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JP4643926B2 - 交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池 - Google Patents

交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、交互積層構造を有する高分子薄膜を用いた光電素子、及び太陽電池に関する。
一般に基板上に薄膜を形成する方法としては、大別してドライ方式とウエット方式との2種類がある。前者の手法としては、真空蒸着、スパッタリング、分子線ビームエピタキシーなどの方法が代表的な手法として知られている。これらの成膜方法は、膜厚の制御性に優れているが、高温、高真空を必要とするため、有機材料の薄膜化には不適である。また、大面積にわたった成膜が困難であり、製造コストが高騰するといった問題点がある。これに対して、後者の手法としては、溶液キャスト法、スピンコート法、ラングミュアブロジェット法などが代表的な手法として知られている。これらはいずれも常温、常圧で行うプロセスであるが、溶液キャスト法やスピンコート法は膜厚の制御性に欠けるという問題がある。また、スピンコート法では大面積化も困難である。ラングミュアブロジェット法は、膜厚の制御性には優れているが、扱える物質が限定され、薄膜の強度に欠けるといった別な問題点がある。このように、既存の成膜法にはそれぞれ一長一短があり、膜の用途やコストなどを考慮しながら、適宜、成膜方法を使い分けている。
近年、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とを用意し、これらの溶液に基板を交互に浸漬させることにより、基板表面に正の荷電粒子に基づく層と負の荷電粒子に基づく層とを交互に形成してゆく交互吸着法(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly Process)が、1990年代初頭に提案された。交互吸着法は、水槽内に基板を浸漬させるウエット法の範疇に属する成膜方法であり、高温を用いないため、ドライ法に比べて有機材料の薄膜化に適している。また、ドライ法で必要とされる真空設備が不要である。したがって、大面積の膜を作製する場合にも、比較的低コストの設備で足りる。
1992年にDecherらが静電引力を利用した交互吸着法を発明した。この交互吸着法は、複合有機薄膜を作製するために交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)を利用することに着目した方法である。(下記非特許文献1)以来、合成高分子のみならず、生物材料、無機物質、金属粒子など様々な材料が積層薄膜となることが知られるようになった。
その後、色素を担持した高分子電解質の積層体層間での電子移動やエネルギー移動が(下記非特許文献2)、またITO電極上でのフラーレン積層膜の電子移動による酸化還元が報告されている(下記非特許文献3)。また、本発明者らも、電極上に積層したルテニウム錯体又はフェロセン基の酸化還元挙動を報告している。したがって交互吸着法を用いて高分子積層膜の中に光や電子機能基を単独成分として導入した積層体や2層に異なる機能基をもつ積層体を作るということは公知技術である。
このような交互吸着膜の作製方法についての詳細は、例えば、下記特許文献1などに開示されている。
一方、高効率の光電変換膜を有機系で実現するためには、光吸収、光誘起電子移動、電荷分離、電荷輸送の一連のプロセスを行う分子システムを作りあげる必要がある。このため、SAM法(Self Assembled Monolayer)やLB法を用いて、ナノメートルスケールの配置をもつ分子系が提案されてきた。しかしながら、各プロセスを受け持つ多種多様な機能団をその機能にしたがってナノスケールで配置するには、SAM法やLB法は余りにも煩雑な合成あるいは操作を必要とされるため、実用に至る系を実現することは困難であった。
国際公開公報WO00/13806号 Decher.G, Hong.J.D. J.Schmit: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992) Mallouk: J.Am.Chem.Soc., 121, 3435(1999) Han, Langmuir, 16, 6777(2000) P. Bertrand, A. Jonas, A. Laschewsky, R. Legras, Macromol. Rapid Commun., 21, 319-348 (2000) 堀江一之, 谷口彬雄, 光・電子機能有機材料ハンドブック, 朝倉出版(1995)
多層化した有機高分子薄膜が、有用な光電素子として利用促進されるためには、内部ポテンシャル勾配を有する光吸収、電子輸送(電子受容)、正孔輸送(電子供与)の各層を、煩雑な合成あるいは操作を必要とせずに形成できる一連のプロセスの確立が課題である。
また、前記した従来の薄膜形成方法により光電素子を形成すると、前記した各層を構成する色素や電子機能基が凝集、あるいは、結晶化することにより、ポテンシャルに変動が生じ、励起子や正孔、電子等の移動特性が悪化する問題がある。
さらに、近年、発明者らは、光電素子を高効率で光電変換させるための条件として、光電素子を構成する光吸収層の最適膜厚が、1nm〜30nmの極めて薄い範囲内で設定されるべきことを見出した。さらに、発明者らは、この光電変換特性は、励起子の拡散距離に敏感に変動するため、この光吸収層の厚みは精密に制御して形成されるべきであるとの見解に達した。
しかし、前記した従来の真空蒸着法、溶液キャスト法、スピンコート法等の手法では、正孔輸送層及び電子輸送層に挟まれて配置される光吸収層を、前記した範囲内の膜厚で寸法精度良く形成し、かつ、安定して固定する事ができなかった。すなわち、前記した従来の手法で光吸収層を形成すると、加熱や時間経過により光吸収層の各機能基が隣接する各層(正孔輸送層及び電子輸送層)に拡散する問題があるからである。
このように、従来の薄膜形成方法により形成された光電素子は、一定の膜厚が得られないために、光電変換特性のバラツキが大きく、さらに経時的に劣化しやすい耐久性の課題を有していた。
本発明者らは、鋭意研究した結果、ITOや金属薄膜のような電極基板上に、電極を含む3種以上の機能基層を2層以上の多層にわたって交互吸着法を用いて累積し、かつポテンシャル勾配をこれら電極上あるいは薄膜中に形成させ、所望の電子移動、電荷分離とそれに続く電荷輸送を組織的に効率よく行わせることによって、有用な素子が製造されることを見出し本発明に到達した。
第1に、本発明は光電素子の発明であり、その第1の構造は、薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、前記薄膜層は、光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、電子を受容することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した電子を前記第2の電極層に引き渡す電子受容性基を有する電子輸送層と、を少なくとも含み、前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、前記光吸収層は、前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成されることを特徴とする。
