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JP4518013B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、コンデンサ素子を有する電子部品に関する。
パーソナルコンピュータや携帯電話機等の電子機器の内部回路には、表面実装型の多種類の電子部品が実装されている。表面実装型の電子部品として、薄膜形成技術を用いて形成された薄膜型の電子部品が知られている。
薄膜型の電子部品には、薄膜コンデンサ、薄膜インダクタ、薄膜LC複合部品及び薄膜積層型複合部品等がある。また、コンデンサを有する複合部品には、低域透過フィルタ(Low Pass Filter;LPF)、高域透過フィルタ(High Pass Filter;HPF)、帯域透過フィルタ(Band Pass Filter;BPF)、所定の周波数範囲の信号を除去するトラップフィルタ(Trap Filter)等がある。また、それらを組み合わせた電子部品として、ダイプレクサ(Diplexer)、デュプレクサ、アンテナスイッチモジュール及びRFモジュール等がある。
周波数500MHz以上、特にマイクロ波の周波数帯(GHz帯)の高周波用途の電子部品では、小型化、低背化及び低価格化を実現することが求められている。高周波用途のコンデンサでは、高誘電率材料の誘電体膜を用いたり、誘電体膜の膜厚を薄くしたりして小型化及び高容量化が図られている。さらに、誘電体膜を多層化したりコンデンサの電極面積を大きくしたりしてコンデンサの高容量化が図られている。
しかし、高誘電率材料の誘電体膜を用いると、誘電正接が増加し、コンデンサの伝送損失が使用周波数範囲において増大してしまう。そこで、高周波用途のコンデンサには低誘電正接材料の誘電体膜が用いられている。
図20は従来の薄膜型のコンデンサ素子411の概略構成を示している。図20(a)は、コンデンサ素子411の平面図であり、図20(b)は、図20(a)のA−A線で切断した断面を示す図である。図20(a)及び図20(b)に示すように、コンデンサ素子411は、基板51上に形成された下部導体421と、下部導体421上に形成された誘電体膜431と、誘電体膜431上に形成された上部導体423とを有している。下部導体421及び上部導体423の一部はコンデンサ素子411の電極として機能する。コンデンサ素子411の容量値を規定するための一要因である電極面積は、下部導体421と上部導体423とで挟まれた誘電体膜431の面積l1×l2で規定される。
従来のコンデンサ素子411では、誘電体膜431の膜厚は下部導体421の上面よりも下部導体421の端部の方が薄くなり易い。誘電体膜431を薄膜化すると、誘電体膜431は下部導体421上に形成されないこともある。このため、下部導体421端部において下部導体421と上部導体423との絶縁性が十分に得られなくなり、短絡不良が発生し易くなる。これによりコンデンサ素子411の耐電圧の破壊限界が低下し、製品間の耐電力の品質安定性を欠くという問題が生じる。短絡不良や耐電圧の破壊限界の低下は、誘電体膜431の膜厚が下部導体421及び上部導体423の膜厚に比べて薄い場合や、下部導体421の端部形状が逆テーパである場合に発生し易い。
そのため、コンデンサ素子411では、誘電体膜431に絶縁性の高い材料を用いたり、誘電体膜431の膜厚を厚くしたりして、絶縁耐圧の向上が図られている。しかしながら、誘電体膜431の膜厚を厚くすると、高容量を得るためにコンデンサ素子411の電極面積を増大させる必要があり、電子部品の小型化が困難になるという問題がある。さらに、誘電体膜431は下部導体421上面とその端部とを覆っているが、当該端部の誘電体膜431の厚さは下部導体421上面の誘電体膜431の厚さよりも薄くなる場合がほとんどである。等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance;ESR)や寄生インダクタンスを配慮する為に下部導体421の設定膜厚が厚い場合や、下部導体421の配線長が長い場合などは、下部導体421端部と上部導体423との間に形成される容量の容量値が大きくなり、下部導体421端部を覆っている誘電体膜431の膜厚のばらつきが所望の容量値に悪影響を与えることとなる。
ところで、コンデンサを有する薄膜型の電子部品に関して、電極面積及び誘電体膜の積層数の低減は、コンデンサの小型化、低背化、高周波化及び低価格化に与える影響が大きい。コンデンサ素子411の容量値の精度は、下部導体421と上部導体423との相対位置精度、下部導体421又は上部導体423の形状精度、誘電体膜431の膜厚及び誘電率の精度並びに下部導体421及び上部導体423の表面粗さ等に影響される。コンデンサ素子411では一般的に、上部導体423及び下部導体421の電極面積をそれぞれ変えることにより相対位置精度が高められている。
上部導体及び下部導体の短絡並びに位置精度を配慮するために、下部導体上に積層する上部導体の寸法を下部導体よりも小さくする必要がある。特に、寸法の小さな導体では、位置精度のマージンを確保するために、上部導体の寸法が小さくなるので、積層数に制限がある。また、上部導体を多層化してもコンデンサの大容量化に繋り難い。従来のコンデンサでは下部導体の端部に形成された誘電体膜の追従が悪いため、上部導体及び下部導体の短絡を防止するために、当該端部を避けて上部導体が形成される。また、従来のコンデンサでは、下部導体の端部形状が不揃いなので、当該端部をコンデンサの電極の一部にすると電極面積のばらつきが大きくなるので、容量値を高精度にできない。そこで、従来のコンデンサでは、端部以外の平坦部上に誘電体膜と上部導体とを順次積層して、上部導体及び下部導体の対向する面積(電極面積)並びに誘電体膜の厚さによって容量が形成されている。
また、コンデンサを有する電子部品では、コンデンサ素子411の導体から端子までの距離やコンデンサ素子411とコンデンサ素子411に隣接する回路素子とを接続する引き出し導体を短くできるように回路配置を調整して、寄生インダクタンスや浮遊容量の低減が図られている。
しかし、引き出し導体の一部は誘電体膜431と接触しているため、下部導体421及び上部導体423の形成位置ずれが生じると、コンデンサ素子411の容量値は設計値と異なってしまう。コンデンサの容量値の設計値からのずれを低減するために、例えば引き出し導体の幅が細く形成されている。ところが、引き出し導体の幅を細くすると、寄生インダクタンスが増加するので、電子部品の高周波特性が劣化したり、伝送損失が大きくなったりするという不具合が生じる。
特許文献1に開示された薄膜型のキャパシタ素子は、基板上に下部電極と誘電体層が順次積層されると共に、この誘電体層の周縁部が開口を有する絶縁体層によって覆われており、この絶縁体層上に形成された上部電極が前記開口内で前記誘電体層に積層されている。このように構成すると、下部電極と上部電極間が誘電体層の周縁部を覆う絶縁体層によって確実に絶縁されるため、誘電体層のカバレッジ不良に起因するブレイクダウン電圧の低下やバラツキを確実に防止することができ、また、絶縁体層の開口によってキャパシタの容量値が規定されるため、下部電極と上部電極の大きさや位置合わせ精度に拘らず、容量値のバラツキを低減することができる。
しかしながら、特許文献1に開示されたキャパシタ素子では、上部電極が下部電極の同層にも形成されて絶縁体層を介して対向しているため、両電極間に寄生容量が発生する。また、絶縁体層は基板面に対して突出した形状であるため、誘電体層を積層構造にするのが困難である。さらに、インダクタ素子等の回路素子をキャパシタ素子の近くに形成できず、複数の回路素子を有する複合部品の小型化を図るのが困難である。
特開2002−25854号公報 特開2002−33559号公報 特開2003−17366号公報 特許第3193973号公報
本発明の目的は、耐電圧の破壊限界値及び絶縁性を改善でき、さらに小型化、積層化及び高容量化を行える電子部品を提供することにある。
上記目的は、基板上に形成された下部導体と、前記下部導体から突出して形成された嵩上げ導体とを備えた第1導体と、前記嵩上げ導体上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成され、前記嵩上げ導体と前記誘電体膜とで容量素子を構成する第2導体とを有すること特徴とする電子部品によって達成される。
