JP4643091B2 - Hexacoordinate ruthenium or osmium metal carbene metathesis catalyst - Google Patents
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Description
【0001】
【従来の技術】
メタセシス触媒は、例えば米国特許第5312940号、同第5342909号、同第5728917号、同第5750815号、同第5710298号および同第5831108号ならびにPCT公開公報第WO97/20865号および同第WO97/29135号にすでに記載されている(これらはいずれも、本明細書に援用される)。これらの刊行物は、いくつかの有利な特性を有する明瞭な単一の成分であるルテニウム触媒またはオスミウム触媒について記載している。例えばこれらの触媒は、各種官能基に対して耐容性であり、従来知られているメタセシス触媒より活性が高い。最近、米国特許出願第09/539840号、同第09/576370号およびPCT公開公報第WO99/51344号(これらの各内容は本明細書に援用される)に記載のようなイミダゾリジンまたはトリアゾリジン配位子などのN−複素環カルベン(NHC)配位子を金属−カルベン錯体に組み込むことで、これら触媒のすでに有利な特性を改善することが認められている。予想外かつ驚くべき結果として、すでに確立されている5配位触媒構造から6配位触媒構造に構造を変えることで、触媒の特性が大幅に構造することが認められている。例えば、本発明のこれらの6配位触媒によって、閉環メタセシス(「RCM」)反応だけでなく、クロスメタセシス(「CM」)反応、非環式オレフィン類の反応および開環メタセシス重合(「ROMP」)反応などの他のメタセシス反応においても、活性および選択性が高くなった。
【0002】
【課題を解決するための手段】
本発明は、新規な6配位メタセシス触媒ならびにその調製方法およびその使用方法に関する。本発明の触媒は、下記式のものである。
【化15】
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり;
XおよびX1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子であり;
L、L1 ′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり;1つ以上のL、L1 ′およびL2がN−複素環カルベン配位子であり;かつ、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、RまたはR1置換基はそれぞれ、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく、それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子も、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
好ましい実施態様において、L2およびL1 ′はピリジンであり、LはホスフィンまたはN−複素環カルベン配位子である。N−複素環カルベン配位子の例としては以下のものなどがある。
【化16】
式中、
R、R1、R6、R7、R8、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して、水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、R、R1、R6、R7、R8、R9、R10およびR11の各置換基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールからなる1つ以上の部分で置換されていてもよく、それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。上記6配位ルテニウムまたはオスミウム触媒にNHC配位子を組み込むことで、これら錯体の特性が大幅に向上することが認められている。このNHCに基づく6配位錯体は極めて活性が高いことから、必要な触媒量は大幅に低減される。
【発明の実施の形態】
本発明は概して、オレフィンメタセシス反応で使用されるルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒に関する。より詳細には本発明は、6配位ルテニウムおよびオスミウムカルベン触媒ならびにその調製方法および使用方法に関するものである。本明細書において「触媒」および「錯体」という用語は互換的に使用される。
【0003】
未修飾のルテニウムおよびオスミウムカルベン錯体は、米国特許第5312940号、同第5342909号、同第5728917号、同第5750815号および同第5710298号に記載されており、それらはいずれも本明細書に援用される。これらの特許に開示されているルテニウムおよびオスミウムカルベン錯体はいずれも、形の上では+2酸化状態の金属中心を有し、電子数が16であり、5配位である。これらの触媒は下記一般式のものである。
【化17】
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり、
XおよびX1はそれぞれ独立してアニオン配位子であり、
LおよびL1はそれぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり、
RおよびR1同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、RまたはR1の各置換基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく、それらの各部分はまた、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらの限定されるものではない。
【0004】
本発明の触媒は、それがRuまたはOs錯体であるという点で同様である。しかしながら、これらの錯体では、金属は形式上+2酸化状態であり、電子数が18であって、6配位である。その触媒は以下の一般式を有する。
【化18】
式中、
Mはルテニウムまたはオスミウムであり、
XおよびX1同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子であり、
L、L1 ′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり、
RおよびR1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、RまたはR1の各置換基はC1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく;その各部分はさらにハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子も、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0005】
6配位錯体は、公知の5配位錯体に勝るいくつかの長所を提供する。例えば6配位錯体は、配位的に飽和していることから、固体状態での空気安定性が相対的に高い。ピリジン類などの別の配位子は反応活性であることから、これらの錯体はホスフィン系の5配位化学種より早く開始する。開始が遅いということは、実際にはごく少量の錯体しか触媒的に活性ではないため、加えた錯体の多くが浪費されることを意味している。相対的に早い開始剤を用いると、触媒投入が低減される。さらに、理論に拘束されるものではないが、ホスフィン類に関して反応活性な配位子の再結合による6配位錯体の成長(propogation)が遅くなるということが多分散性につながるものと考えられる。さらに、配位的に飽和した化学種は5配位体より良好に結晶化する。さらに、6配位錯体における配位子(例:ピリジンおよび塩素)の反応活性により、その錯体では従来はでは得られなかった錯体を得ることができ、種々の経路によって得ることができる比較的純度の高いある種の錯体が得られる。例えば、ホスフィン配位子としてトリフェニルホスフィンを有する5配位ベンジリデンは、6配位錯体を用いて、より高収率およびより高純度で得ることができる。ホスフィン配位子としてP(p−CF3C6H4)3を有する5配位ベンジリデンは、既存の経路では得られない。理論に拘束されるものではないが、それは、より弱い供与体配位子でより強い供与体配位子を置換する必要があるためであると考えられる。6配位錯体のアニオン配位子の置換は、相当する5配位化学種(例:ホスフィン結合したもの)よりかなり速度が大きい。理論に拘束されるものではないが、これは、アニオン配位子置換に先だって、配位子解離が必要であるために生じるものと考えられる。そこで、中性電子供与体配位子の解離が迅速である錯体は、より急速な置換を受ける。
【0006】
本発明の触媒は、開環メタセシス重合(ROMP)、閉環メタセシス(RCM)、ADMETおよびクロスメタセシスにおいても有用である。これらメタセシス反応を介するオレフィンの合成および重合については、例えば、2001年6月25日出願の「官能化および非官能化オレフィンの合成(Synthesisof Functionalized and Unfunctionalized Olefins)」と題された米国特許出願09/891144号および米国特許出願09/491800号(これら各出願の内容は本明細書に援用される)に記載されている。本発明の触媒の好ましい実施態様は、以下の一般式に示したように、金属中心に結合した1つ以上のNHC配位子を有する。
【化19】
本発明の触媒の好ましい実施態様では、R置換基は水素であり;R1置換基は、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニルおよびアリールのうちから選択される。さらに好ましい実施態様では、R1置換基は、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、フェニルおよび官能基のうちから選択される1つ以上の部分で任意に置換されたフェニルまたはビニルであり得る。特に好ましい実施態様においてR1は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、−NO2、−NMe2、メチル、メトキシおよびフェニルのうちから選択される1つ以上の部分で置換されたフェニルまたはビニルである。最も好ましい実施態様においてR1置換基は、フェニルまたは−C=C(CH3)2である。R1がビニルの場合、その触媒は下記一般式のものである。
【化20】
式中、M、L、L1、L1 ′、L2、X、X1およびRは上記で定義した通りである。R′およびR″は好ましくは独立して水素またはフェニルであるが、RまたはR1について挙げた基のいずれかから選択することができる。
【0007】
本発明の触媒の好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞれ独立して、水素、ハライドまたはC1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシド、アリールオキシド、C3〜C20アルキルジケトネート、アリールジケトネート、C1〜C20カルボキシレート、アリールスルホネート、C1〜C20アルキルスルホネート、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルまたはC1〜C20アルキルスルフィニルの基のうちの1つである。任意にXおよびX1は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。より好ましい実施態様において、XおよびX1はハライド、ベンゾエート、C1〜C5カルボキシレート、C1〜C5アルキル、フェノキシ、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、アリールおよびC1〜C5アルキルスルホネートである。さらに好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞれ、ハライド、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレートまたはトリフルオロメタンスルホネートである。最も好ましい実施態様において、XおよびX1はそれぞれ塩素である。
【0008】
L、L1、L1 ′およびL2は、適切な単座配位または多座配位の中性電子供与体配位子であることができる。多座配位の中性電子供与体配位子には例えば、2座配位、3座配位および4座配位の中性電子供与体配位子などがある。本発明の触媒の好ましい実施態様において、L、L1、L1 ′およびL2はそれぞれ独立して、ホスフィン、スルホン化ホスフィン(sulfonated phosphine)、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジンおよびチオエーテルまたはそれらのいずれかの誘導体のうちから選択される。L、L1、L1 ′およびL2の少なくとも一つは、N−複素環カルベン配位子であってもよい。好ましい実施態様には、L1 ′およびL2がいずれも同一または異なったNHC配位子である錯体などがある。
【0009】
好ましい実施態様において、L、L1、L1 ′およびL2のうちの少なくとも一つが式PR3R4R5のホスフィンであり、式中においてR3、R4およびR5はそれぞれ独立して、アリールまたはC1〜C10アルキル、特には1級アルキル、2級アルキルまたはシクロアルキルである。さらに好ましい実施態様では、L、L1、L1 ′およびL2のうちの少なくとも一つがそれぞれ、−P(シクロヘキシル)3、−P(シクロペンチル)3、−P(イソプロピル)3および−P(フェニル)3のうちから選択される。さらに好ましくは、L、L1、L1 ′およびL2のうちの少なくとも一つがNHC配位子である。好ましい実施態様には、LがNHCであり;L1がP(シクロヘキシル)3または−P(シクロペンチル)3であり;L1 ′およびL2がそれぞれ、任意に芳香族であり得る複素環配位子であるか、または共に2座配位子を形成しているものなどがある。好ましくはL1 ′およびL2はそれぞれ独立して、ピリジンまたはピリジン誘導体である。
【0010】
NHC配位子の例としては、下記一般式の配位子などがある。
【化21】
式中、R、R1、R′、R”、R6、R7、R8、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して、水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。任意に、R、R1、R6、R7、R8、R9、R10およびR11の各置換基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの触媒配位子もさらに、1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
好ましい実施態様において、R6、R7、R8およびR9は独立して、水素、フェニルのうちから選択されるか、または一体となって、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシ、アリールならびに水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンのうちから選択される官能基のうちから選択される1つ以上の部分によって任意に置換されていてもよいシクロアルキルまたはアリールを形成しており;R10およびR11はそれぞれ独立して、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、アリールならびに水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンのうちから選択される官能基によって任意に置換されていてもよいC1〜C10アルキルまたはアリールである。
【0012】
より好ましい実施態様において、R6およびR7はいずれも水素またはフェニルであるか;またはR6およびR7が一体となって、シクロアルキル基を形成しており;R8およびR9は水素であり;R10およびR11はそれぞれ置換または未置換アリールである。理論に拘束されるものではないが、相対的に嵩高いR10およびR11基は、熱安定性などの特性が改善された触媒を生じると考えられる。特に好ましい実施態様においては、R10およびR11は同一であり、それぞれ独立して下記式のものである。
【化22】
式中、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシ、アリールまたは水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンから選択される官能基である。特に好ましい実施態様において、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、水酸基およびハロゲンのうちから選択される。最も好ましい実施態様では、R12、R13およびR14は同一であって、それぞれメチルである。
【0013】
これらの錯体で、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素であるか、またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基である。イミダゾリジン配位子は、イミジゾール−2−イリデン配位子とも称される。
【0014】
中性電子供与体配位子の他の例には例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ビピリジン、ピコリルイミン、γ−ピラン、γ−チオピラン、フェナントロリン、ピリミジン、ビピリミジン、ピラジン、インドール、クマロン、チオナフテン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ジチアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、キノリン、ビスキノリン、イソキノリン、ビスイソキノリン、アクリジン、クロメン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、トリアジン、チアントレン、プリン、ビスイミダゾールおよびビスオキサゾールなどの未置換または置換ヘテロアレーン類から誘導される配位子などがある。
【0015】
置換基の例としては、OH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3My、OSO3My、NR20SO3My、N=N−Rs2、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C12〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5〜C9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C7〜C11アラルキルオキシ、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル、モノアミノ、ジアミノ、スルホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドがあり;Rs1は水素、My、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs4は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C16〜C10アリール、C5〜C19ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs2およびRs20は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C1〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか上記の置換基のいずれかによって置換されており;yは1であって、かつMは1価の金属であるか;またはyは1/2であり、かつMは2価の金属である。
【0016】
本発明の説明の文脈において、金属および対応するカチオンとは、例えばLi、NaまたはKなどのアルカリ金属;例えばMg、CaまたはSrなどのアルカリ土類金属またはMn、Fe、ZnまたはAg、ならびに対応するカチオンを指す。リチウムイオン、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンが、それらの塩とともに好ましい。NH2、モノアミノ、ジアミノ、カルバミド、カーバメート、カルボヒドラジド、スルホンアミド、スルホヒドラジドおよびアミノカルボニルアミドは好ましくはR8C(O)(NH)pN(R9)−−、−−C(O)(NH)pNR8R9、R8OC(O)(NH)pN(R9)−−、R8R40NC(O)(NH)pN(R9)−−、−−OC(O)(NH)pNR8R9、−−N(R40)C(O)(NH)pNR8R9、R8S(O)2(NH)pN(R9)−−;−−S(O)2(NH)pNR8R9;R8R40NS(O)2N(R9)−−、または−−NR40S(O)2NR8R9の基に相当し;R8、R9およびR40は互いに独立して、水素、OH、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C16アラルキル、C2〜C6アルケニレンおよびC6〜C10アリールを有するC8〜C16アラルケニル、C6〜C15ヘテロアラルキル、C6〜C15ヘテロアラルケニルまたはジ−C6〜C10アリール−C1〜C6アルキルまたはR8 ′R9 ′Nであり;R8 ′およびR9 ′は互いに独立して、水素、OH、SO3My、OSO3My、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C2〜C6アルケニレンおよびC6〜C10アリールを有するC8〜C16アラルケニルまたはジ−C6〜C10アリール−C1〜C6アルキルであり、それらは未置換であるか、またはOH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3Zy、OSO3Zy、NR20SO3Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5〜C9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C7〜C11アラルキルオキシ、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル、モノアミノ、ジアミノ、スルホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドのうちからの1つ以上の置換基によって置換されており;Rs1は水素、Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs4は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs2は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;かつアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか上記の置換基のいずれかによって置換されており;pは0または1であり、かつyは1であり、かつZは1価の金属であるか、またはyは1/2であり、かつZは2価の金属であり;またはNR8R9または−−NR8 ′R9 ′またはR8R40N−−の場合にR8およびR9、またはR8 ′およびR9 ′、またはR8およびR40は一体となって、テトラメチレン、ペンタメチレン、−−(CH2)2−−O−−(CH2)2−−、−−(CH2)2−−S−−(CH2)2−−または−−(CH2)2−−NR7−−(CH2)2−−であり;R7は、H、C1〜C6アルキル、C7〜C11アラルキル、C(O)Rs2またはスルホニルである。
【0017】
スルホニル置換基は例えば、式R10−−SO2−−のものであり;R10は、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;それらは未置換であるか、またはOH、ハロゲン、C(O)ORs1、OC(O)Rs4、C(O)Rs2、ニトロ、NH2、シアノ、SO3Zy、OSO3Zy、NR20SO3Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C5〜C9ヘテロアリール、C5〜C9ヘテロアリールオキシ、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニル、C7〜C10ヘテロアラルケニル、モノアミノ、ジアミノ、スルホニル、スルホンアミド、カルバミド、カーバメート、スルホンヒドラジド、カルボヒドラジド、カルボヒドロキサム酸残基およびアミノカルボニルアミドのうちから選択される1つ以上の置換基によって置換されており;Rs1は、水素、Zy、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs4は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C11複素環アルキル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキルまたはC6〜C10ヘテロアラルキルであり;Rs2およびR20は、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C2〜C11複素環アルキル、C2〜C11複素環アルケニル、C6〜C10アリール、C5〜C9ヘテロアリール、C7〜C11アラルキル、C6〜C10ヘテロアラルキル、C8〜C11アラルケニルまたはC7〜C10ヘテロアラルケニルであり;アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環アルキル、複素環アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、ヘテロアラルキル、アラルケニルおよびヘテロアラルケニルはまた、未置換であるか、または上記置換基のいずれかによって置換されており;yは1であり、かつZは1価の金属であるか;またはyは1/2であり、かつZは2価の金属である。好ましい中性電子供与体配位子は例えば、下記の群のヘテロアレーン類から誘導される。
