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JP4640904B2 - ステアリングダンパ装置 - Google Patents

ステアリングダンパ装置 Download PDF

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JP4640904B2
JP4640904B2 JP2001272568A JP2001272568A JP4640904B2 JP 4640904 B2 JP4640904 B2 JP 4640904B2 JP 2001272568 A JP2001272568 A JP 2001272568A JP 2001272568 A JP2001272568 A JP 2001272568A JP 4640904 B2 JP4640904 B2 JP 4640904B2
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行時におけるハンドルの振れを抑制するために用いられる自動2輪車用の液圧式ステアリングダンパ装置に係り、特に減衰力を可変にできるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
外乱時のキックバック等によるハンドルの振れを防止するため、振れに対して減衰力を発生する液圧式ステアリングダンパ装置が公知である(一例として特許2593461号)。また、必要なときのみ減衰力を発生し、その他の場合は余計な減衰力を発生しないように減衰力を可変とするものも公知であり、例えば、ステアリング角と走行速度に基づいて制御するもの(特開昭63−64888号)、前輪荷重の変化に基づいて制御するもの(特公平7−74023号)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように液圧を利用するステアリングダンパにおいては、外乱時等においてハンドルへ入力される外力に応じて減衰力の発生をコントロールしたとしても、作動液の液温変化により減衰力が変化する。したがって正確に減衰力をコントロールするためには、作動液の液温変化に基づく補正が必要になる。しかしながら、このような配慮をした液圧式ステアリングダンパはまだ知られていない。また、作動液の液温変化を測定するには複雑な構造が要求される特別な測定手段を必要とし、部品点数が増加するとともにコストアップとなる。そこで本願発明はこのようなことなく減衰力を容易に温度補正できるステアリングダンパの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の発明は、車体前部に支持された前輪操舵系の回動動作に減衰力を加えるとともにこの減衰力の大きさを可変とする液圧式ステアリングダンパ装置において、燃料噴射システムに使用される吸気装置周辺の吸気温度測定用温度センサの測定温度に基づいてステアリングダンパの液温を予測し、その予測に基づいて前記減衰力の大きさを補正することを特徴とする。
【0005】
さらに、上記請求項1において、テアリング軸の回転角速度に対する減衰力特性について、高温状態では、その傾きを正規設定値よりも小さくするとともに、低温状態では、その傾きを正規設定値よりも大きくすること特徴とする。
【0006】
【発明の効果】
請求項1によれば、車体の所定位置に配置した温度センサーの測定温度に基づいて減衰力を温度補正するので、減衰力を作動液の温度変化に応じて補正することができる。したがって減衰力を実際の温度に対応したより適正なものにできる。
【0007】
そのうえ、ステアリングダンパ自体の発熱は少なく、作動液の液温をステアリングダンパ外部の周辺温度により予測可能であるから、ステアリングダンパにおける作動液の液温を直接測定せず、車体のステアリングダンパと異なる場所に配置した温度センサーの測定温度を用いることができるので、複雑な特別の測定手段を不用にでき、温度検出を簡単にできる。しかも、電子燃料噴射システムでは必須の吸気温度センサーを利用し、その温度情報を用いることができるので、ステアリングダンパのために特別な温度センサーを設ける必要がなく、部品の利用効率を高めるとともに、部品点数を削減できかつコストダウンが可能になる。
【0008】
