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JP4524558B2 - 圧電磁器およびその製造方法 - Google Patents

圧電磁器およびその製造方法 Download PDF

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JP4524558B2 JP2003424867A JP2003424867A JP4524558B2 JP 4524558 B2 JP4524558 B2 JP 4524558B2 JP 2003424867 A JP2003424867 A JP 2003424867A JP 2003424867 A JP2003424867 A JP 2003424867A JP 4524558 B2 JP4524558 B2 JP 4524558B2
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Description

本発明は、ペロブスカイト型酸化物とタングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を含有し、アクチュエータなどの振動素子,発音体またはセンサなどに適した圧電磁器およびその製造方法に関する。
圧電磁器を利用したアクチュエータは、電界を加えると機械的な歪みおよび応力を発生するという圧電現象を利用したものである。このアクチュエータは、微量な変位を高精度に得ることができると共に、発生応力が大きい等の特徴を有し、例えば、精密工作機械や光学装置の位置決めに用いられている。アクチュエータに用いる圧電磁器としては、従来より、優れた圧電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多く利用されている。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛は鉛を多く含んでいるので、最近では、酸性雨による鉛の溶出など地球環境におよぼす悪影響が問題となっている。そこで、チタン酸ジルコン酸鉛に代替する、鉛を含有しない圧電磁器の開発が望まれている。
鉛を含有しない圧電磁器としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3 )を主成分として含むものが知られている(特許文献1参照)。この圧電磁器は、比誘電率εrおよび電気機械結合係数krが優れており、アクチュエータ用の圧電材料として有望である。また、鉛を含有しない他の圧電磁器としては、例えば、ニオブ酸ナトリウムカリウムリチウムを主成分として含むものが知られている(特許文献2または特許文献3参照)。この圧電磁器は、キュリー温度が350℃以上と高く、電気機械結合係数krも優れていることから、圧電材料として期待されている。更に、最近では、ニオブ酸ナトリウムカリウムとタングステンブロンズ型酸化物とを複合化したもの(特許文献4参照)およびこれにさらにチタン酸バリウム等を複合化したもの(特許文献5参照)も報告されている。
特開平2−159079号公報 特開昭49−125900号公報 特公昭57−6713号公報 特開平9−165262号公報 特開2002−23411号公報
しかしながら、これらの鉛を含まない圧電磁器は、鉛系の圧電磁器に比べて圧電特性が低く、更なる特性の向上が望まれていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、より大きな発生変位量を得ることができ、かつ、低公害化、対環境性および生態学的見地からも優れた圧電磁器およびその製造方法を提供することにある。
本発明による圧電磁器は、第1のペロブスカイト型酸化物と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有し、第1のペロブスカイト型酸化物は、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)を含む第1の元素と、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)からなる群のうちの少なくともニオブを含む第2の元素と、酸素(O)とからなり、第2のペロブスカイト型酸化物は、アルカリ土類金属元素を含む第3の元素と、チタン(Ti)を含む第4の元素と、酸素とからなり、組成物における第2のペロブスカイト型酸化物の含有量は10mol%未満、タングステンブロンズ型酸化物の含有量は1mol%以下であり、更に、第1副成分としてマンガン(Mn)と、第2副成分としてアルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含有するものである。
なお、第1副成分であるマンガンの含有量は、酸化物(MnO)に換算して、主成分の0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましく、更に第2副成分の含有量は、酸化物(A2 3 ,Ga2 3 ,In2 3 ,SiO2 ,GeO2 ,SnO2 )に換算して、それらの合計で、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であることが好ましい。
また、第1の元素におけるカリウムの含有量は、10mol%以上90mol%以下の範囲内であることが好ましい。第1の元素は更にリチウムを含むことが好ましく、第1の元素におけるリチウムの含有量は10mol%以下であることが好ましい。
更に、タングステンブロンズ型酸化物は、アルカリ土類金属元素を含む第5の元素と、ニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む第6の元素と、酸素とからなることが好ましい。