上記本発明の電子部品であって、前記嵩上げ導体の周囲に前記嵩上げ導体の上表面とほぼ面一の上表面を有する絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記誘電体膜は、前記絶縁膜上に形成されていることを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記基板面法線方向に見て、前記第2導体は前記嵩上げ導体を全て覆っていることを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記誘電体膜の膜厚は、前記嵩上げ導体の厚さよりも薄いことを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記誘電体膜の膜厚は、前記絶縁膜の膜厚よりも薄いことを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記誘電体膜の誘電率は、前記絶縁膜の誘電率よりも高いことを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記基板上に形成され、前記容量素子と電気的に接続された回路素子をさらに有することを特徴とする。
上記本発明の電子部品であって、前記絶縁膜は、ビア開口部を有することを特徴とする。
本発明によれば、耐電圧の破壊限界値及び絶縁性を改善でき、さらに小型化、積層化及び高容量化を行える電子部品を実現できる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態による電子部品について図1乃至図12を用いて説明する。まず、本実施の形態による電子部品1について図1を用いて説明する。図1(a)は、電子部品1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線で切断した断面図である。また、図1(c)は、電子部品1の等価回路図である。図1(a)では、隠れ線を破線で示している。
図1(a)及び図1(b)に示すように、電子部品1は、薄膜形成技術で形成されたコンデンサ素子(容量素子)11と、コンデンサ素子11と電気的に接続されたインダクタ素子(回路素子)13とを有し、全体として直方体形状の外形を有している。図1(a)において、横方向に延びる電子部品1の長辺の長さと同図中で縦方向に延びる短辺の長さとの比率は、ほぼ2:1になっている。図1(c)に示すように、コンデンサ素子11とインダクタ素子13とは直列に接続されて、直列共振回路を構成している。
図1(b)に示すように、本実施の形態による電子部品1では、表面に平坦化層52が形成された平滑な基板51が用いられている。基板51はアルミナ(Al)で形成されている。平坦化層52はアルミナで形成され、平坦化層52の表面は、CMP(化学的機械的研磨)法により研磨されて平坦になっている。
電子部品1は、基板51の平坦化層52上に形成され、基板51をその法線方向に見てスパイラル形状を有するコイル導体12と、コイル導体12の内周側の端部上の誘電体膜31及び絶縁膜33にそれぞれ開口されたビア開口部31a、33aとを有している。
ビア開口部31a、33a及び誘電体膜31上には、ビア開口部33aでコイル導体12の内周側の端部と接触する引き出し導体61が形成されている。インダクタ素子13は、コイル導体12と引き出し導体61とで構成されている。コイル導体12の外周側の端部は下部導体21と電気的に接続されている。コイル導体12と下部導体21とは一体的に形成されている。引き出し導体61及び上部導体23が電子部品1の通電用端子となる。
コイル導体12は、コイル導体12の底部及び側部に形成されたTi/Cu又はクロム(Cr)/Cuの下地導体12aと、下地導体12a上に形成されたCuの導体12bとによって構成されている。コイル導体12の厚さは、例えば8μmである。直流抵抗成分を減らして、伝送損失を少なくするために、下部導体21及びコイル導体12の厚さは相対的に厚くなっている。図1(a)に示すように、コイル導体12は1巻きのコイルで形成されている。
コイル導体12には引き出し導体61が電気的に接続されている。引き出し導体61は、ビア開口部33aに形成された導体63と、ビア開口部31a及び誘電体膜31上に形成された導体64とを有している。導体63は、導体63の底部及び側部に形成されたTi/Cuの下地導体63aと、下地導体63a上に形成されたCuの導体63bとで構成されている。導体64は、誘電体膜31上及びビア開口部31aの底部及び側部に形成されたTi/Cuの下地導体64aと、下地導体64a上に形成されたCuの導体64bとで構成されている。導体64は、ビア開口部31aから誘電体膜31上に延在し、ビア開口部31aから電子部品1の短辺側の周縁部まで細長い長方形状に形成されている。
引き出し導体61のビア部の導体63は絶縁膜33に開口されたビア開口部33aに形成され、側部を絶縁膜33に覆われている。従って、ビア部は確実な接続と絶縁性とを確保でき、ビア部の接続信頼性を高めることができる。これにより、電子部品1の信頼性は向上する。
また、電子部品1は、基板51の平坦化層52上に形成された下部導体21と、下部導体21から突出して柱状に形成された嵩上げ導体22とを備えた第1導体24と、嵩上げ導体22上に形成された誘電体膜31と、誘電体膜31上に形成され、嵩上げ導体22と誘電体膜31とでコンデンサ素子(容量素子)11を構成する上部導体(第2導体)23とを有している。
図1(a)に示すように、下部導体21は、基板51をその法線方向に見て、長方形の形状を有している。下部導体21は、コイル導体12と同時に同層に同材料で形成されている。下部導体21の厚さは例えば8μmである。下部導体21は、下地導体21の底部及び側部に形成されたチタン(Ti)/銅(Cu)の下地導体21aと、下地導体21a上に形成されたCuの導体21bとで構成されている。
下部導体21及びコイル導体12の周囲及び間隙には、絶縁膜35が形成されている。絶縁膜35は、例えば感光性ポリイミド等の感光性樹脂で形成されている。絶縁膜35の膜厚は、下部導体21及びコイル導体12の厚さとほぼ等しく、下部導体21、コイル導体12及び絶縁膜35の表面は平滑に形成されている。
図1(a)及び図1(b)に示すように、コンデンサ素子11は、嵩上げ導体22、誘電体膜31及び上部導体23で構成されている。嵩上げ導体22は、例えば一辺の長さl=100μm、厚さe=8μmの薄板形状を有し、下部導体21のほぼ中央部に形成されている。嵩上げ導体22は、導体63と同時に同層に同材料で形成されている。嵩上げ導体22は、嵩上げ導体22の底部及び側部に形成されたチタン(Ti)/銅(Cu)の下地導体22aと、下地導体22a上に形成されたCuの導体22bとで構成されている。
嵩上げ導体22が上層に形成されていない下部導体21は、引き出し導体として機能する。当該引き出し導体は、図1(a)中、嵩上げ導体22とコイル導体12とで挟まれた長方形状の領域である。
図1(b)に示すように、コイル導体12、下部導体21及び絶縁膜35上には絶縁膜33が形成されている。絶縁膜33は、例えば感光性ポリイミド等の感光性樹脂で形成されている。絶縁膜33の材料には耐熱性が要求される。絶縁膜33は、嵩上げ導体22及び導体63の同層に形成され、嵩上げ導体22及び導体63の周囲を覆って形成されている。絶縁膜33は、嵩上げ導体22及び導体63の形成されている箇所を除いて基板51のほぼ全面に形成されている。嵩上げ導体22、絶縁膜33及び導体63の各表面は平滑に形成され、絶縁膜33の膜厚は嵩上げ導体22及び導体63の厚さeとほぼ等しくなっている。絶縁膜33は、嵩上げ導体22及び導体63の上表面とほぼ面一の上表面を有している。
電子部品1は、特許文献1に開示された薄膜キャパシタ素子と異なり、基板面に対して突出した形状の絶縁体層ではなく、表面が平坦な絶縁膜33を有しているので、電子部品1の高多層化が容易に行える。例えば、誘電体膜31を積層することによって高容量のコンデンサ素子11が得られる。さらに、コンデンサ素子11の周縁部に突起状の絶縁体層が形成されていないので、インダクタ素子13をコンデンサ素子11の近傍に形成することができる。これにより、電子部品1の小型化が実現できる。
図1(b)に示すように、嵩上げ導体22上及び絶縁膜33上には誘電体膜31が形成されている。誘電体膜31は、ビア開口部31aを除いて基板51のほぼ全面に平坦に形成されている。誘電体膜31の膜厚dは、例えば0.1μmであり、嵩上げ導体22の厚さe及び絶縁膜33の膜厚よりも薄く形成されている。誘電体膜31の材料として、例えばアルミナ、窒化珪素(Si)、酸化タンタル(Ta)又は窒化アルミニウム(AlN)等が用いられる。誘電体膜31は、絶縁膜33より誘電率の高い材料が用いられている。
嵩上げ導体22上の誘電体膜31上には上部導体23が形成されている。上部導体23は、基板51の基板面法線方向に見て、嵩上げ導体22を全て覆って形成されている。また、上部導体23は、電子部品1の短辺側の周縁部まで誘電体膜31上に延在している。上部導体23は、下部導体21及び嵩上げ導体22の同層には形成されていない。図1(a)に示すように、上部導体23は基板51の基板面をその法線方向に見て、長方形形状を有している。上部導体23の厚さは例えば8μmである。上部導体23は、導体64と同時に同層に同材料で形成されている。