本発明の光電素子の第2の構造は、薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、前記薄膜層は、光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、を少なくとも含み、前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、前記光吸収層は、前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成されることを特徴とする。
本発明の光電素子においては、光増感基として吸光係数が高く耐光性に優れたルテニウム錯体系化合物が好ましく例示される。又、電子供与性基としてチオフェン系化合物またはフェロセン系化合物が好ましく例示される。更に、電子受容基としてフラーレン誘導体が好ましく例示される。
に、本発明は太陽電池の発明であり、上記第の発明の光電素子を用いて構成され、太陽光を電力へ変換する機能を有する。
本発明によれば、多層薄膜の各層(正孔輸送層、光吸収層、電子輸送層等)が交互吸着法により形成されれば、これら各層はナノオーダで膜厚が制御される薄膜として構成されることができる。これにより、光電素子を構成する各層の膜厚を光電変換効率が最大となるように精密にコントロールして成膜することが可能となり、光電素子の性能を最大限に引き出すことが可能になる。
さらに、交互吸着法により形成された各層は、隣接する層と相互に干渉することもなく化学的に物理的に安定した状態で固定されることになる。これにより、長期間使用しても、性能の経時的な劣化の少ない品質の安定した光電素子を得ることが可能となる。
先ず、図12を参照して、本発明における光電素子の構成を例示して説明する。図12は、本発明における光電素子のうち少なくとも光吸収層が交互吸着法で形成されている場合の類型を示す概念図である。
なお、本発明にかかる光電素子の説明にあたり、特に、光吸収層が交互吸着法で形成されているものを取り上げているのは、前記したように、光電素子の光電変換特性において光吸収層の膜厚のコントロールが光電素子の性能上、特に重要であることによる。
従って、図面において記載がなくとも、光吸収層を除くいずれか一つの層が交互吸着法により形成されている場合も当然に、本発明において保護されるべき範疇に含まれると解されるべきである。
なお、図12において、符号に添字を付して例えば、符号501、502のように示す場合は、それぞれ図面上で示される個々のものを特定して指すこととし、例えば符号50のように添字を省略して示す場合は、省略された添字を含むもの(符号501、502、503…)を総括的に指すこととする。
なお、図中、螺旋模様が付してある層は、後記する交互吸着法により形成された層を示す。すなわち、交互吸着法で形成された正孔輸送層P(P4,P5,P7,P11,P12,P14)は、電子供与性基(第1電子供与性基)を導入したカチオン高分子とアニオン高分子、または電子供与性基を導入したアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜からなり、当該交互吸着膜が少なくとも1組の前記カチオン高分子層と前記アニオン高分子層からなる多層構造を有するものである。なお、電子供与性基とは、官能基が電子を自らの側から押し出そうとする(供与する)性質を有するものである。
そして、交互吸着法で形成された光吸収層A(A1〜A14)は、光増感基を導入したカチオン高分子とアニオン高分子、または光増感基を導入したアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜からなり、当該交互吸着膜が少なくとも1組の前記カチオン高分子層と前記アニオン高分子層からなる多層構造を有するものである。なお、光増感基とは、光エネルギーを吸収すると活性化する性質を有するものである。
また、交互吸着法で形成された電子輸送層N(N6,N7,N8,N13,N14)は、電子受容性基を導入したカチオン高分子とアニオン高分子、または電子受容性基を導入したアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜からなり、当該交互吸着膜が少なくとも1組の前記カチオン高分子層と前記アニオン高分子層からなる多層構造を有するものである。なお、電子受容性基とは、電子を自らの側に引き寄せようとする(受容する)性質を有するものである。
ここで、光吸収層Aとは、光エネルギーを吸収するものである。
また、正孔輸送層Pとは、電子供与基が電子を供与することにより、光吸収により発生した正孔を隣接する電極(第1の電極層51)に引き渡す機能を有し、第1の電極層51、正孔輸送層P、光吸収層Aの最高被占電子準位が、前記第1の電極層51に近づくに従い向上するように構成されればかかる機能が実行されるものである。
そして、電子輸送層Nとは、光吸収により発生した電子を、電子受容基が受容することにより、隣接する電極(第2の電極層52)に引き渡す機能を有し、光吸収層A、電子輸送層N、第2の電極層52の最低空電子準位が、この第2の電極層52に近づくに従い低下するように構成されればかかる機能が実行されるものである。
また、電子供与層Eは、正孔輸送層Pと光吸収層Aとの界面に配置され、正孔輸送層Pが有する第1電子供与性基よりも電子供与特性の高い、第2電子供与性基により構成されている。
図12(1)(4)(6)(7)に示す光電素子50(501、504、506、507)は、少なくとも光吸収層Aが交互吸着法で形成されたものであって、光吸収層A、正孔輸送層P、電子輸送層Nの3層から構成された薄膜層60(601、604、606、607)を一対の電極(第1の電極層51,第2の電極層52)が挟むようにして構成される。
そして、(4)の光電素子504では、光吸収層A4に加え、さらに正孔輸送層P4も交互吸着法で形成されている。(6)の光電素子506では、光吸収層A6に加え、さらに電子輸送層N6も交互吸着法で形成されている。(7)の光電素子507では、光吸収層A7に加え、さらに正孔輸送層P7及び電子輸送層N7も交互吸着法で形成されている。
次に、図12(2)(3)に示す光電素子50(502、503)は、それぞれ光電素子501に対し電子輸送層N1または正孔輸送層P1を省略した構成となっている。そして、図(5)に示す光電素子505は、(4)に示す光電素子504に対し電子輸送層N4を省略した構成となっている。
このように、光電素子50(502、503、505)は、光吸収層Aを必須の構成要素とすればいずれか存在する正孔輸送層P2,P5または電子輸送層N3の、正孔または電子の輸送作用により、光電素子50の光電変換作用が発揮されうる。
次に、図12(9)〜(14)に示す光電素子50(509、5010、5011、5012、5013、5014)は、それぞれ前記した光電素子50(501、502、504、505、506、507)に対し、正孔輸送層Pと光吸収層Aとの界面に電子供与層Eが設けられたものであって、光吸収層A、正孔輸送層P、電子供与層E、電子輸送層Nの4層から構成された薄膜層60(609、6010、6011、6012、6013、6014)を一対の電極(第の電極層51,第2の電極層52)が挟むようにして構成される。
なお、図中、電子供与層Eは、交互吸着法で形成されて示されているが、形成方法はこれに限定されるものではない。
このように、電子供与層Eが配置されることにより、光吸収層Aにおいて生成した正孔が第の電極層51に輸送されるにあたり、この正孔の分離特性に優れる電子供与層Eと、この正孔の輸送特性に優れる正孔輸送層Pとがそれぞれ機能分担することとなり、高効率の光電素子0(914)が実現される。
