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JP4524958B2 - 成形体 - Google Patents

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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MID等の樹脂成形回路基板の製造用に好適に用いることができる、樹脂組成物から成形された絶縁基板の表面に金属層が形成された成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁基板を金属被覆処理して得られる成形体は、更にセミアディティブ法やレーザ法等によって回路形成が施されて、MID(Molded Interconnection Device;立体回路成形品)等の樹脂成形回路基板として形成することができる。
【0003】
このような成形体を作製するにあたり、従来から特許2714440号公報や、特公平7−24328号公報に記載されているような方法が提案されている。これらの従来技術においては、絶縁基板を液晶性ポリエステルと、平均粒径0.01〜100μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲の粉状充填材又は繊維径1〜30μm、繊維長5μm〜1mm、好ましくは10〜100μmの繊維状充填材とを配合した樹脂組成物にて成形し、この絶縁基板の表面に金属被覆処理を施して金属層を形成していたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許2714440号公報に記載の従来技術では、「真空槽内で加熱しながら成形品のガス抜きを行うと同時に表層部の硬度をできるだけ下げた状態でスパッタリング、イオンプレーティング又は真空蒸着のいずれかの方法により表面金属処理する・・・」とあるように、樹脂成形品と金属層との間には化学的結合が介在しない。そのために、樹脂基板と金属層との密着性、特に熱負荷を受けた後の密着性に問題があった。
【0005】
また、上記の特公平7−24328号公報に記載の技術では、「液晶性ポリエステルに無機充填材を含有せしめた組成物からなる成形品を、予めエッチング処理を施した後、脱水乾燥し、次いでスパッタリング、イオンプレーティング又は真空蒸着のいずれかの方法により表面金属処理する・・・・」とあるように、表面を薬液で粗面化処理(エッチング)して、これにより形成された凹凸に金属被覆を施し、機械的投錨効果(アンカー効果)に基づく密着性を発現させるものであり、成形体の表面平滑性が悪化し、そのため回路パターンの精密化に限界があった。また絶縁基板の表面を粗面化することにより、その表層の強度が低下するという問題もあった。また、このようなエッチング処理を行わない場合には、金属被覆の初期の密着力が低く、実用に供し得ないものであった。
【0006】
また表面平滑性を高めるために、形状を規定し、繊維状及び微粉状の無機充填材が用いられるが、ここに規定されている充填材の形状は、密着力を安定的に確保し、かつ線膨脹率を低く抑えるには、大きすぎるものである。
【0007】
例えば繊維径11μm、繊維長3mmのガラス繊維を樹脂100質量部に対して70質量部配合した樹脂組成物にて絶縁基板を成形した場合、この絶縁基板の断面を観察すると、絶縁基板の表層には平均厚み13μmの、充填材が存在しない樹脂のみの層が形成されており、また樹脂中のガラス繊維間の平均距離も45μmもあって、絶縁基板内に比較的樹脂リッチな領域が点在することとなる。このため、絶縁基板の表層の強度は微視的には樹脂のみの強度しか得られないものであり、また絶縁基板に応力がかかった場合は、ガラス繊維のような大きな充填材の近傍に応力集中が発生することなって、絶縁基板と金属層との間に良好な密着強度は得られないものである。
【0008】
また、このようにして繊維状充填材を使用して基板表層部の強度アップや熱膨張の抑制、基板の平滑性の確保を行う場合には、充填材の配合量が少ない場合や、繊維状充填材の繊維長が短い場合では、補強効果が十分に得られず、特に線膨脹係数が大きくなり、製造工程において成形体に加えられる熱負荷や環境温度変化による熱負荷によって成形体が膨脹・収縮したときの絶縁基板と金属層との密着力が低下したり、金属層に実装したIC等の実装部品にかかる応力が大きくなり、製品の誤動作が発生する等といった問題もあった。
【0009】
また、繊維状充填材の繊維長が長いと、樹脂組成物を調製する際の混練時や、樹脂組成物による絶縁基板の成形時に、繊維状充填材が破損してしまい、補強効果が得られなくなることがあった。また単位体積当たりの繊維密度が小さくなるため、絶縁基板の表層付近の繊維密度も小さくなり、このため絶縁基板と金属層とが破壊するときに繊維に応力集中が発生することとなり、良好な密着性が得られなくなるものであった。また射出成形等による絶縁基板の成形時には樹脂組成物の流れ方向に繊維状充填材が配向しやすくなり、この繊維状充填材の配向方向と、この方向と直交する方向とでは破壊応力の集中の仕方が異なることとなって、絶縁基板と金属層との密着力に異方性が生じるものであった。この場合は、繊維配向による異方性の発現によって、成形時に反りや熱負荷による変形が生じて、表面平滑性が損なわれるものであり、更に、IC等を実装する場合に問題が生じるものであった。
【0010】
また単位体積当たりの繊維状充填材の繊維密度が小さいと、繊維が存在する部位と存在しない部位とでは収縮率が異なるため、成形時に表層の平滑性が得られにくくなり、搭載部品実装時にワイヤボンディングを行う場合に不具合を生じるといった問題もあった。
【0011】
また不定形充填材や球状充填材を使用して異方性を緩和しようとしても、この充填材の粒径が大きすぎる場合や充填材の配合量が少なすぎる場合には線膨脹率が大きくなってしまうものであり、また充填材の粒径が小さすぎる場合には充填材が凝集してしまって分散不良が生じてしまうものである。
【0012】
また、充填材の配合量が多すぎると、充填材の形状にかかわらず、絶縁基板の表面に充填材が露出することとなり、この場合、充填材と金属層との親和性が低い場合は絶縁基板と金属層との密着力が低下したり、密着力の分布にむらが生じたりすることとなる。また、充填材と金属層との間の親和性が高い場合でも、絶縁基板の表層において樹脂の相と充填材の相との間で界面の破壊が起こり、見かけ上、絶縁基板と金属層との密着力が低下することとなる。
【0013】
本願は上記の点に鑑みて為されたものであり、プラズマ処理により表面の活性化を行った後に、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって絶縁性基板の表面を金属被覆処理することにより成形体を作製するにあたり、力学強度、熱的特性、金属層と絶縁基板との密着性を向上し、また樹脂成形回路基板として成形した場合にIC等の実装部品からのノイズを低減したり、LED(発光ダイオード)やPD素子(受光素子)等の実装部品の破損を防止することができる成形体を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る成形体は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均繊維径0.1〜5μm、平均繊維長10〜50μmの繊維状充填材8がベース樹脂100質量部に対して20〜150質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板2の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板2の表面を被覆する金属層3が形成されて成ることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明の請求項2に係る成形体は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの不定形粉末状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜250質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板2の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板2の表面を被覆する金属層3が形成されて成ることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明の請求項3に係る成形体は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの球状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜400質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板2の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板2の表面を被覆する金属層3が形成されて成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に配合される充填材として球状充填材を用いると共に、この充填材として中心粒径の異なる少なくとも二種類の充填材を配合することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項5の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材8と球状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材8に対する球状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部として成ることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項6の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材8と不定形粉末状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材8に対する不定形粉末状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部として成ることを特徴とするものである。
【0020】
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に、チタン酸塩からなる繊維状充填材8を配合して成ることを特徴とするものである。
【0021】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に、ホウ酸塩からなる繊維状充填材8又は不定形粉末状充填材を配合して成ることを特徴とするものである。
【0022】
また請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に、シリカからなる球状充填材を配合して成ることを特徴とするものである。
【0023】
また請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を成形するための樹脂組成物中に、アミド結合、サルファイド基、シアノ基、スルホン基、ケトン基、イミド基、エステル結合のうちの少なくともいずれかを有する樹脂を配合して成ることを特徴とするものである。
【0024】
また請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかの構成に加えて、ベース樹脂として、溶融型液晶性ポリエステルを用いて成ることを特徴とするものである。
【0025】
