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JP4649023B2 - 透明積層フィルム及び包装容器 - Google Patents

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JP4649023B2 JP2000254144A JP2000254144A JP4649023B2 JP 4649023 B2 JP4649023 B2 JP 4649023B2 JP 2000254144 A JP2000254144 A JP 2000254144A JP 2000254144 A JP2000254144 A JP 2000254144A JP 4649023 B2 JP4649023 B2 JP 4649023B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明積層フィルム及び包装容器に関するものであり、詳しくは、ボイル殺菌処理やレトルト殺菌処理等の加熱殺菌処理が行われるとともに防湿性が必要とされる食品包装、医薬品包装等の分野に有用な透明積層フィルム、並びにそれを用いた包装容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
包装材料には、内容物の品質劣化を防止する機能が要求されるが、中でも、内容物が変質、腐敗しやすい食品包装、医薬品包装等の分野では、移送や保管の際に外的もしくは内容物からの衝撃を受けても破損しない強度を有するとともに、内容物の品質劣化の要因となる酸素や水蒸気等に対してバリヤー性に優れていることが求められる。そのため、このような分野の包装材料としては、金属箔に高分子フィルムがラミネートされた積層フィルムが使用されている。
【0003】
しかしながら、金属箔を含む積層フィルムは不透明であるため、これを食品包装体や医薬品包装体等の包装材料として用いた場合には、包装体の製造工程において包装後の内容物の品質の管理や検査が困難である。また、このように内容物の状態が確認できないことは、消費者が不安を抱く等購買意欲の低下の原因にもなり得る。
【0004】
そこで、強度、ガスバリヤー性及び透明性を備える包装用材料として種々のものが提案されており、その一つとして、透明な高分子フィルム基材上に金属、金属酸化物、非金属無機物、非金属無機酸化物等の無機材料を蒸着した蒸着膜を備える透明積層フィルムが特開平10−25357号公報、特開平10−101825号公報、特開平11−300879号公報、特開2000−127300号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、食品包装や医薬品包装の分野では、包装体内部の衛生性を高めるために、包装体の製造工程においてレトルト処理やボイル処理といった加熱殺菌処理が広く行われている。例えば、レトルト食品包装体の場合は、食品を包装容器に充填して密封した後、高圧釜中、100℃以上の温度で加熱殺菌処理が施される。レトルト方式としては熱水貯湯式、熱水シャワー式、スチーム式などが知られており、中でも安定した処理を目的として熱水貯湯式や熱水シャワー式が好ましく用いられている。ところが、このような包装体の包装材料に上記従来の透明積層フィルムを用いると、加熱殺菌処理によって透明積層フィルムが劣化してガスバリヤー性が低下してしまい、長期間保存した場合に内容物の品質劣化が十分に防止されないという問題が生じる。
【0006】
また、蒸着膜を備える上記従来の透明積層フィルムは一般的に延伸や屈曲に対する耐久性に劣り、印刷、製袋等の2次加工を施す際に蒸着膜が破壊されて本来のガスバリヤー性が損なわれやすいという欠点を有している。
【0007】
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、強度、ガスバリヤー性及び透明性に優れるとともに、印刷、製袋等の2次加工あるいはレトルト処理やボイル処理等の加熱殺菌処理が行われる場合であってもこれらの特性を高水準に維持する耐久性を有しており、長期にわたって被包装物の品質劣化を十分に防止することが可能な包装材料、並びにその包装材料を用いた包装容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、高分子フィルム基材上に無機蒸着膜を積層し、さらにその上にポリアルコール系化合物とポリカルボン酸又はその部分中和物との混合物から形成されるコーティング層を積層することによって、強度、ガスバリヤー性及び透明性がバランスよく得られることを見出し、このような構成を有する複合蒸着フィルムを特許第2832876号公報、特許第2918456号公報、特開平9−193306号公報、特開平9−193307号公報において開示している。
【0009】
しかしながら、このような積層フィルムであっても、レトルト処理やボイル処理等の加熱処理によって無機蒸着膜とコーティング層との間に剥離が生じる等、耐久性の点で十分なものではなかった。
【0010】
