JP4508523B2 - 印刷用塗被紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗被紙に関し、特にオフセット輪転印刷に際して印刷後の乾燥工程で発生しがちであったオフ輪じわ(印刷業界ではひじわと称することがある)の発生を防止することができることに加えて、ブリスタの発生をも防止することができる印刷用塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の印刷業界では省力化や高速化に伴って、印刷方式がオフセット枚葉印刷方式よりオフセット輪転印刷方式(以下、オフ輪印刷と称する)に移行する傾向にある。オフ輪印刷は、印刷速度が速く、後工程の省力化等も可能であることから、オフセット枚葉印刷(以下、枚葉印刷と称する)と比較して生産性が遥かに高い。
しかし、オフ輪印刷は、印刷直後に熱風乾燥を行うために、枚葉印刷には見られない幾つかの品質上の問題点がある。なかでも、最も重要で解決が困難な問題は、オフ輪じわが発生することである。オフ輪じわは、印刷後に紙の流れ方向に発生する筋状のしわであって、このオフ輪じわは特に良好な印刷仕上がりが要求される塗被紙で発生し易い。しわの程度がひどいものは、印刷物がトタン板の様に波うち、その商品性を大きく損なうものである。
従って、オフ輪印刷においては、オフ輪じわの発生しない印刷用塗被紙が強く要望されているが、未だ、そのような印刷用塗被紙は市場には見られない。
【0003】
ところで、上記オフ輪じわの発生原因に関しては、幾つかの研究報告がなされており、その考え方は大別して2つある。その一つは「テンションじわ」の考え方であって、オフ輪印刷時に用紙にテンションが加わることで発生したしわが、インキの乾燥によって固定され、オフ輪じわが形成されるとするものである。他の一つはオフ輪印刷の乾燥工程において、画線部と非画線部の乾燥収縮量の差によりしわが発生するという考え方である(非特許文献1参照。)。
従来提案されているオフ輪じわの発生を抑制するための具体的手段の一つは、オフ輪印刷用塗被紙における原紙のパルプのフリーネスを特定範囲に保持すると共に、当該原紙の透気度をも特定の通気性がよい領域に規定してオフ輪じわの発生を抑制する方法である(特許文献1参照。)。しかし、オフ輪印刷用塗被紙は、パルプ調成、抄紙、塗工、キャレンダによる加圧仕上、および巻取り等の一連の工程を経て製品化するものであるから、単純にパルプのフリーネスや原紙の透気度を調整しただけでは、オフ輪じわの解消という点で満足できるような製品を得ることができていないのが現状である。
【0004】
また、巻取り水分と原紙の内部層間強度を規定することにより、オフ輪じわを解消若しくは軽減する技術が提案されている(特許文献2参照。)。しかし、内部層間強度を下げることは、オフ輪印刷塗被紙のもう一つの課題であるブリスタ(火ぶくれ)の発生を助長し、これを抑制するためには、塗被紙水分を低くしておく必要があるが、水分低下はその後の折り工程で塗被紙の表面が割れてしまう現象、いわゆる「折り割れ」を発生させる虞れがある。そして、この従来法では、オフ輪じわの発生を満足できるほど低減させることができない。
【0005】
本発明者らは、基紙上にポリビニルアルコール塗被層を設け、さらにその上に顔料塗被層を設けることにより、得られる塗被紙の乾燥収縮力や透気度等を特定範囲に調整し、オフ輪じわの発生がほとんどなく、またグラビア印刷やフレキソ印刷でも、見当ずれを起こすことが少ない印刷用塗被紙を先に提案した(特許文献3参照。)。この提案は、オフ輪印刷した塗被紙の画線部と、非画線部との乾燥収縮量の差をできるだけ小さくして、オフ輪じわの発生を防止せんとするものである。
すなわち、本発明者らの上記先願発明は、オフ輪印刷の乾燥工程において、オフ輪印刷された塗被紙の画線部は、インキ層でカバーされるため紙層中の水分の蒸発が妨げられるのに対して、インキ層でカバーされない非画線部は、紙層中水分の蒸発が妨げられないので、画線部と非画線部とで乾燥収縮量に差が生じ、これに起因してオフ輪じわが発生するとの考えのもとに、塗被紙にポリビニルアルコールの塗工層を予め設けることにより、非画線部(白紙部分)領域からの水分の蒸発を、画線部と同様に抑止したものである。
この先願発明によれば、上記したポリビニルアルコールの塗工層を均一な被膜として形成することにより、オフ輪じわの発生を大幅に低減ないしは解消することができる。しかしながら、ブレード塗工の如き高速塗工を指向する場合、ポリビニルアルコール単独の水性液を用いると、高せん断粘度が高いことに起因して、均一なポリビニルアルコールの被膜が形成されず、オフ輪じわが解消されなかったり、逆にブリスタの発生を招来する場合がある。なお、ブリスタとは、オフ輪印刷された塗被紙を乾燥する過程で、紙層中の水分は水蒸気化するが、この水蒸気の逃げ場がないと、その体積膨張に塗被紙が耐え切れず、塗被紙の構造が部分的に破壊する(膨れる)現象である。従って、上記した先願発明では、ブレード塗工を指向する場合には、オフ輪じわの発生防止とブリスタの発生防止を両立させることが難しい。
そして、オフ輪じわの発生防止とブリスタの発生防止を両立させるべく、塗被紙の含有水分を大幅に低く(例えば、3.5%以下)とすると、先に説明したような折り割れが起こり易くなってしまうという不都合がある。
さらに、オフ輪じわの発生防止とブリスタの発生防止の両立手法として印刷機での乾燥温度を下げる方法があるが、乾燥温度、すなわち乾燥機出口の紙面温度を低くし過ぎると、インキの乾燥が不十分となり乾燥機以降の工程で印刷面が擦れて傷つくなどの新たな問題が生じる。
【0006】
【非特許文献1】
山崎岳志,「紙パルプ技術協会研究発表会要旨集」,1982,Vo149,p.110〜113
【特許文献1】
特開昭58−186700号公報
【特許文献2】
特開平9−291496号公報
【特許文献3】
