JP4594121B2 - Soiウエーハの製造方法及びsoiウエーハ - Google Patents
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単結晶シリコンウエーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウエーハ中にイオン注入層を形成する工程、
該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
前記透明絶縁性基板側から前記接合面に紫外光を照射し、結合力を高める工程、
前記イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する工程、
を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法を提供する(請求項1)。
このように、紫外光照射工程をレーザー光を照射するものとすれば、レーザー光はエネルギー密度が高いので、短時間で局所的にシリコンウエーハ表面、すなわち接合面の加熱ができる。
このように、紫外光照射工程をパルス光を照射するものとすれば、パルス光は持続時間が短く、吸収により発生した熱の拡散が小さい。従って単結晶シリコンウエーハのごく表面のみが短時間で効率的に加熱され、熱的なストレスはウエーハ全体にかからずに局所的に接合面のみにかかるので、熱歪、剥離、ひび割れ等をより確実に防止できる。
このように、接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすれば、単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板の界面に存在するH2O分子やOH基が紫外光を吸収してさらに活性化し、接合強度をさらに高めることができる。
このように、紫外光照射に加え、それと同時に又は連続して、接合した単結晶シリコンウエーハ及び透明絶縁性基板を、熱歪が発生しないような100〜300℃という低温で熱処理してより結合力を高めてから、イオン注入層に衝撃を与えて機械的な剥離工程を行なえば、機械的応力による接合面の剥離、ひび割れ等の発生をより確実に防止してSOIウエーハを製造できる。
このように、熱処理工程をフラッシュランプアニール処理とすれば、短時間で効果的に熱処理ができる。
このように、剥離工程により得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施せば、剥離工程で生じたSOI層の表面粗れやイオン注入工程で発生した結晶欠陥等を除去でき、表面が鏡面研磨された平滑なSOI層を有するSOIウエーハを製造できる。
このように、透明絶縁性基板を石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、光学デバイス作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
ここで、ガラス基板としては、一般的な青板ガラスのほか、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、結晶化ガラスなどを用いることができる。また、青板ガラスなどの様にアルカリ金属を含むガラス基板を用いる場合には、表面からのアルカリ金属の拡散を防止するため、ガラス基板の表面にスピンオンガラスによる拡散防止膜を形成することが好ましい。
このように、上記のいずれかの製造方法により製造されたSOIウエーハであれば、製造の際に熱歪、剥離、ひび割れ等が発生しておらず、また、各種デバイス作製に有用な、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れ、キャリア移動度の高い透明絶縁性基板上にSOI層を持つSOIウエーハとなる。
しかし、SOIウエーハの生産性向上の為に、より工程数が少なく、短時間で前記問題を解決する技術が望まれていた。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単結晶シリコンウエーハとしては特に限定されず、例えばチョクラルスキー法により育成された単結晶をスライスして得られたもので、例えば直径が100〜300mm、導電型がP型またはN型、抵抗率が10Ω・cm程度のものを用いることができる。
また、透明絶縁性基板も特に限定されないが、これを石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、光学デバイス作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
例えば、単結晶シリコンウエーハの温度を250〜450℃とし、その表面から所望のSOI層の厚さに対応する深さ、例えば0.5μm以下の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100keV、注入線量は1×1016〜1×1017/cm2とできる。また、単結晶シリコンウエーハの表面にあらかじめ薄いシリコン酸化膜などの絶縁膜を形成しておき、それを通してイオン注入を行なえば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
プラズマで処理をする場合、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をした単結晶シリコンウエーハ及び/又は透明絶縁性基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、単結晶シリコンウエーハを処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。透明絶縁性基板を処理する場合はいずれのガスでもよい。
工程Cにおいて、単結晶シリコンウエーハのイオン注入面または透明絶縁性基板の表面の少なくとも一方がプラズマ処理及び/又はオゾン処理されているので、これらを例えば減圧または常圧下、一般的な室温程度の温度下で密着させるだけで後工程での機械的剥離に耐え得る強度で強く接合できる。従って、1200℃以上といった高温の結合熱処理が必要でなく、加熱により問題になる熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがなく好ましい。
これによって、紫外光は透明絶縁性基板によってはほとんど吸収、散乱等はされず接合面に到達し、紫外光が接合面であるシリコンウエーハ表面で吸収されて該表面が加熱されるので、接合面の結合力をさらに高めることができる。本発明者らの測定によれば、シリコンの光吸収は光の波長が約400nm以下の紫外光領域で急激に増大し、消衰係数kは約1.1以上の値であるから、吸収係数としては約34.5(μm−1)以上である。従って、照射した紫外光は表面から深さ0.1μmまでで約97%以上が吸収され、熱に変換されるので、シリコンウエーハ表面、すなわち接合面が効率的に加熱される。
また、パルス光を照射するものとすれば、パルス光は持続時間が短く、シリコンの光吸収により発生した熱の拡散が小さいので、単結晶シリコンウエーハのごく表面のみが短時間で効率的に加熱され、熱的なストレスは接合ウエーハ全体にかからずに局所的に接合面近傍にのみかかる。従って、熱歪、剥離、ひび割れ等をより確実に防止できる。
例えば透明絶縁性基板が石英の場合、熱膨張係数はシリコンに比べて小さく(Si:2.33×10−6、石英:0.6×10−6)、同程度の厚さのシリコンウエーハと張り合わせて加熱すると、300℃を超えるとシリコンウエーハが割れてしまう。しかし、このような比較的低温の熱処理であれば、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがなく好ましい。なお、この熱処理工程において、バッチ処理方式の熱処理炉を用いる場合、熱処理時間は0.5〜24時間程度であれば十分な効果が得られる。
水素イオン注入剥離法においては、接合ウエーハを不活性ガス雰囲気下500℃程度で熱処理を行ない、結晶の再配列効果と注入した水素の気泡の凝集効果により熱剥離を行なうという方法であるが、本発明においてはイオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行なうので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがない。
イオン注入層に衝撃をあたえるためには、例えばガスや液体等の流体のジェットを接合したウエーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
この鏡面研磨によって、剥離工程で発生したヘイズと呼ばれる表面粗れを除去したり、イオン注入により生じたSOI層表面近傍の結晶欠陥を除去できる。この鏡面研磨として、例えばタッチポリッシュと呼ばれる研磨代が5〜400nmと極めて少ない研磨を用いることができる。
また、このようなSOIウエーハは、透明絶縁性基板の上にSOI層が形成されているものであるから、TFT−LCD等の光学デバイスの作製用に特に適する。
Claims (8)
- 単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板とを接合後、前記単結晶シリコンウエーハを薄膜化することにより前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成してSOIウエーハを製造する方法において、少なくとも、
単結晶シリコンウエーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウエーハ中にイオン注入層を形成する工程、
該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
前記透明絶縁性基板側から前記接合面に紫外光を照射し、結合力を高める工程、
前記イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する工程、
を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。 - 請求項1に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記紫外光照射工程を、レーザー光を照射するものとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記紫外光照射工程を、パルス光を照射するものとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記接合工程を行なった後、前記紫外光照射工程と同時に又は連続して、前記接合ウエーハを100〜300℃で熱処理して結合力を高める工程を行ない、その後前記剥離工程を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項5に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記熱処理工程を、フラッシュランプアニール処理とすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記剥離工程により得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記透明絶縁性基板を、石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
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