上部導体23は、誘電体膜31上に形成されたTi/Cuの下地導体23aと、下地導体23a上に形成されたCuの導体23bとで構成されている。上部導体23は、嵩上げ導体22と対向してコンデンサ素子11の電極として機能する電極部と、当該電極部と電子部品1の側面に形成された外部電極(不図示)とを接続するために電子部品1の短辺側の周縁部まで誘電体膜31上に形成された引き出し導体とを有している。基板51の基板面法線方向に見て上部導体23が嵩上げ導体22を覆って形成されているので、コンデンサ素子11の電極面積は、嵩上げ導体22の面積lで規定される。
誘電体膜31は平坦面上に形成されている。このため、誘電体膜31を薄く形成しても、誘電体膜31の膜厚を嵩上げ導体22の端部においても均一にすることができる。これにより、嵩上げ導体22と上部導体23との短絡が防止される。従って、電子部品1の耐電圧の破壊限界値及び絶縁性が改善されて、製造された電子部品1の品質ばらつきが抑制される。また、嵩上げ導体22の端部上の誘電体膜31上に上部導体23を形成しても上部導体23と嵩上げ導体22との短絡を防止できるので、当該端部上にも上部導体23を形成することができ、コンデンサ素子11の電極面積を広くすることができる。
また、嵩上げ導体22と上部導体23との短絡を防止するために誘電体膜31の膜厚を厚くする必要がないので、誘電体膜31の膜厚を従来の膜厚(2〜3μm)の10分の1以下にすることができ、高容量のコンデンサ素子11が得られる。また、コンデンサ素子11の電極面積を小さくしても十分な容量が得られるので、電子部品1の小型化が実現できる。例えば、嵩上げ導体22の1辺の長さlを50μm又は30μm若しくはそれより短い長さにして、電子部品1の小型化を図ることも可能である。また、誘電体膜31を多層にしなくても十分な容量が得られるので、電子部品1の低背化が実現できる。
ここで、従来のコンデンサ素子411及び本実施の形態によるコンデンサ素子11において、上部導体の形成位置のずれ、上部導体423、嵩上げ導体22の形成面積のずれ(形状のばらつき)及び上部導体の厚さのばらつき並びに従来のコンデンサ素子411において、下部導体421の側部に形成された誘電体膜431の膜厚fのばらつきが容量値の設計値からのずれに与える影響について表1を用いて説明する。
表1は、上部導体の形成位置のずれ(形成位置)、上部導体423、嵩上げ導体22の形成面積のずれ(導体面積)、上部導体の厚さのばらつき(導体厚さ)及び下部導体421の側部に形成された誘電体膜431の膜厚fのばらつき(側壁膜厚)をそれぞれ異ならせた条件1〜10における容量値の設計値からのずれのシミュレーション分析結果について、従来のコンデンサ素子411(従来例)と本実施の形態によるコンデンサ素子11(本実施の形態)とを比較して示している。
条件1〜10は以下の通りである。条件1及び条件2は、図1(a)及び図20(a)において、上部導体の形成位置が左方向(マイナス(−)方向)又は右方向(プラス(+)方向)に設計値から5μmずれた状態である。条件3及び条件4は、上部導体423又は嵩上げ導体22が1辺当たり−5μm又は+5μm増減して形成面積が設計値からずれた状態である。条件5は、条件1でのずれ及び条件3でのずれが重なった状態であり、条件6は、条件2でのずれ及び条件4でのずれが重なった状態である。条件7は、条件5でのずれと、上部導体の厚さが設計値から+1μmずれるという状態とが重なった状態である。条件8は、条件6でのずれと、上部導体の厚さが設計値から−1μmずれるという状態とが重なった状態である。条件9は、コンデンサ素子411において、条件7でのずれと、下部導体421の側部に形成された誘電体膜431の膜厚fが設計値から+5%ずれるという状態とが重なった状態である。条件10は、コンデンサ素子411において、条件8でのずれと、下部導体の側部に形成された誘電体膜の膜厚fが設計値から−5%ずれるという状態とが重なった状態である。
シミュレーション分析に用いられた設計値は以下の通りである。嵩上げ導体22の一辺の長さl並びに下部導体421と対向する上部導体423の一辺の長さl1及びl2は100μmであり、上部導体の厚さは8μmであり、誘電体膜の比誘電率は7.5であり、誘電体膜の膜厚dは0.1μmである。下部導体は設計値通りに形成されることを前提とした。下部導体421の側部に形成される誘電体膜431の膜厚fは、0.1μmである。容量値の設計値は、従来のコンデンサ素子411では7.172pFであり、本実施の形態によるコンデンサ素子11では6.651pFである。
Figure 0004518013
表1に示すように、上部導体の形成位置が左方向又は右方向に設計値から5μmずれる(条件1及び2)と、従来のコンデンサ素子411では、容量値は設計値から−4.6%〜4.6%の範囲内でずれるが、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、容量値は設計値からずれない。
上部導体421又は嵩上げ導体22が1辺あたり−5μm又は+5μm増減して形成面積が設計値からずれる(条件3及び4)と、従来のコンデンサ素子411では、容量値は設計値から−7.2%〜7.4%の範囲内でずれるのに対し、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、容量値は−9.7%〜10.2%の範囲内でずれる。容量値のずれは、従来のコンデンサ素子411より本実施の形態によるコンデンサ素子11の方が大きい。
上部導体の形成位置及び上部導体421又は嵩上げ導体22の形成面積が設計値からそれぞれずれる(条件5及び6)と、従来のコンデンサ素子411では、容量値は設計値から−11.6%〜12.3%の範囲内でずれるのに対し、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、容量値は設計値から−9.7%〜10.2%の範囲内でずれる。容量値のずれは、従来のコンデンサ素子411より本実施の形態によるコンデンサ素子11の方が小さい。
上部導体の形成位置、厚さ及び上部導体421又は嵩上げ導体22の形成面積が設計値それぞれずれる(条件7及び8)と、従来のコンデンサ素子411では、容量値は設計値から−10.7%〜11.3%の範囲内でずれるのに対し、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、容量値は設計値から−9.7%〜10.2%の範囲内でずれる。容量値のずれは、従来のコンデンサ素子411より本実施の形態によるコンデンサ素子11の方が小さい。本実施の形態によるコンデンサ素子11では、上部導体23の厚さが設計値からずれても、容量値は設計値からずれない。
また、上部導体の形成位置、厚さ、上部導体421又は嵩上げ導体22の形成面積及び従来のコンデンサ素子411において、下部導体421の側部に形成された誘電体膜431の膜厚fが設計値からそれぞれずれる(条件9及び10)と、容量値は設計値から−11.1%〜11.7%の範囲内でずれるのに対し、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、容量値は設計値から−9.7%〜10.2%の範囲内でずれる。容量値のずれは、従来のコンデンサ素子411より本実施の形態によるコンデンサ素子11の方が小さい。
上述したように、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、基板51の基板面法線方向に見て上部導体23が嵩上げ導体22を覆って形成され、嵩上げ導体22の面積lによってコンデンサ素子11の電極面積が規定されるので、上部導体23の形成位置がずれても容量値はずれない。さらに上部導体23は下部導体21の同層に形成されていない。このため上部導体23と下部導体21の側部とは対向し得ないので、下部導体21側部と上部導体23との間に発生する寄生容量を防止できる。このため、上部導体23の厚さが設計値からずれても容量値は設計値からずれない。また、従来のコンデンサ素子411では、下部導体421の側部に形成された誘電体膜431の膜厚fが設計値からずれると容量値も設計値からずれるという問題がある。しかし、本実施の形態によるコンデンサ素子11では、上部導体23は下部導体21の同層に形成されず、かつ下部導体21の側部に誘電体膜31が形成されていないので、従来の問題は生じない。従って、本実施の形態によるコンデンサ素子11は、従来のコンデンサ素子411と比較して容量値のずれを約±2%程度減少させることができる。
