JP4509842B2 - エッチング方法、エッチング装置、コンピュータプログラム及びコンピュータ記憶媒体 - Google Patents
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ところで一般にはある種の膜をエッチングする場合、基板表面のエッチング速度は完全には均一ではなく、特に中心部と周縁部との間でエッチング速度を揃えることが困難であることから、膜をエッチングして下地膜が露出した後もエッチングが継続され、このエッチングはオーバエッチングと呼ばれる。通常オーバエッチングする場合には、下地膜に対して高選択比が確保される必要があるが、この選択比としては下地膜に対して高くてもせいぜい7から10ぐらいである。
しかし、ここで既述のように酸化シリコン膜12に対して極めて高い選択比を持ったガスによりエッチングを行うということは、窒化シリコン膜13に対するエッチング作用が大きいということであり、そしてこの窒化シリコン膜13とハードマスクを構成するSiON膜14とは材質が似ていることから、前記混合ガスはSiON膜14にも局所的にダメージを与えることになる。そして前記SiON膜14は例えば50nmと薄く、また当該SiON膜14がスペックに見合った面内均一性が確保されていても完全に均一ではないことから、SiON膜14に孔18が穿孔されてしまう。この点は実験で確認している。この孔18が穿孔される現象を突き抜け現象(ピティング)と呼ぶことにすると、ピティングが発生するとこの孔18を介して窒化シリコン膜13の表面がダメージを受け、後工程に影響を及ぼす。
なお特許文献2には、窒化シリコンのハードマスクを形成する手法として、窒化シリコン層の上にある反射防止膜を、その上のレジストマスクのアッシング時における酸素プラズマにより酸化してこれを保護層とすることで、窒化シリコン層を薄くできる技術が記載されているが、本発明の課題を解決できる技術ではない。
レジスト膜をマスクとしてハードマスクをエッチングし、ハードマスクにマスクパターンを形成する工程と、
レジスト膜をアッシングする工程と、
ハードマスクの表面部を前記アッシングとは異なる条件で酸化する酸化工程と、
窒化シリコン膜のパターンの底部に露出する下地の酸化シリコン膜のエッチングが十分抑えられる程度の、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜の高い選択比で、窒化シリコン膜をオーバエッチングするオーバエッチング工程と、
前記ハードマスクにマスクパターンを形成する工程の後、前記オーバエッチング工程の前に行われ、窒化シリコン膜をオーバエッチングする時の前記選択比よりも小さい選択比で、当該窒化シリコン膜をエッチングするメインエッチング工程と、を含み、
前記オーバエッチング工程は、アッシング工程及び酸化工程の後に行われ、
前記酸化工程は、前記オーバエッチング工程に支障をきたさず、且つオーバエッチング時におけるハードマスクの耐性を高める程度の厚さを酸化する工程であることを特徴とする。
そして下地膜である酸化シリコン膜が例えば5nm以下と極薄膜であり、またエッチングの対象である窒化シリコン膜の膜厚が下地膜に比べて十分厚い場合には、オーバエッチング時における下地の酸化シリコン膜に対する窒化シリコンの選択比はかなり高い選択比とする必要があり、そうするとハードマスクに対するエッチング作用も大きくなることから、ハードマスクが薄い場合には、特に有効な手法であるといえる。
また載置台3の内部にはHe(ヘリウム)ガス等の熱伝導性ガスをバックサイドガスとして供給するガス流路38が形成されており、当該ガス流路38は載置台3の上面の複数箇所で開口している。これらの開口部は静電チャック34に設けられた前記貫通孔34aと連通しており、ガス流路38にバックサイドガスを供給すると、当該バックサイドガスは貫通孔34aを介して静電チャック34の上部へ流出する。このバックサイドガスが静電チャック34と静電チャック34上に載置された被処理体との隙間全体に均等に拡散することにより、前記隙間における熱伝導性が高まるようになっている。
(ステップ1:SiON膜54のエッチング)
排気装置23により排気管24を介して処理室21内の排気が行われて、処理室21内が所定の圧力に維持され、処理室21内に流量制御を受けたCHF3ガス、CF4ガス及びArガスからなる混合ガスが供給される。続いて上部電極4及び下部電極31に夫々高周波電力が印加されて各処理ガスがプラズマ化される。このようにして図2(b)に示すようにレジスト膜55をマスクとしてレジストパターンに56沿ってSiON膜54がエッチングされ、マスクパターン57が形成される。
