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JP4644942B2 - 結晶膜、結晶基板および半導体装置の製造方法 - Google Patents

結晶膜、結晶基板および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成長用基板の上に結晶膜を成長させるための結晶膜の製造方法、結晶基板の製造方法およびこれらを応用する半導体装置の製造方法に係り、特に、窒化物系III−V族化合物を用いた結晶膜、結晶基板、および半導体レーザ等の半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種半導体装置の多くは、基板上に半導体層を積層させて作製される。例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)や半導体レーザ(LD;Laser Diode )は、共に半導体層のpn接合に順方向電流を流して電子と正孔を再結合させて光電変換を行う半導体発光素子であり、n型とp型の半導体層が積層されて構成されている。そのうち、LEDは単体ではフォトカプラや表示ランプ、光通信用の光源などに用いられ、LDの方もディジタルまたはアナログの通信機器、オーディオディスクやビデオディスクのピックアップ、光ディスクメモリ、レーザプリンタなど様々な用途に用いられている。また、その材料となる半導体もII−VI族系あるいはIII−V族系の化合物半導体であり、それぞれに多くのバリエーションがある。
【0003】
これら発光素子あるいは半導体発光装置の分野では、近年、半導体材料として窒化物系III−V族化合物が注目されている。そもそも、窒化物系III−V族化合物は、半導体材料の中でもとりわけ多くの優れた特徴をもつことで知られている。GaN,AlN,InNに代表されるこの材料系は、いずれも室温で最も安定な構造がウルツ鉱型であるので、エネルギ−バンド構造が直接遷移型である。また、同一結晶構造の化合物同士の3元、4元の混晶(例えば、AlGaN,GaInN,AlGaInN)の作製が可能であり、そのバンドギャップエネルギーは近紫外域から可視全域にわたる発光を可能にする。とりわけ、青色領域で発光するものは、記録の高密度化に伴って発光領域がより短波長側に移行してきた光ディスク用のレーザにおいて有望視されている材料である。更に、GaNは電子飽和速度がGaAsのそれよりも大きく、また、AlGaNは負の電子親和力を持つことから、この材料系は超高周波・高出力動作のトランジスタなどの新しいデバイスへの応用も期待されている。
【0004】
ところで、窒化物系III−V族化合物半導体では、その結晶成長に関して、適した基板が未だ得られていない点が大きな問題となっていた。GaNなど窒化物系III−V族化合物半導体は、格子定数が他の半導体結晶等に比べて小さく、格子定数や熱膨張係数が似通ったものが従来から一般的な基板に存在しない。また、最も成長に適しているはずのGaN基板においては結晶中にクラックや転位の多いものしか未だ得られていない。そのため、従来より、サファイアに代表される各種の異種基板が代替に用いられており、これらの基板上に900℃以下の低温でAlNあるいはAlx Ga1-x N(0≦x<1)よりなる緩衝層を堆積させることにより格子不整合に起因する転位を低減する方法が一般的であった(特開昭63−188938号公報および特公平8−8217号公報など)。この方法では、貫通転位を109 cm-2程度まで低減することができ、結晶層の結晶性や構造(モフォロジー)を改善することができる。しかし、高品質の結晶層を得るには限界があり、より貫通転位密度の低い結晶層を得るための技術が要求されてきた。
【0005】
そこで、近年になって結晶を横方向に成長させる技術が提案されてきている。例えば、成長用基板に結晶層を成長させ、その上に、酸化ケイ素あるいは窒化ケイ素等の結晶成長を阻害する材料を用いてマスクパターンを形成し、再び結晶層を成長させると、結晶はマスクより露出する結晶層を基礎としてマスク上を横方向に成長する。横方向成長においては転位もまた屈曲するので、このようにして作製された基板の上面は、貫通転位密度が非常に低いものとなる(特開平10−312971号公報参照)。
【0006】
また、これに類似した技術として、成長用基板の上の(例えばストライプ状の)所定の領域に種結晶層を形成し、この種結晶層を基礎として結晶層を横方向に成長させる方法も知られている(MRS Internet J.Nitride Semicond.Res.4S1,G3.38(1999),MRS Internet J.Nitride Semicond.Res.4S1,G4.9(1999),中村他;第46回応用物理学関係連合講演会'99 春講演予稿集31p-N-8(1999))。なお、基板上に種結晶層を形成する替わりに、結晶層の表面に凹部を形成して表面から側面部分を相対的に凸部とするなどの応用が工夫されてきている(石田他;第46回応用物理学関係連合講演会'99 春講演予稿集30p-M-17(1999)など) 。これらの技術を用いれば、基板表面の貫通転位密度は106 cm-2程度にまで低減できる。従って、このような転位密度の低い基板を用いて作製される半導体装置では、基板からの貫通転位が少なく、結晶性が向上するので、例えば半導体レーザの長寿命化などの装置の性能向上が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、リソグラフィによるパターニングが必要であるため、製造工程数が多くなってしまい、製造コストが高くなってしまうという問題があった。また、パターニングの際には、結晶成長装置内から一旦基板を取り出す必要があり、不純物の付着により基板が汚染されたり、結晶層の表面が酸化される虞もあった。
【0008】
その上、マスクあるいは種結晶層のパターニングは表面の転位分布に関係なく行なわれており、マスクの間の領域あるいは種結晶層の上面から転位が伝播するために、これらの方法では貫通転位密度の低減に限界があった。そもそも、マスクの間隙や種結晶層は横方向成長させる結晶の核となるべき部分であり、パターニングによってある程度のサイズの領域に形成されていた。そのサイズは、おおむね転位間の距離よりも大きな値であり、この領域から転位が伝播することは避けられない。なお、貫通転位が結晶層の表面に生じる確率は基板面において一様であって、予め転位分布の傾向を把握することができない。従って、転位分布を考慮して少しでも転位の少ない領域にマスクの間隙や種結晶層を設定することは難題であり、仮に、転位分布に即してこれらのパターニングを行なうにしても、基板毎に異なるパターンが必要となることや、マスクの位置合わせ等の問題があり、この手法は実際的ではない。
【0009】
また、これらの方法では、横方向成長する結晶において転位は屈曲して伝播し、横方向成長領域同士の会合部では、伝播した転位が会合面に沿って立ち上がり、結晶上面に転位列が生じる。つまり、得られる結晶基板の上面には、マスクの間隙や結晶層からの貫通転位と、会合部からの貫通転位が存在する。通常、マスクや結晶層の間隔は一定とするので、それに応じて貫通転位は周期的に発生している。そこで、従来では、出来るだけ転位のない半導体装置を作製するために、半導体層のうち主要な機能部分(例えばレーザでは発光領域)を上記のような結晶基板の貫通転位密度が低い領域に成長させ、致命的な転位を避けるように半導体層を形成していた。そのためには、基板に素子を精度よく位置合わせを行なう必要があり、そこに位置合わせの手間と、素子の寸法設計が限定されるという問題が生じていた。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、貫通転位密度が一様に低く、高品質な結晶層を簡便に得ることができる、結晶膜と結晶基板の製造方法、およびこれらを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明による第1の結晶膜の製造方法は、成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、結晶膜の成長面に、その形成部位が下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する凹部をエッチングにより形成する凹部形成工程と、凹部のうちの少なくとも一部を空間部として結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含むものである。