【化23】
より好ましい化合物群は、L2およびL1 ′が互いに独立して、未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、C2〜C11複素環アルキル、C5〜C9ヘテロアリール、ハロゲン、モノアミノ、ジアミノおよび−C(O)Hのうちからの1つ以上の置換基によって置換されたピリジルである場合に形成される。その例としては以下のものがある。
【化24】
別の好ましい化合物群は、L2およびL1 ′が一体となってビピリジル、フェナントロリニル、ビチアゾリル、ビピリミジニルまたはピコリルイミンであり;それらは未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、C6〜C10アリールおよびシアノのうちからの1つ以上の置換基によって置換されており;置換基アルキルおよびアリールは未置換であるか、またはC1〜C12アルキル、ニトロ、モノアミノ、ジアミノおよびニトロ−またはジアミノ−置換−−N=N−C6〜C10アリールのうちからの1つ以上の置換基によって置換されている場合に形成される。例としては以下のものがある。
【化25】
さらに好ましくは、L2およびL1 ′はそれぞれ独立して、以下のもののうちから選択される。
【化26】
式中、Rは水素またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換基のうちから選択される。任意にR基は、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシおよびアリールのうちから選択される1つ以上の部分によって置換されていてもよく;それらの各部分はさらに、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシおよびフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらに、いずれの複素環もさらに1つ以上の官能基を有し得る。好適な官能基の例としては、水酸基、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメートおよびハロゲンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくはRは、C1〜C20アルキル、アリール、エーテル、アミン、ハライド、ニトロ、エステルおよびピリジルのうちから選択される。
【0018】
好ましくは、錯体1〜4を用いて、本発明の錯体の好ましい実施態様5〜29を調製する。
【化27】
上記においてsIMESは下記のものである。
【化28】
最も好ましくは、LはNHC、好ましくはイミダゾリジン配位子であり、L2およびL1 ′はピリジンである。
【0020】
上記の全てのカルベン錯体において、L、L1、L1 ′、L2、X、X1、RおよびR1のうちの1以上が、L、L1、L1 ′、L2、X、X1、RおよびR1の少なくとも1つの他のものに結合されて、2座配位子または多座配位子列を形成していてもよい。
【0021】
合成:
【0022】
一般に本発明の触媒は、ピリジンなどの過剰の中性電子供与体配位子を、下記式の構造を有する前述の5配位金属カルベン触媒錯体と接触させることによって調製される。
【化30】
【0023】
式中、
M、X、X1、L、L1、RおよびR1は上記で定義した通りであり;
第3の中性電子供与体配位子が金属中心に結合している。図式1には、本発明の6配位金属カルベン錯体の形成のための一般的合成を示してある。
【化31】
図式中、M、X、X1、L、L1、L1 ′、L2、RおよびR1は前記で定義した通りである。
【0024】
好ましい実施態様の合成を図式2に示す。
【化32】
図式1および2に示したように、過剰の配位子L2存在下で、5配位錯体はL1配位子を失い、配位子L2およびL1 ′が金属中心に結合する。配位子L2およびL1 ′は、例えば(過剰のピリジンを使用した場合)ピリジンなどの同じ化合物であるか、または一体となって2座配位子を形成し得る。これに代わって、L1およびL1 ′が同一であり、その場合、5配位化合物は過剰のL2存在下で必ずしもL1配位子を失わない。
【0028】
大過剰の(約100当量)のピリジンと錯体1とを反応させると、赤から明緑色へと急速な色変化が起こり、得られた溶液を冷(−10℃)ペンタンに移し入れることで、ビスピリジン付加物(ImesH2)(Cl)2(C5H5N)2Ru=CHPh(31)の沈殿が生じる。錯体31はペンタンで数回洗浄することにより精製することができ、CH2Cl2、ベンゼンおよびTHFに可溶の空気安定性緑色固体として単離される。この手順は、錯体31を収率80〜85%で与え、数グラムの規模で容易に行われる。
【0029】
室温における31の飽和ベンゼン溶液へのペンタン気相拡散によって、X線結晶構造決定に好適な結晶を成長させた。結晶分析の収集データおよび精査パラメータを表1にまとめてある。
【0030】
【表1】
図1に錯体31のラベル表示した図を示してあり、代表的な結合長および結合角を表2に示してある。
【0031】
【表2】
ビスピリジン付加物のいくつかの構造異性体を想定できるが、固体状態構造からは、ピリジンがシス形で結合して、ベンジリデンおよびN−複素環カルベン配位子に対してトランスの配位位置を占めていることがわかる。1.873(4)ÅというRu=C(1)(ベンジリデン炭素)の結合長は、(Cl)2(PCy3)2Ru=CHPh[d(Ru=Cα)=1.838(2)Å]および錯体1[d(Ru=Cα)=1.835(2)Å]を含む5配位ルテニウムオレフィンメタセシス触媒の場合よりわずかに長い。31におけるその長いRu=Cα結合は恐らく、ピリジン配位子の存在によるものである。2.033(4)ÅというRu−C(38)(N−複素環カルベン)の結合長は、錯体1の結合長より約0.05Å短く、それは恐らく、PCy3と比較してピリジンが相対的に大きさが小さく、トランスの影響があまり強くないためである。Ru−C(1)およびRu−C(38)の結合距離における0.15Åの差は、前者の共有結合性および後者のルテニウム−カルベン結合の供与性を強調する。興味深いことに、これら2種類のRu−N結合距離は0.15Åより大きく異なっており、ベンジリデン配位子がN−複素環カルベンよりかなり大きいトランスの影響を与えることを示している。
【0032】
錯体1とピリジンの間の反応の速度論を調べて、この配位子置換の機構を確認した。錯体1(0.88Mトルエン溶液)と過剰のピリジン−d5(0.18〜0.69M)との反応では、150nmの赤方偏移可視MLCT吸収があり、この変換後にUV−visスペクトル測定を行うことができる。開始物質の消失(502nm)を20℃でモニタリングし、全ての場合について、データは5半減期にわたって一次速度論に適合した。kobsと[C5D5N]のプロットを図2に示してある。このデータは、高濃度のピリジンであっても良好な線形適合(R2=0.999)を示しており、この直線のy切片(1.1×10-3)は非常にゼロに近い。錯体1におけるホスフィン解離の速度定数(kB)を、31P磁化移動実験によって測定したところ、20℃でkBは4.1×10-5s-1である。このkB値は、1における解離配位子交換の速度に上限を与えるものであり、ピリジン置換における実測速度定数は明らかにkBより3桁高い。これらの結果を総合すると、ピリジンによるPCy3の置換は、20°Cで5.7×10-2M-1s-1という2次速度定数を有する会合機構によって進行することを示している。顕著に対照的な点として、オレフィン基質による1のホスフィン配位子の置換(オレフィンメタセシス反応における開始事象)は解離機構を介して起こる。
【0033】
錯体31の初期反応性の調査は、双方のピリジン配位子が置換的に反応活性であることを示している。例えば、ベンジリデン31は1.1当量のPCy3と直ちに反応してピリジンを放出し、錯体1を再生する。この平衡は、過剰のC5D5Nを加えることでピリジン付加物の方へ戻すことができるが、減圧下で揮発分を除去すると容易に再形成される。
【0034】
31とPCy3の反応が容易であることは、ピリジンを他の進入配位子によって置換可能であることを示唆しており、ビスピリジン錯体と非常に多様なホスフィン類との反応によって、一般式(ImesH2)(PR3)(Cl)2Ru=CHPhの新たなルテニウムベンジリデン類を得るための簡単かつ多様な経路が得られることが明らかになった。31と1.1当量のPR3との化合により、緑色から赤/褐色への色変化及び相当するPR3付加物の形成が生じる。残留ピリジンは減圧下で除去することができ、ルテニウム生成物は、数回のペンタン洗浄および/またはカラムクロマトグラフィーによって精製される。この配位子置換は、PPH3、PBn3およびP(n−Bu)3などの多様なアルキル−およびアリール置換ホスフィンについて良好に進行して、錯体32、33および34を生じる。
【化41】
さらに、本発明の方法を用いて、パラ置換トリフェニルホスフィン誘導体35、36および37(それぞれ、パラ置換基CF3、ClおよびOMeを有する)を調製することができる。錯体35の合成がし易いことは、P(p−CF3C6H4)3が極めて電子不足のホスフィンであることから(χ=20.5cm-1)、特に特筆すべき点である。トリアリールホスフィンルテニウム錯体32、35〜37は、それらがオレフィンメタセシス反応において、親錯体1よりほぼ2桁反応活性が高いことから、貴重な触媒である。
【0035】
ピリジン置換反応においては、進入ホスフィン配位子に対しては、立体的制限および電子的制限の双方があるように思われる。例えば錯体31は、P(o−トリル)3と反応して安定な生成物を生成しないが、恐らくそれは進入配位子が禁制的な大きさであるためと思われる。P(o−トリル)3の円錐角は194°であるが、PCy3(31のピリジンに良好に置換することが示されている比較的大きいホスフィンの一つ)の円錐角は170°である。さらに、電子不足のホスフィンP(C6F6)3は、強制的な条件下であっても31とは反応を示さない。この配位子は、P(p−CF3C6H4)3(χ=20.5cm-1)よりかなり低い電子供与能力を有し(χ=33.6cm-1)、やはりPCy3より大きい円錐角を有する(θ=184°)。
【0036】
本明細書に記載の方法は、錯体(NHC)(PR3)(Cl)2Ru=CHPhを得るための従来の合成経路に対して大幅な改善を提供するものである。これら化合物の以前の調製では、ビスホスフィン前駆体(PR3)2(Cl)2Ru=CHPhとNHC配位子との反応を行っていた。この変換は多くの場合(特にNHCが小さい場合)収率が低く、各PR3配位子を有するルテニウム前駆体を並行して合成する必要があった。さらに、PPh3(θ=145°;χ=13.25cm-1;pKa=2.73)より小さく、電子供与性の低いPR3配位子を有するビスホスフィン開始物質は調製することができず、以前の調製方法によって利用可能な錯体には厳しい制限がある。
【0037】
31の塩素配位子も、親錯体1の配位子よりかなり反応活性が高い。例えば21は、NaIと室温で2時間以内に定量的に反応して、(ImesH2)(I)2(C5H5N)Ru=CHPh(38)を与える。それとは対照的に、1とNaIとの間の反応は、同一条件下で完結するのに約8時間を要する。興味深いことに、1HNMRスペクトル測定で、ジヨージド(diiode)錯体38はピリジン配位子を1個のみ有するが、類縁のジクロリド体31は2当量のピリジンに配意することを示している。38におけるヨージド配位子が比較的大きいことおよび金属中心での電子親和性が低いこと(31と比較して)がいずれも、この系における5配位錯体の形成に寄与するものと考えられる。
【0038】
錯体31はさらに、KTp[Tp=トリス(ピラゾリル)ボレート]と25℃で1時間以内に定量的に反応して、明緑色の生成物Tp(ImesH2)(Cl)Ru=CHPh(39)を生じるが、錯体1とKTpとの間の類似の反応は極めて遅い(後者の反応は、室温で数日後であっても50%未満しか完了しない)。減圧下で溶媒除去し、次に濾過を行い、ペンタンおよびメタノールで数回洗浄することで、空気および水分に対して安定な固体として39が得られる。予備1HNMR調査でも、31と過剰量のKOt−Buとの化合によって、4配位ベンジリデンである(ImesH2)−(OtBu)2Ru=CHPh(40)が室温で10分以内に定量的に生成することが示される。それとは対照的に、1とKOt−Buとの間で40を形成する反応は、35℃で数日後であっても完了しない。錯体40は、1のオレフィンメタセシス反応に関与する14−電子中間体である(IMesH2)(Cl)2Ru=CHPhのモデルと考えることができる。
【0039】
本発明は、(IMesH2)(Cl)2(PCy3)Ru=CHPh(1)から(IMesH2)(Cl)2(C5H5N)2Ru=CHPh(31)を高収率で調製する手順を提供する。1とオレフィン基質との反応とは対照的にこの配位子置換は、会合機構によって進行する。錯体31はホスフィン類と容易に反応して、本明細書に記載の新たな錯体を入手可能とする。錯体31はさらに、KOt−Bu、NaIおよびKTpと反応して、新たな4配位、5配位または6配位のルテニウムベンジリデン類を与える。本発明の方法は、構造的に多様な配位子配列を有する新たなルテニウムオレフィン系メタセシス触媒の開発を促進する上で有用である。
【0040】
オレフィンメタセシス
本発明の錯体は、オレフィンメタセシス反応、特に重合反応において有用である。これらの触媒は、各種メタセシス反応で使用することができ、その反応には、鎖状および非鎖状環状オレフィンの開環メタセシス重合、非環状ジエン類の閉環メタセシス、非環状ジエンメタセシス重合(「ADMET」)、自己メタセシス反応(self−metathesis reaction)およびクロスメタセシス反応、アルキン重合、カルボニルオレフィン化、不飽和ポリマーの解重合、テレキーリックポリマーの合成およびオレフィン合成などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本発明で使用される最も好ましいオレフィンモノマーは置換または未置換ジシクロペンタジエン(DCPD)である。各種のDCPD供給者および純度を用いることができ、それにはリオンデル(Lyondell)108(純度94.6%)、ベリスコル(Veliscol)UHP(純度99+%)、B.F.グッドリッチ・ウルトレン(登録商標)(Goodrich Ultrene)(純度97%および99% )およびヒタチ(純度99+%)などがある。他の好ましいオレフィンモノマーには、トリマー類、テトラマー類、ペンタマー類などの他のシクロペンタジエンオリゴマー類;シクロオクタジエン(COD;デュポン(DuPont));シクロオクテン(COE、アルファ・エーサー(AlfaAesar));シクロヘキセニルノルボルネン(シェル(Shell));ノルボルネン(アルドリッチ(Aldrich));無水ノルボルネンジカルボン酸(無水ナジック);ノルボルナジエン(エルフ・アトケム(Elf Atochem));ならびにブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネン、オクチルノルボルネン、デシルノルボルネンなどの置換ノルボルネン類などがある。好ましくはオレフィン部分には、炭素数3〜200のモノまたはジ置換オレフィンおよびシクロオレフィンなどがある。最も好ましくは、メタセシス活性オレフィン部分には、例えばシクロペンテン類、シクロブテン類、シクロヘプテン類、シクロオクテン類、[2.2.1]ビシクロヘプテン類、[2.2.2]ビシクロオクテン類、ベンゾシクロブテン類、シクロペンテン類、トリマー,テトラマー,ペンタマーなどのシクロペンタジエンオリゴマー類;シクロヘキセン類などの置換または未置換の環状または多環式のオレフィン類などがある。さらには、そのような組成物には、1つ以上の炭素原子が、ハロゲン類、擬似ハロゲン類(pseudhalogens)、アルキル、アリール、アシル、カルボキシル、アルコキシ、アルキル−およびアリールチオレート、アミノ、アミノアルキルなどのラジカル部分から誘導される置換基を有する骨格または1つ以上の炭素原子が例えばケイ素、酸素、硫黄、窒素、リン、アンチモンまたはホウ素によって置き換わっている骨格を備えることも明らかである。例えばそのオレフィンは、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、ホスフェート、ホスファイト、サルフェート、サルファイト、スルホニル、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カーバメート、ハロゲンまたは擬似ハロゲンなどの1つ以上の基で置換されていてもよい。同様にオレフィンは、C1〜C20アルキル、アリール、アシル、C1〜C20アルコキシド、アリールオキシド、C3〜C20アルキルジケトネート、アリールジケトネート、C1〜C20カルボキシレート、アリールスルホネート、C1〜C20アルキルスルホネート、C1〜C20アルキルチオ、アリールチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニル、C1〜C20アルキルホスフェート、アリールホスフェートなどの1つ以上の基で置換されていてもよく、これらの部分は置換されていても未置換であってもよい。
【0042】
これらのオレフィンモノマーは、単独で用いることができるか、または種々の組合せで互いに混合して、オレフィンモノマー組成物の特性を調節し得る。例えば、シクロペンタジエンダイマーおよびトリマーの混合物では融点が下がり、純粋なポリDCPDと比較して機械的強度および剛性の向上した硬化オレフィン共重合体が得られる。別の例として、COD、ノルボルネンまたはアルキルノルボルネン共単量体を組み込むと、比較的柔軟かつ弾力性のある硬化オレフィン共重合体が得られる傾向がある。メタセシス反応から形成されるポリオレフィン組成物は、熱硬化を受けやすく、添加剤、安定剤、速度調節剤、硬化および/または靭性調節剤、充填剤ならびに炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維(例:ケブラー(Kevlarおよびトワロン(Twaron;登録商標))、ポリエチレン繊維(例:スペクトラ(Spectra;登録商標)およびダイネー(Dyneema;登録商標))、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例:ザイロン(Zylon;登録商標))、ポリベンゾアミダゾール繊維(PBI)(これらに限定されるものではない)およびそれらの混成物および他のポリマー繊維などの繊維に対して耐容性である。
【0043】
メタセシス反応では、任意に製剤補助剤を用い得る。公知の補助剤には、帯電防止剤、酸化防止剤(一次酸化防止剤、二次酸化防止剤またはそれらの混合物)、セラミック類、光安定剤、可塑剤、染料、顔料、充填剤、強化繊維、潤滑剤、接着促進剤、増粘剤および離型促進剤などがある。光学的特性、物理的特性、機械的特性、および電気的特性を向上させるための充填剤の例としては、粉末、ビーズおよび繊維状のガラスおよび石英、金属および半金属酸化物、炭酸塩類(例:MgCO3、CaCO3)、ドロマイト、金属硫酸塩(例:石膏および重晶石)、天然および合成ケイ酸塩(例:ゼオライト類、珪灰石および長石類)、炭素繊維、ならびにプラスチックの繊維または粉末などがある。
【0044】
本発明のカルベン錯体を用いるメタセシス反応から得られるポリオレフィン組成物のUVおよび酸化耐性は、一次酸化防止剤(例:立体障害フェノール類など)、二次酸化防止剤(例:有機ホスファイト類、チオエステル類など)、光安定剤(例:立体障害アミン系光安定剤またはHALS)および、2000年2月4日出願の米国特許出願第09/498120号(この内容は、本明細書に援用される)に記載の紫外線吸収剤(例:ヒドロキシベンゾフェノン系吸収剤、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系吸収剤など)などの各種安定化添加剤を加えることで向上させることができる。
【0045】
一次酸化防止剤の例としては、例えば4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)(エタノックス(Ethanox)702(登録商標);アルベマーレ社(Albemarle Corporation))、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(エタノックス330(登録商標);アルベマーレ社)、オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076(登録商標);チバガイギー(Ciba−Geigy))およびペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)(イルガノックス(登録商標)1010;チバガイギー)などがある。二次酸化防止剤の例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(イルガフォス(Irgafos)(登録商標)168;チバガイギー)、1:11(3,6,9−トリオキサウデシル)ビス(ドデシルチオ)プロピオナート(ウィングステイ(Wingstay)(登録商標)SN−1;グッドイヤー(Goodyear))などがある。光安定剤および光吸収剤の例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロナート(チヌビン(Tinuvin)(登録商標)144HALS;チバガイギー)、 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジtertペンチルフェノール(チヌビン(登録商標)328吸収剤;チバガイギー)、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル(チヌビン(登録商標)327吸収剤;チバガイギー)、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(キマスソルブ(Chimassorb)(登録商標)81吸収剤;チバガイギー)などがある。
【0046】
さらに、例えばトリフェニルホスフィン(TPP)、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリアルキルホスファイト類、トリアリールホスファイト類、混合ホスファイト類または米国特許第5939504号および米国特許出願第09/130586号(これらの各内容は、本明細書に援用される)に記載のものなどの他のルイス塩基のような好適な速度調節剤をオレフィンモノマーに加えて、必要に応じて重合速度を遅延または促進することができる。
【0047】
得られるポリオレフィン組成物ならびにそれから調製される部材および物品は、例えば反応射出成形(RIM)、樹脂トランスファー成形(RTM)およびVARTM(真空RTM)およびSCRIMP(シーマン(Seemann)複合樹脂注入成形法)などの真空を用いる変法、開放鋳造(open casting)、回転成形、遠心成形、フィラメントワインディングおよび機械加工などの各種方法で加工することができる。これらの加工組成物は当業界では公知である。各種成形および加工法については、例えばPCT公開公報第WO97/20865号に記載されており、その開示内容は本明細書に援用される。
【0048】
このメタセシス反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことが可能である。この重合反応で使用可能な溶媒の例としては、重合条件下で好ましくは不活性である有機溶媒、プロトン性溶媒または水系溶媒などがある。そのような溶媒の例としては、芳香族炭化水素類、塩素化炭化水素類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、水またはそれらの混合物などがある。好ましい溶媒には、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノール、水またはそれらの混合物などがある。より好ましくは、溶媒はベンゼン、トルエン、p−キシレン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物である。最も好ましくは溶媒は、トルエンまたはベンゼンおよび塩化メチレンの混合物である。重合反応で形成されるポリマーの溶解度は、溶媒の選択および得られるポリマーの分子量によって決まる。
【0049】
本発明の錯体は、それら触媒の活性レベル、安定性、溶解度および回収の容易さを調節および微調整することにおいて柔軟性を持たせることができる良好な配位子環境を有する。カルベン化合物の溶解度は、当業界で公知の疎水性または親水性配位子を適切に選択することで制御することができる。触媒の所望の溶解度は、主に反応基質および反応生成物の溶解度によって決まる。
【0050】