ここで、交互吸着法で形成される光吸収層A(A1〜A14)は、例えば、図13で示されるルテニウム錯体(イ)で構成される。また、交互吸着法で形成される正孔輸送層P(P4,P5,P7)は、例えば、図13で示されるフェロセン含有高分子(ロ)、ホ゜リ(3,4-エチレンシ゛オキシチオフェン)/ホ゜リ(4-スチレンスルフォネート)(PEDOT/PSS)(ハ)で構成される。さらに、交互吸着法で形成される電子輸送層N(N6,N7,N8,N13,N14)は、例えば、図13で示されるフラーレン高分子錯体(ヌ)で構成されている。
次に、交互吸着法以外の方法で形成される正孔輸送層P(P1,P2,P6)としては、例えば、第1の電極層51(511,512,516)または光吸収層A(A1,A2,A6)に対して、塗布して形成されるフェロセン含有高分子(ロ)、また、交互吸着法で形成される正孔輸送層P(P4,P5,P7)は、例えば、図13で示されるフェロセン含有高分子(ロ)、ホ゜リ(3,4-エチレンシ゛オキシチオフェン)/ホ゜リ(4-スチレンスルフォネート)(PEDOT/PSS)(ハ)で構成される。(ハ)、ポリヘキシルチオフェン(二)、ホ゜リ(2-メトキシ-5-(2'-エチルヘキシロキシ)-1,4-フェニレンヒ゛ニレン)(poly(2-methoxy-5-(2'-ethylhexyloxy)-1,4-phenylenevinylene)(ホ)、または、液晶系の物質であるシ゛オクチルターチオフェン(dioctylterthiophene)(へ)、または、電解質系であるヨウ素/ヨウ化カリウムのアセトニトリル溶液(ト)、または、光吸収層Aに蒸着して形成されるセキシチオフェン(sexithiophene)(チ)、ペンタセン(リ)等の物質が挙げられる。
次に、交互吸着法以外の方法で形成される電子輸送層N(N1,N3,N4,N9,N11)としては、例えば、第2の電極層52(521,523,524,529,5211)または光吸収層A(A1,A3,A4,A9,A11)に対して、塗布して形成されるフラーレン高分子錯体(ヌ)、フラーレン/ポリスチレンブレンド膜(ル)、フラーレン/ポリビニルナフタレンブレンド膜(ヲ)、または、液晶系の物質であるヘキシロキシフェニルヘキシロキシヒ゛フェニルオキサシ゛アソ゛ール(hexyloxyphenyl-hexyloxybiphenyloxadiazole)(ワ)、または、電解質系の物質であるメチルビオロゲン(カ)、または、光吸収層Aに蒸着して形成されるフラーレン(ヨ)、8-ヒト゛ロキシキノリンアルミニウム塩(8-hydroxyquinoline, aluminium salt)(タ)、または、第2の電極層52を表面装飾して形成されるフラーレンカルボン酸(レ)等の物質が挙げられる。
前記した、(ヌ)(ル)(ヲ)(ヨ)(レ)に示されるフラーレン系の電子受容基は、SnO2などの金属酸化物を第2の電極層52として用いて、その微粒子に吸着させることができる。これらフラーレン系の電子受容基で形成された電子輸送層Nに、交互吸着法により光吸収層Aを形成すると、界面の接触面積が増大することにより、光吸収効率が向上する効果が引き出される。
また、電子輸送層Nが、フラーレン高分子錯体(ヌ)により交互吸着法で形成されれば、電子輸送層Nの膜厚制御と光吸収層Aとの接触界面の面積増大を同時に達成させることが可能になる。
また、図12(9)〜(14)に示すように、電子供与層Eを含む光電素子0(914)においては、電子供与層Eが正孔輸送層Pよりも電子供与性の高い電子供与基で構成されるように、正孔輸送層Pと電子供与層Eの組合せは、例えば図13に示すように、ホ゜リ(3,4-エチレンシ゛オキシチオフェン)/ホ゜リ(4-スチレンスルフォネート)(PEDOT/PSS)(ハ)とフェロセン含有高分子(ロ)、ポリヘキシルチオフェン(二)とフェロセン含有高分子(ロ)、ホ゜リ(2-メトキシ-5-(2'-エチルヘキシロキシ)-1,4-フェニレンヒ゛ニレン)(ホ)とフェロセン含有高分子(ロ)、シ゛オクチルターチオフェン(dioctylterthiophene)(ヘ)とフェロセン含有高分子(ロ)、ヨウ素/ヨウ化カリウムのアセトニトリル溶液(ト)とフェロセン含有高分子(ロ)、セキシチオフェン(sexithiophene)(チ)とフェロセン含有高分子(ロ)、ペンタセン(リ)とフェロセン含有高分子(ロ)の組合せが挙げられる。
そして、第1の電極層51、及び第2の電極層52のいずれか一方は、透明電極で構成され、具体的には、ITO(インジウム・スズ酸化物)、SnO2が挙げられる。そして、他方の対向電極としては、具体的には、Al,Au,Pt等が挙げられる。
以上のべたような、光電素子50を構成する各層のうち少なくとも光吸収層Aが交互吸着法で形成されることとすれば、極めて簡便な方法により、光吸収層Aは膜厚が高精度に制御された薄膜として形成されることが可能になる。なお、光電素子50がその光電変換特性を最大に発揮しうる、光吸収層Aの最適の膜厚は、1nm〜30nmの範囲に含まれることが、省略する実験結果から明らかとなっている。この最適値より光吸収層Aの膜厚が厚いと、励起子(電子及び正孔の対)の移動距離が長くなりこの励起子が失活してしまい、逆に膜厚が薄いと励起子の発生量が少なくなり、いずれも光電変換特性の低下を招く事となる。このように、交互吸着法で形成された光吸収層Aを有する光電素子50は、高い光電変換特性が発揮され、さらにその特性が劣化することなく維持され、さらにこの優れた品質の光電素子50を安価に大量に供給させることが可能である。
図12(5)(7)(8)(12)(14)に示す光電素子50のように、製造の全工程が交互吸着法で行われる場合は、ウエットプロセスの利点である、安価で大量生産できる特性を最大限に発揮させることができ、さらに大面積の光電素子50の生産の対応をとることができる。
そして、光電素子50の生産の工程の一部に、交互吸着法による以外の層形成方法として塗布による形成工程が含まれる場合は、水溶性高分子のみならず有機溶媒に可溶な高分子も適用することができる。
また、光電素子50の生産の工程の一部に、交互吸着法による以外による層形成方法として蒸着による形成工程が含まれる場合は、高密度な機能分子層を作製することが可能になる。
そして、光電素子50の生産の工程の一部に、交互吸着法による以外による層形成方法として電解質による形成工程が含まれる場合は、隣接する電極(第1の電極層51)との界面における良好な接合が実現される。これにより、光電変換の高効率性が実現される。
また、光電素子50の生成の工程の一部に、交互吸着法による以外による層形成方法として液晶系による形成工程が含まれる場合は、隣接する電極(第2の電極層52)との界面における良好な接合が実現されることに加え、不揮発性である性質を活かし、耐久性の優れた光電素子が実現される。
そして、光電素子50の生成の工程の一部に、交互吸着法による以外による層形成方法として電解質による形成工程が含まれる場合は、隣接する電極(第2の電極層52)との界面における良好な接合が実現される。これにより、光電変換の高効率性が実現される。
また、光電素子50の生成の工程の一部に、交互吸着法による以外による層形成方法として電極の表面修飾による形成工程が含まれる場合は、電子輸送特性の高いフラーレンをウエットプロセスにより高濃度で導入させることが可能になる。また、直接吸着では電子注入効率の向上が期待される。