本発明による第2の結晶膜の製造方法は、成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、下層部成長工程と成長条件を変えて中層部を成長させ、この中層部の表面にその形成部位が下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する凹部を形成する凹部形成工程と、凹部のうちの少なくとも一部を空間部として結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含むものである。
【0012】
本発明による他の第3の結晶膜の製造方法は、成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、下層部の上に中層部を成長させて、その中層部の表面付近に、下層部にて発生した転位に対応する部位に自発的にインジウム(In)を析出させ、転位の伝播を遮断する転位遮断部を形成する転位遮断部形成工程と、中層部の上に上層部を成長させる上層部成長工程とを含んでいる。
【0013】
本発明による結晶基板の製造方法および他の結晶基板の製造方法は、成長用基板の上に結晶膜を設ける結晶基板の製造方法であって、それぞれ、本発明の結晶膜の製造方法および他の結晶膜の製造方法により結晶膜を成長させるようにしたものである。
【0014】
本発明による半導体装置の製造方法および他の半導体装置の製造方法は、成長用基板の上に結晶膜を設ける工程を含む半導体装置の製造方法であって、それぞれ、本発明の結晶膜の製造方法および他の結晶膜の製造方法により結晶膜を成長させるようにしたものである。
【0015】
本発明による結晶膜、結晶基板、または半導体装置のいずれかの製造方法では、その形成部位が結晶膜の成長面に存在する個々の転位に自発的に対応する凹部が形成され、この凹部のうちの少なくとも一部が空間部となるように結晶膜の上層部が成長する。よって、空間部により転位が一様に遮断され、上層部では転位密度が格段に低くなる。
【0016】
本発明による他の結晶膜、結晶基板、または半導体装置のいずれかの製造方法では、結晶層の下層部の上に中層部が成長する際に、その中層部の表面付近に、その形成部位が下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する転位遮断部が形成される。よって、その上に結晶を成長させると、転位遮断部により転位は一様に遮断されて上層部の転位密度が格段に低くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る結晶層の製造方法を用いて作製された結晶基板10を表している。この結晶基板10は、成長用基板11にバッファ層12を介して結晶層13が形成されたものであり、結晶層13は、例えば、ウルツ鉱型構造であり、短周期型周期律表における3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む窒化物系III−V族化合物半導体(GaNなど)により構成されている。以下、この結晶基板10の作製方法を具体的に説明する。
【0019】
まず、例えばサファイアよりなる成長用基板11を用意し、図示しないMOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学気相成長)装置の内部に載置する。後に説明するように、ここでは、全工程がこのMOCVD装置内で一貫して行われ、製造中に基板を取り出すようなことがないものとする。次に、図2に示したように、例えば、成長用基板11のc面上に、GaNからなる厚さ30nmのバッファ層12を成長させる。その際、成長用基板11の温度(成長温度)は例えば520℃とする。次いで、成長用基板11の温度を例えば1020℃に上げ、バッファ層12の上に、例えば、GaNからなる下層部13aを2μm成長させる(下層部成長工程)。
【0020】
なお、このようにMOCVDによりGaNの下層部13aを成長させる場合には、例えば次のような条件でガスを供給する。すなわち、ガリウム(Ga)の原料ガスとして、トリメチルガリウム((CH3 3 Ga)を50μモル/minの流量で供給し、窒素の原料ガスとして、アンモニア(NH3 )を0.2モル/minの流量で供給する。また、キャリアガスには、水素(H2 )および窒素(N2 )を用い、10リットル/minの流量で供給する。ちなみに、結晶層13(下層部13aおよび後述する上層部13c)を成長させる際には、必要に応じてケイ素(Si)あるいはマグネシウム(Mg)などの不純物を添加することも可能である。その場合、ケイ素の原料ガスとしては例えばモノシラン(SiH4 )を用い、マグネシウムの原料ガスとしては例えばビス=シクロペンタジエニルマグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いる。なお、結晶層13が本発明の「結晶膜」の一具体例に相当する。
【0021】
形成される下層部13aには、図2において細線で示したように貫通転位D1 が存在している。なお、ここで貫通転位とは、結晶層13の厚さ方向に伝播した転位欠陥を指す。この貫通転位D1 は、成長用基板11とバッファ層12との格子不整合あるいは熱膨張係数の差などに起因して発生したものであり、その密度は例えば3×108 cm-2程度である。
【0022】
次に、Gaの原料ガスの供給を例えば3分間停止する。このとき、Gaの供給を遮断する他は、先の下層部13aの形成工程の際の成長条件がそのまま保持されている。これにより、図3(A)に示したように、結晶層13の成長は一旦中断され、下層部13aの表面には、主に熱とキャリアガスである水素(H)ガスによりエッチングされて凹部が生じる(凹部形成工程)。
【0023】
具体的には、図3(B)に拡大して示したように、個々の貫通転位D1 に対応する位置に凹部(エッチピット)13bが形成される。この凹部13bは、リソグラフィ等によるパターンニングのように形成領域が意図的に選択されるものとは異なり、自ずと貫通転位D1 に通ずる位置に形成されるものである。凹部13bが自発的に貫通転位D1 に対応するのは、下層部13aでは各貫通転位D1 を中心に強度が相対的に弱くなっており、これらがエッチングされやすいためである。凹部13bの形状は、例えば、貫通転位D1 と通じている部分を頂点とする多角錐、あるいは貫通転位D1 と通じている部分を中心とするすり鉢状であり、その深さは例えば30nm以上、好ましくは100nm以上である。多角錐型の具体例としては、外1に示した6つの面(S面)からなる倒立六角錐がある。
【0024】
【外1】
Figure 0004644942
【0025】
なお、ここでのエッチングは、成長用基板11との界面まで行うようにしてもよい。また、ここではキャリアガス(Hガス)をエッチングガスに流用するようにしたが、1000℃程度の熱を主体としたサーマルエッチングでも同様の凸部13bを形成することができる。エッチングガスを利用する場合には気相エッチングが可能な他のガス、例えば窒化物系III−V族化合物半導体に対してはアンモニア(NH3 )ガス、塩化水素(HCl)ガスを導入して凹部13bを形成することもできる。また、ここでは、下層部13aの成長を停止してエッチングを行うようにしたが、下層部13aの成長は必ずしも中断される必要はなく、エッチングが支配的な条件で成長を持続させてもよい。
【0026】
次に、図4(A)に示したように、例えば、Gaの原料ガスの供給を再開し、上層部13cを成長させる(上層部成長工程)。その際、Gaの原料ガスは、例えば50μモル/minの流量で供給し、成長温度は、例えば1000℃〜1050℃とする。このとき、図4(B)に拡大して示したように、凹部13bにおいては、まずその上側で上層部13cが積層方向に対して垂直な方向(横方向)に成長を始める。そのために凹部13bの底部には原料ガスが到達しにくくなり、底部では実質的に結晶成長が進行せず、空隙が残される。引き続き上層部13cを成長させると、図4(C)に拡大して示したように、凹部13bを覆うように横方向成長する結晶同士が会合する。これにより、凹部13bの位置に空間部13b1 が形成される。