加えて、第2の元素と第6の元素との合計におけるタンタルの含有量は0mol%以上10mol%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明による圧電磁器の製造方法は、ナトリウムおよびカリウムを含む第1の元素、ニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む第2の元素および酸素からなる第1のペロブスカイト型酸化物と、アルカリ土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む第3の元素、チタンを含む第4の元素および酸素からなる第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有すると共に、組成物における第2のペロブスカイト型酸化物の含有量が10mol%未満、タングステンブロンズ型酸化物の含有量が1mol%以下である圧電磁器を製造するものであって、第1のペロブスカイト型酸化物の原料と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物の原料とに加えて、第1副成分であるマンガン(Mn)の原料と、第2副成分であるアルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種の原料とを含有する混合物を仮焼する工程を含むものである。
本発明による圧電磁器によれば、ナトリウム,カリウムおよびニオブを含む第1のペロブスカイト型酸化物と、アルカリ土類金属元素およびチタンを含む第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有し、更に、第1副成分としてマンガンと、第2副成分としてアルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種とを含有するようにしたので、発生変位量などの圧電特性をより向上させることができる。よって、鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電磁器および圧電素子についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発が少なく、市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出される危険性が低く、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器および圧電素子の活用を図ることができる。
特に、第1副成分であるマンガンの含有量を、酸化物(MnO)に換算して、主成分の0.1質量%以上1質量%以下であるようにすれば、更に、第2副成分の含有量を、酸化物(A2 3 ,Ga2 3 ,In2 3 ,SiO2 ,GeO2 ,SnO2 )に換算して、それらの合計で、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であるようにすれば、より高い効果を得ることができる。
また、第1の元素におけるカリウムの含有量を10mol%以上90mol%以下とするようにすれば、より優れた圧電特性を得ることができると共に、焼成をより容易とすることができる。
更に、第1の元素が10mol%以下のリチウムを含むようにすれば、発生変位量をより大きくすることができる。
更にまた、タングステンブロンズ型酸化物が、アルカリ土類金属元素を含む第3の元素と、ニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む第4の元素と、酸素とからなるようにすれば、より優れた圧電特性を得ることができる。
加えてまた、第2の元素と第6の元素との合計におけるタンタルの含有量を10mol%以下とするようにすれば、発生変位量をより大きくすることができる。
更にまた、本発明による圧電磁器の製造方法によれば、第1のペロブスカイト型酸化物の原料と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物の原料とに加えて、第1副成分であるマンガンの原料と、第2副成分であるアルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種の原料とを含有する混合物を仮焼するようにしたので、本発明の圧電磁器を容易に得ることができ、本発明の圧電磁器を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る圧電磁器は、主成分として、第1のペロブスカイト型酸化物と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を含有している。この組成物において、第1のペロブスカイト型酸化物と第2のペロブスカイト型酸化物とタングステンブロンズ型酸化物とは、固溶していてもよく、完全に固溶していなくてもよい。
第1のペロブスカイト型酸化物は、第1の元素と第2の元素と酸素とからなる。第1の元素は少なくともナトリウムとカリウムとを含み、更にリチウムも含むことが好ましい。第2の元素は少なくともニオブを含み、更にタンタルも含むことが好ましい。このような場合に、鉛を含有せずあるいは鉛の含有量を少なくして、より優れた圧電特性を得ることができるからである。この第1のペロブスカイト型酸化物の化学式は、例えば化1で表される。
Figure 0004524558
式中、xは0<x<1、yは0≦y<1、zは0≦z<1の範囲内の値である。pは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