そこで、本発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層と無機材料からなる薄膜とをそれぞれ別個の高分子フィルム上に積層して別個の複合フィルムを作製し、さらにこれらの2つの複合フィルムと別の高分子フィルムとを接着剤層を介して積層した場合に上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の透明積層フィルムは、第一の高分子フィルムの少なくとも一方の面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層が積層されている第一の複合フィルムと、第二の高分子フィルム上に無機材料からなる薄膜が積層されている第二の複合フィルムと、第三の高分子フィルムと、を備えており、第一の複合フィルムの第一の高分子フィルム側の面と、第二の複合フィルムの薄膜側の面とが第一の接着剤層を介して当接し、第一の複合フィルムのコーティング層が最表面に配置されており、第二の複合フィルム及び第三の高分子フィルムが互いに第二の接着剤層を介して積層されていることを特徴とするものである。
また、本発明の透明積層フィルムは、第一の高分子フィルムの少なくとも一方の面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層が積層されており、該コーティング層上にはマグネシウム、亜鉛又はこれらの酸化物もしくはこれらの酸化物の粒子が分散された樹脂が添加されている第一の複合フィルムと、第二の高分子フィルム上に無機材料からなる薄膜が積層されている第二の複合フィルムと、第三の高分子フィルムと、を備えており、第一の複合フィルムのコーティング層側の面と、第二の複合フィルムの薄膜側の面とが第一の接着剤層を介して当接しており、第三の高分子フィルムが第一の複合フィルム又は第二の複合フィルムに第二の接着剤層を介して積層されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の包装容器は、上記本発明の透明積層フィルムを備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層と無機材料からなる薄膜とをそれぞれ別個の高分子フィルム(第一の高分子フィルム又は第二の高分子フィルム)上に積層して第一の複合フィルム及び第二の複合フィルムとし、さらにこれら2つの複合フィルムと第三の高分子フィルムとを互いに接着剤層を介して積層することによって、強度、ガスバリヤー性及び透明性が高水準でバランスよく満たされるとともに、延伸や屈曲に対する耐久性と耐熱性との双方が同時に高められる。したがって、印刷、製袋等の2次加工やレトルト処理、ボイル処理等の加熱殺菌処理が行われる場合であっても、強度、ガスバリヤー防止性及び透明性の全てが十分に高水準に維持されて、長期にわたって被包装物の品質劣化を十分に防止することが可能となる。
【0014】
ここで、本発明の透明積層フィルムにおいては、第二の接着剤層が、第二の複合フィルムと第三の高分子フィルムとを接着していることが好ましい。
【0015】
また、本発明の透明積層フィルムにおいては、厚みが15〜3000μmであり、且つ120℃で30分間加熱処理を行った後の40℃、90%RHにおける透湿度が5g/m2・day以下であることが好ましい。なお、ここでいう加熱処理とは、静置式(貯湯式)のレトルト殺菌処理をいう。
【0016】
さらに、本発明の透明積層フィルムにおいては、厚みが15〜3000μmであり、且つ10%延伸後の40℃、90%RHにおける透湿度が5g/m2・day以下であることが好ましい。なお、ここでいう10%延伸後の40℃、90%RHにおける透湿度とは、透明積層フィルムを長辺200mm×短辺150mmの形状の試料とし、試料の長辺方向に500mm/minの速度で10%延伸して30秒間保持した後の40℃、90%RHにおける透湿度[g/m2・day]をいう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
【0018】
本発明の透明積層フィルムは、第一の高分子フィルムの少なくとも一方の面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層が積層されている第一の複合フィルムと、
第二の高分子フィルム上に無機材料からなる薄膜が積層されている第二の複合フィルムと、
第三の高分子フィルムと、
を備えており、
前記第一の複合フィルム、前記第二の複合フィルム及び前記第三の高分子フィルムが互いに接着剤層を介して積層されていることを特徴とするものである。
【0019】
ここで、本発明の透明積層フィルムの好適な一実施形態を図1に示す。図1において、透明積層フィルム1は、第一の高分子フィルム2aの一方の面上にポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層3が積層された第一の複合フィルム4と、第二の高分子フィルム2b上に無機材料からなる薄膜5が積層された第二の複合フィルム6と、第三の高分子フィルム2cと、第一の複合フィルム4と第二の複合フィルム6とを接着する第一の接着剤層7aと、第二の複合フィルム6と第三の高分子フィルム2cとを接着する第二の接着剤層7bと、を備えている。
【0020】
本発明においては、第一の複合フィルム、第二の複合フィルム及び第三の高分子フィルムの積層の順序は特に制限されないが、その積層構造は、好ましくは図1に示すように、第一の複合フィルムと、第二の複合フィルムと、第三の高分子フィルムと、第一の複合フィルムと第二の複合フィルムとを接着する第一の接着剤層と、第二の複合フィルムと第三の高分子フィルムとを接着する第二の接着剤層と、を備えるものであることが好ましい。透明積層フィルムがこのような積層構造を有する場合には、強度、ガスバリヤー性及び耐久性がより向上する傾向にある。
