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JP4524234B2 - ポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法 Download PDF

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JP4524234B2 JP2005277528A JP2005277528A JP4524234B2 JP 4524234 B2 JP4524234 B2 JP 4524234B2 JP 2005277528 A JP2005277528 A JP 2005277528A JP 2005277528 A JP2005277528 A JP 2005277528A JP 4524234 B2 JP4524234 B2 JP 4524234B2
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Description

本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関する。さらに詳しくは、電子線、X線、EUV光等を使用して高精細化したパターン形成しうるポジ型レジストおよびそれを用いたパターン形成方法に関し、電子線、X線、EUV光を用いる半導体素子の微細加工に好適に用いることができるポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関する。
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、レジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。さらには、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
特に電子線リソグラフィーは、次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、高感度、高解像性のポジ型レジストが望まれている。特にウェハー処理時間の短縮化のために高感度化は非常に重要な課題であるが、電子線用ポジ型レジストにおいては、高感度化を追求しようとすると、解像力の低下のみならず、ラインエッジラフネスの悪化が起こり、これらの特性を同時に満足するレジストの開発が強く望まれている。ここで、ラインエッジラフネスとは、レジストのパターンと基板界面のエッジがレジストの特性に起因して、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動するために、パターンを真上から見たときにエッジが凹凸に見えることを言う。この凹凸がレジストをマスクとするエッチング工程により転写され、電気特性を劣化させるため、歩留りを低下させる。特に0.25μm以下の超微細領域ではラインエッジラフネスは極めて重要な改良課題となっている。高感度と、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスはトレードオフの関係にあり、これを如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
さらにX線やEUV光を用いるリソグラフィーにおいても同様に高感度と高解像性等を両立させることが重要な課題となっており、これらの解決が必要である。
かかる電子線、X線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィープロセスに適したレジストとしては高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ポジ型レジストにおいては主成分として、アルカリ水溶液には不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる性質を有するフェノール性ポリマー(以下、フェノール性酸分解性樹脂と略す)、及び酸発生剤からなる化学増幅型レジスト組成物が有効に使用されている。
これらの電子線、X線、あるいはEUV用のポジ型レジストに関して、フェノール性酸分解性樹脂として、例えば、特定の構造を有するフェノール系化合物誘導体(例えば、特許文献1〜3参照)、特定の構造を有するカリックスアレーン(例えば、特許文献4及び5参照)、カリックスレゾルシンアレーン(例えば、特許文献5及び6参照)、及びカリックスレゾルシンアレーンを母核とするフェノール系デンドリマー(例えば、特許文献7参照)を用いたレジスト組成物が開示されている。
しかしながら、これらのいかなる組合せにおいても、超微細領域での、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、アウトガス低減は、同時に満足できていないのが現状である。
特開平10−83073号公報 特開2000−305270号公報 特開2003−183227号公報 特開平10−120610号公報 特開平11−322656号公報 特開2003−321423号公報 特開平10−310545号公報
本発明の目的は、高エネルギー線、X線、電子線あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、アウトガス低減を同時に満足するポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する特定の化合物及び活性光線または放射線の照射により酸を発生する特定の化合物を含有するポジ型レジスト組成物によって上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。本発明は、下記構成である。
(1) (A)少なくとも2つの酸分解性基と、芳香環と、アルキレン鎖またはシクロアルキレン鎖とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する分子量2000以下の化合物及び
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する下記一般式(B−I)で表される化合物
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
Figure 0004524234
一般式(B−I)において、
Ar1〜Ar3は、各々独立して、炭素数6〜20の芳香環を表す。但し、Ar1〜Ar3の内の少なくとも一つは、置換基として−Q−SO2Ra基又は−Q−CORb基を有する。式中、Ra及びRbは、各々独立して、アルキル基又はアリール基を表す。Qは、酸素原子又は−N(Ry)−を表す。Ryは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
Yは、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表す。
(2) 一般式(B−I)における、Ar3が、−Q−SO2Ra基又は−Q−CORb基を有することを特徴とする(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3) 更に、(R1)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