なお、第1の元素におけるカリウムの含有量は、10mol%以上90mol%以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、例えば化1におけるxは、モル比で、0.1≦x≦0.9の範囲内であることが好ましい。カリウムの含有量が少なすぎると、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量を十分に大きくすることができず、カリウムの含有量が多すぎると、焼成時におけるカリウムの揮発が激しく、焼成が難しいからである。
第1の元素におけるリチウムの含有量は0mol%以上10mol%以下であることが好ましい。すなわち、例えば化1におけるyは、モル比で、0≦y≦0.1の範囲内であることが好ましい。リチウムの含有量が多すぎると、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量を十分に大きくすることができないからである。
第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)、例えば化1におけるpは、モル比で0.95以上1.05以下の範囲内であることが好ましい。0.95未満であると、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量が小さくなり、1.05を超えると、焼結密度が低下することにより分極が難しくなってしまうからである。
第2のペロブスカイト型酸化物は、少なくともアルカリ土類金属元素を含む第3の元素と、少なくともチタンを含む第4の元素と、酸素とからなる。アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。このような場合に、より優れた圧電特性を得ることができるからである。この第2のペロブスカイト型酸化物の化学式は、例えば化2で表される。
Figure 0004524558
式中、M1は第3の元素を表す。第3の元素と第4の元素(Ti)と酸素との組成比は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
タングステンブロンズ型酸化物は、第5の元素と第6の元素と酸素とからなる。第5の元素は、例えば、少なくともアルカリ土類金属元素を含むことが好ましく、中でも、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。第6の元素は、例えば、少なくともニオブを含み、更にタンタルも含むことが好ましい。このような場合に、鉛を含有せずあるいは鉛の含有量を少なくして、より優れた圧電特性を得ることができるからである。このタングステンブロンズ型酸化物の化学式は、例えば化3で表される。
Figure 0004524558
式中、M2は第5の元素を表し、wは0≦w<1の範囲内の値である。第5の元素と第6の元素(Nb1-w Taw )と酸素との組成比は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
なお、第6の元素は第2の元素と同一でもよく、異なっていてもよい。第2の元素と第6の元素との合計におけるタンタルの含有量は、10mol%以下であることが好ましい。タンタルの含有量が多くなり過ぎると、電気機械結合係数krおよび発生変位量が小さくなってしまうからである。
これら第1のペロブスカイト型酸化物と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物との組成比は、モル比で、化4に示した範囲内であることが好ましい。すなわち、組成物における第2のペロブスカイト型酸化物の含有量は、0mol%よりも大きく10mol%未満であることが好ましい。第2のペロブスカイト型酸化物を含むことにより比誘電率εrおよび発生変位量を大きくすることができる一方で、第2のペロブスカイト型酸化物の含有量が多すぎると焼結が難しくなってしまうからである。タングステンブロンズ型酸化物の含有量は、0mol%よりも大きく1mol%以下であることが好ましい。タングステンブロンズ型酸化物を含むことにより焼成を容易とすることができると共に、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量を大きくすることができる一方で、タングステンブロンズ型酸化物の含有量が多すぎると、電気機械結合係数krおよび発生変位量が小さくなってしまうからである。
Figure 0004524558
式中、Aは第1のペロブスカイト型酸化物、Bは第2のペロブスカイト型酸化物、Cはタングステンブロンズ型酸化物をそれぞれ表し、mは0<m<0.1、nは0<n≦0.01の範囲内の値である。
この圧電磁器は、また、主成分である上記組成物に加え、第1副成分として、構成元素としてのマンガンを含有している。焼結性を向上させることにより圧電特性を向上させることができるからである。マンガンの含有量は、酸化物(MnO)に換算して、主成分の0.1質量%以上1質量%以下の範囲内が好ましい。この範囲内において焼結性を向上させることができるからである。
この圧電磁器は、更に、主成分および第1副成分に加え、第2副成分として、構成元素としてのコバルト,鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種を含有している。これらは焼結性の向上とは別に圧電特性を向上させる働きがあるからである。第2副成分の含有量は、酸化物(Co3 4 ,Fe2 3 ,NiO,ZnO,Sc2 3 ,TiO2 ,ZrO2 ,HfO2 ,Al2 3 ,Ga2 3 ,In2 3 ,SiO2 ,GeO2 ,SnO2 )に換算して、それらの合計で、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内が好ましい。この範囲内において発生変位量を向上させることができるからである。