さらに、絶縁膜33の膜厚と、コンデンサ素子11の容量値の設計値からのずれとの関係について図2を用いて説明する。図2は、絶縁膜33の膜厚と、コンデンサ素子11の容量値の設計値からのずれとの関係のシミュレーション分析結果を示している。図2において、横軸は絶縁膜33の膜厚(μm)を示し、縦軸はコンデンサ素子11の容量値の設計値からのずれをパーセント(%)で示している。
シミュレーション分析に用いられた設計値は以下の通りである。嵩上げ導体22の一辺の長さlは50μmであり、下部導体21及び上部導体23の引き出し導体の対向する面積は50×8μmであり、絶縁膜33の比誘電率は4であり、誘電体膜31の膜厚dは0.1μmである。容量値の設計値は、0.886pFである。下部導体21、嵩上げ導体22及び上部導体23は設計値どおりに形成されることを前提とした。
一般にコンデンサの容量値は電極間距離に反比例するので、絶縁膜33の膜厚が厚くなると、下部導体21及び上部導体23の引き出し導体間に発生する寄生容量は小さくなる。従って、図2に示すように、コンデンサ素子11の容量値のずれ量は、絶縁膜33の膜厚にほぼ反比例する。ところで、特許文献1に開示された薄膜キャパシタ素子は、絶縁体層を介して下部電極側面と上部電極とが対向配置された構造を有している。薄膜キャパシタ素子を小型化するほど、当該絶縁体層は薄くなるので薄膜キャパシタ素子の容量値に対する寄生容量の割合が大きくなる。
これに対し、本実施の形態の電子部品1は、下部導体21の側面に上部導体23が対向配置されていない構造を有している。このため、電子部品1の大きさに関わらず下部導体21側面と上部導体23との間に生じる寄生容量はほとんど変わらない。従って、電子部品1が小型化してもコンデンサ素子11の容量値に対する寄生容量の割合は増加せず、コンデンサ素子11の容量値は、上部導体23と嵩上げ導体22とが対向する面積(電極面積)lと、上部導体23と嵩上げ導体22とに挟まれた誘電体膜31の膜厚d及び誘電率とで規定される。従って、コンデンサ素子11の容量値が高精度の小型の電子部品1が実現できる。絶縁膜33を厚くすると、引き出し導体等の周辺の配線の容量結合を抑えることができるので、コンデンサ素子11の容量値の高精度化をさらに図ることができる。
また、絶縁膜33を厚くすると、上部導体23及び下部導体21の引き出し導体間に発生する寄生インダクタンス及び浮遊容量が低減される。従って、コンデンサ素子11の容量値の精度を高めることができる。また、高周波域での伝送特性の劣化を抑えることができる。さらに、所望の回路定数を得ることができ、高周波回路設計が容易になる。
薄膜型のコンデンサ素子では、小さな対向面積で高容量を得る場合ほど、周辺の配線との容量結合が容量値に与える影響は大きくなる。絶縁膜33の膜厚を厚くすることは、コンデンサ素子11の小型化を図る上で、所望のコンデンサ素子11の容量値を得ようとする場合に有効である。また、絶縁膜33の膜厚のばらつきを少なくすることにより、製品ごとの容量値のバラツキを抑制できる。
また、絶縁膜33を厚くすると、コイル導体12及び引き出し導体61間の浮遊容量が低減するので、インダクタ素子13の自己共振周波数及び反共振周波数の高周波化の対応並びにQ特性の改善を図ることができる。例えば、コンデンサ素子11及びインダクタ素子13と同様の構造のL、CをLC共振回路などによるフィルタ回路に用いると、挿入損失が低減されたり、帯域外特性の減衰量の抑圧が改善されたり、遮断域の急峻性が改善されたりする。あるいは、絶縁膜33を薄層化することでコンデンサ素子11の薄型化を図る場合、積極的に下部導体21と上部導体23間の距離を変え、絶縁膜33の膜厚及び嵩上げ導体22の高さを薄くして、引き出し導体間に発生する容量結合をコンデンサ素子11の容量として用いることができる。
また、絶縁膜33の膜厚を厚くすることによって、コイル導体12とコイル導体12の配線に対向する配線(例えば引き出し導体61、グランド、電源供給、シールド、インダクタ素子及びコンデンサ素子11配線等)との磁気結合及び容量結合を低減できる。
また、絶縁膜33の膜厚や誘電率を調整して、電磁結合及び容量結合を意図的に発生させ、所望の周波数帯での伝送特性の性能を引き出して、電子部品1の特性改善を行うことができる。絶縁材料の厚さや誘電率を調整して寄生成分を積極的に利用することにより、磁気結合を効果的に行い、交流成分を有効に引き出し、直流成分を抑える等して、電子部品1の伝送損失を低減させることができる。
以上説明したように、本実施の形態による電子部品1は、誘電体膜31が、平坦面上に形成されている。このため、誘電体膜31を薄く形成しても、誘電体膜31の膜厚を嵩上げ導体22の端部においても均一にすることができ、嵩上げ導体22と上部導体23との短絡を防止することができる。従って、電子部品1の耐電圧の破壊限界値及び絶縁性が改善されて、製造された電子部品1の品質ばらつきが抑制される。
また、上部導体23は下部導体21の同層には形成されておらず、下部導体21の側部と上部導体23の側部とは対向していないので、下部導体21の側部と上部導体23の側部との間の寄生容量の発生を防止できる。従って、嵩上げ導体22の面積lで規定される電極面積を精度よく形成することにより、コンデンサ素子11の容量値の精度を向上させることができる。さらに、絶縁膜33の膜厚を厚くすることによって、下部導体21及び上部導体23の引き出し導体間の寄生容量の発生を防止し、容量値の精度を高めることができる。
また、表面が平坦な絶縁膜33を有しているので、電子部品1の高多層化が容易になる。また、嵩上げ導体22の端部上の誘電体膜31上にも上部導体23を形成することができ、上部導体23を嵩上げ導体22よりも大きく形成することができる。従って、誘電体膜31と導体とを交互に積層して形成することにより高容量の積層コンデンサ素子を得ることができる。
本実施の形態による電子部品1の製造方法について図3乃至図7を用いて説明する。電子部品1はウエハ上に同時に多数形成されるが、図3乃至図7は、1個の電子部品1の素子形成領域を示している。図3乃至図7は、本実施の形態による電子部品1の製造工程を示す断面図である。
本実施の形態では基板として表面に平坦化処理が施された基板51を用いる。まず、アルミナ(Al)で形成された基板51の全面に形成したアルミナの表面をCMP(化学的機械的研磨)法により研磨して平坦化層52を形成する。
次に、全面に例えばポリイミド等の感光性樹脂を塗布して絶縁膜35を形成する。次に、絶縁膜35にプリベークを行う。次に、図3(a)に示すように、絶縁膜35を露光、現像し、基板51をその法線方向に見て、長方形形状の開口部35aと、スパイラル形状の開口部35bとを絶縁膜35に形成する。開口部35bの外周側の端部は開口部35aと接続されている。次に、絶縁膜35にポストベークを行う。
次に、図3(b)に示すように、全面に膜厚30nm程度のチタン(Ti)及び膜厚100nm程度の銅(Cu)を例えばスパッタリング法により順次積層して下地導体71を形成する。下地導体71は、開口部35a、35bの側部及び底部にも形成される。
次に、図3(c)に示すように、下地導体71上に厚さ9〜10μmのCuの導体72を電解めっき法により形成する。次に、図4(a)に示すように、絶縁膜35が露出して導体パターンが形成されるまで全面をCMP法により研磨して、開口部35aに厚さ8μm程度の下部導体21を形成し、同時に開口部35bに同一厚さのコイル導体12を形成する。下部導体21は、下地導体71で形成された下地導体21aと、導体72で形成された導体21bとで構成される。コイル導体12は、下地導体71で形成された下地導体12aと、導体72で形成された導体12bとで構成される。
本実施の形態では、下部導体21及びコイル導体12の形成方法にダマシン法が用いられているが、導体の形成方法にセミアディティブ法(析出法)、サブトラクティブ法(エッチング法)又はリフトオフ法が用いられてもよい。後程説明する嵩上げ導体22、上部導体23及び引き出し導体61は、下部導体21及びコイル導体12と同様の方法で形成される。また、コイル導体12及び後述する引き出し導体61の配線層は、下部導体21の配線層又は上部導体23の配線層のどちらでも良く、これらは配線設計の容易性とインダクタ素子13の電気的特性や形状を配慮して自由に配置することができる。さらに、後述する絶縁膜33の開口部及び溝等の加工に、レーザー、プラズマアッシング又はウエットエッチングを用いてもよい。
次に、全面に例えばポリイミド等の感光性樹脂を塗布して絶縁膜33を形成する。次に、絶縁膜33にプリベークを行う。次に、図4(b)に示すように、絶縁膜33を露光、現像し、コイル導体12の内周側の端部を露出するビア開口部33aを絶縁膜33に形成する。また同時に下部導体21の一部が露出する開口部33bを絶縁膜33に形成する。次に、絶縁膜33にポストベークを行う。
