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JP4589980B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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JP4589980B2 JP2008146586A JP2008146586A JP4589980B2 JP 4589980 B2 JP4589980 B2 JP 4589980B2 JP 2008146586 A JP2008146586 A JP 2008146586A JP 2008146586 A JP2008146586 A JP 2008146586A JP 4589980 B2 JP4589980 B2 JP 4589980B2
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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関し、特にプラズマディスプレイパネルの保護層の製造方法に関する。
高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも称す)を用いたディスプレイ装置への期待は高まっている。
PDP(例えば3電極面放電型PDP)は、映像を見る人から見て表面側となる前面板とその裏側の背面板とを対向配置して、それらの周辺部を封着部材で封着した構造を有している。前面板と背面板との間に形成された放電空間にはネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。前面板は、ガラス基板の一方の面に形成された走査電極と維持電極とから成る表示電極と、これらの電極を覆う誘電体層と保護層とを備えている。背面板は、ガラス基板に上記表示電極と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁と、隔壁の側面および下地誘電体層上に形成された赤色・緑色・青色の蛍光体層とを備えている。
表示電極とアドレス電極とは直交していて、その交差部が放電セルを成している。これらの放電セルはマトリクス状に配列されており、赤色・緑色・青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素となっている。このようなPDPでは、順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧が印加されてガス放電を発生させている。そして、かかるガス放電で生じる紫外線により蛍光体層を励起して可視光を発光させることによってカラー画像表示を実現している。
このようなPDPの保護層としては、放電によるイオン衝突から誘電体層を保護すると共に、2次電子放出による蛍光体の発光を促進すべく、「壁電荷保持機能を担う薄膜層」と「初期電子放出機能を担う結晶層」との2層構造の保護層が採用される場合がある。かかる保護層の原料としては、一般的には耐スパッタ性能に優れかつ2次電子放出係数の高い酸化マグネシウム(MgO)が用いられる。
特許文献1では、MgO薄膜層の形成に蒸着法などを用いる一方、MgO結晶層の形成に、スプレーガンを用いたエアスプレー法を用いている。エアスプレー法によって「MgO結晶粉体が溶剤中に分散して成るインク」をMgO薄膜層上に吹き付けている。特に、特許文献1の第一の実施形態では、直径500Å以上のMgO結晶粉体を「2−プロパノールなどの低沸点アルコール」と「水酸基の価数に応じて分子量を規定した溶媒」とから成る混合溶媒中に分散させることよって、吹付け用インクを調製している。この「水酸基の価数に応じて分子量を規定した溶媒」は、水酸基とMgO結晶粉末とが引付け合い、分子量の大きい疎水基がMgO結晶粉末表面に存在することに起因して見かけ比重を低下させ、MgO結晶粉体をインク中において良好に分散させることができる溶媒である。また、特許文献1の第二の実施形態では、「アニオン界面活性剤およびアニオンポリマーの少なくともいずれか一方」を「2−プロパノールなどの低沸点アルコール」に加えて成る溶媒中に直径500Å以上のMgO結晶粉体を分散させることによって、吹付け用インクを調製している。
特開2007−10330号公報
従来のスプレーガンを用いたスプレー法では、吐出量や飛散方向のバラツキに起因して、MgO結晶粉体の被覆率の面内バラツキが大きくなるという懸案がある。ここで、MgO結晶粉体は、CL発光のピーク波長に対応したエネルギ準位によって電子を長時間トラップしている。そして、かかる電子が電界により、放電の開始に際してトリガーとなる初期電子として放電空間中へと放出されることによって、放電遅れの抑制、放電確率の向上がもたらされる。従って、MgO結晶粉体の被覆率の面内バラツキが大きいと、PDPの各放電セルにおける放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難となってしまう。