【0021】
第一の複合フィルム4を構成する第一の高分子フィルム2aとしては、結晶融点(JIS K−7121)又はビカット軟化点(JIS K−7206)が通常100〜380℃、好ましくは150〜380℃、より好ましくは180〜380℃のものが用いられる。また、第一の高分子フィルム2aの厚みは、透明性、柔軟性及び経済性の観点から好ましくは5〜900μmであり、より好ましくは5〜800μmである。このような高分子フィルムの材料としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6・66共重合体、ナイロン6・12共重合体等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、等が挙げられるが、これらの中でも、ポリアミド又はPETを用いることがより好ましい。これらの材料を用いると透明積層フィルムにおいてより高い耐熱性が得られる傾向にある。
【0022】
第一の複合フィルム4を構成するコーティング層3は、前述の通り、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるものである。
【0023】
ここで、本発明において使用されるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとしては、具体的には、アクリル酸単独重合体又はその部分中和物、メタクリル酸単独重合体又はその部分中和物、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体又はその部分中和物、及びこれらの混合物等が挙げられる。このようなポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの数平均分子量は特に制限されないが、ハンドリングの点から好ましくは1000〜4000000であり、さらに好ましくは2000〜250000以下である。また、前記部分中和物としては、ポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物で部分的に中和したものが挙げられる。
【0024】
また、本発明において使用されるポリアルコールとは、分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重合体までを含み、ポリビニルアルコール(PVA)や糖類及び澱粉類を含むものである。前記分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。また、PVAはケン化度が通常95%以上、好ましくは98%以上であり、平均重合度が300〜1500である。さらに、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの相溶性の観点から、ポリビニルアルコールを主成分とするポリ(メタ)アクリル酸との共重合体を用いることもできる。糖類としては、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類が挙げられる。これらの糖類には、特開平7−165942号公報に記載のソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール等の糖アルコールや各種置換体・誘導体なども含まれる。これらの糖類は、水及びアルコール、あるいは水とアルコールとの混合溶剤に溶解性を示すものが好ましい。澱粉類は前記多糖類に含まれるが、本発明において使用される澱粉類としては、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉等の生澱粉(未変性澱粉)の他、各種の加工澱粉が挙げられる。加工澱粉としては、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉等が挙げられる。これらの澱粉類の中でも、例えば、馬鈴薯澱粉を酸で加水分解した水に可溶性の加工澱粉が好ましい。さらに好ましくは、澱粉の末端基(アルデヒド基)を水酸基に置換することにより得られる糖アルコール類である。澱粉類は、含水物であってもよい。また、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
上記のポリ(メタ)アクリル酸ポリマー及びポリアルコールは、水、アルコール等の溶媒中で混合された後、各成分を水に溶解させる方法、各成分の水溶液を混合する方法、ポリアルコール水溶液中で(メタ)アクリル酸モノマーを重合させた後、所望によりアルカリで中和する方法等により混合された均一な溶液として積層体の製造に使用される。ここで、前記溶液中のポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの割合は、重量比で99:1〜20:80であることが好ましく、95:5〜40:60であることがより好ましく、95:5〜50:50であることが更に好ましい。なお、上記の方法においては、水やアルコール、アルコール水溶液等を溶媒として用いることができる。また、必要に応じて、前記溶液に柔軟剤、可塑剤、熱安定化剤等を添加してもよい。
【0026】