本発明の金属カルベン錯体は、反応に加える錯体の全てではないにしてもほとんどを消費させるだけの高い開始速度を示している。従って、メタセシス反応で浪費される触媒が少ない。それとは対照的に、従来の5配位開始剤は、反応完結後にも残留する比較的多量の抽出可能物(すなわち、未重合モノマー)を有していた。成長速度も、前記2種類のピリジン配位子が存在することで遅延される。高い開始速度および低い成長速度により、従来の5配位錯体で得られるものと比較して、狭い多分散性を有するポリマーが得られる。さらに、加熱によって開始速度が上昇することが確認されている。5配位錯体の熱的開始は米国特許第6107420号に記載されており、その内容は本明細書に援用される。本発明の触媒を用いるメタセシス重合の開始および/または速度は、本発明の触媒をオレフィンと接触させることと、反応混合物を加熱することとを有する方法によって制御される。驚くべき予想外の結果として、本発明の触媒の熱的開始のTmaxは、従来の5配位触媒のTmaxよりかなり高い。理論に拘束されるものではないが、製造される部品または物品が充填系のタイプ(例:強化充填剤、繊維、ビーズなどを含む系)である場合には、メタセシス触媒を用いる反応において、その充填材料が熱シンクとして働き得るという点でそれは重要である。従来の5配位触媒を用いると、充填系から生じる熱シンクの影響のために、後硬化が必要となる場合があった。5配位触媒を用いる過酸化物架橋剤存在下でのROMP重合は、米国特許第5728785号(この開示内容は本明細書に援用される)に記載されている。それとは対照的に、本発明の6配位触媒を用いる反応の方がかなり多くの内部熱を発生する。この高いTmaxによって、後硬化の必要性が低減される。さらに、架橋を促進するために過酸化物またはラジカルを加える場合であっても、ラジカル機構を使用する部分での架橋度は、従来の5配位メタセシス触媒を用いて得られる部分と比較して高い。さらに、半減期は最高温度によって決まる。本発明の触媒を用いると、半減期がかなり低下することから、必要な触媒量が減り、商業的にかなり有利となる。理論に拘束されるものではないが、Tmaxが高いということは、ROMP反応において、より多くの環が開環し、硬化度が高くなることを示している。Tmaxが高くなると、抽出可能物がほとんどゼロとなり、ほとんど全ての反応可能な分子が反応することを示している。例えばビニリデン類は、アルキリデン類より高温での安定性が高いという点で有利である。反応混合物に保護NHC(例:米国仮出願第60/288680号および同第60/278311号(これらの各内容は本明細書に援用される)に記載のImes配位子を加えると、ピーク発熱に大幅な上昇が認められる。さらに、ピークに達するまでの時間が大幅に短縮される。高いピーク発熱は、より多くの触媒が重合に利用可能であることを意味し、抽出可能物がゼロに近いことを示している。従って本発明の触媒は、充填剤および添加剤存在下であっても、より良好な変換率、より良好な特性を有する。
【0051】
明瞭を期して、特に好ましい実施態様を参照しながら、本発明の具体的説明を行う。しかしながら理解すべき点として、これらの実施態様および実施例は、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0052】
実施例
一般的手順
有機金属化合物の取り扱いは、乾燥アルゴン雰囲気下または窒素充填真空雰囲気ドライボックス(O2<2ppm)中で、標準的なシュレンク(Schlenk)法を用いて行った。NMRスペクトラムは、バリアン・イノバ(Varian Inova)(1Hに関しては499.85MHz;31Pに関しては202.34MHz;13Cに関しては125.69MHz)またはバリアン・マーキュリー(Varian Mercury)300(1Hに関しては299.817;31Pに関しては121.39MHz;13Cに関しては74.45MHz)で記録した。31PNMRスペクトラムは、外部標準としてH3PO4(δ=0ppm)を用いて基準とした。UV−ビススペクトラムは、HP8452Aダイオード−アレイ分光光度計で記録した。
【0053】
材料および方法
溶媒精製カラムに通すことで、ペンタン、トルエン、ベンゼンおよびベンゼン−d6を乾燥させた。CaH2からの真空移動によってピリジンを乾燥させた。全てのホスフィン類およびKTpは、市販入手先から入手し、入荷した状態で使用した。ルテニウム錯体1は、文献の手順に従って調製した。
【0054】
(IMesH 2 )(C 12 H 8 N 2 )(Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(0.85g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌したが、その間に暗紫色から茶橙色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶橙色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C12H8N2)(Cl)2Ru=CHPh5を茶橙色粉末(1.7g、収率96%)として得た。
【0055】
(IMesH 2 )(C 5 H 4 BrN) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.50g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C5H4BrN)2(Cl)2Ru=CHPh6を明緑色粉末として得た(1.8g、収率86%)。
【0056】
(IMesH 2 )(C 9 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ピロリジノピリジン(1.40g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C9H12N2)2(Cl)2Ru=CHPh7を明緑色粉末として得た(1.9g、収率93%)。
【0057】
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ19.05(s、1H、CHPh)、8.31(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.6Hz)、7.63(d、2H、オルトCH、JHH=8.4Hz)、7.49(t、1H、パラCH、JHH=7.4Hz)、7.33(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.9Hz)、7.10(t、2H、メタCH、JHH=8.0Hz)、7.03(brs、2H、MesCH)、6.78(brs、2H、MesCH)、6.36(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.3Hz)、6.05(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.9Hz)、4.08(brd、4H、NCH2CH2N)、3.30(m、4H、ピロリジンCH2)、3.19(m、4H、ピロリジンCH2)、2.61〜2.22(多重ピーク、18H、MesCH3)、2.02(m、4H、ピロリジンCH2)、1.94(m、4H、ピロリジンCH2)。
【0058】
例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C9H12N2)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0151gを用いて、開始温度約24.2℃にて、DCPD:Ru比を約30,000:1として重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=194秒。Tmax=208.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=165o C。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=1.23%。
【0059】
(IMesH 2 )(C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(0.88g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移しいれたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C6H7N)2(Cl)2Ru=CHPh8を明緑色粉末(1.5g、収率84%)として得た。
【0060】
(IMesH 2 )(C 10 H 8 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)に溶かし、トルエン(10mL)および4,4′−ビピリジン(0.74g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から茶橙色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶橙色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C10H8N2)2(Cl)2Ru=CHPh9を茶橙色粉末(1.4g、収率71%)として得た。
【0061】
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.15(s、1H、CHPh)、8.73〜8.68(多重ピーク、8H、ピリジンCH)、7.63〜6.77(多重ピーク、17H、ピリジンCH、パラCH、メタCH、MesCH)、4.08(brd、4H、NCH2CH2N)、2.61〜2.24(多重ピーク、18H、MesCH3)。
【0062】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C10H8N2)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0153gを用いて、DCPD:Ru比を約30,000:1として、開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=953秒。Tmax=124.2℃。
【0063】
(IMesH 2 )(C 7 H 10 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ジメチルアミノピリジン(1.18g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C7H10N2)2(Cl)2Ru=CHPh10を明緑色粉末(1.9g、99%収率)として得た。
【0064】
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.10(s、1H、CHPh)、8.18(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.5Hz)、7.64(d、2H、オルトCH、JHH=7.5Hz)、7.48(t、1H、パラCH、JHH=7.0Hz)、7.38(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.5Hz)、7.08(t、2H、メタCH、JHH=7.5Hz)、7.00(brs、2H、MesCH)、6.77(brs、2H、MesCH)、6.49(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、6.15(d、2H、ピリジンCH、JHH=7.0Hz)、4.07(brd、4H、NCH2CH2N)、2.98(s、6H、ピリジンCH3)、2.88(s、6H、ピリジンCH3)、2.61〜2.21(多重ピーク、18H、MesCH3)。
【0065】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C7H10N2)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0141gを用い、DCPD:Ru比(約30、000:1)および開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=389秒。Tmax=175.3℃。
【0066】
(IMesH 2 )(C 10 H 8 N 2 )(Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2,2′−ビピリジン(0.74g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、紫色から暗褐色−赤色への色変化が認められた反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶赤色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C10H8N2)(Cl)2Ru=CHPh11を茶赤色粉末(0.7g、収率41%)として得た。
【0067】
(IMesH 2 )(C 6 H 5 NO) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2−ピリジンカルボキシアルデヒド(1.01g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から暗青色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、暗青色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C6H5NO)2(Cl)2Ru=CHPh12を暗青色粉末(1.3g、収率70%)として得た。
【0068】
(IMesH 2 )(C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.50g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から暗緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、暗緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C11H9N)2(Cl)2Ru=CHPh13を暗緑色粉末(2.0g、収率97%)として得た。
【0069】
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.23(s、1H、CHPh)、8.74(brs、2H、ピリジン)、7.91(brs、2H、ピリジン)、7.70〜7.08(多重ピーク、19H、オルトCH、パラCH、メタCH、ピリジン)、6.93(brs、2H、MesCH)6.79(brs、2H、MesCH)、4.05(brs、4H、NCH2CH2N)、2.62〜2.29(多重ピーク、18H、MesCH3)。
【0070】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C11H9N)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0153gを用い、DCPD:Ru比(約30、000:1)および開始温度約13.4℃で重合させた。
【0071】
結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=145秒。Tmax=202.2℃。
熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=168℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=1.17%。
【0072】
(IMesH 2 )(C 18 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、2,2′−ビキノリン(1.21g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から茶紫色へのわずかな色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、茶紫色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C18H12N2)2(Cl)2Ru=CHPh14を茶紫色粉末(1.8g、収率93%)として得た。
【0073】
(IMesH 2 )(C 5 H 5 N) 2 (Cl) 2 Ru=CHPhの合成
錯体1(1.1g、1.3mmol)をトルエンに溶かし、ピリジン(10mL)を加えた。反応液を10分間撹拌した。その間に、ピンクから明緑色への色変化が認められた。反応混合物をカニューレによって、冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CHPhを緑色粉末(0.75g、収率80%)として得た。C6H6/ペンタンからの再結晶とそれに続く真空乾燥によって、元素分析用サンプルを調製した。これらのサンプルは、恐らくは減圧下でのピリジン喪失により、モノピリジン付加物(IMesH2)(C5H5N)(Cl)2Ru=CHPhとして分析される。
【0074】
1HNMR(C6H6):∂19.67(s、1H、CHPh)、8.84(brs、2H、ピリジン)、8.39(brs、2H、ピリジン)、8.07(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.15(t、1H、パラCH、JHH=7Hz)、6.83〜6.04(広い多重ピーク、9H、ピリジンおよびMesCH)、3.37(brd、4H、CH2CH2)、2.79(brs、6H、MesCH3)、2.45(brs、6H、MesCH3)、2.04(brs、6H、MesCH3)。
【0075】
13C{1H}NMR(C6D6):∂314.90(m、Ru=CHPh)、219.10(s、Ru−C(N)2)、152.94、150.84、139.92、138.38、136.87、135.99、134.97、131.10、130.11、129.88、128.69、123.38、51.98、51.37、21.39、20.96、19.32。
C33H37N3Cl2Ruの元素分析
計算値:C、61.20;H、5.76;N、6.49
実測値:C、61.25;H、5.76;N、6.58。
【0076】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0127gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約12.1℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=173秒。Tmax=201.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=164℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=1.05%。
【0077】
重合例:ヘキシルノルボルネン塊50gを、(IMesH2)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CHPh=0.0068gを用い、HxN:Ru比(約30,000:1)および開始温度約12.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=99秒。Tmax=140.7℃。
【0078】
(PCp 3 )(C 12 H 8 N 2 )(Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(1.01g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から赤色−褐色の色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、赤色−褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C12H8N2)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)215を赤色−褐色粉末(1.8g、収率98%)として得た。
【0079】
(PCp 3 )(C 5 H 4 BrN) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH/U> 3 ) 2 の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.76g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C5H4BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)216を緑色粉末(0.2g、収率10%)として得た。
【0080】
(PCp 3 )(C 5 H 5 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(0.88g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)217を緑色粉末(0.6g、収率34%)として得た。
【0081】
(PCp 3 )(C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体2(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(1.04g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCp3)(C6H7N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)218を明緑色粉末(1.4g、収率75%)として得た。
【0082】
(PCy 3 )(C 12 H 8 N 2 )(Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、1,10−フェナントロリン(0.91g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から橙褐色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、橙褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C12H8N2)(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)219を橙褐色粉末(1.7g、収率97%)として得た。
【0083】
(PCy 3 )(C 5 H 4 BrN) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、3−ブロモピリジン(1.58g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色からの大幅な色変化は認められなかった。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、紫色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C5H4BrN)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)220を紫色粉末(1.4g、収率67%)として得た。
【0084】
(PCy 3 )(C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.55g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から褐色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C11H9N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)221を褐色粉末(1.6g、収率77%)として得た。
【0085】
(PCy 3 )(C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−メチルピリジン(0.93g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C6H7N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)222を緑色粉末(1.6g、収率91%)として得た。
【0086】
(PCy 3 )(C 5 H 5 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体3(2.0g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(0.79g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、暗紫色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、明緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(PCy3)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)223を明緑色粉末(1.4g、収率83%)として得た。
【0087】
(IMesH 2 )(C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−フェニルピリジン(1.13g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C11H9N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)224を緑色粉末(0.9g、収率58%)として得た。
【0088】
(IMesH 2 )(C 9 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ピロリジノピリジン(1.08g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C9H12N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)225を緑色粉末(1.0g、収率65%)として得た。
【0089】
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ19.05(d、1H、CH−CH=C(CH3)2、JHH=11Hz)、8.14(brs、2H、ピリジンCH)、7.69(d、1H、CH−CH=C(CH3)2、JHH=11Hz)、7.36(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、7.04(s、2H、MesCH)、6.81(s、2H、MesCH)、6.36(brs、2H、ピリジンCH)、6.12(d、2H、ピリジンCH、JHH=6.0Hz)、4.06(md、4H、NCH2CH2N)、3.29(brs、4H、ピロリジンCH2)、3.23(brs、4H、ピロリジンCH2)、2.55〜2.12(多重ピーク、18H、MesCH3)、2.02(brs、4H、ピロリジンCH2)、1.97(brs、4H、ピロリジンCH2)、1.10(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)、1.08(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)。