また、スプレー法では、必要エリア外にもインクが飛散するので、インクの使用効率が低下する等の問題も懸念される。この点、必要エリアに一定の吐出量で均一な濃度のインクを塗布することが可能なスリットコータ法を用いることは有利である。しかしながら、図11および図12に示すように、スリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合には、「MgO薄膜層の凸部51の周囲にMgO結晶粉体が存在しない領域53」あるいは「周囲領域52に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域53」が形成されてしまう現象(以下では「はじき現象」と称す)が起こり、MgO薄膜層上におけるMgO結晶粉体の被覆率の均一性が減じられ、放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難になるという問題があった。尚、MgO薄膜層の凸部51は、(A)誘電体突起物、(B)MgO薄膜層の蒸着成膜中において発生するMgOスプラッシュ起因のMgO異物、(C)MgO薄膜層形成過程において混入する環境異物などによって、PDP前面板の作製過程で偶発的または不可避的に生じてしまうものである。
更に、スリットコータ法でMgO結晶層を形成する場合、従来のインクはポリマーを含有しているので、400℃以上の焼成が必須であり、MgOの放電特性が劣化してしまう可能性があるだけでなく、ロット間でポリマーの分子量分布のバラツキが大きいのでインク特性が安定しないといった懸念があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、スリットコータ法における“はじき現象”を抑制すると共に、ポリマーを含有しない原料で保護層を形成する方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板の製造方法であって、
保護層の形成が、
(i)基板上に形成された誘電体層上にスパッタ法または蒸着法などで第1保護層を形成する工程、
(ii)第1保護層上にMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および
(iii)MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層を得る工程
を含んで成り、
第2保護層の形成に用いられるMgO原料が、MgO粉体と溶剤Aと溶剤Bとを含んで成り、溶剤Aの20℃における蒸気圧が約50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が約7Pa以下となっており、また、全溶剤に対する溶剤Bの割合が約3重量%以上となっていることを特徴とする製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、第1保護層と第2保護層とから成る2層構造の保護層が形成される。第1保護層は好ましくはMgO薄膜層であり、第2保護層は好ましくはMgO結晶層である。本発明の製造方法は、第2保護層の形成に用いるMgO原料がポリマーを含んでいないだけでなく、スリットコータ法(スリットコート法)を用いてMgO原料を塗布し乾燥させてもMgO原料が「はじき現象」を防止するように作用することを特徴としている。換言すれば、MgO原料がMgO粉体と溶剤Aと溶剤Bとを含んで成り、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が7Pa以下となっており、また、全溶剤に対する溶剤Bの割合が3重量%以上となっていることが本発明の特徴であるといえる。
ここで、本明細書で用いる「MgO薄膜層」とは、スパッタ法または蒸着法によって形成された厚さ0.1〜2μm程度のMgO層のことを実質的に意味している。また、本明細書で用いる「MgO結晶層」とは、MgO結晶粉体を含んだ原料(好ましくはペースト状原料)を塗布および乾燥することによって得られる厚さ0.1〜5μm程度のMgO層のことを実質的に意味している。なお、「MgO結晶層」は実質的にはMgO粉体がMgO薄膜層上に存在している形態であるので、「MgO結晶層」をMgO粉体層と称すこともできる。それゆえ、MgO結晶層の厚さは実質的にはMgO粉体の粒径に相当し得る。
ある好適な態様では、MgO原料の全溶剤に対する溶剤Bの割合が20重量%以下となっている。これにより、「はじき現象」を抑制する効果がより増すことが期待される。また、MgO原料の粘度が7mPa・s以下であることが好ましい。これにより、スリットコータ法でMgO原料を好ましく塗布できると共に、乾燥に際してMgO粉体の集合・凝集を抑制することができる。尚、MgO原料に含まれる溶剤Bは親水基を有していることが好ましい。これにより、MgOに対する溶剤Bの濡れ性を良化させることができ、分散性向上が期待される。
本発明の製造方法では、第2保護層の形成に際して、MgO原料の「はじき現象」を抑制することができる。換言すれば、面内の被覆率が均一なMgO結晶層を形成でき、放電遅れの抑制・放電確率の均一化を図れる。その結果、選択不良等のない良好な放電特性を持つプラズマディスプレイを得ることができる。また、MgO原料にはポリマーが含まれておらず、保護層形成に際してMgO原料を高温(例えば従来技術で説明したような「400℃程度」)に曝す必要がなく、結果的に、得られる保護層の放電特性の劣化を抑制できる。