なお、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物を用いて第一の高分子フィルム2a上にコーティング層3を積層させる方法については特に制限はなく、従来より公知の方法を使用することができる。具体的には、流延法等により第一の高分子フィルム2a上に前記混合物を塗工し、乾燥して被膜を形成させる方法(溶液流延法);エキストルーダーを用いて吐出圧力をかけながら前記混合物を第一の高分子フィルム2a上に膜状に流延して塗工し、更に回転ドラム又はベルト上で乾燥させる方法(押出法)、等が挙げられる。このようにして得られるコーティング層の膜厚は、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.1〜50μmであり、さらに好ましくは0.1〜25μmであり、さらにより好ましくは0.1〜15μmであり、特に好ましくは0.1〜5μmである。コーティング層の厚みがそれぞれ前記下限値未満であると、酸素ガスに対するガスバリヤー性が低下する傾向にある。他方、コーティング層又は第一の複合フィルム全体の厚みが前記上限値を超えると、透明性や柔軟性が不十分となる傾向にある。
【0027】
本発明においては、図1に示すように、第一の複合フィルム4の第一の高分子フィルム2a側の面と第二の複合フィルム6の薄膜5側の面とが接着剤層7aを介して当接し、第一の複合フィルム4のコーティング層3が透明積層フィルム1の表面に配置されていることが好ましい。透明積層フィルムの積層構造を上記のようにすると、水蒸気及び酸素に対するガスバリヤー性が向上する傾向にある。
【0028】
なお、第一の複合フィルム4のコーティング層3側の面と第二の複合フィルム6の薄膜5側の面とが接着剤層7aを介して当接するように配置させる場合は、コーティング層3上にマグネシウム、亜鉛又はこれらの酸化物もしくはこれらの酸化物の粒子が分散された樹脂を添加することが好ましい。コーティング層3上にこれらの金属、金属酸化物を添加すると耐熱性が向上する傾向にある。なお、コーティング層への金属又は金属酸化物の添加方法としては、特開平10−128923号公報、特開平10−237180号公報、特開2000−931号公報等に記載されている従来より公知の方法を用いることができる。
【0029】
第二の複合フィルム6は、前述の通り第二の高分子フィルム2b上に無機材料からなる薄膜5を積層して得られるものである。本発明において使用される無機材料としては、具体的には、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、マグネシウム、インジウムを含有する酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物等が挙げられるが、ケイ素酸化物(SiOx;x=1〜2)、アルミニウム(Al)、アルミニウム酸化物(Al23)及び酸窒化ケイ素(SiOxy;x=0.6〜0.8、y=0.7〜0.9)は水蒸気バリヤ−性に優れる点で好ましく、中でも、ケイ素酸化物はなお、これらの化合物は単体であってもよく、2種以上の化合物からなる複合物であってもよい。
【0030】
また、第二の高分子フィルム2bとしては、結晶融点(JIS K−7121)又はビカット軟化点(JIS K−7206)が通常100〜380℃、好ましくは150〜380℃、より好ましくは180〜380℃のものが用いられる。また、第二の高分子フィルム2bの厚みは、透明性、柔軟性及び経済性の観点から好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜100μmである。このような高分子フィルムの材料としては、上記第一の高分子フィルム2aの説明において例示されたポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられるが、これらの中でも延伸PETフィルム又は延伸ナイロン(ONy)フィルムを用いることが好ましい。特に、薄膜の無機材料としての酸化硅素と、第二の高分子フィルムとしてのONyフィルムと、を組み合わせて用いると、バランスのとれた強度と柔軟性とが得られるので好ましい。
【0031】
上記の無機材料を第二の高分子フィルム2b上に形成する方法としては蒸着法があり、蒸着法としては、物理的蒸着法(PVD)、化学的蒸着法(CVD)のうちのいずれであってもよく、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームミキシング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、MO−CVD法、熱CVD法等が挙げられるが、物理的蒸着法を用いることが好ましく、中でも真空蒸着法を用いることが特に好ましい。なお、本発明の効果を本質的に妨げない限りにおいて、必要に応じて、第二の高分子フィルムと薄膜との間に密着強度を高めるための層(アンカーコート層)を設けてもよく、また、薄膜が第二の高分子フィルムと当接する側の面と反対側の面上に薄膜を保護するための層(トップコート層)を設けてもよい。このようにして得られる第二の複合フィルム6において、薄膜5の膜厚は好ましくは5〜300nm、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは5〜100nmである。薄膜の厚さが前記下限値未満であると水蒸気に対するガスバリヤー性(防湿性)が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると透明性が不十分となる傾向にある。
【0032】