これら第1副成分および第2副成分は、例えば酸化物として主成分の組成物の粒界に存在していることもあるが、主成分の組成物の一部に拡散して存在していることもある。
なお、この圧電磁器は鉛(Pb)を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含んでいなければより好ましい。焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいからである。
この圧電磁器は、例えば、圧電素子であるアクチュエータなどの振動素子,発音体あるいはセンサなどの材料として好ましく用いられる。
図1は本実施の形態に係る圧電磁器を用いた圧電素子の一構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施の形態の圧電磁器よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a,1bにそれぞれ設けられた一対の電極2,3とを備えている。圧電基板1は、例えば、厚さ方向、すなわち電極2,3の対向方向に分極されており、電極2,3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動および径方向に広がり振動するようになっている。
電極2,3は、例えば、金(Au)などの金属によりそれぞれ構成されており、圧電基板1の対向面1a,1bの全面にれぞれ設けられている。これら電極2,3には、例えば、図示しないワイヤなどを介して図示しない外部電源が電気的に接続される。
このような構成を有する圧電磁器および圧電素子は、例えば、次のようにして製造することができる。
図2はこの圧電磁器の製造方法を表す流れ図である。まず、主成分を構成する元素の原料として、必要に応じて、例えばナトリウム,カリウム,リチウム,ニオブ,タンタル,アルカリ土類金属元素あるいはチタンを含む酸化物粉末をそれぞれ用意する。また、第1副成分の原料として例えばマンガンを含む酸化物粉末と、第2副成分の原料として、必要に応じて、例えばコバルト,鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムあるいはスズを含む酸化物粉末とを用意する。なお、これら主成分、第1副成分および第2副成分の原料には、酸化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。次いで、これら原料を十分に乾燥させたのち、最終組成が上述した範囲となるように秤量する(ステップS101)。
続いて、例えば、第2のペロブスカイト型酸化物の原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合したのち、乾燥し、1000℃〜1200℃で2時間〜4時間焼成して第2のペロブスカイト型酸化物を作製する(ステップS102)。
第2のペロブスカイト型酸化物を作製したのち、この第2のペロブスカイト型酸化物と、第1のペロブスカイト型酸化物の原料と、タングステンブロンズ型酸化物の原料と、第1副成分の原料と、第2副成分の原料とを、ボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合する。そののち、この混合物を乾燥し、プレス成形して、750℃〜1100℃で1時間〜4時間仮焼する(ステップS103)。このように第2のペロブスカイト型酸化物を作製してから他の主成分の原料と混合するのは、第2のペロブスカイト型酸化物の原料と第1のペロブスカイト型酸化物の原料とを混合して焼成すると、第1のペロブスカイト型酸化物と反応してしまい、第2のペロブスカイト型酸化物が生成されないからである。
仮焼したのち、例えば、この仮焼物をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に粉砕し、再び乾燥して、バインダーを加えて造粒する。造粒したのち、この造粒粉を一軸プレス成形機あるいは静水圧成形機(CIP)などを用いプレス成形する(ステップS104)。
成形したのち、例えば、この成形体を加熱して脱バインダを行い、更に950℃〜1350℃で2時間〜4時間焼成する(ステップS105)。焼成ののち、得られた焼結体を必要に応じて加工して圧電基板1を形成し、電極2,3を設け、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行う(ステップS106)。これにより、上述した圧電磁器および図1に示した圧電素子が得られる。
このように本実施の形態によれば、ナトリウム,カリウムおよびニオブを含む第1のペロブスカイト型酸化物と、アルカリ土類金属元素およびチタンを含む第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分とし、第1副成分としてマンガンと、第2副成分としてコバルト,鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種とを含有するようにしたので、発生変位量をより大きくすることができる。
よって、鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電磁器および圧電素子についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発が少なく、市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出される危険性が低く、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器および圧電素子の活用を図ることができる。