次に、交互吸着法についての説明を行う。交互吸着法では、カチオン高分子水溶液と、アニオン高分子水溶液とを別々の容器に用意し、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有する超薄膜である交互吸着膜を得ることができる。例えば、ITO基板の表面に、初期表面電荷として負の電荷を与える。そして、この表面が負に帯電したITO基板を、カチオン高分子を含む溶液に浸せば、クーロン力により、少なくとも表面電荷が中和されるまでカチオン高分子が表面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることになる。そこで、今度はこの基板をアニオン高分子を含む溶液に浸せば、クーロン力によりアニオン高分子が吸着し、1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を二つの容器に交互に浸すことにより、カチオン高分子からなる超薄膜層とアニオン高分子からなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった複合薄膜を形成することができる。
図1は、一般的な交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。図1において、第1の槽(2)には、カチオン高分子の水溶液が入れられており、第2の槽(3)には、アニオン高分子の水溶液が入れられている。ここで、表面に正または負の初期表面電荷を有する基板(1)、例えばITO基板を用意する。図2(a)は、ITO基板表面をオゾンクリーニング処理したことにより、ITO表面が負に帯電した状態を示す概念図である。この、負に帯電した基板(1)を第1の槽(2)に入れると基板1の表面にカチオン高分子(4)がクーロン力により吸着する。カチオン高分子(4)には電子供与性基(5)が導入されている。この状態を模式的に表したのが図2(b)である。続いて、図2(b)の状態の基板を第2の槽(3)に入れる。すると、カチオン高分子表面にアニオン高分子(6)が
クーロン力により吸着することになる。この状態を模式的に示したのが図2(c)である。このように基板(1)を第1の槽(2)と第2の槽(3)とに交互に浸漬させていけば、カチオン高分子からなる層とアニオン高分子からなる層とが交互に吸着して成膜され、電子供与性基(5)を含む多層構造からなる正孔輸送(電子供与)層が形成される。この層数は吸着操作の回数により、1層以上で自由に設定できる。
また、所定の回数交互吸着を行った後、電子供与性基(5)が導入されたカチオン高分子(4)に代えて、別の種類の電子供与性基または光増感基(7)が導入されたカチオン高分子(4)を用いることにより、図3に示されるように、正孔輸送(電子供与)層の内部、あるいは隣接する光吸収(光増感)層に電子供与性基(5)とは異なる最高被占電子準位を与えることができる。ここで、電子供与性基(5)や別種の電子供与性基または光増感基(7)をITOの準位と比較して適切に選択することにより、これらの電子供与性基(5)や光増感基(7)の基の最高被占電子準位が、ITOに近づくに従い順次向上している構造が形成される。
以上の例ではカチオン高分子に電子供与性基(5)や別種の基(7)が導入されて場合について述べたが、アニオン高分子に導入することも可能である。
なお、この吸着処理に用いる電解質ポリマーの濃度やpH値、吸着時間などの条件によって、ポリマー分子内のセグメント間のクーロン力による反発が大きくなったり小さくなったり変化するため、分子の充填密度は、これらの条件に左右されることになる。したがって、これらの条件の設定次第によって、非常に薄い膜を形成することも、比較的厚い膜を形成することも可能になる。
上述したように、ある程度の厚みに達すると、電気的中和によりクーロン力が作用しなくなるため吸着は飽和点を迎えることになるが、この飽和点に至るまでは、浸漬時間が長ければ長いほど膜厚は厚くなる。
なお、与えた条件により変動するが、一回の基板の浸漬により表面に吸着される吸着層の膜厚は、1nm〜数十nmの範囲でコントロールすることができる。そして、カチオン高分子液とアニオン高分子水溶液とを交互に浸漬することにより、この吸着層の層数を積み増して、全体の膜厚を、前記した一層分の膜厚を単位に1nmから1μmの間で定量的にコントロールすることができる。
図1では、交互吸着法の原理を説明するため、二つの水槽(2)、(3)を用いる例を示したが、実用上は、このような二つの水槽(2)、(3)に基板(1)を交互に浸漬させる処理を行うと、基板を一方の水槽から引き上げて他方の水槽に入れる際に、もとの水槽の液が表面に付着しているため、両水槽の液が次第に混じってきてしまうことになる。そこで、実際には、洗浄槽を用意し、リンス浴が行われるようにするのが好ましい。
本発明において、交互吸着膜を構成するアニオン高分子とカチオン高分子としては、特に制限されない。アニオン高分子としては、カルボン酸を有する高分子とスルホン酸を有する高分子が好ましく挙げられる。具体的には、カルボン酸を有するアニオン高分子としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリ(チオフェン−3−酢酸)等が挙げられる。スルホン酸を有するアニオン高分子としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリメタクリル酸−3−スルホプロピル、ポリアニリンスルホン酸、ポリ(3−チオフェンアルカンスルホン酸)等が挙げられる。
カチオン高分子としては、アンモニウム基を有する高分子とピリジル基を有する高分子が好ましく挙げられる。具体的には、アンモニウム基を有するカチオン高分子として、ポリエチレンイミン、ポリアミルアミン、ポリメタクリル酸コリンなどが挙げられる。ピリジル基を有するカチオン高分子としては、ポリビニルピリジン、ポリビニルエチルピリジン、ポリ(パラ−メチルピリジニウムビニレン)等が挙げられる。
これらアニオン高分子とカチオン高分子は、上記非特許文献4に詳細に開示されている。
本発明において、アニオン高分子及び/又はカチオン高分子に導入される光増感基としては、各種増感色素が好ましく用いられる。具体的には、増感色素としては、吸光係数ならびに光耐性の高いルテニウム錯体系化合物(図13(イ)参照)が最も有望である。ルテニウム錯体には配位子の違いにより各種化合物が存在する。例えば、トリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)錯体、グレッツェルセルに用いられるN3色素やブラックダイなどが挙げられる。この他にポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素が挙げられる。
この他にも、多種多様な色素を用いることができ、上記非特許文献5に詳細に開示されている。具体的には、スピロ化合物、フェロセン、フルオレノン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン(カロテン、マレイン酸誘導体、ピラゾロン、スチルベン)、アゾ化合物(ジチゾン、ホルマザン)、キノン(アクリドン、アントアントロン、インダントレン、ピレンジオン、ビオラントロン)、インジゴ(インジルビン、オキシインジゴ、チオインジゴ)、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン(フルオラン、フルオレセイン、ローダミン)、ポリメチン(シアニン、ピリジニウム、ピリリウム、キノリニウム、ローダニン)、アクリジン、アクリジノン、カルボスチリル、クマリン、ジフェニルアミン、キナクリドン、キノフタロン、フェノキサジン、フタロペリノン、ポルフィン、クロロフィル、フタロシアニン、クラウン、スクアリリウム、チアフルバレン等が挙げられる。