【0090】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C9H12N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)2=0.0147gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約24.7℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=181秒。Tmax=200.9℃。熱機械分析(TMA)によって測定したガラス転移温度=144℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=3.93%。
【0091】
(IMesH 2 )(C 10 H 8 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4,4′−ビピリジン(0.57g、2モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色からの大幅な色変化は認められなかった。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、褐色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、(IMesH2)(C10H8N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)226を褐色粉末として得た(1.0g、収率64%)
【0092】
(IMesH 2 )(C 7 H 10 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体4(1.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、4−ジメチルアミノピリジン(0.89g、4モル当量)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約2時間撹拌した。その間に、褐色から緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し真空乾燥して、(IMesH2)(C7H10N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)227を緑色粉末(0.9g、収率63%)として得た。
【0093】
1HNMR(500MHz、CD2Cl2):δ19.10(d、1H、CH−CH=C(CH3)2、JHH=11.5Hz、)、8.18(brs、2H、ピリジンCH)、7.69(d、1H、CH−CH=C(CH3)2、JHH=11.5Hz)、7.41(brs、2H、MesCH)、6.49(brs、2H、ピリジンCH)、6.24(brs、2H、MesCH)、4.06(brm、4H、NCH2CH2N)、2.99(s、6H、ピリジンCH3)、2.59(s、6H、ピリジンCH3)、2.36〜2.12(多重ピーク、18H、MesCH3)、1.07(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)、1.06(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)。
【0094】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C7H10N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)2=0.0138gを用い、DCPD:Ru比(約30,000:1)および開始温度約24.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=200秒。Tmax=200.9℃。熱機械分析(TMA)で測定したガラス転移温度=145℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=4.57%。
【0095】
重合例:ヘキシルノルボルネン塊50gを、(IMesH2)(C7H10N2)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)2=0.0074gを用い、HxN:Ru比(約30,000:1)および開始温度約16.2℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=182秒。Tmax=141.7℃。
【0096】
(IMesH 2 )(C 5 H 5 N) 2 (Cl) 2 Ru=CH−CH=C(CH 3 ) 2 の合成
錯体4(0.5g)をトルエン(10mL)に溶かし、ピリジン(10mL)を加えた。反応フラスコをアルゴンでパージし、反応混合物を約20℃〜約25℃で約12時間撹拌した。その間に、褐色から褐色−緑色への色変化が認められた。反応混合物を冷(約0℃)ペンタン75mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、冷ペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥して、28(IMesH2)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)2を緑色結晶(0.2g、収率47%)として得た。
【0097】
1HNMR(300MHz、CD2Cl2):δ? 19.19(d、1H、Ru=CH−CH=C(CH3)2、JHH=10.8Hz)、8.60〜6.85(多重ピーク、15H、ピリジン、MesCH、Ru=CH−CH=C(CH3)2、4.07(m、4H、NCH2CH2N)、2.58〜2.27(多重ピーク、12H、MesCH3)、2.31(s、3H、MesCH3)、2.19(s、3H、MesCH3)、1.09(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)、1.08(s、3H、CH−CH=C(CH3)2)。
【0098】
重合例:DCPD(約24%のトリマー化DCPD含有)塊75gを、(IMesH2)(C5H5N)2(Cl)2Ru=CH−CH=C(CH3)2=0.0123gを用い、DCPD:Ru比(約30、000:1)および開始温度約12.5℃で重合させた。結果:最高温度(Tmax)に達するまでの時間=129秒。Tmax=197.1℃。熱機械分析(TMA)で測定したガラス転移温度=157℃。残留モノマー%(室温にてトルエン抽出)=2.13%。
【0099】
(IMesH 2 )(C 5 H 5 N) 2 (Cl) 2 Ru=CHPh(31)の合成
錯体1(4.0g、4.7mmol)に溶かし、トルエン(10mL)およびピリジン(30mL、0.37mol)を加えた。反応液を10分間撹拌した。その間に、赤色から明緑色への色変化が認められた。反応混合物をカニューレによって、冷(−10℃)ペンタン100mLに移し入れたところ、緑色固体が沈殿した。沈殿を濾過し、ペンタン50mLで4回洗浄し、真空乾燥して、31を緑色粉末(2.9g、収率85%)として得た。C6H6/ペンタンからの再結晶とそれに続く真空乾燥によって、元素分析用サンプルを調製した。これらのサンプルは、恐らくは減圧下でのピリジン喪失によって、モノピリジン付加物(IMesH2)(C5H5N)(C1)2Ru=CHPhとして分析される。
【0100】
1HNMR(C6D6):δ19.67(s、1H、CHPh)、8.84(brs、2H、ピリジン)、8.39(brs、2H、ピリジン)、8.07(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.15(t、1H、パラCH、JHH=7Hz)、6.83−6.04(br多重ピーク、9H、ピリジン、MesCH)、3.37(brd、4H、CH2CH2)、2.79(brs、6H、MesCH3)、2.45(brs、6H、MesCH3)、2.04(brs、6H、MesCH3)。
【0101】
C{1H}NMR(C6D6):δ314.90(m、Ru=CHPh)、219.10(s、Ru−C(N)2)、152.94、150.84、139.92、138.38、136.87、135.99、134.97、131.10、130.11、129.88、128.69、123.38、51.98、51.37、21.39、20.96、19.32。
C33H37N3C12Ruの元素分析
計算値:C、61.20;H、5.76;N、6.49;
実測値:C、61.25;H、5.76;N、6.58。
【0102】
ホスフィン錯体:IMesH 2 )(PPh 3 )(Cl) 2 Ru=CHPh(41)の代表的な合成
【0103】
錯体31(150mg、0.21mmol)およびPPh3(76mg、0.28mmol)をベンゼン(10mL)中で混合し、10分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた褐色残留物をペンタン20mLで4回洗浄し、真空乾燥した。錯体41を褐色粉末として得た(125mg、73%収率)。
【0104】
31P{1H}NMR(C6D6):δ37.7(s)。
1HNMR(C7D8):δ19.60(s、1H、Ru=CHPh)、7.70(d、2H、オルトCH、JHH=8Hz)、7.29〜6.71(多重ピーク、20H、PPh3、パラCH、メタCHおよびMesCH)、6.27(s、2H、MesCH)、3.39(m、4H、CH2CH2)、2.74(s、6H、オルトCH3)、2.34(s、6H、オルトCH3)、2.23(s、3H、パラCH3)、1.91(s、3H、パラCH3)。
【0105】
13C{1H}NMR(C6D6):δ305.34(m、Ru−CHPh)、219.57(d、Ru−C(N)2、JCP=92Hz)、151.69(d、JCP=4Hz)、139.68、138.35、138.10、138.97、137.78、135.89135.21、135.13、131.96、131.65、131.36、130.47、129.83、129.59(d、JCP=2Hz)、129.15、128.92、128.68、128.00、52.11(d、JCP=4Hz)、51.44(d、JCP=2Hz)、21.67、21.35、21.04、19.21。
C46H47N2Cl2PRuの元素分析
計算値:C、66.50;H、5.70;N、3.37;
実測値:C、66.82;H、5.76;N、3.29。
【0106】
(IMesH 2 )(O t Bu) 2 Ru=CHPh(42)の合成
窒素下にNMR管中にて、錯体31(7.5mg、0.010mmol)およびKOtBu(3mg、0.027mmol)をC6D6(0.6mL)中で混合した。反応混合物を15〜20分間放置した。その間に、緑色から暗赤色への色変化が認められた。そして、30分後にNMRスペクトラムを記録した。
【0107】
1HNMR(C6D6):δ16.56(s、1H、Ru=CHPh)、7.63(d、2H、オルトCH、JHH=7Hz)、7.2〜7.1(多重ピーク、3H、メタCHおよびオルトCH)、6.97(s、4H、MesCH)、3.43(s、4HCH2CH2)、2.59(s、12H、オルトCH3)、2.29(s、6H、パラCH3)、1.18(s、18H、tBu)。
【0108】
Tp(IMesH 2 )(Cl)Ru=CHPh(43)の合成
KTp(87mg、0.34mmol)および錯体31(125mg、0.17mmol)をCH2C12(10mL)中で混合し、1時間撹拌した。ペンタン(20mL)を加えて塩を沈殿させ、反応液をさらに30分間撹拌し、次にカニューレ濾過した。得られた明緑色溶液を濃縮し、固体残留物をペンタン(2×10mL)およびメタノール(2×10mL)で洗浄し、真空乾燥して、43(84mg、収率66%)を分析的に純粋な緑色粉末として得た。
【0109】
1HNMR(CD2C12):δ18.73(s、1H、Ru=CHPh)、7.87(d、1H、Tp、JHH=2.4Hz)、7.41(d、1H、Tp、JHH=2.1Hz)、7.35〜7.30(多重ピーク、3H、TpおよびパラCH)、7.08(d、1H、Tp、JHH=1.5Hz)、6.82(brs、5H、MesCH、オルトCHおよびメタCH)、6.24(brs、3H、MesCH)、6.16(t、1H、Tp、JHH=1.8Hz)5.95(d、1H、Tp、JHH=1.5Hz)、5.69(t、1H、Tp、JHH=2.4Hz)、5.50(t、1H、Tp、JHH=1.8Hz)、3.77(brd、4H、CH2CH2)、2.91〜0.893(広い多重ピーク、18H、オルトCH3、パラCH3)。
【0110】
13C{1H}(CD2C12):δ324.29(m、Ru=CHPh)、220.57(s、Ru−C(N)2)、151.50、146.08、145.39、142.07、137.94、136.57、134.41、133.18、130.60(br)、129.55、127.98、106.41、105.19、104.51、53.77(br)、21.26、20.32(br)。
C37H42N8ClBRuの元素分析
計算値:C、59.56;H、5.67;N、15.02;
実測値:C、59.20;H、5.67;N、14.72。
【0111】
1とC 5 D 5 Nとの反応の速度論
ゴム隔壁を取り付けたキュベット内で、1(0.88mM)のトルエン(1.6mL)溶液を調製した。この溶液をUV−vis分光光度計内で20℃にて熱平衡状態とした。無希釈のピリジン−d5(25〜100μL)をマイクロシリンジを用いて加え、開始物質の消失(502nm)をモニタリングすることで、反応速度を追跡した。各試験について、データを5半減期にわたって収集し、一次指数関数に適合させた。指数関数曲線適合についての代表的なR2値は0.999より大きかった。
【0112】
31のX線結晶構造
表1に、結晶、強度収集(collection)および精査の詳細をまとめた。選択した結晶を、パラトン−N(Paratone−N)オイルを用いてガラス繊維に載せ、結晶ロジック(Crystal Logic)CL24低温装置を搭載したブルカー(Bruker) SMART 1000 CCD面積検出器に移した。7種類のψ値でのω−走査によってデータを収集し、次にSAINTで処理した。吸収および減衰の補正は行わなかった。SELXTLを用いて(直接法およびその後の差フーリエマップによって)解を求め、構造を精査した(F2についての全マトリクス最小二乗)。不斉単位に2つの分子がある。全ての非水素原子について異方的に精査を行った。結合元素のUeqに基づくUiso値を用いて、水素原子を計算位置に配置した。一つの分子についての適切な結合の長さおよび角度を表2に示してある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 錯体31のラベルを表示した図。
【図2】 kobsとC5D5Nのプロットを示す図。[0001]
[Prior art]
Metathesis catalysts include, for example, U.S. Pat. (All of which are incorporated herein by reference). These publications describe a ruthenium or osmium catalyst that is a distinct single component with several advantageous properties. For example, these catalysts are tolerant to various functional groups and are more active than conventionally known metathesis catalysts. Recently, an imidazolidine or triazolidine compound as described in US patent application Ser. Nos. 09 / 539,840, 09/576370 and PCT Publication No. WO 99/51344, each of which is incorporated herein by reference. Incorporating N-heterocyclic carbene (NHC) ligands such as ligands into metal-carbene complexes has been found to improve the already advantageous properties of these catalysts. As an unexpected and surprising result, it has been recognized that by changing the structure from an already established five-coordinate catalyst structure to a six-coordinate catalyst structure, the characteristics of the catalyst are greatly structured. For example, these six-coordinate catalysts of the present invention provide not only ring-closing metathesis (“RCM”) reactions, but also cross-metathesis (“CM”) reactions, reactions of acyclic olefins and ring-opening metathesis polymerization (“ROMP”). The activity and selectivity were also increased in other metathesis reactions such as) reaction.
[0002]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to a novel hexacoordinated metathesis catalyst, a process for its preparation and a process for its use. The catalyst of the present invention has the following formula.
Embedded image
Where
M is ruthenium or osmium;
X and X1Are the same or different and are each independently anionic ligands;
L, L1 ′And L2Are the same or different and are each independently any neutral electron donor ligand; one or more L, L1 ′And L2Is an N-heterocyclic carbene ligand; and
R and R1Are each independently hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. Optionally R or R1Each substituent is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenIt may be substituted with one or more moieties selected from among alkoxy and aryl, each of which is further halogenated, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted with one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any catalyst ligand can have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen. However, it is not limited to these.
In a preferred embodiment, L2And L1 ′Is pyridine and L is a phosphine or N-heterocyclic carbene ligand. Examples of N-heterocyclic carbene ligands include:
Embedded image
Where
R, R1, R6, R7, R8, R9, RTenAnd R11Each independently represents hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. Optionally R, R1, R6, R7, R8, R9, RTenAnd R11Each substituent of C is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenIt may be substituted with one or more moieties consisting of alkoxy and aryl, each of which is further substituted with halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted with one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any catalyst ligand may further have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate, and halogen. However, it is not limited to these. It has been found that the incorporation of NHC ligands into the six-coordinate ruthenium or osmium catalyst significantly improves the properties of these complexes. Since this NHC-based hexacoordination complex is extremely high in activity, the amount of catalyst required is greatly reduced.
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention generally relates to ruthenium and osmium carbene catalysts used in olefin metathesis reactions. More particularly, this invention relates to hexacoordinate ruthenium and osmium carbene catalysts and methods for their preparation and use. The terms “catalyst” and “complex” are used interchangeably herein.
[0003]
Unmodified ruthenium and osmium carbene complexes are described in US Pat. Nos. 5,312,940, 5,342,909, 5,728,917, 5,750,815 and 5,710,298, both of which are incorporated herein by reference. Is done. Both of the ruthenium and osmium carbene complexes disclosed in these patents have a metal center in the +2 oxidation state in form, have 16 electrons, and are 5-coordinated. These catalysts are of the general formula:
Embedded image
Where
M is ruthenium or osmium;
X and X1Are each independently an anionic ligand,
L and L1Are each independently any neutral electron donor ligand,
R and R1Identical or different, each independently hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. Optionally R or R1Each substituent of C is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenIt may be substituted by one or more moieties selected from among alkoxy and aryl, each of which is also halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted by one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any catalyst ligand may further have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate, and halogen. Although not limited thereto.
