高画質、低消費量化を目的とした、トナーの小粒径化が進められている。しかし、粉砕法にて製造されるトナーにおいて、小粒径化する為には従来以上の製造エネルギーを必要とするか、生産能力を低下させることが必要である。装置に導入する、圧縮エアーや冷水、冷風を強化することは製造時の消費エネルギー増大に直結する。また、生産能力自体が低下した場合も、単位時間あたりに消費されるエネルギーは従来同等であるが、生産量ベースで考えた場合には必要とされるエネルギーは増加することになる。
今回我々は、粉砕法にて製造されるトナーの微粒子化に対する製造に関して研究を進めた結果、粗粉砕→中粉砕→微粉砕と多段的にトナー粒子を粉砕することが効率的で微粉の発生自体も抑制され、シャープな粒度分布が得られる結論に再度、行き着いた。
しかし、先述した通り、中粉砕工程を導入することは既存のプラントにおいては大幅なレイアウト変更が必要な点及び中粉砕機自体も粉砕エネルギーを消費する点に更なる改良が必要である事が判明した。
つまり、中粉砕工程を導入する代わりに、粗粉砕工程が、同軸上に配列した、一次粉砕用の複数の回転打撃子(ハンマー)と粉流を制御する邪魔板を介して、二次粉砕用の少なくとも中心回転軸に取り付けられた凹凸を有する回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている凹凸を有する固定子とを具備する2つ以上の粉砕ゾーンを有し、且つ、粉砕ゾーンは1ユニット内に収められ、同一の動力源により、同一回転数で運転される粗粉砕機を導入することが重要である。本装置により、中粉砕工程導入時に必要な粉砕機、移送の為の配管及び貯留ホッパー等のスペースは不要となる。また、本装置は2つ以上の粉砕ゾーンを同一ユニット内で同一動力、同一回転数での稼動が可能な為、粗粉砕機及び中粉砕機を稼動させた場合に対して10〜30%消費電力が低減出来る。
更に、微粉砕工程へ供給する粗砕品の粒径を50〜300μm程度とすることが望ましい。本装置又は、中粉砕工程を介さずに微粉砕工程とした場合には、粉砕効率として10〜30%低下し、特に微粒子化に対しては粒度分布自体もブロード化する等、収率、生産性の悪いものとなる。微粉砕工程へ供給する粗砕品の粒径が300μm超の場合には、特に微粒子化に対して生産性向上効果が出無い場合もある。また、粗砕品の粒径が50μm未満の場合には、微粉砕工程以降への影響は少ないが、本装置における粉砕ゾーンの温度管理が困難となる。或は、温度管理の為に冷却等へ更にエネルギーを要することとなり、本発明の目的である低エネルギー生産が達成できない場合があり好ましくない。
更に、粗粉砕機の二次粉砕ゾーン以降に、配置される固定子の内面は、ジャケット式ケーシングに密着接触し、内部を循環する冷媒により粉砕時に発生する粉砕熱をコントロールすることが重要である。槽内温度を本処置によりある程度一定とすることで、トナー粒子表面での構成成分の状態をコントロールすること及び粉砕性の違うトナー粒子に対しても同様の粉砕効果を与えることが可能である。
更に、粗粉砕機の二次粉砕ゾーン以降に、配置される回転子の内面は、粉導入方向又は粉出口方向から内部を循環する冷媒を通すことにより、粉砕時に発生する粉砕熱をコントロールすることが重要である。先述の固定子冷却に対して、回転子内面を直接冷却する為、熱コントロールが少量のエネルギーで達成できること及び冷媒自体の温度、量の制御により同一装置状態における回転子の回転数を変更してのトナー粒子径コントロールが容易に達成できる。
図1は本発明による、粗粉砕装置を示した断面概略図である。
溶融混練工程を経て、冷却固化された厚さ0.3mm〜5mm程度の板状の混練冷却物は第一の粉砕ゾーンへ供給され、粉砕ハンマー(101,102)により200〜2000μmに連続粉砕される。邪魔板(103)により、粉流を制御されつつ、次工程の粉砕ゾーンでは、ギヤップ0.8mm〜5.0mmの範囲で調整された凹凸を有する回転子(105)と固定子(104)によって、混練冷却物は300μm以下に粗粉砕され次工程へ移送される。この時、回転子は周速20〜100m/sの範囲で運転し、所望の粗砕品粒径に調整する。また、本粗粉砕装置の2次粉砕移行のゾーンに用いられる固定子及び、又は回転子は、内部を循環する冷媒により粉砕時に発生する粉砕熱をコントロールすることにより粉砕機内の温度を55℃以下、好ましくは50℃以下、或は製造されるトナーの樹脂Tg以下にすることが良い。粉砕機内の温度が高温(60℃程度)で連続運転を実施して行くと、粉砕機内にトナー粒子が融着することで処理量の低下や、装置の故障、破損の原因となる場合があり好ましくない。
また、一次粉砕ゾーンと次工程の粉砕ゾーンに設置する邪魔板(103)は固定子の内径未満、回転子の回転軸以上の寸法を持った着脱、交換可能なリング状の部材であり、2次粉砕移行への混練冷却物導入を制御することで処理の均一性や所望の粒径へのコントロールを可能とする。
図2は本発明のトナー粒子製造に関する全体フロー概略図である。特に、本設備に限定するものではないが、今回の検討では微粉砕工程(18)には機械式粉砕機(ターボ工業製T400)を用い、分級工程(20)には風力分級装置のエルボジェット分級機を用いている。分級工程により、重量平均粒子径4乃至12μmのトナー粒子を得る。
図3は粗粉砕後に中粉砕工程(38)を導入したトナー粒子製造に関する全体フロー概略図である。図4は上記から中粉砕工程を除いた、従来のトナー粒子製造に関する全体フロー概略図である。
図1と図4においては、工程上必要となる移送の為の配管及び貯留ホッパーは同等となっているが、図3においては、中粉砕工程が付加されたことにより、装置、配管、ホッパーが増加していることが判る。
次に、本発明においてその目的を達成するに好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
本発明に用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。特にポリエステル系樹脂を用いた場合には本装置の導入による効果は大きい。
ビニル系樹脂としては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類が挙げられる。これらのビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
また、必要に応じて以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
本発明において、ビニル系モノマーの単重合体または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂として用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000であることが好ましい。
ビニル系重合体又は共重合体からなる結着樹脂を合成する方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法の如き重合法が利用できる。カルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを用いる場合には、モノマーの性質上、塊状重合法または溶液重合法を利用することが好ましい。
