JP4516269B2 - 機器の保守管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、使用者のボイラ室などの設備室に配置した複数の機器を保守管理者が保守管理する機器の保守管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、この発明が生まれた背景を説明する。これまで、蒸気ボイラの需要は、ボイラ技士による取扱いが必要な大型ボイラからボイラ技士の取扱い不要な小型貫流ボイラへとシフトしてきた。現実に小型貫流ボイラの設置台数は、大幅に増加してきている。この小型貫流ボイラは、ボイラ技士が不要ではあるが、何らかの異常によりボイラが停止すると、場合によっては操業停止という事態を招来し、多額の損害が発生することになる。そこで、使用者(以下、「契約者」という。)は、有償保守管理契約を結び、保守管理業者(以下、「保守管理者」という。)に保守管理を委託している。この保守管理契約も小型貫流ボイラの普及とともに年々増加している。
【0003】
保守管理者は、異常の迅速な復旧が至上の命題であり、異常発生に対して迅速な対応を迫られることから、これまで通信技術を利用して迅速な保守管理ができるような保守管理システムを構築して対応してきた。この従来の保守管理システムは、前記ボイラに異常が発生したとき、前記ボイラは、通信により異常発生情報を保守管理者の管理拠点に設置の管理コンピュータへ送信し、管理拠点では、受信した異常発生情報に基づき、前記管理コンピュータの表示画面に異常が発生した前記ボイラの異常発生時の運転詳細情報を表示する。そして、管理拠点は、その異常の原因を解明して、その対策を用意し、メンテナンス員(以下、「サービス員」という。)に対して対策実行を指示して保守管理を行わせている。(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
この従来技術においては、つぎのような課題があった。前記のように保守管理契約は、その台数と機器種類ともに年々増加してきている。そして、前記ボイラ室の機器構成は、前記契約者毎に種々雑多である。こうした背景に関係なく、これらの各機器に異常が発生すると、各機器毎の異常発生情報が前記管理コンピュータへ送信される。この異常発生情報を受信した管理拠点の担当者は、つぎつぎと送信されてくる異常発生情報に個別に対応することに追われて、相互の関連性を検討することなく、対応せざるを得ない。また、前記管理拠点の担当者は、異常発生情報を発した前記機器を設置する前記ボイラ室の全体機器構成を把握することなく、前記異常発生情報に対応していた。その結果、異常原因とその対策の判定に時間を要していた。
【0005】
これを具体的に説明する。いま、前記ボイラと附帯設備とが保守管理契約の対象となっているとする。前記異常発生情報を受信した前記管理拠点の担当者は、従来技術においては、前記ボイラ室全体の運転状況を把握することなく、異常に対応していた。たとえば、前記ボイラ停止の異常が生じたとき、その異常原因が前記ボイラの上流である燃料設備からの燃料出力が無いことである場合、前記燃料設備の異常があると分かれば、前記燃料設備の異常が原因との推定ができる。しかしながら、従来技術では、ボイラ室全体の運転状況の把握ができないために、異常原因とその対策の判定に手間取り、結果として迅速な対応ができないという課題があった。特にボイラなどの機器の停止は、工場の操業に致命的な打撃を与える場合があり、迅速な対応を必要とする。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−15037号公報(第6頁、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、契約者毎に異なる設備室の機器全体の運転状況の把握を容易に行い、機器の異常に迅速に対応することである。
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、保守管理者と機器の異常対応の保守管理契約を結んだ契約者のボイラ室に配置され、保守管理の対象となる複数の機器の異常発生情報を、保守管理者が保有する管理コンピュータへ送信することにより前記各機器の保守管理を行うボイラの保守管理方法であって、 前記複数の機器が、ボイラと、このボイラに水を供給するように接続される水設備および前記ボイラに燃料を供給するように接続される燃料設備とから構成され、前記機器の制御器は、前記各機器の異常情報発生時、異常がいつ発生したか、異常が発生した前記機器を特定でき、どのような異常が発生したかを特定する異常発生情報を前記管理コンピュータへ送信し、前記管理コンピュータは、前記ボイラ室を特定する設備室特定情報と前記ボイラ室内の前記ボイラ、水設備および燃料設備を含む機器の構成を表示する機器構成情報とからなり契約者毎に異なるボイラ室情報を設定する設備室情報設定処理と、前記機器の異常発生情報を受信する異常受信処理と、前記異常発生情報と前記設備室情報設定処理により設定された前記ボイラ室情報とに基づき特定の設備室表示画面を形成し、この設備室表示画面に前記異常発生情報に基づき、前記機器の異常の情報を重ねて表示する第一表示処理とを行うとともに、前記管理コンピュータは、前記機器の運転詳細情報を受信する詳細情報受信処理と、前記運転詳細情報を表示する第二表示処理を行い、前記運転詳細情報は、前記ボイラ本体の異常である第一警報情報と、前記ボイラ本体以外の異常に基づく第二警報情報を区分し、前記第二警報情報は、前記ボイラ本体を正常運転するために必要な入力条件に不備があることによる運転条件警報と、前記ボイラ本体が正常に動作していても定常的に発生する管理不備による日常管理警報とに区分することを特徴としている。
【0011】
また、請求項4の記載の発明は、前記管理コンピュータが、前記保守管理者の管理拠点に備えるコンピュータおよび前記機器の保守管理を行うサービス員が携行するコンピュータであることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記機器の異常情報の表示が、前記機器の本体不具合に基づく第一警報情報とそれ以外の第二警報情報とに区別して行われることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、ボイラなどの機器の保守管理に関し、ボイラ以外の水処理機器やその他種々の機器の保守管理にも適用される。
【0015】
(実施の形態1)
この実施の形態1は、使用者の設備室に配置した複数の機器の保守管理を管理コンピュータを用いて行う機器の保守管理方法であって、前記管理コンピュータは、前記機器の異常発生情報を受信する異常受信処理と、前記異常発生情報に基づき前記使用者毎の前記設備室と前記機器の異常情報を表示する表示処理とを行うことを特徴とするものである。
【0016】