【0027】
このとき、空間部13b1 の上の上層部13cには転位D1 が伝播しない。それは、転位D1 が、凹部13bのそれぞれの基底部にあって実際に結晶が横方向成長する面には存在しないからであり、上層部13cの横方向成長領域は、下層部13aにおいて各転位D1 が表出する部分との接触を回避できるからである。
【0028】
また、空間部13b1 から新たに転位が派生する場合には、新たな転位は転位D1 が持つ変位の合計すなわちバーガース・ベクトルの和に相当する変位を持つことになる。しかしながら、転位D1 が持つ変位は、通常は転位D1 が連結するように合成され、ここでは空間部13b1 の上部は横方向に成長するので、新たに発生する転位を横方向に伝播させることが可能であり、空間部13b1 から上層までの領域において転位を減少させることが可能である。
【0029】
このように、空間部13b1 を設けることで貫通転位D1 は遮断され、あるいは変位が変化させられて、その上層部13cへの伝播が阻止される。なお、ここで空間部13b1 は、3次元的に結晶が不連続になる領域であり、内部は真空状態である場合のほか、少なくとも1部に非晶質様の材料が結晶化せずに取り残された状態や、ガスあるいは液体が充填されている状態、またはそれらの複合状態になっている場合もある。
【0030】
なお、空間部13b1 が確実に形成されるようにするためには、凹部13bに対応する斜面からの横方向成長の速度を大きくすることが好ましい。横方向成長の速度を大きくするように成長条件を設定するには、例えば、キャリアガス種や成長圧力を変えたり、各種原料ガスの供給比率を変えたりするとよい。また、凹部13bの後に、非常に速い成長速度で瞬時に結晶成長を開始すると、凹部13bに比べそれ以外の領域において成長速度が速くなり、速やかに横方向成長が進行する。結晶層が窒化物系III−V族化合物半導体の場合には、Gaの原料ガスを急激に増加することによって実現することができる。
【0031】
上層部13cを一定時間以上成長させると、図5のように、成長面は実質的に平坦となる。このようにして、上層部13cにおける貫通転位密度が低い結晶層13が形成され、表面の貫通転位密度が低い結晶基板10が作製できる。なお、図5において結晶層13の上層部13cに示した貫通転位D2 は、空間部13b1 が形成されなかった場合、あるいは凹部13bが完全には貫通転位D1 と対応していない場合などに発生するものである。
【0032】
このように本実施の形態によれば、下層部13aの表面に、その位置が個々の貫通転位D1 に自発的に対応する凹部13bを形成し、更に上層部13cを凹部13bの上部を覆うように形成して空間部13b1 を設けるようにしたので、貫通転位D1 の上層部13cへの伝播が遮断される。従って、凹部13bの形成はパターニング等の工程が不要であり、結晶層の作製工程を簡易なものとすることができると同時に、上層部13cにおける貫通転位密度が極めて低い結晶層13、および高品質の結晶基板10を得ることができる。
【0033】
また、下層部成長工程,凹部形成工程および上層部成長工程は全て同一装置内で行うようにしたので、製造工程の一層の簡略化および短縮化を図ることができ、装置間を移送させる際に生じる不純物による汚染および表面の酸化を防止することができる。しかも、凹部形成工程はガリウムの原料ガスの供給を一旦停止するというだけの極めて簡便なものであり、結晶基板10の生産性を高めることができる。
【0034】
作製された結晶基板10から成長用基板11などを除去し、結晶層13あるいはその一部からなる薄膜とすれば、例えば、窒化物系III−V族化合物基板として半導体装置等に用いることができる。成長用基板11やバッファ層12などは、研削,ドライエッチングまたはウェットエッチング等により除去することができる。また、結晶層13の上層部13cと下層部13aとの境界面には空間部13b1 が面状に分布しており、機械的強度が弱くなっているので、この境界面で上層部13cを下層部13a以下から分割するようにしてもよい。具体的には、例えば、レーザ照射,ランプ照射,超音波の付与,急冷あるいは急加熱を施して分離することができる。その他、機械的に変形させ、空間部13b1 を利用して結晶層13の上層部13cを剥離するようにしてもよい。
【0035】
(変形例)
次に、第1の実施の形態の変形例として、複数の凹部13bを連通される場合について図6を参照して説明する。なお、以下には第1の実施の形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0036】
ここでは、結晶層13Aの凹部形成工程において、複数の凹部13bを連通させて凹部13dを形成する。結晶層13Aの下層部13aにおける貫通転位D1 の密度をbとすると、貫通転位D1 間の平均距離はb-1/2である。従って、貫通転位D1 に対応する凹部13bが互いに重なり合う領域において繋がり、1つの凹部13dとなるために、凹部13bをb-1/2程度以上の径に形成する。具体的には、凹部13bの径を30nm以上とすれば、互いを確実に連通させて凹部13dを形成するのに十分である。
【0037】
そのためには、凹部形成の際に、例えばガリウムの原料ガスの供給を停止する時間を長くするなどして、エッチングを下層部13aの表面方向にも充分に進行させればよい。このようにして凹部13dを形成した後に上層部13cを成長させると、凹部13dには、複数の貫通転位D1 に対応する空間部13d1 が形成される。
【0038】
凹部13dの上を覆うように上層部13cが成長する際に、下層部13aの貫通転位D1 が持つ変位が維持される場合には、空間部13b1 と同様、その変位に応じた転位が新たに発生する。しかしながら、貫通転位D1 の合成変位が0となれば、上層部13cは貫通転位D2 を生じることなく会合し、凹部13dを閉塞することが可能である。なお、貫通転位D1 の合成変位が0以外の値となった場合においても、個々の貫通転位D1 が持つ変位は互いに打ち消しあうことが可能である。
【0039】
従って、複数の凹部13bを連通させて凹部13dを形成するようにすれば、上層部13cにおける貫通転位密度をより効率よく低減することができる。なお、凹部13dの大きさは特に限定しないが、そこに包含される貫通転位D1 (すなわち凹部13b)が多いほど、転位同士の変位を相殺する確率を高めることができる。
【0040】
以下、他の実施の形態について説明するが、各実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
[第2の実施の形態]
図7(A)〜(C)は、第2の実施の形態に係る結晶基板20の製造方法を工程毎に表すものである。なお、図7は、便宜上、図1ないし図6とは異なる縮尺で示している。
【0042】
まず、図7(A)に示したように、例えば、第1の実施の形態の変形例と同様にして、下層部13aの表面に凹部13b,13dを形成する。更に、凹部13b,13dを含む下層部13aの表面 (すなわち、ここでの成長面)に、例えば酸素,窒素,フッ素あるいは炭素のうちの少なくとも1種を含む被膜21を形成する。具体的には、例えば、ガリウムおよび窒素の原料ガスの供給を中断し、ケイ素および酸素を含むガスをそれぞれ供給し、ケイ素と酸素とを含む被膜21を形成する。これもまた、同一の装置内で供給する原料ガスを切り替えることにより行なうことができる。なお、その表面に結晶が成長しにくいように、被膜21は非晶質様の状態であることが好ましい。
【0043】
また、被膜21は、例えば、酸素、窒素、フッ素等を下層部13aの原料ガスと共に導入することで形成してもよい。ここでは、例えばGaの酸化物などを形成するとよい。この被膜21の材料としては、上述のケイ素と酸素とを含むもの以外の酸化物、その他の窒化物、フッ化物、金属あるいは炭素含有材料等を用いることができる。例えば、アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),マグネシウム(Mg),ジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)などの金属と酸素とを含むようにしたり、ケイ素(Si)やマグネシウム、あるいは金属と窒素,フッ素あるいは炭素とを含むようにしたりすることができる。また、レジストなどの有機材料を用いてもよい。