以下にて、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法を詳細に説明する。
プラズマディスプレイパネルの構成
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネル(PDP)を簡単に説明する。図1に、PDPの構成を断面斜視図により模式的に示す。
PDP(100)の前面板(1)では、平滑で透明かつ絶縁性の基板(10)(例えばガラス基板)上に、走査電極(12)と維持電極(13)とから成る表示電極(11)が複数形成されており、その表示電極(11)を覆うように誘電体層(15)が形成され、更に、その誘電体層(15)上に保護層(16)が形成されている。なお、走査電極(12)および維持電極(13)は、それぞれ、透明電極と、この透明電極に電気的に接続されたAg等から成るバス電極とから構成されている。尚、基板(10)上には、遮光層(14)も形成され得る。
前面板(1)に対向配置される背面板(2)では、絶縁性の基板(20)上にアドレス電極(21)が複数形成され、このアドレス電極(21)を覆うように誘電体層(22)が形成されている。そして、かかる誘電体層(22)上のアドレス電極(21)間に対応する位置に隔壁(23)が設けられ、誘電体層(22)の表面上の隣接する隔壁(23)の間には、赤、緑、青の各色の蛍光体層(25)がそれぞれ設けられている。
表示電極(11)とアドレス電極(21)とが直交し、且つ、放電空間(30)が形成されるように、前面板(1)と背面板(2)とは、隔壁(23)を挟んで対向して配置されている。放電空間(30)には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはキセノンなどの希ガスが封入される。このような構成を有するPDP(100)では、隔壁(23)によって仕切られ、表示電極(11)とアドレス電極(21)とが交差する放電空間(30)が放電セル(32)として機能することになる。
PDPの一般的な製造法
次に、このようなPDP(100)の典型的な製造方法について簡単に説明する。PDP(100)の製造は、前面板(1)の形成工程と背面板(2)の形成工程とに分かれている。まず、前面板(1)の形成工程においては、ガラス基板(10)上に、例えばスパッタ法などで透明電極を形成すると共に焼成法等でバス電極を形成することによって表示電極(11)を形成する。次いで、表示電極(11)を覆うように誘電体原料をガラス基板(10)上に塗布して加熱処理して誘電体層(15)を形成する。次いで、この誘電体層(15)上に、前述または後述する方法でMgOなどから成る膜を形成することで保護層(16)を形成し、前面板(1)を得ている。
背面板(2)の形成工程においては、ガラス基板(20)上に、例えば焼成法等でアドレス電極(21)を形成し、その上に誘電体原料を塗布して誘電体層(22)を形成する。次いで、所定のパターンで低融点ガラスから成る隔壁(23)を形成し、その隔壁(23)の間に蛍光体材料を塗布して焼成することによって蛍光体層(25)を形成する。次いで、基板の周縁部に例えば低融点フリットガラス材料を塗布し、焼成を行うことで封着部材(図1には図示せず)を形成し、背面板(2)を得ている。
得られた前面板(1)と背面板(2)とを対向するように位置合わせし、その状態で固定したまま加熱して封着部材を軟化させることによって、前面板(1)と背面板(2)とを気密に接合する、いわゆるパネル封着工程を行う。引き続いて、加熱しながら放電空間(30)内のガスを排気する、いわゆる排気ベーキング工程を行った後、放電空間(30)内に放電ガスを封入することによって、PDP(100)を完成させる。
本発明の製造方法
本発明の方法は、上述のPDPの製造に際して、前面板の製造、特に前面板に形成される保護層の製造に関している。
図1および図2を参照して、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施に際しては、電極および誘電体層が形成された基板を用意する。より具体的には、「表示電極および誘電体層が形成されたガラス基板」を用意する。従って、まず、基板(10)上に、走査電極(12)と維持電極(13)とから構成される表示電極(11)が形成されたものを用意する。基板(10)としては、ソーダライムガラスや高歪み点ガラス、各種セラミックスからなる絶縁基板であることが好ましく、厚さは1.0mm〜3mm程度であることが好ましい。表示電極(11)の走査電極(12)および維持電極(13)には、それぞれ、ITO等から成る透明電極(12a,13a)(厚さ50nm〜500nm程度)が形成されていると共に、かかる透明電極上に表示電極の抵抗値を下げるべく、銀を含んで成るバス電極(12b,13b)(厚さ1μm〜8μm程度)が形成されている(図2参照)。従って、透明電極を薄膜プロセスなどで形成した後に、バス電極を焼成プロセスなどを経て形成する。