次に、図4(c)に示すように、全面に膜厚30nm程度のチタン(Ti)及び膜厚100nm程度の銅(Cu)を例えばスパッタリング法により順次積層して下地導体73を形成する。下地導体73は、ビア開口部33a、開口部33bの側部及び底部にも形成される。
次に、図5(a)に示すように、下地導体73上に厚さ9〜10μmのCuの導体74を電解めっき法により形成する。次に、図5(b)に示すように、絶縁膜33が露出して導体パターンが形成されるまで全面をCMP法により研磨して、ビア開口部33aに厚さ8μm程度の導体63を形成し、同時に開口部33bに同一厚さの嵩上げ導体22を形成する。嵩上げ導体22は、下地導体73で形成された下地導体22aと、導体74で形成された導体22bとで構成される。導体63は、下地導体73で形成された下地導体63aと、導体74で形成された導体63bとで構成される。
次に、図5(c)に示すように、全面に厚さ0.1μm程度の誘電体膜31を形成する。誘電体膜31の材料には、例えばアルミナ、窒化珪素(Si)又は二酸化珪素(SiO)等が用いられる。誘電体膜31は、平坦面上に形成される。
次に、誘電体膜31全面に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層83を形成する。次に、図6(a)に示すように、感光性樹脂層83を露光、現像し、導体63上の誘電体膜31上の感光性樹脂層83に開口部83aを形成する。次に、感光性樹脂層83にポストベーク(熱処理)を行う。
次に、図6(b)に示すように、開口部83aに露出した誘電体膜31をアッシングにより除去して導体63が露出したビア開口部31aを誘電体膜31に形成する。このとき、必要に応じて、後述するウエハ切断線(チップ切断面)の誘電体膜31も同時に除去してもよい。誘電体膜31を個片化すると、誘電体膜31が有する膜応力を分散させることができる。次に、図6(c)に示すように、感光性樹脂層83を剥離する。
次に、図7に示すように、上部導体23及び導体64を下部導体21及びコイル導体12と同様の形成方法によって形成する。図示は省略するが、より詳細に説明すると、全面に厚さ8μm程度の感光性樹脂を例えばスピンコート法により塗布して感光性樹脂層を形成する。次に、当該感光性樹脂層を露光、現像し、上部導体23及び導体64と同一形状の開口部を感光性樹脂層に形成する。次に、全面に膜厚30nm程度のTi及び膜厚100nm程度のCuを例えばスパッタリング法により順次積層して下地導体を形成する。
次に、下地導体上に厚さ9〜10μmのCuの導体を電解めっき法により形成する。次に、感光性樹脂層が露出して導体パターンが形成されるまで全面をCMP法により研磨して、厚さ8μm程度の上部導体23及び導体64を形成する。上部導体23は、下地導体23aと、下地導体23a上に形成された導体23bとで構成される。導体64は、下地導体64aと、下地導体64a上に形成された導体64bとで構成される。次に、感光性樹脂層を剥離する。
これにより、導体63、64で構成された引き出し導体61が形成される。以上の工程によって、嵩上げ導体22、誘電体膜31及び上部導体23で構成されるコンデンサ素子(容量素子)11が形成され、同時にコイル導体12及び引き出し導体61で構成されるインダクタ素子13が形成される。次に必要に応じて全面に保護膜を形成する。
次に、所定の切断線に沿ってウエハを切断し、ウエハ上に形成された複数の電子部品1を素子形成領域毎にチップ状に分離する。次に、図示は省略するが、切断面に露出した上部導体23及び引き出し導体61に電気的にそれぞれ接続される外部電極を当該切断面に形成する。次に、必要に応じて角部の面取りを行い、電子部品1が完成する。
本実施の形態による電子部品1の製造方法によれば、コンデンサ素子11の下部導体21とコイル導体12とが同一の工程で同時に形成され、嵩上げ導体22と導体63とが同一の工程で同時に形成され、上部導体23と導体64とが同一の工程で同時に形成される。従って、製造工程数を削減することができ、低コストで電子部品1を製造することができる。
本実施の形態の変形例による電子部品について図8乃至図11を用いて説明する。以下の説明において、第1の実施の形態と同一の機能、作用を奏する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(変形例1)
まず、本実施の形態の変形例1による電子部品2について図8(a)及び図8(b)を用いて説明する。図8(a)は、本変形例による電子部品2を示す平面図であって、導体部のみを示し、図8(b)は、電子部品2の等価回路を示している。図8(a)に示すように、電子部品2では、スパイラル形状のコイル導体12の外周側の端部上に嵩上げ導体22が形成されている。図8(b)に示すように、コンデンサ素子11とインダクタ素子13とは直列に接続されて直列共振回路を構成している。引き出し導体61及び上部導体23がそれぞれ通電用の端子となる。
(変形例2)
次に、本実施の形態の変形例2による電子部品3について図9(a)及び図9(b)を用いて説明する。図9(a)は、本変形例による電子部品3を示す平面図であって、導体部のみを示し、図9(b)は、電子部品3の等価回路図を示している。図9(a)に示すように、インダクタ素子13は、スパイラル状のコイル導体12と、コイル導体12の内周側の端部で接続されて図の左右方向に延伸する長方形状の引き出し導体61とを有している。電子部品3は、コイル導体12と一体的に形成され、コイル導体12の外周側の端部と接続されて図中左右方向に延伸する長方形状の下部導体21を有している。コンデンサ素子11は、下部導体21上に形成された嵩上げ導体22と、引き出し導体61と一体的に形成されて嵩上げ導体22上に対向配置されたL字形状の上部導体23とを有している。図9(b)に示すように、コンデンサ素子11とインダクタ素子13とは並列に接続されて、並列共振回路を構成している。上部導体23は、引き出し導体61と電気的に接続されている。引き出し導体61及び下部導体21がそれぞれ通電用の端子となる。
(変形例3)
次に、本実施の形態の変形例3による電子部品4について図10(a)及び図10(b)を用いて説明する。図10(a)は、本変形例による電子部品4を示す平面図であって、導体部のみを示し、図10(b)は、電子部品4の等価回路図を示している。図10(a)に示すように、インダクタ素子13は、スパイラル状のコイル導体12と、コイル導体12の内周側の端部で接続されて図の左右方向に延伸する長方形状の引き出し導体61とを有している。電子部品4は、コイル導体12と一体的に形成され、コイル導体12の外周側の端部と接続されて図中左右方向に延伸する長方形状の下部導体21を有している。コンデンサ素子11は、下部導体21上に形成された嵩上げ導体22と、嵩上げ導体22上に対向配置された長方形状の上部導体23とを有している。図10(b)に示すように、インダクタ素子13とコンデンサ素子11とは低域透過フィルタを構成している。引き出し導体61は入力側の端子となる。また、コイル導体12の外周側の端部近傍から引き出された引き出し導体62が出力側の端子となる。上部導体23はグランド接続用の端子となる。
(変形例4)
次に、本実施の形態の変形例4による電子部品5について図11(a)及び図11(b)を用いて説明する。図11(a)は、本変形例による電子部品5を示す平面図であって、導体部のみを示し、図11(b)は、電子部品5の等価回路図を示している。図11(a)に示すように、インダクタ素子13は、スパイラル状のコイル導体12と、コイル導体12の内周側の端部で接続されて図の上下方向に延伸する長方形状の引き出し導体61とを有している。電子部品5は、コイル導体12と一体的に形成され、コイル導体12の外周側の端部と接続されて図中左右方向に延伸する長方形状の下部導体21を有している。コンデンサ素子11は、下部導体21上に形成された嵩上げ導体22と、嵩上げ導体22上に対向配置された長方形状の上部導体23とを有している。図11(b)に示すように、インダクタ素子13とコンデンサ素子11とは高域透過フィルタを構成している。上部導体23が入力側の端子となり、下部導体21が出力側の端子となる。引き出し導体61はグランド接続用の端子となる。
(変形例5)
次に、本実施の形態の変形例5による積層コンデンサ素子について、図12(a)及び図12(b)を用いて説明する。図12(a)は、本変形例による積層コンデンサ素子16を示す断面図である。また、図12(b)は、積層コンデンサ素子16との比較例としての従来の積層コンデンサ素子416を示す断面図である。
図12(a)に示すように、積層コンデンサ素子16は、図1に示すコンデンサ素子11と、コンデンサ素子11上に形成されたコンデンサ素子14とを有している。コンデンサ素子14は、上部導体23上に形成された嵩上げ導体27と、誘電体膜36と、上部導体28とで構成されている。