【0044】
次に、図7(B)に示したように、例えば水素(H)を含む雰囲気中においてRIEなどのドライエッチングを行う。その際、下層部13aの表面は凹部13b,13dに比べてエッチングガスと接触しやすいため、凹部13b,13dよりもエッチングが進行しやすい。このエッチングにより、被膜21のうち下層部13a表面にあたる部分は除去され、凹部13b,13d上に形成されている部分が選択的に残される。なお、被膜21を凹部13b,13dの底部にいくほど厚くなるように形成すると、被膜21の除去を容易に行うことができる。なお、ここでのエッチングはドライエッチングに限定されるものではなく、サーマルエッチングやウェットエッチングを行うようにしてもよい。
【0045】
次に、図7(C)に示したように、例えば第1の実施の形態と同様にして、凹部13b,13dに空間部13b1 ,13d1 を形成するように結晶層13Bの上層部13cを成長させる。このようにして、結晶基板20が完成する。ここでは、凹部13b,13dの表面に被膜21が設けられているので、空間部13b1 ,13d1 を形成するための上層部13cの成長条件の制御が容易となる。
【0046】
このように、凹部13b,13dの上に被膜21を形成するようにしたので、そののち、上層部13cを成長させ空間部13b1 ,13d1 を形成する際に、成長条件の自由度を大きくすることができ、空間部13b1 ,13d1 を容易に形成することができる。
【0047】
[第3の実施の形態]
図8(A),(B)は、第3の実施の形態に係る結晶基板30の製造方法を工程毎に表すものである。本実施の形態では、まず、図8(A)に示したように、第2の実施の形態と同様にして、下層部13a表面に凹部13b,13dを形成したのち、凹部13b,13dを含む下層部13の表面(すなわち、ここでの成長面)に対して、例えば、酸化,窒化,フッ化および炭化のうちの少なくとも1種の処理を施して、表面処理領域13a1 を形成する。なお、この表面処理領域13a1 は、層厚方向に原子数個分、例えば1nm程度の厚みとする。
【0048】
具体的には、例えば、ガリウムおよび窒素の原料ガスの供給を中断して酸素を含むガスを供給することにより、この酸素と下層部13aのガリウムとを反応させてガリウムの酸化物よりなる表面処理領域13a1 を形成する。また、ケイ素を含むガスを供給することにより、このケイ素と結晶層13Bの下層部13aの窒素とを反応させてケイ素の窒化物よりなる表面処理領域13a1 を形成するようにしてもよい。更に、フッ素あるいは炭素を含むガスを供給することにより、フッ素あるいは炭素と下層部13aのガリウムとを反応させてガリウムのフッ化物あるいは炭化物よりなる表面処理領域13a1 を形成するようにしてもよい。
【0049】
そののち、図8(B)に示したように、例えば、第2の実施の形態と同様にしてドライエッチングまたはウェットエッチングを行い、表面処理領域13a1 の一部を選択的に除去する。それ以降の工程は第2の実施の形態と同様であり、被膜21を表面処理領域13a1 に置き換えれば、その効果も第2の実施の形態の効果に同じである。
【0050】
[第4の実施の形態]
図9ないし図12は、第4の実施の形態に係る結晶基板40の製造方法を工程毎に表すものである。
【0051】
まず、図9に示したように、第1の実施の形態と同様にして、成長用基板11に、バッファ層12および下層部43aを順次成長させる(下層部成長工程)。下層部43aは、例えば第1の実施の形態と同様の成長条件で形成され、同様に、3×108 cm-2程度の密度の貫通転位D1 が存在している。
【0052】
次に、例えば、ガリウムの原料ガスの供給を一旦停止し、成長温度を850℃に下げる。続いて、ガリウムの原料ガスの供給を再開し、図10(A)に示したように、下層部43aの上に中層部43bを成長させる(凹部形成工程)。すなわち、下層部43aを成長させる際とは異なる成長温度で中層部43bを成長させる。中層部43bは、例えば、10nm以上、好ましくは50nm以上であり、ここでは100nmの厚さまで成長させる。
【0053】
このようにして成長させた中層部43bは、表面(本実施の形態における成長面)が凹凸形状となる。具体的には、図10(B)に拡大して示したように、個々の貫通転位D1 に自発的に対応して、積層方向における深さが例えば10nm〜100nmの凹部(成長ピット)43cが形成される。凹部43cが自発的に貫通転位D1 の位置に形成されるのは、一般にMOCVD法により1000℃以下の成長温度で成長させた結晶層は成長ピットを生じやすいことによる。凹部43cの形状は、例えば第1の実施の形態の凹部13bと同様である。
【0054】
次に、例えば、ガリウムの原料ガスの供給を停止し、成長温度を急速に1020℃まで上げる。続いて、成長温度が1020℃に到達すると同時に、ガリウムの原料ガスの供給を再開し、図11(A)に示したように、上層部43dを成長させる(上層部成長工程)。ここでは、成長温度の急峻な上昇に伴って、図11(B)に拡大して示したように、上層部43dのうち凹部43cに対応する斜面では横方向に成長が進む。その成長の様子は第1の実施の形態と同様であり、図11(C)に示したように、凹部43cの斜面から横方向成長した結晶同士が会合して空間部43c1 が形成される。これにより、貫通転位D1 は遮断され、空間部53c1 の上側への伝播が阻止される。更に、結晶層43の上層部43dを一定時間以上成長させると、図12に示したように、成長面は実質的に平坦となり、結晶層43および結晶基板40が完成する。
【0055】
なお、ここでは、成長温度を昇降させる過程においてガリウムの原料ガスの供給を停止するようにしたが、降温させつつ凹部53cを形成したり、昇温させつつ凹部53cに対応する斜面から横方向成長させたりできるならば、必ずしも成長を中断する必要はない。
【0056】
このように、結晶層43の中層部43b表面に、自発的に貫通転位D1 に対応する凹部43cを形成し、そののち上層部43dを成長させることにより結晶層43の内部に空間部43c1 を形成するようにしたので、空間部43c1 において貫通転位D1 を遮断することができる。よって、結晶層43の上層部43dにおける貫通転位密度を簡便に低減することができる。なお、本実施の形態は、凹部形成工程において下部層43aとは成長条件の異なる中部層43bを形成し、その表面に凹部43cを設けること以外は第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を発揮する。
【0057】
(変形例)
上記第4の実施の形態では、下層部43aを成長させる際とは異なる成長温度で中層部43bを成長させるようにしたが、下層部43aを成長させる際とは異なる成長速度で中層部43bを成長させるようにした場合においても、その表面は凹凸形状となり、同様の効果が得られる。この場合の成長速度は、中層部43bは下層部43aよりも遅いほうが適当である。なお、成長速度を変えるには、例えば、ガリウムの原料ガスの流量を変化させるか、あるいはガリウムの原料ガスと窒素の原料ガスとの流量比を変化させればよい。
【0058】
また、中層部43bを成長させる際に、ケイ素あるいはマグネシウムなどの不純物を過剰(例えば、濃度で1×1019cm-3以上)に添加するようにしても、その表面は凹凸形状となり、同様の効果が得られる。
【0059】
[第5の実施の形態]
図13ないし図16は、第5の実施の形態に係る結晶基板50の製造方法を工程毎に表すものである。
【0060】
まず、図13に示したように、第1の実施の形態と同様に、成長用基板11の上にバッファ層12および下層部53aを順次成長させる(下層部成長工程)。なお、下層部53aには、第1の実施の形態と同様に、3×109 cm-2程度の密度で貫通転位D1 が存在している。
【0061】