一例として次のような方法が挙げられる。ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸モノエステルの如きモノマーを用い、塊状重合法、溶液重合法によりビニル系共重合体を得ることができる。溶液重合法においては、溶媒留去時にジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル単位を留去条件を工夫することにより一部無水化することができる。更に、塊状重合法または溶液重合法によって得られたビニル系共重合体を加熱処理することで更に無水化を行うことができる。酸無水物をアルコールの如き化合物により一部エステル化することもできる。
逆に、この様にして得られたビニル系共重合体を加水分解処理で酸無水物基を閉環させ、一部ジカルボン酸とすることができる。
一方、ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い、懸濁重合法、乳化重合法で得られたビニル系共重合体を加熱処理による無水化及び加水分解処理による開環により無水物からジカルボン酸を得ることができる。塊状重合法または溶液重合法で得られたビニル系共重合体を、モノマー中に溶解し、次いで懸濁重合法または乳化重合法により、ビニル系重合体または共重合体を得る方法を用いれば、酸無水物の一部は開環してジカルボン酸単位を得ることができる。重合時にモノマー中に他の樹脂を混合してもよく、得られた樹脂を加熱処理による酸無水物化、弱アルカリ水処理による酸無水物の開環アルコール処理によりエステル化を行うことができる。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物モノマーは交互重合性が強いので、無水物、ジカルボン酸の如き官能基をランダムに分散させたビニル系共重合体を得る為には以下の方法が好ましい方法の一つである。ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い溶液重合法によってビニル系共重合体を得、このビニル系共重合体をモノマー中に溶解し、懸濁重合法によって結着樹脂を得る方法である。この方法では溶液重合後の溶媒留去時に処理条件により、全部またはジカルボン酸モノエステル部を脱アルコール閉環無水化させることができ酸無水物を得ることができる。懸濁重合時には酸無水物基が加水分解開環し、ジカルボン酸が得られる。
ポリマーにおける酸無水物化は、カルボニルの赤外吸収が酸またはエステルの時よりも高波数側にシフトするので酸無水物の生成または消滅は確認できる。
この様にして得られる結着樹脂は、カルボキシル基、無水物基、ジカルボン酸基が結着樹脂中に均一に分散されているので、トナーに良好な帯電性を与えることができる。
結着樹脂としては以下に示すポリエステル樹脂も好ましい。
ポリエステル樹脂は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分である。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(B)式で表わされるビスフェノール誘導体;
また、(C)式で示されるジオール類;
グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類が挙げられる。
また、全酸成分中50mol%以上を含む2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられ、また、3価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
特に好ましいポリエステル樹脂のアルコール成分としては前記(B)式で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。
これらの酸成分及びアルコール成分から得られたポリエステル樹脂を結着樹脂として使用したトナーは、定着性が良好で、耐オフセット性に優れているからである。
ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下であり、OH価は好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下であることが良い。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性において環境依存性が大きくなる為である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜65℃であり、さらに数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000〜100,000、より好ましくは10,000〜90,000であることが良い。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜2μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
結着樹脂100質量部に対して、磁性体20〜150質量部、好ましくは50〜130質量部、更に好ましくは60〜120質量部使用するのが良い。
本発明のトナーに使用できる非磁性の着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料として、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の添加量が良い。また、同様に染料が用いられ、例えば、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5〜10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部未満となる場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、10質量部を超える場合には、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。離型剤としては次のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させることができる。
また、該離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、65乃至130℃であることが好ましい。より好ましくは80乃至125℃であることがよい。融点が65℃以下の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が130℃以上の場合は、低温定着性が悪化してしまう場合があり好ましくない。
本発明のトナーには、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得る微粉体を流動性向上剤として用いてもかまわない。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ等をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施し、疎水化処理したものであり、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すように処理したものが特に好ましい。
疎水化処理を施さずに無機微粉体を使用することは、感光体への付着や、削れが悪化したり、トナー自体の環境安定性を損なう場合があり、好ましくない。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものを、疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。
乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものの製造方法としては、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
AEROSIL(日本アエロジル社) 130
200
300
380
TT600
MOX170
MOX80
COK84
Ca−O−SiL(CABOT Co.社) M−5
MS−7
MS−75
HS−5
EH−5
Wacker HDK N 20 V15
(WACKER−CHEMIE GMBH社) N20E
T30
T40
D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)
Fransol(Fransil社)
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
流動化剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
本発明のトナーには、研摩効果に加え、帯電性付与性及び流動性付与、クリーニング助剤として、上述以外の無機微粉体を添加しても良い。無機微粉体は、トナー粒子に外添することにより、添加前後を比較するとより効果が増加し得るものである。本発明に用いられる無機微粉体としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ストロンチウム、セリウム、カルシウム、バリウム等のチタン酸塩及び/又はケイ酸塩が挙げられる。
本発明における無機微粒子は、トナー100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部用いるのが良い。
次に、以下の実施例中で測定した各種物性データの測定方法に関して以下に説明する。
(1)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を用いた。電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTONR−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用出来る。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、トナー粒径を測定するときは100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し、重量平均径を求める。
(2)トナー粗砕品粒度分布の測定
測定装置としてはベックマンコールター社製 LS230 を用いて、以下の条件で乾式測定する。
光学系等の調整を空吸引状態で自動調整した後、トナー粗砕品をサンプルホルダーからバイブレーションの設定15(サンプル濃度が7〜12%となるように設定)とし、20秒間測定し、解析メソッド(フランフォーファー)にてデータ−解析することで平均粒子径を算出する。本テスト時には吸引用掃除機としてはナショナル製MC−G600WDを用いた。
(3)ワックスの融点測定
示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。測定はASTM D3418−82に準じておこなう。測定試料2〜10mgを精秤してアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
(4)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
(5)結着樹脂及の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
(6)樹脂の酸価の測定
結着樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
[A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g) ]
(7)結着樹脂の水酸基価の測定
結着樹脂の「水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS=K0070に準ずる。
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、つぎの試薬、操作および計算式によって試験を行う。
(1)試薬
(a)アセチル化試薬 無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスおよび酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K 8006によって行う。
(2)操作
試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
(3)計算式 つぎの式によって水酸基価を算出する。
[A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価 ]
(8)磁性酸化鉄粒子の分析方法。
(a)平均粒子径
走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、フェレ径にて算出した。
(b)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用して、外部磁場796kA/mにて測定した。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(トナー粒子の製造例:T−1)
・結着樹脂(ポリエステル樹脂): 100質量部
(Tg56℃、酸価18mgKOH/g、水酸基価27mgKOH/g、分子量:Mp6 500、Mn2800、Mw55000)
・酸化鉄粒子: 90質量部
(平均粒子径0.16μm、795.8kA/m磁場での特性Hc11.2kA/m、σ s82.3Am2/kg、σr13.5Am2/kg)
・アゾ系鉄錯体化合物: 2質量部
(保土ヶ谷化学社製、商品名T−77)
・フィッシャートロプシュワックス: 3質量部
(日本精蝋社製、商品名FT−100、融点98℃)
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−500型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(TEM−100型、東芝機械(株)製)にて550kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約160℃)した。得られた混練物を冷却し、図1の粗砕装置(各パーツは表1〜4)を用いて、粉砕して平均粒径100μmの粗砕物Aを得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は151kWh、粗砕装置の使用電力量は18kWhであった。