[0004]
The catalyst of the present invention is similar in that it is a Ru or Os complex. However, in these complexes, the metal is formally +2 oxidized, has 18 electrons, and is 6-coordinated. The catalyst has the following general formula:
Embedded image
Where
M is ruthenium or osmium;
X and X1Are the same or different, each independently an anionic ligand,
L, L1 ′And L2Are the same or different and are each independently any neutral electron donor ligand,
R and R1Are the same or different and each independently represents hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. Optionally R or R1Each substituent of is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenOptionally substituted with one or more moieties selected from among alkoxy and aryl; each moiety is further halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted with one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any catalyst ligand can have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen. However, it is not limited to these.
[0005]
Hexacoordination complexes offer several advantages over known pentacoordination complexes. For example, a hexacoordination complex is saturated in coordination, and thus has a relatively high air stability in a solid state. Since other ligands such as pyridines are reactive, these complexes start earlier than phosphine-based five-coordinate species. Slow onset means that much of the added complex is wasted because in practice only a small amount of the complex is catalytically active. Using a relatively fast initiator reduces catalyst input. Further, without being bound by theory, it is considered that the slow propagation of the hexacoordination complex due to recombination of reactive ligands with respect to phosphines leads to polydispersity. Furthermore, coordinately saturated species crystallize better than pentacoordinates. Furthermore, the reaction activity of ligands (eg, pyridine and chlorine) in hexacoordinated complexes can yield complexes that were not previously obtained with that complex, and can be obtained by various routes. A certain type of complex with high is obtained. For example, pentacoordinate benzylidene having triphenylphosphine as a phosphine ligand can be obtained with higher yield and higher purity using a hexacoordinate complex. P (p-CF as phosphine ligandThreeC6HFour)ThreeA pentacoordinate benzylidene having the following cannot be obtained by existing routes. Without being bound by theory, it is believed that the weaker donor ligand needs to replace the stronger donor ligand. Substitution of anionic ligands in hexacoordinated complexes is much faster than the corresponding pentacoordinated species (eg, phosphine linked). Without being bound by theory, it is believed that this occurs because ligand dissociation is required prior to anionic ligand substitution. Thus, complexes in which the neutral electron donor ligand dissociates rapidly undergo more rapid substitution.
[0006]
The catalysts of the present invention are also useful in ring opening metathesis polymerization (ROMP), ring closure metathesis (RCM), ADMET and cross metathesis. For the synthesis and polymerization of olefins via these metathesis reactions, see, for example, US Patent Application 09/09, entitled “Synthesis of Functionalized and Unfunctionalized Olefins,” filed June 25, 2001. No. 891144 and US patent application 09/491800, the contents of each of which are incorporated herein by reference. A preferred embodiment of the catalyst of the present invention has one or more NHC ligands attached to the metal center, as shown in the general formula below.
Embedded image
In a preferred embodiment of the catalyst of the invention, the R substituent is hydrogen;1Substituent is C1~ C20Alkyl, C2~ C20Selected from among alkenyl and aryl. In a further preferred embodiment, R1Substituent is C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be phenyl or vinyl optionally substituted with one or more moieties selected from alkoxy, phenyl and functional groups. In a particularly preferred embodiment, R1Is chlorine, bromine, iodine, fluorine, -NO2, -NMe2, Phenyl or vinyl substituted with one or more moieties selected from methyl, methoxy and phenyl. In the most preferred embodiment R1The substituent can be phenyl or -C = C (CHThree)2It is. R1When is a vinyl, the catalyst is of the general formula:
Embedded image
Where M, L, L1, L1 ′, L2, X, X1And R are as defined above. R ′ and R ″ are preferably independently hydrogen or phenyl, but R or R1Can be selected from any of the groups listed for.
[0007]
In a preferred embodiment of the catalyst of the invention, X and X1Are each independently hydrogen, halide or C1~ C20Alkyl, aryl, C1~ C20Alkoxide, aryloxide, CThree~ C20Alkyl diketonates, aryl diketonates, C1~ C20Carboxylate, aryl sulfonate, C1~ C20Alkyl sulfonate, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl or C1~ C20One of the alkylsulfinyl groups. Optionally X and X1Is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenMay be substituted with one or more moieties selected from among alkoxy and aryl; each of these moieties may further be halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted with one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In a more preferred embodiment, X and X1Is halide, benzoate, C1~ CFiveCarboxylate, C1~ CFiveAlkyl, phenoxy, C1~ CFiveAlkoxy, C1~ CFiveAlkylthio, aryl and C1~ CFiveAlkyl sulfonate. In a further preferred embodiment, X and X1Are halide and CF respectivelyThreeCO2, CHThreeCO2, CFH2CO2, (CHThree)ThreeCO, (CFThree)2(CHThree) CO, (CFThree) (CHThree)2CO, PhO, MeO, EtO, tosylate, mesylate or trifluoromethanesulfonate. In the most preferred embodiment, X and X1Are each chlorine.
[0008]
L, L1, L1 ′And L2Can be a suitable monodentate or multidentate neutral electron donor ligand. Examples of multidentate neutral electron donor ligands include bidentate, tridentate and tetradentate neutral electron donor ligands. In a preferred embodiment of the catalyst of the present invention, L, L1, L1 ′And L2Are each independently phosphine, sulfonated phosphine, phosphite, phosphinite, phosphonite, arsine, stibine, ether, amine, amide, imine, sulfoxide, carboxyl, nitrosyl, pyridine and thioether or any of them Selected from among derivatives. L, L1, L1 ′And L2At least one of may be an N-heterocyclic carbene ligand. Preferred embodiments include L1 ′And L2Are the same or different NHC ligands.
[0009]
In a preferred embodiment, L, L1, L1 ′And L2At least one of the formulas PRThreeRFourRFiveIn the formula, RThree, RFourAnd RFiveEach independently is aryl or C1~ CTenAlkyl, especially primary alkyl, secondary alkyl or cycloalkyl. In a further preferred embodiment, L, L1, L1 ′And L2At least one of each is -P (cyclohexyl)Three, -P (cyclopentyl)Three, -P (isopropyl)ThreeAnd -P (phenyl)ThreeSelected from. More preferably, L, L1, L1 ′And L2At least one of them is an NHC ligand. In a preferred embodiment, L is NHC;1Is P (cyclohexyl)ThreeOr -P (cyclopentyl)ThreeAnd L1 ′And L2Each is a heterocyclic ligand that may optionally be aromatic, or together form a bidentate ligand. Preferably L1 ′And L2Are each independently pyridine or a pyridine derivative.
[0010]
Examples of NHC ligands include ligands of the following general formula.
Embedded image
Where R, R1, R ′, R ″, R6, R7, R8, R9, RTenAnd R11Each independently represents hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. Optionally R, R1, R6, R7, R8, R9, RTenAnd R11Each substituent of C is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenOptionally substituted by one or more moieties selected from alkoxy and aryl; each of these moieties may further be halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted by one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any catalyst ligand may further have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen. However, it is not limited to these.
[0011]
In a preferred embodiment, R6, R7, R8And R9Are independently selected from hydrogen, phenyl or together, C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenFunctionality selected from alkoxy, aryl and hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen Forming an optionally substituted cycloalkyl or aryl with one or more moieties selected from among the groups; RTenAnd R11Are independently C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveFunctionality selected from alkoxy, aryl and hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen C optionally substituted by a group1~ CTenAlkyl or aryl.
[0012]
In a more preferred embodiment, R6And R7Are both hydrogen or phenyl; or R6And R7Together form a cycloalkyl group; R8And R9Is hydrogen; RTenAnd R11Each is a substituted or unsubstituted aryl. Although not bound by theory, R is relatively bulkyTenAnd R11The group is believed to yield a catalyst with improved properties such as thermal stability. In a particularly preferred embodiment, RTenAnd R11Are the same and are each independently of the formula
Embedded image
Where R12, R13And R14Are independently hydrogen, C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenA functional group selected from alkoxy, aryl or hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen is there. In a particularly preferred embodiment, R12, R13And R14Are each independently selected from hydrogen, methyl, ethyl, propyl, isopropyl, hydroxyl and halogen. In the most preferred embodiment, R12, R13And R14Are the same and are each methyl.
[0013]
In these complexes, R6, R7, R8And R9Each independently is hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20A substituent selected from alkylsulfinyl. The imidazolidine ligand is also referred to as an imidazolide-2-ylidene ligand.
[0014]
Other examples of neutral electron donor ligands include, for example, furan, thiophene, pyrrole, pyridine, bipyridine, picolilymine, γ-pyran, γ-thiopyran, phenanthroline, pyrimidine, bipyrimidine, pyrazine, indole, coumarone, thionaphthene, Carbazole, dibenzofuran, dibenzothiophene, pyrazole, imidazole, benzimidazole, oxazole, thiazole, dithiazole, isoxazole, isothiazole, quinoline, bisquinoline, isoquinoline, bisisoquinoline, acridine, chromene, phenazine, phenoxazine, phenothiazine, triazine, thianthrene, And ligands derived from unsubstituted or substituted heteroarenes such as purine, bisimidazole and bisoxazole.
[0015]
Examples of substituents include OH, halogen, C (O) ORs1, OC (O) Rs4, C (O) Rs2, Nitro, NH2, Cyano, SOThreeMy, OSOThreeMy, NR20SOThreeMy, N = N−Rs2, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, C1~ C12Alkoxy, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C12~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, C6~ CTenAryloxy, CFive~ C9Heteroaryl, CFive~ C9Heteroaryloxy, C7~ C11Aralkyl, C7~ C11Aralkyloxy, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl, C7~ CTenThere are heteroaralkenyls, monoaminos, diaminos, sulfonyls, sulfonamides, carbamides, carbamates, sulfohydrazides, carbohydrazides, carbohydroxamic acid residues and aminocarbonylamides; Rs1Is hydrogen, My, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs4Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C16~ CTenAryl, CFive~ C19Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs2And Rs20Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C1~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl or C7~ CTenHeteroaralkenyl; alkyl, alkenyl, alkoxy, cycloalkyl, cycloalkenyl, heterocyclic alkyl, heterocyclic alkenyl, aryl, aryloxy, heteroaryl, heteroaryloxy, aralkyl, aralkyloxy, heteroaralkyl, aralkenyl and hetero Aralkenyl is also unsubstituted or substituted by any of the above substituents; y is 1 and M is a monovalent metal; or y is 1/2 M is a divalent metal.
[0016]
In the context of the description of the invention, a metal and the corresponding cation are for example an alkali metal such as Li, Na or K; an alkaline earth metal such as Mg, Ca or Sr or Mn, Fe, Zn or Ag, and the corresponding Refers to a cation. Lithium ions, sodium ions and potassium ions are preferred along with their salts. NH2Monoamino, diamino, carbamide, carbamate, carbohydrazide, sulfonamide, sulfohydrazide and aminocarbonylamide are preferably R8C (O) (NH)pN (R9) ----- C (O) (NH)pNR8R9, R8OC (O) (NH)pN (R9)-, R8R40NC (O) (NH)pN (R9) ----- OC (O) (NH)pNR8R9, --N (R40) C (O) (NH)pNR8R9, R8S (O)2(NH)pN (R9)-;-S (O)2(NH)pNR8R9R8R40NS (O)2N (R9)-Or --NR40S (O)2NR8R9R;8, R9And R40Are independently of each other hydrogen, OH, C1~ C12Alkyl, C1~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C16Aralkyl, C2~ C6Alkenylene and C6~ CTenC with aryl8~ C16Aralkenyl, C6~ C15Heteroaralkyl, C6~ C15Heteroaralkenyl or di-C6~ CTenAryl-C1~ C6Alkyl or R8 ′R9 ′N; R8 ′And R9 ′Are independently of each other hydrogen, OH, SOThreeMy, OSOThreeMy, C1~ C12Alkyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl, C6~ CTenHeteroaralkyl, C2~ C6Alkenylene and C6~ CTenC with aryl8~ C16Aralkenyl or di-C6~ CTenAryl-C1~ C6Alkyl, they are unsubstituted or OH, halogen, C (O) ORs1, OC (O) Rs4, C (O) Rs2, Nitro, NH2, Cyano, SOThreeZy, OSOThreeZy, NR20SOThreeZy, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, C1~ C12Alkoxy, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, C6~ CTenAryloxy, CFive~ C9Heteroaryl, CFive~ C9Heteroaryloxy, C7~ C11Aralkyl, C7~ C11Aralkyloxy, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl, C7~ CTenSubstituted with one or more substituents from heteroaralkenyl, monoamino, diamino, sulfonyl, sulfonamido, carbamide, carbamate, sulfohydrazide, carbohydrazide, carbohydroxamic acid residues and aminocarbonylamide; Rs1Is hydrogen, Zy, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs4Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs2Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl or C7~ CTenHeteroaralkenyl; and alkyl, alkenyl, alkoxy, cycloalkyl, cycloalkenyl, heterocyclic alkyl, heterocyclic alkenyl, aryl, aryloxy, heteroaryl, heteroaryloxy, aralkyl, aralkyloxy, heteroaralkyl, aralkenyl and The heteroaralkenyl is also unsubstituted or substituted by any of the above substituents; is p 0 or 1 and y is 1 and Z is a monovalent metal Or y is 1/2 and Z is a divalent metal; or NR8R9Or --NR8 ′R9 ′Or R8R40R for N--8And R9Or R8 ′And R9 ′Or R8And R40Together, tetramethylene, pentamethylene,-(CH2)2--O-(CH2)2-,-(CH2)2--S-(CH2)2-Or-(CH2)2--NR7-(CH2)2---; R7H, C1~ C6Alkyl, C7~ C11Aralkyl, C (O) Rs2Or sulfonyl.
[0017]
A sulfonyl substituent is, for example, of the formula RTen--SO2---; RTenIs C1~ C12Alkyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; they are unsubstituted or OH, halogen, C (O) ORs1, OC (O) Rs4, C (O) Rs2, Nitro, NH2, Cyano, SOThreeZy, OSOThreeZy, NR20SOThreeZy, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, C1~ C12Alkoxy, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, C6~ CTenAryloxy, CFive~ C9Heteroaryl, CFive~ C9Heteroaryloxy, C7~ C11Aralkyl, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl, C7~ CTenSubstituted with one or more substituents selected from heteroaralkenyl, monoamino, diamino, sulfonyl, sulfonamide, carbamide, carbamate, sulfone hydrazide, carbohydrazide, carbohydroxamic acid residues and aminocarbonylamide Rs1Is hydrogen, Zy, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs4Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl or C6~ CTenHeteroaralkyl; Rs2And R20Is hydrogen, C1~ C12Alkyl, C2~ C12Alkenyl, CThree~ C12Cycloalkyl, CThree~ C12Cycloalkenyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkenyl, C6~ CTenAryl, CFive~ C9Heteroaryl, C7~ C11Aralkyl, C6~ CTenHeteroaralkyl, C8~ C11Aralkenyl or C7~ CTenHeteroaralkenyl; alkyl, alkenyl, alkoxy, cycloalkyl, cycloalkenyl, heterocyclic alkyl, heterocyclic alkenyl, aryl, aryloxy, heteroaryl, heteroaryloxy, aralkyl, heteroaralkyl, aralkenyl and heteroaralkenyl Is also unsubstituted or substituted by any of the above substituents; y is 1 and Z is a monovalent metal; or y is 1/2 and Z Is a divalent metal. Preferred neutral electron donor ligands are derived, for example, from the following groups of heteroarenes:
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A more preferred compound group is L2And L1 ′Independently of one another, unsubstituted or C1~ C12Alkyl, C2~ C11Heterocyclic alkyl, CFive~ C9It is formed when it is pyridyl substituted by one or more substituents from among heteroaryl, halogen, monoamino, diamino and —C (O) H. Examples include the following.
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Another preferred group of compounds is L2And L1 ′Together are bipyridyl, phenanthrolinyl, bithiazolyl, bipyrimidinyl or picolilymine; they are unsubstituted or C1~ C12Alkyl, C6~ CTenSubstituted by one or more substituents from among aryl and cyano; the substituents alkyl and aryl are unsubstituted or C1~ C12Alkyl, nitro, monoamino, diamino and nitro- or diamino-substituted--N = N-C6~ CTenFormed when substituted by one or more substituents from among aryl. Examples include the following:
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More preferably, L2And L1 ′Are each independently selected from:
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Where R is hydrogen or C1~ C20Alkyl, C2~ C20Alkenyl, C2~ C20Alkynyl, aryl, C1~ C20Carboxylate, C1~ C20Alkoxy, C2~ C20Alkenyloxy, C2~ C20Alkynyloxy, aryloxy, C2~ C20Alkoxycarbonyl, C1~ C20Alkylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20It is selected from among substituents selected from among alkylsulfinyl. Optionally the R group is C1~ CTenAlkyl, C1~ CTenOptionally substituted by one or more moieties selected from alkoxy and aryl; each of these moieties may further be halogen, C1~ CFiveAlkyl, C1~ CFiveIt may be substituted by one or more groups selected from alkoxy and phenyl. In addition, any heterocycle may further have one or more functional groups. Examples of suitable functional groups include hydroxyl, thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, imine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate and halogen. However, it is not limited to these. Preferably R is C1~ C20Selected from among alkyl, aryl, ether, amine, halide, nitro, ester and pyridyl.