また請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を、コア層5と、繊維状充填材8を含有すると共にコア層5の表面を被覆する表面層4とで構成し、この表面層4の表面に金属層3を形成して成ることを特徴とするものである。
【0026】
また請求項13の発明は、請求項12の構成に加えて、絶縁基板2のコア層5に、不定形粉末状充填材を含有させて成ることを特徴とするものである。
【0027】
また請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれかの構成に加えて、絶縁基板2を、繊維状充填材8を含有すると共にその繊維状充填材8の配向方向が異なる複数の樹脂層2a,2b,2cを積層して構成して成ることを特徴とするものである。
【0028】
また請求項15の発明は、請求項14の構成に加えて、樹脂層2a,2b,2cにおける繊維状充填材8の配向方向が、隣接する他の樹脂層2a,2b,2cの繊維状充填材8の配向方向と略直交する方向となるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0029】
また請求項16の発明は、請求項14又は15の構成に加えて、各樹脂層2a,2b,2cを射出成形にて形成して成ることを特徴とするものである。
【0031】
また請求項1の発明は、請求項1乃至1のいずれかにおいて、樹脂成形回路基板として形成されて成ることを特徴とするものである。
【0032】
また請求項1の発明は、請求項1の構成に加えて、ワイヤボンディングにより部品実装がなされる樹脂成形回路基板として形成されて成ることを特徴とするものである。
【0033】
また請求項19の発明は、請求項1又は1の構成に加えて、単結晶無機材料で構成されるチップ22が実装される樹脂成形回路基板として形成されていることを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
ベース樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が用いられるものであり、アミド結合、サルファイド基、シアノ基、スルホン基、ケトン基、イミド基、エステル結合のうちの、少なくともいずれかを含む樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
アミド結合を有する樹脂としては、ナイロン6(ポリアミド6)、ナイロン66(ポリアミド66)、ナイロン46(ポリアミド46)、ナイロン11(ポリアミド11)、ナイロン6・10(ポリアミド6・10)、ナイロン12(ポリアミド12)、ポリフタルアミド等の芳香族ポリアミド等を用いることができる。サルファイド基を有する樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド等を用いることができる。またシアノ基を有する樹脂としては、ポリエーテルニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等を用いることができる。
【0037】
また上記のような樹脂のほか、エステル結合、スルホン基、ケトン基、イミド基、エポキシ基、メルカプタン基のうちの少なくともいずれかを有するものを用いることもできる。例えばエステル結合を有する樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。またスルホン基を有する樹脂としてはポリスルホン、ポリエーテルスルホン等を用いることができる。またケトン基を有する樹脂としては、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等を用いることができる。またイミド基を有する樹脂としては、ポリエーテルイミド、ポリイミド等を用いることができる。またエポキシ基を有する樹脂としては、エポキシ樹脂等を用いることができる。また、シンジオタクチックポリスチレンを用いることもできる。
【0038】
上記のようなベース樹脂のうち、特にポリフタルアミドを用いることが好ましい。この場合は、テレフタル酸を60質量%以上含むテレフタル酸と脂肪族アルキレンジアミンとの混合物又は100%テレフタル酸に、炭素数6〜18の配合した、濃硫酸中の30℃における極限粘度(η)が0.6〜2.0dl/gであるポリフタルアミド樹脂組成物を用いることができる。このようなポリフタルアミドは、耐熱性、寸法安定性に優れ、また良好な流動性を有すると共に金型汚染が少なく、成形性が良好なものである。ポリフェニレンサルファイドも密着性、流動性に優れるが、硫化ガス発生による金型腐蝕が発生するおそれがあり、また耐熱性の面でも融点が280℃であり、鉛フリー半田に対応できないため、ポリフタルアミドを用いることがより好ましい。
【0039】
また、ベース樹脂としては、成形加工性、耐熱性、寸法安定性に優れる溶融型液晶性ポリエステル(熱溶融性液晶ポリエステル)を主成分とするものを用いることも好ましい。溶融型液晶性ポリエステルとしては、液晶性全芳香族ポリエステルI型、II型、III型等を用いることができる。
【0040】
ここで、溶融型液晶性ポリエステルをベース樹脂として含む樹脂組成物を用いる場合は、一般的な射出成形により絶縁基板2を成形することができるが、成形時に成形用金型に注入された樹脂組成物は成形用金型内壁付近で強い剪断力を受けることとなり、その結果、図5に示すように、絶縁基板2の表層には、樹脂の配向方向が揃ったスキン層7が形成され、一方、その内層6では繊維方向が揃っていない状態となっている。このスキン層7は、他の樹脂を用いた射出成形時にも形成されるが、剛直な溶融型液晶性ポリエステルを用いた場合はより高度に配向したスキン層7が形成される。そのため通常は、絶縁基板2のスキン層7は、成形時の樹脂組成物の流動方向(樹脂の配向方向)には極めて高い機械的強度及び弾性率を有するが、この流動方向と直交する方向には脆弱となるという、異方性を有することとなる。しかし、本発明では樹脂組成物中に後述するような充填材を配合するため、スキン層7の強度が向上されることとなり、その結果、絶縁基板2に良好な成形加工性、耐熱性、寸法安定性を付与すると共に絶縁基板2と金属層3との密着性を向上することができるものである。
【0041】
また、ベース樹脂として、二種以上の樹脂を併用することにより、樹脂を一種のみ用いる場合よりも絶縁基板2の特性を向上することができる。例えばポリフタルアミドのみをベース樹脂として用いる場合と比較して、ベース樹脂としてポリフタルアミド100質量部にポリフェニレンサルファイドを25質量部加えたものを用いると、絶縁基板2と金属層3との密着性を向上することができるものであり、またこのとき、成形体1に熱負荷を加えた場合の密着性も向上することができるものである(後述する実施例18,19参照)。ここで、ベース樹脂中の主成分である樹脂に加える樹脂としては、主成分よりも密着性に優れるものや、線膨脹係数が小さいものや、機械的特性に優れているものを用いることが好ましい。
【0042】
一方、充填材としては、平均繊維径0.1〜5μm、平均繊維長10〜50μmの繊維状充填材8、平均粒径0.1〜20μmの不定形粉末状充填材、及び平均粒径0.1〜20μmの球状充填材のうちの、少なくともいずれか一種が用いられる。
【0043】
この繊維状充填材8の平均繊維径が0.1μmに満たないと、繊維状充填材8の強度が低下し、その結果、樹脂組成物の調製にあたってベース樹脂と繊維状充填材8とを混練する場合や、樹脂組成物による絶縁基板2の成形時における剪断力により繊維状充填材8が破損することとなり、絶縁基板2の物性のばらつきが生じる原因となる。また繊維状充填材8の有する電荷によって凝集が発生しやすくなり、繊維状充填材8を均一に分散させることが困難となるものである。
【0044】
また逆に繊維状充填材8の平均繊維径が5μmを超えると、樹脂組成物中における繊維状充填材8の充填量は低いレベルで限界量を超えることとなり、樹脂組成物及び絶縁基板2内における繊維状充填材8の単位体積当たりの繊維量が低下することとなる。その結果、樹脂組成物及び絶縁基板2中における繊維状充填材8が存在する部位と存在しない部位との間の熱膨脹・収縮率の差が大きくなって、絶縁基板2の平滑性が損なわれ、絶縁基板2の表面に形成される金属層3の平滑性も損なわれることとなって、成形体1を樹脂成形回路基板として用いる場合の、ICチップ等の実装部品のワイヤボンディング時のワイヤの接合性が悪化することとなる。
【0045】
また繊維状充填材8の平均繊維長が10μmに満たない場合、樹脂組成物及び絶縁基板2の機械的特性及び熱的特性はある程度は向上するものの、十分ではなく、そのため、例えば製造工程において成形体1にかかる熱負荷や環境温度変化による熱負荷により絶縁基板2が膨脹・収縮して、絶縁基板2と金属層3との密着力が低下したり、IC等の実装部品への負荷応力が大きくなって、その結果実装部品内部の抵抗値が変化してノイズの発生の原因となったり、あるいは実装部品が破損したりするおそれがある。
【0046】
また逆に繊維状充填材8の平均繊維長が50μmを超えると、見かけ上、繊維状充填材8の強度が低下し、その結果、樹脂組成物の調製にあたってベース樹脂と繊維状充填材8とを混練する場合や、樹脂組成物による絶縁基板2の成形時における剪断力により繊維状充填材8が破損することとなり、絶縁基板2の物性のばらつきが生じる原因となる。また樹脂組成物中における繊維状充填材8の充填量は低いレベルで限界量を超えることとなり、樹脂組成物及び絶縁基板2内における繊維状充填材8の単位体積当たりの繊維量が低下し、絶縁基板2表層における繊維の本数も低下することとなる。この場合、絶縁基板2と金属層3との界面近傍で破壊するときに繊維に応力集中が発生するために良好な密着性が得られなくなるおそれがある。また、絶縁基板2の金型成形時に、樹脂組成物を金型内に注入する際、繊維が樹脂組成物の注入方向(流れ方向)に配しやすくなり、繊維の配向方向と、この方向と直交する方向とで破壊応力の集中の仕方が異なることとなって、絶縁基板2と金属層3との密着性に異方性が発生するおそれがある。更に、充填材の充填量が低下することに伴い、単位体積当たりの繊維密度が小さくなり、その結果、樹脂組成物及び絶縁基板2中における繊維状充填材8が存在する部位と存在しない部位との間の熱膨脹・収縮率の差が大きくなって、絶縁基板2の成形時の表面平滑性が悪化し、絶縁基板2の平滑性が損なわれ、その結果、成形体1を樹脂成形回路基板として用いる場合の、ICチップ等の実装部品のワイヤボンディング時のワイヤの接合性が悪化することとなる。
【0047】
また、特に好ましくは、繊維状充填材8の繊維径を0.3〜1.0μmの範囲とし、繊維長を10〜30μmの範囲とするものであり、この場合、物性の均一性、平滑性、機械的特性、熱的特性等が特に優れた成形体1が得られる。
【0048】
また不定形粉末状充填材の平均粒径が0.1μmに満たないと、絶縁基板2を成形する前に樹脂組成物を押出機を用いてペレット状の成形材料を成形する際に、分散不良によりその表面に凝集塊が生じやすくなり、成形材料を得ることが困難となり、あるいは樹脂組成物から成形される絶縁基板2が脆くなって、回路基板として使用することが困難となる場合がある。
【0049】
また逆に不定形粉末状充填材の平均粒径が20μmを超えると、不定形粉末状充填材の充填量が低いレベルで限界量を超えることとなり、絶縁基板中に充填材を表層にも十分に分布させることが困難となって、絶縁基板表層の強度を十分に向上したり絶縁基板内部の性状を均一に保つことが困難となるものであり、絶縁基板と金属層との密着性を十分に向上できなくなるおそれがある。
【0050】
また不定形粉末状充填材としてホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等のホウ酸塩を用いると、充填材の線膨脹率が小さいために、充填材を充填することによる絶縁基板2の線膨脹率の低減効果が非常に高くなり、成形体1に実装されるIC等の実装部品からのノイズの発生等の誤作動や破損の発生等を更に抑制することができる。