特開2000−045199号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オフセット輪転印刷に際してオフ輪じわをほとんど発生することがないばかりか、ブリスタの発生もなく、オフセット輪転印刷に際してはもちろん、通常の印刷に際しても、折り割れを伴わない印刷用塗被紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る印刷用塗被紙は、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を、原紙上に設けてなる印刷用塗被紙において、下記に規定する透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、同じく下記に規定する透湿度M100が1000g/m2・24h以上であることを特徴とする。
本発明に係る印刷用塗被紙は、(A)ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールと、(B)ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)を、(A):(B)=100:0.1〜10の重量比で含有するPVA系樹脂組成物と、(C)該PVA系樹脂組成物100重量部に対して炭酸カルシウムを50〜200重量部配合した水性液を、基紙の両面に片面当たりの乾燥重量が0.5〜5.0g/m2になるように塗布、乾燥することにより、下記に規定する透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、下記に規定する透湿度M100が1000g/m2・24h以上である原紙を調製し、得られた原紙の少なくとも片面に、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を設けたことを特徴とする。
ここで、透湿度M65とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内に約10gの無水塩化カルシウムを収め、恒温恒湿装置内の温度を20℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味し、透湿度M100とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内にポリアクリル酸塩系高吸水性樹脂を0.5重量%含む約20gの水を収め、恒温恒湿装置内の温度を40℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味する。
また、本発明に係る印刷用塗被紙は、(A)ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールと、(B)ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)を、(A):(B)=100:0.1〜10の重量比で含有するPVA系樹脂組成物と、(C)該PVA系樹脂組成物100重量部に対して炭酸カルシウムを50〜200重量部配合した水性液を、基紙の両面に片面当たりの乾燥重量が0.5〜5.0g/m2になるように塗布、乾燥して得た原紙の少なくとも片面に、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を設けた印刷用塗被紙であって、上に規定した透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、同じく上に規定した透湿度M100が1000g/m2・24h以上であることを特徴とする。
本発明の印刷用塗被紙において、その塗被層は水溶性接着剤を含有しないことが好ましいが、必要に応じてこれを少量含有させることができる。ちなみに、塗被層に含まれる水溶性接着剤の量が、塗被層中の顔料100重量部に当たり2.5重量部以下である塗被紙は、乾燥温度を低くしてもインキが乾燥し易いので、オフ輪じわの発生とブリスタの発生の両方をより容易に防止できる。
【0009】
本発明において、「原紙」とは、本発明の最終製品である印刷用塗被紙を得るに当たって使用する紙シートを指し、当該紙シートは両面にPVA系樹脂組成物の塗工層が設けられた紙シートであって、顔料組成物の塗被層が未だ設けられていない紙シートを意味する。そして、「原紙」を得る前のPVA系樹脂組成物の塗工層が設けられていない紙シートを、今後「基紙」と称し「原紙」と区別する。
なお、本発明で言う「基紙」には、当業界で塗被紙用原紙と通称される紙シートが包含される。この塗被紙用原紙は、一般に、2ロールサイズプレスコータ、ロールコータ、ブレードコータ、ゲートロールサイズプレスコータ、フィルムメタリングサイズプレスコータ等を使用して、紙シートの表面に澱粉または澱粉と顔料などの混合物が予備塗工されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用塗被紙は、透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、透湿度M100が1000g/m2・24h以上であることを特徴とする。
ちなみに、塗被紙の透湿度M65を500g/m2・24h以下とすることにより、水蒸気の通気性を低く抑えることができ、オフ輪印刷時の乾燥初期では、画線部および非画線部の水分の蒸発を低く抑えることができる。その結果、画線部と非画線部との乾燥収縮量の差が減少し、オフ輪じわの発生を抑えることが可能となる。塗被紙の透湿度M100を1000g/m2・24h以上とすることにより、オフ輪印刷時の乾燥後期で起こると思われる紙層内の水分の水蒸気化に際して、その蒸気圧を低く抑えることができるので、ブリスタの発生を低減させることが可能となる。つまり、透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、かつ透湿度M100が1000g/m2・24h以上である印刷用塗被紙では、オフ輪じわの発生防止とブリスタの発生防止を両立させることができる。