次いで、図14(A)に示したように、例えば、ガリウムの原料ガスの供給を停止し、成長温度を750℃に下げる。そののち、例えば、ガリウムの原料ガスとインジウムの原料ガスとを所望の割合で供給し、下層部53aの上に、例えばInp Ga1-p N(p≧0.05)混晶よりなる中層部53bを5nm成長させる(転位遮断部形成工程)。このようにインジウムの組成比が5%以上に高いInGaN混晶を成長させると、図14(B)に拡大して示したように、その表面付近では貫通転位D1 の位置に金属インジウムが析出し、金属インジウムよりなる転位遮断部53cが自発的に形成され易い。なお、図14では、転位遮断部53cは中層部53bから突き出すようにして形成されているが、ここでは転位遮断部53cの形状は問わない。なお、金属インジウムは、貫通転位D1 の伝播を遮断可能な物質である。
【0062】
中層部53bを成長させたのち、図15(A)に示したように、例えば、インジウムの原料ガスの供給を停止し、成長温度を1020℃まで上昇させ、中層部53bの上にGaNよりなる上層部53dを成長させる(上層部成長工程)。このとき、転位遮断部53cにおいては、中層部53bおよび成長した上層部53dに比べてGaN結晶が成長しにくいため、図15(B)に拡大して示したように、転位遮断部53c上では、上層部53dが横方向成長する。上層部53dを更に成長させると、図15(C)に拡大して示したように、転位遮断部53c上において横方向成長した結晶同士が会合し、一定時間経過すると、図16に示したように、成長面は実質的に平坦となり、結晶層53および結晶基板50が完成する。
【0063】
このように本実施の形態によれば、結晶層53の中層部53bを成長させる際に、貫通転位D1 に対応して転位遮断部53cが自発的に形成されるので、この転位遮断部53cにより貫通転位D1 を遮断することができる。よって、結晶層53の上層部53dにおける貫通転位密度を簡便に低減することができる。なお、本実施の形態では、中層部53bの表面に析出したInからなる転位遮断部53cを設けるようにしたが、この転位遮断部53cを内部にInが充填された凹部とみなせば、転位遮断部形成工程を凹部形成工程と言い換えることができる。このような観点に立つと、本実施の形態は中層部43dを備える第4の実施の形態と同様であり、その効果は(第4の実施の形態と同じく)、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
[第6の実施の形態]
図17(A)〜(C)は、第6の実施の形態に係る結晶基板60の製造方法を工程毎に表すものである。
【0065】
まず、図17(A)に示したように、第1の実施の形態と同様にして下層部13aを成長させる。次いで、下層部13aの上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition )法により幅5μmの二酸化ケイ素膜(SiO2 )を成膜し、この二酸化ケイ素膜にRIEなどのドライエッチングを用いて開口を設けることによりストライプ状のマスク部61を形成する。その際、マスク部61の幅は、例えば5μmとし、その間隔または周期は、例えば50nm〜10mmとする。なお、マスク部61の材料としては、一般にマスク材として用いられるものを用いることができ、例えば、二酸化ケイ素以外にもケイ素,アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In)などを含む金属材料や、その酸素物、窒化物、あるいは炭化物を用いることができ、有機材料を用いてもよい。開口の形状は、例えば、ストライプ状,矩形状,格子状,六角形状,三角形状あるいは円形状とすることができる。
【0066】
次に、図17(B)に示したように、例えば第1の実施の形態と同様にして凹部13bを形成する。ここでは、主にマスク部61以外の開口領域において表面がエッチングされ、凹部13bとなる。そののち、図17(C)に示したように、上層部13cを成長させ、空間部13b1 を形成する。ここでは、上層部13cは、マスク部61の間の開口領域において成長し始め、マスク部61の上に横方向成長する。その際、開口領域に成長する部分には転位がほとんど存在しないので、上層部13c全体が低転位密度となる。
【0067】
このように、下層部13aの上に選択的にマスク部61を形成するようにしたので、凹部13bの形成領域が小さくて済み、例えば成長速度を高速化するなど上層部13cの成長条件を厳しくすることが可能である。なお、凹部13bの形成とマスク部61の形成との順番は逆であってもよい。
【0068】
なお、一般的には、マスク部は直下にあたる下層部の転位を遮断すると共に、開口領域からの転位をその上に屈曲させる役割を持つ。従って、マスク部上には転位列が形成され、結晶層表面の貫通転位密度はマスク部の周期に応じた周期的分布を持つ。これに対し、本実施の形態では、マスク部61は上述のようにもっぱら層形成の効率化のために設けられる。また、開口領域において転位が遮断されるためにマスク部61の上においても転位が低減することになる。従って、この場合には、もともと結晶層13Dの上層部における転位密度が低いので、その転位密度の粗密が実用上問題とならない。
【0069】
従って、本実施の形態では、結晶基板60は上述のようにマスク部61に関係なく貫通転位密度が低くなるので、半導体装置の作製時に、従来の横方向成長技術のような基板の位置合わせが不要である。なお、このような観点から、本発明は従来の技術に比べてより有効的に貫通転位を低減することが可能であることがわかる。なお、本実施の形態はマスク部61を設けること以外は第1の実施の形態と同様であるので、その他の効果は第1の実施の形態と同様である。
【0070】
[第7の実施の形態]
図18は、第7の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を用いて製造された結晶基板70の断面構造を表している。以下、図18を参照して、本実施の形態に係る製造方法について説明する。
【0071】
まず、成長用基板11の上にバッファ層12を成長させ、バッファ層12の上に、例えば、MOCVD法によりGaNからなる種結晶層71を2μm程度成長させる。次いで、種結晶層71の上に、例えば、CVD法により厚さ0.3μm〜1μmの窒化ケイ素あるいは二酸化ケイ素よりなる図示しない非晶質膜を形成し、これをフォトリソグラフィ技術を用いてストライプ状にパターニングする。続いて、図示しない非晶質膜をマスクとして例えばRIEを行い、種結晶層71から不要部分を除去する。その後、例えばウェットエッチングを行って図示しない非晶質膜を除去する。
【0072】
次いで、種結晶層71を基礎として例えばMOCVD法により下層部13aを成長させる。下層部13aの成長は、種結晶層71の上面から上方向に、側壁面から横方向に進行する。その際、種結晶層71の上側には貫通転位D1 が伝播するが、それ以外の部分では、横方向成長に伴って貫通転位D1 は屈曲してほとんど存在しない。なお、横方向成長の速度は上面における成長速度よりも大きく、一定時間経過すると成長面が実質的に平坦となる。
【0073】
下層部13aを成長させたのち、例えば第1の実施の形態と同様にして下層部13aの表面に凹部13bを形成する。ここでは、上述したように種結晶層71の上側では貫通転位密度が高く、凹部13bが多数形成される。また、種結晶層71の上側以外の領域においては、横方向に成長した結晶同士が会合することにより発生した貫通転位D1 が存在しており、この貫通転位D1 に対応して凹部13bが形成される。次いで、上層部13cを成長させ、凹部13bの位置に空間部13b1 を形成する。これにより、結晶層13Eおよび結晶基板70が完成する。
【0074】
このように、種結晶層71を基礎として下層部13aを成長させ、結晶層13Eを作製するようにしたので、貫通転位密度が低い下層部13aを予め用意することができ、上層部13cにおける貫通転位密度をより低減させることができる。その他の効果は、第1の実施の形態に同じである。
【0075】
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態は、図19に示したように、上述の凹部形成工程と上層部形成工程とをそれぞれ2回以上(ここでは、2回)行う場合の製造方法に関するものである。