【0051】
また球状充填材の平均粒径が0.1μmに満たないと、絶縁基板2を成形する前に樹脂組成物を押出機を用いてペレット状の成形材料を成形する際に、分散不良によりその表面に凝集塊が生じやすくなり、成形材料を得ることが困難となり、あるいは樹脂組成物から成形される絶縁基板2が脆くなって、回路基板として使用することが困難となる場合がある。
【0052】
また逆に球状充填材の平均粒径が20μmを超えると、球状充填材の充填量が低いレベルで限界量を超えることとなり、絶縁基板中に充填材を表層にも十分に分布させることが困難となって、絶縁基板表層の強度を十分に向上したり絶縁基板内部の性状を均一に保つことが困難となるものであり、絶縁基板と金属層との密着性を十分に向上できなくなるおそれがある。
【0053】
このとき、充填材の配合量が、繊維状充填材8がベース樹脂100質量部に対して20〜150質量部配合されているか、不定形粉末状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜250質量部配合されているか、あるいは平均粒径0.1〜20μmの球状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜400質量部配合されているかの、少なくともいずれかの条件を満たすことが必要とされる。
【0054】
樹脂組成物中における繊維状充填材8の配合量を、ベース樹脂100質量部に対して20〜150質量部とすると、絶縁基板2と金属層3との密着性を更に向上し、また熱負荷がかけられた場合の寸法変化量を更に低減してICチップ等の実装部品にかかる負荷応力を低減し、実装部品からのノイズの発生や破損を防止することができる。
【0055】
このとき、ベース樹脂100質量部に対する繊維状充填材8の配合量が20質量部に満たないと、絶縁基板2の線膨脹率が増大して寸法安定性が悪化し、熱負荷がかけられた場合の実装部品にかかる負荷応力が増大して、実装部品からのノイズの発生や破損が生じるおそれがある。またこの配合量が150質量部を超えると絶縁基板2の表面に充填材が露出しやすくなり、繊維状充填材8と金属層3との親和性が低い場合は繊維状充填材8と金属層3との界面が剥離しやすくなって、絶縁基板2と金属層3との密着性が低下するおそれがあり、また繊維状充填材8と金属層3との親和性が高い場合であっても絶縁基板2表面において絶縁基板2中の樹脂相と繊維状充填材8との界面が破壊されることにより絶縁基板2と金属層3との密着性が見かけ上低下するおそれがある。更に、この配合量が150質量部を超えると、絶縁基板2を成形する前に樹脂組成物を押出機を用いてペレット化する際にペレット化することが困難となったり、あるいは樹脂組成物から成形される絶縁基板2が脆くなって、回路基板として使用することが困難となる場合がある。
【0056】
また、樹脂組成物中における不定形粉末状充填材の配合量を、ベース樹脂100質量部に対して20〜250質量部とすると、絶縁基板2と金属層3との密着性を更に向上し、また熱負荷がかけられた場合の寸法変化量を更に低減してIC等の実装部品にかかる負荷応力を低減し、実装部品からのノイズの発生や破損を防止することができる。この配合量を70〜150質量部とすると、更に良好な結果が得られる。
【0057】
このときベース樹脂100質量部に対する不定形粉末状充填材の配合量が20質量部に満たないと、絶縁基板2の線膨脹率が増大して寸法安定性が悪化し、熱負荷がかけられた場合の実装部品にかかる負荷応力が増大して、実装部品からのノイズの発生や破損が生じるおそれがある。またこの配合量が250質量部を超えると絶縁基板2の表面に充填材が露出しやすくなり、不定形粉末状充填材と金属層3との親和性が低い場合は不定形粉末状充填材と金属層3との界面が剥離しやすくなって、絶縁基板2と金属層3との密着性が低下するおそれがあり、また不定形粉末状充填材と金属層3との親和性が高い場合であっても絶縁基板2表面において絶縁基板2中の樹脂の相と不定形粉末状充填材との界面が破壊されることにより、見かけ上、絶縁基板2と金属層3との密着性が低下するおそれがあり、更には、絶縁基板2を成形する前に樹脂組成物を押出機を用いてペレット化する際にペレット化することが困難となったり、あるいは樹脂組成物から成形される絶縁基板2が脆くなって、回路基板として使用することが困難となる場合がある。
【0058】
また、樹脂組成物中における球状充填材の配合量を、ベース樹脂100質量部に対して20〜400質量部とすると、絶縁基板2と金属層3との密着性を更に向上し、また熱負荷がかけられた場合の寸法変化量を更に低減してIC等の実装部品にかかる負荷応力を低減し、実装部品からのノイズの発生や破損を防止することができる。この配合量を70〜150質量部とすると、更に良好な結果が得られる。
【0059】
このベース樹脂100質量部に対する球状充填材の配合量が20質量部に満たないと、絶縁基板2の線膨脹率が増大して寸法安定性が悪化し、熱負荷がかけられた場合の実装部品にかかる負荷応力が増大して、実装部品からのノイズの発生や破損が生じるおそれがある。
【0060】
ここで、粒径分布のピーク値(中心粒径)が一つのみの球状充填材を用いると充填材を高充填させることが困難であるが、中心粒径が異なる二種以上の充填材を用いると、充填材を容易に高充填させることができる。このように中心粒径の値が異なれば、充填材は同一の材質であっても、異質の材質であっても良い。好ましくは中心粒径が0.1〜0.5μmの範囲のものと、1〜5μmのものを用いるものであり、更に好ましくは中心粒径が0.3μmのものと2μmのものを併用するものである。このようにすると、樹脂組成物中において大径の粒子間の隙間に小径の粒子が配置されることとなって、樹脂組成物中における球状充填材の充填量を増大させることができるものである。
【0061】
一方、球状充填材として中心粒径が一つのみのものを用いると、ベース樹脂100質量部に対して充填材を300質量部を超えて配合することが困難であり、球状充填材の配合量の範囲は20〜300質量部となる。このとき配合量が300質量部を超えると、絶縁基板2の表面に充填材が露出しやすくなり、球状充填材と金属層3との親和性が低い場合は球状充填材と金属層3との界面が剥離しやすくなって、絶縁基板2と金属層3との密着性が低下するおそれがあり、また球状充填材と金属層3との親和性が高い場合であっても絶縁基板2表面において絶縁基板2中の樹脂の相と球状充填材との界面が破壊されることにより絶縁基板2と金属層3との密着性が低下するおそれがあり、更には、絶縁基板2を成形する前に樹脂組成物を押出機を用いてペレット化する際にペレット化することが困難となったり、あるいは成形される絶縁基板2が脆くなって、回路基板として使用することが困難となる場合がある。
【0062】
それに対して、球状充填材として、中心粒径が異なる二種以上の充填材を用いると、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対して充填材を400質量部まで配合することができ、配合量が400質量部となっても安定した樹脂組成物を得ることができると共に、この樹脂組成物から安定した絶縁基板2が成形されるものであり、このように充填材を高密度に充填させることができるため、充填材を充填することによる絶縁基板2の線膨脹率の低減効果が非常に高くなり、成形体1に実装されるICチップ等の実装部品からのノイズの発生等の誤作動や破損の発生等を更に抑制することができる。
【0063】
ここで、充填材として繊維状充填材8を用いる場合は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、アルミナ、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マグネシウムオキシサルフェート、ワラストナイト等を用いることができる。特に、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩を用いると、絶縁基板2の表層の強度を向上して、絶縁基板2と金属層3との密着性を向上することができ、また絶縁基板2の誘電損失率を低減すると共に、比誘電率を広い範囲でコントロールすることができるものである。またホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等のホウ酸塩を用いると、充填材の線膨脹率が小さいために、充填材を充填することによる絶縁基板2の線膨脹率の低減効果が非常に高くなり、成形体1を樹脂成形回路基板として用いる場合の、ICチップ等の実装部品への負荷応力を低減し、実装部品内への応力の蓄積を抑制して、実装部品内からのノイズの発生等の誤作動や、実装部品の破損を防止することができる。
【0064】
また、充填材として不定形粉末状充填材を用いる場合は、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、グラファイト粉末、カーボンブラック、ガラスビーズ等を用いることができる。このような不定形粉末状充填材を用いると、成形時の充填材の配向を抑制して、樹脂組成物から成形される絶縁基板2の特性の異方性の発生を抑制することができる。また特にホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等のホウ酸塩を用いると、充填材の線膨脹率が小さいために、充填材を充填することによる絶縁基板2の線膨脹率の低減効果が非常に高くなり、成形体1に実装されるIC等の実装部品からのノイズの発生等の誤作動や破損の発生等を更に抑制することができる。
【0065】
充填材として球状充填材を用いる場合は、アルミナ、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ガラス等を用いることができる。このような球状充填材を用いると、成形時の充填材の配向を抑制して、樹脂組成物から成形される絶縁基板2の、密着性や強度等の特性に異方性が生じることを抑制することができる。また、球状充填材として特にシリカを用いると、充填材の線膨脹率が小さいために、充填材を充填することによる絶縁基板2の線膨脹率の低減効果が非常に高くなり、成形体1に実装されるIC等の実装部品からのノイズの発生等の誤作動や破損の発生等を更に抑制することができる。
【0066】
また、充填材として繊維状充填材8を用いる場合は、不定形粉末状充填材又は球状充填材を併用することも好ましい。充填材として繊維状充填材8を用いると、樹脂組成物を成形金型に注入して成形硬化又は成形固化することにより絶縁基板2を成形するにあたって、繊維状充填材8が樹脂の流れ方向(注入方向)に沿って配向する傾向が生じ、そのため絶縁基板2に、樹脂の流れ方向と、この方向に対して直交する横方向や厚み方向とでは、強度や線膨脹係数等の特性に異方性が生じることとなる。それに対して、不定形粉末状充填材又は球状充填材を併用することにより、強度を維持しつつ、樹脂の流れ方向と、この方向に対して直交する方向との、線膨脹係数等の特性の差の発生を抑制して、成形体1に熱による負荷がかけられた場合の膨脹・収縮の異方性の発生を抑制することができるものであり、金属層3と絶縁基板2との界面における、上記の樹脂の流れ方向と、この方向と直交する方向とでの応力の集中の仕方に分布が発生することを抑制し、絶縁基板2と金属層3との密着性に異方性が発生することを防止することができるものである。
【0067】
ここで、繊維状充填材8と不定形粉末状充填材とを併用する場合は、その配合比は100質量部の繊維状充填材8に対して不定形粉末状充填材を好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは80〜120質量部配合し、またこの場合、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量は、好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは50〜100質量部とすることで、特に良好な結果が得られる。