これら色素を光増感基としてアニオン高分子及び/又はカチオン高分子に導入
する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
本発明において、正孔輸送(電子供与)層には、アニオン高分子及び/又はカチオン高分子に正孔輸送材料としてイオン化ポテンシャルの低い電子供与性の化合物を導入したものが好ましく用いられる。この正孔輸送材料としては、図13に挙げられた化合物も含め、アミン系化合物や芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物などが好ましく挙げられる。具体例としては、チオフェン系化合物、フェロセン誘導体、カルバゾール誘導体、ピロール系化合物、アニリン系化合物、テトラチアフルバレン誘導体、ジアミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ヒドラゾン系化合物、等が挙げられる。
上記非特許文献5には、これら正孔輸送材料の詳細と、そのイオン化ポテンシャルが記載されている。
本発明において、電子輸送(電子受容)層には、アニオン高分子及び/又はカチオン高分子に電子輸送材料として電子親和性の高い電子受容性の化合物を導入したものが好ましく用いられる。この電子輸送材料としては、図13に挙げられた化合物も含め、主として電子吸引基を有する芳香族化合物、フラーレン誘導体などが好ましく挙げられる。具体例としては、フラーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、金属錯体等が挙げられる。
上記非特許文献5には、これら電子輸送材料の詳細と、その電子親和力が記載されている。
図4は、本発明の光電素子のエネルギー準位を示す模式図である。以下、図4を用いて本発明の光電素子の動作を説明する。
図4(a) は、第1の電極層(11)、正孔輸送層(12)、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)からなる光電素子(10)である。これら各層の少なくとも1層は、カチオン高分子及び/又はアニオン高分子の少なくとも一部が機能基で修飾されたカチオン高分子及びアニオン高分子が交互吸着法により形成された交互吸着膜からなる。
且つ、これら第1の電極層(11)、正孔輸送層(12)、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)のエネルギー準位がポテンシャル勾配を有している。例えば、第1の電極層(11)、正孔輸送層(12)、光吸収層(13)では、第1の電極層(11)に向かうに従い、最高被占電子準位が向上している。このようなポテンシャルの勾配は正孔輸送層(12)を構成する交互吸着膜の各層に導入されている電子供与性基の化学構造を調整することによりつけることができる。また、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)では、第2の電極層(15)に向かうに従い最低空電子準位が低下している。このようなポテンシャル勾配は電子輸送層(14)を構成する交互吸着膜の各層に導入されている電子受容基の化学構造を調整することで達成できる。
入射光のエネルギーによって、光吸収層(13)において、正孔(ホール)と電子に分離される。正孔(ホール)は、正孔輸送層(12)中を移動し、第1の電極層(11)に達する。電子は、電子輸送層(14)中を移動し、第2の電極層(15)に達する。その結果、第1の電極層(11)と第2の電極層(15)間に電位差が生じる。このような正孔あるいは電子のスムーズな移動は、前述したような、正孔輸送層を介した光吸収層と第1の電極層との最高被占電子準位の勾配、あるいは電子輸送層を介した光吸収層と第2の電極層との最低空電子準位の勾配により達成される。
図4(b) は、第1の電極層(11)、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)からなる光電素子(10)である。これら各層の少なくとも1層は、カチオン高分子及び/又はアニオン高分子の少なくとも一部が機能基が導入されたカチオン高分子及びアニオン高分子が交互吸着法により形成された交互吸着膜からなる。且つ、第1の電極層(11)、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)のエネルギー準位がポテンシャル勾配を有している。例えば、第1の電極層(11)と光吸収層(13)では、第1の電極層(11)の準位に比べ光吸収層(13)の最高被占電子準位が低くなっている。また、光吸収層(13)、電子輸送層(14)、及び第2の電極層(15)では、第2の電極層(15)に向かうに従い最低空電子準位が低下している。
入射光のエネルギーによって、光吸収層(13)において、正孔(ホール)と電子に分離される。正孔(ホール)は、第1の電極層(11)に達する。電子は、電子輸送層(14)中を移動し、第2の電極層(15)に達する。その結果、第1の電極層(11)と第2の電極層(15)間に電位差が生じる。
図4(c) は、第1の電極層(11)、正孔輸送層(12)、光吸収層(13)、及び第2の電極層(15)からなる光電素子(10)である。これら各層の少なくとも1層は、カチオン高分子及び/又はアニオン高分子の少なくとも一部に機能基が導入されたカチオン高分子及びアニオン高分子が交互吸着法により形成された交互吸着膜からなる。且つ、第1の電極層(11)、正孔輸送層(12)、光吸収層(13)、及び第2の電極層(15)のエネルギー準位がポテンシャル勾配を有している。例えば、第2の電極層(15)と光吸収層(13)では、第2の電極層(15)の準位に比べ光吸収層(13)の最低空電子準位が高くなっている。また、光吸収層(13)、正孔輸送層(12)、及び第1の電極層(11)では、第1の電極層(11)に向かうに従い最高被占電子準位が向上している。
入射光のエネルギーによって、光吸収層(13)において、正孔(ホール)と電子に分離される。正孔(ホール)は、正孔輸送層(12)中を移動し、第1の電極層(11)に達する。電子は、第2の電極層(15)に達する。その結果、第1の電極層(11)と第2の電極層(15)間に電位が生じる。
次に、太陽電池に代表される光電変換デバイスの一例を示す。
図5は、本発明による光電変換デバイスの一例を示す断面模式図である。以下、該光電変換デバイスを正孔輸送層(電子供与層)から積層する例を説明するが、順番を逆に電子輸送層(電子受容層)から積層する構造も可能である。ガラス基板(21)上に第1の電極層である透明導電膜(22)が形成されている。この導電膜はITOと呼ばれるIn4Sn35に代表される導電膜が一般的に用いられる。その他インジウムを含有した亜鉛酸化物等を用いることができる。透明導電膜の上面には電子供与体からなる電子供与層(23)が形成されている。電子供与体としては、例えばコリンメタクリル酸クロライド(Choline methacrylate chloride)とビニルフェロセン(vinylferrocene)の共重合体を用いることができる。透明電極上面に先ず、この共重合体とポリアクリル酸(Poly(acrylic acid))とを繰り返し積層した薄膜層を形成し、電子供与層(23)とする。この電子供与層は単層の電子供与体薄膜を含む2層膜でも良いし、共重合体とポリアクリル酸(Poly(acrylic acid))とを繰り返し積層した多層構造でも良い。この場合、透明電極膜(22)と光吸収層(24)が直接接触した部分が多数存在すると光電変換効率が低下すると考えられるため、電子供与体層としては透明導電膜の露出部分が無視できる程度まで多層化することが望ましい。
