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JP4509431B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

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JP4509431B2
JP4509431B2 JP2001209132A JP2001209132A JP4509431B2 JP 4509431 B2 JP4509431 B2 JP 4509431B2 JP 2001209132 A JP2001209132 A JP 2001209132A JP 2001209132 A JP2001209132 A JP 2001209132A JP 4509431 B2 JP4509431 B2 JP 4509431B2
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    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/2403Layers; Shape, structure or physical properties thereof
    • G11B7/24035Recording layers
    • G11B7/24038Multiple laminated recording layers

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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に情報を記録、消去、書き換え、再生する情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
相変化型の情報記録媒体は、結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす記録層を利用して、情報の記録、消去および書き換えを行う。この記録層に高パワーのレーザビームを照射したのちに急冷すると、照射された部分が非晶質相となる。また、記録層の非晶質部分に低パワーのレーザビームを照射したのちに徐冷すると、照射された部分が結晶相となる。したがって、相変化型の情報記録媒体では、高パワーレベルと低パワーレベルとの間でパワーを変調させたレーザビームを記録層に照射することによって、記録層を非晶質相または結晶相に自由に変化させることができる。この情報記録媒体では、非晶質相における反射率と結晶相における反射率との差を利用して情報の記録を行う。
【0003】
近年、情報記録媒体の記録密度を向上させるために、さまざまな技術が研究されている。たとえば、青紫色レーザビームを使用してより小さい記録マークを記録する技術や、光入射側の基板を薄くするとともに開口数が大きいレンズを使用してより小さい記録マークを記録する技術が研究されている。また、片側から入射したレーザビームを用いて2つの記録層の記録・再生を行う技術も研究されている(特開平12−36130号公報参照)。
【0004】
記録マークを小さくするためには、記録層の相変化に要するレーザビームの照射時間を短くする必要がある。したがって、記録層の結晶化速度が速いことが必要とされる。また、2つの記録層を用いて記録・再生を行うためには、光入射側の記録層を薄くして、後方の記録層に十分な光が到達するようにする必要がある。しかしながら、記録層を薄くすると、記録層に含まれる原子の数が減り、また、相変化に伴う原子の移動が抑制されるため、結晶化速度が低下するという問題がある。そのため、薄くても信頼性よく記録が可能な記録層を形成できる材料が求められていた。
【0005】
従来から、記録層の材料としては、Ge−Sb−Te系材料が使われてきた。その中でも、GeTe−Sb2Te3の擬二元系組成は最も結晶化速度が速く、(GeTe):(Sb2Te3)=2:1であるGe2Sb2Te5は、非常に優れた特性を有することが発明者らの実験で分かっている。また、Unoらは、厚さ6nmのGe−Sb−Te記録層を用いた記録再生実験を報告している(M.Uno, K.Nagata and N.Yamada, ”Thinning limitation of Ge-Sb-Te recording filmfor high transmittance media” Proc.of PCOS’99, 83-88)。この実験では、波長が660nmのレーザを用いて9m/sの線速度で記録の消去を行い、30dBという良好な消去率が得られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者らが、Ge−Sb−Te系材料について波長405nmの青紫色レーザを用いて実験したところ、この材料では光入射側の材料として不十分であることがわかった。そのため、従来の記録層では、青紫色レーザを用いて記録・再生を行う2層構造の情報記録媒体を実現することは困難であった。
【0007】
特開平2−147289号公報では、記録層としてTe−Ge−SnにSbを添加して各元素の含有量を限定することによって、記録消去の繰り返し特性が優れ、消去率の経時変動も少ない情報記録媒体が得られることが報告されている。しかしながら、この情報記録媒体に含まれる記録層は1層のみであり、記録層の厚さが30nm〜100nmと厚い場合における実験結果である。この公報には、記録層を薄くした場合のSnの添加効果については示されていない。
【0008】
上記の事実に鑑み、本発明は、2つの記録層を備え高密度記録が可能な情報記録媒体、およびその製造方法、ならびにその記録再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の情報記録媒体は、第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) A Sb 2 Te 3+A (ただし、2≦A≦22)で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=Xの関係を満たすものであり、前記第1の記録層の膜厚は、6nmであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の情報記録媒体は、第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn)ASb2Te3+A(ただし、2≦A≦10)で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=X/2の関係を満たすものであり、前記第1の記録層の膜厚は、6nmであることを特徴とする。
本発明の第3の情報記録媒体は、第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、X/5≦Y≦2Xの関係を満たすものであり、前記第1の記録層の膜厚は、7nm以上9nm以下であることを特徴とする。
本発明の第4の情報記録媒体は、第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、X/2≦Y≦Xの関係を満たすものであり、前記第1の記録層の膜厚は、3nm以上6nm以下であることを特徴とする。
本発明の第5の情報記録媒体は、第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=2Xの関係を満たすものであり、前記第1の記録層の膜厚は、4nm以上6nm以下であることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は一例であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0035】
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の情報記録媒体について一例を説明する。実施形態1の情報記録媒体10について、一部断面図を図1に示す。
【0036】
図1を参照して、情報記録媒体10は、第1の基板11(ハッチングは省略する)と第1の基板11に対向するように配置された第2の基板12と、第1の基板11と第2の基板12との間に配置された第1の情報層13と、第1の情報層13と第2の基板12との間に配置された第2の情報層14と、第1の情報層13と第2の情報層14との間に配置された中間層15とを備える。情報記録媒体10は、第1の基板11側から入射するレーザビーム35によって情報の記録および再生を行う。
【0037】
第1の基板11および第2の基板12は、それぞれ、円盤状の透明な基板である。図1に示すように、第1の基板11および第2の基板12の内側(中間層15側)の表面には、必要に応じてトラッキング制御用のグルーブ(溝)が形成されていてもよい。第1の基板11および第2の基板12の外側の表面は、一般的に平滑である。基板にグルーブが形成されている場合、情報は、グルーブ11a(レーザビーム35の入射側に近い方の溝面)に記録してもよいし、グルーブ11a間の部分(レーザビーム35の入射側から遠い方の溝面であり、以下、ランド11bという)に記録してもよい。また、グルーブ11aとランド11bとの両方に記録してもよい。
【0038】