【0068】
また、繊維状充填材8と球状充填材とを併用する場合は、その配合比は100質量部の繊維状充填材8に対して球状充填材を好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは80〜120質量部配合し、またこの場合、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量は、好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは50〜100質量部とすることで、特に良好な結果が得られる。
【0069】
絶縁基板2を作製するにあたっては、上記のようなベース樹脂及び充填材を混合・混練して樹脂組成物を調製し、必要に応じてこの樹脂組成物を押出機等によりペレット状に成形して成形材料を得る。この樹脂組成物又は成形材料から、射出成形等の金型成形により、絶縁基板2が作製される。
【0070】
この絶縁基板2には、プラズマ処理を施して表面を活性化させる。具体的には、図6に示すように、チャンバー10内に上下に一対の電極11,12を配置すると共に一方の電極11に高周波電源13を接続し、他方の電極12を接地して構成されるプラズマ処理装置の電極11,12間において、一方の電極11上に絶縁基板2を配置する。この状態でチャンバー10内を真空引きして10-4Pa以下となるまで減圧した後、チャンバー10内にN 2 スを流通させると共にチャンバー10内のガス圧を8〜15Paに制御する。次に高周波電源13にて電極11に13.56Hzの高周波を10〜100秒間印加する。このとき電極11,12間の放電によりチャンバー内の 2 ガスが励起されプラズマが発生し、陽イオン14やラジカル15等が形成される。これらの陽イオンやラジカルが絶縁基板2の表面に衝突することにより絶縁基板2表面が化学的に活性化される。特に陽イオン14が絶縁基板2に誘引衝突することにより絶縁基板2表面に金属と結合しやすい窒素極性基が導入され、金属層3との密着性がより向上することとなる。尚、プラズマ処理条件は上記のものに限定されるものではなく、絶縁基板2の表面を活性化させることができる範囲で行うことができるものであるが、絶縁基板2の表面がこのプラズマ処理過程において過度に粗面化されない範囲で行われるものである。
【0071】
次に、上記のプラズマ処理によって活性化された絶縁基板2の表面に、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって金属層3を形成する。このとき絶縁基板2表面の酸素極性基や窒素極性基等によって金属層3と絶縁基板2とが高い密着性を有することとなる。ここで、金属層3は銅、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、鉛、黄銅、NiCr等の、単体の金属あるいは合金にて形成することができる。
【0072】
スパッタリングを行う場合は、DCスパッタ方式を適用することができる。この場合、例えば、まずチャンバー内に絶縁基板2を配置した後、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10-4Pa以下になるまで真空引きを行う。この状態でチャンバー内にアルゴン等の不活性ガスを、0.1Paのガス圧となるように導入する。更に、500Vの直流電圧を印加することにより、銅ターゲットをボンバードし、300〜500nmの膜厚の銅の層を形成することができる。
【0073】
また真空蒸着を行う場合は、電子線加熱式真空蒸着方式を適用することができる。この場合、例えば蒸着材料として銅が入れられたるつぼをチャンバー内に配置する。この状態で、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10-3Pa以下になるまで真空引きを行った後、加速電圧10kVを印加し、400〜800mAの電子流を発生させ、この電子流をるつぼ中の蒸着材料に衝突させて加熱する。これにより蒸着材料が蒸発し、300〜500nmの膜厚の銅の層を形成することができる。
【0074】
またイオンプレーティングを行う場合は、例えば材料として銅が入れられたるつぼをチャンバー内に配置すると共に、チャンバー内の絶縁基板2とるつぼとの間に誘電アンテナ部を配置する。この状態で、まずチャンバー内の圧力を10-4Pa以下となるまで真空引きを行った後、加速電圧10kVを印加し、400〜800mAの電子流を発生させ、この電子流をるつぼ中の材料に衝突させて加熱する。これによりるつぼ中の材料が蒸発する。次に、誘導アンテナ部にアルゴン等の不活性ガスを導入し、ガス圧を0.05〜0.1Paとなるようにし、この誘導アンテナに13.56MHz、出力500Wの高周波を印加し、プラズマを発生させる。一方、絶縁基板2には、100〜500Vの直流電圧をバイアス電圧として印加する。これにより、300〜500nmの膜厚の銅の層を形成することができる。
【0075】
そして、このように形成された成形体1の金属層3には、レーザ法により微細な回路形成が施される。すなわち、回路形成部分と非回路形成部分との境界にレーザ光を照射してこの境界部分の金属を除去し、回路形成部分に電解めっきを施す。次にソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させることにより、所望のパターン形状を有する回路を成形して、樹脂成形回路基板を得ることができるものである。
【0076】
このようにして得られる成形体1は、絶縁基板2の表層にも十分に充填材が分布することとなって、微視的にみても絶縁基板2表層の強度が大幅に向上すると共に、絶縁基板2内部の均一性も得られ、絶縁基板2と金属層3との密着性が向上する。また、絶縁基板2中における充填材の分散性が向上することにより、絶縁基板2の線膨脹率を低減することができる。そのため、成形体1を回路基板として用いる場合に、製造工程や環境試験、あるいは実使用環境等において様々な熱負荷を受けた場合における、絶縁基板2と金属層3との間の線膨脹率の相違による界面での熱応力の発生を抑制し、成形体1が熱負荷を受けた場合の絶縁基板2と金属層3との間の密着強度の低下を抑制することができるものである。また、このような熱負荷を受けた場合の、成形体1の形状変化を抑制することができ、ICチップ等の実装部品を実装している場合の、実装部品への応力の蓄積を抑制し、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を防止することができる。
【0077】
また、金属層3を形成する際に絶縁基板2表面に粗面化処理を施す必要がなく、しかも熱負荷を受けた場合における形状変化が抑制されているため、金属層3が優れた表面平滑性を有することとなる。そのため、成形体1を樹脂成形回路基板として用い、実装部品をワイヤボンド接続したり、フリップチップ実装したりする場合の素子と回路との接合信頼性を向上することができ、特に高度な表面平滑性が要求されるフリップチップ実装において、その効果が大きいものである。
【0078】
更に、金属層3が優れた表面平滑性を有するために、成形体1に回路形成を施す場合、大幅な細線化を可能にすることができる。例えばライン幅0.03mm、ライン間隔0.03mm(Line幅=0.03mm,Space幅=0.03mm)のファインパターンを形成することも可能なものである。
【0079】
また、絶縁基板2を作製するにあたって、絶縁基板2を、表層に配された繊維状充填材8を含有する表面層4と、繊維状充填材8を含有しないコア層5とで構成し、金属層3を表面層4の表面に形成するようにしても良い。このときは、図1(a)に示すように、コア層5の表裏両面のうち、金属層3が形成される側の一面にのみ表面層4を形成しても良く、また図1(b)に示すように、コア層5の表面全面に亘って表面層4を形成しても良い。この場合、不定形粉末状充填材よりも高価な繊維状充填材8の使用量を低減して製造コストを削減すると共に、絶縁基板2と金属層3との間の密着性を確保することができるものである。このとき、コア層5には充填材を配合しなくても良いが、コア層5に不定形粉末状充填材を配合すると絶縁基板2全体の剛性を向上すると共に、絶縁基板2全体の線膨脹係数を低減し、更に繊維状充填材8が配向することによる強度や線膨脹係数等の特性の異方性の発生を抑制して、金属層3と絶縁基板2との密着性を更に向上すると共に、IC等の搭載部品に応力負荷がかかることを抑制して、搭載部品からのノイズの発生や破損等を防止することができるものである。
【0080】
上記のようなコア層5と表面層4とからなる絶縁基板2を作製するにあたっては、コア層5に対して表面層4をコーティング法により形成したり、あるいはサンドイッチ成形によりコア層5と表面層4とを同時成形することもできる。
【0081】
コーティング法を適用する場合は、充填材を含まない樹脂組成物あるいは不定形粉末状充填材を含む樹脂組成物を射出成形等の金型成形によって成形した後、繊維状充填材8を含有した塗料を塗布することができる。この塗料は、繊維状充填材8を含有する樹脂組成物を溶剤に分散・溶解させることにより調製することができ、この塗料をスピンコート、ディッピング等の方法によってコーティングすることができる。
【0082】
また絶縁基板2は、繊維状充填材8を含有する樹脂組成物から形成されると共に繊維状充填材8の配向方向が揃った複数の樹脂層2a,2b,2cを積層成形することにより得ることができる。このとき、各樹脂層2a,2b,2cにおける繊維状充填材8の配向方向は、隣接する樹脂層2a,2b,2c同士の間で異なる方向に配置されるようにするものである。例えば図2に示すように、樹脂層2a,2b,2cを三層積層することにより絶縁基板2を作製するようにし、このとき一層目の樹脂層2aの繊維状充填材8の配向方向に対して二層目の樹脂層2bの繊維状充填材8の配向方向を45°変化させて配置し、更に二層目の樹脂層2bの繊維状充填材8の配向方向に対して三層目の樹脂層2cの繊維状充填材8の配向方向を45°変化させて配置するものである。
【0083】
このようにして絶縁基板2を形成すると、繊維状充填材8の配向が揃うことによる各樹脂層2a,2b,2cの強度や線膨脹係数等の異方性が、隣接する樹脂層2a,2b,2cによって相殺あるいは補完されて、絶縁基板2の特性の異方性を緩和することができるものである。
【0084】
また、上記のように複数の樹脂層2a,2b,2cを積層成形して絶縁基板2を作製するにあたり、図3に示すように、隣接する樹脂層2a,2b,2c同士の繊維状充填材8の配向方向のなす角が90°となるように形成すると、絶縁基板2の特性の異方性を更に効果的に緩和することができる。すなわち、繊維状充填材8の配向方向が揃った樹脂層2a,2b,2cでは、この配向方向と、この配向方向と直交する方向との間で、特に強度や線膨脹係数等の特性の違いが大きく現れるものであり、そのため、隣接する樹脂層2a,2b,2c同士の繊維状充填材8の配向方向を略直交させることにより、その特性の異方性を効果的に相殺あるいは補完して、絶縁基板2の特性の異方性を更に緩和することができるものである。
【0085】
上記のように複数枚の樹脂層2a,2b,2cを積層成形して絶縁基板2を作製するにあたり、各樹脂層2a,2b,2cは、繊維状充填材8を含む樹脂組成物を、射出成形等の金型成形によって成形することができる。また複数枚の樹脂層2a,2b,2c同士を積層成形して絶縁基板2を得るにあたっては、インサート成形法や二色成形法を適用することができる。
【0086】