粗砕物Aをターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数155m/s、粗砕品供給量を260kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が5.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が58.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.6体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は250kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて260kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が5.7μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が27.9個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.1体積%含有するトナー粒子(分級品:A−1)を得た。このときの収率を下記計算式により算出したところ82%だった。また、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は200kWhであった。
収率(%)=所望粒子径のトナー粒子(分級品)量(kg/hr)/投入した微粉
砕品量(kg/hr)×100
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は619kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は426kg/hrであった。これより、トナー粒子製造に要したエネルギーは1.45kWh/kgとなった。
<実施例2>
実施例1と同様にして得られた混練冷却物を、粗砕装置構成を表−1〜4に変更した装置を用いて粉砕して平均粒径50μmの粗砕物Bを得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は151kWh、粗砕装置の使用電力量は19kWhであった。
粗砕物Bをターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数170m/s、粗砕品供給量を240kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が5.0μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が62.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.2体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は260kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて240kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が5.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が34.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.1体積%含有するトナー粒子(分級品:B−1)を得た。このときの収率は79%だった。又、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は195kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は625kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は379kg/hrであった。これより、トナー粒子製造に要したエネルギーは1.65kWh/kgとなった。
<実施例3>
実施例1と同様のトナー処方を用いて、600kg/hrのFeed量で得られた混練冷却物を、粗砕装置構成を表1〜4に変更した装置を用いて粉砕して平均粒径200μmの粗砕物Cを得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は163kWh、粗砕装置の使用電力量は17kWhであった。
粗砕物Cをターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数135m/s、粗砕品供給量を300kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が7.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が47.6個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を9.6体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は245kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて300kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が7.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が18.8個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を4.8体積%含有するトナー粒子(分級品:C−1)を得た。このときの収率は84%だった。また、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は205kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は740kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は504kg/hrであった。これより、トナー粒子製造に要したエネルギーは1.25kWh/kgとなった。
<比較例1>
実施例1と同様にして得られた混練冷却物を、粗砕装置としてハンマーミルを用いて、粉砕して平均粒径550μmの粗砕物Dを得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は151kWh、粗砕装置の使用電力量は15kWhであった。
粗砕物Dをターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数172m/s、粗砕品供給量を210kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が5.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が61.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.7体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は270kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて210kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が5.7μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が29.9個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.2体積%含有するトナー粒子(分級品:D−1)を得た。このときの収率を下記計算式により算出したところ73%だった。又、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は185kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は621kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は307kg/hrであった。これより、トナー粒子製造に要したエネルギーは2.02kWh/kgとなった。
