JP4539867B2 - ジオトリカム属菌を用いた発酵おから等の製造法 - Google Patents
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Description
例えば、豆腐や豆乳を作るときの副産物として発生するおからには、腐敗を進め、食品としての価値を損なう原因となるバチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)や食中毒菌のバチルス・セリウス(Bacillus cereus)などの細菌が芽胞の状態で生存しているが、本発明によれば、これらの細菌類の増殖を蒸煮滅菌のように熱エネルギーを多量に用いることなく防止することが可能であり、同時にキチン・キトサン含有多糖体を付加し、機能性を高めることができる。さらに麹菌類などとの共生発酵により、おからを始めとする糠やふすまなどの食品廃棄物を美味しくて香りの良い栄養価が豊富な機能性食品へと安全且つ容易に、多量に効率よく加工生産することができる。しかも貴重な食資源のリサイクルと環境負荷軽減に役立てることができる。本発明は、種々の食品および飲料の加工にも利用可能であり、食品工業の発展に大きく寄与するものである。
A) ジオトリカム属菌を発酵スタータとして使用することを特徴とする発酵食品(発酵飲料を含む意味。以下同じ。)の製造法。
B) ジオトリカム属菌を発酵スタータとして使用することを特徴とする発酵おからの製造法。
C) おから、糠、ふすま、その他穀類の処理過程で産生する副産物を原材料に使用した発酵食品の製造法において、腐敗防止のためジオトリカム属菌を原材料に加えて発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵食品の製造法。
D) 豆乳等の清涼飲料水、又は牛乳その他動物の乳、もしくはこれらを加工して作られる乳製品を原材料に使用した発酵食品の製造法において、ジオトリカム属菌を原材料に加えて発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵食品の製造法。
E) テンペ菌、及び/又は麹菌を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、上記A)〜D)のいずれかに記載の製造法。
F) リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、及び/又はアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、上記E)記載の製造法。
G) リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、上記E)記載の製造法。
H) ジオトリカム属菌が有する抗菌性を利用して、食材の腐敗を防止することを特徴とする食材の腐敗防止法。
I) ジオトリカム属菌が有する抗菌性を利用して、おからの腐敗を防止することを特徴とするおからの腐敗防止法。
J) おから等の食材の腐敗防止剤であって、ジオトリカム属菌を含有する腐敗防止剤。
K) ジオトリカム属菌により、バチルス属細菌類および大腸菌などの細菌の生育を阻害することを特徴とする、細菌の生育阻害剤。
L) ジオトリカム属菌を使用して製造される発酵おから。
M) 上記L)記載の発酵おからを原材料として使用することを特徴とするおから利用食品の製造法。
N) ジオトリカム属菌として、ジオトリカム・フラグランス(Geotrichum fragrans)、ジオトリカム・カンディダム(Geotrichum candidum)、ジオトリカム・アミラリエ(Geotrichum armillariae)、ジオトリカム・キャピタタム(Geotrichum capitatum)、ジオトリカム・リンキ(Geotrichum linkii)、 ジオトリカム・セリシュウム(Geotrichum sericeum)、ジオトリカム・シトリ‐アウランティ(Geotrichum citri-aurantii)、ジオトリカム・プルモニュウム(Geotrichum pulmoneum)、ジオトリカム・クレバタム(Geotrichum clavatum)、ジオトリカム・エリエンス(Geotrichum eriense)、ジオトリカム・ファメンタンス(Geotrichum fermentans)及びジオトリカム・クレバニィ(Geotrichum klebahnii)種から選ばれる1又は複数のジオトリカム属菌を使用することを特徴とする、上記A)〜I)のいずれかに記載の方法。