【0011】
本発明の印刷用塗被紙は、透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、透湿度M100が1000g/m2・24h以上である原紙の少なくとも片面に、顔料および接着剤を主成分とする顔料塗被層を設けることで製造するのが好ましく、上記した原紙は、基紙の両面に特定のPVA系樹脂組成物塗工層を設けることで製造することが好ましい。
基紙はパルプスラリーを常法通り抄紙して製造することができる。パルプには特に限定はなく、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、高歩留りパルプ、脱墨古紙パルプ等が適宜選択使用される。なお、パルプの漂白に際して塩素系化合物の使用量を制限した所謂ECFパルプやTCFパルプを使用することもできる。基紙の抄紙方法についても特に限定はなく、酸性抄紙法あるいは中性ないしはアルカリ性抄紙法が任意に採用可能である。また、前述したように、基紙には、澱粉または澱粉と顔料の混合物を予備塗工しておくことができ、その予備塗工には、2ロールサイズプレスコータ、ロールコータ、ブレードコータ、ゲートロールサイズプレスコータ、フィルムメタリングサイズプレスコータ等を使用することができる。
【0012】
なお、基紙には、通常、填料が内添される。この填料としては、一般の製紙用填料が何れも使用可能である。例えば、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料が、単独もしくは2種類以上適宜組合せて使用できる。填料の配合割合は、パルプ100重量部に対して5〜20重量部が好ましい。なお、填料の配合割合が多くなると、紙の層間強度が低くなるので、ブリスタ適性等の紙質との調和を図ることが必要である。
また、基紙には、上記の一般填料の他に、繊維間結合を低減させる物質をブリスタ適性が損なわれない程度に、内添させることが好ましい。こうすることによって、オフ輪じわを発生し難い塗被紙用基紙が得られるからである。
【0013】
繊維間結合を低減させる物質は、分子内に疎水基と親水基を併有し、その具体例としては、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物、高級アルコールのブチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物等のノニオン界面活性剤、脂肪族ポリアミドアミン、ポリアルキレングリコールなどを例示することができる。
現在販売されている薬品の中で代表的なものは、BASF社のスルゾールVL、Bayer社のバイボリュームPリキッド、三晶(株)のリアクトペイク、花王(株)のKB−110といった薬品である。いずれも、パルプ繊維の繊維間に入り込み定着し繊維間の結合距離を増加させることにより、繊維間結合を低減する。その結果、印刷時の加熱乾燥収縮量が低減されるため、オフ輪じわの発生が低減されるものと考えられる。繊維間結合を低減させる物質の添加量は、パルプ100重量部当り0.1〜5重量部の範囲が好ましい。ちなみに0.1重量部未満であると、効果が認められず、5重量部を超えると繊維間結合が低下し、ブリスタ適性が劣るため好ましくない。また、繊維間結合を低減させる物質を基紙を製造する際の予備塗工液に含有させて、2ロールサイズプレスコータやゲートロールコータで塗布しても良い。この場合は、紙料に添加して内添する場合と比較して効果が劣るので、添加量は、繊維間結合低減物質以外の固形分100重量部に対して3〜30重量部が好ましい。3重量部未満ではオフ輪じわの低減効果が見られず、30重量部を超えると、繊維間結合が低下し、ブリスタ適性が劣るため好ましくない。
【0014】
基紙にPVA系樹脂組成物塗工層を設けるに際しては、(A)ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールと、(B)ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)を、(A):(B)=100:0.1〜10の重量比で含有するPVA系樹脂組成物の水溶液または水分散液(以下、これらを総称して水性液と呼ぶ。)を、基紙の両面に塗布し、乾燥する方法が一般に採用される。
PVA系樹脂組成物の(A)成分として、ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を使用する理由は、ケン化度が高いPVAは、その塗膜が乾燥されて一旦成膜すると、爾後、水と接触しても液化することがなく、フィルム状態を維持するからである。印刷用塗被紙を仕上げるためには、PVA系樹脂組成物の塗工層上に、顔料組成物の水性液を塗布する必要があるが、PVA系樹脂組成物の塗工層は、ケン化度が高いPVAを主成分としている関係で耐水性を備えているため、当該塗工層には顔料組成物の水性液を直接塗布することができる。また、本発明の印刷用塗被紙は、オフ輪印刷に際して加熱された場合、塗被紙の水分は高熱によって蒸発し、それに伴って塗被紙は収縮する傾向を示すが、PVA系樹脂組成物の塗工層は、それとは逆に熱によって延伸する傾向を示す。この収縮と延伸の相殺から、塗被紙全体としての乾燥収縮が抑制されるものと考えられる。また、本発明の印刷用塗被紙にあっては、PVA系樹脂組成物の塗工層が、基紙を挟んで2層存在するが、このことが、熱による塗被紙からの水分の逸散を防止し、その結果として、塗被紙の乾燥収縮が起り難く、換言すれば、乾燥収縮量の増加を抑止できるため、オフ輪じわの発生が低減され、見当ずれも少なくなるものと推察される。