コンデンサ素子11の上部導体23の同層には絶縁膜40が形成されている。絶縁膜40は、絶縁膜35と同一の材料及び同一の形成方法で形成されている。絶縁膜40の膜厚は、上部導体23の厚さとほぼ等しく、上部導体23及び絶縁膜40の表面は平滑に形成されている。
コンデンサ素子14の嵩上げ導体27は、嵩上げ導体22と同一の材料及び同一の形成方法で形成されて同一の形状を有している。また、基板51の基板面法線方向に見て、嵩上げ導体27は嵩上げ導体22と形成位置が一致している。嵩上げ導体27の同層には絶縁膜38が形成されている。絶縁膜38は、絶縁膜33と同一の材料及び同一の形成方法で形成されている。絶縁膜38の膜厚は、嵩上げ導体27の厚さとほぼ等しく、嵩上げ導体27及び絶縁膜38の表面は平滑に形成されている。
嵩上げ導体27及び絶縁膜38上には誘電体膜36が形成されている。誘電体膜36は、誘電体膜31と同一の材料及び同一の形成方法で形成されて同一の形状を有している。誘電体膜36上には上部導体28が形成されている。上部導体28は、上部導体23と同一の材料及び同一の形成方法で形成されて同一の形状を有している。また、基板51の基板面法線方向に見て、上部導体28は下部導体21と形成位置が一致しており、嵩上げ導体27を全て覆って形成されている。上部導体28は、例えば積層コンデンサ素子16の側面に形成された外部電極(不図示)によって下部導体21と電気的に接続されている。これによりコンデンサ素子11、14は並列に接続される。
上部導体28の同層には絶縁膜45が形成されている。絶縁膜45は、絶縁膜35と同一の材料及び同一の形成方法で形成されている。絶縁膜45の膜厚は、上部導体28の厚さとほぼ等しく、上部導体28及び絶縁膜45の表面は平滑に形成されている。
上部導体28及び嵩上げ導体27の対向する面積(コンデンサ素子14の電極面積)はコンデンサ素子11の電極面積と等しく、誘電体膜36の誘電率及び膜厚は誘電体膜31の誘電率及び膜厚と等しい。従って、コンデンサ素子14の容量値は、コンデンサ素子11の容量値と等しくなる。コンデンサ素子11、14は並列に接続されているので、積層コンデンサ素子16は、コンデンサ素子11のほぼ2倍の容量値を有する。
一方、図12(b)に示すように、積層コンデンサ素子416は、図20(b)に示すコンデンサ素子411と、コンデンサ素子411上に形成されたコンデンサ素子414と有している。コンデンサ素子411は、下部導体421と、下部導体421上に形成された誘電体膜431と、コンデンサ素子414の下部導体としても用いられる上部導体423とで構成されている。コンデンサ素子414は、上部導体423と、上部導体423上に形成された誘電体膜436と上部導体428とで構成されている。
下部導体421は、基板51上に形成されている。誘電体膜431は、下部導体421の側面及び上面に形成されている。上部導体423は、誘電体膜431上及び下部導体421の同層に形成されている。上部導体423は、下部導体421の端部を避けて形成されている。従って、下部導体421上部に形成される上部導体423は下部導体421よりも小さく形成されている。
誘電体膜436は、上部導体423の側面及び上面に形成されている。誘電体膜436は、誘電体膜431と同一の材料及び同一の形成方法で形成されている。上部導体428は、誘電体膜436上及び下部導体421上に形成されている。上部導体428は、下部導体421と同一の材料及び同一の形成方法で形成されている。上部導体428は、上部導体423の端部を避けて形成されている。従って、上部導体423上部に形成される上部導体428は上部導体423よりも小さく形成されている。上部導体428は、下部導体421と電気的に接続されている。これによりコンデンサ素子411、414は並列に接続される。
積層コンデンサ素子416では、上部導体423及び下部導体421の短絡を防止したり、下部導体421と上部導体423との相対位置精度及び面積精度を配慮したりする必要がある。このため、積層コンデンサ素子416では下部導体421の端部を避けて上部導体423が形成され、上部導体423の端部を避けて上部導体428が形成されている。これにより、上部導体423、誘電体膜436及び上部導体428で構成されるコンデンサ素子414の電極面積は、コンデンサ素子411の電極面積よりも小さくなる。図中に破線の三角形状の枠で示すように、従来のコンデンサ素子411上に複数のコンデンサ素子を積層すると、上層のコンデンサ素子ほど電極面積が小さくなる。従って、図中に太矢印で示すように複数のコンデンサ素子を積層しても積層コンデンサ素子の高容量化に繋がり難い。
これに対し、本実施の形態によれば、嵩上げ導体22の端部上の誘電体膜31上にも上部導体23を形成することができ、基板51をその法線方向に見て上部導体23を嵩上げ導体22よりも広く形成することができる。これにより、上部導体23上に形成する嵩上げ導体27の面積を嵩上げ導体22の面積と等しくすることができる。従って、コンデンサ素子11上に積層するコンデンサ素子14の電極面積をコンデンサ素子11の電極面積と等しくすることができる。
また、図中に破線の長方形状の枠で示すように、コンデンサ素子が複数積層された積層コンデンサ素子において、各コンデンサ素子の電極面積を等しくすることができる。従って、図中に太矢印で示すようにコンデンサ素子14上にさらに複数のコンデンサ素子を積層することによって、高容量の積層コンデンサ素子が得られる。
また、上部導体23上に形成する嵩上げ導体27の面積を嵩上げ導体22の面積よりも大きくすることもでき、コンデンサ素子11上に積層するコンデンサ素子14の電極面積をコンデンサ素子11の電極面積よりも大きくすることも可能である。このように、コンデンサ素子が複数積層された積層コンデンサ素子において、各コンデンサ素子の電極面積をその下層のコンデンサ素子よりも大きくすることができる。従って、コンデンサ素子14上にさらに複数のコンデンサ素子を積層することによって、より高容量の積層コンデンサ素子が得られる。また、コンデンサ素子が複数積層された積層コンデンサ素子において、各層のコンデンサ素子の電極面積を自由にレイアウトすることも可能である。
従来の積層コンデンサ素子416では積層する毎に対向する面積(電極面積)が低減するので、高容量を得る為に積層数を増やして所望の容量が得られている。これに対し、本変形例による積層コンデンサ素子16では積層数が増えても対向面積(電極面積)を減らす必要がないため、積層数を低減することができる。従って、コストの配慮や、ESRや寄生インダクタンスの配慮や、短絡不具合や耐電力性の配慮や、静電破壊の配慮などが行え、小型、高周波用途、低コスト及び高信頼性の積層コンデンサ素子16を得ることができる。
また、積層コンデンサ素子16の最表層の上部導体は、下部導体の領域よりも小さく形成されてもよい。本変形例による積層コンデンサ素子16では、最表層の上部導体を外部接続用パッドやバンプ形成用などの端子構造を意図する電極とした場合に、当該上部導体の大きさを自由に設計できる。もちろん中間層にこのような寸法及び位置関係のコンデンサ素子を用いてもよい。これにより、異なる層毎に所望の異なるコンデンサ容量値を得ることができ、配線引き回しによる寄生インダクタンスの低減と省スペース化が図られ、積層コンデンサ素子16を備えた電子部品1の小型化、高周波化及び高性能化が行える。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態による電子部品について図13乃至図18を用いて説明する。まず、本実施の形態による電子部品101について図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態による電子部品101を示す断面図である。
本実施の形態による電子部品101は、絶縁膜33が下部導体21及びコイル導体12の周囲及び間隙にも形成されて絶縁膜が1層で構成されている点に特徴を有している。また、コイル導体12、下部導体21、嵩上げ導体22、上部導体23、引き出し導体61はセミアディティブ法によって形成されている点に特徴を有している。
コイル導体12は、基板51の平坦化層52上に形成されたTi/Cuの下地導体12aと、下地導体12a上に形成されたCuの導体12bとによって構成されている。下部導体21は、基板51の平坦化層52上に形成されたチタン(Ti)/銅(Cu)の下地導体21aと、下地導体21a上に形成されたCuの導体21bとで構成されている。嵩上げ導体22及び導体63は1層で形成されている。絶縁膜33が下部導体21及びコイル導体12の周囲及び間隙にも形成されて絶縁膜が1層で構成されている点と、各導体12、21、22、63の構成を除いた電子部品101の構成は、電子部品1と同様であるため説明は省略する。