O) ジオトリカム属菌として、ジオトリカム・フラグランス(Geotrichum fragrans)、及び/又はジオトリカム・カンディダム(Geotrichum candidum)を使用することを特徴とする上記N)記載の方法。
[1]発酵おから及びおから利用食品の製造法
本実施形態では、ジオトリカム属菌を発酵スタータとして使用して、発酵おからを製造する方法、更にその発酵おからを利用したおから利用食品の製造法の概要について説明する。
ジオトリカム属菌の抗菌性を次の方法により検証した。使用したジオトリカム属菌は、ジオトリカム・フラグランスCBS127.76菌株、ジオトリカム・フラグランスCBS164.32菌株、およびジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株の3種類である。一方、検定菌としては、グラム陽性菌のバチルス・サブチルスとバチルス・セリウス、およびグラム陰性菌である大腸菌の3種類を用いた。
次に、食品の風味を改善する果実様フレーバー産生能をジオトリカム属菌が有するかどうかについて、ジオトリカム・フラグランスCBS127.76菌株を用いて次のように検討した。まず、液体培地を調製した。重量比で脱塩水300ml、D-グルコース2%、ポリペプトン0.5%、イーストエキストラクト0.3%、マルトエキス0.016%からなる培地をpH5.6に調整し、3000ml容量のコルベンに入れ、121℃で15分間オートクレーブ処理した。クリーンベンチにて28℃に放冷後、前培養したジオトリカム・フラグランスCBS127.76菌株の菌液1mlを植菌した。そして振盪培養機で温度28℃、振盪速度140rpm、好気的条件で30時間振とう培養した。その後、培養菌液をザルトリウスろ過装置およびメンブレンフィルター(ミリポア、0.2μm)にて菌体と通過液とにろ過分離し、この通過液を検体としてガスクロマトグラフィー(PERKIN ELMER社製AUTO SYSTEM XL型)にて分析を行った。
本発明者は、ジオトリカム属菌の菌糸体細胞壁にキチン・キトサンを含む多糖体が存在し、このキチン・キトサンは海老・蟹由来のキチン・キトサンに比べて優れた特長を有すること、また、ジオトリカム属菌からこのキチン・キトサンを含む多糖体含有物を多量に効率よく製造することができることを明らかにしている(特願2005−329742号明細書、および後述の実施例参照)。
本実施例として、おからの発酵操作によって得られる発酵大豆ファイバー(発酵おから)の製造方法を説明する。実施にあたり、ジオトリカム属菌の菌体を多量に効率よく得ることが必要である。その方法としては、固形培地によるものと液体培地による培養法が考えられるが、ここでは生産効率が遥かに優れる液体培地による培養法を採用した。培地の組成としては、重量比で脱塩水1、D-グルコース2%、ポリペプトン0.5%、イーストエキストラクト0.3%、マルトエキス0.0167%からなる溶液をpH5.6に調整した後、コルベンなどの培養容器に入れ、121℃で15分間オートクレーブ処理後に28℃まで冷却し、これを本培養液(培地)として用いる。なお、各栄養成分の配合比率は適宜変更して用いても良い。
実施例1と同様に培地を調製し、滅菌済み液体培地を試験管5本に各々7ml分注し、冷却後ジオトリカム・フラグランスCBS164.32菌株をクリーンベンチにて1白金耳植菌し、振盪培養機で温度30℃、振盪速度140rpm、好気的条件で24時間振盪培養した。この前培養菌液の中から最も生育の良い菌体液100μlをコルベンの本培養液(培地)300mlに植菌して培養を開始した。なお、前培養菌液の植菌量は、概ね100μl以上であればよい。培養条件は次のとおりで各設定値を任意に組み合わせ、計10回実施した。培養液温度は24℃から32℃、振盪速度は100rpm〜150rpmの範囲で培養した。
