JP4641340B2

JP4641340B2 - ワイパー基布及びその製法

Info

Publication number: JP4641340B2
Application number: JP2000285067A
Authority: JP
Inventors: 範之石橋; 伸匡林
Original assignee: Nippon Paper Crecia Co Ltd
Current assignee: Nippon Paper Crecia Co Ltd
Priority date: 2000-09-20
Filing date: 2000-09-20
Publication date: 2011-03-02
Anticipated expiration: 2020-09-20
Also published as: JP2002088660A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メルトブローン不繊布とパルプシートをヒートエンボスロールで貼り合せることによって、吸液性、ワイピング性に優れ、低コストで生産可能なワイパー基布を提供するものである。
【０００２】
【従来の技術】
メルトブローン不繊布は、マイクロファイバーで構成されているためワイピング性能に優れる、連続繊維で構成されているため発塵量が少ない、疎水性樹脂を原料とするため保油性に優れるなどの特徴をもつことから、優秀なワイパー基布として知られている反面、疎水性樹脂を原料とするためそのままでは吸水性がなく、吸水性を付与するには親水処理を必要とするが、その場合親水処理剤の溶出が問題となる、コストが高いなどの欠点をもっている。
【０００３】
一方、パルプシートも、吸水性に優れる、コストが安いなどの特徴をもつことから、優秀なワイパー基布として知られているが、湿潤時の強度が低い、発塵量が多いなどの欠点がある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は両者の長所を併備することによって互いの欠点を補完した高性能ワイパー基布を低コストで生産することを可能にする。すなわち、パルプシートを積層することで高吸水性と原材料費の低減を実現し、メルトブローン不繊布を積層することで優れたワイピング性能と高湿潤強度、低発塵性を実現する。また、ヒートエンボスロールによる熱接着であるため、拭き取り作業時にバインダーなどの溶出によるトラブルが発生しない。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイパー基布は、坪量５〜１００ｇ/ｍ ^２の針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、麻、又は再生紙パルプのいずれかからなるパルプシートと、親水処理を施さない坪量３〜１００ｇ/ｍ ^２のメルトブローン不繊布を２層以上積層し、ヒートエンボスロールで熱接着してなり、前記パルプシートの両面に前記メルトブローン不繊布が積層されていることを特徴とする。本発明ワイパー基布の成分構成比はパルプシート５〜９５ｗｔ％、不繊布シート９５〜５ｗｔ％であり、好ましくは、不繊布シート／パルプシート／不繊布シートの３層構造で、パルプシート４０〜９０ｗｔ％、不繊布シート６０〜１０ｗｔ％で構成されるとよい。熱接着はヒートエンボスロールによって行い、融着部はシート表面積に対して２〜５０％、好ましくは５〜３０％とする。
【０００６】
本発明のワイパー基布に使用するパルプシートは、坪量５〜１００ｇ/ｍ^２とする。原料としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、麻、再生紙パルプなどが利用できる。また、熱接着をより強固にする目的で、熱融着繊維を配合してもよい。
【０００７】
本発明のワイパー基布に使用するメルトブローン不繊布は、坪量３〜１００ｇ/ｍ^２とする。原料としては、ポリプロピレン、ポリエステル等の各種樹脂が使用可能であるが、安価で融点が比較的低いポリプロピレンが好適である。目的によっては、親水処理を施したものも使用可能である。
接着方法は、簡便、低コストで、バインダー等を使用しないヒートエンボスロールによる熱接着である。熱接着による融着部はシート表面積に対して、２〜５０％、好ましくは５〜３０％とする。融着部が５％より少ないと十分な接着強度が得られず、３０％より多いと融着部による吸水性能の阻害が問題となる。
【０００８】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【０００９】
＜実施例１＞
メルトブローン不繊布１５ｇ/ｍ^２／パルプシート４５ｇ/ｍ^２／メルトブローン不繊布１５ｇ/ｍ^２の３層構造のワイパー基布を作製した。メルトブローン不繊布にはポリプロピレン１００％、パルプシートには針葉樹晒パルプ１００％を使用した。これらのシートを積層し、温度１２０℃、線圧３０ｋｇ/ｃｍの条件下で、エンボスロールにより熱接着した。融着面積は１５％、融着パターンは直径１ｍｍの円形であった。性能評価の結果を市販パルプワイパーおよび市販ＰＰメルトブローンワイパーと比較して表１に示した。
【００１０】
【表１】

【００１１】
［測定方法］
・湿潤強度
精製水で湿潤させ、テンシロン引張試験機にて測定。サンプルは２５ｍｍ幅、引張速度は３００ｍｍ/ｍｉｎ、表中の数値は縦強度に横強度を乗じたものの平方根。
・保水量測定方法
７５ｍｍ×７５ｍｍの試験片を水に２分間浸漬後、飽和状態下で３０分間水切りし、重量を測定する。水切りにはペーパータオルを３ｍｍ×３８ｍｍにカットして使用する。図１のように、水を張った密閉容器内に３０分間吊り下げる。
・保油量測定方法
日石機械油（ＦＢＫ−１００）を用い、保水量の測定と同様の手順で行う。
・拭取率測定方法
平滑なステンレスプレート上に日石機械油（ＦＢＫ−１００）を３０ｍｇ滴下し、これを９ｇ/ｃｍ^２の加重下に３６ｃｍ^２のシートで拭き取ったときの除去率。
・発塵量測定方法
２０ｃｍ四方のシートを手で３０秒間揉みながら雰囲気を吸引し、１立方フィート中に含まれる直径０．３μｍ以上の大きさのリント数をパーティクルカウンターによって計数する。表中の数値はシート１ｍ^２当りに換算したもの。
【００１２】
【発明の効果】
表より明らかなように、本発明のワイパー基布は、性能が優秀であるといわれる親水処理を施したＰＰメルトブローンワイパーに比べて湿潤強度は劣るものの（坪量の違いもある）、保水量と保油量においては遜色がない。拭取率もパルプワイパーよりは格段に高く、ＰＰメルトブローンワイパーに近い値を示している。発塵率はパルプワイパーより著しく少なく、親水処理を施したＰＰメルトブローンワイパーのように処理剤の溶出も起こさない。このような高性能のワイパー基布が低コストで製造可能であり、該製品のもつ工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図１】保水量の測定における飽和状態下での水切りを示す模式図である。
【符号の説明】
１………試験片
２………水切り
３………水
４………蓋
５………吊り下げ具

Claims

坪量５〜１００ｇ/ｍ^２の針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、麻、又は再生紙パルプのいずれかからなるパルプシートと、親水処理を施さない坪量３〜１００ｇ/ｍ^２のメルトブローン不繊布を２層以上積層し、ヒートエンボスロールで熱接着してなり、前記パルプシートの両面に前記メルトブローン不繊布が積層されていることを特徴とするワイパー基布。
パルプシート５〜９５ｗｔ％、不繊布シート９５〜５ｗｔ％からなる請求項１記載のワイパー基布。
パルプシート４０〜９０ｗｔ％、不繊布シート６０〜１０ｗｔ％で構成される請求項１または２記載のワイパー基布。
熱接着による融着部がシート表面積に対して２〜５０％である請求項１から３までのいずれか１項記載のワイパー基布。
請求項１から４までのいずれか１項記載のワイパー基布の製法。