なお、PVA系樹脂組成物の主成分に、ケン化度90モル%未満のPVAを使用した場合には、その不十分な耐水性のため、顔料組成物の水性液を塗布した際に、PVA系樹脂組成物の塗工層が不均一となり、塗被紙のオフ輪じわや見当ずれを軽減できない虞がある。
【0015】
本発明で使用するPVA系樹脂組成物の(B)成分には、ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)が使用され、セルロール誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が使用可能である。なお、塩としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等のアルカリ塩が挙げられる。PVA系樹脂組成物に(B)成分が少量存在することで、当該組成物の水性液のB型粘度を高く維持したまま、高せん断粘度を低く抑えることができる。上記水性液のB型粘度が高く、高せん断粘度が低いことは、これを基紙上に高速塗工、とりわけブレード塗工する際に、その操業性を改善し、塗膜を均一化し、基紙内部への過度なPVAの浸透が阻止されるので、結果的に、オフ輪じわの解消や見当ずれの解消に貢献し、しかもブリスタの発生防止にも貢献する。
なお、(B)成分を含まないPVAだけの水性液は、基紙内部にPVAが過度に浸透しない程度に水性液の濃度を高めてB型粘度を高くすると、今度は水性液の高せん断粘度が高くなり過ぎ、高速塗工時の操業性が悪化し、塗工ムラが発生し易い。このため、この種の水性液を使用したのでは、オフ輪じわや見当ずれの解消に多くを期待できない。
PVA系樹脂組成物における(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部当たり0.1〜10重量部の範囲で選択され、0.1重量部未満では基紙内部にPVA系樹脂組成物が過度に浸透しない程度に水性液のB型粘度を高くしながら、水性液の高せん断粘度を充分に低下させることができないため、高速塗工時に均一な塗膜を得ることができない。また、(B)成分の配合量が(A)成分100重量部当たり10重量部を越えると、塗工適性の低下により均一な塗膜が得られず、結果としてオフ輪じわの発生を抑制できない。
【0016】
本発明のPVA系樹脂組成物には、(B)成分および(A)成分の合計量100重量部当たり50〜200重量部の炭酸カルシウムを配合することが、塗被紙のオフ輪じわがより効果的に抑制できる点で好ましい。カオリンないしはクレーを使用することでオフ輪じわが低減することは公知であるが、これらは微細な顔料凝集(クレーショック)を起こし、仕上がった塗被紙の平滑性を悪化させる点で問題がある。これとは対照的に、炭酸カルシウムはPVAとの混和性およびコストの面等で優位であるばかりでなく、仕上がった塗被紙の平滑性を悪化させる虞もない。
PVA系樹脂組成物に配合された炭酸カルシウムは、組成物の増量材として機能するばかりでなく、組成物の水性液を基紙に塗工する場合には、水性液が基紙内部に浸透するのを防止する。これはPVA系樹脂組成物の単位面積あたりの塗工量を減少させても、その塗工層は本発明が企図した機能を発揮することを意味するから、炭酸カルシウムの配合は、高価なPVAの使用量を節減できる点で経済的な利点がある。しかし、炭酸カルシウムの配合量が、(B)成分および(A)成分の合計量100重量部当たり200重量部を越えると、塗工層が連続皮膜とならず、炭酸カルシウム粒の粒間の一部を、PVAなどが埋めているような多孔質な塗工層となるので好ましくない。そして、このような多孔質な塗工層でオフ輪じわの発生を抑制しようとすると、必然的に塗工層の肥厚化を招き、ブリスタの発生を助長する虞がある。また、炭酸カルシウムの配合量が、(B)成分および(A)成分の合計量100重量部当たり50重量部未満の場合には、炭酸カルシウムに期待する上記の効果を得ることができない。
PVA系樹脂組成物に配合する炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.1〜3.0μmの範囲内であることが好ましい。炭酸カルシウムの平均粒径が0.1μm未満であると、顔料スラリーの粘度が高くなることに起因してPVA系樹脂組成物と混合する際に均一な分散ができず、これを解消するために顔料スラリーの濃度を下げると水性液全体の濃度も低下して、所定の塗工量が得難くなる。炭酸カルシウムの平均粒径が3.0μmを越える場合は、塗工膜の平滑性が悪化する。本発明のPVA系樹脂組成物またはその水性液には、さらに、消泡剤、防腐剤、着色剤、蛍光増白剤などの各種助剤を添加することができ、また、澱粉、澱粉誘導体などの水溶性樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスなどの水性樹脂分散液を、本発明の効果を阻害しない範囲で、PVA系樹脂組成物100重量部当たり例えば10重量部以下の量で添加することができる。
【0017】
PVA系樹脂組成物の水性液あるいはPVA系樹脂組成物と炭酸カルシウムからなる水性液を基紙の両面に塗工するに際しての塗工量は、PVA系樹脂組成物の塗工量が乾燥重量基準で片面当たり0.5〜5.0g/m2となる範囲で、好ましくは1.0〜4.0g/m2となる範囲で選ばれる。基紙への塗工はこれを複数回行っても差し支えないが、その場合、上記の塗工量は累積塗工量である。塗工を一度に行うか、複数回に分けて行うかにかかわらず、上記の塗工量が0.5g/m2未満の場合には、印刷用塗被紙のオフ輪じわの発生防止とブリスタの発生防止を達成できない虞があり、5.0g/m2を越えた場合は、オフ輪じわや見当ずれを抑制できるものの、ブリスタの発生を充分には抑制できない。