第1の基板11および第2の基板12は、ガラスや、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)といった樹脂を用いて形成できる。この中でも、グルーブの形成が容易で生産性がよいことからポリカーボネート樹脂が好ましい。第1の基板11は、波長390nm〜430nmの範囲内の光における複屈折が小さいことが好ましい。第1の基板11の厚さは、10μm〜700μm(より好ましくは、50μm〜150μm)の範囲内であることが好ましい。第1の基板11が薄いほど、対物レンズの開口数を大きくできレーザビーム35を絞り込むことができる。たとえば、第1の基板11の厚さが100μmの場合には、開口数が0.85の対物レンズを用いて良好に記録・消去を行うことができる。また、第1の基板11の厚さが600μmの場合には、開口数が0.6の対物レンズを用いて良好に記録・消去を行うことができる。第2の基板12の厚さは、500μm〜1300μm(より好ましくは、900μm〜1300μm)の範囲内であることが好ましい。
【0039】
第1の情報層13は、中間層15側から第1の基板11側に順に配置された、第3の誘電体層24、第4の界面層23、第1の反射層22、第3の界面層21、第2の誘電体層20、第2の界面層19、第1の記録層18、第1の界面層17、および第1の誘電体層16を備える。また、第2の情報層14は、第2の基板12側から中間層15側に順に配置された、第2の反射層31、第7の界面層30、第5の誘電体層29、第6の界面層28、第2の記録層27、第5の界面層26、および第4の誘電体層25を備える。
【0040】
第1の記録層18が結晶相である場合の第1の情報層13の透過率Tc(%)と、第1の記録層18が非晶質相である場合の第1の情報層13の透過率Ta(%)とは、波長390nm〜430nmの範囲内のレーザビームに対して、40≦(Tc+Ta)/2を満たすことが好ましい。また、TcおよびTaは、0≦|Tc−Ta|/Tc≦0.15(より好ましくは、0≦|Tc−Ta|/Tc≦0.05)を満たすことが好ましい。
【0041】
第1、第2および第3の誘電体層16、20および24は、第1の記録層18を環境から保護する機能を有する。また、各層の厚さや材料を選択することによって、光の干渉を利用して、第1の記録層18の光吸収率(%)、ならびに第1の情報層13の光反射率および光透過率を制御することができる。
【0042】
これらの誘電体層の厚さは、たとえばマトリクス法(たとえば、久保田広著「波動光学」岩波書店,1971年,第3章を参照)に基づく計算を用いて決定できる。具体的には、|Rc−Ra|またはRc/Raがより大きく、且つTcおよびTaがより大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができる。ここで、RcおよびTcは、それぞれ、第1の記録層18が結晶相である場合の第1の情報層13の反射率(%)および透過率(%)である。また、RaおよびTaは、それぞれ、第1の記録層18が非晶質相である場合の第1の情報層13の反射率(%)および透過率(%)である。
【0043】
また、これらの誘電体層の波長400nm近傍における、複素屈折率は、第1の記録層18の光吸収率や、第1の情報層13の反射率および透過率を決定する重要な要素である。複素屈折率は、屈折率nと消衰係数kとを用いて、(n−k・i)で表される。大きなTcおよびTaを確保するためには、誘電体層の透明性が高いことが望ましく、具体的には消衰係数kが0.1以下であることが望ましい。
【0044】
誘電体層の屈折率について、発明者らは、マトリクス法を用いたシミュレーションを行うことによって、第1の誘電体層16の屈折率n1と、第2の誘電体層20の屈折率n2と、第3の誘電体層24の屈折率n3とが、第1の情報層13の反射率および透過率に与える影響について調べた。このシミュレーションは、第1の記録層18の厚さを6nmと仮定し、第1の反射層22の厚さを10nmと仮定して行った。その結果、屈折率n1、n2およびn3が、それぞれ、1.7≦n1≦2.5、1.7≦n2≦2.8、2.0≦n3の関係を満足する場合には、|Rc−Ra|またはRc/Raが大きく、且つ、40≦(Tc+Ta)/2を満たす誘電体層の厚さを決定できるという結果が得られた。さらに、2.1≦n1≦2.4、2.0≦n2≦2.8、および2.2≦n3を満足する場合には、Raをより小さくできるため、Rc/Raがより大きく、且つ、50≦(Tc+Ta)/2を満たす誘電体層の厚さを決定できるという結果が得られた。
【0045】
このように、第1、第2および第3の誘電体層16、20および24は、第1の情報層13の透過率(TcおよびTa)を大きくするという機能を有する。この中でも、第3の誘電体層24が特に重要であり、第3の誘電体層24を屈折率が大きい材料、たとえば屈折率が2.3以上の材料で形成することが好ましい。第3の誘電体層24がある場合には、それがない場合と比較して、透過率が絶対値で5%〜10%上昇することも計算で確かめられた。
【0046】
次に、誘電体層の好ましい熱的特性について説明する。第1の記録層18に良好な記録マークを形成するためには、光吸収によって第1の記録層18に発生した熱を、速やかに膜厚方向に逃がして第1の記録層18を急冷することが重要である。そのため、第1の誘電体層16および第2の誘電体層20には、相対的に熱伝導率が小さい材料を用いることが好ましい。熱伝導率が大きい材料を用いると、熱が面内方向に逃げやすくなり、急冷速度が相対的に低下する。一方、第1の反射層22上に形成された第3の誘電体層24には、急冷速度を大きくするために、相対的に熱伝導率が大きい材料を用いることが好ましい。 第1、第2および第3の誘電体層16、20および24は、上記の光学的および熱的な条件を満足するような材料を用いて形成される。これらの誘電体層は、酸化物、窒化物、酸化窒化物、硫化物、炭化物、およびこれらを組み合わせた混合物で形成できる。酸化物としては、たとえば、In23、Nb25、SnO、TiO2、MgO、ZnO、ZrO2、TeO2、Al23、SiO2またはTa25を用いることができる。窒化物としては、たとえば、Si−N、Al−N、Ti−N、Ta−N、Zr−NまたはGe−Nを用いることができる。酸化窒化物としては、たとえば、Al−O−NまたはSi−O−Nを用いることができる。硫化物としては、たとえばZnSを用いることができる。炭化物としては、たとえばSiCを用いることができる。混合物としては、たとえばZnS−SiO2を用いることができる。
【0047】
これらの中でも、第1の誘電体層16および第2の誘電体層20には、ZnS−SiO2が適している。ZnS−SiO2は、屈折率が約2.3の透明な非晶質材料であり、成膜速度も速く、機械的特性および耐湿性に優れている。また、第3の誘電体層24には、TeO2、ZnO、Ta25、ZrO2、またはTiO2といった屈折率が2.3よりも大きい材料が適している。
【0048】
第1の界面層17および第2の界面層19は、第1の誘電体層16と第1の記録層18との間、および第1の記録層18と第2の誘電体層20との間で物質が移動することを防止する機能を有する。また、第3の界面層21および第4の界面層23は、第2の誘電体層20と第1の反射層22との間、および第1の反射層22と第3の誘電体層24との間で物質が移動することを防止する。たとえば、ZnS−SiO2からなる誘電体層を用いた場合に、誘電体層中の硫黄が第1の記録層18や第1の反射層22に拡散することを防止する。これらの界面層は省略することが可能であるが、硫化物からなる誘電体層を用いる場合には、界面層を形成することが好ましい。第1の情報層13の透過率を大きくするためには、界面層の数ができるだけ少ない方が好ましい。
【0049】
これらの界面層の材料には、Si−N、Al−N、Zr−N、Ti−N、Ge−N、Ta−Nといった窒化物、またはこれらを含む窒化酸化物を用いることができる。また、CまたはSiCといった炭化物を用いることもできる。これらの中でも、Ge−Nを含む材料は、反応性スパッタリングで容易に形成でき、機械的特性および耐湿性にも優れている。これら界面層の厚さが厚いと、第1の情報層13の反射率や吸収率が大きく変化してしまうため、これらの界面層の厚さは1nm〜10nm(より好ましくは3nm〜7nm)の範囲内が好ましい。
【0050】
第1の記録層18は、レーザビームの照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を生ずる相変化材料からなる。具体的には、第1の記録層18は、GeとSnとSbとTeとを含む。より具体的には、GeASbBTe3+Aで表される材料のGeの一部をSnで置換した材料、すなわち、組成式が(Ge−Sn)ASbBTe3+A(ただし、2≦A≦22、2≦B≦4)で表される材料を用いることができる。この組成式は、第1の記録層18中に、GeおよびSnが、合計で100*A/(2A+B+3)原子%含まれることを示す。繰り返し記録性能に優れた情報記録媒体を得るために、Aは、2≦A≦10を満たすことがより好ましい。第1の記録層18の厚さは、9nm以下であり、好ましくは、3nm〜9nmの範囲内である。
【0051】
GeTe−Sb2Te3擬二元系組成は、結晶化速度が速い材料として従来から用いられているが、これにSnTeまたはPbTeを固溶させることによってさらに結晶化速度をさらに速くできる。SnTeおよびPbTeは、GeTe−Sb2Te3擬二元系と同様に、結晶構造が岩塩型である。また、SnTeおよびPbTeは、結晶化速度が速く、Ge−Sb−Teと固溶しやすい。本発明者らは、SnTeが、GeTe−Sb2Te3擬二元系組成に固溶させる材料として好ましいことを見いだした。この材料を用いることによって、小さなレーザビームスポットで、より小さな記録マークをより短い間隔で記録層に記録できる。なお、SnTeの代わりにPbTeを加えることも有用である。この場合、好ましいPbの量は、好ましいSnの量と同様である。
【0052】