クリーンベンチにて、ジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株を、実施例1と同様に調製した滅菌冷却済み液体培地7mlがそれぞれ入った試験管5本に1白金耳ずつ植菌し、振盪培養機で温度30℃、振盪速度140rpm、好気的条件で24時間振盪培養した。この前培養菌液の中から最も生育の良い菌体液100μlをコルベンの本培養液(培地)300mlに植菌して培養を開始した。なお、前培養菌液の植菌量は、概ね100μl以上であればよい。培養条件は次のとおりで各設定値を任意に組み合わせ、計10回実施した。培養液温度は24℃から32℃、振盪速度100rpm〜150rpmの範囲で培養した。
本培養に供するジオトリカム属菌の集菌を以って発酵操作に入る。発酵に用いる生おからは、神戸市内の豆腐製造工場で作られた有機おからを求めた。成分は概ね次のとおりである。参考として記述するが、この内容は大豆の種類および豆腐製造法によって変化する。
次いで、ジオトリカム・フラグランス(G. fragrans)、リゾプス・オリゴスポラス(R. oligosporus)、およびアスペルギルス・ニガー(A. niger)の3菌体を用いて共生発酵を試み、計4回行った。発酵に使用した生おからは、神戸市内の豆腐製造工場で作られた有機おからを用いた。クリーンベンチ内で30℃まで自然冷却したおからに、ジオトリカム・フラグランスのスラリー様培養菌体液、テンペ菌であるリゾプス・オリゴスポラス、および焼酎醸造用の麹菌であるアスペルギルス・ニガーを図11に示すとおりに添加してよく混ぜ合わせ、ステンレス製金網式棚4枚にそれぞれ試験区毎に盛り込んだ。発酵条件・環境設定は、実施例4と同じである。これを予め28℃にサーミスタを設定した発酵チャンバーに入れ、発酵を開始した。なお菌体の植菌量の加減は各々増減しても共生発酵が可能である。リゾプス・オリゴスポラスとアスペルギルス・ニガーは、秋田今野商店より入手した種麹菌を用いた。ジオトリカム・フラグランスにはCBS127.76株を用い、前述の培地で30時間液体培養した培養菌液10mlを植菌した。発酵おから(発酵生産物)は、使用する菌と発酵時間を変えて発酵を行い、図11に示すようにA,B,C,Dの4種類製造した。各発酵おからについて、おからと各種菌の使用量、発酵時間は図11に示すとおりである。また、これら4種類の発酵おからについて、各種酵素活性を測定した。その結果は図12に示す。なお、今回の実験では、セルラーゼの活性は確認しなかった。
発酵大豆ファイバー(発酵おから)を、味噌原料の大豆の代替として用いた味噌の試醸を説明する。まず仕込みに入る。発酵おから6割(6kg)と米麹4割(4kg)の割合で塩分濃度12%に調整した仕込み水1Lに酵母菌(Z. rouxii)と乳酸菌を含んだ味噌だね(300g)を溶かし、これを添加してよく攪拌する。これをポリエチレン袋に入れ、しっかり空気を押し出して密閉し、発酵容器に入れて中ふたを載せ、その上に重量約5kgの重石を置き、常温の25℃〜30℃の範囲で発酵を開始した。2ヵ月後に封を開け天地返しを行った。香りはすこぶるよく、褐変反応が進み、味はやや甘みがあり旨味成分が非常に強く感じられた。おからの繊維質もなめらかになり、一般の味噌と遜色ない出来上がりになっていた。また、上層部より滲み出した、たまり様の液体を試飲すると一般の醤油に比べて濃厚な旨味とよい香りであった。醤油に勝るとも劣らない調味液が得られた。この後6ヶ月の熟成期間を終え試食したところ非常に風味の濃い、どちらかと言うと豆味噌に近い味であった。発酵大豆ファイバー(発酵おから)は、十分に味噌用大豆の代替原料として適うものである。
次に、発酵大豆ファイバー(発酵おから)を、パンの小麦粉の一部代替として用いたパンの試醸を説明する。まず仕込みに入る。発酵おから3割(150g)と小麦強力粉7割(350g)の割合に配合し、塩と砂糖を少々添加し、イースト菌を5g加え、適当な硬さになるように水を入れよく練った。発酵容器に入れて温度35℃〜40℃で3時間から5時間発酵熟成させた。この後オーブンで焼き上げ試食したところ、非常にふんわりとして、特有のモゴモゴ・パサパサした食感は無かった。おから独特の豆臭さも無く香りも良い。なんら一般のパンと変わりなく食することができた。発酵大豆ファイバー(発酵おから)はパン用小麦粉の一部代替が十分に可能である。