(4) 更に、(R2)アルカリ現像液に溶解性を有する樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(5) (A)成分の酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物が、カリックスアレン構造を有する化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
本発明により、高エネルギー線、X線、電子線あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工に於いて、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、アウトガス低減を同時に満足するポジ型レジスト組成物およびそれをパターン形成方法が与えられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する特定の化合物(A)及び活性光線または放射線の照射により酸を発生する特定の化合物(B)を含有する。
〔1〕酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物(A)
本発明の酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物(A)は、少なくとも2つの酸分解性基と、芳香環と、アルキレン鎖またはシクロアルキレン鎖とを有する分子量2000以下の化合物である。なかでも、芳香環−アルキレン鎖−芳香環の連結で形成される部分があることが好ましい。
(A)成分の酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物は、ポリマーではない。例えば、単一の分子骨格を持つ母核化合物の水酸基を酸分解性基等で保護したものである。また、重合性モノマーに由来する繰り返し単位を10個以上は有さない、といった特徴をもつ化合物である。
(A)成分の化合物は、少なくとも2つの酸分解性基を有する。
酸分解性基は、アルカリ可溶性基のOHの水素原子に代わる置換基であり、−C(R11
a)(R12a)(R13a)、−C(R14a)(R15a)(OR16a)、−CO−OC(R11a)(R12a)(R13a)が好ましい。ここで、R11a〜R13aは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。R14aおよびR15aは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表す。R16aは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。尚、R11a、R12a、R13aのうちの2つ、またはR14a、R15a、R16aのうちの2つが結合して環を形成してもよい。
(A)成分の化合物は、たとえば、母核となる化合物の水酸基を酸分解性基で保護することにより合成できる。
以下に酸分解性基の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004524234
本発明の(A)成分の化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004524234
一般式(I)中、
1、R2、R3及びR4は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。複数のR1が結合して環を形成してもよい。また、複数あるR1、R2、R3及びR4は互いに同じであっても異なっていても良い。
5及びR6は、水素原子、有機基を表し、複数あるR5及びR6は互いに同じであっても異なっていても良い。また、複数あるR5及びR6のうち少なくとも2つは酸分解性基である。
Wは、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
xは、正の整数を表す。
yは、0以上の整数を表し、Wが単結合の場合、yは0である。
zは、0以上の整数を表す。
vは、0以上の整数を表す。
m1、m3、及びm4は、正の整数を表す。
m2及びm5は、0以上の整数を表す。但し、m1+m2+z=5、m3+v=3、m4+m5=5、m2+m5≧2を満たす。
1、R2、R3及びR4におけるアルキル基は、直鎖でも分岐型でもよく、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素数1〜10個のものが挙げられる。
1、R2、R3及びR4におけるシクロアルキル基としては、単環、多環どちらでもよい。たとえば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましく、例えばアダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基又はシクロアルキル基が有してよい置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。
5及びR6における有機基は酸分解性又は非酸分解性の基を表す。本発明では酸分解性基を1分子中に2〜30個含有する。1分子中に含有させる酸分解性基の数は好ましくは
3〜25個、さらに好ましくは4〜20個である。
5及びR6における非酸分解性の有機基とは酸の作用により分解することのない有機基であり、例えば、酸の作用により分解することのない、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、シアノ基等を挙げることができる。アルキル基は、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。シクロアルキル基は、炭素数3〜10個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。アラルキル基は、炭素数6〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基に於けるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を挙げることができる。
Wにおけるアルキレン基は、直鎖でも分岐型でもよく、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
Wにおけるシクロアルキレン基は、単環、多環どちらでもよく、環を形成するアルキレン基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)を挙げることができる。
上記の各基はさらに置換基を有していてよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
また、アルキレン鎖またはシクロアルキレン鎖は、アルキレン鎖中に―O―、―OC(=O)―、―OC(=O)O―、―N(R)−C(=O)―、―N(R)−C(=O)O―、―S―、―SO―、―SO2―を含んでいても良い。ここでRは水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)である。
Wにおける環状のアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
一般式(I)で表される化合物は、さらに下記一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004524234
一般式(II)〜(IV)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、x、y、z、m1、m2、m4及びm5は、一般式(I)におけるそれらと同義である。