[0018]
Preferably, complexes 1-4 are used to prepare preferred embodiments 5-29 of the complexes of the invention.
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In the above, sIMES is as follows.
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Most preferably, L is NHC, preferably an imidazolidine ligand,2And L1 ′Is pyridine.
[0020]
In all the above carbene complexes, L, L1, L1 ′, L2, X, X1, R and R11 or more of L, L1, L1 ′, L2, X, X1, R and R1May be bonded to at least one of the other to form a bidentate or multidentate ligand array.
[0021]
Synthesis:
[0022]
In general, the catalyst of the present invention is prepared by contacting an excess of a neutral electron donor ligand, such as pyridine, with the aforementioned five-coordinated metal carbene catalyst complex having the structure:
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[0023]
Where
M, X, X1, L, L1, R and R1Is as defined above;
A third neutral electron donor ligand is attached to the metal center. Scheme 1 shows a general synthesis for the formation of the hexacoordinate metal carbene complexes of the present invention.
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In the diagram, M, X, X1, L, L1, L1 ′, L2, R and R1Is as defined above.
[0024]
A preferred embodiment synthesis is shown in
Embedded image
Excess ligand L as shown in
[0028]
When a large excess (about 100 equivalents) of pyridine and complex 1 are reacted, a rapid color change occurs from red to light green and the resulting solution is transferred to cold (−10 ° C.) pentane, Bispyridine adduct (ImesH2) (Cl)2(CFiveHFiveN)2Precipitation of Ru = CHPh (31) occurs. Complex 31 can be purified by washing several times with pentane, and CH2Cl2Isolated as an air stable green solid soluble in benzene and THF. This procedure gives complex 31 in 80-85% yield and is easily performed on a scale of a few grams.
[0029]
Crystals suitable for X-ray crystal structure determination were grown by gas phase diffusion of pentane into 31 saturated benzene solutions at room temperature. Table 1 summarizes the crystallographic collection data and scrutinization parameters.
[0030]
[Table 1]
FIG. 1 shows a diagram of the complex 31 labeled, and representative bond lengths and bond angles are shown in Table 2.
[0031]
[Table 2]
Although some structural isomers of bispyridine adducts can be envisaged, from the solid state structure, pyridine is bonded in cis form and occupies a trans coordination position to the benzylidene and N-heterocyclic carbene ligands. You can see that The bond length of Ru = C (1) (benzylidene carbon) of 1.873 (4) Å is (Cl)2(PCyThree)2Ru = CHPh [d (Ru = Cα) = 1.838 (2) Å] and complex 1 [d (Ru = Cα) = 1.835 (2) Å] slightly longer than in the case of pentacoordinate ruthenium olefin metathesis catalysts. Its long Ru = C at 31αThe binding is probably due to the presence of a pyridine ligand. The bond length of Ru-C (38) (N-heterocyclic carbene) of 2.033 (4) Å is about 0.05Å shorter than that of complex 1, which is probably PCyThreeThis is because pyridine is relatively small in size compared with, and the influence of trans is not so strong. The difference of 0.15 に お け る in the bond distance of Ru-C (1) and Ru-C (38) highlights the former covalent bond and the donation of the latter ruthenium-carbene bond. Interestingly, these two types of Ru-N bond distances differ by more than 0.15 Å, indicating that benzylidene ligands have a much greater trans effect than N-heterocyclic carbenes.
[0032]
The mechanism of this ligand substitution was confirmed by examining the kinetics of the reaction between Complex 1 and pyridine. Complex 1 (0.88M toluene solution) and excess pyridine-dFiveIn the reaction with (0.18-0.69M), there is 150 nm redshift visible MLCT absorption, and UV-vis spectrum measurements can be performed after this conversion. The disappearance of the starting material (502 nm) was monitored at 20 ° C. and in all cases the data fit first order kinetics over 5 half-lives. kobsAnd a plot of [C5D5N] is shown in FIG. This data shows a good linear fit (R2= 0.999), the y-intercept (1.1 × 10-3) Is very close to zero. Rate constant of phosphine dissociation in complex 1 (kB)31As measured by P magnetization transfer experiment, k at 20 ° C.BIs 4.1 × 10-Fives-1It is. This kBThe value gives an upper limit to the rate of dissociated ligand exchange at 1, and the measured rate constant for pyridine substitution is clearly kB3 digits higher. Summing up these results, PCy with pyridineThreeSubstitution of 20°5.7 × 10 in C-2M-1s-1It is shown that the process proceeds by an association mechanism having a second-order rate constant. In marked contrast, the replacement of one phosphine ligand with an olefin substrate (the initiation event in the olefin metathesis reaction) occurs via a dissociation mechanism.
[0033]
An investigation of the initial reactivity of complex 31 shows that both pyridine ligands are reactively reactive. For example, benzylidene 31 is 1.1 equivalents of PCyThreeReacts immediately to release pyridine and regenerate complex 1. This equilibrium is due to excess CFiveDFiveN can be added back to the pyridine adduct, but is easily reformed when volatiles are removed under reduced pressure.
[0034]
31 and PCyThreeThe ease of reaction suggests that pyridine can be replaced by other ingress ligands, and the reaction of the bispyridine complex with a wide variety of phosphines allows the general formula (ImesH2) (PRThree) (Cl)2It has become clear that simple and diverse routes to obtain new ruthenium benzylidenes of Ru = CHPh can be obtained. 31 and 1.1 equivalents of PRThreeChange color from green to red / brown and corresponding PRThreeAdduct formation occurs. Residual pyridine can be removed under reduced pressure and the ruthenium product is purified by several pentane washes and / or column chromatography. This ligand substitution is defined as PPHThree, PBnThreeAnd P (n-Bu)ThreeProceeds well with a variety of alkyl- and aryl-substituted phosphines, such as 32, 33 and 34.
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Furthermore, using the method of the present invention, para-substituted triphenylphosphine derivatives 35, 36 and 37 (respectively para-substituted CFThree, Cl and OMe). The fact that the complex 35 is easily synthesized is that P (p-CFThreeC6HFour)ThreeIs a very electron deficient phosphine (χ = 20.5 cm)-1), Especially noteworthy. Triarylphosphine ruthenium complexes 32, 35-37 are valuable catalysts because they are almost two orders of magnitude more active than the parent complex 1 in olefin metathesis reactions.
[0035]
In the pyridine substitution reaction, there appears to be both steric and electronic limitations on the ingress phosphine ligand. For example, complex 31 is P (o-tolyl)ThreeDoes not produce a stable product, probably because the ingress ligand is forbidden. P (o-tolyl)ThreeHas a cone angle of 194 °, but PCyThreeThe cone angle of 170 (one of the relatively large phosphines that have been shown to substitute well for 31 pyridine) is 170 °. Furthermore, phosphine P (C6F6)ThreeDoes not react with 31 even under forced conditions. This ligand is P (p-CFThreeC6HFour)Three(Χ = 20.5cm-1) Has a much lower electron donating capacity (χ = 33.6 cm)-1) PCyThreeHas a larger cone angle (θ = 184 °).
[0036]
The method described herein can be used for complex (NHC) (PRThree) (Cl)2It provides a significant improvement over conventional synthetic routes to obtain Ru = CHPh. In previous preparations of these compounds, the bisphosphine precursor (PRThree)2(Cl)2The reaction of Ru = CHPh and NHC ligand was performed. This conversion often yields low yields (especially when NHC is small)ThreeIt was necessary to synthesize a ruthenium precursor having a ligand in parallel. Furthermore, PPhThree(Θ = 145 °; χ = 13.25 cm-1PKa= 2.73), PR with a low electron donating propertyThreeBisphosphine starting materials with ligands cannot be prepared, and there are severe limitations to the complexes that can be utilized by previous preparation methods.
[0037]
The 31 chlorine ligand is also significantly more reactive than the parent complex 1 ligand. For example, 21 reacts quantitatively with NaI within 2 hours at room temperature (ImesH2(I)2(CFiveHFiveN) Give Ru = CHPh (38). In contrast, the reaction between 1 and NaI takes about 8 hours to complete under the same conditions. Interestingly,1The HNMR spectrum measurement shows that the diiodide complex 38 has only one pyridine ligand, but the related dichloride 31 takes care of 2 equivalents of pyridine. Both the relatively large iodide ligand at 38 and the low electron affinity at the metal center (compared to 31) are believed to contribute to the formation of the pentacoordination complex in this system.
[0038]
Complex 31 further reacts quantitatively with KTp [Tp = tris (pyrazolyl) borate] within 25 hours at 25 ° C. to give a light green product Tp (ImesH2) (Cl) Ru = CHPh (39), but a similar reaction between Complex 1 and KTp is very slow (the latter reaction is less than 50% complete even after several days at room temperature). Removal of the solvent under reduced pressure, followed by filtration and washing several times with pentane and methanol gives 39 as a solid that is stable to air and moisture. Reserve1Even in the HNMR investigation, it is tetracoordinate benzylidene due to the combination of 31 and an excess amount of KOt-Bu (ImesH2)-(OtBu)2It shows that Ru = CHPh (40) is produced quantitatively within 10 minutes at room temperature. In contrast, the reaction forming 40 between 1 and KOt-Bu is not complete even after several days at 35 ° C. Complex 40 is a 14-electron intermediate involved in one olefin metathesis reaction (IMesH2) (Cl)2It can be considered as a model of Ru = CHPh.
[0039]
The present invention is based on (IMesH2) (Cl)2(PCyThree) From Ru = CHPh (1) (IMesH2) (Cl)2(CFiveHFiveN)2A procedure for preparing Ru = CHPh (31) in high yield is provided. In contrast to the reaction of 1 with the olefin substrate, this ligand substitution proceeds by an association mechanism. Complex 31 readily reacts with phosphines, making the new complexes described herein available. Complex 31 is further KOtReacts with Bu, NaI and KTp to give new 4-coordinate, 5-coordinate or 6-coordinate ruthenium benzylidenes. The method of the present invention is useful for promoting the development of new ruthenium olefin-based metathesis catalysts having structurally diverse ligand arrangements.
[0040]
Olefin metathesis
The complexes of the present invention are useful in olefin metathesis reactions, particularly polymerization reactions. These catalysts can be used in various metathesis reactions, including ring-opening metathesis polymerization of linear and non-chain cyclic olefins, ring-closing metathesis of acyclic dienes, and acyclic diene metathesis polymerization (“ADMET”). )), Self-metathesis reactions and cross-metathesis reactions, alkyne polymerization, carbonyl olefination, unsaturated polymer depolymerization, telechelic polymer synthesis and olefin synthesis, but are not limited to these It is not a thing.
[0041]
The most preferred olefin monomer used in the present invention is substituted or unsubstituted dicyclopentadiene (DCPD). A variety of DCPD suppliers and purity can be used, including Lyondel 108 (purity 94.6%), Veriscol UHP (purity 99 +%), B.I. F. Goodrich Ultren® (Goodrich Ultrane) (purity 97% and 99%) and Hitachi (purity 99 +%). Other preferred olefin monomers include other cyclopentadiene oligomers such as trimers, tetramers, pentamers; cyclooctadiene (COD; DuPont); cyclooctene (COE, Alpha Aesar); Cyclohexenyl norbornene (Shell); norbornene (Aldrich); norbornene dicarboxylic anhydride (Nadic anhydride); norbornadiene (Elf Atochem); and butyl norbornene, hexyl norbornene, octyl norbornene, decyl norbornene And substituted norbornenes. Preferably the olefin moiety includes mono- or di-substituted olefins and cycloolefins having 3 to 200 carbon atoms. Most preferably, the metathesis active olefin moiety includes, for example, cyclopentenes, cyclobutenes, cycloheptenes, cyclooctenes, [2.2.1] bicycloheptenes, [2.2.2] bicyclooctenes, benzocyclobutenes. And cyclopentadiene oligomers such as cyclopentenes, trimers, tetramers and pentamers; substituted or unsubstituted cyclic or polycyclic olefins such as cyclohexenes. Further, in such compositions, one or more carbon atoms may be halogenated, pseudohalogens, alkyl, aryl, acyl, carboxyl, alkoxy, alkyl- and arylthiolate, amino, aminoalkyl. It is also clear that it comprises a skeleton with a substituent derived from a radical moiety such as or a skeleton in which one or more carbon atoms are replaced by eg silicon, oxygen, sulfur, nitrogen, phosphorus, antimony or boron. For example, the olefin is thiol, thioether, ketone, aldehyde, ester, ether, amine, amide, nitro, carboxylic acid, disulfide, carbonate, isocyanate, phosphate, phosphite, sulfate, sulfite, sulfonyl, carbodiimide, carboalkoxy, carbamate , Optionally substituted with one or more groups such as halogen or pseudohalogen. Similarly, olefins are C1~ C20Alkyl, aryl, acyl, C1~ C20Alkoxide, aryloxide, CThree~ C20Alkyl diketonates, aryl diketonates, C1~ C20Carboxylate, aryl sulfonate, C1~ C20Alkyl sulfonate, C1~ C20Alkylthio, arylthio, C1~ C20Alkylsulfonyl and C1~ C20Alkylsulfinyl, C1~ C20It may be substituted with one or more groups such as alkyl phosphates, aryl phosphates, etc., and these moieties may be substituted or unsubstituted.
[0042]
These olefin monomers can be used alone or mixed together in various combinations to adjust the properties of the olefin monomer composition. For example, a mixture of cyclopentadiene dimer and trimer has a lower melting point, resulting in a cured olefin copolymer having improved mechanical strength and rigidity compared to pure polyDCPD. As another example, the incorporation of COD, norbornene or alkyl norbornene comonomers tends to yield relatively flexible and resilient cured olefin copolymers. Polyolefin compositions formed from metathesis reactions are susceptible to thermal curing, and include additives, stabilizers, speed modifiers, curing and / or toughness modifiers, fillers and carbon fibers, glass fibers, aramid fibers (eg, Kevlar) (Kevlar and Twaron®), polyethylene fibers (eg Spectra® and Dyneema®), polyparaphenylene benzobisoxazole fibers (eg Zylon®) )), Polybenzoamidazole fibers (PBI) (but not limited to) and their hybrids and other polymer fibers.
[0043]
In the metathesis reaction, formulation adjuvants may optionally be used. Known adjuvants include antistatic agents, antioxidants (primary antioxidants, secondary antioxidants or mixtures thereof), ceramics, light stabilizers, plasticizers, dyes, pigments, fillers, reinforcing fibers. , Lubricants, adhesion promoters, thickeners and release promoters. Examples of fillers for improving optical, physical, mechanical and electrical properties include powders, beads and fibrous glass and quartz, metal and metalloid oxides, carbonates (eg : MgCOThree, CaCOThree), Dolomite, metal sulfates (eg gypsum and barite), natural and synthetic silicates (eg zeolites, wollastonite and feldspar), carbon fibers, and plastic fibers or powders.
[0044]
The UV and oxidation resistance of the polyolefin composition obtained from the metathesis reaction using the carbene complex of the present invention is determined by primary antioxidants (eg, sterically hindered phenols), secondary antioxidants (eg: organic phosphites, thioesters). ), Light stabilizers (eg, sterically hindered amine light stabilizers or HALS), and US patent application Ser. No. 09/498120 filed Feb. 4, 2000, the contents of which are incorporated herein by reference. It can be improved by adding various stabilizing additives such as the ultraviolet absorbers described in (1) (for example, hydroxybenzophenone absorber, hydroxyphenylbenzotriazole absorber, etc.).
[0045]
Examples of primary antioxidants include, for example, 4,4′-methylenebis (2,6-di-tert-butylphenol) (Etanox 702®; Albemarle Corporation), 1,3, 5-trimethyl-2,4,6-tris (3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzyl) benzene (Etanox 330 (registered trademark); Albemare), octadecyl-3- (3 ', 5' -Di-tert-butyl-4'-hydroxyphenyl) propionate (Irganox 1076®; Ciba-Geigy) and pentaerythritol tetrakis (3- (3,5-di-tert-butyl-4-) Hydroxyphenyl) propionate) (irgano (Registered trademark) 1010; Ciba-Geigy). Examples of secondary antioxidants include tris (2,4-di-tert-butylphenyl) phosphite (Irgafos® 168; Ciba Geigy), 1:11 (3,6,9-trio). Xadecyl) bis (dodecylthio) propionate (Wingstay® SN-1; Goodyear). Examples of light stabilizers and light absorbers include bis (1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidinyl)-[[3,5-bis (1,1-dimethylethyl) -4-hydroxy. Phenyl] methyl] butyl malonate (Tinuvin® 144HALS; Ciba Geigy), 2- (2H-benzotriazol-2-yl) -4,6-ditertpentylphenol (Tinuvin® 328 absorption Agent; Ciba-Geigy), 2,4-di-tert-butyl-6- (5-chlorobenzotriazol-2-yl) phenyl (Tinuvin® 327 absorbent; Ciba-Geigy), 2-hydroxy-4- (octyl) Oxy) benzophenone (Chimassorb® 81 absorbent; Ciba Geigy) .
