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JP4594121B2 - Soiウエーハの製造方法及びsoiウエーハ - Google Patents

Soiウエーハの製造方法及びsoiウエーハ Download PDF

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本発明は、SOIウエーハの製造方法及びSOIウエーハに関するものであり、特に透明絶縁性基板上にSOI層を形成するSOIウエーハの製造方法及びSOIウエーハに関するものである。
絶縁体上にシリコン単結晶層が形成されたSOI(Silicon On Insulator)構造を有するSOIウエーハは、高密度の半導体集積回路を作製するのに適し、例えばTFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)などの光学デバイスにも期待されている。
このような光学デバイスには、例えば透明な石英基板上にSOI層を形成したSOIウエーハを用いる。この場合、基板が完全な絶縁体であるから、SOI層中のキャリアの移動度が基板に影響されず、極めて高くなり、特に高周波で駆動した場合の効果が著しい。しかも、このようなSOIウエーハではTFT領域の周辺に駆動回路を一体に形成することもでき、高密度の実装が可能である。
このような光学デバイスに用いるSOIウエーハは、SOI層の厚さを例えば0.5μm以下程度に薄くしなければならない。従って、石英基板とSOI層との接合は、このような厚さまでSOI層を薄膜化するための研削、研磨や、デバイス作製時にSOI層に掛かる熱的、機械的応力に耐えるように強固に接合している必要があり、そのため、高温熱処理により結合力を高めることが必要であった。
しかし、石英基板とSOI層では熱膨張係数が相違するため、接合するための加熱処理中、あるいは接合後の冷却中または研削、研磨中に熱歪による応力が生じ、石英基板やSOI層にひび割れが発生したり、これらが剥離して破損することがあった。このような問題は絶縁性透明基板が石英基板の場合に限らず、単結晶シリコンウエーハを熱膨張係数が異なる基板と接合する場合に必然的に生じる問題である。
この問題を解決するため、水素イオン注入剥離法を用いるSOIウエーハの製造方法において、結合熱処理工程と薄膜化工程とを交互に段階的に行い、熱処理時に発生する熱応力の影響を緩和する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開平11−145438号公報
本発明は、透明絶縁性基板上にSOI層を形成するSOIウエーハの製造方法において、透明絶縁性基板とSOI層との熱膨張係数の差異に起因する熱歪、剥離、ひび割れ等の発生を簡易な工程で防止できるSOIウエーハの製造方法及びSOIウエーハを提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明は、単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板とを接合後、前記単結晶シリコンウエーハを薄膜化することにより前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成してSOIウエーハを製造する方法において、少なくとも、
単結晶シリコンウエーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウエーハ中にイオン注入層を形成する工程、
該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
前記透明絶縁性基板側から前記接合面に紫外光を照射し、結合力を高める工程、
前記イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する工程、
を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法を提供する(請求項1)。
このように、単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は透明絶縁性基板の表面をプラズマ及び/又はオゾンで処理すれば、ウエーハのイオン注入面及び/又は基板の表面にはOH基が増加して活性化する。従って、このような状態で単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させ接合すれば、密着させた面が水素結合により強固に接合するので、その後結合力を高める高温熱処理を施さなくても十分に強固な接合となる。さらに、その後透明絶縁性基板側から接合面に紫外光を照射すれば、紫外光がシリコンウエーハ表面で吸収されて熱に変換されることで接合面近傍が局所的に加熱されるので、結合力をさらに高めることができる。そして、このように接合面が強固に接合しているので、その後イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、透明絶縁性基板上に薄いSOI層を形成することができるので、剥離のための熱処理を行なわなくても薄膜化ができる。従って、透明絶縁性基板と単結晶シリコンウエーハとの熱膨張係数の差異に起因する熱歪、剥離、ひび割れ等が発生せずにSOIウエーハを製造することができる。また、水素イオン注入剥離法を用いるので、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れたSOI層を有するSOIウエーハを製造することができる。
この場合、前記紫外光照射工程を、レーザー光を照射するものとすることが好ましい(請求項2)。
このように、紫外光照射工程をレーザー光を照射するものとすれば、レーザー光はエネルギー密度が高いので、短時間で局所的にシリコンウエーハ表面、すなわち接合面の加熱ができる。
また、前記紫外光照射工程を、パルス光を照射するものとすることが好ましい(請求項3)。
このように、紫外光照射工程をパルス光を照射するものとすれば、パルス光は持続時間が短く、吸収により発生した熱の拡散が小さい。従って単結晶シリコンウエーハのごく表面のみが短時間で効率的に加熱され、熱的なストレスはウエーハ全体にかからずに局所的に接合面のみにかかるので、熱歪、剥離、ひび割れ等をより確実に防止できる。
また、前記接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすることが好ましい(請求項4)。
