度領域では色相があまり変化しないように色相の変更を行っている。また、この色相変換関数は、色相変換度合に彩度方向での重み付けを与えるために設定された圧縮係数を変数として含んでいる。具体的には、例えば次式のような指数関数を用いる。
Cout=Cin−Cdif×(Cdata/Cmax)Cnl2 ・・・(3)
この(1)式において、Coutは出力画像信号の色相角であり、Cinは入力画像信号の色相角であり、Cdifは最大彩度色相移動量であり、Cdataは入力画像信号における彩度であり、Cmaxは最大彩度点における彩度である。また、Cnl2は、重み付けのための圧縮係数であり、非線形性を調整する非線形係数である。
この圧縮係数Cnl2を変化させることにより、色相移動量を変化させることができる。
次に、上記の明度移動量に関する圧縮方法としては、例えば特開2005−184602号公報(以下、特許文献5という)に記載された方法を適用することができる。この特許文献5に記載された方法では、所定の明度変換関数により明度の変換を行っており、この明度変換関数では、明度の変更を、入力画像信号における彩度によって明度変換の度合いが変化するようにしており、高彩度領域では明度が大きく変化し、逆に低彩度領域では明度があまり変化しないように明度の変更を行っている。また、この明度変換関数は、明度変換度合に彩度方向での重み付けを与えるために設定された圧縮係数を変数として含んでいる。具体的には、例えば次式のような指数関数を用いる。
Lout=Lin−Ldif×(Cin/Cmax)Cnl3 ・・・(2)
この(1)式において、Loutは変換後の明度値であり、Ldifは明度調整値であり、Cinは入力画像信号における彩度であり、Cmaxは入力側色再現域の最大彩度点における彩度である。また、Cnl3は、重み付けのための圧縮係数であり、非線形性を調整する非線形係数である。
この圧縮係数Cnl3を変化させることにより、明度移動量を変化させることができる。
ステップ108では、色変換係数設定部12は、ユーザーにより選択された色再現目的及び色変換対象に応じた色変換LUTを作成し、メモリ13に記憶する。これは、3次元のCIE−L***色空間を分割した各格子の格子点のL*、a*、b*の値をステップ106で設定した圧縮係数Cnl1〜3を用いて各圧縮関数で変換し、その値に対応したYMCKの値を求めることにより、各格子点とYMCKの各値との対応関係を表す色変換LUTを作成する。作成した色変換LUTはメモリ13に記憶する。従って、次回からは、同じ色再現目的及び色変換対象が選択された場合には速やかに色変換することができる。
なお、色変換LUTを作成する際に、墨量(K)について、例えばグラフィックス向き、イメージ向き等、複数種類の墨量を設定した色変換LUTを作成するようにし、ユーザーが好みの墨量を選択できるようにしてもよい。
また、Lab−YMCKの色変換LUTではなく、RGB−YMCKの色変換LUTを作成してメモリ13に記憶するようにしてもよい。
ステップ110では、色変換係数設定部12は、ステップ108で作成した色変換LUTを色変換部11に出力する。
ステップ112では、作成した色変換LUTをその色再現目的及び色変換対象と関連付けてメモリ13に記憶させる。これにより、次回からは同じ色再現目的及び色変換対象が設定された場合に色変換LUTを作成する必要がなく、メモリ13から読み出して速やかに色変換することができる。
なお、作成した色変換LUTにユーザーの設定により名称を付与してメモリ13に記憶させるようにし、その名称を指定することによりその名称に対応した色変換LUTをメモリ13から読み出すことが可能な構成としてもよい。また、色変換LUTではなく、ステップ106で設定した各色変換関数にユーザーが設定した名称を付与してメモリ13に記憶させるようにし、その名称を指定することによりその名称に対応した色変換関数をメモリ13から読み出すことが可能な構成としてもよい。この場合、読み出した色変換関数を用いて上記のように色変換LUTを作成すればよい。
ステップ116では、色変換部11は、色変換係数設定部12から出力された色変換LUTを用いて、色変換部11に入力された入力画像信号を出力画像信号に変換する。すなわち、RGB色空間の入力画像信号をCIE−L*** 色空間の信号に変換した後、そのL*、a*、b*の値をYMCKのカラー画像信号の値に変換する。なお、入力画像信号のL*、a*、b*の値に対応するYMCKの値が色変換LUTにない場合には、その色変換LUTの周囲の値から公知の補間方法により補間することによりYMCKの値を求める。
このように本実施形態では、インテント固定でなく、インテント間の比をユーザーが設定することができ、その比に応じて圧縮・伸張の要素毎に圧縮・伸張関数を決定して(圧縮係数を決定して)圧縮・伸張処理を行うため、ユーザーの好みに応じた色変換を行うことができる。また、インテント間の比を設定すればよいので、ユーザーが色変換の詳細な知識がなくてもユーザーの意図に応じた色変換を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、ステップ102で色再現目的及び色変換対象を設定し、これに対応した色変換LUTを作成、又はメモリ13から読み出して色変換する場合について説明したが、さらに圧縮・伸張要素をユーザーが設定できるようにしてもよい。このようにユーザーが圧縮・伸張要素を限定することを可能にすることで、細かな設定が可能となり、ユーザーの意図に応じた適切な色再現を行うことが可能となる。