[0046]
Further, for example, triphenylphosphine (TPP), tricyclopentylphosphine, tricyclohexylphosphine, triisopropylphosphine, trialkyl phosphites, triaryl phosphites, mixed phosphites or US Pat. No. 5,939,504 and US patent application 09. / 130586 (each of which is incorporated herein by reference) may be added to the olefin monomer with a suitable rate regulator, such as those described in other Lewis bases such as those described herein, and the polymerization rate may be increased as necessary. Can be delayed or promoted.
[0047]
The resulting polyolefin compositions and the members and articles prepared therefrom are, for example, reaction injection molded (RIM), resin transfer molded (RTM) and VARTM (vacuum RTM) and SCRIMP (Seemann composite resin injection molding). It can be processed by various methods such as modified methods using vacuum, open casting, rotational molding, centrifugal molding, filament winding and machining. These processing compositions are known in the art. Various molding and processing methods are described, for example, in PCT Publication No. WO 97/20865, the disclosure of which is incorporated herein.
[0048]
This metathesis reaction can be carried out in the presence or absence of a solvent. Examples of solvents that can be used in this polymerization reaction include organic solvents, protic solvents or aqueous solvents that are preferably inert under the polymerization conditions. Examples of such solvents include aromatic hydrocarbons, chlorinated hydrocarbons, ethers, aliphatic hydrocarbons, alcohols, water or mixtures thereof. Preferred solvents include benzene, toluene, p-xylene, methylene chloride, dichloroethane, dichlorobenzene, chlorobenzene, tetrahydrofuran, diethyl ether, pentane, methanol, ethanol, water or mixtures thereof. More preferably, the solvent is benzene, toluene, p-xylene, methylene chloride, dichloroethane, dichlorobenzene, chlorobenzene, tetrahydrofuran, diethyl ether, pentane, methanol, ethanol or mixtures thereof. Most preferably the solvent is toluene or a mixture of benzene and methylene chloride. The solubility of the polymer formed in the polymerization reaction depends on the choice of solvent and the molecular weight of the resulting polymer.
[0049]
The complexes of the present invention have a good ligand environment that can be flexible in adjusting and fine-tuning the activity level, stability, solubility and ease of recovery of these catalysts. The solubility of the carbene compound can be controlled by appropriately selecting a hydrophobic or hydrophilic ligand known in the art. The desired solubility of the catalyst depends mainly on the solubility of the reaction substrate and reaction product.
[0050]
The metal carbene complexes of the present invention exhibit a high initiation rate that consumes most if not all of the complex added to the reaction. Therefore, less catalyst is wasted in the metathesis reaction. In contrast, conventional five-coordinate initiators had a relatively large amount of extractables (ie, unpolymerized monomers) that remained after the reaction was complete. The growth rate is also delayed by the presence of the two types of pyridine ligands. High initiation rates and low growth rates result in polymers having narrow polydispersities compared to those obtained with conventional pentacoordination complexes. Furthermore, it has been confirmed that the starting speed is increased by heating. Thermal initiation of pentacoordination complexes is described in US Pat. No. 6,107,420, the contents of which are incorporated herein. The initiation and / or rate of metathesis polymerization using the catalyst of the present invention is controlled by a process comprising contacting the catalyst of the present invention with an olefin and heating the reaction mixture. As a surprising and unexpected result, the thermal initiation T of the catalyst of the present inventionmaxIs the conventional five-coordinate catalyst TmaxConsiderably higher. Without being bound by theory, if the part or article being manufactured is of a type of filling system (eg, a system containing reinforcing fillers, fibers, beads, etc.), in a reaction using a metathesis catalyst, It is important in that the filling material can act as a heat sink. When conventional five-coordinate catalysts are used, post-curing may be necessary due to the influence of the heat sink arising from the filling system. ROMP polymerization in the presence of a peroxide crosslinker using a pentacoordinate catalyst is described in US Pat. No. 5,728,785, the disclosure of which is incorporated herein. In contrast, reactions using the six coordination catalyst of the present invention generate much more internal heat. This high TmaxReduces the need for post-curing. Furthermore, even when peroxides or radicals are added to promote crosslinking, the degree of crosslinking at the part using the radical mechanism is compared to the part obtained using conventional five-coordinated metathesis catalysts. high. Furthermore, the half-life is determined by the maximum temperature. The use of the catalyst of the present invention provides a significant commercial advantage since the half-life is significantly reduced, reducing the amount of catalyst required. Although not bound by theory, TmaxA high value indicates that in the ROMP reaction, more rings are opened and the degree of curing is increased. TmaxThe higher the value is, the extractables are almost zero, indicating that almost all reactable molecules react. For example, vinylidenes are advantageous in that they are more stable at higher temperatures than alkylidenes. When the reaction mixture is added with the protected NHC (eg, US Provisional Applications 60/288680 and 60/278111, each of which is incorporated herein by reference), the peak exotherm In addition, the time to peak is greatly reduced, and a high peak exotherm means that more catalyst is available for polymerization and extractables are reduced to zero. Thus, the catalyst of the present invention has better conversion and better properties even in the presence of fillers and additives.
[0051]
For clarity, the invention will be described in detail with reference to particularly preferred embodiments. However, it should be understood that these embodiments and examples are for illustrative purposes only and are not intended to limit the scope of the invention.
[0052]
Example
General procedure
Organometallic compounds are handled in a dry argon atmosphere or a nitrogen-filled vacuum atmosphere dry box (O2<2 ppm) using the standard Schlenk method. The NMR spectrum is from Varian Inova (1For H, 499.85 MHz;31202.34 MHz for P;13125.69 MHz for C) or Varian Mercury 300 (1299.817 for H;31121.39 MHz for P;13C was recorded at 74.45 MHz).31PNMR spectrum is HThreePOFour(Δ = 0 ppm) was used as a reference. The UV-bis spectrum was recorded with a HP8452A diode-array spectrophotometer.
[0053]
Materials and methods
By passing through a solvent purification column, pentane, toluene, benzene and benzene-d6Was dried. CaH2The pyridine was dried by vacuum transfer from All phosphines and KTp were obtained from commercial sources and used as received. Ruthenium complex 1 was prepared according to literature procedures.
[0054]
(IMesH 2 ) (C 12 H 8 N 2 ) (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 1,10-phenanthroline (0.85 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours, during which time a color change from dark purple to brown orange was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a brown orange solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C12H8N2) (Cl)2Ru = CHPh5 was obtained as a brownish orange powder (1.7 g, yield 96%).
[0055]
(IMesH 2 ) (C Five H Four BrN) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 3-bromopyridine (1.50 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (CFiveHFourBrN)2(Cl)2Ru = CHPh6 was obtained as a light green powder (1.8 g, 86% yield).
[0056]
(IMesH 2 ) (C 9 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-pyrrolidinopyridine (1.40 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C9H12N2)2(Cl)2Ru = CHPh7 was obtained as a light green powder (1.9 g, 93% yield).
[0057]
1HNMR (300 MHz, CD2Cl2): Δ 19.05 (s, 1H, CHPh), 8.31 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.6 Hz), 7.63 (d, 2H, ortho CH, JHH= 8.4 Hz), 7.49 (t, 1H, Para CH, JHH= 7.4 Hz), 7.33 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.9 Hz), 7.10 (t, 2H, meta CH, JHH= 8.0 Hz), 7.03 (brs, 2H, MesCH), 6.78 (brs, 2H, MesCH), 6.36 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.3 Hz), 6.05 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.9 Hz), 4.08 (brd, 4H, NCH2CH2N), 3.30 (m, 4H, pyrrolidine CH2), 3.19 (m, 4H, pyrrolidine CH2) 2.61-1.22 (multiple peaks, 18H, MesCHThree), 2.02 (m, 4H, pyrrolidine CH2) 1.94 (m, 4H, pyrrolidine CH2).
[0058]
Example: DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass 75 g (IMesH2) (C9H12N2)2(Cl)2Polymerization was conducted using Ru = CHPh = 0.151 g at a starting temperature of about 24.2 ° C. and a DCPD: Ru ratio of about 30,000: 1. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 194 seconds. Tmax= 208.9 ° C. Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 165 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 1.3%.
[0059]
(IMesH 2 ) (C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-methylpyridine (0.88 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C6H7N)2(Cl)2Ru = CHPh8 was obtained as a light green powder (1.5 g, 84% yield).
[0060]
(IMesH 2 ) (C Ten H 8 N 2 ) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Dissolved in Complex 1 (2.0 g), toluene (10 mL) and 4,4′-bipyridine (0.74 g, 2 molar equivalents) were added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. Meanwhile, a color change from dark purple to brown orange was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a brown orange solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (CTenH8N2)2(Cl)2Ru = CHPh9 was obtained as a brown-orange powder (1.4 g, 71% yield).
[0061]
1HNMR (500 MHz, CD2Cl2): Δ 19.15 (s, 1H, CHPh), 8.73 to 8.68 (multiple peak, 8H, pyridine CH), 7.63 to 6.77 (multiple peak, 17H, pyridine CH, para CH, meta CH, MesCH), 4.08 (brd, 4H, NCH2CH2N), 2.61-2.24 (multiple peaks, 18H, MesCHThree).
[0062]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (CTenH8N2)2(Cl)2Polymerization was carried out at a starting temperature of about 24.2 ° C. using Ru = CHPh = 0.153 g and a DCPD: Ru ratio of about 30,000: 1. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 953 seconds. Tmax= 124.2 ° C.
[0063]
(IMesH 2 ) (C 7 H Ten N 2 ) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-dimethylaminopyridine (1.18 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C7HTenN2)2(Cl)2Ru = CHPh10 was obtained as a light green powder (1.9 g, 99% yield).
[0064]
1HNMR (500 MHz, CD2Cl2): Δ 19.10 (s, 1H, CHPh), 8.18 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.5 Hz), 7.64 (d, 2H, ortho CH, JHH= 7.5 Hz), 7.48 (t, 1H, Para CH, JHH= 7.0 Hz), 7.38 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.5 Hz), 7.08 (t, 2H, meta CH, JHH= 7.5 Hz), 7.00 (brs, 2H, MesCH), 6.77 (brs, 2H, MesCH), 6.49 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.0 Hz), 6.15 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 7.0 Hz), 4.07 (brd, 4H, NCH)2CH2N), 2.98 (s, 6H, pyridine CHThree), 2.88 (s, 6H, pyridine CHThree), 2.61-2.21 (multiple peaks, 18H, MesCHThree).
[0065]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (C7HTenN2)2(Cl)2Polymerization was performed using Ru = CHPh = 0.0141 g with a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 24.2 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 389 seconds. Tmax= 175.3 ° C.
[0066]
(IMesH 2 ) (C Ten H 8 N 2 ) (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 2,2′-bipyridine (0.74 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. In the meantime, the reaction mixture in which a color change from purple to dark brown-red was observed was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane, and a brown solid was precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (CTenH8N2) (Cl)2Ru = CHPh11 was obtained as a brownish red powder (0.7 g, 41% yield).
[0067]
(IMesH 2 ) (C 6 H Five NO) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 2-pyridinecarboxaldehyde (1.01 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to dark blue was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a dark blue solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C6HFiveNO)2(Cl)2Ru = CHPh12 was obtained as a dark blue powder (1.3 g, 70% yield).
[0068]
(IMesH 2 ) (C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-phenylpyridine (1.50 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to dark green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a dark green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C11H9N)2(Cl)2Ru = CHPh13 was obtained as a dark green powder (2.0 g, 97% yield).
[0069]
1HNMR (500 MHz, CD2Cl2): Δ 19.23 (s, 1H, CHPh), 8.74 (brs, 2H, pyridine), 7.91 (brs, 2H, pyridine), 7.70 to 7.08 (multiple peaks, 19H, ortho CH) , Para CH, meta CH, pyridine), 6.93 (brs, 2H, MesCH) 6.79 (brs, 2H, MesCH), 4.05 (brs, 4H, NCH)2CH2N) 2.62 to 2.29 (multiple peaks, 18H, MesCHThree).
[0070]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (C11H9N)2(Cl)2Polymerization was conducted using Ru = CHPh = 0.153 g at a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 13.4 ° C.
[0071]
Result: Maximum temperature (TmaxTime to reach) = 145 seconds. Tmax= 202.2 ° C.
Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 168 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 1.17%.
[0072]
(IMesH 2 ) (C 18 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 2,2′-biquinoline (1.21 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a slight color change from dark purple to brown was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a brownish purple solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C18H12N2)2(Cl)2Ru = CHPh14 was obtained as a brownish purple powder (1.8 g, yield 93%).
[0073]
(IMesH 2 ) (C Five H Five N) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh
Complex 1 (1.1 g, 1.3 mmol) was dissolved in toluene and pyridine (10 mL) was added. The reaction was stirred for 10 minutes. During that time, a color change from pink to light green was observed. The reaction mixture was transferred by cannula to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane, and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of pentane, vacuum dried and (IMesH2) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CHPh was obtained as a green powder (0.75 g, yield 80%). C6H6Samples for elemental analysis were prepared by recrystallization from / pentane followed by vacuum drying. These samples were presumably due to the loss of pyridine under reduced pressure due to monopyridine adduct (IMesH2) (CFiveHFiveN) (Cl)2Analyzed as Ru = CHPh.
[0074]
1HNMR (C6H6): ∂ 19.67 (s, 1H, CHPh), 8.84 (brs, 2H, pyridine), 8.39 (brs, 2H, pyridine), 8.07 (d, 2H, ortho-CH, JHH= 8 Hz), 7.15 (t, 1H, Para CH, JHH= 7 Hz), 6.83 to 6.04 (wide multiple peaks, 9H, pyridine and MesCH), 3.37 (brd, 4H, CH2CH2) 2.79 (brs, 6H, MesCHThree), 2.45 (brs, 6H, MesCHThree), 2.04 (brs, 6H, MesCHThree).
[0075]
13C {1H} NMR (C6D6): ∂314.90 (m, Ru = CHPh), 219.10 (s, Ru—C (N)2), 152.94, 150.84, 139.92, 138.38, 136.87, 135.99, 134.97, 131.10, 130.11, 129.88, 128.69, 123.38, 51.98, 51.37, 21.39, 20.96, 19.32.
C33H37NThreeCl2Elemental analysis of Ru
Calculated: C, 61.20; H, 5.76; N, 6.49
Found: C, 61.25; H, 5.76; N, 6.58.
[0076]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Polymerization was performed using Ru = CHPh = 0.127 g at a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 12.1 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 173 seconds. Tmax= 201.9 ° C. Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 164 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 1.05%.
[0077]
Polymerization example: 50 g of hexyl norbornene lump (IMesH2) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CHPh = 0.068 g, HxPolymerization was performed at an N: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 12.2 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 99 seconds. Tmax= 140.7 ° C.
[0078]
(PCp Three ) (C 12 H 8 N 2 ) (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 2 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 1,10-phenanthroline (1.01 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. Meanwhile, a color change from dark purple to red-brown was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a red-brown solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCpThree) (C12H8N2) (Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)215 was obtained as a red-brown powder (1.8 g, 98% yield).
[0079]
(PCp Three ) (C Five H Four BrN) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH/ U> Three ) 2 Synthesis of
Complex 2 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 3-bromopyridine (1.76 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCpThree) (CFiveHFourBrN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)216 was obtained as a green powder (0.2 g, 10% yield).
[0080]
(PCp Three ) (C Five H Five N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 2 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and pyridine (0.88 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCpThree) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)217 was obtained as a green powder (0.6 g, 34% yield).
[0081]
(PCp Three ) (C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 2 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-methylpyridine (1.04 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCpThree) (C6H7N)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)218 was obtained as a light green powder (1.4 g, 75% yield).
[0082]
(PCy Three ) (C 12 H 8 N 2 ) (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 3 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 1,10-phenanthroline (0.91 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. Meanwhile, a color change from dark purple to orange brown was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and an orange brown solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCyThree) (C12H8N2) (Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)219 was obtained as an orange brown powder (1.7 g, 97% yield).