図4は、インサート成形により樹脂層2a,2b,2c同士を積層成形する工程を概念的に示したものである。まず一層目の樹脂層2aを金型成形するにあたり、図中の9で示す方向をゲート方向として、この方向に向けて金型内に樹脂組成物を注入し、成形固化させて一層目の樹脂層2aを作製する。二層目の樹脂層2bを金型成形するにあたっては、一層目の樹脂層2aを、他の金型内に配置し、図中の10で示す方向をゲート方向として、この方向に向けて金型内に樹脂組成物を注入し、一層目の樹脂層2aに積層するようにして二層目の樹脂層2bを成形する。図示の例では一層目と二層目の樹脂層2a,2bの成形時のゲート方向を90°変化させて、隣接する一層目と二層目の樹脂層2a,2bにおける繊維状充填材8の配向方向が略直交するように形成している。このようにして、樹脂層2a,2b,2cを順次インサート成形すると共に、このときゲート方向(樹脂組成物の注入方向)を順次変化させることにより、樹脂層2a,2b,2cを積層成形して絶縁基板2を成形することができる。
【0087】
また、二色成形により樹脂層2a,2b,2cを積層成形する場合は、例えば一層目の樹脂層2aを成形した後、金型を反転させて二層目の樹脂層2bを成形するものであるが、このとき二層目の樹脂層2bの成形のためのゲートの位置を、ゲート方向(樹脂組成物の注入方向)が一層目の樹脂層2aにおける繊維状充填材8の配向方向と異なる方向、好ましくは直交する方向となるように配置するものである。
【0088】
以上のようにして構成される成形体は、樹脂成形回路基板として用いる場合の一例を図7に示す。
【0089】
図示の成形体1では、成形体1を構成する絶縁基板2の上面に一側縁と他側縁において上方に突出する接合部19が形成されていると共に二つの接合部19の間には上方に開口する凹状の実装部16が形成されており、断面凹状に形成されている。また、この絶縁基板2の接合部19には、複数の接続端子17(ボンディングパット)が形成されている。
【0090】
また、ICチップ等の実装部品16は、ペースト状樹脂21などによって実装部18の上面に実装される。また、この実装部品16の上面には複数の金バンプやはんだバンプ等からなる端子電極23(バンプ)が形成されており、実装部16に取り付けられた実装部品16の複数の各端子電極23と、成形体1の複数の各接続端子17とが、金線等のワイヤ20にてワイヤボンディングされるものである。
【0091】
このようにして成形体1を、ワイヤボンディングにより部品実装がなされる樹脂成形回路基板として形成すると、樹脂成形回路基板に形成される回路は上述のように平滑性が高いため、回路に対して実装部品16をワイヤボンド接続することにより、実装部品16と回路との接続信頼性を向上することができるものである。
【0092】
また、図8に示す例では、実装部品16として単結晶無機材料にて構成されるチップ22が用いられている。このようなチップ22としては、ガリウムヒ素やセレン化亜鉛等の構成されるLED等を挙げることができ、このようなチップ22は脆弱であって、損傷が発生しやすいものである。
【0093】
図示の例では、成形体1を構成する絶縁基板2の上面は平面状に形成されており、この絶縁基板2の上面には回路25が形成されている。この回路25としては、実装部品16と接続される回路25として一次側回路25aと二次側回路25bとが形成されており、一次側回路25aには実装端子24が、二次側回路25bには接続端子17(ボンディングパット)が、それぞれ形成されている。単結晶無機材料にて構成されるチップ22は下面の全面において実装端子24と接続されており、このときチップ22の下面と実装端子24とは、銀ペースト樹脂等の導電性樹脂26にて接合されている。また、チップ22上面に形成された金バンプやはんだバンプ等からなる端子電極23(バンプ)と、二次側回路25bの接続端子17とが、金線等のワイヤ20にてワイヤボンディングされるものである。
【0094】
このようにして、成形体1を単結晶無機材料で構成されるチップ22が実装される樹脂成形回路基板として形成すると、LED(発光ダイオード)等のような脆弱な単結晶無機材料から構成されるチップ22が実装されていても、上述のように成形体1の熱変形が抑制されているためにチップ22にかかる応力を抑制することができ、チップ22の損傷発生を防止することができるものである。特に、チップ22としてLEDを用いると、LEDに通電を行うことにより発熱した場合でも成形体1の熱変形が抑制されることによりLEDの損傷発生が防止され、長時間安定して発光させることができるものである。
【0095】
尚、成形体1に対するチップ22の実装の方法は上記のようなものに限られるものではなく、ワイヤボンディングやフリップチップ実装等のような種々の実装方法のうちのいずれの方法で実装されていても良い。
【0096】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0097】
ここで、下記の各実施例、参考例及び比較例において、プラズマ処理は、図6に示すようなプラズマ処理装置の電極11,12間において、一方の電極11上に絶縁基板2を配置し、チャンバー10内を真空引きして10-4Pa以下に減圧した後にN2ガスを流通させると共にチャンバー10内のガス圧を10Paに制御する。そして高周波電源13にて電極11,12間に13.56Hzの高周波電圧を30秒間印加したものである。
【0098】
またスパッタリングは、DCスパッタ方式を適用し、まずチャンバー内に絶縁基板2を配置した後、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10-4Pa以下になるまで真空引きを行う。この状態でチャンバー内にアルゴン等の不活性ガスを、0.1Paのガス圧となるように導入する。更に、500Vの直流電圧を印加することにより、銅ターゲットをボンバードし、300nmの膜厚の銅の層を形成した。
【0099】
また真空蒸着は、電子線加熱式真空蒸着方式を適用し、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10-3Pa以下になるまで真空引きを行ったあと、加速電圧10kVを印加し、400mAの電子流を発生させて、300nmの膜厚の銅の層を形成した。
【0100】
またイオンプレーティングは、まずチャンバー内の圧力を10-4Pa以下となるまで真空引きした後、加速電圧10kVを印加した。次にアルゴンガス等の不活性ガスを導入し、ガス圧を0.1Paとなるようにする。この状態で、絶縁基板2に200Vのバイアス電圧を印加し、誘導アンテナに13.56MHz、500Wの高周波電圧を印加して、300nmの膜厚の銅の層を形成した。
【0101】
またレーザ加工は、光源としてYAGの第二高調波(波長532nm)を用い、スキャン速度300mm/s、出力1Wの条件で行った。
【0102】
また電解めっき処理では、光沢硫酸銅めっき液(CuSO4・5H2O:70g/L、H2SO4(98%濃度):180g/L、Cl-:50ppm、その他光沢剤を含有)中に、金属層が形成された成形体を浸漬し、電流密度2A/dm2、通電時間35分間の条件により、厚み15μmのめっき膜を形成した。
【0103】
またソフトエッチング処理は、成形体を過硫酸アンモニウム溶液(200g/L)に40秒間浸漬し、300nmの膜厚の被回路形成部分の金属を除去すると共に、回路形成部分の金属を残存させるものであり、これにより、所望のパターン形状の回路を形成するものである。
【0104】
(実施例1〜6、比較例1)
表1に示すベース樹脂と繊維状充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表1に示す配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、実施例1,2及び比較例1はスパッタリングにて、実施例3,4は真空蒸着にて、実施例5,6はイオンプレーティングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成して成形体1を成形した。
【0105】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて、厚み15μmの回路を形成した。
【0106】
この成形体1における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向及びこの方向と直交する方向について線膨脹係数を測定し、樹脂組成物の注入方向の線膨脹係数を分母に、この方向と直交する方向の線膨脹係数を分子に配置して、線膨脹係数の異方性を評価した。
【0107】
また上記のようにして得られた成形体1につき、室温(20℃)雰囲気で、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出方向及びこの方向と直交する方向について90°ピール強度を測定し、樹脂組成物の射出方向の90°ピール強度を分母に、この方向と直交する方向の90°ピール強度を分子に配置して、密着力の異方性を評価した。
【0108】
また、成形体1にレーザ法にて回路形成を行った後、ICチップを搭載し、160℃の温度で1時間保持し、−40℃の温度で1時間保持し、更に室温に戻すという熱負荷を与えている間、ICチップに電流を流して動作させると共にICからの出力をオシロスコープにて観測し、ICチップからのノイズの発生の有無を測定した。
【0109】
以上の結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
Figure 0004524958
【0111】
表記の通り、実施例1〜6では比較例1よりも絶縁基板2の線膨脹係数が低く、かつ絶縁基板2と金属層3との密着性も高く、更に実装部品からのノイズの発生も認められなかった。
【0112】
参考例7,8、実施例9、参考例10〜16)
表2に示すベース樹脂と繊維状充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0113】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0114】
上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出方向及びこの方向と直交する方向について90°ピール強度を測定した。また回路形成後に、成形体1に160℃、2時間の熱負荷を与えたものについても、同様に室温(20℃)雰囲気で90°ピール強度を測定した。この測定結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
Figure 0004524958
【0116】
表記の通り、アミド結合、サルファイド基、シアノ基、エステル結合、スルホン基、ケトン基及びイミド基のいずれかを有する樹脂において、絶縁基板2と金属層3との密着性が高く、熱負荷を与えた後の密着性も高いことが確認された。
【0117】
参考例17,比較例2)
表3に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成し、成形体1を成形した。
【0118】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0119】
ここで、充填材は、実施例17では繊維径が0.3〜0.6μm、繊維長が10〜20μmの範囲の繊維状のチタン酸カリウムを、比較例2では繊維径が11μm、繊維長が1mmのガラス繊維を用い、その配合量はベース樹脂100質量部に対して50質量部とした。
【0120】
上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時における樹脂組成物の射出方向と直交する方向の90°ピール強度を測定した。この測定結果を表3に示す。
【0121】
【表3】
Figure 0004524958
【0122】
上記の表に示すように、ベース樹脂として溶融型液晶性ポリエステルを使用し、充填材として平均繊維径0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μmの繊維状充填材8を用いることにより、絶縁基板2と回路との密着性が向上したことが確認された。
【0123】