この実施の形態1は、従来の個別機器からの異常発生情報通信による個別機器の保守管理方法から、多くの契約者のボイラ室(設備室)の運転状況を通信する,すなわちボイラ室通信(設備室通信)によるボイラ室の保守管理方法へと転換するものである。これにより、保守管理者は、多数の契約者と契約機器をかかえているにもかかわらず、前記機器の異常に対して迅速、かつ適切な対応を行うことができる。
【0017】
ここで、この明細書において使用する警報(アラームともいう。)内容情報,異常情報、異常発生情報,運転詳細情報などの用語を定義しておく。
【0018】
前記警報内容情報は、現象・原因情報,警報程度情報および警報責任区分情報を含む。
【0019】
前記現象・原因情報は、警報程度情報と、どのような異常現象であるかの現象情報と、原因または原因につながる情報,すなわち原因情報とを含む。
【0020】
前記警報程度情報は、異常情報および注意情報を含む。前記異常情報,前記注意情報は、前記機器単体あるいはシステムにおける安全性およびメンテナンスの緊急度に基づく警報レベルにより分類され、この記載の順に警報レベルが高い。前記異常情報は、安全を損なう警報および本来の機能を損ない修復に緊急性を要する警報である。この異常情報に対しては、特に迅速な対応が必要である。前記注意情報は、放置しておけば安全上の支障がでる警報および修復に緊急性を要し無いが修復が必要であることを知らせる警報である。
【0021】
前記警報責任区分情報は、前記機器本体の不具合(故障など)に基づく警報(第一警報情報)と、前記機器本体の不具合以外に基づく警報(第二警報情報)とに分類される。前記第一警報情報は、原則として保守管理者が対応する責任を有するものとし、前記第二警報情報は、原則として契約者が対応する責任を有するものとすることができる。
【0022】
さらに前記第二警報情報は、運転条件警報と日常管理警報とに分類される。前記運転条件警報は、前記機器本体が正常運転するために必要な入力条件、たとえば、燃料,水,電気などに不備があることによる警報である。前記日常管理警報は、前記機器本体が正常に動作していても定常的に発生する管理不備による警報であり、塩,薬品,燃料などの補充、ボイラの缶水のブローなどの指示である。
【0023】
つぎに、前記異常発生情報について説明する。前記異常発生情報とは、異常がいつ発生したかが分かり、異常機器を特定でき、どのような異常かを特定できるものであればよい。前記異常発生情報は、異常が発生した機器を特定する異常機器情報と前記警報内容情報と異常発生日時情報とを含む。
【0024】
前記異常機器情報は、契約者を特定する契約者特定情報(たとえば契約者登録番号)と管理設備名を特定する管理設備名特定情報(たとえば管理単位名)と、前記機器を特定する機器特定情報(たとえば機器登録番号)とを含む。
【0025】
前記機器または前記第一管理コンピュータが送信する前記異常発生情報としては、前記異常機器情報および前記警報内容情報の全てを含む必要はなく、前記異常機器情報については、少なくとも機器特定情報を含むものとし、前記警報内容情報については、少なくとも警報現象情報と警報程度情報を含めばよい。
【0026】
また、前記異常発生情報は、同じ機器において複数発生していることがある。これは、異常が同時に発生する場合と、ある異常が発生した時、前に発生していた異常がまだ復旧していない場合がある。前記設備室の全体運転状況を把握するには、前記設備室の構成機器の異常情報を全て把握することが望まれる。この実施の形態においては、関連する異常情報(以下、「設備室異常情報」という。)を収集する。この設備室異常情報の収集方法としては、好ましくは、ある異常発生時に、あるいは前記表示処理を行うとき、前記管理コンピュータからの要求に基づき行う方法とするが、実施に応じては、異常発生時に前記設備室の通信制御装置側から自動送信する方法とすることができる。また、前記設備室異常情報の送信は、前記異常発生情報送信時または前記運転詳細情報送信時のいずれかとすることができる。
【0027】
つぎに、前記運転詳細情報につき説明する。前記運転詳細情報は、前記各機器の詳細な運転情報であり、前記異常発生情報に基づき異常の原因を究明する際に、役立つ異常発生時の機器の具体的な運転情報を少なくとも含むものであり,たとえばボイラを例にとると、炎センサ信号,水位センサ信号,水管温度センサ信号などである。
【0028】
また、前記運転詳細情報は、異常原因究明のためのものであって、少なくとも一時的に保存される異常発生時の運転詳細情報と、刻々変化する運転詳細情報に分けられる。もちろん、異常発生時の運転詳細情報は、刻々変化する運転詳細情報から抜きだしたものである。
【0029】
異常発生時の前記運転詳細情報は、異常原因の究明に必要な情報であるので、サービス員が必要とするときに見ることができるように、前記異常発生情報と対にして(セットにして)、消去することなく所定時間保存される。また、前記運転詳細情報は、少なくとも異常発生時のデータを含むが、故障原因の究明の観点から、好ましくは異常発生時前の所定時間のデータを含ませる。具体的には、前記異常発生情報と前記運転詳細情報からなる異常時情報は、過去分を含めて適数、たとえば10組を前記機器に保存することが望ましい。
【0030】
前記異常時情報の保存の方式としては、前記各機器に所定時間保存する方式、または前記第一管理コンピュータへ送信して、前記第一管理コンピュータに保存する方式などが選択される。情報の一元管理の点からすれば、前記第一管理コンピュータまたは複数の前記第一管理コンピュータを統括する管理センタのコンピュータに保存することが望ましい。保存された前記異常時情報は、前記第二管理コンピュータから引き出せるように構成される。
【0031】
前記刻々変化する運転詳細情報は、前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータから、異常発生後など必要な時に受信できるように構成される。
【0032】
さらに、前記設備室情報について説明する。前記設備室情報は、前記設備室の各機器が正常か、異常かを表示させるために必要な情報であり、契約者毎に異なっている。この設備室情報は、前記設備室特定情報と、前記設備室内の前記機器がどのように構成されているかの設備室構成情報と、前記設備室の全体構成と各機器の異常情報とを重ねて同時に全体表示画面(設備室表示画面)に表示するための情報,すなわち前記設備室構成情報と前記設備室表示画面とを対応付けるための対応付け情報とを含む。前記設備室特定情報(設備室名情報など)は、前記契約者が複数の設備室を有している場合これを区別するための情報である。前記設備室表示画面は、前記設備室単位で表示される。勿論、実施に応じて、複数の前記設備室を同時に表示するように構成できる。
【0033】
前記設備室表示画面に表示される前記異常情報は、前記設備室表示画面に表示される表示項目により変わるが、好ましくは警報程度情報と前記警報現象情報とを含むものとする。
【0034】