特に、バス電極の形成に際しては、まず、銀を主成分とした導電性ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に形成する。また、バス電極は銀を主成分とした感光性ペーストをダイコート法や印刷法により塗布した後に、100℃〜200℃で乾燥した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法によりパターンニングすることによってストライプ状に形成してもよい。更には、ディスペンス法やインクジェット法によって形成してもよい。そして、最終的には乾燥に付した後、400℃〜600℃の焼成に付すことによって、バス電極を得る。尚、透明電極上には、Al、CuまたはCr等の金属やCr/Cu/Crのような積層体からなる金属電極を形成してもよい。
表示電極(11)の形成に引き続いて、誘電体層(15)を形成する。誘電体層(15)は、PDP前面板の一般的な製造で用いられる焼成法またはゾルゲル法などによって得ることができる。例えば、SiO、B,ZnO、Biを含むガラス粉末と有機溶剤とバインダ樹脂とを混合して成る誘電体原料ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、その後、熱処理に付すことによって誘電体層を形成することができる。誘電体層(15)の厚さは、好ましくは5〜30μm程度であり、より好ましくは10〜20μm程度である。尚、有機溶剤としてはアルコール類(例えばイソプロピルアルコール)やケトン類(例えばメチルイソブチルケトン)を挙げることができ、バインダ樹脂としては、セルロース系樹脂またはアクリル系樹脂などを挙げることができる。
誘電体層(15)の形成に引き続いて、保護層を形成する。従って、本発明の製造方法の工程(i)を実施する。換言すれば、誘電体層上にスパッタ法(スパッタリング法)または蒸着法で第1保護層を形成する。好ましくは、酸化マグネシウム(MgO)を含んで成る第1保護層(即ち、MgO薄膜層)を形成する。形成される第1保護層の厚さは、好ましくは約0.1〜2μm程度であり、より好ましくは約0.5〜1μm程度である。蒸着法としては、CVDまたはPVDを用いてよい。尚、スパッタ法または蒸着法に限定されず、所望のMgO薄膜層を形成できるのであれば、必要に応じて他の手法を用いてもよい。
次いで、本発明の製造方法の工程(ii)を実施する。つまり、第1保護層(好ましくはMgO薄膜層)の上に、MgO原料を塗布してMgO原料層を形成する。用いられるMgO原料は、MgO粉体と溶剤Aと溶剤Bとを含んで成るものである。MgO粉体は、好ましくはMgO結晶粉体(MgO微結晶粉体)であり、より好ましくはMgO単結晶粉体である。かかるMgO結晶粉体またはMgO単結晶粉体の粒径は、好ましくは約0.2〜20μm程度、より好ましくは約0.5〜10μm程度である。尚、MgO原料に含まれるMgO粉体の量は、好ましくは0.3〜20重量%(MgO原料基準)、より好ましくは0.3〜10重量%(MgO原料基準)、更に好ましくは0.3〜5重量%(MgO原料基準)であり、例えば約1重量%(MgO原料基準)である。
MgO原料に含まれる溶剤は、溶剤Aと溶剤Bであり、後述する“乾燥時の対流”の観点から、各々の蒸気圧がある程度離れている必要がある。具体的には、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が7Pa以下となっている。尚、溶剤Aの20℃における蒸気圧は、好ましくは約50Pa以上かつ約100Pa以下であり、より好ましくは約50Pa以上かつ約75Pa以下である。一方、溶剤Bの20℃における蒸気圧は、好ましくは約2Pa以上かつ約7Pa以下、より好ましくは約4Pa以上かつ約7Pa以下である。
また、MgO原料に含まれる全溶剤に対する溶剤Bの割合(即ち溶剤Bの含有率)は、3重量%以上である。ここで、本明細書にいう「全溶剤」とは、溶剤が溶剤Aおよび溶剤Bのみから成る場合では、「溶剤Aおよび溶剤B」のことを実質的に意味しており、溶剤がその他の溶剤(つまり、少なくとも1種類の他の溶剤)を付加的に含む場合では「溶剤A、溶剤Bおよびその他の溶剤」のことを実質的に意味している。尚、全溶剤に対する溶剤Bの割合は、好ましくは3重量%以上かつ20重量%以下であり、より好ましくは3重量%以上かつ12重量%以下である。溶剤Aとしては、例えば3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコールまたは2−メチル−1−プロパノール等の有機溶剤を挙げることができる。また、溶剤Bは親水基(例えば水酸基、カルボキシル基および/またはアミノ基など)を含んでいるものが好ましく、例えばα−テルピネオール、プロピレングリコール、2−オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルまたはグリセリン等の有機溶剤を挙げることができる。