高周波電源4a,31aがオフにされプラズマの発生が停止されるとともに処理室21内へのCHF3ガス、CF4ガス及びArガスの供給が停止される。排気装置23により処理室21内に残留したガスが排気され、その後に処理室21内へのO2ガスの供給が行われる。処理室21内のガスがステップ1で用いた混合ガスからO2ガスに置換されたら上部電極4、下部電極31に夫々所定の高周波電力が印加されることによりO2ガスがプラズマ化する。このプラズマ化によってSiON膜54上に残留していたレジスト膜55がアッシングされて除去される(図2(c))。このアッシング工程におけるO2ガスの流量は例えば300sccmであり、また上部電極4の供給電力は例えば300W、下部電極31の供給電力は例えば100Wである。
高周波電源4a,31aがオフにされプラズマの発生が停止されるとともに処理室21内へのO2ガスの供給が停止される。処理室21内に残留しているO2ガスが排気され、その後で流量制御されたCF4ガス、CHF3ガス、及びArガスが処理室21内に供給される。処理室21内のガスがこれらの処理ガスからなる混合ガスに置換されたら上部電極4、下部電極31に夫々所定の高周波電圧が印加され、前記混合ガスがプラズマ化することで図3(a)に示すようにSiON膜54をマスクとしてSiN膜53のメインエッチングが行われ、SiN膜53に前駆パターン58が形成される。この工程におけるエッチングは垂直形状の確保及びSiON膜54へのダメージを抑えるために、SiO2膜52に対するSiN膜53の選択比(SiN膜53のエッチング速度/SiO2膜52のエッチング速度)が例えば1〜3である条件下にて行われる。
後述するステップ5で行われるオーバエッチングはこのステップ3よりSiO2膜52に対するSiN膜53の選択比がかなり高い条件で行われるために、このステップ3に比べるとエッチング中におけるパターンの側壁保護作用が期待できず、またステップ5で行われるオーバエッチング時間が長くなるほどSiON膜54が受けるダメージが大きくなる。この点を考慮すると、この前駆パターン58はSiN膜53のできるだけ深部まで形成されることが好ましく、エッチング速度の面内のばらつきを考慮すると、SiN膜53の厚さに対して例えば平均して85%程度の深さまで形成されることが好ましい。
高周波電源4a,31aがオフにされてプラズマの発生が停止されるとともに処理室21内へのCF4ガス、CHF3ガス及びArガスの供給が停止される。排気装置23により処理室21内に残留したガスが除去され、その後に処理室21内へO2ガスが供給される。処理室21内のガスがO2ガスに置換されたら上部電極4、下部電極31に夫々所定の電力を印加してO2ガスをプラズマ化させてSiON膜54の酸化を行う。このステップ4の酸化工程において、O2ガスの流量は例えば1200sccmであり、また上部電極4の供給電力は例えば300W〜1500W、下部電極31の供給電力は例えば50W〜200Wであるが、当該酸化工程はステップ3におけるアッシング工程とは異なる条件で行われる。
図3(b)はこの酸化終了後のウエハWを示したものであり、SiON膜54の表面はO2ガスを用いたプラズマ処理によって酸化されている。54aはSiON膜54を酸化した酸化層である。このステップ4はステップ5におけるオーバエッチングを行う際にSiON膜54に対するSiN膜53の選択性を向上させる、つまりこのオーバエッチング時におけるSiON膜54の耐性を高めてSiON膜54を保護するために行うが、SiON膜54の表面の例えば1〜数十原子層が酸化されればよく、この酸化処理が過剰に行われると前駆パターン58の表面の酸化が進行して、ステップ5でエッチングが正常に行われにくくなる懸念がありパターン59形成に支障をきたすおそれがある。
高周波電源4a,31aがオフにされてプラズマの発生が停止される。また処理室21内に残留しているガスが排気され、処理室21内へ流量制御されたO2ガス、CH3Fガス、及びArガスが供給される。処理室21内のガスがこれらの処理ガスにより構成される混合ガスに置換されたら、上部電極4及び下部電極31に夫々所定の電力を印加してこの混合ガスをプラズマ化させる。このようにしてステップ3におけるメインエッチング工程で残留しているSiN膜53をエッチングして、露出したSiO2膜52を面内全体でSiN膜53が確実に除去できるタイミングだけエッチング(オーバエッチング)することによりパターン59を形成する(図3(c))。
以下に本発明における他の実施形態について図4及び図5を参照しながら説明する。先ず図4(a)で示すような先の実施形態と同様の積層構造を有するウエハWを処理室21内に搬入し、当該処理室21内にCHF3、CF4及びArからなる混合ガスを供給して、図4(b)に示すようにレジスト膜55をマスクとしてSiON膜54のエッチング及びSiN膜53のメインエッチングを行い、マスクパターン57、前駆パターン58を形成する。メインエッチングは先に説明した実施形態のステップ3と同様にSiO2膜52が露出される少し前の段階で停止するようにし、従って前駆パターン58の底部はSiN膜53に留まっている。