上記水性液の塗工には、任意の塗工装置を使用することができ、例えば、2ロールサイズプレスコータ、ゲートロールサイズプレスコータ、バーコータ、ロールコータ、ブレードコータ、フィルムメタリングサイズプレスコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータなどが適宜使用可能である。これらの中でも、塗工装置にカーテンコータやダイスロットコータを使用すると、基紙内部への水性液の浸透が少なく、基紙上に良好な塗膜を形成することできる。また、ブレードコータは、基紙内部への水性液の浸透が比較的少なく、塗膜の平滑性が良好であることに加えて、高速塗工が可能である点で、PVA系樹脂組成物の水性液の塗工に適している。ちなみに、本発明のPVA系樹脂組成物は、前記した(A)(B)両成分を含有しているため、その水性液はブレードによる高速塗工が可能である。
念のため付言すれば、上記したカーテンコータ、ダイスロットコータは、紙塗工やフィルム塗工で採用されているところの、塗工液を予め計量した落下液膜あるいは押し出し液膜とし、液膜の全量を基紙上に載せて塗工するような装置を言い、ブレードコータは、塗工液を一旦基紙上に過剰に載せ、その後薄いブレード刃で所定量となるように基紙上の余分な塗工液を掻き取るようにして塗工する装置を言う。
【0018】
基紙の両面にPVA系樹脂組成物の塗工層を設けることで製造された原紙には、少なくともその片面に顔料組成物の塗被層を単層で又は複層(典型的には2層)で設けることによって、印刷用塗被紙に仕上げられる。この塗被層の形成は、従前の印刷用塗被紙を製造する場合と同様、顔料と接着剤を含有する顔料組成物の水分散液が使用される。顔料としては、例えば、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント等の1種または2種以上を使用することができる。
また、接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等が水分散性接着剤として、さらには、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂等の合成樹脂系接着剤、酸化澱粉、陽性澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が水溶性接着剤として例示される。接着剤としては、これら水分散性および/または水溶性接着剤の1種または2種以上が使用可能である。
顔料組成物における接着剤成分の量は、通常、顔料100重量部あたり20重量部程度に調節される。先に説明したとおり、顔料組成物の塗被層は、単層であっても、複層であっても差し支えない。しかし、塗被層が単層であるか、複層であるかに拘わりなく、当該塗被層の形成に水溶性接着剤を含有する顔料組成物を使用する場合には、塗被層全体の水溶性接着剤の量は、塗被層全体の顔料成分100重量部あたり2.5重量部以下であることが好ましい。そして、塗被層を複層とする場合には、最外層を形成する塗被層中の水溶性接着剤の量を、顔料成分100重量部あたり1.0重量部以下とすることが特に好ましい。
こうすることによって、最終的に得られる本発明の印刷用塗被紙は、インキが乾燥しやすいので、低い乾燥温度で印刷することができる結果、オフ輪じわの発生やブリスタの発生をより効果的に防止できるからである。
顔料組成物には、必要に応じて、分散剤、耐水化剤、流動性変性剤、着色剤、蛍光増白剤等の各種助剤を添加することができる。
顔料組成物の水分散液を原紙に塗工するに当たっては、塗被紙製造に一般に使用される塗工装置が使用できる。例えば、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、2ロールサイズプレスコータ、ゲートロールサイズプレスコータ、フィルムメタリングサイズプレスコータ等の塗工装置を使用して、オンマシン方式またはオフマシン方式で原紙の少なくとも片面に、単層または多層で塗工される。塗工時の顔料組成物の固形分濃度は、一般に40〜75重量%の範囲で選ぶことができるが、操業性を考慮すると45〜70重量%の範囲であることが好ましい。塗工量は乾燥重量で一般に片面当たり5〜20g/m2の範囲で選ばれる。
顔料組成物の塗工層形成後は、通常、キャレンダに通紙して製品として仕上げられる。その際のキャレンダとしては、例えば、スーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトコンパクトキャレンダ等の金属ロールまたは金属ドラムと弾性ロールよりなる各種キャレンダが、オンマシンまたはオフマシン仕様で、適宜使用される。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、それらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、参考例および比較例中の「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
実施例および比較例で調製された印刷用塗被紙の評価方法は、下記のとおりである。
【0020】
[印刷用塗被紙および原紙の透湿度評価方法]
透湿度M 65 :JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内に約10gの無水塩化カルシウムを収めて恒温恒湿装置内の温度を20℃、相対湿度を65%に保持し、6時間経過後のカップ内の無水塩化カルシウムの質量増加量から、24時間に試料を通過した水蒸気の質量を1m2当たりに換算した値を算出した。
透湿度M 100 :JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内にポリアクリル酸塩系高吸水性樹脂(商品名:アロンザップRS−2/東亞合成製)を0.5重量%含む約20gの水を収めて、恒温恒湿装置内の温度を40℃、相対湿度を65%に保持し、6時間経過後のカップ内の水の質量減少量から、24時間に試料を通過した水蒸気の質量を1m2当たりに換算した値を算出した。なお、高吸水性樹脂を添加したのは、水をゲル化させ、透湿度測定中の取り扱いを容易にし、振動等により水が飛散し試料に直接付着するのを防止するためである。