前記設備室情報は、好ましくは前記第一管理コンピュータにて入力され保存されるが、前記第二管理コンピュータへも入力結果を送信するように構成する。また、前記設備室情報は、実施に応じて前記第二管理コンピュータにて入力して、その結果を前記第一管理コンピュータへ送信して、蓄積するように構成することができる。
【0035】
つぎに、この明細書における送信処理と受信処理について説明する。前記送信処理は、一方の機器から他方の機器へ情報を送信する処理を意味し、前記受信処理は、前記送信処理による情報を受信する処理を意味する。前記受信処理には、前記他方の機器の要求に基づくことなく一方的に送られてくる情報の受信処理と、他方の機器の要求に基づきなされる受信処理があり、後者の受信処理は、前記一方の機器の情報を読み出す形で行われるので、読出し処理と称することもできる。
【0036】
この実施の形態1の保守管理方法においては、好ましくは、前記保守管理者は、前記機器の契約者と有償の保守契約を結んで、前記機器の保守管理を行うものとする。しかしながら、有償保守管理契約を結ばない使用者の使用する機器についての保守管理方法にも適用される。この明細書において、契約を結ばない場合は、契約者は、使用者と称することができる。前記機器は、前記契約者が購入したものに限ることなく、リース契約に基づき、契約者が使用する機器であっても良い。
【0037】
そして、保守管理の対象となる複数の前記機器は、前記設備室に配置される。この発明においては、前記設備室は、前記契約者毎に、複数存在し、かつ各設備室毎に前記機器構成が異なることを許容する。
【0038】
前記設備室の前記機器構成は、好ましくは、前記主機器とこれに附帯する附帯機器を含む。前記附帯機器とは、主機器に接続される機器,すなわち水,燃料,薬品などを供給する機器の総称である。前記設備室をボイラ室とした場合、たとえば前記主機器は、ボイラであり、前記附帯機器は、水タンク,薬注器,脱酸素装置,軟水器,燃料設備である。前記機器の構成は、これに限定されるものではなく、前記のように、契約者の設備室によって様々な構成となる。
【0039】
前記管理コンピュータによりなされる前記異常受信処理は、前記管理コンピュータが前記異常発生情報をリアルタイムに入手できるものであれば良い。前記異常受信処理は、好ましくは、前記異常発生情報を前記機器と前記管理コンピュータとの1 対1 接続通信により、異常発生直後に前記管理コンピュータの要求に応じて、または前記機器が自動的に、前記機器から送信して前記管理コンピュータが受信するものとする。しかしながら、実施に応じては、特開平1 1 − 3 5 1 5 6 9 号公報に記載のように、前記機器および前記管理コンピュータにメール送受信機能を持たせて、前記機器が異常発生情報をメール化して送信し、前記管理コンピュータが受信するように構成できる。
【0040】
また、前記管理コンピュータによりなされる前記表示処理は、前記異常発生情報に含まれる前記異常機器情報から前記契約者を特定して、当該契約者の異常機器が設置されている前記設備室と前記異常情報を前記設備室表示画面上に表示する。この表示は、前記設備室の構成機器全体を表示したうえで、どの機器が異常かを表示するものである。
【0041】
前記設備室表示(設備室の配置機器の全体表示)は、前記各機器を模式的なブロックにて表示させたり、機器のイメージ映像にて表示させたりすることができる。また、前記設備室表示は、表示区域を機器の数に対応させて分割し、分割した区分を各機器の正常/異常の表示区分としたり、また前記表示区域を前記機器を前記主機器と前記附帯機器とに分け、前記附帯機器の区分をクリックすると附帯機器の全体構成が表示される,すなわち前記機器全体構成を階層的に表示するように構成できる。これらの場合、各区分には、前記機器名称を記載しておく。
【0042】
そして、前記異常情報の表示は、好ましくは、表示ランプをイメージさせる表示として、異常は赤、正常は緑のように、正常と異常が一目で分かるように構成する。
【0043】
さらに、前記設備室表示としては、好ましくは、前記各機器を相互に連結する連結線を表示する。前記連結線は、全体管理されている,すなわち保守管理の対象となっている機器であること示す。前記連結線は、好ましくは燃料や水などの入力条件の流れに関する接続関係を示すものとする。この接続関係とは、二つの機器が上流側か下流側かを少なくとも理解できることを意味する。なお、これは、この実施の形態において、前記連結線がなくとも、また連結線により上流か、下流かの位置関係が分からなくても、管理対象機器が分かれば、保守管理を業とする前記サービス員にとって前記位置関係は理解可能であるからである。
【0044】
前記表示処理における前記設備室表示のためには、予め前記設備室表示画面を作成し、前記設備室情報を入力する設備室情報設定処理を行っておく必要がある。そのうえで、前記設備室の前記各機器の前記異常情報を収集する前記設備室異常情報収集処理を行う。
【0045】
前記管理コンピュータとしては、前記管理拠点の管理コンピュータまたは前記サービス員が携行する管理コンピュータとし、好ましくは、前記管理拠点の管理コンピュータおよび前記サービス員が携行する管理コンピュータとする。
【0046】
この実施の形態1によれば、前記管理コンピュータにおいて、前記契約者毎に異なる前記設備室を表示して、かつどの機器が異常かを表示するので、設備室の全体運転状況を把握することができ、その把握の上で異常原因を究明することができる。その結果、従来の個別機器対応の異常復旧を含む保守管理でなく、前記設備室の全体の異常復旧を含む保守管理を行える。
【0047】
以上、前記実施の形態1について説明したが、この発明は、前記実施の形態1に限定されるものではなく、以下の実施の形態2〜6を含むものである。
【0048】
(実施の形態2)
使用者の設備室に配置した複数の機器の保守管理を管理コンピュータを用いて行う機器の保守管理方法であって、前記管理コンピュータは、前記機器の異常発生情報を受信する異常受信処理と、前記機器の運転詳細情報を受信する詳細情報受信処理と、前記異常発生情報に基づき前記使用者毎の前記設備室と前記機器の異常情報を表示する第一表示処理と、個別の前記機器の運転詳細情報を表示する第二表示処理とを行うことを特徴とする機器の保守管理方法。
【0049】
この実施の形態2において、前記運転詳細情報の受信は、少なくとも前記機器の異常発生時の前記運転詳細情報をリアルタイムに受信できればよい。この受信の方法は、好ましくは、異常発生直後に前記管理コンピュータの要求に応じて、または前記機器が自動的に、前記機器との1対1接続通信により入手するものとする。しかしながら、実施に応じて、前記機器および前記管理コンピュータにメール送受信機能を持たせて、前記機器が異常発生情報をメール化して送信し、前記管理コンピュータが受信するように構成できる。
【0050】
この実施の形態2によれば、前記設備室の全体的運転状況を把握したうえで、個別に前記各機器の前記詳細運転情報を確認することができ、異常原因の究明をスムースに行うことができる。