第三の高分子フィルム2cは、本発明の透明積層フィルムにおいてヒートシール層として機能する。このような高分子フィルムの材料としては、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、アイオノマー樹脂、シングルサイト触媒によって重合されたエチレン系共重合体、ポリプロピレン等が挙げられる。本発明にかかる第三の高分子フィルムの厚みは、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは5〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。
【0033】
本発明においては、第一の複合フィルム4と第二の複合フィルム6とは第一の接着剤層7aにより、第二の複合フィルム6と第三の高分子フィルム2cとは第二の接着剤層7bにより、それぞれ接着されていることが好ましい。これらの隣接するフィルム(基材)を接着する方法としては、ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法(共押し出しラミネーション法を含む)、パウダーコートラミネーション法等が挙げられ、使用される接着剤は接着方法によって適宜選択される。
【0034】
ドライラミネーション法において使用される接着剤としては、溶剤型ラミネート接着剤、水性ラミネート接着剤、無溶剤型ラミネート接着剤等が挙げられるが、耐熱性の観点から溶剤型ラミネート接着剤を用いることが好ましく、中でも、水酸基(−OH)を有する主剤とイソシアネート基(−NCO)を有する硬化剤とを混合して得られる2液反応型のポリウレタン系(イソシアネート系)接着剤を用いることが特に好ましい。ポリウレタン系接着剤の主剤としては、水酸基を有するポリエステル、ポリエーテル、ウレタン変性ポリオール等が挙げられるが、これらの中でもポリエステルを用いることは耐熱性の点で好ましい。他方、硬化剤としては、ヘキサメチレン次イソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)を用いることが好ましい。
【0035】
押し出しラミネーション法において使用される接着剤としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリマーが挙げられる。また、押し出しラミネーション法の中でも、積層後に被着材の融点以上の温度で熱処理を行うECL(Extrusion Coating Lamination)法が好ましい。
【0036】
パウダーコートラミネーション法において使用される接着剤としては、粉体の無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリマーが挙げられる。また、パウダーコートラミネーション法の中でも、粉体の接着剤(酸変性ポリマー)を被着材に静電塗布し、高周波誘導加熱を利用して被着材を加熱して、接着剤の溶融後に被着材を熱ロールで圧着するPCL(Powder Coating Lamination)法が好ましい。
【0037】
このようにして得られる第一及び第二の接着剤層の膜厚は、好ましくは0.1〜50μmであり、より好ましくは0.3〜30μmであり、さらに好ましくは0.5〜10μmであることが好ましい。接着剤層の膜厚が前記下限値未満であると、透明積層フィルムの延伸及び屈曲に対する耐久性や耐熱性が不十分となる傾向にある。他方、接着剤層の膜厚が前記上限値を超えると、透明性や柔軟性が不十分となる傾向にある。
【0038】
上記の構成を有する本発明の透明積層フィルムにおいて、透明積層フィルム全体の厚みは、好ましくは15〜3000μmであり、より好ましくは25〜500μmであり、さらに好ましくは50〜150μmである。透明積層フィルム全体の厚みが前記上限値を超えると、透明性が不十分となるとともに製袋等の加工性が低下する傾向にあり、他方、前記下限値未満の場合は強度、ガスバリヤー性、耐久性といった特性が不十分となる傾向にある。
【0039】
また、本発明の透明積層フィルムにおいては、120℃で30分間加熱処理を行った後の40℃、90%RHにおける透湿度は5g/m2・day以下であることが好ましく、3g/m2・day以下であることがより好ましい。上記の加熱処理後の透湿度が前記上限値を超えると、レトルト処理やボイル処理等の加熱殺菌処理が行われる包装体の材料として用いた場合に十分な長期保存性が得られない傾向にある。同様の理由により、上記の加熱処理を行った後の30℃、80%RHにおける酸素ガス透過度は5cm3/m2・day・atm以下であることが好ましく、1cm3/m2・day・atm以下であることがより好ましい。
【0040】
さらに、本発明の透明積層フィルムにおいては、10%延伸後の40℃、90%RHにおける透湿度が5g/m2・day以下であることが好ましく、4g/m2・day以下であることがより好ましい。上記の延伸を行った後の透湿度が前記上限値を超えると、印刷や製袋等の2次加工が行われる包装体の材料として用いた場合に十分な長期保存性が得られない傾向にある。同様の理由により、10%延伸後の30℃、80%RHにおける酸素ガス透過度は5cm3/m2・day・atm以下であることが好ましく、1cm3/m2・day・atm以下であることがより好ましい。
【0041】