【0021】
[オフ輪じわ評価方法、ブリスタ、折り割れおよびインキの乾燥状態の評価方法]
三菱重工製のオフセット輪転印刷機(三菱リソピアL-BT3-1100)を用いて、両面が4色ベタ図柄と、一方の面が4色ベタ図柄で他方の面がピンクの淡い図柄とした組み合わせ図柄で、印刷速度800rpm、乾燥機出口での紙面温度は95℃(インキの乾燥性評価)と105℃(オフ輪じわ、ブリスタ、折り割れ評価)とし、乾燥機通過後の冷却ロールには10℃の冷却水を通して印刷し、連続して折り加工を施した。
なお、印刷に供した塗被紙の含有水分はいずれも4.5〜5%の範囲であった。
●オフ輪じわ評価基準
両面4色ベタ印刷部のオフ輪じわレベルを以下の基準で評価した。
◎:オフ輪じわの発生が認められない。
○:軽度のオフ輪じわの発生が認められる。
△:明確なオフ輪じわの発生が認められるが、実用上耐えうるレベル。
×:きついオフ輪じわの発生が認められ、製本した場合など波うちとなり、実用に適さないレベル。
●ブリスタ評価基準
両面4色ベタ印刷部のブリスタ発生レベルを以下の基準で評価した。
◎:ブリスタの発生が認められない。
○:印刷物にまれに小さいブリスタの発生が認められる。
×:ブリスタが発生しており、実用に適さない。
●折り割れ評価基準
両面4色ベタ印刷部の流れ方向折りの折り割れを以下の基準で評価した。
◎:紙層の割れがなく、折り山が黒い。
○:紙層がわずかに割れており、折れ山の一部(半分以下)が白い。
△:紙層が割れており、折れ山の一部(半分以上)が白い。
×:殆どの紙層が割れており、折れ山のほぼ全部が白い。
●インキの乾燥状態評価基準
両面4色ベタ印刷部のインキの乾燥状態を以下の基準で評価した。
◎:印刷部に擦れによる傷(マーク)が全く認められない。
〇:印刷部に擦れによる軽微な傷(マーク)が認められる。
△:印刷部に擦れによる軽〜中程度の傷(マーク)が認められる。
×:印刷部に擦れによるきつい傷(マーク)が認められる。
【0022】
参考例1
(塗工原紙の製造)
LBKP70部(フリーネス400ml/csf)、NBKP30部(フリーネス480ml/csf)からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分が6.5%となるように添加し、さらにパルプ固形分に対して、内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902/荒川化学製)0.1%および硫酸アルミニウム0.5%をそれぞれ添加した紙料を調成して抄紙し、さらに連続して予め糊化した酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ製)で2ロールサイズプレスコータを使用してサイズプレス(酸化澱粉塗工量は両面で1.0g/m2)処理して基紙を得た。
これとは別に、重合度500、ケン化度98モル%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール105/クラレ製)100部に対して、ポリアクリル酸(商品名:ハイビスワコー105/和光純薬製)を1部、メチルセルロース(商品名:ハイメトローズ60SH4000/信越化学工業製)を3部の割合(固形分対比)でそれぞれ配合してPVA系樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を水に分散し、さらに樹脂組成物100部当たり、0.06部の消泡剤(商品名:SNデフォーマ777/サンノプコ製)を添加して、これを加熱糊化して濃度15%のPVA系樹脂組成物の水性液を得た。得られた水性液を、前記基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り2.0g/m2となるように、ブレードコータを用い、塗工スピード700m/分で、片面ずつ両面塗工し、乾燥して塗工原紙を得た。得られた塗工原紙の米坪は69g/m2 であった。
【0023】
(顔料組成物の水分散液の調製)
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90/ファイマテック製)40部、エンジニアードカオリン(商品名:ミラクリプスPG/エンゲルハード製)60部からなる顔料をコーレス分散機で水中に分散して顔料スラリを得た。このスラリにスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PA−9000/日本エイアンドエル製)10部(固形分)、予め糊化した酸化澱粉(商品名:エースA/前出)2.0部(固形分)およびその他助剤を添加し、最終的に固形分濃度64%の顔料塗被層用塗被液を調製した。
【0024】
(印刷用塗被紙の製造)
上記の顔料組成物水分散液を、先に説明した原紙に、片面当たり乾燥重量で18g/m2になるようにブレードコータで片面づつ塗工、乾燥して両面塗被紙を得た。次いで、この両面塗被紙を、金属ロール(ロール温度130℃)と樹脂ロールよりなる加熱ソフトカレンダーに密度が1.2g/cm3となるように、それぞれの面が2回金属ロールに接触するように通紙して印刷用塗被紙を得た。
原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0025】
実施例1
参考例1の塗工原紙の製造において使用したPVA系樹脂組成物の水性液に、予め水分散液とした平均粒子径0.6μmの重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90/ファイマテック製)をPVA系樹脂組成物100部に対して60部の割合(固形分対比)で混合し、PVA系樹脂組成物と重質炭酸カルシウムを主成分とする濃度21%の水性液を調製した。得られた水性液を、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り2.7g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た以外は参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