なお、さらに他の実施形態として第1の実施形態におけるステップ4とステップ3とを入れ替えるようにしてもよい。即ち図2(c)のようにSiON膜54上のレジスト膜55をアッシングで除去した後、当該SiON膜54の表面部を既述のように酸化し、その後メインエッチングを行うようにしてもよい。
実施例1では既述の実施形態で説明した積層構造を有するウエハWに対して、既述のエッチング装置2を用いて最初の実施形態で説明したステップに従い、前記ウエハWにパターン59の形成を行った。この実施例1の各ステップにおける条件は以下のように設定した。
混合ガスの圧力:20〜50mTorr(2.67〜6.67Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜600W/0〜400W (但しUは上部電源、Lは下部電極を示す。)
混合ガスの流量比:CHF3/CF4/Ar=0〜200/200〜400/600sccm
(ステップ2:レジスト膜55のアッシング工程)
O2ガスの圧力:200mTorr(26.7Pa)
高周波電源の電力(U/L):300W/100W
O2ガスの流量:300sccm
(ステップ3:前駆パターン58の形成工程)
混合ガスの圧力:20〜50mTorr(2.67〜6.67Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜600W/0〜400W
混合ガスの流量比:CHF3/CF4/Ar=0〜200/200〜400/600sccm
(ステップ4:SiON膜54の酸化工程)
O2ガスの圧力:200mTorr(26.7Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜1500W/50〜200W
O2ガスの流量:1200sccm
(ステップ5:パターン59の形成工程)
混合ガスの圧力:120mTorr(16.0Pa)
高周波電源の電力(U/L):500W/100〜300W
CH3F/O2/Ar=3/13/90sccm
実施例2では第2の実施形態で説明した手順に従い、実施例1で用いたウエハWと同じ構成のウエハWに対して前記エッチング装置2を用いてパターン59を形成した。この実施例2において最初に行われるレジスト膜55をマスクとしてSiON膜54及びSiN膜53をエッチングする工程は以下の条件にて行った。
混合ガスの圧力:20〜50mTorr(2.67〜6.67Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜600W/0〜400W
CHF3/CF4/Ar=0〜200/200〜400/600sccm
この工程に続けて行われるレジスト膜55をアッシングする工程及びSiON膜54を酸化する工程、SiN膜53をオーバエッチングする工程は夫々実施例1と同様の反応条件で、つまり実施例1における前記ステップ2、ステップ4、ステップ5に夫々記載の反応条件で順次処理を行った。
比較例においては各実施例で用いたウエハと同様の構成のウエハWに対して、前記エッチング装置2を用いて、図6に示すようにしてエッチングを行った。即ち第1の実施形態に係る図2に示すと同様にしてSiON膜54をエッチングし、次いでレジスト膜55をアッシングする(図6(a))。その後SiON膜54を図3(b)に示す工程と同様にして酸化し(図6(b))、しかる後、SiN膜53に対してオーバエッチングの条件でいわば高選択比エッチングを行って、SiN膜53を除去してパターン59を形成する(図6(c))。この比較例の各ステップの反応条件は実施例1に記載した各ステップの条件と同じとした。
第1段階(SiON膜54を、SiN膜53に対して選択性の低い条件下でエッチングを行う段階)
混合ガスの圧力:20〜50mTorr(2.67〜6.67Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜600W/0〜400W
混合ガスの流量比:CHF3/CF4/Ar=0〜200/200〜400/600sccm
混合ガスの圧力:50〜100mTorr(6.67〜13.3Pa)
高周波電源の電力(U/L):100W/500W
混合ガスの流量比:C4F8/Ar/O2=0〜50/800/0〜50sccm
O2ガスの圧力:200mTorr(26.7Pa)
高周波電源の電力(U/L):300W/100W
酸素ガスの流量:300sccm
混合ガスの圧力:20〜50mTorr(2.67〜6.67Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜600W/0〜400W
混合ガスの流量比:CHF3/CF4/Ar=0〜200/200〜400/600sccm
O2ガスの圧力:200mTorr(26.7Pa)
高周波電源の電力(U/L):300〜1500W/50〜200W
O2ガスの流量:1200sccm
混合ガスの圧力:120mTorr(16.0Pa)
高周波電源の電力(U/L):500W/100〜300W
CH3F/O2/Ar=3/13/90sccm