1は、単結合、アルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。ここで、アルキレン基またはシクロアルキレン基は上記Wにおけるそれらと同義である。
Aは、下記構造を表す。
Figure 0004524234
式中、R3、R4、R6、m4及びm5は、一般式(I)におけるそれらと同義である。
以下に一般式(I)で表される化合物の母核化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
本発明の(A)成分の化合物は、下記一般式(V)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0004524234
一般式(V)に於いて、
2、R5、m1及びm2は、一般式(I)に於けるR2、R5、m1及びm2と同様のものである。
Raは、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を表す。
nは、3〜8の整数を表す。
一般式(V)で表される化合物の母核化合物としては、下記の様なカリックスアレン構造を有するものが挙げられる。
Figure 0004524234
本発明の(A)1分子中に酸分解性基を少なくとも2つ有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物は、アルカリ可溶性基を有することが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、水酸基、スルホン酸基、フェノール基、カルボン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基〔−C(CF32OH〕が挙げられる。好ましくはフェノール基、カルボキシル基、ヘキサフルオロイソプロパノール基であり、さらに好ましくはフェノール基、カルボキシル基である。
(A)成分の化合物に於ける母核となる化合物の分子量は、通常200〜2000、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜2000である。(A)成分の化合物に於ける母核となる化合物は、例えば本州科学などから市販されており、これを用いることができる。また、各種フェノール化合物と各種アルデヒド、ケトンの縮合により合成することもできる。
(A)成分の含有量は、ポジ型レジスト組成物の固形分中、65質量%以上、好ましくは65質量%〜95質量%であり、より好ましくは70質量%〜90質量%、更により好ましくは75質量%〜85質量%である。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに樹脂(ポリマー)を加えても良い。添加する樹脂は、(酸分解性基を有さない)アルカリ現像液に対する溶解性を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂(R2))か、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂(R1))である。アルカリ可溶性樹脂(R2)としては、p−ヒドロキシスチレンの単独重合体あるいは共重合体、(メタ)アクリル酸の単独重合体あるいは共重合体、p−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)スチレンの単独重合体あるいは共重合体が挙げられる。酸分解性樹脂(R1)としては、上記アルカリ可溶性樹脂を酸分解性基で保護した樹脂が挙げられる。
添加する樹脂の含有量は、ポジ型レジスト組成物の固形分全量に対して通常1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
〔2〕活性光線または放射線の照射により酸を発生する一般式(B−1)で表される化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物として下記一般式(B−I)で表される化合物(以下、単に化合物(B)ともいう)を含有する。
Figure 0004524234
一般式(B−I)において、
Ar1〜Ar3は、各々独立して、炭素数6〜20の芳香環を表す。但し、Ar1〜Ar3の内の少なくとも一つは、置換基として−Q−SO2Ra基又は−Q−CORb基を有する。式中、Ra及びRbは、各々独立して、アルキル基又はアリール基を表す。Qは、酸素原子又は−N(Ry)−を表す。Ryは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
Yは、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表す。
一般式(B−I)におけるAr1〜Ar3の芳香環としては、好ましくはベンゼン環またはナフタレン環があげられる。これらの芳香環は置換基を有していてもよく、有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6の、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が好ましい。
Ra、Rb、Ryとしてのアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等を挙げることができる。
Ra、Rbとしてのアリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
Ryとしてのシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
Ra、Rb、Ryとしてのアルキル基、アリール基およびシクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、アルキル基、アラルキル基はそのアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有していても良い。好ましい置換基としてはハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)が挙げられる。シクロ環、芳香環などの環状構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。
Xの2価の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、単結合、アルキレン基が挙げられる。アルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としてはヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
Xは好ましくは、単結合、酸素原子、炭素数1〜3のアルキレン基である。
一般式(B−I)におけるYのアニオンは、1価でも2価以上でもよい。アニオンが2価以上の場合、化合物(B)は、一般式(B−I)で表されるカチオンを2個以上有することができる。
一般式(B−I)におけるYとしては、好ましくは下記一般式(Y1)〜(Y4)の何れかで表される有機アニオンであることが好ましい。
Figure 0004524234
一般式(Y1)〜(Y4)において、
c1は、有機基を表す。
c1における有機基としては、好ましくは炭素数1〜30のものが挙げられ、より好ま
しくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。Rd1は、水素原子又はアルキル基を表す。
c3、Rc4及びRc5は、各々独立に、有機基を表す。
c3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1に於ける好ましい有機基と同じものを挙げることができ、より好ましくは炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。
c3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
c3とRc4が結合して形成される基としては、アルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2−4のパーフロロアルキレン基である。
c1、Rc3〜Rc5の有機基として、特に好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
一般式(B−I)で表される化合物(B)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004524234
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一般式(B−I)で表される化合物は、水酸基またはアミノ基を有する化合物を合成した後、これに市販のスルホン酸ハライド、またはスルホン酸無水物を反応させること等によって合成できる。例えば、フェノール化合物またはアニリン化合物とジベンゾチオフェンスルホキシド等の化合物を酸触媒(好ましくは五酸化二リン/メタンスルホン酸)存在下反応させた後、これに塩基性条件下スルホン酸ハライド、またはスルホン酸無水物を反応させ、その後所望のアニオンに塩交換することによって合成できる。
化合物(B)の含量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
(併用酸発生剤)
本発明においては、化合物(B)以外に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)を更に併用してもよい。
併用しうる光酸発生剤の使用量は、モル比(化合物(B)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
そのような併用可能な光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004524234
一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表す。
-としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリ
ス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位はアルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンおけると同様のアリール基を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
上記脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができ
る。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
-の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、特に好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、特に好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基であるアリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としては、炭化水素で構成されたアリール基及び窒素原子、硫黄原子、酸素原子などのヘテロ原子を有するヘテロアリール基が挙げられる。炭化水素で構成されたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール基、インドール基、カルバゾール基、フラン基、チオフェン基などが挙げられ、好ましくはインドール基である。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、
2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 0004524234
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個の環状アルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
x及びRyとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができ、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができる。
x及びRyは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
前記一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004524234
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
また、併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物として、スルホン酸基を1つ有するスルホン酸を発生する化合物が好ましく、さらに好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、またはフッ素原子または
フッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物であり、特に好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸のスルホニウム塩である。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
〔3〕含窒素塩基性化合物(C)
本発明においては、含窒素塩基性化合物を用いることが、解像力などの性能向上、保存安定性の向上などの観点から好ましい。
本発明で用いることができる好ましい含窒素塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。式(B)〜(E)は、環構造の一部であってもよい。
Figure 0004524234
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数3〜20個のシクロアルキル基又は炭素数6〜20個のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。また、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、ヒドロキシル基、アミノ基等で置換されていてもよい。
253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、アミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