本実施の形態による電子部品101では、誘電体膜31が、平坦面上に形成されている。このため、誘電体膜31を薄く形成しても、誘電体膜31の膜厚を嵩上げ導体22の端部においても均一にすることができ、嵩上げ導体22と上部導体23との短絡を防止することができる。従って、電子部品1の耐電圧の破壊限界値及び絶縁性が改善されて、製造された電子部品1の品質ばらつきが抑制される。また、電子部品101は、第1の実施の形態による電子部品1と同様の効果が得られる。
本実施の形態による電子部品101の製造方法について図14乃至図18を用いて説明する。電子部品101はウエハ上に同時に多数形成されるが、図14乃至図18は、1個の電子部品101の素子形成領域を示している。図14乃至図18は、本実施の形態による電子部品101の製造工程を示す断面図である。
本実施の形態では基板として表面に平坦化処理が施された基板51を用いる。まず、アルミナ(Al)で形成された基板51の全面に形成したアルミナの表面をCMP(化学的機械的研磨)法により研磨して平坦化層52を形成する。
次に、図14(a)に示すように、基板51の平坦化層52上に膜厚30nm程度のチタン(Ti)及び膜厚100nm程度の銅(Cu)を例えばスパッタリング法により順次積層して下地導体71を形成する。次に、下地導体71全面に厚さ8μm程度の感光性樹脂を例えばスピンコート法により塗布して感光性樹脂層81を形成する。次に、図14(b)に示すように、感光性樹脂層81を露光、現像し、基板51をその法線方向に見て、長方形形状の開口部81aと、スパイラル形状の開口部81bとを感光性樹脂層81に形成する。開口部81bの外周側の端部は開口部81aと接続されている。
次に、図14(c)に示すように、開口部81a、81b内の下地導体71上に厚さ8μm程度のCuの導体を電解めっき法により形成して導体12b、21bを形成する。
次に、全面に厚さ8μm程度の感光性樹脂を例えばスピンコート法により塗布して感光性樹脂層82を形成する。次に、図15(a)に示すように、感光性樹脂層82を露光、現像し、導体12bの内周側の端部を露出する開口部82aを感光性樹脂層82に形成する。また同時に導体21bの一部が露出する開口部82bを感光性樹脂層82に形成する。
次に、図15(b)に示すように、電解めっき法により開口部82aに厚さ9〜10μmのCuの導体63を形成し、同時に、開口部82bに同一厚さ、同一材料の嵩上げ導体22を形成する。次に、図15(c)に示すように、嵩上げ導体22及び導体63の厚さが8μm程度になるまで全面をCMP法により研磨する。次に、図16(a)に示すように、感光性樹脂層81、82を剥離する。
次に、図16(b)に示すように、導体12b、21b間に露出した下地導体71をドライエッチング又はウェットエッチングにより除去して、導体21b下部の下地導体71で構成された下地導体21aと、導体12b下部の下地導体71で構成された下地導体12aとが形成される。以上の工程によって、下地導体21a及び導体21bが積層された積層構造の下部導体21と、下地導体12a及び導体12bが積層された積層構造のコイル導体12とが形成される。また、下部導体21と嵩上げ導体22とで構成された第1導体24が形成される。
本実施の形態では、コイル導体12、下部導体21、嵩上げ導体22及び導体63の形成方法にセミアディティブ法(析出法)が用いられているが、導体の形成方法にダマシン法、サブトラクティブ法(エッチング法)又はリフトオフ法が用いられてもよい。後程説明する上部導体23及び導体64は、各導体12、21、22、63と同様の方法で形成される。
次に、図16(c)に示すように、全面に例えばポリイミド等の感光性樹脂を塗布して絶縁膜33を形成する。次に、絶縁膜33にポストベークを行う。次に、図17(a)に示すように、嵩上げ導体22及び導体63の表面が露出するまで絶縁膜33の表面をCMP法により研磨して、嵩上げ導体22及び導体63は8μm程度の厚さに形成される。こうして、嵩上げ導体22、絶縁膜33及び導体63の表面が平坦化される。
次に、図17(b)に示すように、全面に厚さ0.1μm程度の誘電体膜31を形成する。誘電体膜31の材料には、例えばアルミナ、窒化珪素(Si)又は二酸化珪素(SiO)等が用いられる。嵩上げ導体22、絶縁膜33及び導体63の表面が平坦なので、誘電体膜31は平坦に形成される。
次に、誘電体膜31全面に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層83を形成する。次に、図17(c)に示すように、感光性樹脂層83を露光、現像し、導体63上の誘電体膜31上の感光性樹脂層83に開口部83aを形成する。次に、感光性樹脂層83にポストベーク(熱処理)を行う。
次に、図18(a)に示すように、開口部83aに露出した誘電体膜31をアッシングにより除去して導体63が露出したビア開口部31aを誘電体膜31に形成する。このとき、必要に応じて、後述するウエハ切断線(チップ切断面)の誘電体膜31も同時に除去してもよい。誘電体膜31を個片化すると、誘電体膜31が有する膜応力を分散させることができる。次に、図18(b)に示すように、感光性樹脂層83を剥離する。
次に、図18(c)に示すように、上部導体23及び導体64を下部導体21及びコイル導体12と同様の形成方法によって形成する。図示は省略するが、より詳細に説明すると、全面に膜厚30nm程度のTi及び膜厚100nm程度のCuを例えばスパッタリング法により順次積層して下地導体を形成する。次に、下地導体全面に厚さ8μm程度の感光性樹脂を例えばスピンコート法により塗布して感光性樹脂層を形成する。
次に、当該感光性樹脂層を露光、現像し、上部導体23及び導体64と同一形状の開口部を感光性樹脂層に形成する。
次に、当該開口部内に露出した下地導体上に厚さ9〜10μmのCuの導体を電解めっき法により形成する。次に、当該導体の表面をCMP法により研磨して厚さ8μm程度の導体23b及び導体64bを形成する。次に、感光性樹脂層をエッチングにより剥離する。
次に、図18(c)に示すように、導体23b、64bの周囲及び導体23b、64b間に露出した下地導体をドライエッチング又はウェットエッチングにより除去して、導体23b下部の下地導体で構成された下地導体23aと、導体64b下部の下地導体で構成された下地導体64aとが形成される。これにより、下地導体23a及び導体23bが積層された積層構造の上部導体23が形成され、下地導体64a及び導体64bが積層された積層構造の導体64が形成される。
また、これにより、導体63、64で構成された引き出し導体61が形成される。以上の工程によって、嵩上げ導体22、誘電体膜31及び上部導体23で構成されるコンデンサ素子(容量素子)11が形成され、同時にコイル導体12及び引き出し導体61で構成されるインダクタ素子13が形成される。次に必要に応じて全面に保護膜を形成する。
次に、所定の切断線に沿ってウエハを切断し、ウエハ上に形成された複数の電子部品101を素子形成領域毎にチップ状に分離する。次に、図示は省略するが、切断面に露出した上部導体23及び引き出し導体61に電気的にそれぞれ接続される外部電極を当該切断面に形成する。次に、必要に応じて角部の面取りを行い、電子部品101が完成する。
本実施の形態による電子部品101の製造方法によれば、コンデンサ素子11の下部導体21とコイル導体12とが同一の工程で同時に形成され、嵩上げ導体22と導体63とが同一の工程で同時に形成され、上部導体23と導体64とが同一の工程で同時に形成される。従って、製造工程数を削減することができ、低コストで電子部品101を製造することができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態による電子部品について図19を用いて説明する。図19は、本実施の形態による電子部品201を示す断面図である。