【0076】
まず、例えば、第1の実施の形態と同様にして、成長用基板11の上に、バッファ層12を介して結晶層13Fの下層部13aを成長させ、凹部13bを形成し、上層部13cを成長させて空間部13b1 を形成する。この上層部13cには、貫通転位D1 に対応して空間部13b1 が形成されなかったり、凹部13bが完全には貫通転位D1 と対応していなかったりする場合に、貫通転位D2 が生じる。
【0077】
次に、上層部13cを第2の下層部として、下層部13aに凹部13bを形成したようにして、上層部13cの表面に凹部13eを形成する。凹部13eは、貫通転位D2 に対応して自発的に形成され、例えば深さ100nm程度である。
【0078】
次に、例えば、ガリウムの原料ガスの供給を再開し、例えば1020℃の成長温度で上層部13fを成長させる。その際、凹部13eの位置に空間部13e1 が形成される。これにより、結晶層13Fおよび結晶基板80が完成する。なお、この上層部13fおいては、貫通転位D2 に対応して空間部13e1 が形成されなかったり、凹部13eが完全には貫通転位D2 と対応していなかったりする場合に、貫通転位D3 が生じる。
【0079】
このように、凹部形成工程と上層部形成工程とを2回繰り返し、空間部13b1 ,13e1 を設けることにより、結晶層13Fの表面(上層部13f)における貫通転位密度をより低くすることができる。また、同様にして、凹部形成工程と上層部形成工程とを複数回繰り返し、空間部13b1 ,13e1 ,・・・の層を複数重ねて設けていくと、上層部における貫通転位の存在確率はその度毎に減少してゆき、貫通転位密度を次第に低くしてゆくことができる。
【0080】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態の製造方法を2回繰り返す場合について説明したが、上記の他の実施の形態の方法を用いても同様の効果を得ることができる。勿論、同一の製造方法のみならず各製造方法を組み合わせて繰り返すようにしてもよい。
【0081】
[第9の実施の形態]
この第9の実施の形態では、上記の各実施の形態において製造される結晶基板を用いた半導体装置の製造方法について説明する。なお、半導体装置が結晶基板の上層部側に形成される場合、結晶基板の内部構造の違いは考慮する必要がないので、いずれの方法で作製された結晶基板でも同じように用いられる。よって、ここでは一例として、結晶基板10を用いて、図20に示したSCH(Separete Confinement Heterostructure)構造の半導体レーザ1を製造する場合について説明する。
【0082】
この半導体レーザ1は、結晶基板10の上に、半導体層100としてn側コンタクト層101,n型クラッド層102,n型ガイド層103,活性層104,結晶劣化防止層105,p型ガイド層106,p型クラッド層107およびp側コンタクト層108を順次積層したものである。
【0083】
まず、例えば、複数の半導体レーザ1が形成される結晶基板10を用意する。ここでは、例えば第1の実施の形態の方法を用い、厚さ400μmのサファイアよりなる成長用基板11のc面に、厚さ30nmのGaNよりなるバッファ層12および厚さ4μmのGaNよりなる結晶層13を成長させて結晶基板10を得る。
【0084】
次に、この結晶基板10の上に、例えば、MOCVD法により半導体層100を成長させる。具体的には、まず、例えば、n型不純物としてケイ素を添加したn型GaNよりなる厚さ3μmのn側コンタクト層101,n型不純物としてケイ素を添加したn型AlGaN混晶よりなる厚さ1μmのn型クラッド層102、およびn型不純物としてケイ素を添加したn型GaNよりなる厚さ0.1μmのn型ガイド層103を順次成長させる。次いで、n型ガイド層103の上に、例えば、Ga1-x Inx N混晶層とGa1-y Iny N(但し、x≠y)混晶層とを積層した多重量子井戸構造を有する厚さ30nmの活性層104を成長させる。続いて、活性層104の上に、例えば、p型不純物としてマグネシウムを添加したp型AlGaN混晶よりなる厚さ20nmの結晶劣化防止層105,p型不純物としてマグネシウムを添加したp型GaNよりなる厚さ0.1μmのp型ガイド層106,p型不純物としてマグネシウムを添加したp型AlGaN混晶よりなる厚さ0.8μmのp型クラッド層107およびp型不純物としてマグネシウムを添加したp型GaNよりなる厚さ0.5μmのp側コンタクト層108を順次成長させる。なお、半導体層100は、結晶層13を成長させた後で連続して成長させるようにしてもよいし、別途成長させるようにしてもよい。
【0085】
このとき、結晶基板10の表面(上層部13c)には貫通転位が非常に少ないので、その上に成長する半導体層100に伝播する貫通転位も非常に少なく、半導体層100は結晶性が良好なものとなる。
【0086】
次に、p側コンタクト層108からn側コンタクト層101まで順次エッチングして、n側コンタクト層101の一部を表面に露出させる。続いて、p側コンタクト層108の上に図示しないマスクを形成し、このマスクを利用してp側コンタクト層108およびp型クラッド層107の一部を選択的にエッチングし、更に細いストライプ形状に加工して、電流狭窄部を形成する。
【0087】
次に、露出面全体に、例えば蒸着法により二酸化ケイ素よりなる絶縁膜111を形成する。更に、絶縁膜111のp側コンタクト層108の上にあたる部分に開口を設け、この開口部に例えばパラジウム(Pd),白金および金を順次蒸着し、p側電極113を形成する。また、絶縁膜111のn側コンタクト層101上の領域に開口を形成し、この開口部に、例えばチタン(Ti),アルミニウム(Al),白金(Pt)および金(Au)を順次蒸着し、合金化してn側電極112を形成する。
【0088】
次に、例えば、成長用基板11を80μm程度の厚さとなるまで研削したのち、結晶基板10ごと半導体層100をストライプ方向に対して垂直に分割する。これにより、各半導体レーザ1の一対の共振器端面が形成される。次いで、各共振器端面に図示しない反射鏡膜をそれぞれ形成する。更に、各半導体レーザ1毎に半導体層100をストライプ方向に対して平行に分割する。これにより、図20に示した半導体レーザ1を複数個得ることができる。完成した半導体レーザ1は、それぞれ図示しないパッケージに実装される。
【0089】
このように、結晶基板10の上に半導体層100を成長させて半導体レーザ1を作製するようにしたので、半導体層100の貫通転位密度が一様に低減し、その結晶性が改善される。よって、半導体レーザ1の発光特性の劣化を防止することができると同時に、その信頼性の向上や長寿命化を図ることができる。また、この製造方法によれば、半導体レーザ1の生産性や歩留まりを向上させることができる。
【0090】
[第10の実施の形態]
図21は第10の実施の形態に係る半導体レーザ2の断面構成を表している。ここでは、窒化物系III−V族化合物基板90を用い、第9の実施の形態とは異なる構成のレーザを作製する場合について説明する。但し、先の半導体レーザ1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
窒化物系III−V族化合物基板90は、上記第1ないし第8の実施の形態において製造される結晶基板のうち、成長用基板11を除いたもの、もしくは結晶層の少なくとも一部によって構成される。ここでは、前述の方法によって空間部を含んだ面で分割することで結晶基板から得られる上層部を、窒化物系III−V族化合物基板(以下、基板と略記)90とする。従って、基板90は貫通転位が極めて少ないものとなっている。
【0092】
例えば、n型GaNにより形成されている基板90の上に、MOCVD法によりn側コンタクト層101からp側コンタクト層108までを順次成長させ、半導体層20Aを形成する。次に、半導体レーザ1と同様にしてp型クラッド層107の上部およびp側コンタクト層108を細いストライプ形状に加工し、電流狭窄部を形成する。次いで、電流狭窄部の両側に、例えば、n型不純物としてケイ素を添加したn型AlGaN混晶よりなる電流ブロック層120を成長させる。この電流ブロック層120は、周囲との絶縁性が確保されており、電流狭窄層として機能する。次いで、基板90上の全面にp側電極33を形成し、基板90の裏面側にn側電極32を形成する。これにより、半導体レーザ2が得られる。
