JP4598409B2 - 表示装置及び投射表示装置 - Google Patents
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Description
そこで、複数のライトバルブからの投射画素をスクリーン上で適宜位置をずらして表示することによって高解像度の投射表示装置を実現することが提案されている。また、光軸のシフトや偏向を行う素子(例えば、ウォブリング素子)を使って投射画素位置を高速に移動させ、見かけ上、ライトバルブの画素数以上の投射画素数にする表示装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、液晶ライトバルブからの出射光を投射するときに、光軸をシフトさせる素子を設けることにより、時分割で画素を増加させ、高解像度を実現する画像表示装置が提案されている。この画像表示装置では、偏光方向を旋回できる光学素子と、複屈折効果を有する透明素子とを、光軸シフト方向を直交させて2組用いることにより、縦2倍、横2倍で合計4倍に画像を高解像度化している。また、下記の特許文献2には、光軸をシフトすることにより、画素を実質的にΔ(デルタ)配列することが可能な装置が提案されている。
そこで、この問題を解消するには、画像形成手段であるライトバルブの近傍に縮小光学系を配置して、投射画素のサイズを隣接画素に重ならない程度に縮小する必要がある。この場合、ライトバルブの全画素を各々縮小させる光学系を通すため、例えば、マイクロレンズアレイ等の正の屈折パワーを有する光学素子を用いて一旦画素を小さくし、この画素縮小された画像を投射レンズでスクリーンに拡大投影する光学系が考えられる。ここで、実質的にライトバルブの画素を小さく、すなわち開口率を小さくする構造は例えば特許文献4に開示されており、これは、反射型ライトバルブにマイクロレンズを付加した反射型表示装置である。この従来技術の目的は、反射型ライトバルブの各画素に対応してマイクロレンズを付加し、反射型ライトバルブの画素間の液晶の配向不良による表示品質への悪影響を抑えることである。
また、マイクロレンズを付加した反射型表示装置からスクリーンまでの間に画素ずらし素子を配置したとしても、隣接画素の重なりは必ずしも低減されない。
[1].放射光を放出する光源と、該光源から放出された光を均一照明させる照明手段と、アレイ状に配列された画素で画像を形成する空間光変調器と、前記空間光変調器の画素配列に応じた配列の光学素子と、前記空間光変調器で形成され前記光学素子を通過した画像光の光路を前記空間光変調器と同期して所定の量だけ光学的にシフトする制御を行う画素ずらし手段と、からなる表示装置であって、前記光学素子は前記空間光変調器の各画素の配光分布を照度分布に変換するものであり、前記空間光変調器と同期して前記画素ずらし手段によって前記照度分布の光の光路を光学的にシフトさせることによって前記空間光変調器の整数倍の解像度の画像を表示する表示装置において、前記空間光変調器は、反射型の空間光変調器であり、前記光学素子は、画素配列に応じた配列のレンズからなり各画素の配光分布を照度分布に変換するレンズアレイであり、該レンズアレイは前記空間光変調器の直前に配置されており、前記照明手段から前記空間光変調器に向かう照明光と、前記空間光変調器から前記レンズアレイを通過して前記画素ずらし手段に向かう画像光とを分離するための偏光分離手段を有し、前記偏光分離手段に入射する前記照明光の光軸と前記偏光分離手段で光路を変えられた画像光の光軸とを含む面、を面Aとしたとき、前記レンズアレイの各レンズの中心からの距離に対するレンズ面の傾きは、前記面Aとのなす角が45度方向または135度方向の傾きが、前記面Aに平行な方向または垂直な方向の傾きに比べて緩やかであることを特徴とする(請求項1)。
前記空間光変調器と同期して前記画素ずらし手段によって照度分布の光の光路を光学的にシフトさせることによって前記空間光変調器の整数倍の解像度の画像を表示するので、空間光変調器の整数倍の画素数を表示でき、かつ、表示隣接画素間の重なりを低減することが可能となる。
アレイ状に配列された画素で画像を形成する空間光変調器としては、例えば透過型や反射型の液晶ライトバルブが有名であり、液晶ライトバルブを用いた表示装置や投射表示装置としては、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や液晶プロジェクタなどがある。