以上説明したように、GeTe−Sb2Te3擬二元系組成にSnTeを混ぜたGeTe−SnTe−Sb2Te3を第1の記録層18の材料として用いることができる。この場合には、Geの一部がSnで置換され(Ge−Sn)Te−Sb2Te3となり、結晶化速度が大きくなる。さらに、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3に過剰なSbを加えて(Ge−Sn)Te−Sb2Te3−Sbとすることによって、結晶化速度を大きくするとともに結晶化温度を向上させることができ、その結果、記録マークの熱的安定性を向上させることができる。さらに、過剰なSbは結晶格子に入らずに非晶質Sbとなるため、繰り返し記録時における物質の移動を抑制する機能も有する。
【0053】
組成式が(Ge−Sn)ASbBTe3+Aで表される材料を用いる場合、2≦Aとすることによって青紫色の波長域で十分な信号振幅が得られる。また、A≦22とすることによって、融点の上昇、および結晶化速度の低下を防止できる。また、2≦A≦10とすることによって、繰り返し記録特性に優れた情報記録媒体が得られる。
【0054】
次に、組成式が(Ge−Sn)ASbBTe3+Aで表される材料を用いる場合において、材料中に含まれるSnの含有量について説明する。A=B=2の場合、第1の記録層18中に含まれるSnの含有量Y(原子%)は、0<Y≦11を満たすことが好ましい。また、A=2でB=4の場合、0<Y≦15であることが好ましい。また、A=22でB=2の場合、0<Y≦22であることが好ましい。また、A=22でB=4の場合、0<Y≦25であることが好ましい。したがって、上記材料中のSnの含有量は、25原子%以下であることが好ましい。Sn濃度が多すぎると、第1の記録層18の結晶相と非晶質相との間の屈折率変化が小さくなり、記録特性が低下する場合がある。
【0055】
図2を参照しながら、第1の記録層18の好ましい組成範囲について説明する。図2は、(Ge−Sn)の濃度(原子%)、Sbの濃度(原子%)、Teの濃度(原子%)の座標からなる。点aは、[(Ge−Sn),Sb,Te](以下、この順で表示)=(50,0,50)で、(Ge−Sn)Teを示す。点bは、座標が(0,40,60)で、Sb2Te3を示す。従って、線a−bは、(Ge−Sn)ASb2Te3+Aの組成を示す。点cは、(0,57.1,42.9)で、Sb4Te3を示す。従って、線a−cは、(Ge−Sn)ASb4Te3+Aの組成を示す。点dは、座標が(44.9,4.1,51.0)であり、A=22でB=2の組成を示す。点eは、座標が(40,8,52)であり、A=10でB=2の組成を示す。点fは、座標が(22.2,22.2,55.6)であり、A=2でB=2の組成を示す。点gは、座標が(18.2,36.4,45.4)であり、A=2でB=4の組成を示す。点hは、座標が(37,14.8,48.2)であり、A=10でB=4の組成を示す。点jは、座標が(43.1,7.8,49.1)であり、A=22でB=4の組成を示す。したがって、d−f−g−jで囲まれる範囲は、2≦A≦22で2≦B≦4の組成を示す。e−f−g−hで囲まれる範囲は、2≦A≦10で2≦B≦4の組成を示す。線d−fは、2≦A≦22でB=2の組成を示す。線e−fは、2≦A≦10でB=2の組成を示す。
【0056】
組成式(Ge−Sn)ASbBTe3+Aで表される材料を用いて厚さが6nmの第1の記録層18を形成したところ、A、BおよびSnの濃度を選択することによって、390nm〜430nmという短波長のレーザビームを用いた場合でも、良好な記録消去性能が得られた。
【0057】
なお、第1の記録層18の材料として、(Ge−Sn)ASbBTe3+Aに他の元素を加えた材料を用いてもよい。このような、材料は、組成式[(Ge−Sn)ASbBTe3+A100-CC(ただし、0<C≦20)で表される。元素Mには、窒素、Ag、Al、Cr、Mn、Ti、V、Zr、Nb、Mo、Pd、Cu、Au、Ni、Pt、Zn、In、Ga、Al、Si、Se、Bi、W、Ta、Hf、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、およびDyからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を用いることができる。この場合にも、Sn濃度を変えることによって結晶化速度を最適化することができる。
【0058】
第1の反射層22は、光学的には、第1の記録層18に吸収される光量を増大させる働きを有し、熱的には、第1の記録層18で発生した熱を速やかに拡散させ第1の記録層18を非晶質化しやすくするという働きを有する。また、第1の反射層22は、多層膜を使用環境から保護する働きも有する。第1の反射層22の材料としては、たとえば、Al、Au、Ag、またはCuといった熱伝導率が高い単体金属を用いることができる。また、これらの金属を主成分とし、耐湿性の向上または熱伝導率の調整のために1つ以上の他の元素を添加した合金材料を用いることもできる。具体的には、Al−Cr、Al−Ti、Au−Pd、Au−Cr、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−Ti、またはCu−Siといった合金を用いることもできる。これらの合金は、いずれも耐食性および熱伝導率が高い材料である。中でも、Ag合金は、熱伝導率が高い。また、Ag合金は、それ自体の光吸収率を小さくする光学設計がしやすいので、Au系の材料またはAl系の材料を用いる場合よりも光を透過光に配分しやすい。第1の記録層18の光吸収率と、第1の情報層13の透過率とのバランスを考慮すると、第1の反射層22の厚さは、5nm〜15nm(より好ましくは、8nm〜12nm)が好ましい。厚さを5nm以上とすることによって、十分な放熱機能が得られる。また、厚さを15nm以下とすることによって、第1の情報層13の透過率が低くなりすぎることを防止できる。
【0059】
次に、第2の情報層14について説明する。第4および第5の誘電体層25および29は、第2の記録層27を環境から保護する機能を有する。また、これらの誘電体層の厚さと屈折率とを選択することによって、第2の記録層27の光吸収効率を高めることができ、また、記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を大きくすることができる。これらの誘電体層は、第1、第2および第3の誘電体層16、20および24について説明した材料で形成できる。これらの誘電体層は、異なる材料で形成してもよいし、同一の材料で形成してもよい。
【0060】
第5の界面層26および第6の界面層28は、第4の誘電体層25と第2の記録層27との間、および第2の記録層27と第5の誘電体層29との間で物質が移動することを防止する。第7の界面層30は、第5の誘電体層29と第2の反射層31との間で物質が移動することを防止する。これらの界面層は、第1および第2の界面層17および19と同様の材料で形成でき、好ましい厚さも同様である。
【0061】
第2の記録層27には、第1の情報層13を透過したレーザビーム35によって情報の記録、消去および再生が行われる。第2の記録層27に記録された情報の再生は、第2の情報層14によって反射されたレーザビームを用いて行うため、第2の情報層14の反射率が高いことが好ましい。
【0062】
第2の記録層27は、レーザビームの照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を生ずる相変化材料からなる。具体的には、Ge−Sb−Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Te、In−Sb−Te、Sb−Te、Ge−Te、またはAg−In−Sb−Teといった材料を用いることができる。あるいは、これらの材料に、Au、Ag、Cu、Al、Ga、Pd、Pt、Ni、Ce、Cr、Bi、Sn、Se、In、La、C、Si、Ti、Mo、W、Ta、Hf、Zr、NbおよびVからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を加えた材料を用いることもできる。あるいは、これらの材料にさらに窒素または酸素を添加した材料を用いることもできる。
【0063】
また、第2の記録層27の材料として、第1の記録層18と同じGe−Sn−Sb−Te系の材料を用いてもよい。この場合、第2の記録層27は第1の記録層18よりも厚いため、Snの含有量は第1の記録層18よりも少なくてよい。組成式(Ge−Sn)ASbBTe3+Aで表される材料を用いる場合には、2≦A≦10で2≦B≦4であることが好ましい。第2の記録層27に入射するレーザビームは弱いため、第2の記録層27は、融点が低い材料で形成されることが好ましい。A=15の場合には、融点が高くなって記録感度が低下する。A=2の場合には、Snの含有量Y(原子%)は、0<Y≦5であることが好ましい。また、A=10の場合には、0<Y≦15であることが好ましい。
【0064】
第2の記録層27が薄すぎると、第2の情報層14の反射率が低下する。また、第2の記録層27が厚すぎると、第2の記録層27で発生した熱が面方向に拡散しやすくなるため小さい記録マークが形成されにくくなる。したがって、第2の記録層27の厚さは、8nm〜15nmであることが好ましい。
【0065】
第2の反射層31は、第2の記録層27に吸収される光量をを増大させる。また、第2の記録層27で発生した熱を速やかに拡散させ、第2の記録層27の非晶質化を容易にするという機能を有する。第2の反射層31は、第1の反射層22で説明した材料で形成できる。第2の反射層31の厚さは、30nm〜150nm(より好ましくは、70nm〜90nm)の範囲内であることが好ましい。第2の反射層31が30nmより薄いと熱拡散機能が小さくなって第2の記録層27が非晶質化しにくくなる。また、第2の反射層31が150nmより厚いと熱拡散機能が大きくなりすぎて第2の記録層27の記録感度が低下する。