このように、接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすれば、単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板の界面に存在するHO分子やOH基が紫外光を吸収してさらに活性化し、接合強度をさらに高めることができる。
また、前記接合工程を行なった後、前記紫外光照射工程と同時に又は連続して、前記接合ウエーハを100〜300℃で熱処理して結合力を高める工程を行ない、その後前記剥離工程を行なうことが好ましい(請求項5)。
このように、紫外光照射に加え、それと同時に又は連続して、接合した単結晶シリコンウエーハ及び透明絶縁性基板を、熱歪が発生しないような100〜300℃という低温で熱処理してより結合力を高めてから、イオン注入層に衝撃を与えて機械的な剥離工程を行なえば、機械的応力による接合面の剥離、ひび割れ等の発生をより確実に防止してSOIウエーハを製造できる。
また、前記熱処理工程を、フラッシュランプアニール処理とすることができる(請求項6)。
このように、熱処理工程をフラッシュランプアニール処理とすれば、短時間で効果的に熱処理ができる。
また、前記剥離工程により得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施すことが好ましい(請求項7)。
このように、剥離工程により得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施せば、剥離工程で生じたSOI層の表面粗れやイオン注入工程で発生した結晶欠陥等を除去でき、表面が鏡面研磨された平滑なSOI層を有するSOIウエーハを製造できる。
また、前記透明絶縁性基板を、石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすることが好ましい(請求項8)。
このように、透明絶縁性基板を石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、光学デバイス作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
ここで、ガラス基板としては、一般的な青板ガラスのほか、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、結晶化ガラスなどを用いることができる。また、青板ガラスなどの様にアルカリ金属を含むガラス基板を用いる場合には、表面からのアルカリ金属の拡散を防止するため、ガラス基板の表面にスピンオンガラスによる拡散防止膜を形成することが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とするSOIウエーハを提供する
このように、上記のいずれかの製造方法により製造されたSOIウエーハであれば、製造の際に熱歪、剥離、ひび割れ等が発生しておらず、また、各種デバイス作製に有用な、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れ、キャリア移動度の高い透明絶縁性基板上にSOI層を持つSOIウエーハとなる。
本発明に従うSOIウエーハの製造方法であれば、単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板を接合する前に、接合する表面をプラズマ及び/又はオゾンで処理することにより表面にOH基が増加して活性化するので、このような状態で単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板とを室温で密着させ接合すると、密着させた面が水素結合により強固に接合する。従って、その後結合力を高める高温熱処理を施さなくても十分に強固な接合となる。さらに、その後透明絶縁性基板側から接合面に紫外光を照射するので、紫外光がシリコンウエーハ表面で吸収されて接合面が加熱されて、結合力をさらに高めることができる。そして、このように接合面が強固に接合しているので、その後イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、透明絶縁性基板上に薄いSOI層を形成することができる。従って、剥離のための熱処理を行なわなくても薄膜化ができる。このようにして、透明絶縁性基板と単結晶シリコンとの熱膨張係数の差異に起因する熱歪、剥離、ひび割れ等が発生せずにSOIウエーハを製造することができる。
また、本発明のSOIウエーハは、製造の際に熱歪、剥離、ひび割れ等が発生しておらず、また、各種デバイス作製に有用な、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れ、キャリア移動度の高い透明絶縁性基板上にSOI層を持つSOIウエーハとなる。
前述したように、透明絶縁性基板上にSOI層を形成するSOIウエーハの製造方法において、透明絶縁性基板とSOI層との熱膨張係数の差異に起因する熱歪、剥離、ひび割れ等の発生を解決するために、水素イオン注入剥離法を用いるSOIウエーハの製造方法において、接合熱処理工程と薄膜化工程とを交互に段階的に行い、熱処理時に発生する熱応力の影響を緩和する技術が開示されている。
しかし、SOIウエーハの生産性向上の為に、より工程数が少なく、短時間で前記問題を解決する技術が望まれていた。
そこで本発明者らは、接合する面に予めプラズマ及び/又はオゾン処理を行なうことで熱処理をしなくても接合強度を高くし、さらにその後透明絶縁性基板側から接合面に紫外光を照射して接合強度をさらに高め、また剥離の際にも機械的剥離を行なうことで高温の熱処理をせずに剥離することに想到し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明に係るSOIウエーハの製造方法の一例を示す工程図である。
まず、単結晶シリコンウエーハ及び透明絶縁性基板を用意する(工程A)。
単結晶シリコンウエーハとしては特に限定されず、例えばチョクラルスキー法により育成された単結晶をスライスして得られたもので、例えば直径が100〜300mm、導電型がP型またはN型、抵抗率が10Ω・cm程度のものを用いることができる。
また、透明絶縁性基板も特に限定されないが、これを石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、光学デバイス作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