特に、第1副成分であるマンガンの含有量を、酸化物に換算して、主成分の0.1質量%以上1質量%以下であるようにすれば、更に、第2副成分の含有量を、酸化物に換算して、それらの合計で、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であるようにすれば、より高い効果を得ることができる。
また、第1の元素におけるカリウムの含有量が10mol%以上90mol%以下となるようにすれば、より優れた圧電特性を得ることができると共に、焼成をより容易とすることができる。
更に、第1の元素として10mol%以下のリチウムを含むようにすれば、または、第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)がモル比で0.95以上1.05以下の範囲内となるようにすれば、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量をより大きくすることができる。
加えて、組成物におけるタングステンブロンズ型酸化物の含有量が1mol%以下となるようにすれば、電気機械結合係数krおよび発生変位量をより大きくすることができる。
更にまた、タングステンブロンズ型酸化物が、アルカリ土類金属元素を含む第5の元素と、ニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む第6の元素と、酸素とからなるようにすれば、特に、第5の元素が、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、より優れた圧電特性を得ることができる。
加えてまた、第2の元素と第6の元素との合計におけるタンタルの含有量が10mol%以下となるようにすれば、電気機械結合係数krおよび発生変位量をより大きくすることができる。
更にまた、第2のペロブスカイト型酸化物と、第1のペロブスカイト型酸化物の原料と、タングステンブロンズ型酸化物の原料とに加えて、第1副成分であるマンガンの原料と、第2副成分であるコバルト,鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種の原料とを混合し仮焼・焼成するようにしたので、本実施の形態に係る圧電磁器を容易に得ることができ、本実施の形態に係る圧電磁器を実現することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
参考例1−1〜1−3)
化5に示した第1のペロブスカイト型酸化物と第2のペロブスカイト型酸化物とタングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有する圧電磁器を用い、図1に示したような圧電素子を図2に示した工程で作製した。本参考例では図1および図2を参照し、図1に示した符号を用いて説明する。
Figure 0004524558
まず、主成分の原料として、炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )粉末、炭酸カリウム(K2 CO3 )粉末、炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末、酸化ニオブ(Nb2 5 )粉末、酸化タンタル(Ta2 5 )粉末、炭酸バリウム(BaCO3 )粉末および酸化チタン(TiO2 )粉末をそれぞれ用意した。また、第1副成分の原料として炭酸マンガン(MnCO3 )粉末と、第2副成分の原料として酸化コバルト(Co3 4 )粉末とを用意した。次いで、これら主成分、第1副成分および第2副成分の原料を十分に乾燥させたのち、主成分が化5に示した組成となり、第1副成分および第2副成分の含有量が酸化物(MnO,Co3 4 )に換算して主成分に対して表1に示した値となるように秤量した(図2;ステップS101参照)。
Figure 0004524558
続いて、炭酸バリウム粉末と酸化チタン粉末とをボールミルにより水中で混合し、乾燥したのち、1100℃で2時間焼成して第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムを作製した(図2;ステップS102参照)。
チタン酸バリウムを作製したのち、このチタン酸バリウムと、他の主成分の原料と、第1副成分および第2副成分の原料とをボールミルにより水中で混合して乾燥し、プレス成形して、850℃〜1000℃で2時間仮焼した(図2;ステップS103参照)。仮焼したのち、ボールミルを用いて水中で粉砕し、再び乾燥して、ポリビニルアルコールを加えて造粒した。造粒したのち、この造粒粉を一軸プレス成形機により約40MPaの圧力で直径17mmの円板状ペレットに成形した(図2;ステップS104参照)。
成形したのち、この成形体を650℃で4時間加熱して脱バインダを行い、更に950℃〜1350℃で4時間焼成した( 図2;ステップS105参照)。そののち、この焼成体を厚さ0.6mmの円板状に加工して圧電基板1を作製し、両面に銀ペーストを印刷して650℃で焼き付け、電極2,3を形成した。電極2,3を形成したのち、30℃〜250℃のシリコーンオイル中で3kV/mm〜10kV/mmの電界を1分〜30分間印加して分極処理を行った(図2;ステップS106参照)。これにより、参考例1−1〜1−3の圧電素子を得た。
得られた参考例1−1〜1−3の圧電素子について、24時間放置したのち、圧電特性として、比誘電率εr、電気機械結合係数kr、および3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。比誘電率εrおよび電気機械結合係数krの測定にはインピーダンスアナライザー(ヒューレット・パッカード社製HP4194A)を用い、比誘電率εrを測定する際の周波数は1kHzとした。発生変位量の測定には、図3に示したような渦電流による変位測定装置を用いた。この変位測定装置は、一対の電極11,12の間に試料13を挟み、直流電流を印加した場合の試料13の変位を変位センサ14により検出し、変位検出器15によりその発生変位量を求めるものである。それらの結果を表1に示す。なお、表1に示した発生変位量は、測定値を試料の厚さで割り100を掛けた値(測定値/試料の厚さ×100)である。