好ましい具体例としては、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン、アミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。これらの化合物は置換基を有していて良く、好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、テトラアルキルアンモニウム塩型の含窒素塩基性化合物も用いることができる。これらの中では、特に炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-(n-ブチル)アンモニウムヒドロキシド等)が好ましい。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
酸発生剤と含窒素塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤の総量)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。(酸発生剤)/(含窒素塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
〔4〕界面活性剤類
本発明においては、界面活性剤類を用いることができ、製膜性、パターンの密着性、現像欠陥低減等の観点から好ましい。
界面活性剤の具体的としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100質量部当たり、通常、2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
これらの界面活性剤は、単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
尚、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
〔5〕その他の成分
本発明のポジ型レジスト組成物には必要に応じて、さらに、染料、光塩基発生剤などを含有させることができる。
1.染料
本発明においては、染料を用いることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
2.光塩基発生剤
本発明の組成物に添加できる光塩基発生剤としては、特開平4−151156号、同4−162040号、同5−197148号、同5−5995号、同6−194834号、同8−146608号、同10−83079号、欧州特許622682号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメート等が好適に用いることができる。これらの光塩基発生剤は、レジスト形状などの改善を目的とし添加される。
3.溶剤類
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。全レジスト成分の固形分濃度として、通常2〜30質量%とすることが好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
本発明のポジ型レジスト組成物は、基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗布膜の膜厚は、0.05〜4.0μmが好ましい。
本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。更にレジスト上層に反射防止膜を塗布して用いることもできる。
レジストの下層として用いられる反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、次に、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、X線、電子線、イオンビーム又はEUVを照射し、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
本発明のレジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(通常0.1〜20質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
合成例1(バインダー(T−1)の合成)
反応容器中で下記に示すフェノール化合物(1)65.28g(0.05mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと省略)200gに溶解し、この溶液を60℃、20mmHgまで減圧して約40gの溶剤を系中に残存している水と共に留去した。20℃まで冷却し、保護反応剤(1)49.75g(0.18mol)、p−トルエンスルホン酸2.5gを添加し、室温にて2時間撹拌した。その後、トリエチルアミン3.0gを添加して中和し、酢酸エチル50g、水50gにより洗浄操作を3回行った。その後、溶媒量を調整して(A)成分化合物であるバインダー(T−1)の30質量%の溶液を得た。1Hおよび13C−NMR解析から、全フェノール性OHに対する保護率は59.3%であった。
合成例2(バインダー(T−3)の合成)
反応容器中に下記に示すフェノール化合物(1)65.28g(0.05mol)、PGMEA200g、炭酸カリウム43.5g(0.30mol)、保護反応剤(4)(ブロモ酢酸t−Buエステル)61.5g(0.31mol)を加え、反応溶液を100℃に加熱した。3時間攪拌した後反応溶液を室温まで放冷し、0.1N−HCl水溶液を加え中和し、酢酸エチル50ml、蒸留水50mlを加え洗浄を行った。その後、溶媒量を調整してバインダー(T−3)の30質量%の溶液を得た。1Hおよび13C−NMR解
析から、全フェノール性OHに対する保護率は63.7%であった。
合成例3(バインダー(T−5)の合成)
反応容器中に下記に示すフェノール化合物(2)27.42g(0.05mol)、PGMEA150ml、トリエチルアミン20.1g(0.20mol)、4-ジメチルアミノピリジン2.0gを加えて撹拌した。その後、保護反応剤(5)(ジ−t−ブチルジカーボネート)54.02g(0.2475mol)のテトラヒドロフラン100ml溶液を2時間かけて滴下した。滴下後さらに3時間撹拌した後、0.1NのHCl水溶液で中和し、酢酸エチル50ml、蒸留水50mlで洗浄、抽出を行った。有機層を分離した後、溶媒量を調整してバインダー(T−5)の30質量%の溶液を得た。1Hおよび13C−NMR解析から、全フェノール性OHに対する保護率は69.3%であった。
使用するフェノール化合物、保護反応剤を変更する以外は、上記合成例と同様の方法でバインダー(T−2)、(T−4)、(T−6)〜(T−8)を得た。
以下に、フェノール化合物(1)〜(3)、保護反応剤(1)〜(5)の構造を示す。
Figure 0004524234
Figure 0004524234
Figure 0004524234
保護反応剤(1)〜(3)を用いた場合、フェノール化合物(1)〜(3)中のフェノール性OHがアセタールで保護されることになる。また保護反応剤(4)を用いた場合、フェノール化合物(1)〜(3)中のフェノール性OHがt−ブトキシカルボニルメチルで保護されることになる。また保護反応剤(5)を用いた場合、フェノール化合物(1)〜(3)中のフェノール性OHがt−ブトキシカルボニルで保護されることになる。