次に豆乳にジオトリカム・フラグランスCBS127.76菌株、ジオトリカム・フラグランスCBS164.32菌株、及びジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株をそれぞれ単独で発酵スタータ菌に用い、発酵豆乳を製造する工程を説明する。市販の無調製豆乳900mlにグルコースを重量比で0.5%添加し、3000ml容量のコルベンに3等分して分注し121℃で15分間オートクレーブ処理した。30℃に冷却後、クリーンベンチにて各々の菌体の本培養菌液を各コルベンに単独で1mlを植菌し、振盪培養機で温度30℃、振盪速度140rpm、好気的条件で24時間振とう発酵した。
次に牛乳にジオトリカム・フラグランスCBS127.76菌株、ジオトリカム・フラグランスCBS164.32菌株、及びジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株をそれぞれ単独で発酵スタータ菌に用い、発酵牛乳を製造する工程を説明する。市販の無調製牛乳900mlにグルコースを重量比で0.5%添加し、3000ml容量のコルベンに3等分して分注し121℃で15分間オートクレーブ処理した。30℃に冷却後、クリーンベンチにて各々の菌体の本培養菌液を各コルベンに単独で1mlを植菌し、振盪培養機で温度30℃、振盪速度140rpm、好気的条件で24時間振とう発酵した。
本実施例では、ジオトリカム・フラグランスCBS 164.32菌株を用いたおからの発酵操作について説明する。まず、25℃まで自然冷却した生おから2キログラムをクリーンベンチにて20L容量程度のステンレス製容器の中でよくほぐし、重量比でグルコースを0.3%、そしてジオトリカム・フラグランスCBS164.32菌株のスラリー様培養菌体液を重量比で0.3%〜0.8%を植菌し、まんべんなく攪拌し、次にリゾプス・オリゴスポラス(秋田今野商店製)の種麹を重量比で0.3%〜0.5%植菌し、よく攪拌して全体にムラなく混練した。なお、リゾプス・オリゴスポラスの代わりにアスペルギルス属の種麹を同じ分量で用いても良い。これを発酵用ステンレス製金網式棚(300mm×450mm)4枚に各々500gずつ分け、拡げた。そしてステンレス製発酵チャンバーに設置し、発酵を開始した。
本実施例では、ジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株を用いたおからの発酵操作について説明する。まず、25℃まで自然冷却した生おから2キログラムをクリーンベンチにて20L容量程度のステンレス製容器の中でよくほぐし、重量比でグルコースを0.3%、そしてジオトリカム・カンディダムSIGMA-54菌株のスラリー様培養菌体液を重量比で0.3%〜0.8%を植菌し、まんべんなく攪拌し、次に、リゾプス・オリゴスポラスの種麹を重量比で0.3%〜0.5%植菌し、よく攪拌して全体にムラなく混練した。なお、リゾプス・オリゴスポラスの代わりにアスペルギルス属の種麹を同じ分量で用いても良い。これを発酵用ステンレス製金網式棚(300mm×450mm)4枚に各々500gずつ分け、拡げた。そしてステンレス製発酵チャンバーに設置し、発酵を開始した。
発酵おからにおける各酵素活性は、粗酵素液を用いて以下の方法で測定した。
発酵おからを乳鉢で磨砕し、20mMリン酸ナトリウムカリウム緩衝液(pH6.8)に懸濁し、遠心分離した。この上清を粗酵素液として活性測定に用いた。
(1)基質の調製
可溶性でんぷん(ナカライテスク社製)0.5gに1N NaOH 25mlを加え冷蔵庫に一夜放置して溶解し、脱塩水100mlを加えてから10%酢酸でpHを5.5に調整し、脱塩水を加えて全量を240mlにした。
(2)活性測定法
基質2.0mlを40℃で5分間予熱した後、酵素液0.1mlを添加し、反応液中から1分間隔で反応液0.1mlを採り、順次10mlの0.5mMヨード液中に加えた。この操作をヨード反応の色が青から赤に変わるまで続けた。反応後、600nmにおける吸光度を測定した。
(3)活性の計算
透過率が66%になる時間を吸光度のグラフから求め、これをt分とした。活性は以下の計算式により計算した。
酵素活性=2(デンプン液量)×1/0.1(酵素量)×30/t(U/ml)
(1)基質の調製
可溶性デンプン(ナカライテスク社製)2gに適当量の熱水を入れてよく混ぜ、1〜2分沸騰させた後冷却し、脱塩水を加えて100mlとした。