そのうえ、作動液の温度が基準温度よりも高いときは、正規設定値よりも傾きを小さくし、基準温度よりも低いときは、傾きを大きくするので、実質的に基準温度において発生すべき減衰力と同じくなるよう適正な値に補正でき、作動液の温度変化に関わらず常時適正な減衰力を発生させることが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて第1実施例を説明する。図1は本実施例の適用される自動2輪車を示す斜視図、図2はステアリングダンパが設けられた車体前部構造側面図、図3は同部分の平面図、図4はステアリングダンパの概略構造を示す図、図5は燃料噴射システムの構成図、図6は温度補正方法を示すグラフである。
【0010】
図1において、前輪1を下端に支持するフロントフォーク2の上部は車体フレーム3の前部へ連結され、ハンドル4にて回動自在になっている。車体フレーム3上には燃料タンク5が支持されている。符号6はシート、7はリヤカウル、8はリヤスイングアーム、9は後輪である。
【0011】
次に、ステアリングダンパについて説明する。図2、3に示すように、ステアリングダンパ10はハンドル4が取付けられているトップブリッジ11と車体フレーム3の前端部であるヘッド部3aとの間に設けられている。トップブリッジ11は下方のボトムブリッジ12と対をなして、ヘッドパイプ13に支持されているステアリング軸14を上下に挟んで一体化され、これらトップブリッジ11、ボトムブリッジ12及びステアリング軸14は一体に回動する。
【0012】
トップブリッジ11とボトムブリッジ12には左右一対のフロントフォーク2の各上部が支持される。ヘッドパイプ13は車体フレーム3のヘッド部3aへ一体に形成されたパイプ状部分である。なお車体フレーム3はヘッド部3aとその後端部左右から対をなして左右後方へ延出するメインフレーム部3bを備える(図3)。トップブリッジ11の前部中央には前方へ一体に突出するステー11aが設けられ、ここにハンドルロックと一体のメインスイッチ15が支持され、キー16によりON/OFF及び解錠等操作される。
【0013】
本実施例のステアリングダンパ10はキックバックを防止するための液圧式減衰器であり、本体部17とフタ18を備え(図2)、その後部側はボルト20により、ヘッドパイプ13近傍における車体フレーム3のヘッド部3a上面に上方へ突出して一体に形成されたボス21へ締結され、このとき、本体部17とフタ18が共締めで一体化される。ボス21には予めナット部が形成されている。
【0014】
ボス21の左右でヘッド部3aの後部上面には一段高くなった段部3cが形成され、ここに燃料タンク5の前端部左右に形成されたステー5aが、ラバー22aを介してボルト22bにより防振取付されている。ステー5aは燃料タンク5の前部中央に前方及び上方へ向かって開放された凹部5bの前端部両側から車体中央側へ突出して形成され、メインフレーム部3bの前端部が接続する部分近傍にて段部3cへ重なるようになっている。
【0015】
燃料タンク5の下にはエアクリーナ19が配置され、その前端部も凹部5bの下方位置にて、ヘッド部3a後端の取付部3dへボルト19aにより取付けられている。取付部3dは段部3cから連続して後方かつ凹部5bの下方へ張り出した部分である(図2)。
【0016】
ステアリングダンパ10の前部にはシャフト23が軸線を図2の上下方向に向けて貫通して設けられ、シャフト23の下端はステアリングダンパ10の本体部17から下方へ突出してステアリング軸14の上端へ嵌合し、一体回転可能に連結されている。シャフト23はステアリング軸14と同軸上に配置される。
符号24はステアリングナットであり、ステアリング軸14の上端をトップブリッジ11へ締結している。シャフト23の下端はこのステアリングナット24の中央部に形成された穴を貫通する。
【0017】
シャフト23の上部側はフタ18を上方へ貫通し、その上端部はフタ18の上へ固定された回転角度センサー25内へ入り込んでいる。回転角度センサー25は電気抵抗等を用いた公知のものであり、シャフト23とステアリングダンパ10の本体部17側との相対的な回動に対する回転角度を検出し、これによりシャフト23と一体に回転するステアリング軸14の回転角度を検出してこの検出信号を後述する制御装置へ入力するようになっている。
【0018】
図3に示すステアリングダンパ10はフタ18を除いて本体部17側の構造を示しており、符号26は本体部17に設けられた凹部によって形成される略扇形の液室、27は右液室、28は左液室、30はこれら左右の液室を区画する隔壁であり、一端がシャフト23と一体化し、シャフト23と一体に回動する。31は制御バルブ、32は上記制御装置である。
【0019】