光吸収層(24)は図6に示したように、アニオン高分子(31)とカチオン高分子(32)の交互吸着により多層化することができる。この場合、多層化することで光が通過する見かけの表面積あたりの光増感基量を増加させることができ、光の吸収量を増大させることができる。光吸収量の増大は光電変換効率の向上につなげることが可能である。吸着条件や吸着層数を変化させることで全体の膜厚は1nmから1μmの範囲で作製される。図6は光吸収層(24)を多層化した例を示したものである。光吸収層としては様々な色素を側鎖にもつポリカチオンとポリアニオンの交互積層膜を用いることができる。この部分は、そのままで、例えばトリス−(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(tris(2,2'-bipyridyl)ruthenium)錯体誘導体を側鎖に持つポリカチオン層(32)とポリアニオン
層(31)であるポリアクリル酸(Poly(acrylic acid))を交互に積層した多層膜を用いることができる。
図7は、透明導電膜(22)下にグリッド配線(29)を形成した構造の光電変換デバイスを示す模式図である。図7(a)は断面図、図7(b)は上面図を示している。透明導電膜(22)は、一般的に電気抵抗が高い材料であるため、電子供与層への電子の受け渡しの抵抗成分を上昇させ、光電変換効率を低下させる場合がある。グリッド配線(29)を透明導電膜の下に形成することで透明導電膜上を移動する電子の移動距離を短縮させることが可能となり、電気抵抗を低下させ、光電変換効率を高める効果を有する。グリッド配線には、銅、銀、はんだ、アルミニウム、金等の金属配線を適用可能である。
なお、グリッド配線は透明導電膜(22)の上に形成しても良い。その場合、グリッド配線と電子供与層(23)が直接接触することを防止する目的で、グリッド配線の表面は絶縁層等で覆うと良い。
電子受容層(25)としては、フラーレン等の電子受容能の高い材料を用いると良い。電子受容層も電子供与層と同様単層膜でも良いし多層膜を用いることもできる。
第2の電極層である電極(26)はアルミニウムやマグネシウム、金、白金等を用いることができる。一般的にこれら電極用金属膜は蒸着法等により形成する。
光電変換反応により発生した電気は、導線(28)により外部に取り出す。導線(28)は銀ペーストやはんだ等の接点用材料を用いて端子接点(27)のような構造で透明導電膜(22)及び電極(26)に接続されている。
以上、本発明を光電素子、特に太陽電池を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の交互積層構造を有する高分子薄膜は、その光電変換機能を利用して、光薄膜トランジスタ、光メモリ等の光−電子回路用素子、光センサ、発光ダイード、複写機用ドラム膜等への応用も可能である。
以下、本発明の高分子薄膜の製造例を説明する。
[実施例1]
下記化学式1のような電子供与化合物であるフェロセンを有するカチオン高分子(Fc)、光増感化合物であるカルバゾールを有するカチオン高分子(Cz)、ならびにアニオン高分子(PAA)の三種類の高分子電解質を用いた。
0.01MのFc水溶液ならびにPAA水溶液に、親水処理を施したITO基板を交互に浸すことにより、Fc/PAA層を三層積層した。続いて、0.01MのCz水溶液ならびにPAA水溶液に親水処理を施したITO基板を交互に浸すことにより、Cz/PAA層を三層積層した。作製した交互吸着膜を作用電極に、Ptを対極に、Ag/AgClを参照電極に用いて三極素子を構成した。電解質に、電子アクセプターとしてメチルビオロゲン(MV2+)を所定の濃度加えた。
作製した光電機能高分子薄膜の各機能層の電位を図8に示す。この交互積層膜では、ITO、Fc、Cz、Cz*、MV2+の各層に対して順次電位勾配を持たせることにより、Czの光励起にともなうITOからMV2+へのカソード電流が発生するように膜構造を設計している。
作製した三極素子に対して、光電流測定を実施した。光源には、500Wのキセノンランプを用い、各種光学フィルターを用いて増感化合物の吸収帯である300−400nmに分光して照射した。分光後の光強度は、およそ10mW・cm-2であった。測定結果を図9に示す。下方の線はITOのみの結果であり、光電流はほとんど観測されなかった。これに対して、光電機能高分子薄膜では、上方の線に示す光電流の発生が観測された。縦軸のマイナス符号はカソード電流を表わしており、上述した電位勾配にしたがって光電流が発生していることを示している。このように、交互積層構造を有する光電機能高分子薄膜を構築することにより、設計した電位勾配にしたがって光電流を得ることができることを実証している。
[実施例2]
また、上記カルバゾールカチオン高分子(Cz)に換えて、下記化学式2に示すルテニウム含有カチオン高分子(Ru)を用いても同様の光電流が発生した。
[実施例3]
上記の他にも、下記化学式3に示す光電機能高分子電解質を用いて交互積層光
電機能薄膜を構築し、光電流測定の実施を行った。
更に、以下の構造を構築し、同様の光電変換効果を得た。
ITO/PEDOT/Ru
ITO/PEDOT/Ru/C60
ITO/PPV/Ru
ITO/PPV/Ru/C60
図10は、ITO/PEDOT/Ru/C60/Alの層構造からなる光電素子の光電流測定の結果である。光源として500Wキセノンランプを用い、モノクロメータにより460 nmの単色光とした。分光後の光強度は、およそ10 mW cm-2であった。
[実施例4]
更に、以下の構造を製造した。
増感色素には光吸収係数ならびに光耐性の高いルテニウム錯体を用い、光増感効率を最大とするように適切な厚さを設定した。増感分子からの電荷分離を効率よく実現するとともに電荷再結合を抑制するため、増感層の両側に電子供与層と電子受容層を配置した。光電流を得るには、電子供与層ならびに電子受容層はそれぞれ正孔輸送層ならびに電子輸送層としても機能する必要がある。これらの層は膜厚の増大とともに電荷輸送効率が低下するのでできるだけ薄くする必要があるが、素子を構成するには少なくとも一方が10nmから1μmの厚さを有する必要がある。電子輸送に対する移動度は正孔輸送に比べ低いので、電子輸送層の厚さをできるだけ薄くし、正孔輸送層を厚膜に設計した。したがって、正孔輸送に対して電荷再結合の確率が増大するため、再結合を抑制するため正孔輸送層は
二種以上の材料を用いることが望ましい。以上の用件を満たす構造として図11のような系を構築し、同様の光電変換効果を得た。
[実施例5]
次に、3成分吸着系である図12(7)に示す光電素子507の形成方法について示す。なお、ここで正孔輸送層P7は、フェロセン含有高分子(ロ)、光吸収層A7は、ルテニウム錯体含有高分子(イ)、電子輸送層N7はフラーレン高分子錯体(ヌ)から構成されることとした。
(透明電極の親水処理)
ITO基板等の透明電極(第1電極層517)は、トルエン、アセトン、エタノール溶液を用いて各20分間超音波処理を行った後、アルカリ性のピラニア溶液(蒸留水:30%過酸化水素水:25%濃アンモニア水 = 5 : 1 :1)中80℃で15分間煮沸することにより、基板表面を負に帯電させた。ピラニア溶液の代わりに、オゾンクリーナを用いて1時間UV−オゾン処理を行うことによっても基板表面を親水性とすることができる。
(光増感ポリカチオン(Ru)溶液の調製)