また、比較例2と同様の試料に対して、プラズマ処理を行わなかった場合には、めっき応力よりも密着力が低かったため、めっき被膜が剥離して、ピール強度を測定することができなかった。
【0124】
(実施例18,19)
表4に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0125】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0126】
上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時における樹脂組成物の射出方向と直交する方向の90°ピール強度を測定した。また金属層3形成後に、成形体1に160℃、2時間の熱負荷を与えたものについても、同様に90°ピール強度を測定した。この測定結果を表4に示す。
【0127】
【表4】
Figure 0004524958
【0128】
上記の表に示すように、ベース樹脂としてポリフタルアミドにポリフェニレンサルファイドを加えたものを用いることにより、ポリフタルアミド単独の場合よりも絶縁基板2と回路との密着性が向上したことが確認された。
【0129】
すなわち、二種以上の樹脂を配合することにより、樹脂を一種のみ用いる場合よりも絶縁基板の密着力等の特性を向上することができるものであり、ベース樹脂中の主成分である樹脂に加えて、主成分よりも密着性に優れ、線膨脹係数が小さく、あるいは機械的特性に優れている樹脂を併用することで、樹脂組成物の特性を向上することができるものである。
【0130】
(実施例20,21)
表5に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0131】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0132】
上記における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向及びこの方向と直交する方向について線膨脹係数を測定し、樹脂組成物の注入方向の線膨脹係数を分母に、この方向と直交する方向の線膨脹係数を分子に配置して、線膨脹係数の異方性を評価した。
【0133】
また上記のようにして得られた成形体1につき、回路の形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向及びこの方向と直交する方向について90°ピール強度を測定し、樹脂組成物の注入方向の90°ピール強度を分母に、この方向と直交する方向の90°ピール強度を分子に配置して、密着力の異方性を評価した。
【0134】
以上の結果を表5に示す。
【0135】
【表5】
Figure 0004524958
【0136】
上記の表に示すように、充填材として繊維状充填材8であるホウ酸アルミニウムのみを用いた実施例20では線膨脹係数の異方性の評価が2.2であり、密着力の異方性の評価が1.16であったのに対して、充填材として繊維状充填材8であるホウ酸アルミニウムに加えて球状充填材であるシリカを用いた実施例21では線膨脹係数の異方性の評価が0.96、密着力の異方性の評価が1.0となり、異方性が大きく緩和されていることが確認された。
【0137】
(実施例22,23)
表6に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0138】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0139】
上記における絶縁基板2につき、上記の実施例20,21の場合と同様にして、線膨脹係数の異方性及び密着力の異方性を評価した。
【0140】
以上の結果を表6に示す。
【0141】
【表6】
Figure 0004524958
【0142】
上記の表に示すように、充填材として繊維状充填材8であるワラストナイトのみを用いた実施例22では線膨脹係数の異方性の評価が1.5であり、密着力の異方性の評価が1.25であったのに対して、充填材として繊維状充填材8であるワラストナイトに加えて不定形粉末状充填材であるカオリンを用いた実施例23では線膨脹係数の異方性の評価が1.0、密着力の異方性の評価が1.0となり、異方性が大きく緩和されていることが確認された。
【0143】
(実施例24,25、比較例3,4)
表7に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0144】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0145】
また上記における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出方向について線膨脹係数を測定した。
【0146】
また上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出方向について90°ピール強度を測定した。
【0147】
また、成形体1にレーザ法にて回路形成を行った後、ICチップを搭載し、160℃の温度で1時間保持した後、−40℃の温度で1時間保持し、更に室温に戻したものにつき、ICチップからのノイズの発生の有無を測定した。
【0148】
以上の結果を表7に示す。
【0149】
【表7】
Figure 0004524958
【0150】
上記の表に示すように、繊維状充填材の配合量が20質量部に満たないと線膨脹係数が増大する傾向が現れると共にICチップからノイズの発生が起こり、また150質量部を超える比較例4では成形時にペレットが得られず、成形体1を成形することができなかった。また繊維状充填材の配合量が20〜150質量部の間で、良好な密着力、線膨張係数が得られることが確認された。
【0151】
(実施例26〜28)
表8に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0152】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0153】
上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時における樹脂組成物の射出方向と直交する方向の90°ピール強度を測定した。
【0154】
以上の結果を表8に示す。
【0155】
【表8】
Figure 0004524958
【0156】
上記の表に示すように、充填材としてチタン酸塩からなる繊維状充填材8を用いた実施例26、27は、回路と絶縁基板2とは高い密着性を有する。また、チタン酸塩を用いることにより、実施例26、27のように比誘電率が広い範囲でコントロールされるものであり、このとき誘電正接は低い値に抑制されて、誘電損失は低く、このため、チタン酸塩を用いると特に高周波帯域の回路設計を行う上で有利なものである。
【0157】
(実施例29〜32、比較例5)
表9に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0158】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0159】
上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出方向及びこの方向と直交する方向について90°ピール強度を測定した。
【0160】
また、成形体1にレーザ法にて回路形成を行った後、ICチップを搭載し、160℃の温度で1時間保持した後、−40℃の温度で1時間保持し、更に室温に戻したものにつき、ICチップからのノイズの発生の有無を測定した。
【0161】
以上の結果を表9に示す。
【0162】
【表9】
Figure 0004524958
【0163】
上記の表に示すように、不定形粉末状充填材を使用することで、樹脂の注入方向と直交する方向においても密着性を向上することができるものであり、この密着性向上の効果は充填量が150質量部以下の範囲で顕著に現れる。また充填量が20質量部以上において、ICチップからのノイズの発生が抑制されている。
【0164】
(実施例33)
表10に示すベース樹脂と不定形粉末状充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0165】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0166】
上記における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向、この方向と直交する方向及び厚み方向について線膨脹係数を測定した。
【0167】
また、成形体1にICチップを搭載し、160℃の温度で1時間保持した後、−40℃の温度で1時間保持し、更に室温に戻したものにつき、ICチップからのノイズの発生の有無を測定した。
【0168】
以上の結果を表10に示す。
【0169】
【表10】
Figure 0004524958
【0170】
上記の表に示すように、不定形粉末状のホウ酸塩を用いることによって、絶縁基板2の線膨脹率は低減され、更に成形体1に熱負荷をかけても、実装されたICチップからノイズの発生は認められなかった。
【0171】
(実施例34〜37、比較例6)
表11に示すベース樹脂と球状充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0172】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0173】
上記における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向、この方向と直交する方向及び厚み方向について線膨脹係数を測定した。
【0174】
また上記のようにして得られた成形体1につき、回路形成直後の絶縁基板2に対する回路の、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の射出及びこの方向と直交する方向について90°ピール強度を測定した。
【0175】
また、成形体1にレーザ法にて回路形成を行った後、ICチップを搭載し、160℃の温度で1時間保持した後、−40℃の温度で1時間保持し、更に室温に戻したものにつき、ICチップからのノイズの発生の有無を測定した。
【0176】
以上の結果を表11に示す。
【0177】
【表11】
Figure 0004524958
【0178】
上記の表に示すように、球状充填材を使用することで、絶縁基板2の線膨張係数を、樹脂の射出方向、この方向と直交する方向及び厚み方向においてほぼ均等にすることができ、樹脂の射出方向と直交する方向においても密着性を向上することができるものであり、この密着性向上の効果は充填量が300質量部以下の範囲で顕著に現れる。また充填量が20質量部以上において、ICチップからのノイズの発生が抑制されている。
【0179】
(実施例38,39)
表12に示すベース樹脂と球状充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表記の配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって、30mm×40mm×1mmの絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成、成形体1を成形した。
【0180】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて回路形成を行った。
【0181】
上記における絶縁基板2につき、絶縁基板2の成形時の樹脂組成物の注入方向、この方向と直交する方向及び厚み方向について線膨脹係数を測定した。
【0182】
以上の結果を表12に示す。
【0183】
【表12】
Figure 0004524958
【0184】
