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JP4502873B2 - アルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

アルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法 Download PDF

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JP4502873B2 JP2005132689A JP2005132689A JP4502873B2 JP 4502873 B2 JP4502873 B2 JP 4502873B2 JP 2005132689 A JP2005132689 A JP 2005132689A JP 2005132689 A JP2005132689 A JP 2005132689A JP 4502873 B2 JP4502873 B2 JP 4502873B2
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Description

本発明は、アルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法関するものであり、殊に、自動車、鉄道車両および航空機等の輸送機関や電気製品等の製造に好適なアルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法関するものである。
自動車、鉄道車両および航空機等の輸送機関等の軽量化の要望に応えるべく、近年では、鉄材や鉄合金材(以下「鉄系材」と総称する)の代わりにアルミニウム材やアルミニウム合金材(以下「アルミ系材」と総称する)が一部使用されており、製造時に鉄系材とアルミ系材を溶接して接合することが行われている。
この様な鉄系材とアルミ系材の接合方法として、特許文献1には、予め他の方法で接合された鋼系材とアルミ系材からなるクラッド材を用い、該クラッド材のアルミ側にアルミ系材を溶接し、該クラッド材の鋼側に鋼系材を溶接することが示されている。しかしこの方法では、クラッド材の使用によるコストアップが避けられず、また第1ステップの通電でクラッド材の鋼側と鉄系材を接合し、第2ステップの通電でクラッド材のアルミ側とアルミ系材の接合を行うといった煩雑な作業が必要となる。
鉄系材とアルミ系材を接合する別の方法として、特許文献2には、鋼とアルミの抵抗スポット溶接方法が示されている。該方法は「鋼板とアルミ合金板の熱伝導率、固有抵抗値、比熱等の特性が著しく異なっているため、鋼板とアルミニウム合金板の界面にナゲット部が形成されず、鋼板側の偏った位置にナゲット部(スポット溶接部)が形成されて、十分な接合強度を確保できない」といった問題に鑑みてなされたものであって、陽極電極チップをアルミニウム合金板に配置し、陰極電極チップを鋼板に配置して抵抗スポット溶接を行うことで、形成されるナゲット部を極性効果により陽極(アルミニウム)側に偏位させて鋼板とアルミニウム合金板の界面にナゲット部を形成することを図ったものである。しかし該方法では直流電源に限られるため、実用的な適用範囲が狭いと考えられる。
特許文献3には、アルミ系材と鋼系材との接合部界面に非常に脆い金属間化合物が生成するため、延性のある実質的な接合強度を確保できないといった問題を解決すべく、アルミ系材と鋼系材の間に「鋼系材料からなる当て板」を挟んで抵抗スポット溶接を行うことが示されている。しかしこの方法も、上記特許文献1におけるクラッド材と同様にコストのかかるプロセスとなっており、製造工程が煩雑となるだけでなく、車両等の軽量化を十分に図ることができないと考えられる。また特許文献1〜3の溶接方法では、ナゲット部の接合強度の向上を検討しているが、ナゲット部に生じる割れの発生まで検討されたものでない。
特開平4−55066号公報 特開平5−111776号公報 特開平7−328774号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、クラッド材等を用いなくとも、アルミ系材料と鉄系材料を良好に抵抗スポット溶接するための方法提供することにある。
本発明は、アルミ系材と鉄系材を重ね合わせ、通電してアルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接を行う方法において、第1段階の溶接電流値と、第2段階の溶接電流値とを有し、前記第2段階の溶接電流を、前記第1段階の溶接電流の70〜10%に制御する溶接電流パターンで溶接するところに特徴を有する。特に、前記アルミ系材側に形成されるナゲット部(以下、単に「ナゲット部」という)の600℃から200℃までの平均冷却速度が2500℃/s以下となるよう溶接電流を制御し、かつ、溶接接合部の断面における前記アルミ系材の最小厚さが下記式(1)を満たすようにすることが好ましい。
(溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さ/アルミ系母材の板厚)≧0.3 …(1)
本発明によれば、上記クラッド材や当て板等を用いずにアルミ系材と鉄系材を溶接して、ナゲット部に割れのない接合継手が得られ、車両等の輸送機関や電気製品等の軽量化に十分寄与することができる。また使用電流を直流に限定することなく溶接することができる。
本発明者らは、ナゲット部の割れを発生させることなくアルミ系材料と鉄系材料のスポット溶接を行う方法について鋭意研究を行ったところ、通電終了時の溶接電流を通電開始時よりも小さくすることが大変有効であることを突き止め、更に、最適な条件について検討を行い本発明に想到した。以下、本発明で規定した溶接条件とその規定理由について詳述する。
図1に示す従来法の様に溶接電流が一定値である場合や、通電終了時の溶接電流が通電開始時よりも大きい場合(図示せず)には、図2に示す様に、通電終了後にナゲット部の温度が急激に低下して著しい歪みが生じ、ナゲット部で該歪みを吸収できずに割れが生じると考えられる。