MgO原料の塗布には、スリットコータ法を用いることが好ましい。「スリットコータ法」とは、巾広のノズルからペースト状原料を圧送吐出して所定の面にペースト状原料を塗布する方法である。かかるスリットコータ法を用いる場合、MgO原料は、後述する「MgO粉体の凝集防止」の観点から7mPa・s以下程度の粘度を有していることが好ましい。ここで、MgO原料は一般に非ニュートン性流体となり得るので、本明細書で用いる粘度は「ずり速度100s−1および温度25℃における粘度」を実質的に意味していることに留意されたい。MgO原料の粘度は、好ましくは3mPa・s以上かつ7mPa・s以下であり、より好ましくは4mPa・s以上かつ7mPa・s以下である。
MgO原料の塗布により形成されるMgO原料層の厚さ(以下にて「Wet膜厚」とも称す)は、好ましくは約3μm〜約20μm程度であり、スリットコータ法を用いる場合には後述する「GAPマージン」の観点から好ましくは約5μm〜約13μm程度、より好ましくは約10μm〜約13μm程度である。
MgO原料層の形成が完了すると、次に、本発明の製造方法の工程(iii)を実施する。つまり、MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層(即ち、MgO結晶層)を得る。ここでいう「乾燥」とは、MgO原料層に含まれている溶剤(より具体的にいえば溶剤Aおよび溶剤B)を気化させてMgO原料層から除去することを実質的に意味している。例えば、MgO原料層を7〜0.1Paの減圧下または真空下に置いてもよく、あるいは、大気圧下で100〜400℃程度の熱処理に付してもよい。必要に応じて「減圧下または真空下」と「熱処理」とを組み合わせてもよい。乾燥後に得られる第2保護層の厚さは、溶剤が抜けることに起因して、MgO原料層の厚さよりも減じられ、0.1〜5μm程度となり得る。
以上の工程(i)〜(iii)によって、第1保護層(好ましくはMgO薄膜層)と第2保護層(MgO結晶層)とから成る2層構造の保護層が形成され、前面板(1)が完成することになる。
前面板(1)の作製に対して、背面板(2)は次のようにして作製する。まず、ガラス基板である基板(20)上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400〜約700℃)で焼成することによりアドレス電極(21)を形成する。次いで、アドレス電極(21)が形成された基板(20)上に、下地誘電体層となる誘電体層(22)を形成する。まず、「ガラス成分(SiO、Bなどから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、かかる誘電体ペースト層を焼成することによって誘電体層(22)を形成できる。次いで、隔壁(23)を所定のピッチで形成する。具体的には、誘電体層(22)上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁(23)を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法でパターニングし、次いで、約400℃〜約700℃の焼成に付すことによって隔壁(23)を形成する。尚、隔壁(23)は、スクリーン印刷で隔壁材料の膜を形成したのち乾燥して、感光性樹脂を含むドライフィルムにより露光・現像処理でパターン形成した後、サンドブラストにより掘削し、ドライフィルムを剥離し、焼成することでも形成することができる。次いで、蛍光体層(25)を形成する。隣接する隔壁(23)間の誘電体層(22)上および隔壁(23)の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層(25)を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをノズル吐出法などで塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層(25)を形成する。尚、赤色の蛍光体粉末としては[YBO3:Eu3+]、緑色の蛍光体粉末としては[Zn2SiO4:Mn]、青色の蛍光体粉末としては[BaMgAl1017:Eu2+]を用いることができる。
以上の工程により、基板(20)上に、所定の構成部材たるアドレス電極(21)、誘電体層(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)が形成され、背面板(2)が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板(1)と背面板(2)とは、表示電極(11)とアドレス電極(21)とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板(1)と背面板(2)の周囲をガラスフリットで封着する。そして、形成される放電空間(30)内を排気した後、放電ガス(ヘリウム、ネオンおよび/またはキセノンなど)を好ましくは55kPa〜80kPaの圧力で封入することによってPDP(100)を最終的に完成させる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば、第1保護層と第2保護層とから構成される保護層の「2層構造」は、第1保護層と第2保護層とが明確に区別できる態様のみならず、第1保護層と第2保護層とを明確に区別できない態様(例えば第1保護層と第2保護層との間の界面が不明確な態様)であってもよい。