<比較例2>
比較例1と同様にして平均粒径550μmの粗砕物Eを得た。さらに、この粗砕物EをACMパルベライザーを用いて平均粒径100μmに粉砕して粗砕物E’を得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は151kWh、粗砕装置及び中粉砕装置の使用電力量は30kWhであった。
粗砕物E’をターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数155m/s、粗砕品供給量を260kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が5.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が61.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.7体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は250kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて260kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が5.7μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が30.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.2体積%含有するトナー粒子(分級品:E−1)を得た。このときの収率を下記計算式により算出したところ81%だった。また、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は200kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は631kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は421kg/hrであった。これよりトナー粒子製造に要したエネルギーは1.50kWh/kgとなった。
<比較例3>
実施例3と同様にして得られた混練冷却物を、粗砕装置としてハンマーミルを用いて粉砕して平均粒径550μmの粗砕物Fを得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は163kWh、粗砕装置の使用電力量は16kWhであった。
粗砕物Fをターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数160m/s、粗砕品供給量を280kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が7.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が53.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を10.5体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は255kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて280kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が7.6μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が19.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を5.3体積%含有するトナー粒子(分級品:F−1)を得た。このときの収率は77%だった。また、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は205kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は639kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は431kg/hrであった。これよりトナー粒子製造に要したエネルギーは1.48kWh/kgとなった。
<比較例4>
実施例1と同様にして得られた混練冷却物を、粗砕装置としてハンマーミルを用いて粉砕して平均粒径550μmの粗砕物Gを得た。さらに、この粗砕物GをACMパルベライザーを用いて平均粒径50μmに粉砕して粗砕物G’を得た。この時に稼動させた原料混合〜混練装置の使用電力量は163kWh、粗砕装置及び中粉砕装置の使用電力量は32kWhであった。
粗砕物G’をターボ工業社製ターボミルT−800型2台を用い、ローター回転数170m/s、粗砕品供給量を240kg/hrとして、機械式粉砕機内の入口温度は−20℃、出口温度は45℃となるように粉砕し、重量平均径が5.0μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が62.2個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.2体積%含有する微粉砕品を得た。この時に稼動させた微粉砕装置の使用電力量は260kWhであった。
次いで、エルボジェット風力分級機2台を用いて240kg/hrのFeed量で分級することで、重量平均径が5.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が34.4個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.2体積%含有するトナー粒子(分級品:G−1)を得た。このときの収率を下記計算式により算出したところ78%だった。また、この時に稼動させた分級装置の使用電力量及びトナー移送に用いた電力は195kWhであった。
本製造フローを用いた場合の単位時間あたりの使用電力量は650kWhとなった。また、トナー粒子自体の単位時間あたりの生産量は374kg/hrであった。これよりトナー粒子製造に要したエネルギーは1.74kWh/kgとなった。
表5にまとめたとおり、本発明によれば、従来の粗砕装置を導入したトナー製造ラインと比較した場合、同一粒子径のトナーを粉砕製造する際に必要とするエネルギー自体を低減することが出来た。更に、従来の中粉砕工程を導入したトナー製造ラインに対しても、製造エネルギーの低減効果も発揮し、且つ、図2と図3の比較のように、省スペースでの対応が容易である。