JP4529740B2 - アクリルゴム組成物および架橋物 - Google Patents
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Description
カルボキシル基含有アクリルゴムと、グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤と、カーボンブラックと、を含有するアクリルゴム組成物であって、
前記カルボキシル基含有アクリルゴムを構成する全単量体単位100重量%に対する、カルボキシ基含有単量体単位の含有量が0.5重量%以上であり、前記塩素基含有単量体単位の含有量が0.1重量%未満である。
前記グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤の含有量が、前記アクリルゴム組成物全体100重量部に対して、0.2〜5重量部である。
前記アクリルゴム組成物は、架橋剤をさらに含有し、
前記架橋剤が、脂肪族ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、およびジヒドラジド化合物から選択される1種または2種以上である。
なお、前記「加硫速度」における「加硫」なる語は、硫黄以外の架橋剤による架橋も含む概念である。
本発明のアクリルゴム組成物は、少なくとも、カルボキシル基含有アクリルゴムと、グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤と、カーボンブラックと、を含有する。以下、これらを順に説明する。
カルボキシル基含有アクリルゴムは、カルボキシル基を架橋点に持つアクリルゴムである。このカルボキシル基含有アクリルゴムは、従来の塩素基やエポキシ基を架橋点に持っている塩素基含有アクリルゴムやエポキシ基含有アクリルゴムに比べて耐熱性が改善され、熱負荷後の硬度変化が小さく、特に、圧縮永久歪みが低減される。
(a)カルボキシル基含有単量体単位を共重合単量体単位として有するアクリルゴム、
(b)アクリルゴムに対してラジカル開始剤存在下で、カルボキシル基を有する炭素−炭素不飽和結合含有化合物をグラフト変性させてなるアクリルゴム、または、
(c)アクリルゴム分子中のカルボン酸エステル基、酸アミド基等のカルボン酸誘導基の一部を加水分解によってカルボキシル基へ変換させてなるアクリルゴム、
のいずれの型であってもよい。
具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、特に、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
上記炭素数4〜12のα,β−不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
上記炭素数4〜11のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルおよびマレイン酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルおよびマレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチルおよびイタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;などが挙げられる。
これらのなかでも、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル、および脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、特に、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、およびマレイン酸モノシクロヘキシルが好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリルエーテルとしては、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アリルエーテルとしては、(メタ)アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリルアミドとしてはN−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレン等が挙げられる。
非共役ジエン単量体としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタジエニルエチル等が挙げられる。
このような共重合可能な単量体単位としては、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(多官能アクリル単量体)、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。
その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどが挙げられる。
本発明のアクリルゴム組成物は、グリシドキシ基含有シランカップリング剤、およびエポキシ基含有シランカップリング剤のうち少なくとも1種を含有する。
本発明で用いられるカーボンブラックは、特に制限はなく、ゴムの配合用に用いられているものであればよいが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。
本発明のカルボキシル基含有アクリルゴム組成物は、さらに架橋剤を含有することにより架橋性のゴム組成物とすることができる。
このような架橋剤としては、カルボキシル基含有アクリルゴムのカルボキシル基と架橋可能な化合物であれば特に限定されないが、たとえば、多価アミン化合物、多価ヒドラジド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、アジリジン化合物、塩基性金属酸化物、有機金属ハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族多価アミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン化合物としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどが挙げられる。
これらは1種、または2種以上併せて使用することができる。
多価ヒドラジド化合物の具体例としては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタル酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジドなどが挙げられ、これらを1種、または2種以上併せて使用することができる。
ジイソシアナート類の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
トリイソシアナート類の具体例としては、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナートなどが挙げられる。
これらは1種、または2種以上併せて使用することができる。