(2)活性測定法
40℃に予熱した基質1.0mlに0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)0.2mlを添加し、40℃で5分間予熱した。これに酵素液0.1mlを添加し、40℃で20分間反応させた。反応終了後、直ちに1N水酸化ナトリウム0.1mlを添加し反応を停止させた。その後30分間放置し、1N塩酸0.1mlを添加することにより中和した。反応液中の還元糖量をSomogyi-Nelson法を用いて下記のように測定した。
(3)還元糖の定量
(3-1)試薬の調製
・Somogyi試薬の調製
酒石酸カリウムナトリウム12gと炭酸ナトリウム24gを約250mlの脱塩水に溶解した。これに4.0g硫酸銅・5水和物を約40mlの脱塩水に溶かしたものを撹拌しながら加えた。次に16gの炭酸水素ナトリウムを加えて溶解した。180gの硫酸ナトリウムを約500mlの脱塩水に溶かした後、煮沸して溶存酵素を除き、放冷した。次に両液を合わせ、脱塩水を用いて1.0Lとした。37℃で2〜3日放置した後、沈殿を吸引濾過し、濾液を褐色共栓瓶に入れ、暗所にて保管した。
・Nelson試薬
7モリブデン酸6アンモニウム4和物25gを450mlの脱塩水に溶解し、濃硫酸21mlを徐々に加えた。次に、ひ酸2ナトリウム7水和物3.0gを25mlの脱塩水に溶解したものを加えて、37℃で24〜38時間放置した後、褐色共栓瓶に入れ、暗所にて保存した。
(3-2)還元糖の定量方法
Somogyi-Nelson法を用いた。反応液0.20mlにSomogyi試薬0.2mlを加えて懸濁し、100℃で10分間加熱した後、氷中にて3分間冷却した。冷却後、Nelson試薬0.2mlを加え、さらに脱塩水2.0mlを加えて懸濁した。30分間放置後した後、分光光度計により500nmにおける吸光度を測定した。標準曲線はD-グルコースを用いて作成した。
(4)活性の計算
本酵素1unitは、1分間に1μmolのD-グルコースに相当する還元糖を生ずる酵素量と定義した。
(1)活性測定法
40℃に予熱した0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース、和光社製)を含む50mM酢酸緩衝液(pH5.5)1mlに酵素液1mlを添加し、40℃において60分間反応させた。反応終了後、直ちに沸騰水中で5分間加熱して酵素反応を停止させた。冷却後、酵素反応液0.2mlに、上記のSomogyi試薬0.2mlを添加して、沸騰水中で10分間加熱した。加熱後、氷水中で3分間冷却し、Nelson試薬0.20mlを添加して十分に撹拌した。次に、脱塩水2.0mlを加えて撹拌し、30分間放置した後、500nmにおける吸光度を測定した。
(2)活性の計算
本酵素1unitは、1分間に1μmolのD-グルコースに相当する還元糖を生成する酵素量と定義した。
(1)基質の調製
ペクチン(ナカライテスク社製)20mgに、エタノール0.2ml、0.74M塩化ナトリウム水溶液3.8ml、20mMリン酸ナトリウムカリウム緩衝液(pH6.8)3.6mlを添加し、十分に撹拌したものを基質として用いた。
(2)活性測定法
40℃に予熱した基質1.9mlに酵素液0.1mlを添加し、40℃において30分間反応させた。反応終了後、直ちに沸騰水中で5分間加熱して酵素反応を停止させた。冷却後、酵素反応液0.2mlにSomogyi試薬を0.2ml添加して、沸騰水中で10分間加熱した。加熱後、氷水中で3分間冷却し、Nelson試薬を0.2ml添加して十分に撹拌した。次に、脱塩水2.0mlを加えて撹拌し、30分間放置した後、500nmにおける吸光度を測定した。
(3)活性の計算
本酵素1unitは、1分間に1μmolのD-グルコースに相当する還元糖を生成する酵素量と定義した。
(1)基質、試薬の調製
・マッキルベイン緩衝液(pH3.0)
0.2Mリン酸2ナトリウム溶液4mlと0.1Mクエン酸溶液16mlを混合した。pHが正しく3にならない場合は各溶液を用いて調整した。
・基質(カゼイン溶液)
カゼイン(和光社製)2gをとり、10倍に薄めた乳酸5mlを加え、更に脱塩水を約50ml加えて完全に白濁状に溶解するまで加熱しながらかき混ぜ、これを基質として用いた。