一例として、液晶プロジェクタの基本構成は、光源としてのランプと、ランプからの光を液晶ライトバルブに均一に照明するための照明光学系と、液晶ライトバルブの画像を拡大投影するための投射レンズからなる。液晶プロジェクタに用いるランプとしては、通常、放電ランプが使われる。この放電ランプとしては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプなどが使われている。
いずれの均一照明光学系も、反射鏡付きランプからの放射光が放射直後の面での照度分布の不均一を空間光変調器の面で均一化させる働きを有する。
表示装置の解像度(表示画素数)を向上するには液晶ライトバルブに代表される空間光変調器の画素数を増やす必要がある。しかし、液晶ライトバルブの画素数向上は現状で作製可能な最小画素ピッチで制限される。画素ピッチが一定であれば必然的に液晶ライトバルブの外形サイズを大きくして画素数向上を図るしかない。液晶ライトバルブは透過型では2枚の透光性基板(ガラス)が使われるため、形状を大きくするとガラス母材からの取り数が減るため、製品単価が上昇する。このため、背景技術で述べたように、液晶ライトバルブと画素ずらし素子を用いた高精細表示装置が提案されている。ここでは、一例として画素ずらし素子で水平方向に2つの光軸変化を発生させる場合について記述する。
そこで本発明者らは先に、投射レンズの物体面を正の屈折パワーを有する光学系(光学素子)の焦点面よりもライトバルブ側に位置させる構成を提案した(特願2003−38536号)。この配置構成により、投射ピッチに対して投射画素サイズを小さくできるにもかかわらず、投射画素プロファイルはランプ配向分布の影響を低減することができる。さらに、隣接投射画素へは小さい相対強度で重なっており、投射画像の硬さ(シャープさ)が低減されるので、見やすい画像になる。
そこで、本発明では、マイクロレンズアレイや凹面ミラーアレイなどの光学素子の面形状が球面形状でも非球面形状であっても、隣接画素間の重なりを低減した高精細な表示が可能な表示装置(投射表示装置)を提供するものである。
そこで本発明では、隣接画素間の重なりを低減するとともに、レンズアレイ等の光学素子によるコントラスト比の低下が抑制された表示装置(投射表示装置)を提供するものである。
また、レンズアレイ14のレンズ形状が非球面で、かつ、近軸焦点距離が短くて(概ねアレイピッチの3倍以下の焦点距離で)レンズ周辺の屈折力がレンズ中心付近より弱い(すなわちレンズ傾斜角が小さい)場合には、レンズアレイの焦点付近で配光分布が照度分布に変換される。この場合、焦点位置25よりも画素ずらし素子側(図2で焦点位置25の面より右側)でも配光分布が照度分布に変換される。
したがって、レンズアレイや凹面ミラーアレイなどの面形状を工夫することにより、配光分布が照度分布に変換される位置を調整でき、画素を縮小する効果が得られ、また、偏光解消の低減も図ることができ、高コントラスト比の画像表示が可能になる。
図1は本発明の第1の実施例を説明するための表示装置の概略構成図である。この表示装置10は、光源としてのLED(発光ダイオード)11と、レンズ12と、空間光変調器としての透過型液晶素子(透過型液晶ライトバルブ)13と、レンズアレイ14と、画素ずらし素子15から構成されている。また、符号16は観測者を表わしている(観測者の目のみ図示している)。LED11から放射された光Lは、レンズ12の物体側焦点面にLED11の発光部を配置させるようにすることで、ほぼ平行光となる。また、この平行光の配光分布は図7に示すようになるが、レンズ12の直径(レンズ径)を制限することで、この平行光は図8に示すLED照度分布のほぼ均一な領域41のみを透過型液晶ライトバルブ13に入射させることができる。従って、レンズ12は均一照明光学系といえる。光源の照度が不均一な部分を利用しない本構成は光利用効率を犠牲にするが、表示装置の小型化、低コスト化に貢献することができる。
次に空間光変調器として反射型液晶ライトバルブを用いた表示装置の実施例を示す。図10は本発明の第2の実施例を説明するための表示装置の概略構成図である。この表示装置30は、光源としてのLED(発光ダイオード)11と、レンズ12と、空間光変調器としての反射型液晶素子(反射型液晶ライトバルブ)31と、レンズアレイ32と、ビームスプリッタ33と、画素ずらし素子15から構成されている。