また、CMYK等の所定の主要色については純色で再現することをユーザーが設定できるようにしてもよい。この場合、前記所定の主要色については上記で説明した色変換を行うのではなく、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行する。これにより、ユーザーが純色のみは常に純色で再現したいという要望に応えることができる。
本発明に係る色変換装置の概略構成例を示すブロック図である。 色変換装置における色空間信号変換部の概略構成例を示すブロック図である。 色再現域の一例を示す概念図である。 色空間信号変換部で実行される処理のフローチャートである。 色相変換部における色相の変更処理の概念図である。 圧縮・伸張処理の一例を示す説明図である。 色相方向階調特性の一例を示す概念図である。 彩度方向階調特性の一例を示す概念図である。 明彩度圧縮率についての圧縮・伸張の要素の分布の一例を示す図である。 色相移動量についての圧縮・伸張の要素の分布の一例を示す図である。 明度移動量についての圧縮・伸張の要素の分布の一例を示す図である。 彩度階調数についての圧縮・伸張の要素の分布の一例を示す図である。 非線形圧縮・伸張処理の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 入力部
2 出力部
3 UI部(設定手段)
4 色空間信号変換部
11 色変換部(変換手段)
12 色変換係数設定部(決定手段)
13 メモリ

Claims (5)

  1. ICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比、予め定められた主要色についての純色の再現、及び色変換対象を設定する設定手段と、
    前記複数の色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した圧縮係数のテーブルデータを記憶した記憶手段と、
    1の色空間における第1の画像信号を前記第1の色空間と異なる第2の色空間における第2の画像信号に変換するための色変換関数に含まれる、前記色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した前記圧縮係数を、前記テーブルデータから決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定した前記圧縮係数を含む前記色変換関数に基づいて、前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換すると共に、前記純色再現が設定された前記予め定められた主要色については、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行する変換手段と、
    を備えた色変換装置。
  2. 前記決定手段は、明彩度圧縮率、色相移動量、及び明度移動量の少なくとも一つである圧縮・伸張の要素毎に前記色変換関数を決定し、
    前記設定手段は、前記色変換関数を決定する圧縮・伸張要素を設定可能であることを特徴とする請求項1記載の色変換装置。
  3. 前記変換手段は、前記決定手段により決定した色変換関数に基づいて前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換する色変換ルックアップテーブルを作成する作成手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の色変換装置。
  4. 前記設定手段は、作成した色変換ルックアップテーブルについて、名称を付与して記憶可能であることを特徴とする請求項記載の色変換装置。
  5. ICCプロファイルで定義されたパーセプチャル、サチュレイション、及びカラリメトリックのうち少なくとも2つを含む複数の色再現目的間の比、予め定められた主要色についての純色の再現、及び色変換対象を設定するステップと、
    前記複数の色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した圧縮係数のテーブルデータから、第1の色空間における第1の画像信号を前記第1の色空間と異なる第2の色空間における第2の画像信号に変換するための色変換関数の、前記色再現目的間の比及び前記色変換対象に対応した前記圧縮係数を決定するステップと、
    定した前記圧縮係数を含む前記色変換関数に基づいて、前記第1の画像信号を前記第2の画像信号に変換すると共に、前記純色再現が設定された前記予め定められた主要色については、純色は常に純色に変換する他の色変換処理を実行するステップと、
    を含む処理をコンピュータに実行させるための色変換プログラム。
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