上記の表に示すように、実施例39では二種類の粒径を有する球状充填材を用いることによって、ベース樹脂100質量部に対して充填材を400質量部も充填することができ、一種類の粒径のみを用いる実施例38の場合よりも絶縁基板2の線膨脹率を低減することができたものである。
【0185】
(実施例40〜42,比較例7)
表13に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表1に示す配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2は平面視寸法7mm×7mm、全体厚み3mmに形成し、また上面には深さ1.5mmの凹部(実装部18)を形成したものであり、幅 1.5mm、長さ7mmの二つの突出部19と、幅4mm、長さ7mm、深さ1.5mmの実装部18とが形成されている。
【0186】
この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成して成形体1を成形した。
【0187】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて12個の接続端子17を形成し、成形体1を図7に示すような樹脂成形回路基板として形成した。
【0188】
そして、この成形体1の接続端子17の表面粗さを非接触三次元計測装置(三鷹光器株式会社製、型番「NH−3N」)により測定した。
【0189】
また、この成形体1の実装部18に実装部品16として、上面にアルミニウムからなる12個の端子電極23を有するICチップを搭載し、ICチップの各端子電極23と成形体1の各接続端子17とを、線径25μmの金線(ワイヤ20)によって超音波接合装置を用いてワイヤボンディングした。
【0190】
そして、成形体1の各接続端子17と端子電極23とを接続する各ワイヤ20に上方の荷重をかけて、ワイヤ20と接続端子17又は端子電極23との接続が外れ、あるいはワイヤ20が切断されるときの荷重を測定した。
【0191】
上記の測定にて得られた端子電極17の表面粗さと、ワイヤ20切断時の荷重から導出されるワイヤの接合性の評価結果とを、図13に示す。尚、ワイヤの接合性の評価は、各ワイヤ20ごとに測定した荷重の値から、平均値Mと分散σとを導出し、M−3×σの値が4g重(0.0039N)以上のものを良品(○)とし、4g重(0.0039N)未満のものを不良品(×)として行ったものである。
【0192】
【表13】
Figure 0004524958
【0193】
上記の表に示すように、実施例40〜42では端子電極17の平滑性が高いのに対して、比較例7ではこの平滑性が低いものであり、またワイヤボンディングの接合性につては、実施例40〜42では接合性が優れているのに対して、比較例3では接合性が悪いものであった。
【0194】
(実施例43〜45、比較例8)
表14に示すベース樹脂と充填材とをベース樹脂100質量部に対して充填材を表1に示す配合割合で配合して得られる樹脂組成物を、押出機によってペレット化した後、射出成形によって絶縁基板2を成形した。この絶縁基板2は20mm×40mm×2mmの寸法で、上面を平面状に形成した。
【0195】
この絶縁基板2にプラズマ処理を施して表面を活性化させた後、スパッタリングにて、銅からなる厚み300nmの金属層3を形成して成形体1を成形した。
【0196】
この成形体1の金属層3にレーザ加工を施した後、電解めっき処理、ソフトエッチング処理を施すことにより非回路形成部分の金属を除去すると共に回路形成部分の金属を残存させて、幅0.15mmの一次回路25aと、幅0.15mmの二次回路25bを形成すると共に、一次回路25aの端部に0.7mm×0.9mmの実装端子24を、二次回路25bの端部に0.4mm×0.4mmの接合端子17を形成した。
【0197】
また、単結晶無機材料からなるチップ22としては、0.5mm×0.7mm×0.3mmの寸法を有するガリウムヒ素(GaAs)の単結晶から構成されると共に上面にアルミニウムからなる端子電極23が形成されたLEDを用い、このチップ22を導電性樹脂26(ナミックス株式会社製の導電性接着剤「ハイメック銀ペースト」)を用いて実装端子24上に取り付け、チップ22の端子電極23と成形体1の接続端子17とを、線径25μmの金線(ワイヤ20)によって、超音波接合装置を用いてワイヤボンディングした。
【0198】
そして、室温中で、一次回路25aと二次回路25bとの間に20mAの直流電流を通電することによりチップ22を発光させ、発光初期の発光強度と、発光開始から100時間経過した後の発光強度とを測定し、初期の発光強度からの変化率が10%未満のものを良品(○)、変化率が10%以上であるものを不良品(×)として評価した。
【0199】
この結果を表14に示す。
【0200】
【表14】
Figure 0004524958
【0201】
上記の表に示すように、実施例43〜45ではチップ22の発光強度が低下していないのに対して、比較例8では発光強度が低下し、チップ22が成形体1の熱変形による損傷を受けたことが確認された。
【0202】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均繊維径0.1〜5μm、平均繊維長10〜50μmの繊維状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜150質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されたものである。
【0203】
また請求項2の発明は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの不定形粉末状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜250質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されたものである。
【0204】
更に請求項3の発明は、ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの球状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜400質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されたものである。
【0205】
そして本発明はこのような構成を具備するために、絶縁基板の表層にも十分に充填材が分布することとなって、微視的にみても絶縁基板表層の強度が大幅に向上すると共に、絶縁基板内部の均一性も得られ、絶縁基板と金属層との密着性を向上することができる。また、絶縁基板中における充填材の分散性が向上することにより、絶縁基板の線膨脹率を低減することができ、成形体を回路基板として用いる場合に、製造工程や環境試験、あるいは実使用環境等において様々な熱負荷を受けた場合における、絶縁基板と金属層との間の線膨脹率の相違による界面での熱応力の発生を抑制し、成形体が熱負荷を受けた場合の絶縁基板と金属層との間の密着強度の低下を抑制することができるものである。また、このような熱負荷を受けた場合の、成形体全体の形状変化を抑制することができ、ICチップ等の実装部品を実装している場合の、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を防止することができる。また、金属層を形成する際に絶縁基板表面に粗面化処理を施す必要がなく、しかも熱負荷を受けた場合における形状変化が抑制されているため、金属層が優れた表面平滑性を有することとなり、成形体を樹脂成形回路基板として用い、実装部品をワイヤボンド接続したり、フリップチップ実装したりする場合の素子と回路との接続信頼性を向上することができるものであり、特に高度の表面平滑性が要求されるフリップチップ実装において、その効果が大きいものである。更に、金属層が優れた表面平滑性を有することによって、成形体に回路形成を施す場合、大幅な細線化を可能にすることができるものである。
また、ベース樹脂として、ポリフタルアミドを用いるため、絶縁基板の耐熱性、成形性、寸法安定性に優れるものである。
【0206】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合される充填材として球状充填材を用いると共に、この充填材として中心粒径の異なる少なくとも二種類の充填材を配合するため、充填材の充填量を飛躍的に増大させることができ、絶縁基板の線膨脹率を更に低減することができて、特に成形体が熱負荷を受けた場合の絶縁基板と金属層との間の密着強度を更に効果的に維持すると共に、ICチップ等の実装部品への応力の蓄積を更に抑制して、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を更に確実に防止することができるものである。
【0207】
また請求項5の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材と球状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材に対する球状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部とするため、樹脂組成物の金型成形時に発生する繊維状充填材の配向を球状充填材にて緩和することができ、成形体の特性に異方性が発生することを抑制することができるものである。
【0208】
また請求項6の発明は、請求項1又は3の構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材と不定形粉末状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材に対する不定形粉末状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部とするため、樹脂組成物の金型成形時に発生する繊維状充填材の配向を不定形粉末状充填材にて緩和することができ、成形体の特性に異方性が発生することを抑制することができるものである。
【0209】
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、チタン酸塩からなる繊維状充填材を配合するため、絶縁基板の表層の強度を更に向上して、絶縁基板と金属層との密着性を更に向上することができるものであり、また絶縁層の誘電損失率(誘電正接)を低減すると共に比誘電率をコントロールすることができるものである。
【0210】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、ホウ酸塩からなる繊維状充填材又は不定形粉末状充填材を配合するため、充填材自体の線膨脹率が非常に低く、絶縁基板の線膨脹率を更に低減することができ、成形体が熱負荷を受けた場合の絶縁基板と金属層との間の密着強度を更に効果的に維持すると共に、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を更に確実に防止することができるものである。
【0211】
また請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、シリカからなる球状充填材を配合するため、充填材自体の線膨脹率が非常に低く、絶縁基板の線膨脹率を更に低減することができ、特に成形体が熱負荷を受けた場合の絶縁基板と金属層との間の密着強度を更に効果的に維持すると共に、ICチップ等の実装部品への応力の蓄積を更に抑制して、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を更に確実に防止することができるものである。
【0212】
また請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、アミド結合、サルファイド基、シアノ基、スルホン基、ケトン基、イミド基、エステル結合のうちの少なくともいずれかを有する樹脂を配合するため、絶縁基板と金属層との密着性を更に向上することができるものである。