【0051】
(実施の形態3)
実施の形態2において、前記管理コンピュータを前記サービス員が携行する管理コンピュータとすることを特徴とする機器の保守管理方法。
【0052】
この実施形態3によれば、サービス員は、前記異常発生情報および前記運転詳細情報をリアルタイムに入手し、かつ前記設備室の全体的運転状況を把握したうえで、個別に前記各機器の前記運転詳細情報を確認することができる。その結果、前記管理拠点に確認することなく、異常の原因究明を行うことができ、サービス員および携行のコンピュータを従来の前記管理拠点と同等の機能をなす移動管理拠点として機能させることができる。
【0053】
(実施の形態4)
前記実施の形態1〜前記実施の形態3において、前記異常情報の表示が、前記機器本体の不具合に基づく第一警報情報とそれ以外の第二警報情報とに区別して行われることを特徴とする機器の保守管理方法。
【0054】
この実施の形態4によれば、表示される異常情報が保守管理者の責任で対応すべきであるものか、原則として契約者の責任で対応すべきものかが明確となる。これにより、場合によっては前記契約者へ対応をお願いすることも可能となり、異常対応を迅速に行うことができる。
【0055】
(実施の形態5)
前記実施の形態4において、前記第二異常情報の表示が、運転条件警報と日常管理警報とに区別して行われることを特徴とする機器の保守管理方法。
【0056】
この実施の形態によれば、前記機器本体以外の異常情報が、運転条件警報と日常管理警報とに区別して表示されるので、前記契約者へ対応をお願いするする際に、運転条件の不具合か、日常管理の不具合かを区別してお願いすることができる。
【0057】
(実施の形態6)
前記実施の形態1〜5において、前記異常情報の表示を異常有無表示と異常内容表示に分けて行うことを特徴とする機器の保守管理方法。
【0058】
この実施の形態6によれば、前記設備室の各機器の正常/異常の全体把握が容易となる効果がある。
【0059】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明を実施した機器の保守管理システムの一実施例の概略構成図であり、図2は、同実施例のボイラ室の要部概略構成図であり、図3は、同実施例の通信制御装置の制御器の概略構成図であり、図4は、同実施例のボイラの制御器の概略構成図であり、図5は、同実施例の第一管理コンピュータの制御器の概略構成図であり、図6は、同実施例の第二管理コンピュータの制御器の概略構成図であり、図7は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータの第一表示画面の概略構成図であり、図8は、図7の要部詳細図であり、図9は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータの他の第二表示画面の概略構成図であり、図10は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータによる要部制御手順を示すフローチャート図であり、図11は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータによる他の要部制御手順を示すフローチャート図である。
【0060】
前記一実施例の機器の保守管理方法は、保守管理業者である保守管理者が、契約者と保守管理契約を結ぶことにより、前記保守管理者がコンピュータ技術および通信技術を用いて契約者の使用する機器の保守管理(メンテナンス)を行うものである。特に、機器に異常が発生したとき、当該機器の異常の復旧を迅速、かつ適切に行うことができるように構成している。以下に、その構成を詳細に説明する。
【0061】
この保守管理システムの全体構成は、図1に示される。前記契約者が使用する機器は、設備室としてのボイラ室1に配置され保守管理の対象となる蒸気ボイラ(以下、単に「ボイラ」という。)2などの機器と、管理拠点に備えられる第一管理コンピュータ3と、前記保守管理者の従業者であるサービス員が携行する第二管理コンピュータ4と、前記サービス員が携行する補助通信器としての携帯電話器5と、前記管理拠点または前記管理拠点を統括する管理センタに備えられ、サービスマニュアルなどの管理サーバとして機能するサーバ6とを含んでいる。これらの主構成要素2,3,4,5,6は、公衆回線網7によって相互に通信可能に接続されている。前記公衆回線網7は、電話回線網,PHS網,ISDN網,インターネット(WEB)網を包含している。
【0062】
ここで、この実施例における前記異常発生情報,前記異常機器情報,前記警報内容情報,前記運転詳細情報について説明する。これらの情報の意味するところは、前記実施の形態において説明したとおりである。この実施例においては、前記ボイラ2が送信する前記異常発生情報は、前記異常発生日時情報と前記異常機器情報と前記警報内容情報とを含む。そして、前記異常機器情報としては、前記機器特定情報を送り、前記警報内容情報は、前記警報程度情報と異常の前記現象情報と含む警報情報コードとして送る。この警報情報コードには、原因情報,すなわち異常の原因または原因につながる情報を含ませている。
【0063】
つぎに、前記保守管理システムの前記構成要素につき説明する。
【0064】
保守管理の対象となる前記機器は、図2に示すように、前記ボイラ室1に配置される主機器としてのボイラ2、附帯機器として前記ボイラ2へ供給する水(給水)を生成する給水機器8と、前記ボイラ2へ燃料を供給する燃料供給機器9から構成される。前記給水機器8は、水タンク10,薬注器11,脱酸素装置12,軟水器13とから構成される。14は、前記各機器2,9,10〜13と前記第一管理コンピュータ3および前記第二管理コンピュータ4との通信を仲介し、制御する通信制御装置であり、前記ボイラ室1の構成機器として保守管理の対象とされる。
【0065】
前記各機器の前記ボイラ2への接続状態は、図2に図示の通りである。すなわち、原水は、前記軟水器13,前記脱酸素装置12を経て、前記水タンク10に貯留された後、前記ボイラ2へ供給される。前記薬注器11は、前記ボイラ2の寿命を長くする薬液などを前記ボイラ2への給水へ注入する。前記燃料供給機器9は、前記ボイラ2のバーナ(図示しない。)へ燃料を供給する燃料タンクを含む。
【0066】
前記ボイラ室1内の各機器2,9,10〜14は、図2に示すようにそれぞれ通信機能を有する第一制御器15〜第七制御器21を有している。これら制御器15〜21は、互いに通信回線22,22,…にて接続され、前記通信制御装置14により、前記各機器の前記異常発生情報などの情報を前記公衆回線網7を介して前記第一管理コンピュータ3へ、また前記運転詳細情報などの情報を前記第二管理コンピュータ4へ送信するよう構成されている。すなわち、前記通信制御装置14は、他の機器と相互に通信を行うとともに、前記第一管理コンピュータ3および前記第二管理コンピュータ4と通信し、自らまたは他の機器に異常が発生すると、前記異常発生情報などの情報を前記第一管理コンピュータ3または前記第二管理コンピュータ4へ送信するよう構成されている。
