JP4592563B2 - 排気ターボ過給機のコンプレッサ - Google Patents
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Description
特許文献1においては、インペラー外周部位の空気通路に開口する入口スリットと、コンプレッサ入口空気通路に開口する出口スリットと、該入口スリット及び出口スリットを接続する再循環通路とをコンプレッサハウジング内に形成し、再循環通路の内周径をインペラー入口外周径の1.5〜2.0倍、再循環通路の高さを入口スリットの幅の1.0〜2.0倍に構成して、コンプレッサの作動領域を低流量側に拡大している。
また、特許文献1の技術にあっては、既設のコンプレッサに対して、前記のような騒音低減の面から出口スリットに近い再循環通路の下流側の形状及び出口スリットの形状を変更しようとする場合においても、騒音低減用のコンプレッサハウジングを製作して既設のコンプレッサと交換なければならない。
これにより、従来技術のような再循環空気流を高流速でコンプレッサ入口空気通路内の主空気流に衝突させることによる騒音の発生を抑制でき、且つ出口スリットから噴出される空気流の噴出方向をインペラー側に向けることにより、発生騒音のインペラー上流側の外部への伝播を防止できる。
従って、既製のコンプレッサに対しても、種々の再循環路形成部材の中から実験によって騒音低減及びコンプレッサ性能の両面から最適仕様に選定した再循環路形成部材を、コンプレッサハウジングを交換することなくコンプレッサに組み込むことが容易にできることとなり、再循環路形成部材を交換するのみという簡単且つ低コストの手段で以って、コンプレッサの騒音低減及びコンプレッサ性能向上を同時に実現し得るコンプレッサを得ることができる。
このように構成すれば、再循環路形成部材のコンプレッサ入口空気通路に臨む入口案内面を円滑な曲面に形成することにより、コンプレッサ入口空気通路の外周部位における流路抵抗の小さいコンプレッサ入口空気流路を形成でき、コンプレッサ入口空気の圧力損失を低減できる。
これにより、従来技術のような再循環空気流を高流速でコンプレッサ入口空気通路内の主空気流に衝突させることによる騒音の発生を抑制でき、且つ出口スリットから噴出される空気流の噴出方向をインペラー側に向けることにより、発生騒音のインペラー上流側の外部への伝播を防止できる。
従って、既製のコンプレッサに対しても、種々の再循環路形成部材の中から実験によって騒音低減及びコンプレッサ性能の両面から最適仕様に選定した再循環路形成部材を、コンプレッサハウジングを交換することなくコンプレッサに組み込むことが容易にできることとなり、再循環路形成部材を交換するのみという簡単且つ低コストの手段で以って、コンプレッサの騒音低減及びコンプレッサ性能向上を同時に実現し得るコンプレッサを得ることができる。
図1において、200はコンプレッサで、次のように構成されている。
1はタービンロータで、一端側にインペラー2が固定され他端側にタービン(図示省略)が固定されている。1aは該タービンロータ1及びインペラー2の回転軸心である。3はコンプレッサハウジング、100は該コンプレッサハウジング3内のインペラー2空気入口側に形成されたコンプレッサ入口空気通路である。
また、4は前記コンプレッサハウジング3内のインペラー2出口に形成されたディフューザ部、4aは出口渦巻き部である。
前記入口スリット7及び出口スリット9は、前記環状の再循環通路8から円周方向に沿って好ましくは等間隔に複数個設けられている。
5は再循環路形成部材である。該再循環路形成部材5は、後述する手段で最適傾斜角α及び最適通路面積に設定された出口スリット9が一体形成されるとともに、再循環通路8及び入口スリット7形成用の軸方向の延設部5dをそなえ、前記コンプレッサハウジング3の前記コンプレッサ入口空気通路100の外周部位に配設されて、該コンプレッサハウジング3にインロー部5cを介してボルト6によって着脱自在に取り付けられている。
そして、前記再循環路形成部材5の主として前記延設部5dの外周面5bと前記コンプレッサハウジング3の内面8aとによって前記再循環通路8及び入口スリット7を形成している。
このように、該再循環路形成部材5のコンプレッサ入口空気通路100に臨む面を円滑な曲面からなる入口案内面5aに形成することにより、該コンプレッサ入口空気通路100の外周部位における流路抵抗の小さいコンプレッサ入口空気流路100を形成でき、コンプレッサ入口空気の圧力損失を低減できる。
該インペラー2の回転により、該インペラー2外周部位の空気の一部が再循環空気流となって、図1の矢印のように流れて、入口スリット7から再循環通路8に流入し、該再循環通路8を通って出口スリット9に至り、空気流出中心線Uが前記インペラー2の入口側に向かうように、好ましくは一定角度α傾斜して形成された該出口スリット9から、該空気流出中心線U方向に流出せしめられる。