参考例に対する比較例1−1として、第2副成分であるコバルトを添加しないことを除き、他は参考例1−1〜1−3と同様にして圧電素子を作製した。比較例1−1についても、参考例1−1〜1−3と同様にして、比誘電率εr、電気機械結合係数kr、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果についても表1に合わせて示す。
表1に示したように、参考例1−1〜1−3によれば、第2副成分であるコバルトを含まない比較例1−1よりも大きな発生変位量が得られた。また、コバルトの含有量が多くなるに従い、発生変位量は大きくなり極大値を示したのち小さくなる傾向が見られた。
すなわち、第1副成分としてマンガンを含むと共に、第2副成分としてコバルトを含むようにすれば、発生変位量をより大きくできることが分かった。また、第2副成分の含有量は酸化物に換算して主成分に対して0.01質量%以上1質量%以下の範囲内とすればより好ましいことも分かった。
(参考例2−1〜2−,実施例2−〜2−13)
第2副成分として、コバルトに代えて、鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムあるいはスズを添加したことを除き、他は参考例1−2と同様にして圧電素子を作製した。第2副成分の原料には、酸化鉄(Fe2 3 )粉末,酸化ニッケル(NiO)粉末,酸化亜鉛(ZnO)粉末,酸化スカンジウム(Sc2 3 )粉末,酸化チタン(TiO2 )粉末,酸化ジルコニウム(ZrO2 )粉末,酸化ハフニウム(HfO2 )粉末,酸化アルミニウム(Al2 3 )粉末,酸化ガリウム(Ga2 3 )粉末,酸化インジウム(In2 3 )粉末,酸化ケイ素(SiO2 )粉末,酸化ゲルマニウム(GeO2 )粉末あるいは酸化スズ(SnO2 )粉末を用いた。第2副成分の含有量は、酸化物(Fe2 3 ,NiO,ZnO,Sc2 3 ,TiO2 ,ZrO2 ,HfO2 ,Al2 3 ,Ga2 3 ,In2 3 ,SiO2 ,GeO2 ,SnO2 )に換算し、いずれも主成分に対して0.2質量%とした。
参考例2−1〜2−,実施例2−〜2−13についても、参考例1−2と同様にして、比誘電率εr、電気機械結合係数kr、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を参考例1−2および比較例1−1の結果と共に表2に示す。
Figure 0004524558
表2に示したように、第2副成分として鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムあるいはスズを含有するようにしても、コバルトと同様に、発生変位量の向上がみられた。
すなわち、第2副成分として、コバルト,鉄,ニッケル,亜鉛,スカンジウム,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種を含有するようにすれば、圧電特性をより向上させることができることが分かった。
参考例3―1,3―2)
化6に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は参考例1―2と同様にして圧電素子を作製した。その際、参考例3−1,3−2で、表3に示したように、主成分における第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムの含有量を0.5mol%または1mol%、すなわち化6におけるmの値を0.005または0.01と変化させた。副成分は参考例1―2と同様である。
Figure 0004524558
Figure 0004524558
参考例に対する比較例3−1として、第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムを含まないようにしたことを除き、すなわち化6におけるmの値を0にしたことを除き、他は参考例3―1,3―2と同様にして圧電素子を作製した。また、本参考例に対する比較例3―2として、主成分におけるチタン酸バリウムの含有量を10mol%、すなわち化6におけるmの値を0.1としたことを除き、他は参考例3―1,3―2と同様にして圧電素子を作製した。なお、副成分の含有量は参考例3―1,3―2と同様である。
参考例3−1,3−2および比較例3―1,3―2についても、参考例1―2と同様にして、比誘電率εr、電気機械結合係数krおよび3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表3に示す。
表3に示したように、参考例3―1,3―2によれば、チタン酸バリウムを含まない比較例3―1よりも比誘電率εrおよび発生変位量について大きな値が得られた。また、化6におけるmが大きくなるに従い、つまりチタン酸バリウムの含有量が多くなるに従い、比誘電率εrおよび発生変位量は大きくなる傾向が見られた。更に、チタン酸バリウムの含有量が10mol%の比較例3―2では、焼結できず、特性を測定することができなかった。
すなわち、第1のペロブスカイト酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物に加えて、第2のペロブスカイト型酸化物を主成分において10mol%未満の範囲内で含むようにすれば、発生変位量をより大きくできることが分かった。
参考例4―1〜4―7)