本発明の透明積層フィルムは、強度、ガスバリヤー性及び透明性に優れ、且つ印刷、製袋等の2次加工やレトルト処理、ボイル処理等の加熱殺菌処理等が行われる場合であってもこれらの特性が高水準に維持される十分に高い耐久性を有するものであり、3方シール袋、4方シール袋、自立袋、ピロー袋等の形状に加工したりそのまま容器蓋材として使用したりすることができ、包装容器の材料として幅広い分野で好適に使用される。中でも、本発明の透明積層フィルムを食品包装容器の材料として用いることは、従来の金属箔ラミネートフィルム製レトルト食品用容器や缶詰容器が有する優れた長期保存性と、従来の透明フィルム製包装容器が有する透明性と、を同時に得られる点で特に好ましい。また、本発明の透明積層フィルムを輸液容器等の医薬品包装の包装材料に用いた場合にも、十分に高い衛生性及び十分に高い長期保存性が得られるので好ましい。
【0042】
本発明の透明積層フィルムが使用される被包装物としての食品としては、具体的には、あん、ナッツ類、ニンジン水煮、大豆水煮、マッシュルーム水煮、サトイモ水煮、ジャガイモ水煮、タケノコ水煮、サワークラウト水煮、ゴボウ水煮、ホールコーン水煮、ポテト、シイタケ、グリーンピース、スイートコーン、大豆、アスパラガス、小豆等の穀類、野菜又はそれらの加工品;ミカン、リンゴ、ブドウ、モモ、ナシ、カキ、クリ、果汁、野菜ジュース、果実シラップ漬、ジャム類等の果実又は果実加工品;日本茶、紅茶、コーヒー等の嗜好品;ハム、ソーセージ、肉、卵等の畜産物又は畜産加工品;焼き魚、煮魚、カマボコ、海苔等の水産物又は水産加工品;ゼリー等の菓子類;漬け物等の発酵食品;焼き肉のたれ、めんつゆ;カレー、シチュー、釜飯の素、野菜水煮、ミートソース、マーボ豆腐の素、ソース、ハンバーグ、惣菜、スープ類等の調理加工食品;もち、飲料、ペットフード、つりえさ等が挙げられる。
【0043】
ここで、本発明の包装容器を用いた包装体の一例として、魚加工品包装体を図2に示す。図2において、包装容器8は、図1に示した透明積層フィルム1を含む包装材料を袋状に形成して構成される。具体的には、先ず、長方形状の包装材料9の端部を接合(以下、接合部9aという)して筒状体とし、その一方の開口部を接合(以下、接合部9bという)して袋状にする。続いて、他方の開口部から魚加工品100を挿入して内部を脱気しつつ当該他方の開口部を接合(以下、接合部9cという)した後、レトルト加熱処理(加熱・殺菌処理)を行って包装体が構成される。このように、接合部9a、9b、9cがそれぞれ接合されることにより、袋状包装容器8が魚加工品100を密封包装して包装体となる。
【0044】
ここで、包装材料9は、前述の通り本発明の透明積層フィルムを含むものであるが、本発明においては、包装材料の全てが本発明の透明積層フィルムであることが好ましい。また、本発明の包装容器の大きさは、魚加工品100等の被包装物の大きさや量に応じて様々な大きさをとり得るが、例えば、50〜150gにスライスされた総量50〜200gの魚加工品を密封包装する場合は、縦15〜25cm、横10〜15cm(内寸)の大きさのものが使用される。
【0045】
なお、図2には示していないが、本発明の包装容器をジュースや飲料等の用途に用いる場合は、口栓やストロー差込口等のスパウトを設けることもできる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
実施例1
(第一の複合フィルムの作製)
ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、固形分:25重量%、30℃における溶液粘度:8〜12Pa・s、数平均分子量:1.5×105)を水で希釈して10重量%ポリアクリル酸水溶液とした後、ポリアクリル酸のカルボキシル基のモル数に対して中和度が10%となるように、水酸化ナトリウムを添加してポリアクリル酸の部分中和物の水溶液を調製した。
【0048】
一方、糖類として可溶性澱粉(和光純薬工業(株)製)を用い、10重量%澱粉水溶液を調製した。
【0049】
このようにして得られた部分中和ポリアクリル酸水溶液と澱粉水溶液とを、重量比(固形分比)が70:30となるように混合し、混合物の濃度が10重量%である水溶液を得た。
【0050】
この水溶液を透明な延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:12μm)上に塗布し、ドライヤーを用いて水を蒸発し、乾燥被膜(膜厚:1μm)を成膜した。さらに、これを230℃の熱風で1分間処理して、延伸PETフィルム上にコーティング層が積層された第一の複合フィルム(厚み:13μm)を得た。
【0051】
(透明積層フィルムの作製)
このようにして得られた第一の複合フィルムの延伸PETフィルムの側に接着剤(東洋モートン社製、主剤:TM−590、硬化剤:CAT−56、主剤/硬化剤比(重量比):100/16)を塗布し、さらに、第二の複合フィルムとしてのシリカ蒸着延伸ナイロン(ONy)フィルム(シリカ蒸着膜の膜厚:80nm、第二の複合フィルム全体の厚み:15μm)を、シリカ蒸着膜の側が接着剤層に当接するようにドライラミネートした。
【0052】
さらに、上記の第二の複合フィルムのONyフィルムの側に接着剤(東洋モートン社製、主剤:TM−590、硬化剤:CAT−56、主剤/硬化剤比(重量比):100/16)を塗工し、未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み:60μm)をドライラミネートした。その後、40℃で5日間エージングして、目的の透明積層フィルムを得た。