【0066】
中間層15は、第1の記録層18のフォーカス位置と第2の記録層27のフォーカス位置とを区別するために形成される。中間層15には、トラッキング制御用のグルーブが形成されていてもよい。中間層15は、光硬化性樹脂または遅効性樹脂を用いて形成できる。中間層15の材料は、レーザビーム35の波長λにおいて、光吸収が少ないことが好ましい。中間層15の厚さは、レーザビーム35を集光する対物レンズの開口数NAと、レーザビーム35の波長λ(nm)とで決定される焦点深度ΔZ以上である。焦光点の強度を無収差の場合の80%とする場合、焦点深度ΔZはΔZ=λ/{2(NA)2}の式で近似できる。λ=400nm、NA=0.6のとき、ΔZ=0.556μmとなる。この場合、±0.6μm以内は焦点深度内となるので、中間層15の厚さは1μm以上でなければならない。一方、第1の記録層18と第2の記録層27との両方にレーザビーム35を集光させることができるように、中間層15の厚さは50μm以下とすることが好ましい。
【0067】
なお、図1に示した情報記録媒体は一例である。たとえば、本発明の情報記録媒体は、図3に示す情報記録媒体10aを含む。また、本発明の情報記録媒体では、各誘電体層の材料、各界面層の材料、各反射層の材料は、それぞれ、同じでも異なってもよい。
【0068】
(実施形態2)
実施形態2では、情報記録媒体を製造するための本発明の製造方法について説明する。なお、実施形態1で説明した部分と同様の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0069】
実施形態2の製造方法で製造される情報記録媒体10aについて、断面図を図3に示す。この製造方法では、まず、第2の基板12上に第2の情報層14を形成する(工程(a))。以下に、第2の情報層14の形成方法を説明する。
【0070】
最初に、トラッキング制御用のグルーブが形成された第2の基板12(たとえば、厚さ1.1mm)を用意し、この基板を成膜装置内に配置する。そして、第2の基板12のグルーブが形成された側に、第2の反射層31、第7の界面層30、第5の誘電体層29、および第6の界面層28を順に形成する。第2の反射層31は、金属からなる母材をArガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。各界面層および誘電体層は、スパッタリング法(たとえば反応性スパッタリング法)によって形成できる。スパッタリングガスには、Arガス、またはArガスと反応性ガスとの混合ガスを用いることができる。
【0071】
次に、第2の記録層27を形成する。第2の記録層27は、スパッタリング法によって形成できる。母材には、形成する第2の記録層27の組成に応じた母材(たとえば、Ge−Sb−Te合金)を用いる。スパッタリングガスには、Arガス、Krガス、Arガスと反応性ガス(N2またはO2から選ばれる少なくとも1つのガスである。以下、同様である。)との混合ガス、またはKrガスと反応性ガスとの混合ガスを用いることができる。
【0072】
次に、第5の界面層26と第4の誘電体層25を順に形成する。これらの層は、上述した方法で形成できる。第4の誘電体層25の形成後に、必要に応じて第2の記録層27を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。
【0073】
次に、第2の情報層14上に中間層15を形成する(工程(b))。図3に示すように、この実施形態では、中間層15の第1の基板11側の表面にトラッキング制御用のグルーブを形成する場合について説明する。まず、第4の誘電体層25上に、中間層15の材料となる硬化前の紫外線硬化性樹脂を塗布する。紫外線硬化性樹脂は、たとえばスピンコート法で塗布できる。次に、トラッキング制御用のグルーブの形状が転写された透明な基板(たとえばポリカーボネート基板)を用意する。そして、この基板のグルーブが形成された面を樹脂に密着させたのち、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、グルーブを転写する。その後、基板を剥離することによって、トラッキング制御用のグルーブが形成された中間層15を形成できる。
【0074】
次に、中間層15上に、第1の情報層13を形成する(工程(c))。以下に、第1の情報層13の形成方法について説明する。
【0075】
まず、中間層15上に、第3の誘電体層24、第4の界面層23、第1の反射層22、第3の界面層21、第2の誘電体層20、および第2の界面層19を順に形成する。これらの層は、第2の情報層14で説明した方法で形成できる。
【0076】
次に、第2の界面層19上に第1の記録層18を形成する。第1の記録層18の組成は、実施形態1で説明したものと同様である。第1の記録層18は、GeとSnとSbとTeとを含む母材を用いて厚さが9nm以下となるように形成される。具体的には、Ge−Sn−Sb−Te合金の母材をスパッタリングすることによって形成できる。また、Ge、Sn、SbおよびTeの4つの母材を4つの電源を用いて同時にスパッタリングすることによっても形成できる。また、Ge、Sn、Sb、Teのうち複数を含む化合物からなる母材を用いてもよい。スパッタリングガスには、Arガス、Krガス、Arガスと反応性ガスとの混合ガス、またはKrガスと反応性ガスとの混合ガスを用いることができる。第1の記録層18は、0.1nm/秒〜10nm/秒の範囲内の成膜速度で形成することが好ましい。成膜速度は、電極に印加するパワーによって制御できる。成膜速度を0.1nm/秒以上とすることによって、スパッタリングガスが記録層に過剰に混入することを防止できる。また、成膜速度を10nm/秒以下とすることによって、記録層の厚さの制御が容易になる。
【0077】
上記方法によれば、母材の組成や形状に依らず、形成された第1の記録層18について反応性ガス成分を除いた組成が、(Ge−Sn)ASbBTe3+Aになっていれば、特に優れた情報記録媒体が得られる。
【0078】
次に、第1の記録層18上に、第1の界面層17および第1の誘電体層16を順に形成する。これらは、上述した方法で形成できる。第1の誘電体層16を形成したのちに、第1の記録層18にレーザビームを照射して、第1の記録層18の全体を結晶化する初期化工程を行ってもよい。
【0079】
その後、第1の情報層13上に、第1の基板11を接着する(工程(d))。まず、第1の誘電体層16上に、硬化前の樹脂を塗布する。樹脂には、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂を用いることができる。樹脂は、スピンコート法などによって塗布できる。この樹脂は、硬化によって接着層36となる。接着層36の厚さは、5μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。その後、硬化前の樹脂上に第1の基板11を密着させ、紫外線や電子線を照射することによって樹脂を硬化させる。このようにして、接着層36によって第1の誘電体層16と第1の基板11とを接着する。なお、接着層36の材料として、遅効性樹脂を用いてもよい。また、第1の基板11上に、傷を防止するためのハードコート層を形成してもよい。ハードコート層は、たとえば紫外線硬化性樹脂によって形成できる。
【0080】
このようにして、実施形態1で説明した情報記録媒体を製造できる。なお、実施形態1で説明した情報記録媒体は、他の方法でも製造できる。たとえば、第1の基板11上に第1の情報層13を形成し、第2の基板12上に第2の情報層14を形成し、これらを中間層15を介して貼りあわせてもよい。各層については、上述した方法で形成できる。
【0081】
(実施形態3)
実施形態3では、本発明の情報記録媒体の記録再生方法について説明する。
【0082】
本発明の記録再生方法に用いる記録再生装置について一例を図4に示す。図4を参照して、記録再生装置40は、情報記録媒体10を回転させるスピンドルモータ41と光ヘッド42とを備える。光ヘッド42は、レーザビーム43を出射する半導体レーザ44と、レーザビーム43を集光する対物レンズ45と、情報記録媒体10によって反射されたレーザビーム43を検出するフォトダイオード(図示せず)とを備える。
【0083】
情報記録媒体10は、実施形態1で説明した本発明の情報記録媒体である。レーザビーム43の波長は、390nm〜430nmの範囲内である。対物レンズ45は、開口数が0.4〜1.1の範囲内である。
【0084】
実施形態3の記録再生方法では、情報記録媒体10を1m/秒〜50m/秒の範囲内の線速度になるように回転させることによって情報の記録、再生、および消去を行うことが好ましい。
【0085】
情報記録媒体10がトラッキング制御用のグルーブを備える場合、情報は、グルーブ11aの部分のみに記録してもよいし、ランド11bの部分のみに記録してもよい(図1参照)。また、情報は、グルーブ11aとランド11bの両方に記録してもよい。たとえば、第1の情報層13および第2の情報層14にともにグルーブが形成されている場合、第1の情報層13/第2の情報層14への情報記録は、グルーブ記録/グルーブ記録、グルーブ記録/ランド記録、ランド記録/グルーブ記録、またはランド記録/ランド記録のいずれでもよい。
【0086】
情報は、照射するレーザビーム43を高い方のピークパワーPp(mW)と低い方のバイアスパワーPb(mW)とに変調させることによって記録する。Ppのレーザビームの照射によって非晶質相が形成され、これが記録マークとなる。記録マーク間には、Pbのレーザビームの照射によって、結晶相が形成される。
【0087】