第2保護層の形成に用いるMgO原料の望ましい組成および物性を調べるために試験を実施した。尚、以下で説明する試験では、MgO原料のことを便宜上「インク」と呼んでいる。
[インク溶剤成分の効果確認試験1]
MgOインクとして、以下の材料を含んだものを用いた:
MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
溶剤A:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール
溶剤B:α‐テルピネオール
溶剤Bの含有率の違いによる効果を確認するために、溶剤Bの含有率(全溶剤に対する含有率)を、5重量%(Run1−1)、7.5重量%(Run1−2)、10重量%(Run1−3)、0重量%(Run1−4)と4つふった。MgO粉体濃度は全て1重量%とした。
MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体を溶剤中に分散させた。
得られたMgOインクを、蒸着法で形成したMgO薄膜層(厚さ0.7μm程度)の上に塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚が13μmとなるように塗布した(出願人製作のスリットコータ設備使用)。次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶層(厚さ1.0μm程度)を形成した。
尚、MgO薄膜層には、(A)誘電体突起物、(B)MgO薄膜層の蒸着成膜中において発生するMgOスプラッシュ起因のMgO異物、(C)MgO薄膜層形成過程において混入する環境異物などに起因して凸部51が生じていた。それゆえ、スリットコータ法でMgO結晶層を形成するに際しては、図11および図12に示すように、「MgO薄膜層の凸部51の周囲にMgO結晶粉体が存在しない領域53」あるいは「周囲領域52に比べて被覆率が低い領域53」が形成されるといった“はじき現象”が一般に生じ得る点に留意されたい。
図3で示されるような「はじき径」を、50倍の光学顕微鏡で測定した。つまり、凸部51(以下では「異物核」とも称す)の周囲に形成される「結晶MgO粉体が存在しない領域53」または「周辺領域52に比べて被覆率が低い領域53」の面積(異物核の面積も含む)を円として近似した際の直径を算出した。
図4に、得られたMgO結晶層について、「異物核径」と「はじき径」との相関グラフを示す。
ここで、以下の理由から異物核径に対するはじき径の比は、1.87以下であることが必要不可欠とされる。
異物核径の上限は150μmであることが一般に求められる。なぜなら、PDP背面板におけるリブピッチ(隔壁ピッチ)が160±10μmであるところ(図5参照)、異物核径がリブピッチ最小幅(150μm)以下でなければ、前面板と背面板との張合せに際して異物がリブに接触してリブ欠けが発生する確率が高くなり不灯不良が発生し易くなるからである。
デバイスとして許容可能なハジキ径の上限は、点灯不良を起こさない280μmである。
異物核径が大きくなれば、それに伴ってはじき径が大きくなる傾向を有している。
図4のグラフを参照すると、溶剤Bが5重量%(Run1−1)、7.5重量%(Run1−2)、10重量%(Run1−3)の場合には、異物径に対するハジキ径の比がそれぞれ1.83(Run1−1)、1.67(Run1−2)、1.00(Run1−3)となり、全て閾値の1.87以下となって満足のいく結果が得られた。これは、MgOインクにて溶剤Aに溶剤Bが一定割合以上混合されると、異物凹凸による膜厚勾配に起因して表面張力勾配が発生した際に、溶剤Aと溶剤Bとがそれぞれ独立に起こす対流が混ざり合って各々の対流がかき乱されるので、移動距離が短くなった結果と考えられる。
その一方で、溶剤Bが0重量%(Run1−4)の場合には、異物核径に対するハジキ径の比が4.50と閾値の1.87以上となり、満足のいく結果は得られなかった。これは、Run1−4では、MgOインクが溶剤Aのみの単一溶媒である為に、異物凹凸による膜厚勾配に起因して表面張力勾配が発生した際に、溶剤Aが異物から離れる方向へと規則的かつ均一な対流が生じ、それに伴ってMgO結晶粉体が異物核から外側へと移動した結果であると考えられる。
以上のような結果から、インク中の溶剤は少なくとも2種類の溶剤(溶剤Aおよび溶剤B)から成り、かつ一方の溶剤(具体的には溶剤B)の含有率が3重量%以上であることが必要であることが分かった。
[インク溶剤成分の効果確認試験2]
溶剤Bの蒸気圧の違いによる効果を確認するために、MgOインクとして、以下の材料を含んだものを用いた:
MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
溶剤A:20℃における蒸気圧が67Paである3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール
溶剤B
Run2−1;20℃における蒸気圧が5Paであるα-テルピネオール
Run2−2/2−3;20℃における蒸気圧が11Paであるプロピレングリコール
Run2−4/2−5;20℃における蒸気圧が20Paである2−オクタノール

尚、各Runにおける溶剤Bの含有率を以下の表1に示す。
[表1]
MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体を溶剤中に分散させた。
得られたMgOインクを、蒸着法で形成したMgO薄膜層(厚さ0.7μm程度)の上に塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚が13μmとなるように塗布した(出願人製作のスリットコータ設備使用)。次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶層(厚さ1.0μm程度)を形成した。
上述の[インク溶剤成分の効果確認試験1]と同様の評価基準に基づいて、得られたMgO結晶層について「異物核径」と「はじき径」との相関について評価した。図6に、得られたMgO結晶層についての「異物核径」と「はじき径」との相関グラフを示す。
図6のグラフを参照すると、溶剤Bとして20℃における蒸気圧が5Pa以下であるαテルピネオールを用いた場合(Run2−1)は、異物径に対するハジキ径の比が1.83となり、閾値の1.87以下となって満足のいく結果が得られた。これは、MgOインクにて溶剤Aと溶剤Bとの蒸気圧が十分に離れているので、異物凹凸による膜厚勾配に起因して表面張力勾配が発生した際に、溶剤Aと溶剤Bとがそれぞれ独立に起こす対流が混ざり合って各々の対流がかき乱され、MgO粒子の異物から外部へ向かう移動が抑制された結果であると考えられる。
その一方で、溶剤Bの20℃における蒸気圧が5Paよりも高いプロピレングリコールおよび2−オクタノールの場合(Run2−2〜2−5)では、異物径に対するはじき径の比が閾値の1.87以上となり、満足のいく結果は得られなかった。これは、Run2−2〜2−5では、MgOインクに含まれる溶剤Aと溶剤Bとの蒸気圧の差が小さいので、異物凹凸による膜厚勾配に起因して表面張力勾配が発生した際に、各々の溶剤が類似した対流を起こし、互いの対流が増幅される為、MgO粒子の異物から外部へと向かう移動が促進された結果であると考えられる。
以上のような結果から、溶剤B(親水基を有する溶剤)は20℃における蒸気圧が7Pa以下であることが望ましいことが分かった。
尚、参考までに、いわゆる“はじき現象”が生じるメカニズムについて説明しておく。MgO結晶層の乾燥工程時においては、MgO薄膜層の凸部(即ち、誘電体突起・MgOスプラッシュ・環境異物がMgO薄膜層で覆われた部分)の上に存在するインクの固形分濃度が高くなるか、あるいは、凸部がインク液面から突出するようになると、表面張力のバランスが崩れてインクが凸部から離れるように対流が生じることになる(図7参照)。その結果、凸部の周囲にMgO結晶粉体が存在しない又は少ない領域が形成されてしまう。この点、[インク溶剤成分の効果確認試験1]および[インク溶剤成分の効果確認試験2]で確認されたように、本発明で用いるインクでは、蒸気圧が50Pa以上の溶剤Aと蒸気圧が7Pa以下の溶剤Bとの混合溶剤で乾燥時の溶剤の上記対流を抑制していると考えられる(また、本発明で用いるインクは比較的高粘度なペースト材料であるために、溶剤の対流に伴うMgO結晶粉体の流動が抑制されやすいといえ、その点でも“はじき現象”が防止されていると考えられる)。
[インク粘度の効果確認試験]
MgOインクとして、以下の材料を含んだものを用いた:
MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
溶剤A:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール
溶剤B:α‐テルピネオール
MgOインクの粘度の違いによる効果を確認するために、溶剤Bの含有率(全溶剤に対する含有率)を、0重量%(Run3−1)、7.5重量%(Run3−2)、10重量%(Run3−3)、15重量%(Run3−4)とすることによって(MgO粉体濃度は全て1重量%)、粘度がそれぞれ異なるMgOインクを調整した(以下の表2参照)。
[表2]
MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体を溶剤中に分散させた。
ここで、図8に、上記MgOインクのずり速度100s−1における粘度(25℃)と、その粘度においてスリットコータ法を用いて150μmのGAPマージン(図9参照)により塗布するのに必要なWet膜厚との相関関係を示す。インク粘度に比例して、150μmのGAPマージンで塗布するのに必要なWet膜厚が大きくなっている。特に、Run3−1の粘度6.0mPa・sに必要なWet膜厚が10μmであって、Run3−2の粘度6.7mPa・sに必要なWet膜厚が12.5μmであって、Run3−3の粘度7.0mPa・sに必要なWet膜厚が13μmであって、Run3−4の粘度8.0mPa・sに必要なWet膜厚が15.5μmとなっている。