O2ガスの圧力:200mTorr(26.7Pa)
高周波電源の電力(U/L):300W/100W
O2=1200sccm
3 載置台
31 下部電極
4 上部電極
52 SiO2(酸化シリコン)膜
53 SiN(窒化シリコン)膜
54 SiON(窒素含有酸化シリコン)膜
55 レジスト膜
58 前駆パターン
59 パターン
Claims (12)
- 酸化シリコン膜を下地とした窒化シリコン膜が、窒素含有酸化シリコンから成るハードマスクに覆われ、前記ハードマスク上に、パターンが形成されたレジスト膜が成膜された積層体について、窒化シリコン膜をエッチングするエッチング方法において、
レジスト膜をマスクとしてハードマスクをエッチングし、ハードマスクにマスクパターンを形成する工程と、
レジスト膜をアッシングする工程と、
ハードマスクの表面部を前記アッシングとは異なる条件で酸化する酸化工程と、
窒化シリコン膜のパターンの底部に露出する下地の酸化シリコン膜のエッチングが十分抑えられる程度の、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜の高い選択比で、窒化シリコン膜をオーバエッチングするオーバエッチング工程と、
前記ハードマスクにマスクパターンを形成する工程の後、前記オーバエッチング工程の前に行われ、窒化シリコン膜をオーバエッチングする時の前記選択比よりも小さい選択比で、当該窒化シリコン膜をエッチングするメインエッチング工程と、
下地の酸化シリコン膜が露出する前に前記窒化シリコン膜のエッチングを停止する工程と、
を含み、
前記オーバエッチング工程は、アッシング工程及び酸化工程の後に行われ、
前記酸化工程は、前記オーバエッチング工程に支障をきたさず、且つオーバエッチング時におけるハードマスクの耐性を高める程度の厚さを酸化する工程であることを特徴とするエッチング方法。 - 前記メインエッチング工程は、レジスト膜をアッシングする工程の後、前記酸化工程の前に行われることを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
- 前記メインエッチング工程は、ハードマスクにマスクパターンを形成する工程の後、レジスト膜をアッシングする工程の前に行われることを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
- 前記酸化工程は、酸素ガスをプラズマ化したプラズマにより行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載のエッチング方法。
- 前記酸化工程は、基板に酸素ガスを供給する工程と、
その上方に基板が載置される下部電極に50W〜200Wの電力を供給すると共に、前記基板を挟んで当該下部電極と対向する上部電極に300W〜1500Wの電力を供給する工程と、
各電極に供給された電力により酸素ガスをプラズマ化する工程と、
を含むことを特徴とする請求項4記載のエッチング方法。 - 前記オーバエッチング工程は、炭素、フッ素及び水素を含むガスと、酸素ガスとを含んだ混合ガスをプラズマ化したプラズマにより行われることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載のエッチング方法。
- 前記ハードマスクの厚さが50nm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載のエッチング方法。
- 前記酸化シリコン膜の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載のエッチング方法。
- 窒化シリコン膜の厚さが50nm以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載のエッチング方法。
- 基板が載置される載置台を備えた気密な処理容器と、処理容器内に処理ガスを供給する手段と、処理容器内の圧力を調整する手段と、処理容器内のガスをプラズマ化する手段とを備え、処理ガスをプラズマ化したプラズマにより基板に対してエッチングを行う装置において、
請求項1ないし9のいずれかのエッチング方法を実施するように、各手段を制御する制御部を設けたことを特徴とするエッチング装置。 - 処理容器内に処理ガスを導入して、基板に対してエッチングを行う装置に用いられ、コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムであって、
請求項1ないし10のいずれかのエッチング方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項11記載のコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
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