第1の情報層13を記録再生する際には、第1の記録層18に焦点を合わせてレーザビーム43を照射する。情報の再生は、第1の記録層18から反射してきたレーザビーム43を検出することによって行う。第2の情報層14を記録再生する際には、第2の記録層27に焦点を合わせてレーザビーム43を照射する。情報の再生は、第2の記録層27によって反射され、中間層15と第1の情報層13とを透過してきたレーザビーム43を検出することによって行う。
【0088】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0089】
(実施例1)
実施例1では、記録層の材料と特性との関係について評価した。まず、図5に示すサンプル50を作製した。図5のサンプル50は、第1の基板51上に形成された第1の情報層13aを備える。第1の情報層13aは、接着層52によってダミー基板53に接着されている。以下に、サンプル50の作製方法を説明する。
【0090】
まず、基板51として、12mm×18mmのポリカーボネート基板(厚さ:0.6mm)を用意した。そして、基板51上に、第1の誘電体層16(厚さ:90nm)、第1の界面層17(厚さ:3nm)、第1の記録層18、第2の界面層19(厚さ:3nm)、第2の誘電体層20(厚さ:36nm)、第3の界面層21(厚さ:3nm)、および第1の反射層22(厚さ:10nm)を順にスパッタリング法によって形成した。
【0091】
実施例1では、各誘電体層にZnS−SiO2(SiO2:20mol%)を用い、各界面層にGe−Nを用い、第1の反射層22にAg合金を用いた。また、第1の記録層18は、組成式(Ge−Sn)4Sb2Te7で表される材料(GeとSnの含有量が合計で30.8原子%)で形成した。第1の記録層18は、初期化は行わず、非晶質状態のままとした。実施例1では、第1の記録層18中のGeの含有量X(原子%)とSnの含有量Y(原子%)とを変化させて複数のサンプルを作製した。
【0092】
第1の記録層18の厚さは、3nm〜12nmの範囲内で変化させた。第1および第2の誘電体層16および20の厚さは、波長405nmにおける第1の記録層18の反射率変化が大きく且つ第1の記録層18の光吸収率が大きくなるように、マトリクス法に基づく計算によって決定した。
【0093】
各誘電体層は、ZnS−SiO2の母材(直径100mm、厚さ6mm)をAr雰囲気中で高周波スパッタリング(パワー:400W)することによって形成した。各界面層は、Geの母材(直径100mm、厚さ6mm)をArガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気中で高周波スパッタリング(パワー:300W)することによって形成した。第1の記録層18は、Ge−Sn−Sb−Te合金の母材(直径100mm、厚さ6mm)をArガス雰囲気中で直流スパッタリング(パワー:50W)することによって形成した。第1の記録層18の成膜速度は、0.5nm/秒であった。第1の反射層22は、銀合金の母材(直径100mm、厚さ6mm)を直流スパッタリング(パワー:200W)することによって形成した。
【0094】
次に、第1の反射層22上に、接着層52となる紫外線硬化性樹脂を塗布し、ダミー基板53を密着させて樹脂を硬化させ、第1の反射層22とダミー基板53とを接着層52で接着した。初期化は行わず、第1の記録層18は、成膜後の非晶質相(as−depo非晶質相)のままとした。このようにして、複数のサンプル50を作製した。
【0095】
このようにして作製したサンプルについて、図6に示す評価装置を用いて評価を行った。図6の評価装置は、ステージ61と光ヘッド62とを備える。光ヘッド62は、波長405nmのレーザビーム63を出射する半導体レーザ64と、開口数が0.65の対物レンズ65とを備える。
【0096】
次に、サンプルの評価方法について説明する。まず、サンプル50をステージ61に固定した。そして、サンプル50に、3.5mWで500nsのパルスレーザを照射し、第1の記録層18をas−depo非晶質相から結晶相に変化させた。次に、サンプル50に、7mWで40nsのパルスレーザを照射し、第1の記録層18を結晶相から一旦溶かして非晶質相に変化させた。その後、3mWのパルスレーザを、照射時間が10ns〜500nsの範囲内で照射し、非晶質相を結晶相に変化させるのに必要な時間を測定した。なお、相変化が生じたかどうかは、反射率で決定した。測定結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0004509431
【0098】
表1中、結晶化時間とは、非晶質相を結晶相に変化させるのに必要とされるレーザの照射時間である。この結晶化時間が短いほど、第1の記録層18の結晶化速度が速い。
【0099】
表1に示すように、Snの濃度が高くなるほど結晶化時間が短くなる傾向があった。また、記録層が薄くなるほど、その傾向が大きくなった。このように、記録層が薄い場合であっても、Ge−Sb−TeにSnを添加することによって、結晶化時間を短くできた。
【0100】
(実施例2)
実施例2では、図1に示した第1の情報層13を作製し、その透過率を測定した。
【0101】
まず、第1の基板11として、直径120mmで厚さ0.1mmのポリカーボネート基板を用意した。そして、この基板上に、第1の誘電体層16(厚さ:110nm)、第1の界面層17(厚さ:3nm)、第1の記録層18、第2の界面層19(厚さ:3nm)、第2の誘電体層20(厚さ:22nm)、第3の界面層21(厚さ:3nm)、第1の反射層22(厚さ:10nm)、第4の界面層23(厚さ:3nm)、および第3の誘電体層24(厚さ:17nm)を順にスパッタリング法によって形成した。第1の記録層18の厚さは、3nm〜12nmの範囲内で変化させた。第1および第2の誘電体層16および20の厚さは、波長405nmにおける第1の記録層18の反射率変化が大きく且つ第1の記録層18の光吸収率が大きくなるように、マトリクス法に基づく計算によって決定した。また、第3の誘電体層24の厚さは、第1の情報層13の記録・再生特性に影響を与えることなく第1の情報層13の透過率が高くなるように決定した。
【0102】
各界面層には、実施例1と同様にGe−Nを用いた。各誘電体層には、実施例1と同様にZnS−SiO2(SiO2:20mol%)を用いた。第1の記録層18には、組成式(Ge−Sn)4Sb2Te7(Ge:20.8原子%、Sn:10原子%)で表される材料を用いた。
【0103】
このようにして得られた第1の情報層13を、紫外線硬化性樹脂を用いてダミー基板に貼りあわせた。このようにして、透過率測定用のサンプルを得た。
【0104】
これらのサンプルについて、第1の記録層18が非晶質相であるときの透過率Taを測定した。その後、第1の記録層18を結晶化して、透過率Tcを測定した。透過率は、波長405nmにおける値を分光器で測定した。測定結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
Figure 0004509431
【0106】
第2の情報層14に十分な量のレーザビームを入射させるには、第1の情報層13の透過率が、40≦(Tc+Ta)/2を満たすことが好ましい。表2から明らかなように、第1の記録層18の厚さを9nm以下とすることによってこの条件を満たすことができ、6nm以下とすることによって、50≦(Tc+Ta)/2を満たすことができる。したがって、第1の記録層18の厚さは、9nm以下が好ましい。
【0107】
(実施例3)
実施例3では、図1に示した情報記録媒体10を製造し、第1の記録層18の組成および厚さと、特性との関係について調べた。
【0108】
まず、第1の基板11として、直径120mmで厚さ0.1mmのポリカーボネート基板を用意した。そして、この基板上に、第1の誘電体層16(厚さ:45nm)、第1の界面層17(厚さ:3nm)、第1の記録層18、第2の界面層19(厚さ:3nm)、第2の誘電体層20(厚さ:11nm)、第3の界面層21(厚さ:3nm)、第1の反射層22(厚さ:10nm)、第4の界面層23(厚さ:3nm)、および第3の誘電体層24(厚さ:23nm)を順にスパッタリング法によって形成した。第1の記録層18の厚さは、3nm〜9nmの範囲内で変化させた。
【0109】
界面層および誘電体層については、それぞれ、実施例2のサンプルと同様の材料で形成した。第1の記録層18は、組成式(Ge−Sn)4Sb2Te7で表される材料を用い、Snの含有量を0〜20原子%の範囲で変化させた。各層は、実施例1と同様の方法で作製した。
【0110】
次に、第2の基板12として、直径120mmで厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を用意した。そして、この基板上に、第2の反射層31(厚さ:80nm)、第7の界面層30(厚さ:3nm)、第5の誘電体層29(厚さ:11nm)、第6の界面層28(厚さ:3nm)、第2の記録層27(厚さ:12nm)、第5の界面層26(厚さ:3nm)、および第4の誘電体層25(厚さ:65nm)をスパッタリング法によって形成した。各誘電体層の厚さは、第2の記録層27の記録・再生特性がよくなるように、マトリクス法に基づく計算によって決定した。
【0111】
第2の反射層31には、Ag合金を用いた。各界面層には、Ge−Nを用いた。各誘電体層には、ZnS−SiO2(SiO2:20mol%)を用いた。第2の記録層27には、組成式Ge4Sb2Te7で表される材料を用いた。誘電体層、界面層および反射層は、それぞれ、実施例1で説明した方法で形成した。第2の記録層27は、Ge−Sb−Te合金の母材をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気中で直流スパッタリング(パワー:100W)することによって形成した。