なお、ステアリングロック15とステアリング軸14及びシャフト23は車体中心線Cに対して略同一直線上に位置し、ステアリングロック15と制御バルブ31及び制御装置32はステアリングダンパ10を挟んで前後方向反対側に位置し、制御バルブ31と制御装置32は車体中心線Cを挟んで左右に配置され、これら制御バルブ31と制御装置32は本体部17の後部へ取付けられている。
【0020】
図4はステアリングダンパ10の構造を概略的に示す。なお、本図は原理的な説明のためのものであり、本図において示された制御バルブ31及び制御装置32並びに後述の液体通路の各配置は、説明の都合上、図3と異なる実際とは反対の、液室26に対して車体前方側に配置してある。この図においてステアリングダンパ10の内部は後方へ向かって広がる扇状の液室26が設けられ、その扇の要に相当する位置にシャフト23が位置し、シャフト23から翼状をなして一体に後方へ延出する隔壁30により液室26の内部は右液室27と左液室28に2分される。
【0021】
隔壁30の先端は摺動面をなし、液室26の弧状壁29の内面に沿って回動する。右液室27及び左液室28にはオイル等の非圧縮性の液体が封入され、液体通路33により連絡されている。したがって、前輪が左右方向へ首振り振動すると、ステアリング軸14及びシャフト23を介して前輪と連動する隔壁30の回動により(図3中の仮想線)、容積が狭くなった方の液室から作動液が液体通路33を通って反対側の拡大した液室へ移動して、液室の容積変化に対応する。
【0022】
液体通路33の中間部には制御バルブ31が設けられる。制御バルブ31は減衰力を生ずるための可変絞り通路を有する。このため絞り通路の通路断面積を変化させることにより、上記左右の液室間における容積変化に伴う作動液の液体移動を制限して可変減衰力を発生させることができる。本実施例では駆動部を直線的に移動させるリニヤソレノイドで構成されている。
【0023】
制御バルブ31の絞りは制御装置32により制御される。制御装置32はECU等で構成され、前記回転角度センサー25の検出信号に基づく回転角度を時間で微分して回転角速度を計算し、その回転角速度の大きさに応じて制御バルブ31の絞りを変化させて減衰力を適正な値に調整する。また、後述するように補正用のセンサー信号として、電子燃料噴射システムのセンサー群を構成する、例えば、吸気温度センサー34、スロットル開度センサー35及びエンジン回転数センサー36等の各検出信号も必要により入力され、減衰力の補正が行われる。
【0024】
図5は電子燃料噴射システムの構成図であり、エアクリーナ19の出口と吸気通路40の接続部近傍に設けられた吸気温度センサー34により吸気温度を検出し、吸気通路40の中間部にはスロットル開度センサー35が設けられてスロットルバルブ41の開度を検出し、エンジン42のクランク軸近傍にはエンジン回転数センサー36が設けられてエンジンの回転数を検出する。
【0025】
図中の符号43は電子燃料噴射用のインジェクター、44は燃料ポンプ、45は電子燃料噴射システムの制御装置であるECU、46は車体速度センサーである。
【0026】
次に、本実施例の作用を説明する。直進時には、ライダーがハンドルを抑えて中立位置に保持するが、前輪1が路面状況により首振り変動を生じると、この首振り角度に応じて図6の直線状の実線で示す正規設定値により、制御装置32が比例関係で減衰力を発生させる。図6は横軸にステアリング軸14の回転角速度、縦軸に減衰力(ダンパー・トルク)をとり、実線で示す正規設定値はステアリングダンパ10の作動液が基準温度(例えば、常温)のときにおけるステアリング軸14の回転角速度とステアリングダンパ10において発生すべき減衰力の大きさを示すグラフである。
【0027】
したがって、ステアリング軸14の回転角速度が小さなときは小さな減衰力を発生させてハンドル操作を軽快にし、ステアリング軸14の回転角速度が大きくなればなる程大きな減衰力を発生させて、隔壁30の回動を適正に規制し、さらにシャフト23を介してステアリング軸14の回動を適正に規制することによりキックバックを効果的に阻止することができる。
【0028】
また、作動液の温度が変化すると密度が変化するので、同じ体積の液体移動量であっても作動液の温度によって減衰力の発生程度が異なる。そこで作動液の温度が基準温度よりも高いときは、図6に破線で示すように正規設定値よりも傾きの小さな高温用補正線を用いて、回転角速度に対して減衰力の発生割合をより少なくする。これにより実質的に基準温度において発生すべき減衰力と同じくなるよう適正な値に補正できる。