本実施の形態による電子部品201は、コイル導体12、下部導体21、嵩上げ導体22、上部導体23及び引き出し導体61がペースト法によって形成されている点に特徴を有している。コイル導体12、下部導体21、嵩上げ導体22、上部導体23及び引き出し導体61は、例えば銀(Ag)若しくはCuを有する導電性樹脂又は導電性ペーストによって1層で形成されている。各導体12、21、22、23、61がペースト法によって形成されて1層構造である点を除いた電子部品201の構成は、第1の実施の形態による電子部品1と同様であるため説明は省略する。本実施の形態による電子部品201は、第1の実施の形態による電子部品1と同様の効果が得られる。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、電子部品としてコンデンサ素子11及びインダクタ素子13のみを含む電子部品を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば、インダクタ素子13の代わりに抵抗素子が形成されたRC複合型の電子部品に適用できる。また、コンデンサ素子11及びインダクタ素子13の他に抵抗素子を有するRLC複合型の電子部品にも適用できる。また、コンデンサ素子11を含む電子部品であれば、受動素子のみを含む電子部品に限らず、トランジスタやダイオード等の能動素子を含む電子部品にも適用できる。さらに、コンデンサ素子11を含む電子部品であれば、デジタル・アナログ混在回路にも適用できる。さらに、所望の機能を得るためにLCRのいずれかの素子を複数組合わせた所望の回路により当該所望の機能を達成する事ができる。もちろん、集中定数素子に限らず、分布定数回路と複合した回路構成であってもよく、半導体素子とこれらを組合わせることも行える。
また、基板51の材料は、半導体材料又は低温同時焼成セラミックス(low temperature co−fired ceramics;LTCC)でもよい。また、電子部品1は回路基板内に構成されてもよい。
上記第1乃至第3の実施の形態では1層のコンデンサ素子11を有する電子部品1を例にとって説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、導体と誘電体膜31とを順に繰り返し積層した多層型のコンデンサ素子を有する電子部品1にも適用できる。誘電体膜31が積層されたコンデンサ素子11を形成する場合、上記第1乃至第3の実施の形態による電子部品のコンデンサ素子11を適宜組み合わせることができる。例えば、同一の実施の形態によるコンデンサ素子11を繰返し積層する、一つの実施の形態によるコンデンサ素子11の上に別の実施の形態によるコンデンサ素子11を繰り返し積層する、又は2つの実施の形態によるコンデンサ素子11を交互に積層すること等ができる。
上記実施の形態では、嵩上げ導体22は、配線層である下部導体21上に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、嵩上げ導体22はパッド上に形成されていてもよい。
上記実施の形態では、下部導体21と嵩上げ導体22とで構成された2層構造の第1導体24を有する電子部品1を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば、配線層から突出した突出部を備えた1層構造の第1導体24を有する電子部品1にも適用できる。
上記実施の形態では、上部導体23が、基板51の基板面法線方向に見て、嵩上げ導体22を全て覆って形成されている電子部品1を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。上部導体23が、基板51の基板面法線方向に見て、嵩上げ導体22の一部を覆って形成されている電子部品1にも適用できる。
上記実施の形態では各導体の断面形状が長方形の電子部品1を例に挙げたが、各導体の断面形状は台形でも逆台形でも構わない。
上記実施の形態では絶縁膜の形成材料が感光性ポリイミド等の感光性樹脂である電子部品1を例に挙げたが、絶縁膜の形成材料はアルミナ等のスパッタ膜でも構わない。
上記実施の形態では、嵩上げ導体22及び絶縁膜33の表面が平滑に形成された電子部品1を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。嵩上げ導体22と上部導体23との短絡が防止できれば、嵩上げ導体22及び絶縁膜33の表面は完全には平滑に形成されていなくてもよい。この場合、嵩上げ導体22と絶縁膜33との段差は、嵩上げ導体22を含む第1導体24と上部導体(第2導体)23とによって挟まれている誘電体膜31の厚さ相当以下であることが望ましい。
本発明の第1の実施の形態による電子部品1を示す図である。 絶縁膜33の膜厚とコンデンサ素子11の容量値のずれとの関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による電子部品1の変形例及び比較例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101の製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101の製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101の製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101の製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態による電子部品101の製造方法を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態による電子部品201を示す断面図である。 従来のコンデンサ素子部411を示す図である。
符号の説明
1〜5、101、201、401 電子部品
11、14 コンデンサ素子
12 コイル導体
12a、21a、22a、23a、63a、64a、71、73 下地導体
12b、21b、22b、23b、63、63b、64、64b、72、74 導体
13 インダクタ素子
16 積層コンデンサ素子
21 下部導体
22、27 嵩上げ導体
23、28 上部導体(第2導体)
24 第1導体
31、36 誘電体膜
31a、33a ビア開口部
33、35、38、40、45 絶縁膜
33b、35a、35b、81a、81b、82a、82b、83a 開口部
51 基板
52 平坦化層
61、62 引き出し導体
81、82、83 感光性樹脂層

Claims (11)

  1. 基板上に形成された下部導体と、前記下部導体から突出して形成された嵩上げ導体とを備えた第1導体と、
    前記下部導体と一端が接続されたコイル導体と、
    前記下部導体及び前記コイル導体の周囲及び間隙に形成された第1絶縁膜と、
    前記嵩上げ導体上及び前記第1絶縁膜上に延在して形成された誘電体膜と、
    前記誘電体膜上に形成され、前記嵩上げ導体と前記誘電体膜とで容量素子を構成する第2導体と
    前記第1絶縁膜と前記誘電体膜とを共に貫通する導体を有し、前記導体を介して前記コイル導体の他端に接続された引き出し導体と
    を有すること特徴とする電子部品。
  2. 請求項1記載の電子部品であって、
    前記嵩上げ導体の周囲に前記嵩上げ導体の上表面と面一の上表面を有する第2絶縁膜が形成されていること
    を特徴とする電子部品。
  3. 請求項2記載の電子部品であって、
    前記誘電体膜は、前記第2絶縁膜上に形成されていること
    を特徴とする電子部品。
  4. 請求項1乃至3記載の電子部品であって、
    前記基板面法線方向に見て、前記第2導体は前記嵩上げ導体を全て覆っていること
    を特徴とする電子部品。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記誘電体膜の膜厚は、前記嵩上げ導体の厚さよりも薄いこと
    を特徴とする電子部品。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記誘電体膜の膜厚は、前記第2絶縁膜の膜厚よりも薄いこと
    を特徴とする電子部品。
  7. 請求項2乃至6のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記誘電体膜の誘電率は、前記第2絶縁膜の誘電率よりも高いこと
    を特徴とする電子部品。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記基板上に形成され、前記容量素子と電気的に接続された回路素子をさらに有すること
    を特徴とする電子部品。
  9. 請求項2乃至8のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記導体は、前記第2絶縁膜に開口されたビア開口部に形成されていること
    を特徴とする電子部品。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記誘電体膜は、前記基板上の端部にまで達して形成されていること
    を特徴とする電子部品。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子部品であって、
    前記引き出し導体は、前記容量素子の配置位置の逆側に引き出されていること
    を特徴とする電子部品。
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