空間光変調器が反射型液晶ライトバルブの場合は、図10に示すように、ビームスプリッタ33を用いて照明光と画像光とを分離する。LED光源11からの放射光をレンズ12で平行光束化してビームスプリッタ33に入射する。このビームスプリッタ33はハーフミラーの働きを有するので、入射光の半分を透過し、残りを反射させる。平行光の半分の光量はビームスプリッタ33を透過し、レンズアレイ32越しに反射型液晶ライトバルブ31を照明する。このときレンズアレイ32がフィールドレンズの働きをすることでレンズアレイ32通過後には照度分布が図7の形状となる。この光のうちの半分がビームスプリッタ33で反射され、画素ずらし素子15で光学シフトを受けるので、観測者16は反射型液晶ライトバルブの整数倍の解像度表示を見ることができる。本実施例の構成では反射型液晶ライトバルブ31は無偏光に対して画素を明暗表示できるタイプ、例えばPDLC(ポリマー分散型液晶素子)が望ましい。また、偏光を利用するライトバルブの場合には偏光板が必要になる。
なお、ビームスプリッタの代わりに偏光ビームスプリッタを用いる構成も可能である(具体的な実施例については後述する)。この場合、反射型液晶ライトバルブ31には液晶の複屈折性または旋光性を利用した、TN(ツイストネマチック)液晶モードやSTN(スーパーツイストネマチック)液晶モードとECB液晶モードを利用することができる。
また、レンズアレイ32を無くして、かつ、反射型液晶ライトバルブの透明基板はそのままにして、通常、平面形状である反射画素電極を凹面ミラー形状にすることによって、レンズアレイを用いた場合と同様の動作・効果を有することができる。すなわち、反射画素電極の反射面に凹面ミラーアレイを形成することにより、反射型液晶ライトバルブ自体に配光分布を照度分布に変換する機能を持たせることができる。なお、これらの具体的な実施例については後述する。
次に空間光変調器として透過型液晶ライトバルブを用いた投射表示装置の実施例を示す。図11は本発明の第3の実施例を説明するための投射表示装置の概略構成図である。この投射表示装置60は、ランプ光源61と、照明光学系62,63と、透過型液晶ライトバルブ64と、レンズアレイ65と、画素ずらし素子66と、投射レンズ67から構成されており、スクリーン68に画像を投射して表示するものである。
ランプ光源61には回転放物面鏡付き超高圧水銀ランプ等を用いることができる。照明光学系として本実施例ではフライアイインテグレータを用いている。すなわち、一対のレンズアレイ62とコンデンサレンズ63でフライアイインテグレータを構成している。画像表示部は、透過型液晶ライトバルブ64で画像を形成し、画素ピッチとアレイピッチが等しいレンズアレイ65で透過型液晶ライトバルブ64の各画素の配光分布を照度分布に変換して画素を縮小する。そして、レンズアレイ95による縮小画素像は、画素ずらし素子66を経て投射レンズ67でスクリーン68に拡大投射され、スクリーン68上に画像が表示される。なお、透過型液晶ライトバルブ64とレンズアレイ65からなる画像表示部の構成は実施例1の表示装置と同様であり、画素の縮小は実施例1の説明で記述した通りなのでここでは説明を省略する。また、画素ずらし素子66の動作も前述の通りなので説明を省略する。
本実施例の構成によって、画像を形成する空間光変調器(透過型液晶ライトバルブ)の整数倍の画素数を表示することが可能な投射表示装置を提供することができる。
次に空間光変調器として透過型液晶ライトバルブを用い、かつ中間像を形成させる高解像投射表示装置の実施例を示す。図12は本発明の第4の実施例を説明するための投射表示装置の概略構成図である。この高解像投射表示装置70は、ランプ光源61から透過型液晶ライトバルブ64までは実施例3と全く同じ構成である。液晶ライトバルブ64の後にはマクロレンズ71、レンズアレイ65、画素ずらし素子66、投射レンズ67が配置されている。
この投射表示装置70では、透過型液晶ライトバルブ64の画像はマクロレンズ71で一旦中間像として結像させる。このマクロレンズ71は物体側にも像側にもテレセントリックであることが望ましい。また、マクロレンズの倍率(横倍率)は特に制限されるものではない。
本実施例の構成によれば、画像を形成する空間光変調器(透過型液晶ライトバルブ)64の整数倍の画素数を表示することが可能な投射表示装置で、レンズアレイ65と画素ずらし素子66の設置自由度を高めることができる。また、本実施例では投射表示装置としたが、ランプ光源と照明光学系を実施例1と同様の固体光源(LED等)11とレンズ12に置き換え、投射レンズ67を外せば、観測者が画像を観察するタイプの高解像表示装置とすることができる。