フェノール化合物(1)〜(3)および保護反応剤(1)〜(5)は、いずれも入手容易であるか常法を用いて合成できる。
合成したバインダーに使用した母核フェノール化合物、保護反応剤及び保護率を表1に纏めて示す。
Figure 0004524234
実施例1〜18及び比較例1〜5
(i)レジスト組成物の調製
下記表2に示すように、
本発明のバインダー:0.945g(レジスト中固形分の94.5質量%)
添加樹脂:下記表2に示す量(ただし本発明のバインダーと置き換えて添加)
酸発生剤:0.05g(レジスト中固形分の5.0質量%)
塩基性化合物:0.003g(レジスト中固形分の0.3質量%)
界面活性剤:0.002g(レジスト中固形分の0.2質量%:レジスト液全体の99.7ppm)
を溶剤に溶解させ、固形分濃度が5.0質量%の溶液を調製した。この溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターで濾過し、実施例1〜18及び比較例1〜5のポジ型レジスト液を得た。
(ii)パターン作製および評価(EB)
上記のように調製したポジ型レジスト液をスピンコータを利用して、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃90秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.3μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて電子線照射を行った。照射後に110℃、90秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
[感度]
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S−4300)を用いて観察した。150nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
[解像力]
上記の感度を示す照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。
[パターンプロファイル]
ライン幅150nm(ライン/スペース=1:1)の部分の断面をSEM((株)日立製作所製S−8840)で観察し、以下の基準で評価した。
A:パターン側壁と基板との角度、およびパターン側壁とパターン表面との角度がどちらも90±2度である場合。
B:パターン側壁と基板との角度が90±2度であるが、パターン側壁とパターン表面との角度が85度以上88度未満あるいは92度以上95度未満である場合。または、パターン側壁とパターン表面との角度が90±2度であるが、パターン側壁と基板との角度が85度以上88度未満あるいは92度以上95度未満である場合。
C:パターン側壁と基板との角度、およびパターン側壁とパターン表面との角度がどちらも85度以上88度未満あるいは92度以上95度未満である場合。
D:パターン側壁と基板との角度が85度未満あるいは95度以上である場合、T−トップ形状が見られる場合またはパターン表面全体が丸くなっている場合。
[ラインエッジラフネス]
上記の感度を示す照射量における150nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子鞍微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
[アウトガス]
前記感度評価で得られた露光量を露光した後の膜厚(F1)と露光前の膜厚(F0)から、下記式により求めた数値をアウトガスの数値とした。
アウトガス=((F0)−(F1))/F0
評価結果を表2に示す。
Figure 0004524234
表2に示した略号を以下に示す。
添加樹脂
Figure 0004524234
酸発生剤
za1:トリフェニルスルホニウム ノナフレート
za2:トリフェニルスルホニウム トリフレート
za3:トリフェニルスルホニウム 2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート
塩基性化合物
N−1:トリオクチルアミン
N−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
N−3:2,4,6−トリフェニルイミダゾール
界面活性剤
D−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)
D−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
D−3:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
D−4:ポリオキシエチレンラウリルエーテル
溶剤
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S−3:乳酸エチル
表2に示した結果から分るように、本発明のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネスに関し優れた特性を示す。

Claims (6)

  1. (A)少なくとも2つの酸分解性基と、芳香環と、アルキレン鎖またはシクロアルキレン鎖とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する分子量2000以下の化合物及び
    (B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する下記一般式(B−I)で表される化合物
    を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
    Figure 0004524234
    一般式(B−I)において、
    Ar1〜Ar3は、各々独立して、炭素数6〜20の芳香環を表す。但し、Ar1〜Ar3の内の少なくとも一つは、置換基として−Q−SO2Ra基又は−Q−CORb基を有する。式中、Ra及びRbは、各々独立して、アルキル基又はアリール基を表す。Qは、酸素原子又は−N(Ry)−を表す。Ryは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
    Yは、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン又はトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンを表す。
  2. 一般式(B−I)における、Ar3が、−Q−SO2Ra基又は−Q−CORb基を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
  3. 更に、(R1)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 更に、(R2)アルカリ現像液に溶解性を有する樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
  5. (A)成分の酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物が、カリックスアレン構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
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