本発明のアクリルゴム組成物は、その他必要に応じて架橋促進剤、補強剤、加工助剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤などの添加剤を含有してもよい。
具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジセチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジ−シス−9−オクタデセニルアミン、ジノナデシルアミンなどが例示される。これらの中でも、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジセチルアミン、ジオクタデシルアミン、ジ−シス−9−オクタデセニルアミン、ジノナデシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが好ましい。
具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリペンタデシルアミン、トリセチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリ−シス−9−オクタデセニルアミン、トリノナデシルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N−メチルジデシルアミン、N−メチルジドデシルアミン、N−メチルジテトラデシルアミン、N−メチルジセチルアミン、N−メチルジオクタデシルアミン、N−メチルジベヘニルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどが例示される。これらの中でも、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミンなどが好ましい。
上記イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
上記第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
上記第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
上記弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムもしくはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩またはステアリン酸塩、ラウリン酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
配合可能なゴムとしては、たとえば、天然ゴム、カルボキシル基を含有しないアクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
配合可能なエラストマーとしては、たとえば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどが挙げられる。
配合可能な樹脂としては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
本発明の架橋物は、上述した本発明のアクリルゴム組成物を、押出成形、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形などの成形法により、成形および架橋することにより得ることができる。
JIS K6300の未架橋ゴム物理試験法のムーニー粘度試験に従って、測定温度100℃におけるカルボキシル基含有アクリルゴムのムーニー粘度ML1+4を測定した。
アクリルゴム組成物のムーニースコーチは、L形ローターを用いて、温度125℃にて、JIS K 6300−1に準じて、測定した。そして、この測定結果より、アクリルゴム組成物のムーニースコーチ時間t5(単位は、分)、および初期粘度V0を求めた。ムーニースコーチ時間t5の値が大きいほど、スコーチ安定性に優れる。
アクリルゴム組成物の加硫特性は、JIS K 6300−2に準じ、振動式加硫試験機を用いて測定した。加硫試験機にはローターレスレオメータータイプの試験機を用い、温度160℃、30分間の条件で測定を行い、最大トルクMHを求めることにより加硫特性を評価した。MHの値が大きいほど、加硫度が高く、加硫速度の速いことから、成形性に優れ、成形サイクル(生産性)に優れる。
アクリルゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形・架橋し、縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシートを作製し、さらに後架橋のために、温度を170℃としたオーブンに4時間放置することにより、シート状の架橋物とした。次いで、このシート状の架橋物を3号形ダンベルで打ち抜き、試験片を得た。
架橋物のサイズを直径29mm、高さ12.5mmの円柱型とした以外は、常態物性測定用の架橋物と同様にして、円柱型の架橋物を作製し、円柱型の試験片を得た。そして、JIS K 6262に従い、得られた試験片を25%圧縮させた状態で、150℃の環境下に72時間置いた後、圧縮を解放して圧縮永久歪み率を測定した。圧縮永久歪み率は、数値が小さいほど変形しにくい材料となり優れる。
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル49部、アクリル酸モノn−ブチル49部およびフマル酸モノシクロヘキシル2部を仕込んだ。その後、減圧脱気および窒素置換を2度行って酸素を十分除去した後、クメンハイドロパーオキシド0.005部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率が95%に達するまで反応させた。得られた乳化重合液を塩化カルシウム水溶液で凝固し、水洗、乾燥してカルボキシル基含有アクリルゴムAを得た。
得られたカルボキシル基含有アクリルゴムAの組成は、アクリル酸エチル単量体単位49%、アクリル酸n−ブチル単量体単位49%およびフマル酸モノシクロヘキシル単量体単位2%(カルボキシル基含有量1.08×10−2ephr)であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
フマル酸モノシクロヘキシル2部の代わりに、フマル酸モノ−n−ブチル2部を使用した以外は、カルボキシル基含有アクリルゴムAと同様にして、カルボキシル基含有アクリルゴムBを得た。
得られたカルボキシル基含有アクリルゴムBの組成は、アクリル酸エチル単量体単位49%、アクリル酸n−ブチル単量体単位49%およびフマル酸モノn−ブチル単量体単位2%(カルボキシル基含有量1.25×10−2ephr)であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
フマル酸モノシクロヘキシル2部の代わりに、カルボキシル基含有単量体であるメタクリル酸単量体単位0.5部、および塩素基含有単量体であるクロロメチルスチレン単量体単位1.5部を使用した以外は、カルボキシル基含有アクリルゴムAと同様にして、カルボキシル基含有アクリルゴムCを得た。
得られたカルボキシル基含有アクリルゴムCの組成は、アクリル酸エチル単量体単位49%、アクリル酸n−ブチル単量体単位49%、メタクリル酸単量体単位0.5%、およびクロロメチルスチレン単量体単位1.5%、カルボキシル基含有量6×10−3ephr、塩素含有量0.3%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は38であった。