【0067】
前記通信制御装置14は、前記第七制御器21を有している。前記第七制御器21は、図3に示すように、第一CPU回路23と、この第一CPU回路23に接続される第一入出力回路(I/O回路)24と、この第一入出力回路24に着脱自在に接続される第一PHSモデムユニット25および第一電源回路26とを備えている。前記通信制御装置14は、前記PHSモデムユニット25を利用可能なものとしているが、既設の電話モデムによる通信を行う通信制御装置(図示しない。)とすることもできる。
【0068】
つぎに、前記ボイラ2の第一制御器15について説明する。この第一制御器15は、図4に示すように、マイクロコンピュータなどを含む第二CPU回路27と、この第二CPU回路27へ接続される第一赤外線通信用回路28および第二入出力回路29と、第二電源回路30,液晶パネル式の第一表示器31とを備えている。
【0069】
前記第一制御器15は、炎センサ,水位センサなどの各種センサ(図示しない。)の信号を入力して、燃焼や水位制御を行うとともに、前記ボイラ2の運転状態を常時監視し、同運転状態の適否を判断する。そして、前記第一制御器15は、その判断により前記警報・原因情報および前記警報程度情報を生成し、前記第一CPU回路27のメモリ(図示しない。)に記憶する。
【0070】
前記第一赤外線通信用回路28は、前記第二管理コンピュータ4が前記詳細運転情報を赤外線通信により、入手(モニタ)したり、遠隔設定をする際に用いられるものである。前記第一表示器31は、前記異常情報などを表示するためのものである。
【0071】
そして、前記第一制御器1 5 は、異常が発生する, すなわち前記異常情報が生成されると、直ちに前記通信制御装置1 4 と通信し、前記通信制御装置1 4 は、前記第一P HSモデムユニット2 5 を用いて、前記第一管理コンピュータ3 との1 対1 接続通信により、前記公衆回線7 を経由して、前記異常発生情報を前記第一管理コンピュータ3 へ送信する第一異常送信処理( 図1 の(1)) を行うとともに、異常発生時の前記運転詳細情報を前記第一管理コンピュータ3 へ送信する第一詳細情報送信処理( 図1 の(2)) を行う機能を有している。
【0072】
前記ボイラ2も、前記通信制御装置14と同様に、前記第一制御器15に前記第一PHSモデムユニット25を着脱自在に備えている。そして、前記通信制御装置14を備えないで、前記ボイラ2単独通信を行うシステムにおいては、前記第一PHSモデムユニット25を前記第一制御器15に装着する。この場合、通信による保守管理を行わない前記ボイラ2は、前記第一PHSモデム25を装着せず、通信による保守管理を行う前記ボイラ2は、前記第一PHSモデムユニット25を装着することにより、通信仕様であるものとそうでないものとで前記ボイラ2の製品の共通化を図っている。
【0073】
つぎに、前記第一管理コンピュータ3について説明する。前記第一管理コンピュータ3は、日本全国を適当な広さで区分した管理区域の中心地に設けた前記管理拠点に装備される。前記第一管理コンピュータ3は、第八制御器32を有している。この第八制御器32は、図5に示すように、マイクロコンピュータなどを含む第三CPU回路33と、この第三CPU回路33へ接続される第三入出力回路34と、この第三入出力回路34へ接続される電話モデム35,第三電源回路36,CRTなどの第二表示器37とを備えている。
【0074】
前記第八制御器32は、前記公衆回線網7へ接続される前記電話モデム35を用いて、前記ボイラ室1の前記通信制御装置14,前記第二管理コンピュータ4および前記サーバ6と通信する機能を有している。
【0075】
この通信機能を具体的に説明する。前記第八制御器3 2 は、前記ボイラ2 などの機器の異常発生時に前記ボイラ2 との1 対1 接続通信により、前記ボイラ2 から前記異常発生情報を入手する第一詳細情報受信処理( 図1 の(2)) を行う機能を有している。
【0076】
また、前記第八制御器32 は、前記第一異常受信処理とともに、異常発生時の前記詳細運転情報を入手する第一詳細情報受信処理( 図1 の(2)) を行う機能を有している。また、前記第八制御器32 は、メール送受信機能を有しており、前記第一異常受信処理の後、直ちに前記異常発生情報をメール化して前記携帯電話器5 へ送信する第二異常送信処理(図1の(3)) を行う機能を有している。この電子メールの機能を行うために、前記管理拠点は、前記第一管理コンピュータに関して、プロバイダと周知のプロバイダ登録を行う。このプロバイダ登録は、管理拠点の数だけ行うことになる。
【0077】
また、第八制御器32 は、前記第二管理コンピュータ4 の要求に応じて、前記設備室情報を前記第二管理コンピュータ4 へ送信する設備室情報送信処理を行う機能を備えている。また、前記第八制御器3 2 は、前記サーバ6 に記憶させた処置マニュアルの処置情報を入手する処置情報受信処理( 図1 の(7)) を行う機能と、前記ボイラ2 の機器の運転設定条件を遠隔から設定する遠隔設定処理( 図1 の( 8 )) を行う機能とを有している。
【0078】
また、前記第八制御器32 は、異常発生後などに前記通信制御装置14 との1対1 接続通信により、刻々変化する前記運転詳細情報を受信する第三詳細情報受信処理( 図1 の(6)) を行う機能を有している。
【0079】
また、前記第八制御器3 2 は、前記設備情報を設定して記憶させる設備室情報設定処理を行う機能を有するとともに、設定され記憶された前記設備室情報と前記異常情報とに基づき、前記ボイラ2 およびその他の前記機器9 ,10 〜 14 を含む前記ボイラ室1 と、前記異常発生情報に基づく前記異常情報とを同時に重ねて前記第二表示器37上に表示する第一表示画面(設備室表示画面)38( 図7参照) を形成する第一表示処理を行う機能を有している。
【0080】
この第一表示処理には、前記通信制御装置14との通信により、前記設備室表示画面の形成のために、前記異常機器以外の機器の前記異常発生情報および前記運転詳細情報を入手する設備室異常情報受信処理を行う機能を含んでいる。この設備室異常情報受信処理により、前記設備室表示画面には、前記第一異常受信処理のきっかけをなす異常機器以外の前記機器に関する異常情報などが表示される。
【0081】
さらに、前記第八制御器32は、前記各機器2,9,10〜14の個別の前記詳細運転情報を前記第二表示器37上に表示する第二表示画面(個別機器表示画面)39(図9参照)を形成する第二表示処理を行う機能を備え、前記第一表示画面38と前記第二表示画面39とを切替えて表示する切替表示機能を備えている。
【0082】
前記第八制御器32の有する各機能は、プログラムとして前記第三CPU回路33のメモリ(図示しない。)に記憶されている。