これに対し通電条件が、図3に例示する様に2段パターンであって通電終了時の溶接電流が通電開始時よりも小さい場合には、ナゲット部が図4に示す通り緩やかに冷却される。この様に冷却すれば、冷却時に生じる熱歪みが小さく、かつ生じた歪みをナゲット部で吸収して割れを抑制できると考える。
本発明では通電パターンとして、通電開始時の溶接電流で一定時間通電した後に、2段階(上記図3)に分けて段階的に溶接電流を小さくする方法を採用する
本発明者らは、次に、上記冷却速度とナゲット部の割れとの関係に着目し、冷却速度を具体的にいかなる範囲に抑えればナゲット部の割れを確実に抑制できるかについて調べた。その結果、溶接で形成されたアルミ材側ナゲット部の600℃から200℃までの平均冷却速度を2500℃/s以下とすればよいことが分かった。該温度範囲の冷却速度を制御するのは、アルミ材側ナゲット部の凝固が、アルミの合金種にもよるが約600〜500℃から始まり約200℃で終了し、ナゲット部の凝固に伴う割れの抑制には、該温度範囲の冷却速度を制御することが有効だからである。該温度範囲での冷却速度は小さいほど好ましく2000℃/s以下に抑えるのがより好ましいが、作業性等の観点からは約500℃/sを下限とする。
本発明者らは、この様にナゲット部の600℃から200℃までの平均冷却速度を2500℃/s以下とするための、溶接電流の具体的条件についても検討した。その結果、上記図3に示すように抵抗スポット溶接時の通電2段階からなる通電パターンを採用、第2段階の溶接電流を、第1段階の溶接電流の70〜10%に制御することが有効であることを見出した。
第2段階の溶接電流が第1段階の溶接電流の70%を超えていると、本発明の効果を奏さず、従来法の様に1段パターンで通電するのとほとんど変わりないからである。ましくは第2段階の溶接電流を第1段階の溶接電流の50%以下にする。一方、第2段階の溶接電流が第1段階の溶接電流の10%を下回ると、第1段階から第2段階への通電条件変化時にナゲット部が急冷されて、割れが生じ易くなるので好ましくない。ましくは、第2段階の溶接電流を第1段階の溶接電流の20%以上にするのがよい。
その他の具体的な溶接電流や通電時間等について、本発明では特に限定しないが、良好に溶接を行うには次の通電条件を採用するのがよい。即ち、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合、第1段階の溶接電流を8kA以上(より好ましくは10kA以上)とすることによって、アルミ系材が溶融して冶金学的な接合を行うことができる。一方、溶接電流が高すぎると、アルミが過剰に溶融してチリが生じ易いので、第1段階の溶接電流は18.0×tAl 0.5kA以下[より好ましくは15.0×tAl 0.5kA以下,tAl:アルミ系母材の板厚(単位mm)]に抑えることが好ましい。一方、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上120mmR未満の場合、第1段階の溶接電流を15.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5kAとし、さらに電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが120mmR以上の場合、第1段階の溶接電流を18.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5kAとするのがよい。
また第1段階の通電時間は、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合、十分に接合すべく30msec(ミリ秒)以上、より好ましくは40msec以上確保するのがよいが、通電時間が長すぎてもアルミのチリが生じ易く、ナゲット部の厚みが減少して割れが生じ易くなるので好ましくない。第1段階の通電時間は600msec以下に抑えるのがよい。一方、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上の場合、電極チップと被溶接物との接触面積が増大し、よりチリが出やすくなるため通電時間は100×tAl 0.5msec以下、好ましくは20×tAl 0.5〜80×tAl 0.5msecとする。
第1段階における加圧力は、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合、溶接電流にもよるが、確実に接合するには1.0kN以上加圧することが好ましい。しかし過剰に加圧するとチリが生じ易くなるので、1.4×I2×10-8kN[I:溶接電流(A)]以下の範囲とするのがよい。一方、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上120mmR未満の場合、電極チップと被溶接物との接触面積が増大し、電流密度が低下するため、加圧力は2.0×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5kNの比較的高い加圧力を印加するのがよい。さらに、電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが120mmR以上の場合、加圧力は2.5×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5kNの加圧力を印加するのがよい。
第2段階の通電条件についても、上記の通り第1段階の溶接電流の70〜10%に制御する以外は特に制限されないが、通電時間が著しく短いと冷却速度を十分に抑制することができず、急冷に近い状態となるので第2段階の通電時間は50msec以上確保することが好ましい。一方、第2段階の通電時間が長すぎてもチリが生じ易くなるので600msec以下に抑えるのがよい。