(2)活性測定法
基質1.5mlにpH3.0のマッキルベイン緩衝液1.0mlを加え、40℃に予熱した。これに酵素液0.5mlを添加し、40℃で60分間反応させた。反応終了後0.4M TCA溶液3mlを添加して、反応を停止させ沈殿をろ別した。そのろ液1mlに0.4M炭酸ナトリウム溶液5mlとフェノール溶液(市販品を5倍に希釈して使用)1mlを加えて、40℃で30分間発色を行い、660nmの吸光度を測定した。
(3)活性の計算
本酵素1unitは、60分間に1μgのチロシン相当量の呈色を示す酵素量と定義した。
(1)活性測定法
37℃に予熱した0.1M p-ニトロフェニル-α-L-アラビノフラノシドを含む50mMリン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液0.2mlに、酵素液0.1mlを添加し、37℃で30分間反応させた。反応終了後直ちに1M炭酸ナトリウム2mlを加え、酵素反応を停止させた。その後、420nmにおける吸光度を測定した。
(2)活性の計算
本酵素1unitは、1分間に1μmolのp-ニトロフェノール相当量の呈色を示す酵素量と定義した。
Claims (11)
- おからを原材料とし、ジオトリカム属菌を発酵スタータとして使用することを特徴とする発酵おからの製造法。
- おからを原材料に使用した発酵食品の製造法において、腐敗防止のためジオトリカム属菌を原材料に加えて発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵食品の製造法。
- テンペ菌、及び/又は麹菌を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造法。
- リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、及び/又はアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、請求項3記載の製造法。
- リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を、ジオトリカム属菌と共に使用して共生発酵させる工程を含むことを特徴とする、請求項3記載の製造法。
- ジオトリカム属菌が有する抗菌性を利用して、おからの腐敗を防止することを特徴とするおからの腐敗防止法。
- おからの腐敗防止剤であって、ジオトリカム属菌を含有する腐敗防止剤。
- ジオトリカム属菌を発酵スタータとして使用して、おからを発酵させることにより製造される発酵おから。
- 請求項8記載の発酵おからを原材料として使用することを特徴とするおから利用食品の製造法。
- ジオトリカム属菌として、ジオトリカム・フラグランス(Geotrichum fragrans)、ジオトリカム・カンディダム(Geotrichum candidum)、ジオトリカム・アミラリエ(Geotrichum armillariae)、ジオトリカム・キャピタタム(Geotrichum capitatum)、ジオトリカム・リンキ(Geotrichum linkii)、 ジオトリカム・セリシュウム(Geotrichum sericeum)、ジオトリカム・シトリ‐アウランティ(Geotrichum citri-aurantii)、ジオトリカム・プルモニュウム(Geotrichum pulmoneum)、ジオトリカム・クレバタム(Geotrichum clavatum)、ジオトリカム・エリエンス(Geotrichum eriense)、ジオトリカム・ファメンタンス(Geotrichum fermentans)及びジオトリカム・クレバニィ(Geotrichum klebahnii)種から選ばれる1又は複数のジオトリカム属菌を使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- ジオトリカム属菌として、ジオトリカム・フラグランス(Geotrichum fragrans)、及び/又はジオトリカム・カンディダム(Geotrichum candidum)を使用することを特徴とする請求項10記載の方法。
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