メタクリル酸コリン(choline methacrylate)とメタクリル酸ビピリジル(4-(methacryloylmethyl)-4'- methyl-2,2'-bipyridine)をエタノール中にてラジカル共重合し、共重合体を得た。良溶媒としてエタノール貧溶媒としてアセトンを用いて再沈殿精製後、ビス2,2'-ビピリジルジクロロルテニウム(II)錯体との配位子交換反応によりルテニウム錯体を側鎖に有するポリカチオンを合成した。錯化後に、良溶媒としてエタノール貧溶媒として塩化メチレンを用いた再沈殿により精製した。この高分子を超純水に溶解し、10 mM水溶液(光増感ポリカチオン)とした。
(電子供与性ポリカチオン(Fc)溶液の調製)
メタクリル酸コリンとビニルフェロセンをエタノール中にてラジカル共重合し、フェロセンを側鎖に有するポリカチオンを得た。良溶媒にてエタノール貧溶媒としてアセトンを用いて再沈殿精製した後、アセトニトリルによる洗浄を行った。この高分子を超純水に溶解し、10 mM水溶液(電子供与性ポリカチオン)とした。
(電子受容性ポリカチオン(C60)溶液の調製)
4 mgのC60C(COOH)2をポリエチレンイミンメタノール溶液(2.326 mM)21 mLに加え攪拌した。エバポレータを用いてこのメタノール溶液を5 mLに濃縮し、超純水45 mLを加えた。超音波処理を6分行い、分散性を高めた。
(ポリアニオン(PAA)溶液の調製)
水酸化ナトリウム水溶液を適当量加えてpH = 6.5に調製した35wt%のポリアクリル酸水溶液(ポリアニオン)を調製した。
(すすぎ溶液)
イオン交換水を蒸留し、超純水作製装置(Barnstead II)を通して、超純水を作製した。
(交互吸着膜の作製)
交互吸着膜の作製は、基板表面を親水処理した後、1)ポリカチオン溶液(吸着)、2)乾燥、3)超純水(すすぎ)、4)乾燥、5)ポリアニオン溶液(吸着)、6)乾燥、7)超純水(すすぎ)、8)乾燥、からなる一連の吸着操作を所定の回数繰り返す。
具体的には、各高分子電解質水溶液および超純水30 mLをそれぞれ50 ( 50 mmの秤量瓶に加え、ターンテーブル上に所定の順序に配置した。吸着条件は、浸漬時間5分、すすぎ時間3分、乾燥時間2分、温度21−24℃、湿度50−60%に設定した。基板の引き上げ、引き下げはステッピングモータを用いて毎秒0.6 mmの速度にて行った。
まず、親水処理したITO基板を、Fc溶液に5分間浸漬し、引き上げ後2分間乾燥し、超純水に3分間浸漬し、引き上げ後2分間乾燥した。続いて、PAA溶液に5分間浸漬し、引き上げ後2分間乾燥し、超純水に3分間浸漬し、引き上げ後2分間乾燥した。これによりITO基板上に、FcとPAAの一対膜が形成される。この操作をn回繰り返すことにより、n対のFc/PAA膜が作製される。以降、この膜をFc(電子供与)膜とよぶ。
次に、Fc溶液をRu溶液に換えて同様の操作をm回繰り返すことにより、m対のRu/PAA膜が作製できる。続いて、Fc溶液をC60溶液に換えて同様の操作をl回繰り返すことにより、l対のC60/PAA膜が作製できる。これにより、ITO/Fc(n対膜)/Ru(m対膜)/C60(l対膜)が作製できる。ここでは、n=4,m=4,l=4のITO/Fc/Ru/C60の交互吸着膜を作製した。
(対向電極(第2電極層527)の作製)
真空蒸着装置を用いて、上記交互吸着膜に対向電極(第2電極層527)としてアルミニウムを蒸着した。2 nm/sの蒸着速度にて50秒間蒸着を行い、厚さ100 nmのアルミニウム電極を得た。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
[実施例6]
次に、図12(4)に示す光電素子504であって、塗布による電子輸送層Nの形成工程を含む場合について示す。なお、ここで正孔輸送層P4はフェロセン(ロ)、光吸収層A4はルテニウム錯体(イ)として上述と同様にして、ITO/Fc/Ru膜を交互吸着法により作製した。そして、この作製した基板上に電子輸送層Nとして、0.2wt%ポリスチレンおよび0.6wt%C60を溶解したオルトジクロロベンゼン溶液(ル)をスピンキャストした。
その後、デシケータ中にて真空乾燥した後、対向電極(第2の電極層524)としてアルミニウムを上記の作製法により蒸着し光電素子504を得た。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
[実施例7]
次に、図12(4)に示す光電素子504であって、電解質系による電子輸送層Nの形成工程を含む場合について示す。
上述と同様にして作製した、ITO/Fc/Ru膜の光吸収層A(Ru膜)の表面に、白金ネットの対向電極を隣接して配置する。そして、支持電解質として塩化カリウムを用い、アクセプター分子としてメチルビオロゲンを含む水溶液を用いた。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
[実施例8]
次に、図12(4)に示す光電素子504であって、蒸着系による電子輸送層Nの形成工程を含む場合について示す。
上述と同様にして作製した、ITO/Fc/Ru膜の光吸収層A(Ru膜)の表面にC60を真空蒸着法によりコートし、これを電子輸送層Nとする。さらに、この電子輸送層Nの上に第2の電極層52としてアルミニウムを上記の作製法により蒸着して光電素子504を得た。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
[実施例9]
次に、図12(4)に示す光電素子504であって、液晶系による電子輸送層Nの形成工程を含む場合について示す。
上述と同様にして作製した、ITO/Fc/Ru膜の光吸収層A(Ru膜)の表面に導電性液晶ヘキシロキシフェニルヘキシロキシヒ゛フェニルオキサシ゛アソ゛ール(hexyloxyphenyl-hexyloxybiphenyloxadiazole)を配置し、これを電子輸送層Nとする。さらに、この電子輸送層Nの上に第2の電極層52として白金板を配置して光電素子504を得た。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
[実施例10]
(酸化スズ透明電極の作製)
透明電極としてSnO2(酸化スズ)を用いる場合について記す。ここでは、図12(4)に示す光電素子504の類型に属し、2成分吸着系+1成分表面装飾系である形成方法について示す。なお、ここで電子輸送層N4はフラーレンカルボン酸(C60C(COOH)2)(レ)から構成されることとした。
まず、前記した方法により洗浄したITO電極上に、SnO2微粒子(〜15 nm)15wt%コロイド懸濁水溶液(安定剤としてカリウムイオンを含有)をキャストし、ホットプレート上にて乾操する。乾操した基板を、電気炉を用いて400℃にて1時間アニールし、SnO2透明電極を得る。
(フラーレンカルボン酸 C60C(COOH)2の固定化)
次に、前記した、ITO電極上へのシランカップリング反応と同様の方法により、SnO2透明電極上に、3-アミノフ゜ロヒ゜ルトリエトキシシラン(3-aminopropyltriethoxysilane)を固定化する。基板はトルエン、アセトン溶液を用いて洗浄した後、それぞれ1 mMのC60C(COOH)2およびヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール-1-オール(1H-benzotriazol-1-o1)を含むブロモベンゼン(bromobenzene)溶液に浸漬し、0℃に冷却した後シ゛シクロヘキシルカルホ゛シ゛イミト゛(dicyclohexylcarbodiimide)を加え、室温で撹拌しながら固定化を行う。C60C(COOH)2の固定化量は、浸漬時間を変えることにより任意に制御することが可能である。また、C60C(COOH)2の固定化はシランカップリング剤を用いることなく直接SnO2透明電極基板に対して行うことも可能である。