【0093】
このように、窒化物系III−V族化合物基板90の上に半導体層100Aを成長させて半導体レーザ2を作製するようにしたので、半導体層100Aの貫通転位密度が一様に低減し、その結晶性が改善される。よって、半導体レーザ2の発光特性の劣化を防止することができると同時に、その信頼性の向上や長寿命化を図ることができる。また、この製造方法によれば、半導体レーザ2の生産性や歩留まりを向上させることができる。
【0094】
また、このようにして製造される半導体レーザ2は、基板の裏面側に電極が形成されている通常のAlGaAs系あるいはAlGaInP系半導体レーザと同様の構成を有しているので、これらを製造する際のプロセスと同様のプロセスを適用することができると共に、パッケージについても同じ形状のものを利用することができるという利点を有する。更に、半導体レーザ2は、半導体レーザ1よりもサイズを小さくすることができると共に、より簡易な工程で作製できるために量産性に優れ、生産性の向上を図ることもできる。
【0095】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記各実施の形態では、結晶層13,43,53を成長させる一連の工程を同一装置内で行うようにしたが、各工程毎に別の装置を用いて行うようにしてもよい。例えば、下層部形成の後に、気相成長装置から成長用基板11を取り出し、凹部形成工程を別途行うようにすれば、下層部13aに化学エッチングを施し、積極的に凹部13bを形成することができる。その場合、貫通転位密度測定の手段に用いられる水酸化カリウム(KOH)溶液によるエッチングは、貫通転位部を選択的にエッチングするので好適に用いることができる。また、このときのエッチャントは水溶液に限らず、溶融塩や熱リン酸などを用いることもできる。また更に、RIEを用いることもでき、これら各種のエッチング法を組み合わせて用いてもよい。但し、上述したように、各工程は同一装置内で連続して行う方が工程の簡略化および短縮化を実現することができると共に、不要な不純物の混入を防止することもできるので、好ましい。
【0096】
また、上記各実施の形態では、GaNよりなる結晶層13,53を成長させるようにしたが、3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素とを含む他の結晶層を成長させるようにしてもよいし、それ以外の材料(例えば、GaAs)よりなる結晶層を成長させるようにしてもよい。なお、本発明は、このようなIII−V族化合物以外の材料を用いた場合にも適用可能である。また、第5の実施の形態では、InGaN混晶よりなる中層部53bを成長させ、金属インジウムの転位遮断部53cを形成するようにしたが、このように転位遮断部53cを形成可能な材料であれば同様にして用いることができる。
【0097】
また、上記第2、第3、第6および第7の実施の形態では、エッチングにより凹部13bを形成するようにしたが、第4の実施の形態と同様に中層部を成長させてその表面に凹部を設けるようにしてもよい。
【0098】
また、上記第4ないし第8の実施の形態では、各々の貫通転位D1 に個別に対応した凹部13bを形成する場合について説明したが、第1の実施の形態の変形例と同様にして、凹部の径を調整し、複数の貫通転位D1 に通ずる凹部13d(すなわち、空間部13d1 )を形成するようにしてもよい。
【0099】
また、上記各実施の形態では、成長用基板11をサファイアとして説明したが、これに限らずどのような材質の基板を用いてもよい。例えば、Si,SiC,GaN,GaAsあるいはマグネシウム・アルミニウム複合酸化物(MgAl2 4 ;スピネル)やリチウム・ガリウム複合酸化物(LiGaO2 )等を成長用基板とすることもできる。
【0100】
また、上記各実施の形態では、結晶層13,43,53および半導体層100をMOCVD法により成長させる場合について説明したが、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy;有機金属気相成長)法であっても、MBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシー)法,ハイドライド気相成長法またはハライド気相成長法などの他の気相成長法により形成するようにしてもよい。なお、ハイドライド気相成長法とは、ハイドライド(水素化物)が輸送または反応に寄与する気相成長法のことをいい、ハライド気相成長法とは、ハライド(ハロゲン化物)が輸送または反応に寄与する気相成長法のことをいう。
【0101】
また、上記第9および第10の実施の形態では、半導体装置として半導体レーザ1,2を具体例に挙げて説明したが、本発明は、発光ダイオードあるいは電界効果トランジスタなどの他の半導体装置についても適用することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項21のいずれか1項に記載の結晶膜の製造方法、あるいは請求項24ないし請求項26のいずれか1項に記載の結晶基板の製造方法によれば、結晶膜の成長面に、その形成部位が個々の転位に自発的に対応する凹部を形成し、そののち上層部を成長させることにより結晶膜の内部に空間部を形成するようにしたので、空間部において個々の転位を遮断することができる。従って、簡便な方法でありながら、結晶膜の上層部における転位密度を効率よく低減することができる。特に、下層部成長工程,凹部形成工程および上層部成長工程を同一装置内で行えば、製造工程のより一層の簡略化および短縮化を図ることができると共に、装置間を移送させる際に生じる不純物による汚染および表面の酸化を防止することができる。
【0103】
また、請求項22または請求項23に記載の結晶膜の製造方法、あるいは請求項27に記載の結晶基板の製造方法によれば、結晶層の中層部を成長させる際に、転位に対応する部位にその伝播を遮断可能な物質を自発的に析出させることにより転位遮断部を形成するようにしたので、転位遮断部において転位を遮断することができる。よって、結晶層の上層部における転位密度を簡便に低減することができる。
【0104】
更に、請求項28あるいは請求項29に記載の半導体装置の製造方法によれば、本発明の結晶層の製造方法を用いるようにしたので、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を用いて製造された結晶基板の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図10】図9に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図11】図10に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図12】図11に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図14】図13に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図15】図14に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図16】図15に続く製造工程を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係る結晶基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図20】本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図21】本発明の第10の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1,2…半導体レーザ、10,20,30,40,50,60,70,80…結晶基板、11…成長用基板、12…バッファ層、13,13A〜13F,43,53…結晶層、13a,43a,53a…下層部、43b,53b…中層部、13c,13f,43d,53d…上層部、13b,13d,13e,43c…凹部、13b1 ,13d1 ,13e1 ,43c1 …空間部、13a1 …表面処理領域、21…被膜、53c…転位遮断部、61…マスク部、71…種結晶層、100,100A…半導体層、101…n側コンタクト層、102…n型クラッド層、103…n型ガイド層、104…活性層、105…結晶劣化防止層、106…p型ガイド層、107…p型クラッド層、108…p側コンタクト層、111…絶縁膜、112…n側電極、113…p側電極、90…窒化物系III−V族化合物基板、120…電流ブロック層、D1 ,D2 ,D3 …貫通転位