【0083】
つぎに、サービス員が携行する前記第二管理コンピュータ4について説明する。前記第二管理コンピュータ4は、第九制御器40を有している。この第九制御器40は、図6に示すように、マイクロコンピュータなどを含む第四CPU回路41と、この第四CPU回路41へ接続される第二赤外線通信用回路42および第四入出力回路43と、この第四入出力回路43へ接続される第二PHSモデムユニット44,充電式の第三電源回路45,液晶パネルを用いた第三表示器46とを備えている。前記第二管理コンピュータ4は、軽量で、小型の携帯型のコンピュータである。
【0084】
そして、前記第九制御器40は、前記公衆回線網7へ接続される前記第二PHSモデムユニット44を用いて前記ボイラ室1の前記通信制御装置14,前記第一管理コンピュータ3および前記サーバ6と通信を行う機能を有している。
【0085】
この通信機能を具体的に説明する。前記第九制御器40 は、前記ボイラ2 などの機器の異常発生時に前記通信制御装置14との1対1接続通信により、前記通信制御装置14 から前記異常機器から前記運転詳細情報を受信する第二詳細情報受信処理(前記第八制御器32と同様の処理で、図1の(5))を行う機能を有している。また、前記第九制御器40は、前記第一管理コンピュータ3 が有する前記設備室情報を前記第一管理コンピュータ3との1対1 接続通信により受信する設備室情報受信処理を行う機能を有している。
【0086】
また、前記第九制御器40は、前記第八制御器32が有する各機能、すなわち前記第三詳細情報受信処理を行う機能と、前記処置情報入手処理を行う機能と、前記遠隔設定処理を行う機能と、前記設備室情報設定処理を行う機能と、前記第一表示処理を行う機能と、前記第二表示処理を行う機能と、前記切替表示処理を行う機能とを備えている。
【0087】
さらに、前記第九制御器40は、前記第二PHSモデムユニット44を用いる前記第二詳細情報受信処理および前記遠隔設定処理を行う機能に加えて、前記第二赤外線用通信回路42を用いて前記ボイラ2の近くで直接前記ボイラ2との間で赤外線通信により、前記第二詳細情報受信処理および前記遠隔設定処理行う機能を有している。
【0088】
これらの前記第九制御器40が有する機能は、プログラムとして前記第四CPU回路41のメモリ(図示しない。)に記憶されている。
【0089】
つぎに、前記携帯電話器5ついて説明する。前記携帯電話器5は、市販の周知構成のものであり、前記第一管理コンピュータ3が行う前記第二異常送信処理により送信される前記異常発生情報を受信する第二異常受信処理(図1の▲4▼)を行う機能を有している。前記携帯電話器5は、この第二異常受信処理が行われると、メール受信がなされた旨の報知音を発する機能を有している。
【0090】
この携帯電話器5による前記第二異常受信処理機能により、サービス員は、前記第二管理コンピュータ4を用いて、異常発生時の前記運転詳細情報および前記処置情報を入手することができる。そして、前記第一表示処理機能および前記第二表示処理機能により、前記設備室の全体的運転状況と前記各機器の運転詳細情報とを表示して見ることができることになる。その結果、前記第一管理コンピュータ3と第二管理コンピュータ4とは、異常発生に対応するために必要な情報を共有し、同様に表示画面にて見ることができる。
【0091】
最後に、前記サーバ6について説明する。前記サーバ6は、前記警報現象・原因情報に対応した処置情報を前記原因情報に関連付けたサービスマニュアルとして記憶するとともに、その他の技術情報を記憶している。これら処置情報および技術情報は、前記第一管理コンピュータ3および前記第二管理コンピュータ4からのアクセスにより、ブラウザ(表示ソフト)により前記第二表示器33および前記第三表示器46に表示されるように構成されている。
【0092】
ここで、前記構成の第一実施例の動作を図1,図7〜図11に従い説明する。
【0093】
(設備室情報の設定)
前記保守管理者は、前記契約者毎に異なる前記設備室名およびこの設備室を構成する機器などに関する前記設備室情報を入力し、設定する。その設定は、前記第一管理コンピュータ3の前記設備室情報設定処理により実行され、その処理手順の要部は、図10に示される。
【0094】
この実施例における前記設備室情報は、つぎのようになる。前記設備室特定情報は、ボイラ室であり、前記設備室の前記機器構成情報は、前記ボイラ2,前記燃料供給機器9,前記水タンク10,前記薬注器11,前記脱酸素装置12,前記軟水器13および前記通信制御装置14である。後記設備室名表示部および後記機器名表示部に表示される名称は、前記契約者が望むものに設定できるよう構成されている。
【0095】
前記設備室表示画面38は、図7に示すように、契約者名表示部47,設備室名表示部48,前記設備室が他にあるかどうかを示す設備室選択表示部49,前記設備室の全体機器構成を模式的に表示する表示ブロック50,50…およびこれらブロックの接続関係を示す連結線51から構成されている。前記設備室選択情報表示部49には、現在表示されている設備室と他の設備室情報をドロップダウン形式にて表示させる設備室選択キー部52を備えており、表示された他設備室名をクリックすると他の設備室の情報が前記設備室表示画面38に表示される。
【0096】
前記表示ブロック50の各種情報を表示するための詳細構成は、図8に示される。前記各表示ブロック50に設ける表示部は、機器表示部53と前記機器本体の不具合に基づく警報を表示する第一警報表示部54と前記機器本体の不具合以外の警報を表示する第二警報表示部55とに区分されている。
【0097】
前記機器表示部53は、前記機器の機器名を表示する機器名表示部54,同じ機器が他に接続されているかかどうかを表示する機器選択表示部57を含む。前記機器選択表示部57には、現在表示されている前記機器特定情報(たとえば、機器登録番号)の機器と同じ種類(蒸気ボイラであれば、同じ蒸気ボイラ)の他の機器の機器特定情報をドロップダウン形式にて表示させる機器選択キー部58を備えており、表示された他機器をクリックすると他機器の情報が表示される。勿論、前記異常機器が、前記機器選択表示部57に最初に表示されるよう構成されている。
【0098】
前記第一警報表示部54は、前記異常情報を表示する,すなわち機器が正常か異常かを表示する異常有無表示部59,異常の内容である前記現象情報を表示する異常内容表示部60,前記注意情報が出されているかどうかを表示する注意有無表示部61,前記注意情報の内容である前記現象情報を表示する注意内容表示部62を含む。
【0099】
前記異常有無表示部59,前記注意有無表示部61は、表示ランプをイメージしたもので、前記異常有無表示部59においては、異常を赤、正常を緑にてそれぞれ表示し、前記注意有無表示部61は、注意を黄色、正常を緑にて統一的に表示している。
【0100】