次に空間光変調器として反射型液晶ライトバルブを用いた表示装置の別の実施例を示す。図13は本発明の第5の実施例を説明するための表示装置の概略構成図である。この表示装置は、光源81と、レンズ82と、偏光板83a,83bと、レンズアレイ84と、空間光変調器85と、画素ずらし素子86で構成される。光源81としては、実施例1と同様にLED等の固体光源を用いることができるが、この他、可視域の光を放出する放電ランプを用いることができる。また、放電ランプに回転放物体の形状の反射鏡が付けばレンズ82は不要となる。レンズ82からの光を偏光板83aで直線偏光にする。偏光板83aを透過した光はレンズアレイ84を通過し、空間光変調器85に入射される。空間光変調器85としては反射型液晶素子(反射型液晶ライトバルブ)を用いることができ、例えばTN(ツイストネマチック)液晶素子を用いることができる。TN液晶素子は画素が配列されており、これらの画素に個別に電圧を印加して画素毎の偏光状態を制御する。レンズアレイ85の配列とピッチは、TN液晶素子の画素の配列とピッチと同じにする。
また、レンズアレイ84のレンズ形状が非球面で、かつ、近軸焦点距離が短くて(概ねアレイピッチの3倍以下の焦点距離で)レンズ周辺の屈折力がレンズ中心付近より弱い(すなわちレンズ傾斜角が小さい)場合には、レンズアレイの焦点付近で配光分布が照度分布に変換される。この場合、焦点位置95よりも画素ずらし素子側(図14で焦点位置95の面より右側)でも配光分布が照度分布に変換される。
したがって、レンズアレイ84のレンズ面形状を工夫することにより、配光分布が照度分布に変換される位置を調整でき、画素を縮小する効果が得られ、また、偏光解消の低減も図ることができ、高コントラスト比の画像表示が可能になる。
本実施例のコーニック定数はレンズ84aを正面から見て図16(a)に示す方位角θによっており、同図(b)に示すレンズ面のサグ量zは下記の式(1) で表すことができる。なお、この場合、コーニック定数kはθの関数となっている。
z=cr2/{1+√[1-(1+k(θ)c2r2)]} (1)
c=1/R (Rはレンズの曲率半径)
k(θ):コーニック定数
このような面形状にすることによってレンズ面による偏光解消を低減させることが可能になる。また、各画素の配光分布を照度分布に変換する作用は、球面形状の割合を多めにしておくことで可能となる。
なお、図15のレンズ形状は、金型を使ったモールド成形では金型の凹面アレイ形状を対角方向とアレイ配列方向で曲率半径を変えるように金型を作製することで、所望のレンズアレイを作ることができる。
また、前述の通り、レンズ対角方向のコーニック定数が小さい値を選ぶため、完全な球面形状のレンズに比べて対角方向のレンズ面傾斜が緩やかになる。このため、前述のように偏光解消が低減できる。したがって、本実施例の構成によって、画像を形成する空間光変調器85の整数倍の画素数を表示することができ、かつ、レンズアレイ84による偏光解消を低減することができ、コントラスト比の高い表示装置を提供することができる。
実施例5で説明したレンズアレイのレンズ面形状は、実施例1〜4の表示装置や投射表示装置にも同様に適用できるが、これらの表示装置や投射表示装置に適用されるレンズアレイのレンズ面形状としては、図15に示した形状の他、図18に示すような形状のものであっても良い。図18にはレンズアレイの一つのレンズを図示している。このレンズは、水平方向のシリンダーレンズと鉛直方向のシリンダーレンズの交わりで表される立体の表面形状である。面181a,181bが水平方向シリンダーレンズ面で、面182a,182bが鉛直方向シリンダーレンズ面である。図18の面形状では、アレイ中心からの距離に対するレンズ面の傾斜が、前記レンズアレイ配列方向に比べて、対角方向が緩やかであるため、上述と同様の効果が得られる。なお、レンズ面形状は、シリンダーレンズ面に代えて蒲鉾状としてもよい。
[方法]
・使用したシミュレータ;
3次元光学CAD・照明解析プログラムLight Tools(ライトツールズ)、オプティカルリサーチアソシエーツ社製、バージョン4.20。
・計算モデル;
図19にパーソナルコンピュータの画面上に表示した計算モデルとなる光学系を示す。
光源;一般的な放電ランプの配向分布をモデル上の光源に設定。
偏光分離素子;偏光ビームスプリッタ、入射面と、出射面には理想偏光板(透過軸に平行な偏光は100%透過、垂直な偏光は透過率0%)を配置、偏光ビームスプリッタとレンズアレイの間には4分の1波長板を配置した。
