JP4509607B2 - 細胞分析装置および方法 - Google Patents
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Description
図1は細胞分析装置1の外観を実線で、装置内部の概略構成を破線で示したものである。装置の最前面には実線で示すように、各種設定入力を行ったり、測定結果を表示出力するための液晶タッチパネル2、測定用試料調製部カバー3およびスタートスイッチ4が備えられている。また、破線で示す装置の内部構成において、上部には装置の動作や分析処理をつかさどる制御部5が配置されている。下部の手前側には、試料液を調製するための測定用試料調製部6が配置されている。下部の奥側には試料液から信号を検出するための測定部7が配置されている。
図2は測定用試料調製部6を示す説明図である。測定用試料調製部6は検体セット部8、試薬セット部9、染色部10、分注装置11および送液装置12を含む。図1の測定用試料調製部カバー3を開けることにより、検体セット部8には検体の入った検体容器を、試薬セット部9には染色液の入った微量試験管13や希釈液の入った微量試験管14をそれぞれセットできるようになっている。染色部10には微量試験管15がセットされており、そこで検体に染色液と希釈液が混合されて、測定用試料が調製される。なお図には示していないが、染色部10は微量試験管15の中の溶液を一定の温度に保つための温度調節機構と微量試験管15の中の溶液を攪拌させるための攪拌機構とを備えている。分注装置11はその先端から所定量の液体を吸引・吐出するようになっており、また図示していない駆動装置によって上下左右前後に移動可能となっている。送液装置12は測定用試料を吸引するための吸引管16と、吸引管16から吸引した測定用試料を図3で示している測定部7へと送液する送液管17と、測定部7へ送液した測定用試料を排出するためのポンプ18からなる。吸引管16は染色部10にセットされた微量試験管15に挿入され、そして所定の量の測定用試料が吸引管16に吸引される。吸引された測定用試料は送液管17を通って測定部7へ送液される。
図3は測定部7を示す説明図である。測定部7にはシースフローセル19、レーザー光源20、コンデンサレンズ21、集光レンズ22、23、ピンホール24、25、フィルタ26、フォトダイオード27およびフォトマルチプライヤーチューブ28が設けられている。シースフローセル19は、図2の測定用試料調製部6で調製された測定用試料を流すためのものである。また、図4に示すようにシースフローセル19は、測定用試料を細孔部32に向かって上方へ噴射する試料ノズル29と、シース液供給口30と廃液口31を備える。レーザー光源20は、波長633nmの赤色レーザー光を発振する。集光レンズ22、23はレーザー光を受けた試料中の細胞一個一個から得られる前方散乱光や側方蛍光といった光学的情報を集光する。フォトダイオード27は前方散乱光を受光、光電変換し、電気信号として出力する。また、フォトマルチプライヤーチューブ28は側方蛍光を受光、光電変換し、電気信号として出力する。出力された各信号は制御部5へ送られる。
図5は制御部5の構成、および制御部5と装置各部との関係を示すブロック図である。制御部5は中央演算装置(CPU)やROM・RAM等の記憶装置を有するマイクロコンピューター、測定部7から送られてきた信号を処理する回路などを有する。制御部5は記憶部33、分析部34および動作制御部35としての機能を果たす。記憶部33は、試料中の細胞から得た信号の分析を行う分析プログラムや、装置各部の動作を制御する制御プログラムを記憶している。また、測定部7で検出された信号のデータや、分析プログラムによる処理結果を記憶する。分析部34は、分析プログラムに基づき測定部7で検出された信号を分析して、測定用試料液中に含まれる各細胞に関するデータを生成する。分析部34で生成されたデータは液晶タッチパネル2に出力される。動作制御部35は、記憶部33に記憶されている制御プログラムに基づき装置各部の動作を制御する。
測定用試料調製における測定用試料調製部6の動作を、図2を用いて説明する。まず分注装置11が、検体セット部8にセットされている検体容器から検体を吸引し、染色部10にセットされている微量試験管15に4.5μLを分注する。次に分注装置11が試薬セット部9にセットされている微量試験管14から希釈液を吸引し、染色部10にセットされている微量試験管15に0.8955mLを分注する。さらに分注装置11が試薬セット部9にセットされている微量試験管13から染色液を吸引し、染色部10にセットされている微量試験管15に18μLを分注する。この後染色部10が微量試験管15を温度37℃に保ちながら31秒間撹拌する。これより、微量試験管15において測定用試料が調製される。なお、測定用試料の調製には、染色液としてシスメックス株式会社製レットサーチ(II)染色液を、希釈液としてシスメックス株式会社製レットサーチ(II)希釈液を用いる。レットサーチ(II)染色液は、細胞内の核酸を特異的に染色する蛍光色素を含有しており、この色素は波長630nm付近のレーザー光を照射すると蛍光が励起される特性を有している。