【0112】
次に、第1の記録層18と第2の記録層27とを、それぞれ初期化、すなわち結晶化した。その後、第1の情報層13と第2の情報層14とを紫外線硬化性樹脂を用いて接着した。このようにして、第1の記録層18の組成および厚さが異なる複数のサンプルを作製した。
【0113】
このようにして得られたサンプルについて、記録マークの消去率と、CNR(Carrier to Noise Ratio)とを測定した。この測定には、図4に示した記録再生装置を用いた。具体的には、波長が405nmのレーザビームを用い、開口数が0.85の対物レンズを用いた。消去率およびCNR測定時における情報記録媒体10の線速度は、8.6m/sとした。信号は、ランド部分(図1のランド11b参照)に記録した。測定結果を表3に示す。
【0114】
【表3】
Figure 0004509431
【0115】
情報記録媒体では、消去率は20dB以上であることが好ましく、30dB以上であることがより好ましい。また、CNRは、40dB以上であることが好ましく、50dB以上であることがより好ましい。
【0116】
表3に示すように、Snを添加していないサンプル3−1〜3−7では、消去率およびCNRがともに低く、特に、層厚が6nm以下の場合には消去率が10dB以下であった。Snを添加すると消去率が向上し、厚さが6nmで10原子%のSnを含有する第1の記録層18を用いたサンプル3−18では、消去率が34dBでCNRが52dBという良好な結果が得られた。
【0117】
実施例3の結果では、Geの含有量X(原子%)と、Snの含有量Y(原子%)とが、約X/5≦Y≦約2Xを満たす場合に、良好な記録消去特性が得られた。特に、約X/2≦Y≦約Xを満たす場合には、消去率およびCNRがともに優れた特性を示した。
【0118】
なお、実施例3の結果は、情報記録媒体の線速度が8.6m/sの場合の結果であり、線速度を遅くすると消去率およびCNRは高くなる。
【0119】
なお、実施形態2の製造方法で情報記録媒体10aを作製し、本実施例を実施したところ同様の結果が得られた(以下の実施例5、6、7、8、10および11についても、同様であった)。
【0120】
(実施例4)
実施例4では、第1の記録層18が異なることを除いて実施例1と同様のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0121】
実施例4では、第1の記録層18の厚さを6nmとし、組成式(Ge−Sn)ASb2Te3+Aで表される材料を用いた。そして、Aの値を変化させた複数のサンプルを作製し、組成と結晶化時間との関係を評価した。Snの含有量Y(原子%)は、Geの含有量X(原子%)の約半分とした。結晶化時間の測定結果を表4に示す。
【0122】
【表4】
Figure 0004509431
【0123】
表4から明らかなように、Aの値を大きくすると結晶化時間が長くなる傾向があることがわかった。
【0124】
(実施例5)
実施例5では、第1の記録層18が異なることを除いて実施例3と同様のサンプルを作製し、実施例3と同様の方法でCNRおよび消去率を測定した。第1の記録層18は、厚さを6nmとし、組成式(Ge−Sn)ASb2Te3+Aで表される材料を用いて形成した。そして、Aの値を変化させた複数のサンプルを作製した。Snの含有量Y(原子%)は、Geの含有量X(原子%)の約半分とした。測定結果を表5に示す。
【0125】
【表5】
Figure 0004509431
【0126】
表5に示すように、Aの値が小さいとCNRが低くなり、Aの値が大きいと消去率が低下する傾向があった。この傾向は、実施例4の結果と一致している。実施例5の記録層を用いた場合には、Aが、2≦A≦10を満たすことが好ましい。
【0127】
(実施例6)
実施例6では、第1の記録層18が異なることを除いて実施例3と同様のサンプルを作製し、実施例3と同様の方法でCNRおよび消去率を測定した。第1の記録層18は、厚さを6nmとし、組成式(Ge−Sn)ASb2Te3+Aで表される材料を用いて形成した。そして、Aの値を変化させた複数のサンプルを作製した。実施例5とは異なり、Snの含有量Y(原子%)は、Geの含有量X(原子%)とほぼ同じとした。測定結果を表6に示す。
【0128】
【表6】
Figure 0004509431
【0129】
表6から明らかなように、実施例6の記録層を用いた場合には、Aが、2≦A≦22を満たすことが好ましい。
【0130】
(実施例7)
実施例7では、第1の記録層18が異なることを除いて実施例3と同様のサンプルを作製した。第1の記録層18は、膜厚を6nmとし、組成式(Ge−Sn)22SbBTe25で表される材料で形成した。実施例7では、Bの値を変えた複数のサンプルを作製した。
【0131】
これらのサンプルについて、図5の装置を用いてサイクル寿命回数(以下、記録サイクル性能という場合がある)と、記録保存性とを評価した。サイクル寿命回数は、3T信号とランダム信号とを繰り返し記録し、3T信号が3dB低下するまでの回数とした。記録保存性は、3T信号を記録したサンプルを温度が90℃で相対湿度が20%の環境下に100時間放置し、3T信号の振幅の低下を測定して評価した。評価結果を表7に示す。
【0132】
【表7】
Figure 0004509431
【0133】
表7中、A1〜D1はサイクル寿命回数を示す。具体的には、D1<1000、1000≦C1<5000、5000≦B1<10000、10000≦A1である。また、A2〜E2は、3T信号の振幅の低下量を示す。具体的には、3dB≦D2、1dB≦C2<3dB、0dB<B2<1dB、A2=0dBである。また、E2は、結晶化速度が遅く、消去率が10dB未満であったことを示す。
【0134】
表7に示すように、記録層中のSbの濃度が高い方がサイクル性能が向上した。また、Sbの濃度とSnの濃度とをともに増やすことによって、サイクル性能と記録保存性とがともに良好になる組成範囲が広がった。したがって、実施例7の記録層(A=22)を用いる場合、Snの含有量Y(原子%)とBとが、それぞれ、0<Y≦25、2≦B≦4を満たすことが好ましい。
【0135】
(実施例8)
実施例8では、第1の記録層18の組成のみが実施例7とは異なるサンプルを作製し、実施例7と同様の測定を行った。具体的には、組成式(Ge−Sn)2SbBTe5で表される材料を用いて第1の記録層18を形成した。その結果、実施例8の記録層(A=2)を用いた場合、BおよびYが、それぞれ、2≦B≦4、0<Y≦15を満たすことが好ましかった。
【0136】
(実施例9)
実施例9では、第1の記録層18および第1の反射層22が異なることを除いて実施例2と同様のサンプルを作製した。具体的には、第1の記録層18は、組成式が(Ge−Sn)4Sb2Te7で表される材料を用い、膜厚を1nm〜9nmの範囲内で変化させた。第1の反射層22にはAg合金を用い、厚さを3、5、7、10、12、15、17、20nmとした。
【0137】
作製した複数のサンプルについて、反射率、透過率、および3T信号の振幅を測定した。その結果、第1の反射層22の厚さは、5nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜12nmの範囲内であることがより好ましいことがわかった。第1の反射層22がない場合には、第1の情報層13の反射率が低下した。また、第1の反射層22が5nmより薄いと、熱の拡散機能が低下して3T信号の振幅が小さくなった。また、15nmより厚いと、第1の情報層13の透過率が低下した。
【0138】
(実施例10)
実施例10では、第1の記録層18および情報信号の記録位置を変化させたことを除いて実施例3と同様の方法でサンプルを作製した。具体的には、第1の記録層18は、厚さを6nmとし、組成式が(Ge−Sn)4Sb2Te7(ただし、Sn:10原子%)で表される材料で形成した。情報は、トラッキング制御のために形成したグルーブ(レーザビームの入射側に近い方の溝面)またはランド(レーザビームの入射側から遠い方の溝面)のいずれかに記録した。
【0139】
これらのサンプルの第1の情報層13の透過率は、平均で50%であった。これらのサンプルについて消去率とCNRとを実施例3と同様の方法で測定した。なお、実施例10では、記録マーク(非晶質相)を形成する際のレーザビームのパワーPpと、結晶相を形成する際のレーザビームのパワーPbとについても変化させた。測定結果を表8に示す。
【0140】
【表8】
Figure 0004509431
【0141】
表8から明らかなように、第1の情報層13の記録位置がグルーブの部分であるかランドの部分であるか、および第2の情報層14の記録位置がグルーブの部分であるかランドの部分であるかに拘わらず、30dB≦(消去率)、および50dB≦CNRの良好な結果が得られた。すなわち、信号の記録位置に拘わらず、第1の情報層13および第2の情報層14の特性はともに良好であった。
【0142】
(実施例11)
実施例11では、第1の記録層18および第2の記録層27の形成方法とが異なることを除いて、実施例3のサンプル3−18と同様にサンプルを作製した。具体的には、第1の記録層18および第2の記録層27は、クリプトンガス雰囲気中で直流スパッタリングを行うことによって形成した。このようにして得られたサンプルについて、ランド部分(図1のランド11b参照)に信号を記録し、記録サイクル性能を評価した。記録サイクル性能の評価では、3T信号のCNRを測定することによって行い、初期のCNR値から3dB低下するまでの回数を記録サイクル寿命とした。評価結果を表9に示す。
【0143】
【表9】
Figure 0004509431
【0144】
表9から明らかなように、アルゴンガス雰囲気中で記録層を形成したサンプル3−18に比べて、クリプトンガス雰囲気中で記録層を形成したサンプル9−1は、サイクル性能が約1.5倍に改善された。