第2段階における加圧力は特に限定されないが、確実に接合するには1kN以上加圧することが好ましい。しかし過剰に加圧すると上記第1段階の様な問題が生じるので、6kN以下の範囲とするのがよい。
本発明者らは更に、溶接時における通電条件について材料別に詳細に検討したところ、アルミ系材については、同一通電条件において合金種類間で接合状態に違いはほとんどみられなかった。しかし鉄系材については、同一条件で通電した場合に、鋼板の強度レベルにより接合状態が異なる場合があり、強度レベルの高い鋼板を用いた場合には、アルミ系材側に形成されるナゲット部の厚さが薄くなり該ナゲット部に割れが生じ易くなる傾向がみられた。これは、高強度鋼板には合金元素が多量に添加されており、該合金元素の存在により発熱がすすんでアルミが溶融・飛散し易くなるためと思われる。そこで、鋼板の強度レベルに応じて通電条件を調節するのが大変有効であり、鋼板の強度レベルが高くなるほど通電量を相対的に抑制するのがよいことを見出した。詳細な条件は以下に示す通りである。
(I)鉄系材の強度レベル:390MPa未満の場合
(I−1)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5 kA以下
[tAl:アルミ系母材の板厚(mm)、以下同じ]
加圧力(F):9.8×I2×10-9 kN以下
[I:電流量(A)、以下同じ]
通電時間:600msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜6.0 kA
加圧力(F):0.5〜2.5 kN
通電時間:50〜600 msec
(I−2)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上120mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):15.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.0×tAl 0.5〜3.5×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):0.5〜3.5 kN
通電時間:50〜600 msec
(I−3)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが120mmR以上の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.5×tAl 0.5〜3.5×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):1.0〜4.0 kN
通電時間:50〜600 msec
(II)鉄系材の強度レベル:390MPa以上890MPa未満の場合
(II−1)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5 kA以下
加圧力(F):1.2×I2×10-8 kN以下
通電時間:400msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜6.0 kA
加圧力(F):1.0〜3.0 kN
通電時間:50〜500 msec
(II−2)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上120mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):15.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.0×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):0.5〜3.5 kN
通電時間:50〜600 msec
(II−3)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが120mmR以上の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.5×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):1.0〜4.0 kN
通電時間:50〜600 msec
(III)鉄系材の強度レベル:890MPa超の場合
(III−1)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5 kA以下
加圧力(F):1.4×I2×10-8 kN以下
通電時間:150msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜6.0 kA
加圧力(F):1.0〜3.5 kN
通電時間:50〜400 msec
(III−2)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが75mmR以上120mmR未満の場合
<第1段階条件>
電流量(I):15.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.5×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):0.5〜3.5 kN
通電時間:50〜600 msec
(III−3)電極チップの先端径が6mmφ以上で、かつ先端Rが120mmR以上の場合
<第1段階条件>
電流量(I):18.0×tAl 0.5〜30.0×tAl 0.5 kA
加圧力(F):2.5×tAl 0.5〜4.0×tAl 0.5 kN
通電時間:100×tAl 0.5 msec以下
<第2段階条件>
電流量(I):2.0〜20.0 kA
加圧力(F):1.0〜4.0 kN
通電時間:50〜600 ms