測定における測定部7の動作を、図3と図4を用いて説明する。測定用試料調製部6で調製された測定用試料はシースフローセル19に導かれ、試料ノズル29から試料液がシースフローセル内に吐出される。それと同時にシース液供給口30からシース液がシースフローセル内に吐出される。これによって試料液はシースフローセル内でシース液に包まれ、さらに細孔部32によって細く絞られて流れる。
ステップS2の測定により前方散乱光信号や側方蛍光信号が検出されると、次に分析部34が分析プログラムに基づいて各信号を分析する。ステップS3における分析プログラムの動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。フローチャートの各ステップは以下のとおりである。
ステップS6:試料中の各細胞から得られた前方散乱光信号や側方蛍光信号に基づき、前方散乱光強度(Fsc)や側方蛍光強度(Sfl)を算出する。続いてステップS7へ進む。
ステップS7:ステップS6で算出した細胞毎のFscおよびSflをパラメーターとしたスキャッタグラムを作成する。これは、まずFscおよびSflを軸にとった二次元座標を展開し、次に、ステップS6で算出したFscおよびSflに基づいて、測定用試料中の各細胞に対応する座標位置を決定する。このようにしてFscおよびSflをパラメーターとしたスキャッタグラムを作成する。続いてステップS8へ進む。
ステップS8:作成したスキャッタグラム上において、単核球の生細胞(以降は生存単核球と呼ぶ)が出現する領域(これをLM領域とする)、単核球の死細胞(以降は死亡単核球と呼ぶ)が出現する領域(これをDM領域とする)、顆粒球の生細胞(以降は生存顆粒球と呼ぶ)が出現する領域(これをLG領域とする)、顆粒球の死細胞(以降は死亡顆粒球と呼ぶ)が出現する領域(これをDG領域とする)、赤血球が出現する領域(これをRBC領域とする)および血小板が出現する領域(これをPLT領域とする)をそれぞれ設定する。これらの領域がスキャッタグラム上に設定された様子を図8に示す。ここで設定されるLM領域、DM領域、LG領域、DG領域、RBC領域およびPLT領域は、予め生存単核球、死亡単核球、生存顆粒球、死亡顆粒球、赤血球および血小板であると確認されている細胞を含む各測定用試料を測定することにより、経験的に定めたものである。これより、試料中に含まれている細胞のうち生存単核球はLM領域に、死亡単核球はDM領域に、生存顆粒球はLG領域に、死亡顆粒球はDG領域に、赤血球はRBC領域に、血小板はPLT領域に出現する。なお、各領域は、記憶部33に記憶されており、ステップS8において分析プログラムによって読み出され、スキャッタグラム上に適用される。続いてステップS9へ進む。
ステップS9:各領域内のドット数を計数する。続いてステップS10へ進む。
ステップS10:ステップS9より計数された各領域内のドット数は、検体に含まれる各細胞の細胞数に対応する。ゆえに、ステップS9より計数された各領域内のドット数に基づいて、各細胞の細胞数を計数する。さらに、計数した細胞数に基づいて、「全有核細胞中の死細胞含有率」、「全有核細胞中の死亡単核球含有率」および「全単核球中の死亡単核球含有率」を算出する。続いてステップS11へ進む。なお、ここでいう全有核細胞とは、有核細胞が出現する領域(LM領域、DM領域、LG領域およびDG領域)に出現した全ての細胞のことをいう。また、ここでいう死細胞とは、死細胞が出現する領域(DM領域およびDG領域)に出現した全ての細胞のことをいう。また、ここでいう全単核球とは、単核球が出現する領域(LM領域およびDM領域)に出現した全ての細胞のことをいう。
ステップS11:ステップS9より得られた計数結果のデータ、およびステップS10より得られた算出結果のデータを記憶する。
ステップS3(分析)より得られたスキャッタグラム、各種細胞の計数結果、さらに、「全有核細胞中の死細胞含有率」、「全有核細胞中の死亡単核球含有率」および「全単核球中の死亡単核球含有率」の算出結果を液晶タッチパネル2に出力し、表示する。なお、「全単核球中の死亡単核球含有率」は、全単核球に含まれる死亡した単核球の割合を示したものである。ゆえに、この値を単核球の死亡率として評価することができる。また、この値が小さいほど、検体に含まれている単核球の生存率が高いと判断できる。
本測定例では、ヒトから採取した2種類の末梢血(I)および(II)を検体として用いた。それぞれの末梢血は別々の疾患患者から採取したもので、(I)は含有する白血球のうちリンパ球の割合が非常に高い末梢血であり、(II)は含有する白血球のうち顆粒球の割合が非常に高い末梢血である。
本測定例では、健常人から末梢血を採取し、採取後室温に2時間および32時間放置した各末梢血を検体として用いた。