化7に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は参考例1―2と同様にして圧電素子を作製した。その際、参考例4―1〜4―7で、第1の元素の組成(化7におけるxおよびyの値)と、第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムの含有量(化7におけるmの値)とを、表4に示したように変化させた。副成分は参考例1―2と同様である。
Figure 0004524558
Figure 0004524558
参考例に対する比較例4―1〜4―6として、第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムを含まないようにしたことを除き、他は参考例4―1〜4―7と同様にして圧電素子を作製した。このうち比較例4―1は参考例4―1に対応し、比較例4―2は参考例4―2,4―3に対応し、比較例4―3は参考例4―4に対応し、比較例4―4は参考例4―5に対応し、比較例4―5は参考例4―6に対応し、比較例4―6は参考例4―7に対応している。
参考例4―1〜4―7および比較例4―1〜4―6についても、参考例1―2と同様にして、比誘電率εr、電気機械結合係数krおよび3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表4に示す。
表4に示したように、参考例4―1〜4―7によれば、参考例1―2と同様に、比較例よりも比誘電率εrおよび発生変位量について大きな値が得られた。また、化7におけるxの値が大きくなるに従い、つまりカリウムの含有量が多くなるに従い、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量は大きくなり、極大値を示したのち、小さくなる傾向が見られた。すなわち、第1の元素におけるカリウムの含有量を10mol%以上90mol%以下とすれば、圧電特性を向上させることができ、発生変位量を大きくできることが分かった。
更に、第1の元素としてリチウムを含む方が、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量はより大きくなる傾向が見られた。すなわち、第1の元素において10mol%以下のリチウムを含むようにすれば、圧電特性を向上させることができ、発生変位量を大きくできることが分かった。
参考例5―1,5―2)
化8に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は参考例1―2と同様にして圧電素子を作製した。その際、参考例5―1,5―2で、タンタルの含有量(化8におけるzおよびwの値)と、第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムの含有量(化8におけるmの値)とを表5に示したように変化させた。副成分は参考例1―2と同様である。なお、参考例5−1は参考例1−2と同一である。
Figure 0004524558
Figure 0004524558
参考例に対する比較例5―1として、第2のペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウムを含まないようにしたことを除き、他は参考例5―1,5―2と同様にして圧電素子を作製した。参考例5―1,5―2および比較例5―1についても、参考例1―2と同様にして、比誘電率εr、電気機械結合係数krおよび3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を参考例3―1,3―2および比較例3―1の結果と共に表5に示す。なお、参考例3−1,3−2および比較例3−1は第2の元素および第6の元素にタンタルを含まないものである。
表5に示したように、参考例5―1,5―2によれば、参考例1―2と同様に、比較例5―1よりも比誘電率εrおよび発生変位量について大きな値が得られた。また、第2の元素および第6の元素にタンタルを含む参考例5―1,5―2の方が、タンタルを含まない参考例3―1,3―2に比べて、大きな発生変位量が得られた。
すなわち、第2の元素または第6の元素にタンタルを含むようにすれば、発生変位量をより大きくできることが分かった。
なお、本実施例では、第2の元素および第6の元素におけるタンタルの含有量、すなわち化8におけるzおよびwの値が同一である場合について示したが、zとwの値が異なる場合についても、同様の結果を得ることができる。
また、上記実施例では、第1のペロブスカイト型酸化物、第2のペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物を含む組成物の組成について例を挙げて具体的に説明したが、上記実施の形態において説明した組成の範囲内であれば、他の組成であっても同様の結果を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、第1のペロブスカイト型酸化物と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物との組成物を含有する場合について説明したが、この組成物に第1のペロブスカイト型酸化物,第2のペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物以外の他の成分を更に含んでいてもよい。
また、上記実施の形態および実施例では、主成分の組成物が第1の元素としてナトリウム,カリウムおよびリチウムからなる群のうちの少なくともナトリウムとカリウムとを含み、第2の元素としてニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含み、第3の元素としてアルカリ土類金属元素のうちの少なくとも1種を含み、第4の元素として少なくともチタンを含み、第5の元素としてアルカリ土類金属元素のうちの少なくとも1種を含み、第6の元素としてニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む場合について説明したが、これら第1の元素,第2の元素,第3の元素,第4の元素,第5の元素および第6の元素は、これら以外の他の元素を更に含んでいてもよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、第1副成分と第2副成分とを含む場合について説明したが、更に他の副成分を含む場合についても同様に適用することができる。