【0213】
また請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかの構成に加えて、ベース樹脂として、溶融型液晶性ポリエステルを用いるため、絶縁基板に溶融型液晶性ポリエステルによる良好な成形加工性、耐熱性及び寸法安定性を付与すると共に、絶縁基板の表層に形成される、樹脂が高度に配向したスキン層の強度が、充填材によって効果的に向上されて、絶縁基板と金属層との密着性を更に向上することができるものである。
【0214】
また請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を、コア層と、繊維状充填材を含有すると共にコア層の表面を被覆する表面層とで構成し、この表面層の表面に金属層を形成するため、繊維状充填材を含有する表面層と金属層との密着性を維持すると共に、繊維状充填材の使用量を削減して製造コストを低減することができるものである。
【0215】
また請求項13の発明は、請求項12の構成に加えて、絶縁基板のコア層に、不定形粉末状充填材を含有させるため、表面層において繊維状充填材にて絶縁基板と金属層との密着性を維持すると共に、繊維状充填材の使用量を削減して製造コストを低減することができるものである。
【0216】
また請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれかの構成に加えて、絶縁基板を、繊維状充填材を含有すると共にその繊維状充填材の配向方向が異なる複数の樹脂層を積層して構成するため、繊維状充填材が配向することにより生じる方向の異方性を相殺又は補完し、絶縁基板の特性の異方性を緩和することができるものである。
【0217】
また請求項15の発明は、請求項14の構成に加えて、樹脂層における繊維状充填材の配向方向が、隣接する他の樹脂層の繊維状充填材の配向方向と略直交する方向となるように形成するため、繊維状充填材の配向方向と、この方向と直交する方向という、強度や線膨脹係数等の特性の違いが大きく現れる方向に合わせて樹脂層を積層して、その特性の異方性を効果的に相殺あるいは補完し、絶縁基板の特性の異方性を更に緩和することができるものである。
【0218】
また請求項16の発明は、請求項14又は15の構成に加えて、各樹脂層を射出成形にて形成するため、樹脂組成物の注入方向を制御することにより樹脂層における繊維状充填材の配向方向を制御しながら、繊維状充填材を含有すると共にその繊維状充填の配向方向が異なる複数の樹脂層を積層成形することができるものである。
【0220】
また請求項1の発明は、請求項1乃至1のいずれかにおいて、樹脂成形回路基板として形成されるため、絶縁基板の表層にも十分に充填材が分布することとなって、微視的にみても絶縁基板表層の強度が大幅に向上すると共に、絶縁基板内部の均一性も得られ、絶縁基板と回路との密着性を向上することができる。また、絶縁基板中における充填材の分散性が向上することにより、絶縁基板の線膨脹率を低減することができ、製造工程や環境試験、あるいは実使用環境等において様々な熱負荷を受けた場合における、絶縁基板と回路との間の線膨脹率の相違による界面での熱応力の発生を抑制し、成形体が熱負荷を受けた場合の絶縁基板と回路との間の密着強度の低下を抑制することができるものである。また、このような熱負荷を受けた場合の、成形体全体の形状変化を抑制することができ、ICチップ等の実装部品を実装している場合の、実装部品内の抵抗値の変化によるノイズの発生等の誤作動や破損を防止することができる。また、回路を形成する際に絶縁基板表面に粗面化処理を施す必要がなく、しかも熱負荷を受けた場合における形状変化が抑制されているため、回路が優れた表面平滑性を有し、大幅な細線化が可能なものである。
【0221】
また請求項1の発明は、請求項1の構成に加えて、ワイヤボンディングにより部品実装がなされる樹脂成形回路基板として形成されるため、平滑に形成された回路に対して実装部品をワイヤボンド接続することにより、実装部品と回路との接続信頼性を向上することができるものである。
【0222】
また請求項19の発明は、請求項1又は1の構成に加えて、単結晶無機材料で構成されるチップが実装される樹脂成形回路基板として形成されているため、LED等のような脆弱な単結晶無機材料から構成されるチップが実装されていても、成形体の熱変形が抑制されているためにチップにかかる応力を抑制することができ、チップの損傷発生を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態の一例を示す断面図、(b)は本発明の実施の形態の他例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の更に他例を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の更に他例を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の更に他例を示す概念図である。
【図5】本発明の実施の形態の更に他例を示す一部の断面図である。
【図6】プラズマ処理工程の一例を示す概略図である。
【図7】樹脂成形回路基板として成形した本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図8】樹脂成形回路基板として成形した本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1 成形体
2 絶縁基板
2a,2b,2c 樹脂層
3 金属層
4 表面層
5 コア層
8 繊維状充填材
22 チップ

Claims (19)

  1. ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均繊維径0.1〜5μm、平均繊維長10〜50μmの繊維状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜150質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されて成ることを特徴とする成形体。
  2. ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの不定形粉末状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜250質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されて成ることを特徴とする成形体。
  3. ベース樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなると共にポリフタルアミドを含み、平均粒径0.1〜20μmの球状充填材がベース樹脂100質量部に対して20〜400質量部配合された樹脂組成物を成形することにより得られる絶縁基板の表面をN2ガス中でプラズマ処理して表面の活性化を行った後、大気開放することなく連続プロセスでスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのうちのいずれかの方法によって前記絶縁基板の表面を被覆する金属層が形成されて成ることを特徴とする成形体。
  4. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合される充填材として球状充填材を用いると共に、この充填材として中心粒径の異なる少なくとも二種類の充填材を配合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成形体。
  5. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材と球状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材に対する球状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部として成ることを特徴とする請求項1又は3に記載の成形体。
  6. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に配合する充填材として、繊維状充填材と不定形粉末状充填材とを併用し、100質量部の繊維状充填材に対する不定形粉末状充填材の配合量を50〜150質量部とし、樹脂組成物中におけるベース樹脂100質量部に対する充填材の総量を20〜150質量部として成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体。
  7. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、チタン酸塩からなる繊維状充填材を配合して成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の成形体。
  8. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、ホウ酸塩からなる繊維状充填材又は不定形粉末状充填材を配合して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成形体。
  9. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、シリカからなる球状充填材を配合して成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の成形体。
  10. 絶縁基板を成形するための樹脂組成物中に、アミド結合、サルファイド基、シアノ基、スルホン基、ケトン基、イミド基、エステル結合のうちの少なくともいずれかを有する樹脂を配合して成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の成形体。
  11. ベース樹脂として、溶融型液晶性ポリエステルを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の成形体。
  12. 絶縁基板を、コア層と、繊維状充填材を含有すると共にコア層の表面を被覆する表面層とで構成し、この表面層の表面に金属層を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の成形体。
  13. 絶縁基板のコア層に、不定形粉末状充填材を含有させて成ることを特徴とする請求項12に記載の成形体。
  14. 絶縁基板を、繊維状充填材を含有すると共にその繊維状充填材の配向方向が異なる複数の樹脂層を積層して構成して成ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の成形体。
  15. 樹脂層における繊維状充填材の配向方向が、隣接する他の樹脂層の繊維状充填材の配向方向と略直交する方向となるように形成して成ることを特徴とする請求項14に記載の成形体。
  16. 各樹脂層を射出成形にて形成して成ることを特徴とする請求項14又は15に記載の成形体。
  17. 樹脂成形回路基板として形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至1のいずれか記載の成形体。
  18. ワイヤボンディングにより部品実装がなされる樹脂成形回路基板として形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  19. 単結晶無機材料で構成されるチップが実装される樹脂成形回路基板として形成されていることを特徴とする請求項1又は1に記載の成形体。
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