計算波長は550nmのみである。
偏光光線追跡モードで、光線総本数は50000本とした。
4分の1波長板の遅相軸を図19の面内に平行な場合を暗表示、紙面から45°傾けた場合を明状態とし、両者のレシーバ照度の比をコントラスト比と定義する。
・計算結果
レンズアレイが球面形状の場合:C/R=316
レンズアレイが図18のレンズ面形状の場合:C/R=493
A:B=1:1.6
となり、コントラスト比は約6割向上した。
次に空間光変調器として反射型液晶ライトバルブを用いた投射表示装置の実施例を示す。図20は本発明の第7の実施例を説明するための投射表示装置の概略構成図である。この投射表示装置100は、ランプ光源101、フライアイレンズ102とコンデンサレンズ103からなる照明光学系、偏光ビームスプリッタ104、レンズアレイ105、空間光変調器としての反射型液晶素子(反射型液晶ライトバルブ)106、画素ずらし素子107、投射レンズ108で構成されており、スクリーン109に画像を拡大投射して表示する。ランプ光源101からの放射光は照明光学系102,103によって均一照度化される。この照明光のうち図面に平行な偏光成分はレンズアレイ側に透過される。レンズアレイ105と反射型液晶ライトバルブ(空間光変調器)106の構成と動作は前述の実施例5で述べた通りなのでここでは説明を省略する。見かけ上、縮小された画素は明状態なら偏光状態が90°回転され偏光ビームスプリッタ104で画素ずらし素子107側に反射される。画素ずらし素子107で所定の距離だけ高速に光路が切り替えられ、これらの光は投射レンズ108を経てスクリーン109に拡大投射される。
(1)レンズアレイ105の各レンズの中心からの距離に対するレンズ面の傾きは、面Aとのなす角が45度方向または135度方向の傾きが、面Aに平行な方向または垂直な方向の傾きに比べて緩やかにする、
(2)レンズアレイ105の各レンズのレンズ形状は、面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向のコーニック定数を、面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向のコーニック定数に比べて小さい値にする、
(3)レンズアレイの各レンズのレンズ形状は、面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向の曲率半径を、面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向の曲率半径に比べて大きい値にする、
の何れかの構成とすることにより、偏光解消が低減され、高コントラスト比の表示が可能になる。
図21は実施例7の変形例を説明するための図であり、レンズアレイ付き反射型液晶素子の概略断面図である。空間光変調器としての反射型液晶表示素子(反射型液晶ライトバルブ)110は、実施例7のレンズアレイ105と反射型液晶ライトバルブ106を一つの素子に置き換えたものである。液晶層113はレンズアレイ基板111とシリコンバックプレーン(下側基板)112に挟持される。シリコンバックプレーン112には反射画素電極(画素反射ミラー)116や画素の明暗表示を駆動させるための駆動素子(図示せず)が半導体プロセスで作製されている。画素反射ミラー116の上には平坦化層(図示せず)や配向膜115が積層されている。一方、レンズアレイ基板111の液晶層側の面には透明電極114と配向膜115が設置されている。レンズアレイのアレイピッチは画素電極のピッチと対応している。レンズアレイは液晶層113に近接されているが、動作は実施例5で述べた通りであるため、ここでは説明を省略する。
次に空間光変調器として反射型液晶ライトバルブを用い、各画素の配光分布を照度分布に変換する光学素子として凹面ミラーアレイを用いた投射表示装置の実施例を示す。
本実施例では、図20に示された投射表示装置のレンズアレイ105と反射型液晶ライトバルブ106を図22に示す空間光変調器120で置き換えるものである。図22に示す空間光変調器120は、凹面ミラーアレイを一体化した反射型液晶ライトバルブであり、液晶層113がカバーガラス(透光性基板)121とシリコンバックプレーン(下側基板)112に挟持されている。シリコンバックプレーン112には凹面ミラーアレイ122や画素の明暗表示を駆動させるための駆動素子(図示せず)が半導体プロセスで作製されている。凹面ミラーアレイ122の上には平坦化層(図示せず)や配向膜115が積層されている。一方、カバーガラス121の液晶層側の面には透明電極114と配向膜115が設置されている。凹面ミラーアレイ122は反射画素電極を兼ねている。この反射型液晶ライトバルブ120は、レンズアレイに代わり凹面ミラーアレイが空間光変調器の各画素の配光分布を照度分布に変換する働きを有する。