【0145】
(実施例12)
実施例12では、SbおよびSnの添加が、結晶化温度および結晶化時間に与える影響を調べた。結晶化温度測定用に石英基板上に第1の記録層18として(Ge−Sn)4SbBTe7層を6nm成膜し、その上にGe−N層を5nm成膜した。A=4で一定とし、BとYの値を変えたサンプルを5種類製造した。これらのサンプルについて、結晶化温度を測定した。結晶化温度は、結晶化に伴う急激な透過率低下が生じた温度で定義した。透過率変化は、サンプルをレーザビームで昇温しながら測定した。結晶化時間は、実施例1と同様に、図5のサンプル50を作製し、図6の評価装置を用いて測定した。その際、結晶化温度測定用のサンプルと第1の記録層18の組成が同じであるサンプルを5種類測定した。第1の記録層18の厚さは6nmとした。測定結果を表10に示す。
【0146】
【表10】
Figure 0004509431
【0147】
試料番号1−4、1−24、1−34を比較すると、B=2でSnのみ添加すると、結晶化時間は、90ns→50ns→20nsと短くなり、それに伴って、結晶化温度は200℃→180℃→170℃と、30℃低下した。結晶化温度の低下は、記録マークの熱的な安定性を損なう。これに対し、Sbを増やしてB=3にすると、結晶化時間は90ns→55ns→22nsとほぼ同等に短くなるが、結晶化温度は200℃→195℃→185℃と、15℃の低下に抑えられた。このように、Snのみ添加するよりも、SbとSnを添加した方が、熱安定性を確保しつつ、結晶化時間を短くすることが可能となる。
【0148】
(実施例13)
実施例13では、第1の情報層のTc、Taおよび|ΔT|/Tc(ここで、ΔT=Tc−Ta)の値と第2の情報層の記録特性との関係を調べた。
【0149】
図3の情報記録媒体10aを実施形態2の方法に準じて製造した。製造したサンプルについて図4の評価装置を用いて、第1の情報層13が初期状態(全面結晶)または記録状態(結晶状態と非晶質状態の混在)である場合の第2の情報層14の記録感度の変化を測定した。第1の誘電体層16、第2の誘電体層20、および第3の誘電体層24の厚さを変えて、TcおよびTaが異なる情報記録媒体10aを製造した。
【0150】
まず、第2の基板12として、直径120mmで厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を用意した。そして、この基板上に、第2の情報層14を形成した。具体的には、第2の反射層31(厚さ:80nm)、第7の界面層30(厚さ:3nm)、第5の誘電体層29(厚さ:11nm)、第6の界面層28(厚さ:3nm)、第2の記録層27(厚さ:12nm)、第5の界面層26(厚さ:3nm)、および第4の誘電体層25(厚さ:65nm)を、順にスパッタリング法によって形成した。第2の記録層27は、組成式Ge8Sb2.6Te11で表される材料で形成した。その他の層は、実施例3のサンプルと同様の材料で形成した。
【0151】
次に、第2の情報層14にレーザビームを照射することによって、第2の記録層27を非晶質相から結晶相に変化させる初期化を行った。
【0152】
次に、第4の誘電体層25上に、グルーブが転写された中間層15を紫外線硬化性樹脂で形成した。
【0153】
次に、中間層15上に第1の情報層13を形成した。具体的には、第3の誘電体層24、第4の界面層23(厚さ:3nm)、第1の反射層22(厚さ:10nm)、第3の界面層21(厚さ:3nm)、第2の誘電体層20、第2の界面層19(厚さ:3nm)、第1の記録層18(厚さ:6nm)、第1の界面層17(厚さ:3nm)、および第1の誘電体層16を順にスパッタリング法によって形成した。次に、第1の情報層13にレーザビームを照射することによって、第1の記録層18を非晶質相から結晶相に変化させる初期化を行った。
【0154】
第1の記録層18は、組成式(Ge−Sn)8Sb2Te11(Sn:10原子%)で表される材料で形成した。その他の層については、実施例3と同様の材料で形成した。
【0155】
次に、紫外線硬化性樹脂を用いて、第1の情報層13と第1の基板11とを接着した。第1の基板11には、直径が120mmで厚さが0.09mmのポリカーボネート基板を用いた。接着層36の厚さと第1の基板11の厚さとの合計は、0.1mmであった。
【0156】
図4の評価装置を用いて、第1の情報層13が初期化状態の時、第2の情報層14に線速度5m/sで3T信号をグルーブの部分に記録した。50dBのCNRが得られるPp(mW)とPb(mW)とを測定した。次に、第1の情報層13のグルーブの部分に3T信号を記録し、その記録部分を透過したレーザビームが集光する、第2の情報層14のグルーブの部分に3T信号を記録し、測定した。
【0157】
TcおよびTaは、第1の情報層13のみを成膜したディスク試料を作製して、実施例2と同様に分光器で測定した。測定結果を表11に示す。
【0158】
なお、表中のD1、D2およびD3は、それぞれ、第1、第2および第3の誘電体層16、20および24の厚さを示している。
【0159】
【表11】
Figure 0004509431
【0160】
表11に示すように、|ΔT|/Tcが小さい方が、第2の情報層14は、第1の情報層13の状態に依らず、記録感度変化が小さいことが検証できた。また、ユーザが情報記録媒体を使用して、新しいファイルを保存していくにつれて、記録された領域が増えていくので、透過率の低下が伴わないようにTc<Taを満足することがより好ましい。サンプル11−3は、(Tc+Ta)/2=41(%)で透過率が小さく、且つ、|ΔT|/Tc=0.16でTcとTaとの差が大きい構成である。この構成では、第1の情報層13が初期化状態での、第2の情報層14の記録感度が13mW近くあり、透過率はほぼ下限であると考えられた。また、TcとTaとの差が大きいので、第1の情報層13が記録状態の場合には、第2の情報層14の3T信号の振幅にムラが生じた。よって、|ΔT|/Tcは、0.15以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0161】
なお、本実施例では、第1の情報層13および第2の情報層14の初期化は、第1の基板11を接着する前に行ったが、初期化の工程は他の時期に行ってもよい。たとえば、第1の基板11を接着したのちに初期化を行ってもよく、その場合でも、同様の結果と効果が得られる。
【0162】
(実施例14)
実施例14では、マトリクス法に基づく計算を行い、第3の誘電体層24の材料および厚さと、第1の情報層13の透過率との関係について調べた。
【0163】
計算は、ポリカーボネート基板/第1の誘電体層16/第1の界面層17(厚さ:3nm)/第1の記録層18(厚さ:6nm)/第2の界面層19(厚さ:3nm)/第2の誘電体層20(厚さ:23nm)/第3の界面層21(厚さ:3nm)/第1の反射層22(厚さ:10nm)/第4の界面層23(厚さ:3nm)/第3の誘電体層24という構造を仮定して行った。なお、第3の誘電体層24がない場合の計算では、第4の界面層23もないものとして計算した。
【0164】
第1の誘電体層16の厚さD1(nm)と、第3の誘電体層24の材料および厚さを変化させたときのTc、Ta、AcおよびAaについて、計算を行った。TcおよびAcは、それぞれ、第1の記録層18が結晶相である場合の、第1の情報層13の透過率および第1の記録層18の光吸収率を示す。また、TaおよびAaは、それぞれ、第1の記録層18が非晶質相である場合の、第1の情報層13の透過率および第1の記録層18の光吸収率を示す。計算結果を表12に示す。表12の結果は、第1の記録層18が結晶相である場合の第1の情報層13の反射率Rc(%)と、第1の記録層18が非晶質相である場合の第1の情報層13の反射率Ra(%)とが、Ra≦1、且つ5≦Rc/Raを満たすように誘電体層の厚さを設定したときの値である。
【0165】
【表12】
Figure 0004509431
【0166】
表12に示すように、第3の誘電体層24がない場合には、TcおよびTaは42%以下であった。これに対し、第3の誘電体層24を形成することによって、TcおよびTaを45%以上とすることができた。また、屈折率が大きいほどTcおよびTaを大きくできることが計算で確かめられた。透過率を50%以上にするためには、屈折率が2.3以上の材料で第3の誘電体層24を形成することが好ましい。
【0167】
次に、計算結果を検証するために、実際に第1の情報層13を作製して透過率を分光器で測定した。
【0168】
第1の情報層13は、以下の方法で作製した。まず、直径120mmで厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を用意した。この基板上に、第3の誘電体層24、第4の界面層23(厚さ:3nm)、第1の反射層22(厚さ:10nm)、第3の界面層21(厚さ:3nm)、第2の誘電体層20(厚さ:23nm)、第2の界面層19(厚さ:3nm)、第1の記録層18(厚さ:6nm)、第1の界面層17(厚さ:3nm)、および第1の誘電体層16を順に積層した。第3の誘電体層24を除く誘電体層および界面層は、実施例3のサンプルと同様の材料で形成した。第1の記録層18は、組成式(Ge−Sn)8Sb2Te11(Sn:10原子%)で表される材料で形成した。そして、第3の誘電体層24の材料および厚さ、ならびに第1の誘電体層16の厚さを変化させた複数のサンプルを作製した。また、比較のために、第4の界面層23および第3の誘電体層24を形成しないサンプルも作製した。これらのサンプルについて第1の情報層13の透過率TcおよびTaを測定した結果を表13に示す。
【0169】
【表13】