次に、単結晶シリコンウエーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウエーハ中にイオン注入層を形成する(工程B)。
例えば、単結晶シリコンウエーハの温度を250〜450℃とし、その表面から所望のSOI層の厚さに対応する深さ、例えば0.5μm以下の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100keV、注入線量は1×1016〜1×1017/cmとできる。また、単結晶シリコンウエーハの表面にあらかじめ薄いシリコン酸化膜などの絶縁膜を形成しておき、それを通してイオン注入を行なえば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
次に、この単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は透明絶縁性基板の表面をプラズマ及び/又はオゾンで処理する(工程C)。
プラズマで処理をする場合、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をした単結晶シリコンウエーハ及び/又は透明絶縁性基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、単結晶シリコンウエーハを処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。透明絶縁性基板を処理する場合はいずれのガスでもよい。
オゾンで処理をする場合は、大気を導入したチャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をした単結晶シリコンウエーハ及び/又は透明絶縁性基板を載置し、窒素ガス、アルゴンガス等のプラズマ用ガスを導入した後、高周波プラズマを発生させ、大気中の酸素をオゾンに変換することで、表面をオゾン処理する。プラズマ処理とオゾン処理とはどちらか一方又は両方行なうことができる。
このプラズマ及び/又はオゾンで処理することにより、単結晶シリコンウエーハ及び/又は透明絶縁性基板の表面の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し、活性化する。処理する面としては、接合面とされ、単結晶シリコンウエーハであれば、イオン注入面とされる。処理は単結晶シリコンウエーハ、透明絶縁性基板の両方ともに行なうのがより好ましいが、いずれか一方だけ行なってもよい。
次に、この単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と透明絶縁性基板の表面とを、プラズマ及び/又はオゾンで処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する(工程D)。
工程Cにおいて、単結晶シリコンウエーハのイオン注入面または透明絶縁性基板の表面の少なくとも一方がプラズマ処理及び/又はオゾン処理されているので、これらを例えば減圧または常圧下、一般的な室温程度の温度下で密着させるだけで後工程での機械的剥離に耐え得る強度で強く接合できる。従って、1200℃以上といった高温の結合熱処理が必要でなく、加熱により問題になる熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがなく好ましい。
次に、透明絶縁性基板側から接合面に紫外光を照射する(工程E)。
これによって、紫外光は透明絶縁性基板によってはほとんど吸収、散乱等はされず接合面に到達し、紫外光が接合面であるシリコンウエーハ表面で吸収されて該表面が加熱されるので、接合面の結合力をさらに高めることができる。本発明者らの測定によれば、シリコンの光吸収は光の波長が約400nm以下の紫外光領域で急激に増大し、消衰係数kは約1.1以上の値であるから、吸収係数としては約34.5(μm−1)以上である。従って、照射した紫外光は表面から深さ0.1μmまでで約97%以上が吸収され、熱に変換されるので、シリコンウエーハ表面、すなわち接合面が効率的に加熱される。
また、HO分子やOH基は、n−σ遷移に起因するピーク波長λmaxが約167nm、ピーク分子吸光係数εmaxが約1480(dm・mol−1・cm−1)の光吸収をもち、この光吸収は約200nm以下の波長から始まる。従って、接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすれば、単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板の界面に存在するHO分子やOH基が紫外光を吸収してさらに活性化し、接合強度をさらに高めることができるので好ましい。
この紫外光照射工程については特に限定されないが、これをレーザー光を照射するものとすれば、レーザー光はエネルギー密度が高いので、短時間で局所的に接合面の加熱ができる。この場合、接合ウエーハの透明絶縁性基板側の表面全体を走査するようにレーザー光を照射する。
また、パルス光を照射するものとすれば、パルス光は持続時間が短く、シリコンの光吸収により発生した熱の拡散が小さいので、単結晶シリコンウエーハのごく表面のみが短時間で効率的に加熱され、熱的なストレスは接合ウエーハ全体にかからずに局所的に接合面近傍にのみかかる。従って、熱歪、剥離、ひび割れ等をより確実に防止できる。
レーザーとしては、エキシマレーザー、アルゴンレーザー等のガスレーザーや、YAGレーザーと非線形光学結晶等を組み合わせて波長変換により紫外光を発生させるもの等を利用することができる。これらのものは、レーザーの特性や製造条件等に応じて、連続発振型かパルス発振型のいずれかとすればよい。例えば市販されているパルス発振型のエキシマレーザー装置を用いる場合、励起ガスとしてXeClを用い、発振波長を308nm、繰り返し周波数を30Hz、エネルギー密度を50mJ/cm〜500mJ/cmとすることができる。また励起ガスとしてArFを用いれば、発振波長を193nmとすることもできるが、特に限定はされない。レーザー光のビーム形状は、線状であっても矩形状であってもよい。
なお、この紫外線照射工程と同時に、又は紫外線照射工程の前あるいは後に連続して、接合したウエーハを100〜300℃の低温で熱処理して結合力を高める工程を行なってもよい。図1は紫外線照射工程の後に連続して結合力を高める熱処理を行なう場合を示す(工程F)。