すなわち、カルボキシル基含有アクリルゴムCは、1.5%の塩素基含有単量体単位を含有している。
上記にて製造したカルボキシル基含有アクリルゴムA:100部、カーボンブラック(FEFカーボン、東海カーボン(株)製、補強剤):60部、ステアリン酸(軟化剤):2部、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ノクラックCD、大内新興化学工業(株)製、老化防止剤):2部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(グリシドキシ基含有シランカップリング剤):1.5部、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(架橋促進剤):1部、アジピン酸ジヒドラジド(架橋剤):0.7部を加えて、40℃で混練してアクリルゴム組成物を調製した。
アクリルゴムAを、アクリルゴムBに、架橋剤であるアジピン酸ジヒドラジド0.7部を、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン1.2部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの含有量を1.5部から0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、それぞれ、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(比較例2)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(比較例3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用しなかった以外は、実施例2と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用した以外は、実施例2と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
アクリルゴムAを、塩素基を含有するアクリルゴムCに変更するとともに、架橋剤および架橋促進剤を、ステアリン酸ナトリウム4部およびオクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を調製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の実施例1〜3は、いずれも最大トルクMHが高く、しかもムーニースコーチt5も長くなる結果となった。すなわち、実施例1〜3は、加硫速度が速く、しかもスコーチ安定性に優れ、良好な成形性を有することが確認できる。また、実施例1〜3は、架橋後の架橋物についても、アクリルゴムとして充分な常態物性、および高い耐熱性を有し、しかも耐圧縮永久歪み性に優れていることが確認できる。
シランカップリング剤を含有しないアクリルゴム組成物は、加硫特性における最大トルクMHが低く(すなわち、加硫速度が遅く)、成形性および成形サイクル性(生産性)に劣る結果となった(比較例1,4)。
シランカップリング剤として、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用したアクリルゴム組成物は、ムーニースコーチt5が短く、初期粘度V0も高くなり、スコーチ安定性に劣る結果となった(比較例2,5)。
シランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを使用したアクリルゴム組成物は、加硫特性における最大トルクMHが低く(すなわち、加硫速度が遅く)、成形性および成形サイクル性(生産性)に劣り、しかも、得られる架橋物の耐圧縮永久歪み性にも劣る結果となった(比較例3)。
塩素基を含有するアクリルゴムを使用したアクリルゴム組成物は、ムーニースコーチt5が短く、初期粘度V0も高くなり、スコーチ安定性に劣るとともに、得られる架橋物の耐熱性(特に伸び変化率)に劣る結果となった(比較例6)。
図1〜3に実施例1,2および比較例1〜6の加硫トルク曲線を示す。
ここにおいて、図1は、カルボキシル基含有アクリルゴムとして、同じアクリルゴムAを使用した実施例1および比較例1〜3の加硫トルク曲線を示す。
図2は、カルボキシル基含有アクリルゴムとして、同じアクリルゴムBを使用した実施例2および比較例4,5の加硫特性を示す。
図3は、いずれもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを同量含有する点で一致し、それぞれ異なるアクリルゴムA,BおよびCを使用した点で異なる実施例1,2および比較例6の加硫特性を示す。
Claims (4)
- カルボキシル基含有アクリルゴムと、グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤と、カーボンブラックと、を含有するアクリルゴム組成物であって、
前記カルボキシル基含有アクリルゴムを構成する全単量体単位100重量%に対する、カルボキシル基含有単量体単位の含有量が0.5重量%以上であり、塩素基含有単量体単位の含有量が0.1重量%未満であり、
前記グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤が、一般式X−Si(OR)3、または、X−SiR(OR’)2で表され、前記式中、Xが、グリシドキシ基を含有する炭素数1〜8の脂肪族アルキル基または炭素数1〜8のエポキシ基を含有する官能基、−OR基は、メトキシ基、エトキシ基であり、R(OR’) 2 は、メチルジメトキシ、エチルジメトキシで示される化合物であり、
前記グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤の含有量が、前記アクリルゴム組成物全体100重量部に対して、0.2〜5重量部であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、10〜200重量部であるアクリルゴム組成物。 - 前記アクリルゴム組成物は、架橋剤をさらに含有し、
前記架橋剤が、脂肪族ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、およびジヒドラジド化合物から選択される1種または2種以上である請求項1に記載のアクリルゴム組成物。 - 前記グリシドキシ基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤が、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリエトキシシランおよびγ−グリシジルプロピルメチルジメトキシシランからなる群から選ばれる化合物である、請求項1または2に記載のアクリルゴム組成物。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のアクリルゴム組成物を架橋することにより得られる架橋物。
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