Figure 0004509431
【0170】
表13に示すように、ほぼ計算通りの結果が得られた。サンプル13−7〜13−13では50%以上の透過率が得られた。このように、第3の誘電体層24を形成することによって、第1の情報層13の透過率が飛躍的に向上した。
【0171】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することができる。
【0172】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の情報記録媒体によれば、2つの記録層を備え高密度記録が可能な情報記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の情報記録媒体について一例を示す一部断面図である。
【図2】 本発明の情報記録媒体について第1の記録層の組成範囲を示す図である。
【図3】 本発明の情報記録媒体について他の一例を示す一部断面図である。
【図4】 本発明の記録再生方法に用いる記録再生装置について一例の構成を模式的に示す図である。
【図5】 本発明の情報記録媒体の評価に用いたサンプルの構成を示す一部断面図である。
【図6】 本発明の情報記録媒体の評価に用いた評価装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10、10a 情報記録媒体
11 第1の基板
11a 溝
11b ランド
12 第2の基板
13、13a 第1の情報層
14 第2の情報層
15 中間層
16 第1の誘電体層
17 第1の界面層
18 第1の記録層
19 第2の界面層
20 第2の誘電体層
21 第3の界面層
22 第1の反射層
23 第4の界面層
24 第3の誘電体層
25 第4の誘電体層
26 第5の界面層
27 第2の記録層
28 第6の界面層
29 第5の誘電体層
30 第7の界面層
31 第2の反射層
35、43、63 レーザビーム
36 接着層
40 記録再生装置
41 スピンドルモータ
42、62 光ヘッド
44、64 半導体レーザ
45、65 対物レンズ
50 サンプル
51 基板
52 接着層
53 ダミー基板
61 ステージ

Claims (16)

  1. 第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、
    前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、
    前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、
    前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) A Sb 2 Te 3+A (ただし、2≦A≦22)で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=Xの関係を満たすものであり、
    前記第1の記録層の膜厚は、6nmであることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、
    前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、
    前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、
    前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn)ASb2Te3+A(ただし、2≦A≦10)で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=X/2の関係を満たすものであり、
    前記第1の記録層の膜厚は、6nmであることを特徴とする情報記録媒体。
  3. 第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、
    前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、
    前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、
    前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、X/5≦Y≦2Xの関係を満たすものであり、
    前記第1の記録層の膜厚は、7nm以上9nm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
  4. 第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、
    前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、
    前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、
    前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、X/2≦Y≦Xの関係を満たすものであり、
    前記第1の記録層の膜厚は、3nm以上6nm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
  5. 第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第1の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の基板との間に配置された第2の情報層と、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に配置された中間層とを備え、
    前記第1の情報層が、前記第1の基板側から照射されるレーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第1の記録層を含み、
    前記第2の情報層が、前記レーザビームによって結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす第2の記録層を含み、
    前記第1の記録層における材料は、組成式(Ge−Sn) 4 Sb 2 Te 7 で表され、Geの含有量をX原子%とし、Snの含有量をY原子%としたとき、Y=2Xの関係を満たすものであり、
    前記第1の記録層の膜厚は、4nm以上6nm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
  6. 前記第1の情報層が第1および第2の誘電体層と第1の反射層とをさらに含み、
    前記第1の反射層、前記第2の誘電体層、前記第1の記録層、および前記第1の誘電体層が、前記中間層側から前記第1の基板側に向かってこの順序で配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  7. 前記第1の情報層が、前記第1の反射層と前記中間層との間に配置された第3の誘電体層をさらに備える請求項に記載の情報記録媒体。
  8. 前記第3の誘電体層の屈折率が、波長390nm〜430nmの光に対して2.3以上である請求項に記載の情報記録媒体。
  9. 前記第1の情報層が、前記第1の誘電体層と前記第1の記録層との間の界面、前記第1の記録層と前記第2の誘電体層との間の界面、前記第2の誘電体層と前記第1の反射層との間の界面、および、前記第1の反射層と前記第3の誘電体層との間の界面から選ばれる少なくとも1つの界面に配置された界面層をさらに備える請求項に記載の情報記録媒体。
  10. 前記第1の反射層の厚さが、5nm〜15nmの範囲内である請求項に記載の情報記録媒体。
  11. 前記第2の情報層が第4および第5の誘電体層と第2の反射層とをさらに含み、
    前記第2の反射層、前記第5の誘電体層、前記第2の記録層、および前記第4の誘電体層が、前記第2の基板側から前記中間層側に向かってこの順序で配置されている請求項に記載の情報記録媒体。
  12. 前記第2の情報層が、前記第4の誘電体層と前記第2の記録層との間の界面、前記第2の記録層と前記第5の誘電体層との間の界面、および、前記第5の誘電体層と前記第2の反射層との間の界面から選ばれる少なくとも1つの界面に配置された界面層をさらに備える請求項11に記載の情報記録媒体。
  13. 前記第1の誘電体層の屈折率をn1、前記第2の誘電体層の屈折率をn2、前記第3の誘電体層の屈折率をn3としたとき、
    1.7≦n1≦2.5、
    1.7≦n2≦2.8、
    2.0≦n3、
    の関係を満たす請求項に記載の情報記録媒体。
  14. 前記第1の誘電体層の屈折率をn1、前記第2の誘電体層の屈折率をn2、前記第3の誘電体層の屈折率をn3としたとき、
    2.1≦n1≦2.4、
    2.0≦n2≦2.8、
    2.2≦n3、
    の関係を満たす請求項13に記載の情報記録媒体。
  15. 前記第3の誘電体層の屈折率をn3としたとき、2.3≦n3の関係を満たす請求項に記載の情報記録媒体。
  16. 前記第1の記録層が結晶相である場合の前記第1の情報層の透過率Tc(%)と、前記第1の記録層が非結晶相である場合の前記第1の情報層の透過率Ta(%)とが、波長390nm〜430nmの範囲内のレーザビームに対して、40≦(Tc+Ta)/2であり、かつ0≦|Tc−Ta|/Tc≦0.15の関係を満たす請求項に記載の情報記録媒体。
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