【0029】
作動液の温度が基準温度よりも低いときは、図6に一点鎖線で示すように正規設定値よりも傾きの大きな低温用補正線を用いて減衰力を適正に補正する。このように、作動液の温度変化に応じて減衰力を補正できるため、作動液の温度変化に関わらず常時適正な減衰力を発生させることが可能になった。
【0030】
このような温度補正は、吸気温度センサー34の検出する温度に基づいて行われる。すなわち吸気温度センサー34の検出温度が基準温度よりも高低いずれかにずれていれば、制御装置32は上記高温用又は低温用のいずれかの補正線を用いて適正な減衰力を演算して制御バルブ31を駆動制御する。
【0031】
このとき、ステアリングダンパ10自体による発熱程度は無視できる程度であるから、作動液の温度を雰囲気温度と同程度に推定することが可能であり、この雰囲気温度は吸気温度センサー34の検出する吸気温度とほぼ同様のものと見なせる。したがって吸気温度センサー34による検出温度を作動液の温度として利用でき、ステアリングダンパ10における作動液の液温を直接測定せず、車体のステアリングダンパ10と異なる場所であるエアクリーナ19とその下流側における吸気通路40の接続部近傍に配置した温度センサー34の測定温度を用いることができるので、複雑な特別の測定手段を不用にでき、温度検出を簡単にできる。
【0032】
しかも、吸気温度センサー34は電子燃料噴射システムにおいて必須の構成センサーであるから、これを活用することにより、作動液温度検出用の特別なセンサーの設置を不要にでき、部品の利用効率を高めるとともに、液圧式ステアリングダンパ10におけるセンサー構造を簡単化しそのうえ部品点数を削減できかつコストダウンできる。
【0033】
なお、上記温度補正に加えてさらに種々の補正を加えることができる。例えばスロットル開度センサー35で検出されるスロットル開度を時間で微分して得られるスロットル開速度により補正すれば、車体の加速度変化に対応した減衰力の補正が可能になる。また、これにスロットル開度を加えればより精密な補正が可能になる。
【0034】
また、上記スロットル開速度とスロットル開度とともに、エンジン回転数センサー36により検出されるエンジンの回転数を加えることができ、さらに図示しないギヤポジションスイッチによって検出されるギヤポジション信号を加えることもでき、このようにすれば実際の走行状態により即した補正が可能になる。
【0035】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず、同一の発明原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、温度センサーはステアリングダンパ10外部の別の場所である車体上に配置したものであれば、吸気温度センサー34以外のものでもよい。また、吸気温度センサー34を利用する場合であっても、近傍に配置する吸気装置は必ずしも電子燃料噴射システムではなく、気化器等の自然吸気形式のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の適用される自動2輪車の斜視図
【図2】 ステアリングダンパ装置部分を示す車体前部の側面図
【図3】 同上部分の平面図
【図4】 ステアリングダンパの概略構造を示す図
【図5】 電子燃料噴射システムの構成図
【図6】 温度補正を方法を示すグラフ
【符号の説明】
1:前輪、2:フロントフォーク、3:車体フレーム、10:ステアリングダンパ、11:トップブリッジ、14:ステアリング軸、23:シャフト、25:回転角速度センサー、26:液室、30:隔壁、31:制御バルブ、32:制御装置、34:吸気温度センサー

Claims (1)

  1. 車体前部に支持された前輪操舵系の回動動作に減衰力を加えるとともにこの減衰力の大きさを可変とする液圧式ステアリングダンパ装置において、
    燃料噴射システムに使用される吸気装置周辺の吸気温度測定用温度センサの測定温度に基づいてステアリングダンパの油温を予測し、その予測に基づいて前記減衰力の大きさを補正するとともに、
    ステアリング軸の回転角速度に対する減衰力特性について、高温状態では、その傾きを正規設定値よりも小さくし、低温状態では、その傾きを正規設定値よりも大きくすることを特徴とするステアリングダンパ装置。
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