JP4535101B2 - アルミナ繊維集合体 - Google Patents
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Description
塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClxは、例えば、塩酸または塩化アルミニウム水溶液に金属アルミニウムを溶解させることにより調製することが出来る。上記の化学式におけるXの値は、通常0.45〜0.54、好ましくは0.50〜0.53である。硅素化合物としては、シリカゾルが好適に使用されるが、その他にはテトラエチルシリケートや水溶性シロキサン誘導体などの水溶性硅素化合物を使用することも出来る。有機重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子化合物が好適に使用される。これらの重合度は、通常1000〜3000である。
紡糸(紡糸液の繊維化)は、高速の紡糸気流中に紡糸液を供給するブローイング法によって行われ、これにより、長さが数十mm〜数百mmのアルミナ短繊維前駆体が得られる。
アルミナ短繊維前駆体の集合体(積層シート)にニードリングを施すことにより、厚さ方向にも配向された機械的強度の大きいアルミナ繊維集合体とすることが出来る。ニードリングの打数は通常1〜50打/cm2であり、一般に打数が多いほど得られるアルミナ繊維集合体の嵩密度と剥離強度が大きくなる。
焼成は、通常500℃以上、好ましくは700〜1400℃の温度で行なう。焼成温度が500℃未満の場合は結晶化が不十分なため強度の小さい脆弱なアルミナ短繊維しか得られず、焼成温度が1400℃を超える場合は繊維の結晶の粒成長が進行して強度の小さい脆弱なアルミナ短繊維しか得られない。
(1)アルミナ繊維マットからピンセットにより耳掻き1杯程度の量の繊維を摘み取る。
(2)走査型電子顕微鏡(SEM)観察用試料台に貼ったカーボン製の導電テープの上に上記(1)で摘み取った繊維をなるべく重ならない様に載せる。
(3)上記(2)の繊維表面に導電性を持たすべく、試料表面に白金−パラジウム膜を1〜3nmの厚さで蒸着する。
(4)蒸着した分析試料をSEMの測定室に入れ、繊維径を計測するのに適当な倍率で観察し、観察像を写真撮影する。装置としては、日本電子社製の走査型電子顕微鏡「JSM−6320F」を使用し、観察条件は、加速電圧15KV、ワークディスタンス(WD)15mmを採用した。また、倍率1000〜3000の範囲から適宜選択した。
(5)上記(4)で撮影したSEM写真からノギス又は直定規で0.1mm単位まで測りとる。そして、任意に合計100本の繊維径を測定する。
(6)次式により平均繊維径を計算する。この際、計算値は、小数点以下2桁を四捨五入して、小数点以下1桁に丸める。
(7)なお、ここでは、繊維径の度数分布の傾向からみて下限の繊維径に疑義が生じた場合は、測定を通常2〜4回繰り返し、度数分布が平均1%以上の径を最低繊維径とする。
平均繊維径(μm)={100点の合計測定値/(100×観察倍率)}×1,000
<紡糸液の調製>
先ず、アルミニウム濃度が165g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.51)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液606g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液608gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、紡糸液を得た。紡糸液の粘度は60ポイズ(25℃における回転粘度計による測定値)、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)は72.0:28.0、アルミニウムの濃度は190g/L、有機重合体の濃度は35.0g/Lであった。
上記の紡糸液をブローイング法で紡糸した。紡糸ノズルとしては、欧州特許第495466号公報(日本特許第2602460号公報)図6に記載されたものと同様の構造の紡糸ノズルを使用した。そして、紡糸は、紡糸液供給ノズルの直径0.3mm、紡糸液供給ノズル1本当りの液量5ml/h、空気流速(エアーノズルのスリット部):54m/s(圧力:2kg/cm2 、温度:18℃、相対湿度40%)の条件で行った。また、集綿に際しては、高速空気流に並行流で乾燥した150℃の温風をスクリーンに導入することにより、繊維捕集器付近の空気流を温度40℃、相対湿度20%に調節した。そして、紡糸気流に対して略直角となる様に金網製の無端ベルトを設置し、無端ベルトを回転させつつ、これにアルミナ短繊維前駆体を含む紡糸気流を衝突させる構造の集積装置により連続シート(薄層シート)として回収した。
上記の積層シート(アルミナ短繊維前駆体の集合体)にニードリングを施した後、1250℃で1時間空気中で焼成しアルミナ繊維集合体を得た。上記のニードリングはニードルパンチング機械により8回/cm2パンチングして行なった。得られたアルミナ繊維集合体の構成アルミナ短繊維の繊維径分布を測定した結果を表1に示す。平均繊維径は6.9μm、最低繊維径は5.2μmであった。
<紡糸液の調製>
先ず、アルミニウム濃度が165g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.51)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液606g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液608gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、紡糸液を得た。紡糸液の粘度は40ポイズ(25℃における回転粘度計による測定値)、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)は72.0:28.0、アルミニウムの濃度は180g/L、有機重合体の濃度は33.2g/Lであった。