【0053】
実施例2
実施例1におけるCPPフィルムの代わりに厚みが100μmのCPPフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0054】
実施例3
第二の複合フィルムとして、実施例2におけるシリカ蒸着ONyフィルムの代わりにアルミナ蒸着PETフィルム(アルミナ蒸着膜の膜厚:10nm、第二の複合フィルム全体の厚み:12μm)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0055】
実施例4
第二の複合フィルムとして、実施例2におけるシリカ蒸着ONyフィルムの代わりにシリカ蒸着PETフィルム(シリカ蒸着膜の膜厚:50nm、第二の複合フィルム全体の厚み:12μm)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0056】
実施例5
(第一の複合フィルムの作製)
実施例1で用いた部分中和ポリアクリル酸と澱粉とを含む水溶液を透明な二軸延伸ナイロンフィルム(厚み:15μm)上に塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥被膜(膜厚:1μm)を成膜し、さらにこのフィルムを180℃のオーブン中で15分間処理してコーティング層を形成した。
【0057】
一方、酸化亜鉛とポリエステル系樹脂とが重量比1.5/1で配合された酸化亜鉛含有樹脂が分散された懸濁液を、卓上コーター(RK Print−Coat Instruments社製、K303 PROOFER)を用いて上記のコーティング層上にメイヤーバーで塗工し、目的の第一の複合フィルムを得た。
【0058】
(透明積層フィルムの作製)
このようにして得られた第一の複合フィルムの酸化亜鉛含有樹脂塗工面と、実施例3で用いたものと同様のアルミナ蒸着PETフィルムの蒸着膜と、が接着剤層を介して互いに当接するように積層したこと以外は実施例1と同様にして、目的の透明積層フィルムを作製した。
【0059】
実施例6
(第一の複合フィルムの作製)
実施例1で用いた部分中和ポリアクリル酸と澱粉とを含む水溶液を透明な延伸PETフィルム(厚み:12μm)上に塗布し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥被膜(膜厚:1μm)を成膜し、さらにこのフィルムを230℃の熱風で1分間熱処理してコーティング層を形成した。
【0060】
一方、酸化亜鉛とポリエステル系樹脂とが重量比1.5/1で配合された酸化亜鉛含有樹を分散させた懸濁液を、実施例5と同様の方法で、樹脂塗工厚み0.2μmとなるように上記のコーティング層上に塗工し、目的の第一の複合フィルムを得た。
【0061】
(透明積層フィルムの作製)
このようにして得られた第一の複合フィルムの酸化亜鉛含有樹脂塗工面と、実施例1で用いたものと同様のシリカ蒸着ONyフィルムの蒸着膜とが、接着剤層を介して互いに当接するように積層したこと以外は実施例1と同様にして、目的の透明積層フィルムを作製した。
【0062】
比較例1
実施例1のシリカ蒸着ONyフィルムの代わりにONyフィルム(厚み:15μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0063】
比較例2
実施例1の第一の複合フィルムの代わりに実施例3で用いたものと同様のアルミナ蒸着PETフィルム(厚み:12μm)を用い、アルミナ蒸着膜と接着剤層とが当接するように積層したこと以外は実施例1と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0064】
比較例3
(第一の複合フィルムの作製)
実施例4で用いたものと同様のシリカ蒸着PETフィルムの蒸着膜上に、実施例1で用いた部分中和ポリアクリル酸と澱粉とを含む水溶液を塗布し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥被膜(厚み:1μm)を成膜し、実施例1と同様の熱処理を行って第一の複合フィルムを得た。
【0065】
(透明積層フィルムの作製)
このようにして得られた第一の複合フィルムと実施例1と同様のCPPフィルムとを、接着剤層を介して互いに当接するように積層したこと以外は実施例1と同様にして、透明積層フィルムを作製した。
【0066】
比較例4
実施例1の第一の複合フィルムを用いずに、シリカ蒸着ONyフィルムとCPPフィルムとを、シリカ蒸着膜と接着剤層とが互いに当接するように積層したこと以外は実施例1と同様にして、透明積層フィルムを得た。
【0067】
このようにして得られた実施例1〜6及び比較例1〜4の透明積層フィルムの積層構造及びフィルム全体の厚みを表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004649023
【0069】
(レトルト処理における耐熱性試験)
次に、実施例1〜6及び比較例1〜4の各透明積層フィルムを用いて包装容器を作製した。すなわち、透明包装フィルムをCPPフィルム面同士が当接するように2つ折りにし、3片について200℃、2kgf/cm2で1秒間のヒートシール処理を行い、3方シール袋(外寸:130mm×180mm、ヒートシール幅:12mm)を作製した。
【0070】