このように、SnO2透明電極(第2の電極層52)の表面にフラーレンカルボン酸(レ)が装飾されてなる電子輸送層N4の表面に、記載は省略するが、交互吸着法によりSnO2/C60/Ru/Fc膜を順次作製した後、対向電極(第1の電極層514)として金を蒸着して光電素子504を得た。光電流測定の結果、同様の光電変換効果を得た。
なお、記載は省略するが、前記したFc層(フェロセン含有高分子(ロ))に代え、正孔輸送能の高いPEDOT/PSS層(PEDOT/PSS(ハ))をスピンコートあるいは交互吸着により付加して正孔輸送層Pとする構造も可能である。また、図12(14)の類型に示すように、Fc層(電子供与層E)と、正極となるITOあるいは金、白金などの電極(第1の電極層51)との間にPEDOT/PSS層を挿入して正孔輸送効率を向上させることも可能である。
交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。 交互吸着膜の製造工程を示す概念図である。 交互吸着膜の他の構造を示す概念図である。 本発明の光電素子のエネルギー準位を示す模式図である。 本発明による光電変換デバイスの一例を示す断面模式図である。 本発明による光電変換デバイスの他の例を示す断面模式図である。 透明導電膜22下にグリッド配線29を形成した構造の光電変換デバイスの構造を示す模式図である。図7(a)は断面図、図7(b)は上面図を示している。 光電機能高分子薄膜の各機能層の電位を示す。 光電流測定結果。 光電流測定結果。 本発明による光電変換デバイスの他の例を示す断面模式図である。 本発明における光電素子のうち、少なくとも光吸収層が交互吸着法で形成されている場合の類型を示す概念図である。 本発明における光電素子を構成する各層の電子機能基を例示的に示す図である。
符号の説明
1 基板
2 第1の水槽
3 第2の水槽
4 カチオン高分子
5 電子供与性基
6 アニオン高分子
7 光増感基
10 光電素子
11 第1の電極層
12 正孔輸送層
13 光吸収層
14 電子輸送層
15 第2の電極層
21 ガラス基板
22 透明導電膜
23 電子供与層
24 光吸収層
25 電子受容層
26 電極
27 端子接点
28 導線
29 グリッド線
31 アニオン高分子
32 カチオン高分子
50(501、502、…) 光電素子
51(511、512、…) 第1電極層
52(521、522、…) 第2電極層
60(601、602、…) 薄膜層
P(P1、P2、…) 正孔輸送層
E(E1、E2、…) 電子供与層
A(A1、A2、…) 光吸収層
N(N1、N2、…) 電子輸送層

Claims (10)

  1. 薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、
    前記薄膜層は、
    光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、
    子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、
    電子を受容することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した電子を前記第2の電極層に引き渡す電子受容性基を有する電子輸送層と、を少なくとも含み、
    前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、
    前記光吸収層は、
    前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
    ことを特徴とする光電素子。
  2. 薄膜層と、この薄膜層の両面に配置した第1の電極層および第2の電極層とを有する光電素子であって、
    前記薄膜層は、
    光エネルギを光吸収して活性化し、電子と正孔を発生する光増感基を有する光吸収層と、
    子を供与すること、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記第1の電極層に引き渡す第1電子供与性基を有する正孔輸送層と、を少なくとも含み、
    前記正孔輸送層と前記光吸収層との界面には、電子を供与することで、前記光吸収により前記光吸収層にて発生した正孔を前記正孔輸送層に引き渡す、前記第1電子供与性基よりも電子供与性の高い第2電子供与性基を有する電子供与層が設けられ、
    前記光吸収層は、
    前記光増感基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記光増感基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
    ことを特徴とする光電素子。
  3. 請求項1に記載の光電素子において、
    前記電子輸送層は、
    前記電子受容性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記電子受容性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
    ことを特徴とする光電素子。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電素子において、
    前記正孔輸送層は、
    前記第1電子供与性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記第1電子供与性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
    ことを特徴とする光電素子。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電素子において、
    前記電子供与層は、
    前記第2電子供与性基を導入されたカチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜、または、前記第2電子供与性基を導入されたアニオン高分子とカチオン高分子との交互吸着膜で形成される
    ことを特徴とする光電素子。
  6. 請求項1または請求項3に記載の光電素子において、
    前記電子受容性基がフラーレン誘導体からなることを特徴とする光電素子。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光電素子において、
    前記光増感基がルテニウム錯体系化合物からなることを特徴とする光電素子。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光電素子において、
    前記第1電子供与性基がチオフェン系化合物からなり、前記第2電子供与性基がフェロセン系化合物からなることを特徴とする光電素子。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光電素子において、
    前記光吸収層は、膜厚が1nmから30nmであることを特徴とする光電素子。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の光電素子を用い、光エネルギを電気エネルギに変換し、電力として外部に取り出す機能を有することを特徴とする太陽電池。
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