臍帯血は、骨髄と同様に、造血幹細胞を豊富に含むことが明らかになっている。そこで、本測定例では、健常人における分娩時の臍帯から採取した臍帯血を用いた。なお、測定には、採取後遠心(回転数:およそ3000rpm、時間:20分、温度:10℃)により赤血球を除去した臍帯血を検体として用いた。
2 液晶タッチパネル
3 測定用試料調製部カバー
4 スタートスイッチ
5 制御部
6 測定用試料調製部
7 測定部
8 検体セット部
9 試薬セット部
10染色部
11分注装置
12送液装置
19シースフローセル
Claims (17)
- 検体に細胞内物質を染色する色素による染色処理を施して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、
測定用試料中の各細胞から散乱光および蛍光を検出する検出部と、
前記検出部が検出した散乱光および蛍光に基づいて、幹細胞の生細胞およびリンパ球の生細胞を単核球の生細胞として検出し、検出した単核球の生細胞を計数する分析部とを備えた細胞分析装置。 - 前記細胞内物質を染色する色素が核酸染色色素である請求項1に記載の細胞分析装置。
- 前記染色処理は、細胞内物質を染色する色素のみを用いて抗原抗体反応を用いることなく実施される請求項1又は2に記載の細胞分析装置。
- 前記検出部が検出する蛍光は一種類の蛍光である請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、散乱光の強度および蛍光の強度に基づいて二次元分布図を作成し、二次元分布図に基づいて単核球の生細胞を検出する請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、前記検出部が検出した散乱光および蛍光に基づいて、さらに、単核球の死細胞を検出する請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、前記二次元分布図に基づいて、さらに、単核球の死細胞を検出する請求項5に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、さらに、検出した単核球の死細胞を計数する請求項6又は請求項7に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、単核球の生細胞および単核球の死細胞の計数結果に基づいて単核球の死亡率又は生存率を算出する請求項8に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、前記検出部が検出した散乱光および蛍光に基づいて、さらに、単核球の死細胞、顆粒球の生細胞、顆粒球の死細胞、赤血球および血小板の中から少なくとも一種類の細胞を検出し、検出した細胞を計数する請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、顆粒球の生細胞および顆粒球の死細胞を検出し、検出した細胞を計数し、さらに、その計数結果に基づいて顆粒球の死亡率又は生存率を算出する請求項10に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、単核球の生細胞、単核球の死細胞、顆粒球の生細胞および顆粒球の死細胞を検出し、検出した細胞を計数し、さらに、その計数結果に基づいて、単核球と顆粒球の総数に対する、単核球の死細胞と顆粒球の死細胞の総数の割合を算出する請求項10に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、赤血球を検出し、検出した細胞を計数し、さらに、その計数結果に基づいて、ヘマトクリットを算出する請求項10に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、さらに、前記検出部が検出した散乱光および蛍光に基づいて検体に含まれる細胞の総数を計数する請求項1〜13のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、計数された細胞の総数に対する、計数された各細胞のうち少なくとも一種類の細胞の数の割合を算出する請求項14に記載の細胞分析装置。
- 前記分析部は、各計数結果又は各算出結果に基づいて、前記検体が細胞治療に有効か否かを判別する請求項1〜15のいずれか一項に記載の細胞分析装置。
- 検体に細胞内物質を染色する色素による染色処理を施して測定用試料を調製する測定用試料調製工程と、
測定用試料中の各細胞から散乱光および蛍光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程で検出した散乱光および蛍光に基づいて、幹細胞の生細胞およびリンパ球の生細胞を単核球の生細胞として検出する細胞検出工程と、
前記細胞検出工程で検出した単核球の生細胞を計数する計数工程からなる細胞分析方法。
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