上記の通り、本発明は、通電終了時の溶接電流を通電開始時よりも小さくして溶接後のナゲット部を緩やかに冷却することによって、ナゲット部の割れを著しく低減できたところに特徴を有するが、このナゲット部の割れをより確実に抑制するには、該ナゲット部の冷却速度の抑制と共に、アルミ系母材の板厚に対する溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを下記式(1)に示す通り一定以上確保することが有効であることも見出した。
(溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さ/アルミ系母材の板厚)≧0.3 …(1)
ナゲット部を緩やかに冷却した場合でも、アルミ系材の板厚に対する溶接接合部の断面におけるアルミ系材の厚さが薄すぎると、冷却時に発生する熱歪みを該ナゲット部で十分吸収することができず、後述する実施例における図8に示す通り、割れが生じ易くなるからである。より好ましくは(溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さ/アルミ系母材の板厚)を0.4以上とする。尚、この様にアルミ系母材の板厚に対する溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを一定値以上とするには、例えば図5に示す様な傾向から求められる下記式(2)や式(3)を満たすように、電流値と通電時間を制御することが有効である。
鉄材系の強度レベルが390MPa以上890MPa未満の場合
電流(kA)×通電時間(msec)≦4000 …(2)
鉄材系の強度レベルが890MPa以上の場合
電流(kA)×通電時間(msec)≦2000 …(3)
本発明は、その他の電流波形、電極の形状や材質、電圧値等の溶接条件については特に限定するものでなく、一般的な条件を採用することができる。また本発明の溶接方法は、鉄系材やアルミ系材の種類や板厚を問わず適用することができ、鉄系材として例えば純鉄系材料の他、各種鋼板、めっき鋼板等を使用でき、アルミ系材として純アルミ金属の他、国際合金記号で2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系等の合金を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〈実施例1〉
表1に示す鉄系材とアルミ系材を重ね合わせ、表2および下記に示す条件で連続スポット溶接を行った。尚、温度履歴の例として、実験No.1とNo.18のそれぞれのナゲット部(断面厚さ方向の中心部)の温度を、図6に示す方法で測定した。即ち、鉄系材とアルミ系材の重ね部において、図6(b)に示す様にアルミ系材側に熱電対を入れるために、アルミ系材側の表面に溝加工し、図6(a)に示す通り熱電対がナゲット中心部にくる様にセットしてスポット溶接を行い、ナゲット部の温度を測定した。その結果を図7に示す。表2に示す冷却速度は、600℃から200℃までの平均冷却速度を示している。
・溶接機:単相整流式抵抗スポット溶接機
・電極形状:
(正極側)電極…先端径6mm、先端Rが40mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
(負極側)電極…先端径6mm、先端Rが40mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
ドーム球:半径8mm
この様にして得られた接合継手を溶接面で切断し、該断面において、アルミニウムの最小厚さを測定した。また切断面におけるナゲット部を光学顕微鏡で観察(倍率:25倍)して割れの有無を確認した。割れの有無は、各実験No.において3試料の溶接を行い、ナゲット部に割れが1つでも発生した場合を「×」、ナゲット部に全く割れが発生しなかった場合を「○」と評価した。これらの結果を表3に併記する。
Figure 0004502873
Figure 0004502873
Figure 0004502873
表1〜3より次の様に考察できる。No.1〜17は、本発明で規定する方法で溶接を行ったため、ナゲット部の割れは生じなかったが、No.18〜28は、規定する条件を満たしていないため、ナゲット部に割れが生じた。即ち、No.18,22,26は通電条件が1段パターンであったため、またNo.19,21,24は、2段パターンの通電で溶接を行っているが、第2段階の溶接電流が第1段階よりも高いため本発明で意図する効果が発揮されず、ナゲット部に割れが生じたものと考えられる。
No.20,25,28の結果から、ナゲット部の割れを確実に抑制するには、上記式(1)に示す通り溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを確保することが有効であることがわかる。またNo.23、27の結果から、推奨される冷却速度となる様に制御し、かつ上記式(1)に示す通り溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを確保することが、ナゲット部の割れの抑制に有効であることがわかる。
参考までに、本実施例で得られた接合継手の断面顕微鏡観察写真を示す。図8は、No.18(比較例)の接合断面における光学顕微鏡観察写真(倍率25倍)であるが、この図8から、アルミ系材側に形成されたナゲット部に亀裂が生じていることがわかる。これに対し、図9はNo.1(本発明例)の接合断面における光学顕微鏡観察写真(倍率25倍)であるが、この図9から、ナゲット部に亀裂が生じておらず良好に溶接できていることがわかる。
一方、図10はNo.25(比較例)の接合断面における光学顕微鏡観察写真(倍率25倍)を示している。No.25では、ナゲット部の冷却速度が緩やかであるが、第1段階における通電時間が長すぎたために、溶接接合部の断面におけるアルミ系材の厚さが非常に薄くなり亀裂が生じている。
これに対し図11は、No.13(本発明例)の接合断面における光学顕微鏡観察写真(倍率25倍)であるが、No.13では通電時間等を制御して溶接接合部の断面におけるアルミ系材の厚みを確保しているため、ナゲット部に割れが生じていない。