加えて、上記実施の形態では、単層構造の圧電素子を例に挙げて説明したが、積層構造など他の構造を有する圧電素子についても、本発明を同様に適用することができる。また、圧電素子としてアクチュエータなどの振動素子,発音体およびセンサを例に挙げたが、他の圧電素子についても本発明を適用することができる。
アクチュエータなどの振動素子,発音体およびセンサなどの圧電素子に用いることができる。
本発明の一実施の形態に係る圧電磁器を用いた圧電素子を表す構成図である。 本発明の一実施の形態に係る圧電磁器および圧電素子の製造方法を表す流れ図である。 本発明の実施例において発生変位量の測定に用いた変位測定装置を表す構成図である。
符号の説明
1…圧電基板、1a,1b…対向面、2,3…電極、11,12…電極、13…試料、14…変位センサ、15…変位検出器。

Claims (8)

  1. 第1のペロブスカイト型酸化物と、第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有し、
    前記第1のペロブスカイト型酸化物は、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)を含む第1の元素と、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)からなる群のうちの少なくともニオブを含む第2の元素と、酸素(O)とからなり、
    前記第2のペロブスカイト型酸化物は、アルカリ土類金属元素を含む第3の元素と、チタン(Ti)を含む第4の元素と、酸素とからなり、
    前記組成物における前記第2のペロブスカイト型酸化物の含有量は10mol%未満、前記タングステンブロンズ型酸化物の含有量は1mol%以下であり、
    更に、第1副成分としてマンガン(Mn)と、第2副成分としてアルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含有する
    ことを特徴とする圧電磁器。
  2. 前記第1副成分であるマンガンの含有量は、酸化物(MnO)に換算して、主成分の0.1質量%以上1質量%以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電磁器。
  3. 前記第2副成分であるアルミニウム,ガリウム,インジウム,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズの含有量は、酸化物(Al2 3 ,Ga2 3 ,In2 3 ,SiO2 ,GeO2 ,SnO2 )に換算して、それらの合計で、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電磁器。
  4. 前記第1の元素におけるカリウムの含有量は10mol%以上90mol%以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧電磁器。
  5. 前記第1の元素として更にリチウムを含み、前記第1の元素におけるリチウムの含有量は10mol%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧電磁器。
  6. 前記タングステンブロンズ型酸化物は、
    アルカリ土類金属元素を含む第5の元素と、
    ニオブおよびタンタルからなる群のうちの少なくともニオブを含む第6の元素と、
    酸素とからなる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の圧電磁器。
  7. 前記第2の元素と前記第6の元素との合計におけるタンタルの含有量は0mol%以上10mol%以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項記載の圧電磁器。
  8. ナトリウム(Na)およびカリウム(K)を含む第1の元素と、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)からなる群のうちの少なくともニオブを含む第2の元素と、酸素(O)とからなる第1のペロブスカイト型酸化物と、アルカリ土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む第3の元素と、チタン(Ti)を含む第4の元素と、酸素とからなる第2のペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含む組成物を主成分として含有すると共に、前記組成物における、前記第2のペロブスカイト型酸化物の含有量が10mol%未満、前記タングステンブロンズ型酸化物の含有量が1mol%以下である圧電磁器の製造方法であって、
    前記第1のペロブスカイト型酸化物の原料と、前記第2のペロブスカイト型酸化物と、前記タングステンブロンズ型酸化物の原料とに加えて、第1副成分であるマンガン(Mn)の原料と、第2副成分であるアルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種の原料とを含有する混合物を仮焼する工程を含む
    ことを特徴とする圧電磁器の製造方法。
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