(1)凹面ミラーアレイ122の各ミラーの中心からの距離に対するミラー面の傾きは、面Aとのなす角が45度方向または135度方向の傾きが、面Aに平行な方向または垂直な方向の傾きに比べて緩やかにする、
(2)凹面ミラーアレイ122の各ミラーのミラー形状は、面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向のコーニック定数を、面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向のコーニック定数に比べて小さい値にする、
(3)凹面ミラーアレイ122の各ミラーのミラー形状は、面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向の曲率半径を、面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向の曲率半径に比べて大きい値にする、
の何れかの構成とすることにより、偏光解消が低減され、高コントラスト比の表示が可能になる。
次に空間光変調器として反射型液晶ライトバルブを用い、偏光ビームスプリッタを用いた表示装置の実施例を示す。図24は本発明の第10の実施例を説明するための表示装置の概略構成図である。この表示装置は、光源としてのLED141と、レンズ142と、偏光分離手段である偏光ビームスプリッタ143とレンズアレイ144と、空間光変調器としての反射型液晶ライトバルブ145と画素ずらし素子146で構成されている。LED141から放射された光はレンズ142で平行光となり、偏光ビームスプリッタ143でp偏光(図24の紙面に平行な偏光)が透過し、レンズアレイ144を通過して反射型液晶ライトバルブ145に入射する。反射型液晶ライトバルブ145で変調を受けた画像光はs偏光成分が発生し、この偏光は偏光ビームスプリッタ143で反射されて画素ずらし素子146側に反射される。そして、観測者147は、画素ずらし素子146で光学的に画素ずらしされた画像を観測する。ここで、レンズアレイ144と反射型液晶ライトバルブ145の構成、動作および画素ずらし素子146の動作は前述の実施例5等で説明したものと同様なのでここでは説明を省略する。
また、図24において、レンズアレイ144と反射型液晶ライトバルブ145に代えて、図21に示したレンズアレイ付き反射型液晶ライトバルブ110を用いてもよく、さらには、図22に示す凹面ミラーアレイ付き反射型液晶ライトバルブ120を用いることもできる。なお、これらを用いたときの構成、動作および作用は前述した通りである。
11,81,141:LED光源
12,82,142:レンズ
13,64:透過型液晶素子(空間光変調器)
14,32,65,84,105,144:レンズアレイ(光学素子)
15,66,86,107,146:画素ずらし素子
16,87,147:観測者
31,85,106,145:反射型液晶素子(空間光変調器)
60,70,100:投射表示装置
61,101:ランプ光源
62,92:レンズアレイ(照明光学系)
63,93:コンデンサレンズ(照明光学系)
67,108:投射レンズ
68,109:スクリーン
71:マクロレンズ
104,143:偏光ビームスプリッタ
110:レンズアレイ付き反射型液晶素子(空間光変調器)
120:凹面ミラーアレイ付き反射型液晶素子(空間光変調器)
122:凹面ミラーアレイ
Claims (4)
- 放射光を放出する光源と、該光源から放出された光を均一照明させる照明手段と、アレイ状に配列された画素で画像を形成する空間光変調器と、前記空間光変調器の画素配列に応じた配列の光学素子と、前記空間光変調器で形成され前記光学素子を通過した画像光の光路を前記空間光変調器と同期して所定の量だけ光学的にシフトする制御を行う画素ずらし手段と、からなる表示装置であって、
前記光学素子は前記空間光変調器の各画素の配光分布を照度分布に変換するものであり、前記空間光変調器と同期して前記画素ずらし手段によって前記照度分布の光の光路を光学的にシフトさせることによって前記空間光変調器の整数倍の解像度の画像を表示する表示装置において、