〈実施例2〉
上記実施例1における電極チップ形状を以下に示す様に変更し、それ以外は上記実施例1と同様にして、表4に示す鉄系材とアルミ系材を重ね合わせ、表5および下記に示す条件で連続スポット溶接を行った。そして、得られた接合継手の評価を上記実施例1と同様にして行なった。その結果を表5に併記する。
・溶接機:単相整流式抵抗スポット溶接機
・電極形状:
(正極側)電極…先端径7mm、先端Rが100mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
(負極側)電極…先端径7mm、先端Rが100mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
ドーム球:半径8mm
Figure 0004502873
Figure 0004502873
表4,5より次の様に考察できる。No.29〜35は、本発明で規定する方法で溶接を行ったため、ナゲット部の割れは生じなかったが、No.36〜42は、規定する条件を満たしていないため、ナゲット部に割れが生じた。
即ち、No.36,39は通電条件が1段パターンであったため、またNo.37,41は、2段パターンの通電で溶接を行っているが、第2段階の溶接電流が第1段階よりも高いため本発明で意図する効果が発揮されず、ナゲット部に割れが生じたものと考えられる。
No.40の結果からは、第2段階の通電時間を推奨される範囲内とすると共に、推奨される冷却速度で冷却して、上記式(1)に示す通り溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを確保することが、ナゲット部の割れの抑制に有効であることがわかる。またNo.38,42の結果から、第1段階の通電時間を推奨される範囲内として、上記式(1)に示す通り溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを確保することが、ナゲット部の割れの抑制に有効であることがわかる。
〈実施例3〉
上記実施例1における電極チップ形状を以下に示す様に変更し、それ以外は上記実施例1と同様にして、表6に示す鉄系材とアルミ系材を重ね合わせ、表7および下記に示す条件で連続スポット溶接を行った。そして、得られた接合継手の評価を上記実施例1と同様にして行なった。その結果を表7に併記する。
・溶接機:単相整流式抵抗スポット溶接機
・電極形状:
(正極側)電極…先端径7mm、先端Rが150mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
(負極側)電極…先端径7mm、先端Rが150mmRの
1%Cr−Cu製ドーム型電極
ドーム球:半径8mm
Figure 0004502873
Figure 0004502873
表6,7より次の様に考察できる。No.43〜49は、本発明で規定する方法で溶接を行ったため、ナゲット部の割れは生じなかったが、No.50〜56は、規定する条件を満たしていないため、ナゲット部に割れが生じた。
即ち、No.50,53は通電条件が1段パターンであったため、またNo.51は、2段パターンの通電で溶接を行っているが、第2段階の溶接電流が第1段階よりも高いため本発明で意図する効果が発揮されず、ナゲット部に割れが生じたものと考えられる。
No.54の結果からは、第2段階の加圧力を推奨される範囲内とすると共に、推奨される冷却速度で冷却すること、またNo.55の結果からは、第2段階の通電時間を推奨される範囲内とすると共に、推奨される冷却速度での冷却が、ナゲット部の割れの抑制に有効であることがわかる。更にNo.52,56の結果から、第1段階の通電時間を推奨される範囲内として、上記式(1)に示す通り溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さを確保することが、ナゲット部の割れの抑制に有効であることがわかる。
従来法の通電パターンを模式的に例示した図である。 図1のパターンで通電したときのナゲット部の温度履歴模式図である。 本発明法の通電パターンを模式的に例示した図である。 図3のパターンで通電したときのナゲット部の温度履歴模式図である。 板厚比を制御するためのスポット溶接条件の一例を示す図である。 ナゲット部の温度測定方法を示す(a)上面図(b)側面図である。 実施例における温度履歴測定例である。 実施例におけるNo.18(比較例)の接合継手の断面顕微鏡観察写真である。 実施例におけるNo.1(本発明例)の接合継手の断面顕微鏡観察写真である。 実施例におけるNo.25(比較例)の接合継手の断面顕微鏡観察写真である。 実施例におけるNo.13(本発明例)の接合継手の断面顕微鏡観察写真である。

Claims (2)

  1. アルミニウム材またはアルミニウム合金材(以下「アルミ系材」という)と鉄材または鉄合金材(以下「鉄系材」という)を重ね合わせ、通電してアルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接を行う方法において、
    第1段階の溶接電流値と、第2段階の溶接電流値とを有し、前記第2段階の溶接電流を、前記第1段階の溶接電流の70〜10%の範囲内の一定値に制御する溶接電流パターンで溶接することを特徴とするアルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法。
  2. 前記アルミ系材側に形成されるナゲット部の600℃から200℃までの平均冷却速度が2500℃/s以下となるように溶接電流を制御し、かつ、
    溶接接合部の断面における前記アルミ系材の最小厚さが下記式(1)を満たすようにする請求項1に記載のアルミ系材と鉄系材の抵抗スポット溶接方法。
    (溶接接合部の断面におけるアルミ系材の最小厚さ/アルミ系母材の板厚)≧0.3
    ・・・(1)
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