参考例1の塗工原紙の製造に使用したPVA系樹脂組成物の水性液に、予め水分散液とした平均粒子径0.6μmの重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90/ファイマテック製)をPVA系樹脂組成物100部に対して150部の割合(固形分対比)で混合し、PVA系樹脂組成物と重質炭酸カルシウムを主成分とする濃度28%の水性液を調製した。得られた水性液を、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り3.0g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た以外は参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0027】
参考例2
参考例1の塗工原紙の製造に使用したPVA系樹脂組成物を、重合度1000、ケン化度98モル%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール110/クラレ製)100部に対して、ポリアクリル酸(商品名:ハイビスコー105/前出)を水酸化ナトリウムで中和したものを0.2部(固形分対比)添加して構成させたPVA系樹脂組成物に代替させ、さらにPVA系樹脂組成物の水性液の濃度を10%とし、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り1.0g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0028】
参考例3
参考例1の塗工原紙の製造に使用したPVA系樹脂組成物を、重合度500、ケン化度98モル%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール105/前出)100部に対して、メチルセルロース(商品名:ハイメトローズ60SH4000/前出)を8部(固形分対比)添加して構成させたPVA系樹脂組成物に代替させて得た水性液を、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り3.0g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた塗工原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
実施例2の印刷用塗被紙の製造において、原紙上に塗被する顔料組成物での酸化澱粉の配合量を変更し、これを0.5部(固形分)にした以外は実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
塗工原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0030】
実施例4
参考例1の塗工原紙の製造に使用したPVA系樹脂組成物を、重合度500、ケン化度98モル%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール105/前出)100部に対して、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(商品名:SG AGガム HENo.2/第一工業製薬製)を1.5部(固形分対比)の割合で配合したPVA系樹脂組成物に代替させ、さらに予め水分散液とした平均粒子径0.6μmの重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90/前出)をPVA系樹脂組成物100部に対して167部の割合(固形分対比)で混合し、PVA系樹脂組成物と重質炭酸カルシウムからなる濃度30.5%の水性液を調製した。得られた水性液を、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り2.5g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た。参考例1の印刷塗被紙の製造において、上記で得た塗工原紙を用い、塗被する顔料組成物での酸化澱粉の配合量を0.5部(固形分)に変更した以外は参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0031】
参考例4
参考例1の原紙の製造において、LBKP70部(フリーネス400ml/csf)、NBKP30部(フリーネス480ml/csf)からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分が6.5%となるように添加し、さらにパルプに対して、内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902/荒川化学製)0.1%、硫酸アルミニウム0.5%および繊維間結合低減剤(商品名:スルゾールVL/BASF社製)0.6%をそれぞれ添加した紙料を調成して抄紙し、さらに連続して予め糊化した酸化澱粉(商品名:エースA/前出)で2ロールサイズプレスコータを使用してサイズプレス(酸化澱粉塗工量は両面で1.0g/m2)処理して得た基紙を用いた以外は参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例1
参考例1の塗工原紙の製造において、ポリアクリル酸およびメチルセルロースを配合しないで調製したPVA系樹脂組成物の水性液を使用した以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0033】