Claims (19)

  1. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記結晶膜の成長面に、その形成部位が前記下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する凹部をエッチングにより形成する凹部形成工程と、
    前記凹部のうちの少なくとも一部を空間部として前記結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    結晶膜の製造方法。
  2. 前記結晶膜を原料ガスおよびキャリアガスを用いる気相成長法により形成すると共に、前記エッチングをキャリアガスを用いて行う
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  3. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記下層部成長工程と成長条件を変えて中層部を成長させ、この中層部の表面に凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部のうちの少なくとも一部を空間部として前記結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    結晶膜の製造方法。
  4. 前記中層部を前記下層部成長工程とは異なる速度で成長させる
    請求項3記載の結晶膜の製造方法。
  5. 前記中層部を前記下層部成長工程とは異なる温度で成長させる
    請求項3記載の結晶膜の製造方法。
  6. 前記凹部の表面に非晶質様の被膜を形成し、
    前記被膜は、ケイ素(Si),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),マグネシウム(Mg),ジルコニウム(Zr),チタン(Ti)の酸化物あるいはケイ素,マグネシウムの窒化物からなる
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  7. 前記凹部の表面に酸化,窒化,フッ化および炭化のうちの少なくとも1種の表面処理を施す
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  8. 前記下層部の上に選択的にマスク部を形成する
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  9. 前記下層部成長工程において、成長用基板の上に種結晶膜を形成し、この種結晶膜を基礎とした横方向成長により前記下層部を成長させる
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  10. 前記凹部形成工程および前記上層部成長工程を複数回繰り返して行う
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  11. 前記下層部成長工程,前記凹部形成工程および前記上層部成長工程を同一装置内で行う 請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  12. 前記凹部形成工程において、前記個々の転位に対応した複数の凹部を連通させる
    請求項1記載の結晶膜の製造方法。
  13. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記下層部の上に中層部を成長させて、その中層部の表面付近に、前記下層部にて発生した転位に対応する部位に自発的にインジウム(In)を析出させ、前記転位の伝播を遮断する転位遮断部を形成する転位遮断部形成工程と、
    前記中層部の上に上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    結晶膜の製造方法。
  14. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜が設けられた結晶基板の製造方法であって、
    前記結晶膜を成長させる工程が、
    成長用基板の上に前記結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記結晶膜の成長面に、その形成部位が前記下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する凹部をエッチングにより形成する凹部形成工程と、
    前記凹部のうちの少なくとも一部を空間部として前記結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    結晶基板の製造方法。
  15. 前記結晶膜を成長させた後に、成長用基板を除去する工程を含む
    請求項14記載の結晶基板の製造方法。
  16. 前記空間部を層面に平行な面上に複数形成し、前記複数の空間部が形成された面で分割して、前記成長用基板および前記空間部を除去する
    請求項15記載の結晶基板の製造方法。
  17. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜が設けられた結晶基板の製造方法であって、
    前記結晶膜を成長させる工程が、
    成長用基板の上に前記結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記下層部の上に中層部を成長させて、その中層部の表面付近に、前記下層部にて発生した転位に対応する部位に自発的にインジウム(In)を析出させ、前記転位の伝播を遮断する転位遮断部を形成する転位遮断部形成工程と、
    前記中層部の上に上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    結晶基板の製造方法。
  18. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜を設ける工程を含む半導体装置の製造方法であって、
    前記結晶膜を成長させる工程が、
    成長用基板の上に前記結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記結晶膜の成長面に、その形成部位が前記下層部にて発生した個々の転位に自発的に対応する凹部をエッチングにより形成する凹部形成工程と、
    前記凹部のうちの少なくとも一部を空間部として前記結晶膜の上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    半導体装置の製造方法。
  19. 成長用基板の上に3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む化合物からなる結晶膜を設ける工程を含む半導体装置の製造方法であって、
    前記結晶膜を成長させる工程が、
    成長用基板の上に前記結晶膜の下層部を成長させる下層部成長工程と、
    前記下層部の上に中層部を成長させて、その中層部の表面付近に、前記下層部にて発生した転位に対応する部位に自発的にインジウム(In)を析出させ、前記転位の伝播を遮断する転位遮断部を形成する転位遮断部形成工程と、
    前記中層部の上に上層部を成長させる上層部成長工程とを含む
    半導体装置の製造方法。
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