実施例1と同様に行なった。得られたアルミナ繊維集合体の構成アルミナ短繊維の繊維径分布を測定した結果を表1に示す。平均繊維径は4.9μm、最低繊維径は3.3μmであった。
<紡糸液の調製>
アルミニウム濃度が75g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.56)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液276g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液315gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、紡糸液を得た。紡糸液の粘度は40ポイズ(25℃における回転粘度計による測定値)、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)は72.0:28.0、アルミニウムの濃度は160g/L、有機重合体の濃度は33.6g/Lであった。
実施例1と同じ紡糸ノズルを使用した。そして、紡糸は、紡糸液供給ノズルの直径0.3mm、紡糸液供給ノズル1本当りの液量5ml/h、空気流速(エアーノズルのスリット部):54m/s(圧力:2kg/cm2 、温度:18℃、相対湿度40%)の条件で行った。また、集綿に際しては、高速空気流に並行流で乾燥した90℃の温風をスクリーンに導入することにより、繊維捕集器付近の空気流を温度35℃、相対湿度30%に調節した。そして、実施例1と同じ集綿装置、集積装置により連続シート(薄層シート)として回収した。得られたアルミナ繊維集合体の構成アルミナ短繊維の繊維径分布を測定した結果を表1に示す。平均繊維径は6.6μm、最低繊維径は2.2μmであった。
<紡糸液の調製>
アルミニウム濃度が165g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.51)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液606g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液260gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、紡糸液を得た。紡糸液の粘度は8ポイズ(25℃における回転粘度計による測定値)、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)は72.0:28.0、アルミニウムの濃度は190g/L、有機重合体の濃度は15.0g/Lであった。
実施例1と同様に行なった。得られたアルミナ繊維集合体の構成アルミナ短繊維の繊維径分布を測定した結果を表1に示す。平均繊維径は2.3μm、最低繊維径は0.4μmであった。
<紡糸液の調製>
アルミニウム濃度が165g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.51)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液606g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液550gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)を72.0:28.0、アルミニウムの濃度を210g/L、有機重合体の濃度を35.0g/Lに調節した。しかしながら、得られた組成物は濃縮段階で固化状態を呈して紡糸液とならなかった。
<紡糸液の調製>
アルミニウム濃度が165g/Lの塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3-XClx(X=0.51)の水溶液1.0L当たり20重量%シリカゾル溶液606g、5重量%ポリビニルアルコール(重合度1700)水溶液868gを添加して混合した後、50℃で減圧濃縮し、アルミニウムと硅素の比(Al2O3とSiO2の重量比)を72.0:28.0、アルミニウムの濃度を190g/L、有機重合体の濃度を50.0g/Lに調節した。しかしながら、得られた組成物は濃縮段階で粘度が高くなり過ぎ、回転粘度計による適切な粘度測定が不可能な状態であり、紡糸できる性状ではなかった。
従来のアルミナ繊維の平均繊維径は一般的に2〜5μmであるが、3社の市販のアルミナ繊維について分析を行った。その結果は表2に示す通りであった。
Claims (6)
- 平均繊維径が4.0〜10.0μmであり且つ最低繊維径が3.0μm以上であるアルミナ短繊維から成ることを特徴とするアルミナ繊維集合体。
- 最低繊維径が4.0μm以上であるアルミナ短繊維から成る請求項1に記載のアルミナ繊維集合体。
- 最低繊維径が5.0μm以上であるアルミナ短繊維から成る請求項1に記載のアルミナ繊維集合体。
- 平均繊維径が5.0〜8.0μmであるアルミナ短繊維から成る請求項1〜3の何れかに記載のアルミナ繊維集合体。
- 平均繊維径が6.0〜8.0μmであるアルミナ短繊維から成る請求項1〜3の何れかに記載のアルミナ繊維集合体。
- アルミナ短繊維の組成が、Al2O3とSiO2の重量比で99:1〜65:35である請求項1〜5の何れかに記載のアルミナ繊維集合体。
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