比較例2
参考例1において、ポリビニルアルコールを重合度500、ケン化度81.5モル%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール405/クラレ製)に変更した以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例3
参考例1において、基紙両面へのPVA系樹脂組成物の塗工を省略した以外は参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
原紙(基紙)および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0035】
比較例4
参考例1において、PVA系樹脂組成物を主成分とする水性液を、乾燥後の塗布量が片面当たり7g/m2とした以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0036】
比較例5
実施例2の塗工原紙の製造において、PVA系樹脂組成物と重質炭酸カルシウムを主成分とする水性液を、基紙上に乾燥後の塗布量が片面当り0.4g/m2となるように塗工して塗工原紙を得た以外は実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0037】
比較例6
参考例1において、基紙両面に塗工するPVA系樹脂組成物おけるメチルセルロースの配合量を12部(固形分対比)に増量した以外は、参考例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
得られた原紙および塗被紙それぞれの透湿度M65、透湿度M100、塗被紙のオフ輪じわ、ブリスタ、インキの乾燥状態および折り割れを評価した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の実施例で得られた各印刷用塗被紙は、PVA系樹脂組成物の塗工層を備えているため、オフセット輪転印刷に際してオフ輪じわの発生を著しく低減できるばかりでなく、ブリスタ、折り割れ等の発生をも軽減させながら、インキを十分に乾燥することができる。
Claims (4)
- (A)ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールと、(B)ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)を、(A):(B)=100:0.1〜10の重量比で含有するPVA系樹脂組成物と、(C)該PVA系樹脂組成物100重量部に対して炭酸カルシウムを50〜200重量部配合した水性液を、基紙の両面に片面当たりの乾燥重量が0.5〜5.0g/m 2 になるように塗布、乾燥することにより、下に規定する透湿度M 65 が500g/m 2 ・24h以下であり、同じく下に規定する透湿度M 100 が1000g/m 2 ・24h以上である原紙を調製し、得られた原紙の少なくとも片面に、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を設けたことを特徴とする印刷用塗被紙。(但し、透湿度M 65 とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内に約10gの無水塩化カルシウムを収め、恒温恒湿装置内の温度を20℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味し、透湿度M 100 とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内にポリアクリル酸塩系高吸水性樹脂を0.5重量%含む約20gの水を収め、恒温恒湿装置内の温度を40℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味する。)
- (A)ケン化度90モル%以上のポリビニルアルコールと、(B)ポリアクリル酸(またはその塩)および/またはセルロース誘導体(またはその塩)を、(A):(B)=100:0.1〜10の重量比で含有するPVA系樹脂組成物と、(C)該PVA系樹脂組成物100重量部に対して炭酸カルシウムを50〜200重量部配合した水性液を、基紙の両面に片面当たりの乾燥重量が0.5〜5.0g/m2になるように塗布、乾燥して得た原紙の少なくとも片面に、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を設けることにより、下に規定した透湿度M65が500g/m2・24h以下であり、同じく下に規定した透湿度M100が1000g/m2・24h以上であることを特徴とする印刷用塗被紙。(但し、透湿度M 65 とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内に約10gの無水塩化カルシウムを収め、恒温恒湿装置内の温度を20℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味し、透湿度M 100 とは、JIS Z 0208に規定されたカップ法に準じ、カップ内にポリアクリル酸塩系高吸水性樹脂を0.5重量%含む約20gの水を収め、恒温恒湿装置内の温度を40℃、相対湿度を65%に保持して6時間後に計量した透湿量から算出される試料の透湿度を意味する。)
- 前記炭酸カルシウムの平均粒子径が0.1〜3.0μmである請求項1または2に記載の印刷用塗被紙。
- 前記水性液がブレードコータ、カーテンコータまたはダイスロットコータで基紙に塗工されている請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷用塗被紙。
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