[0083]
(PCy Three ) (C Five H Four BrN) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 3 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 3-bromopyridine (1.58 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, no significant color change from dark purple was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a purple solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCyThree) (CFiveHFourBrN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)220 was obtained as a purple powder (1.4 g, 67% yield).
[0084]
(PCy Three ) (C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 3 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-phenylpyridine (1.55 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to brown was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a brown solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCyThree) (C11H9N)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)221 was obtained as a brown powder (1.6 g, 77% yield).
[0085]
(PCy Three ) (C 6 H 7 N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 3 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-methylpyridine (0.93 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCyThree) (C6H7N)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)222 was obtained as a green powder (1.6 g, 91% yield).
[0086]
(PCy Three ) (C Five H Five N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 3 (2.0 g) was dissolved in toluene (10 mL) and pyridine (0.79 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from dark purple to light green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a light green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and (PCyThree) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)223 was obtained as a light green powder (1.4 g, 83% yield).
[0087]
(IMesH 2 ) (C 11 H 9 N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 4 (1.5 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-phenylpyridine (1.13 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 2 hours. During that time, a color change from brown to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C11H9N)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)224 was obtained as a green powder (0.9 g, yield 58%).
[0088]
(IMesH 2 ) (C 9 H 12 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 4 (1.5 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-pyrrolidinopyridine (1.08 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 2 hours. During that time, a color change from brown to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (C9H12N2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)225 was obtained as a green powder (1.0 g, 65% yield).
[0089]
1HNMR (300 MHz, CD2Cl2): Δ 19.05 (d, 1H, CH—CH═C (CHThree)2, JHH= 11 Hz), 8.14 (brs, 2H, pyridine CH), 7.69 (d, 1H, CH-CH = C (CHThree)2, JHH= 11 Hz), 7.36 (d, 2H, pyridine CH, JHH= 6.0 Hz), 7.04 (s, 2H, MesCH), 6.81 (s, 2H, MesCH), 6.36 (brs, 2H, pyridine CH), 6.12 (d, 2H, pyridine CH) , JHH= 6.0 Hz), 4.06 (md, 4H, NCH2CH2N), 3.29 (brs, 4H, pyrrolidine CH2), 3.23 (brs, 4H, pyrrolidine CH2), 2.55 to 2.12 (multiple peaks, 18H, MesCHThree), 2.02 (brs, 4H, pyrrolidine CH2) 1.97 (brs, 4H, pyrrolidine CH2), 1.10 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2), 1.08 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2).
[0090]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (C9H12N2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)2= 0.0147 g was used to polymerize at a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 24.7 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 181 seconds. Tmax= 200.9 ° C. Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 144 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 3.93%.
[0091]
(IMesH 2 ) (C Ten H 8 N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 4 (1.5 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4,4′-bipyridine (0.57 g, 2 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 2 hours. During that time, no significant color change from brown was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a brown solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL of cold pentane, vacuum dried and (IMesH2) (CTenH8N2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)226 was obtained as a brown powder (1.0 g, yield 64%)
[0092]
(IMesH 2 ) (C 7 H Ten N 2 ) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 4 (1.5 g) was dissolved in toluene (10 mL) and 4-dimethylaminopyridine (0.89 g, 4 molar equivalents) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 2 hours. During that time, a color change from brown to green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, dried in vacuo,2) (C7HTenN2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)227 was obtained as a green powder (0.9 g, yield 63%).
[0093]
1HNMR (500 MHz, CD2Cl2): Δ 19.10 (d, 1H, CH—CH═C (CHThree)2, JHH= 11.5 Hz), 8.18 (brs, 2H, pyridine CH), 7.69 (d, 1H, CH-CH = C (CHThree)2, JHH= 11.5 Hz), 7.41 (brs, 2H, MesCH), 6.49 (brs, 2H, pyridine CH), 6.24 (brs, 2H, MesCH), 4.06 (brm, 4H, NCH)2CH2N), 2.99 (s, 6H, pyridine CHThree), 2.59 (s, 6H, pyridine CHThree) 2.36-2.12 (multiple peaks, 18H, MesCHThree), 1.07 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2), 1.06 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2).
[0094]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (C7HTenN2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)2= 0.0138 g was used for polymerization at a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 24.2 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 200 seconds. Tmax= 200.9 ° C. Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 145 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 4.57%.
[0095]
Polymerization example: 50 g of hexyl norbornene lump (IMesH2) (C7HTenN2)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)2= 0.0074 g, HxPolymerization was performed at an N: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 16.2 ° C. Result: Maximum temperature (Tmax) Time to reach = 182 seconds. Tmax= 141.7 ° C.
[0096]
(IMesH 2 ) (C Five H Five N) 2 (Cl) 2 Ru = CH-CH = C (CH Three ) 2 Synthesis of
Complex 4 (0.5 g) was dissolved in toluene (10 mL) and pyridine (10 mL) was added. The reaction flask was purged with argon and the reaction mixture was stirred at about 20 ° C. to about 25 ° C. for about 12 hours. During that time, a color change from brown to brown-green was observed. The reaction mixture was transferred to 75 mL of cold (about 0 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 20 mL cold pentane, vacuum dried and 28 (IMesH2) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)2Was obtained as green crystals (0.2 g, 47% yield).
[0097]
1HNMR (300 MHz, CD2Cl2): Δ? 19.19 (d, 1H, Ru = CH-CH = C (CHThree)2, JHH= 10.8 Hz), 8.60-6.85 (multiple peaks, 15H, pyridine, MesCH, Ru = CH-CH = C (CHThree)24.07 (m, 4H, NCH2CH2N), 2.58-2.27 (multiple peaks, 12H, MesCHThree) 2.31 (s, 3H, MesCHThree), 2.19 (s, 3H, MesCHThree), 1.09 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2), 1.08 (s, 3H, CH-CH = C (CHThree)2).
[0098]
Polymerization example: 75 g of DCPD (containing about 24% trimerized DCPD) mass (IMesH2) (CFiveHFiveN)2(Cl)2Ru = CH-CH = C (CHThree)2= 0.0123 g was used for polymerization at a DCPD: Ru ratio (about 30,000: 1) and an onset temperature of about 12.5 ° C. Result: Maximum temperature (TmaxTime to reach) = 129 seconds. Tmax= 197.1 ° C. Glass transition temperature measured by thermomechanical analysis (TMA) = 157 ° C. Residual monomer% (toluene extraction at room temperature) = 2.13%.
[0099]
(IMesH 2 ) (C Five H Five N) 2 (Cl) 2 Synthesis of Ru = CHPh (31)
Dissolved in Complex 1 (4.0 g, 4.7 mmol), toluene (10 mL) and pyridine (30 mL, 0.37 mol) were added. The reaction was stirred for 10 minutes. During that time, a color change from red to light green was observed. The reaction mixture was transferred via cannula into 100 mL of cold (−10 ° C.) pentane and a green solid precipitated. The precipitate was filtered, washed 4 times with 50 mL of pentane and dried in vacuo to give 31 as a green powder (2.9 g, 85% yield). C6H6Samples for elemental analysis were prepared by recrystallization from / pentane followed by vacuum drying. These samples were presumably due to the loss of pyridine under reduced pressure, due to the monopyridine adduct (IMesH2) (CFiveHFiveN) (C1)2Analyzed as Ru = CHPh.
[0100]
1HNMR (C6D6): Δ 19.67 (s, 1H, CHPh), 8.84 (brs, 2H, pyridine), 8.39 (brs, 2H, pyridine), 8.07 (d, 2H, ortho CH, JHH= 8 Hz), 7.15 (t, 1H, Para CH, JHH= 7 Hz), 6.83-6.04 (br multiple peaks, 9H, pyridine, MesCH), 3.37 (brd, 4H, CH2CH2) 2.79 (brs, 6H, MesCHThree), 2.45 (brs, 6H, MesCHThree), 2.04 (brs, 6H, MesCHThree).
[0101]
C {1H} NMR (C6D6): Δ 314.90 (m, Ru = CHPh), 219.10 (s, Ru—C (N)2), 152.94, 150.84, 139.92, 138.38, 136.87, 135.99, 134.97, 131.10, 130.11, 129.88, 128.69, 123.38, 51.98, 51.37, 21.39, 20.96, 19.32.
C33H37NThreeC12Elemental analysis of Ru
Calculated: C, 61.20; H, 5.76; N, 6.49;
Found: C, 61.25; H, 5.76; N, 6.58.
[0102]
Phosphine complex: IMesH 2 ) (PPh Three ) (Cl) 2 Representative synthesis of Ru = CHPh (41)
[0103]
Complex 31 (150 mg, 0.21 mmol) and PPhThree(76 mg, 0.28 mmol) was mixed in benzene (10 mL) and stirred for 10 minutes. The solvent was removed under reduced pressure and the resulting brown residue was washed 4 times with 20 mL of pentane and dried in vacuo. Complex 41 was obtained as a brown powder (125 mg, 73% yield).
[0104]
31P {1H} NMR (C6D6): Δ 37.7 (s).
1HNMR (C7D8): Δ 19.60 (s, 1H, Ru = CHPh), 7.70 (d, 2H, ortho-CH, JHH= 8 Hz), 7.29 to 6.71 (multiple peaks, 20H, PPh)Three, Para CH, meta CH and MesCH), 6.27 (s, 2H, MesCH), 3.39 (m, 4H, CH2CH2) 2.74 (s, 6H, ortho CHThree), 2.34 (s, 6H, ortho CHThree), 2.23 (s, 3H, para-CHThree) 1.91 (s, 3H, para-CHThree).
[0105]
13C {1H} NMR (C6D6): Δ 305.34 (m, Ru-CHPh), 219.57 (d, Ru-C (N))2, JCP= 92 Hz), 151.69 (d, JCP= 4 Hz), 139.68, 138.35, 138.10, 138.97, 137.78, 135.89135.21, 135.13, 131.96, 131.65, 131.36, 130.47, 129.83, 129.59 (d, JCP= 2Hz), 129.15, 128.92, 128.68, 128.00, 52.11 (d, JCP= 4 Hz), 51.44 (d, JCP= 2 Hz), 21.67, 21.35, 21.04, 19.21.
C46H47N2Cl2Elemental analysis of PRu
Calculated: C, 66.50; H, 5.70; N, 3.37;
Found: C, 66.82; H, 5.76; N, 3.29.
[0106]
(IMesH 2 ) (O t Bu) 2 Synthesis of Ru = CHPh (42)
Complex 31 (7.5 mg, 0.010 mmol) and KO in an NMR tube under nitrogentBu (3 mg, 0.027 mmol) in C6D6(0.6 mL). The reaction mixture was left for 15-20 minutes. During that time, a color change from green to dark red was observed. And after 30 minutes, the NMR spectrum was recorded.
[0107]
1HNMR (C6D6): Δ 16.56 (s, 1H, Ru = CHPh), 7.63 (d, 2H, ortho-CH, JHH= 7 Hz), 7.2-7.1 (multiple peaks, 3H, meta-CH and ortho-CH), 6.97 (s, 4H, MesCH), 3.43 (s, 4HCH)2CH2), 2.59 (s, 12H, ortho CHThree), 2.29 (s, 6H, para CHThree), 1.18 (s, 18H,tBu).
[0108]
Tp (IMesH 2 ) (Cl) Synthesis of Ru = CHPh (43)
KTp (87 mg, 0.34 mmol) and complex 31 (125 mg, 0.17 mmol) were added to CH2C12(10 mL) and stirred for 1 hour. Pentane (20 mL) was added to precipitate the salt and the reaction was stirred for an additional 30 minutes and then cannula filtered. The resulting light green solution was concentrated and the solid residue was washed with pentane (2 × 10 mL) and methanol (2 × 10 mL) and dried in vacuo to yield 43 (84 mg, 66% yield) analytically pure As a green powder.
[0109]
1HNMR (CD2C12): Δ 18.73 (s, 1H, Ru = CHPh), 7.87 (d, 1H, Tp, JHH= 2.4 Hz), 7.41 (d, 1H, Tp, JHH= 2.1 Hz), 7.35 to 7.30 (multiple peaks, 3H, Tp and para CH), 7.08 (d, 1H, Tp, JHH= 1.5 Hz), 6.82 (brs, 5H, MesCH, ortho-CH and meta-CH), 6.24 (brs, 3H, MesCH), 6.16 (t, 1H, Tp, JHH= 1.8 Hz) 5.95 (d, 1H, Tp, JHH= 1.5 Hz), 5.69 (t, 1H, Tp, JHH= 2.4 Hz), 5.50 (t, 1H, Tp, JHH= 1.8Hz), 3.77 (brd, 4H, CH2CH2) 2.91-0.893 (wide multiple peaks, 18H, ortho CHThree, Para CHThree).
[0110]
13C {1H} (CD2C12): Δ324.29 (m, Ru = CHPh), 220.57 (s, Ru—C (N)2), 151.50, 146.08, 145.39, 142.07, 137.94, 136.57, 134.41, 133.18, 130.60 (br), 129.55, 127.98, 106 .41, 105.19, 104.51, 53.77 (br), 21.26, 20.32 (br).
C37H42N8Elemental analysis of ClBRu
Calculated: C, 59.56; H, 5.67; N, 15.02;
Found: C, 59.20; H, 5.67; N, 14.72.
[0111]
1 and C Five D Five Kinetics of reaction with N
A 1 (0.88 mM) solution in toluene (1.6 mL) was prepared in a cuvette fitted with a rubber septum. This solution was brought into thermal equilibrium at 20 ° C. in a UV-vis spectrophotometer. Undiluted pyridine-dFiveThe reaction rate was followed by adding (25-100 μL) using a microsyringe and monitoring the disappearance of the starting material (502 nm). For each test, data was collected over 5 half-lives and fitted to a first order exponential function. Typical R for exponential curve fitting2The value was greater than 0.999.
[0112]
31 X-ray crystal structure
Table 1 summarizes the details of the crystals, intensity collection and scrutiny. Selected crystals were placed on glass fibers using Paratone-N oil and transferred to a Bruker SMART 1000 CCD area detector equipped with a Crystal Logic CL24 cryostat. Data were collected by ω-scan with 7 different ψ values and then processed with SAINT. Absorption and attenuation corrections were not made. Using SELXTL (direct method and subsequent difference Fourier map) to find the solution and probe the structure (F2The total matrix least squares). There are two molecules in the asymmetric unit. All non-hydrogen atoms were examined anisotropically. Binding element UeqU based onisoThe hydrogen atom was placed at the calculated position using the value. Appropriate bond lengths and angles for one molecule are shown in Table 2.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a label of a complex 31. FIG.
FIG. 2 kobsThe figure which shows the plot of C5D5N.
Claims (23)
Mはルテニウムまたはオスミウムであり;
XおよびX1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立してアニオン配位子であり;
L、L1′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して任意の中性電子供与体配位子であり;少なくとも1つのL、L1′およびL2がN−複素環カルベン配位子であり;
RおよびR1は同一であるか、または異なっており、それぞれ独立して水素であるか、またはC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルのうちから選択される置換または未置換の置換基である]A compound of the formula
M is ruthenium or osmium;
X and X 1 are the same or different and are each independently an anionic ligand;
L, L 1 ' and L 2 are the same or different and are each independently any neutral electron donor ligand; at least one L, L 1' and L 2 is N- A heterocyclic carbene ligand;
R and R 1 are the same or different and are each independently hydrogen or C 1 -C 20 alkyl, C 2 -C 20 alkenyl, C 2 -C 20 alkynyl, aryl, C 1 -C 20 carboxylate, C 1 -C 20 alkoxy, C 2 -C 20 alkenyloxy, C 2 -C 20 alkynyloxy, aryloxy, C 2 -C 20 alkoxycarbonyl, C 1 -C 20 alkylthio, C 1 ~ A substituted or unsubstituted substituent selected from C 20 alkylsulfonyl and C 1 -C 20 alkylsulfinyl]
Mはルテニウムであり;
XおよびX1はそれぞれ独立して、ハライド、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレートまたはトリフルオロメタンスルホネートのうちから選択され;
LはN−複素環カルベン配位子であり;
L1′およびL2は同一であるか、または異なっており、それぞれ置換または未置換ヘテロアレーンであり;
Rは水素であり;R1はC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニルおよびアリールのうちから選択される]A compound of the formula
M is ruthenium;
X and X 1 are each independently a halide, CF 3 CO 2 , CH 3 CO 2 , CFH 2 CO 2 , (CH 3 ) 3 CO, (CF 3 ) 2 (CH 3 ) CO, (CF 3 ) ( Selected from CH 3 ) 2 CO, PhO, MeO, EtO, tosylate, mesylate or trifluoromethanesulfonate;
L is an N-heterocyclic carbene ligand;
L 1 ′ and L 2 are the same or different and are each substituted or unsubstituted heteroarene;
R is hydrogen; R 1 is selected from C 1 -C 20 alkyl, C 2 -C 20 alkenyl and aryl]
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