前記第二警報表示部55は、前記運転条件警報の内容である前記現象情報を表示する運転条件表示部63と前記日常管理警報の内容である前記現象情報を表示する日常管理表示部64とに区分されている。
【0101】
ここで、前記設備室情報設定処理の内容を図10に従い説明する。いま、前記第一管理コンピュータ3を起動する。そして、図7の設備室登録キー部65をクリックすると、処理ステップS1(以下、処理ステップSNを単にSNという。)において、YESが判定され、S2へ移行して設備室情報入力画面(図示しない。)が前記第二表示器37に表示され、ここでデータを入力する。
【0102】
図10のS2における前記設備室情報の入力が完了すると、図7に示す前記設備室表示キー部66をクリックする。すると、S3において、YESが判定され、S4へ移行して、図7に示すような前記設備室表示画面38が表示され、設定したデータの入力を確認できる。データ入力をやり直す場合は、前記設備室登録キー部65をクリックする。すると、S5においてYESが判定され、処理がS2へ戻り、ここで再度データを入力する。また、S4において、入力OKであれば、図7の完了キー部63をクリックする。すると、S6にてYESが判定され、処理はリターンする。
【0103】
(設備情報の入手)
前記設備室情報設定処理の完了後に、前記サービス員は、自らが担当する前記契約者に関する前記設備室情報を前記第一管理コンピュータ3と前記第二管理コンピュータ4との通信により、入手して、前記第二管理コンピュータ4に保存しておく。
【0104】
( 異常発生情報の送信)
図1 において、前記ボイラ2 に異常, たとえば燃焼異常が発生したとする。この前記ボイラ2 は、前記通信制御装置14 と通信し、前記通信制御装置14 が前記異常発生情報を前記第一管理コンピュータ3 へ送信する第一異常送信処理( 図1の(1)) および異常発生時の前記運転詳細情報を送信する前記第一詳細情報受信処理( 図1の(1)) を行う。前記異常発生情報は、前記警報程度情報( 「異常」) , 前記警報現象情報( 一例として、「燃焼異常」) および前記原因情報( 一例として、「風量設定不良」) を組み合わせた警報コードと、前記機器特定情報と、前記異常発生日時情報とから構成される。前記運転詳細情報には、異常発生情報の送信のきっかけとなった前記ボイラ2 の「燃焼異常」以外の異常情報が存在すればその異常情報が、また注意情報が存在する場合には、これらの情報が含まれる。
【0105】
( 異常発生情報および運転詳細情報の受信と電子メール送信)
前記第一管理コンピュータ3 は、前記異常発生情報を受信する前記第一異常受信処理( 図1 の(2)) および前記第一運転詳細情報受信処理( 図1の(2)) を行うと、直ちに前記異常発生情報を電子メールとして異常発生機器の担当サービス員の前記携帯電話器5 へ送信する前記第二異常送信処理( 図1 の(3 )) を行う。この第二異常送信処理を行うにあたっては、前記第一管理コンピュータ3 は、前記サービス員が担当する前記契約者の情報および前記設備室構成情報( 前記機器特定情報を含む) を予め入力して有しており、前記異常発生情報中の前記機器特定情報に基づき、担当者が誰かを読み出すことができるよう構成している。そして、予め登録された担当サービス員の電子メールアドレスへ電子メールを送信する。
【0106】
( 電子メールの受信とサービス員の処理)
前記サービス員は、前記携帯電話器5 にて、前記異常発生情報をメールにて受信する前記第二異常受信処理( 図1 の(4 ) ) を行うと、それまで電源を切っていた前記第二管理コンピュータ4 を起動する。そして、前記通信制御装置14 と通信を行い、前記ボイラ室1の異常発生時の前記運転詳細情報を受信する第二詳細情報受信処理( 図1 の(5 )) を行う。
【0107】
ついで、前記サービス員は、前記第一表示処理と前記第二表示処理とを行う。
【0108】
これら表示処理を、図11の処理手順に従い説明する。前記第二管理コンピュータ4の前記第三表示器46の表示画面における設備室表示キー部66(図7参照)をクリックする。すると、S11においてYESが判定され、S12へ移行して、ここで前記契約者選択キー部67をクリックして前記サービス員が担当する契約者名の一覧がドロップダウン表示させる(図示省略)。そこで、前記異常発生情報に含まれる契約者名をクリックして、S13へ移行して、図7示す前記設備室表示画面38を表示させる。
【0109】
このS 1 3 の処理においては、まず前記設備室異常情報受信処理が行われる。この処理は、前記第一管理コンピュータ3 の前記第九制御器4 0 が前記通信制御装置1 4 と通信を行い、前記通信制御装置1 4 に接続されている前記ボイラ室1 の各機器から各機器毎の前記異常発生情報および異常発生時の前記運転詳細情報を読み出して受信する。ついで、この情報収集に基づき、前記設備室表示画面3 8 の表示に必要な前記警報内容情報を抜き出して、前記設備室表示画面3 8 に表示する。
【0110】
この設備室表示画面38においては、前記機器の全体構成を示す前記ボイラ室1と、構成機器の異常情報などとが同時に重ねて表示されるので、前記サービス員は、前記ボイラ室1の全体運転状況、特に異常の状況が一目瞭然に把握できる。また、前記ボイラ室1の前記各機器接続状態と各機器の異常/正常が表示されているので、複数の前記機器に異常がある場合、上流側を先に調べ、ついで下流側の機器を調べることができ、設備全体を早期に異常から復旧できる。
【0111】
また、前記設備室表示画面38において、前記警報内容情報が、図8に示すように前記機器本体の不具合に基づく警報を表示する第一警報表示部54と前記機器本体の不具合以外の第二警報表示部55とに区別されて、表示される。このような表示により、前記サービス員は、前記保守管理者が責任をもって対応しなければならない異常などの警報と、前記契約者が対応すべき警報とを容易に識別できる。また、前記契約者が対応すべき異常に関しては、場合によっては、前記契約者へ連絡して対応をお願いすることも可能となり、異常復旧のための現場への出動回数を少なくできるものである。
【0112】
さらに、前記第二警報表示部55は、前記運転条件表示部63と前記日常管理表示部64とに区分して、表示される。前記運転条件表示部63の表示内容は、前記機器の入力条件である。この入力条件の異常,正常を知ることで、異常発生の基となる機器の特定を容易に行うことができる。
【0113】
ついで、前記ボイラ室1内の全体的運転状況を把握した後、前記サービス員が個別に各機器の前記運転詳細情報を見たい場合は、図7に示す前記機器選択表示部57に表示される当該機器特定情報をクリックする。すると、S15において、YESが判定され、S17へ移行して、前記S13にて入手した個別機器の前記運転詳細情報を表示する。この実施例では、前記ボイラ2の運転詳細情報を図9に示すような前記第二表示画面(個別機器表示画面)39として表示する。
【0114】