前記空間光変調器は、反射型の空間光変調器であり、
前記光学素子は、画素配列に応じた配列のレンズからなり各画素の配光分布を照度分布に変換するレンズアレイであり、該レンズアレイは前記空間光変調器の直前に配置されており、
前記照明手段から前記空間光変調器に向かう照明光と、前記空間光変調器から前記レンズアレイを通過して前記画素ずらし手段に向かう画像光とを分離するための偏光分離手段を有し、
前記偏光分離手段に入射する前記照明光の光軸と前記偏光分離手段で光路を変えられた画像光の光軸とを含む面、を面Aとしたとき、
前記レンズアレイの各レンズの中心からの距離に対するレンズ面の傾きは、前記面Aとのなす角が45度方向または135度方向の傾きが、前記面Aに平行な方向または垂直な方向の傾きに比べて緩やかであることを特徴とする表示装置。 - 放射光を放出する光源と、該光源から放出された光を均一照明させる照明手段と、アレイ状に配列された画素で画像を形成する空間光変調器と、前記空間光変調器の画素配列に応じた配列の光学素子と、前記空間光変調器で形成され前記光学素子を通過した画像光の光路を前記空間光変調器と同期して所定の量だけ光学的にシフトする制御を行う画素ずらし手段と、からなる表示装置であって、
前記光学素子は前記空間光変調器の各画素の配光分布を照度分布に変換するものであり、前記空間光変調器と同期して前記画素ずらし手段によって前記照度分布の光の光路を光学的にシフトさせることによって前記空間光変調器の整数倍の解像度の画像を表示する表示装置において、
前記空間光変調器は、反射型の空間光変調器であり、
前記光学素子は、画素配列に応じた配列のレンズからなり各画素の配光分布を照度分布に変換するレンズアレイであり、該レンズアレイは前記空間光変調器の直前に配置されており、
前記照明手段から前記空間光変調器に向かう照明光と、前記空間光変調器から前記レンズアレイを通過して前記画素ずらし手段に向かう画像光とを分離するための偏光分離手段を有し、
前記偏光分離手段に入射する前記照明光の光軸と前記偏光分離手段で光路を変えられた画像光の光軸とを含む面、を面Aとしたとき、
前記レンズアレイの各レンズのレンズ形状は、前記面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向のコーニック定数が、前記面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向のコーニック定数に比べて小さい値であることを特徴とする表示装置。 - 放射光を放出する光源と、該光源から放出された光を均一照明させる照明手段と、アレイ状に配列された画素で画像を形成する空間光変調器と、前記空間光変調器の画素配列に応じた配列の光学素子と、前記空間光変調器で形成され前記光学素子を通過した画像光の光路を前記空間光変調器と同期して所定の量だけ光学的にシフトする制御を行う画素ずらし手段と、からなる表示装置であって、
前記光学素子は前記空間光変調器の各画素の配光分布を照度分布に変換するものであり、前記空間光変調器と同期して前記画素ずらし手段によって前記照度分布の光の光路を光学的にシフトさせることによって前記空間光変調器の整数倍の解像度の画像を表示する表示装置において、
前記空間光変調器は、反射型の空間光変調器であり、
前記光学素子は、画素配列に応じた配列のレンズからなり各画素の配光分布を照度分布に変換するレンズアレイであり、該レンズアレイは前記空間光変調器の直前に配置されており、
前記照明手段から前記空間光変調器に向かう照明光と、前記空間光変調器から前記レンズアレイを通過して前記画素ずらし手段に向かう画像光とを分離するための偏光分離手段を有し、
前記偏光分離手段に入射する前記照明光の光軸と前記偏光分離手段で光路を変えられた画像光の光軸とを含む面、を面Aとしたとき、
前記レンズアレイの各レンズのレンズ形状は、前記面Aとのなす角が45度の断面方向または135度の断面方向の曲率半径が、前記面Aに平行な断面方向または垂直な断面方向の曲率半径に比べて大きい値であることを特徴とする表示装置。 - 表示手段からの画像光を投射手段によって被投射面に投射して画像表示する投射表示装置において、
前記表示手段として請求項1〜3の何れか一つに記載の表示装置を備え、該表示装置の画素ずらし手段の後に前記投射手段を配備したことを特徴とする投射表示装置。
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