かかる再循環空気流の循環によって、インペラー2の特に外周近傍における見かけの空
気流量が増加して、図5において前記再循環空気流の無いC線、及び再循環通路8のみを設けた場合のB線から、この実施例におけるA線の方にサージングラインつまりコンプレッサ200の作動線が拡大され、エンジンの低負荷運転時のように、空気量の少ない運転域においても、サージングの発生の無い安定運転がなされる。
さらに、図2のように、前記出口スリット9を、コンプレッサ入口空気通路100への空気流出中心線Uがインペラー2の入口側に向かうように該インペラー2の半径方向線1bに対して鋭角となる一定の傾斜角αだけ傾斜して形成し、該出口スリット9から噴出される空気流の噴出方向をインペラー2側に向けることによって、発生騒音のインペラー2上流側の外部への伝播を防止できる。
一方、図3(A)のように、前記傾斜角αが大きい場合には、前記再循環空気流は、出口スリット9からコンプレッサ入口空気通路100内におけるインペラー2に向けて該インペラー2に吸引されるように噴出されるため、かかる噴出に伴う騒音のコンプレッサ前方側への伝播が抑制されるが、後述する図4(B)のように前記傾斜角αを大きくするに従い出口スリット9の幅が狭まり、前記再循環空気流の流量が少なくなり、空気再循環による前記のようなコンプレッサ作動範囲の拡大効果が小さくなる。
また、前記傾斜角αが過大になると、出口スリット9がインペラー2に近づき、再循環通路8に発生する境界層がインペラー2の外周部気流を乱したり、出口スリット9が長くなって摩擦損失が増加するため、コンプレッサ効率が低下する。
また、図4(B)のように、前記傾斜角αが大きくなるに従い再循環空気流量が減少するので、傾斜角αの最大値は70°程度に抑える。
以上により、前記傾斜角αの範囲は、50°〜70°が、コンプレッサ効率及び再循環空気流の噴出に伴う騒音低減の両面から好適な範囲となる。
これにより、従来技術のような再循環空気流を高流速でコンプレッサ入口空気通路内の主空気流に衝突させることによる騒音の発生を抑制でき、且つ出口スリット9から噴出される空気流の噴出方向をインペラー2側に向けることにより、発生騒音のインペラー上流側の外部への伝播を防止できる。
図のように、再循環通路8を設けることにより騒音が増加するが(B線)、かかる第1実施例のように再循環路形成部材5を設けることにより(A線)、前記のような作用によって騒音を低減できる。
これにより、コンプレッサの騒音低減及びコンプレッサ性能向上を同時に実現し得るコンプレッサ200を得ることができる。
2 インペラー
3 コンプレッサハウジング
5 再循環路形成部材
5a 入口案内面
7 入口スリット
8 再循環通路
9 出口スリット
100 コンプレッサ入口空気通路
200 コンプレッサ
Claims (2)
- インペラー外周部位の空気通路に開口する入口スリットとコンプレッサハウジング内に形成されたコンプレッサ入口空気通路に開口する出口スリットとを接続する再循環通路をそなえ、前記入口スリットからインペラーを流れる空気の一部を取り入れて前記再循環通路を通して前記出口スリットからコンプレッサ入口空気通路に流出するように構成された排気ターボ過給機のコンプレッサにおいて、
前記出口スリットは前記コンプレッサ入口空気通路への空気流出中心線が前記インペラーに向かうように、前記インペラーの半径方向線(インペラーの回転軸心に直角な線)に対して50°〜70°範囲の鋭角となる一定角度(α)傾斜して形成されるとともに、前記出口スリットの通路面積を前記入口スリットの通路面積よりも大きく形成し、
更に前記コンプレッサハウジングの前記コンプレッサ入口空気通路の外周部位に、前記出口スリットが最適形状に形成された再循環路形成部材を選定して結合部材によって着脱自在に取り付け、該再循環路形成部材は前記出口スリットが一体に形成されるとともに再循環通路及び入口スリット形成用の軸方向の延設部を有し、該延設部の外周面および端面と前記コンプレッサハウジングの内面とにより前記再循環通路及び前記入口スリットを形成し、前記再循環通路を形成する前記コンプレッサハウジングの軸方向端面に形成されたインロー部を介して前記再循環路形成部材が軸方向外側に取り付けられることを特徴とする排気ターボ過給機のコンプレッサ。 - 前記再循環路形成部材は、前記コンプレッサ入口空気通路に臨む面を円滑な曲面に形成された入口案内面をそなえたことを特徴とする請求項1に記載の排気ターボ過給機のコンプレッサ。
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