この個別機器表示画面39は、図9に示すように、契約者名表示部69,設備室名表示部70,機器名表示部71,個別機器の各種センサによる検出値を表示する検出値表示部72,前記警報内容表示部73とを含む。前記警報内容表示部73は、異常情報を発した前記ボイラ2に関する全ての前記警報内容情報を表示する。もちろん、実施に応じて一部の警報内容情報を表示するように構成することができる。
【0115】
こうして、前記サービス員は、前記ボイラ2の異常発生時の前記運転詳細情報を入手して表示させることにより、前記管理拠点に前記運転詳細情報を確認することなく、異常原因の究明を行うことができ、迅速な異常復旧が可能となる。
【0116】
また、この実施例では、前記第一管理コンピュータ3においても、前記第二管理コンピュータ4と同じ前記設備室表示画面38と前記個別機器表示画面39とを形成できる。このため、保守管理経験が少ない前記サービス員が異常の対応に当っている場合,前記管理拠点の熟練サービス員は、前記サービス員と同じ前記第設備室示画面38および前記個別機器表示画面39を見ながら、アドバイスをしたり、指示したりすることができる。その結果、前記保守管理者全体のサービス性を均一化し、向上できるものである。
【0117】
前記個別機器表示の前記第二表示画面39から前記設備室表示の前記第一表示画面38への切替えは、図9に示す前記設備室表示器キー部66をクリックすることで行われる。すると、S17にてYESが判定され、処理はS13へ移行する。前記個別機器表示および前記設備室表示を終了するには、前記完了キー部67をクリックする。すると、S18にて、YESが判定され、S19へ移行して初期画面(図示しない。)に戻る。
【0118】
( 処置情報の入手)
前記第一表示画面3 8 および前記第二表示画面3 9 から得られる情報により異常原因が究明できたとしても、その具体的処置がわからない場合、前記サービス員は、前記第二管理コンピュータ4 を起動して、前記サーバ6 との通信により処置情報を入手する前記処置情報受信処理( 図1 の(7)) を行う。この処理を実行することにより、従来のようにサービスマニュアルを携行することなく、また前記管理拠点に処置を聞くことなく、原因に対する処置をサーバ6 の処置マニュアルから入手でき、迅速でかつ適切な異常復旧処理を行うことができる。
【0119】
( 直接的運転詳細情報の入手)
前記サービス員は、異常の現場に到着すると、その現場において、赤外線通信による前記運転詳細情報の入手を行う前記第三詳細情報受信処理( 図1 の(6 )) を行うことができる。この実施例のシステムがこの処理機能を有することにより、前記公衆回線7を介さないで通信できるので、通信コストがかからないともに、接続に時間を要することなく前記運転詳細情報を入手できる効果を奏する。
【0120】
(遠隔設定)
異常原因の究明の結果、異常原因に対する処置として前記ボイラ2 の運転条件設定を変更する必要が生じた場合、前記第一管理コンピュータ3 および/ または第二管理コンピュータ4 において、前記遠隔設定処理( 図1 の(8 )) を行うことで、運転条件設定を変更する。その結果、前記サービス員は、異常発生の受信から異常対策処置までを前記ボイラ室1から離れた遠隔の地から行うことができ、迅速な異常復旧を行うことが可能となる。
【0121】
【発明の効果】
この発明によれば、契約者毎に異なる設備室の機器全体の運転状況の把握を容易に行うえ、機器の異常に迅速に対応することができるなど、産業的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明を実施した機器の保守管理システムの一実施例の概略構成図である。
【図2】図2は、同実施例のボイラ室の要部概略構成図である。
【図3】図3は、同実施例の通信制御装置の制御器の概略構成図である。
【図4】図4は、同実施例のボイラの制御器の概略構成図である。
【図5】図5は、同実施例の第一管理コンピュータの制御器の概略構成図である。
【図6】図6は、同実施例の第二管理コンピュータの概略構成図である。
【図7】図7は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータの第一表示画面の概略構成図である。
【図8】図8は、図7の要部詳細図である。
【図9】図9は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータの他の表示画面の概略構成図である。
【図10】図10は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータによる要部制御手順を示すフローチャート図である。
【図11】図11は、同実施例の前記第一管理コンピュータおよび前記第二管理コンピュータによる他の要部制御手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 ボイラ室(設備室)
2 蒸気ボイラ(機器)
3 第一管理コンピュータ
4 第二管理コンピュータ
38 第一表示画面
39 第二表示画面
Claims (1)
- 保守管理者と機器の異常対応の保守管理契約を結んだ契約者のボイラ室に配置され、保守管理の対象となる複数の機器の異常発生情報を、保守管理者が保有する管理コンピュータへ送信することにより前記各機器の保守管理を行うボイラの保守管理方法であって、
前記複数の機器が、ボイラと、このボイラに水を供給するように接続される水設備および前記ボイラに燃料を供給するように接続される燃料設備とから構成され、
前記機器の制御器は、前記各機器の異常情報発生時、異常がいつ発生したか、異常が発生した前記機器を特定でき、どのような異常が発生したかを特定する異常発生情報を前記管理コンピュータへ送信し、
前記管理コンピュータは、前記ボイラ室を特定する設備室特定情報と前記ボイラ室内の前記ボイラ、水設備および燃料設備を含む機器の構成を表示する機器構成情報とからなり契約者毎に異なるボイラ室情報を設定する設備室情報設定処理と、
前記機器の異常発生情報を受信する異常受信処理と、前記異常発生情報と前記設備室情報設定処理により設定された前記ボイラ室情報とに基づき特定の設備室表示画面を形成し、この設備室表示画面に前記異常発生情報に基づき、前記機器の異常の情報を重ねて表示する第一表示処理とを行うとともに、
前記管理コンピュータは、前記機器の運転詳細情報を受信する詳細情報受信処理と、前記運転詳細情報を表示する第二表示処理を行い、
前記運転詳細情報は、前記ボイラ本体の異常である第一警報情報と、前記ボイラ本体以外の異常に基づく第二警報情報を区分し、
前記第二警報情報は、前記ボイラ本体を正常運転するために必要な入力条件に不備があることによる運転条件警報と、前記ボイラ本体が正常に動作していても定常的に発生する管理不備による日常管理警報とに区分する
ことを特徴とするボイラの保守管理方法。
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