さらに、このようにして得られた3方シール袋に水100gを充填し、開口部について上記と同様のヒートシール処理を行って4方シール袋(外寸:130mm×180mm、ヒートシール幅:12mm)とし、包装体を得た。
【0071】
このようにして得られた包装体について、市販のレトルト処理装置(日阪製作所製、商品名:フレーバーエース)を用いて120℃で30分のレトルト処理を行い、透湿度及び酸素透過度を測定した。各包装体のレトルト処理前及びレトルト処理後の透湿度、酸素透過度を表2に示す。
【0072】
(延伸に対する耐久性試験)
実施例1〜6及び比較例1〜4の各透明積層フィルムを長辺200mm×短辺150mmの形状とし、長辺方向に引っ張り速度500mm/minで10%延伸し、30秒間保持した後、透湿度及び酸素透過度を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 0004649023
【0074】
表2に示すように、実施例1〜6の透明積層フィルムを用いた場合は、レトルト処理後、延伸後のいずれにおいても水蒸気及び酸素に対して十分に高いガスバリヤー性を有していることが確認された。
【0075】
これに対して、比較例1の透明積層フィルムは初期から透湿度が高く、比較例2、4の透明積層フィルムを用いた場合はレトルト処理後や延伸後に透湿度と酸素透過度との双方が増加した。また、比較例3の透明積層フィルムを用いた場合はレトルト処理によってシリカ蒸着膜とPETとの間が剥離するデラミネーション現象が生じた。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、強度、ガスバリヤー性及び透明性に優れるとともに、印刷、製袋等の2次加工あるいはレトルト処理やボイル処理等の加熱殺菌処理が行われる場合であってもこれらの特性を高水準に維持する耐久性を有しており、長期にわたって被包装物の品質劣化を十分に防止することが可能な包装材料、並びにその包装材料を用いた包装容器を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明積層フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の包装容器を用いたレトルト食品包装体の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…透明積層フィルム、2a、2b、2c…高分子フィルム、3…コーティング層、4…第一の複合フィルム、5…薄膜、6…第二の複合フィルム、7a、7b…接着剤層、8…包装容器、9…包装材料、9a、9b、9c…接合部、100…魚加工品。

Claims (6)

  1. 第一の高分子フィルムの少なくとも一方の面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層が積層されている第一の複合フィルムと、
    第二の高分子フィルム上に無機材料からなる薄膜が積層されている第二の複合フィルムと、
    第三の高分子フィルムと、を備えており、
    前記第一の複合フィルムの前記第一の高分子フィルム側の面と、前記第二の複合フィルムの前記薄膜側の面とが第一の接着剤層を介して当接し、前記第一の複合フィルムの前記コーティング層が最表面に配置されており、
    記第二の複合フィルム及び前記第三の高分子フィルムが互いに第二の接着剤層を介して積層されていることを特徴とする透明積層フィルム。
  2. 第一の高分子フィルムの少なくとも一方の面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコールとの混合物から形成されるコーティング層が積層されており、該コーティング層上にはマグネシウム、亜鉛又はこれらの酸化物もしくはこれらの酸化物の粒子が分散された樹脂が添加されている第一の複合フィルムと、
    第二の高分子フィルム上に無機材料からなる薄膜が積層されている第二の複合フィルムと、
    第三の高分子フィルムと、を備えており、
    前記第一の複合フィルムの前記コーティング層側の面と、前記第二の複合フィルムの前記薄膜側の面とが第一の接着剤層を介して当接しており、
    前記第三の高分子フィルムが前記第一の複合フィルム又は前記第二の複合フィルムに第二の接着剤層を介して積層されていることを特徴とする透明積層フィルム。
  3. 前記第二の接着剤層が、前記第二の複合フィルムと前記第三の高分子フィルムとを接着していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明積層フィルム。
  4. 厚みが15〜3000μmであり、且つ120℃で30分間加熱処理を行った後の40℃、90%RHにおける透湿度が5g/m・day以下であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の透明積層フィルム。
  5. 厚みが15〜3000μmであり、且つ10%延伸後の40℃、90%RHにおける透湿度が5g/m・day以下であることを特徴とする、請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の透明積層フィルム。
  6. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の透明積層フィルムを備えることを特徴とする包装容器。
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