例えば透明絶縁性基板が石英の場合、熱膨張係数はシリコンに比べて小さく(Si:2.33×10−6、石英:0.6×10−6)、同程度の厚さのシリコンウエーハと張り合わせて加熱すると、300℃を超えるとシリコンウエーハが割れてしまう。しかし、このような比較的低温の熱処理であれば、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがなく好ましい。なお、この熱処理工程において、バッチ処理方式の熱処理炉を用いる場合、熱処理時間は0.5〜24時間程度であれば十分な効果が得られる。
また、この熱処理工程を、フラッシュランプアニール処理とすることもできる。このような持続時間の短い光を発するフラッシュランプを用いるアニール処理であれば、短時間で効果的に熱処理ができるので、熱歪、ひび割れ、剥離等の発生のおそれがより一層なくなるので好ましい。フラッシュランプアニール処理は、例えばハロゲンランプ、赤外ランプ等を用いるものとでき、熱処理温度を約150℃として、処理時間を1〜120秒とできる。
次に、イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する(工程G)。
水素イオン注入剥離法においては、接合ウエーハを不活性ガス雰囲気下500℃程度で熱処理を行ない、結晶の再配列効果と注入した水素の気泡の凝集効果により熱剥離を行なうという方法であるが、本発明においてはイオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行なうので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがない。
イオン注入層に衝撃をあたえるためには、例えばガスや液体等の流体のジェットを接合したウエーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
こうして、剥離工程により透明絶縁性基板上にSOI層が形成されたSOIウエーハが得られるが、このように得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施すことが好ましい(工程H)。
この鏡面研磨によって、剥離工程で発生したヘイズと呼ばれる表面粗れを除去したり、イオン注入により生じたSOI層表面近傍の結晶欠陥を除去できる。この鏡面研磨として、例えばタッチポリッシュと呼ばれる研磨代が5〜400nmと極めて少ない研磨を用いることができる。
そして、工程A〜Hにより製造されたSOIウエーハは、製造の際に熱歪、剥離、ひび割れ等が発生しておらず、また、各種デバイス作製に有用な、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れ、キャリア移動度の高い透明絶縁性基板上にSOI層を持つSOIウエーハとできる。
また、このようなSOIウエーハは、透明絶縁性基板の上にSOI層が形成されているものであるから、TFT−LCD等の光学デバイスの作製用に特に適する。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的思想に包含される。
例えば、工程A〜GあるいはHまでが終了したSOIウエーハのSOI層はすでに十分に薄膜化されているので、目的に応じ更に結合強度を高めるための高温熱処理(500℃以上〜シリコンの融点未満)を加えてもよい。
本発明に係るSOIウエーハの製造方法の一例を示す工程図である。

Claims (8)

  1. 単結晶シリコンウエーハと透明絶縁性基板とを接合後、前記単結晶シリコンウエーハを薄膜化することにより前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成してSOIウエーハを製造する方法において、少なくとも、
    単結晶シリコンウエーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウエーハ中にイオン注入層を形成する工程、
    該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
    前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
    前記透明絶縁性基板側から前記接合面に紫外光を照射し、結合力を高める工程、
    前記イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウエーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する工程、
    を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  2. 請求項1に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記紫外光照射工程を、レーザー光を照射するものとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記紫外光照射工程を、パルス光を照射するものとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記接合面に照射する紫外光の波長を200nm以下とすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記接合工程を行なった後、前記紫外光照射工程と同時に又は連続して、前記接合ウエーハを100〜300℃で熱処理して結合力を高める工程を行ない、その後前記剥離工程を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  6. 請求項5に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記熱処理工程を、フラッシュランプアニール処理とすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記剥離工程により得られたSOIウエーハのSOI層表面に鏡面研磨を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載したSOIウエーハの製造方法において、前記透明絶縁性基板を、石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
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