従って、得られたMgOインクを、蒸着法で形成したMgO薄膜層(厚さ0.7μm程度)の上に必要とされる膜厚が得られるように塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚がそれぞれ10μm(Run3−1)、12.5μm(Run3−2)、13μm(Run3−3)、15.5μm(Run3−4)となるように塗布した。次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶層を形成した(厚さは、それぞれ約1.0μm(Run3−1)、約1.1μm(Run3−2)、約1.0μm(Run3−3)、約1.1μm(Run3−4)程度となった)。得られたMgO結晶層について、MgO結晶粉体の分布の様子を観察した。
インク粘度が7.0mPa・s以下の場合(Run3−1〜3−3)では、MgO粉体の集合体・凝集体が発生していないことが分かった。これは、α―ターピネオールの含有量が少なく、かつWet膜厚が小さい為、蒸発時間が短く、MgO粉体が凝集する前に溶剤が蒸発し、MgOの移動が起こらない為であると考えられる。その一方、インク粘度が7.0mPa・sより大きくなると(Run3−4)、MgO粉体の集合体・凝集体が発生することが分かった(図10参照)。これは、α―ターピネオールの含有量が多く、かつWet膜厚が大きい為、蒸発時間が長く、MgO粉体が固定されずに集合・凝集する為であると考えられる。
以上の結果から、粘度が7mPs・s以下(ずり速度100s−1)であると、MgO粉体の集合・凝集を防止でき、輝度が均一でスキャン特性が良好なPDPを得ることができることが分かった。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、良好な放電特性を有するので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法は、PDPに限定されず、他の製品分野でも活用することができる。例えば、電池・電子部品等の分野において、ポリマー・分散剤を含有しないインクをスリットコータ法で凹凸の存在する基板に塗布して、被覆率が極めて均一な粉体層を形成するといった用途にも適用可能である。
PDPの構造を模式的に示す斜視図 本発明の製造方法で得られるPDPの前面板を模式的に表した断面図 実施例における「はじき径」および「異物核径」を模式的に表した図 「インク溶剤成分の効果確認試験1」の結果を示したグラフ 背面板におけるリブピッチ(隔壁ピッチ)を模式的に表した図 「インク溶剤成分の効果確認試験2」の結果を示したグラフ “はじき現象”が生じるメカニズムを模式的に表した図 MgO原料の粘度と必要なWet膜厚との関係を表したグラフ スリットコータにおける「GAPマージン」を模式的に表した図 集合・凝集したMgO粉体を示した電子顕微鏡写真 “はじき現象”の態様を模式的に表した斜視図 “はじき現象”が生じた場合の保護層の電子顕微鏡写真
符号の説明
1 前面板
2 背面板
10 前面板側の基板
11 前面板側の電極(表示電極)
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 ブラックストライプ(遮光層)
15 前面板側の誘電体層
15 誘電体原料層
16a 第1保護層(MgO薄膜層)
16b 第2保護層(MgO結晶層もしくはMgO粉体層)
20 背面板側の基板
21 背面板側の電極(アドレス電極)
22 背面板側の誘電体層
23 隔壁
25 蛍光体層
30 放電空間
32 放電セル
51 MgO薄膜層の凸部
52 MgO粉体が所定の被覆率で存在する領域
53 MgO粉体が存在しない或は周辺領域52に比べて被覆率が低い領域
70 スリットコータのノズル
100 PDP

Claims (3)

  1. 基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板の製造方法であって、
    前記保護層の形成が、
    (i)前記基板上に形成された前記誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、
    (ii)前記第1保護層上にペースト状のMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および
    (iii)前記MgO原料層を乾燥に付して前記MgO原料層から第2保護層を得る工程
    を含んで成り、
    前記MgO原料が、MgO粉体と溶剤Aと溶剤Bとから成り、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上かつ100Pa以下、溶剤Bの20℃における蒸気圧が2Pa以上かつ7Pa以下であって、全溶剤に対する溶剤Bの割合が3重量%以上かつ20重量%以下となっていることを特徴とする、製造方法。
  2. 溶剤Bが親水基を有していることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記MgO原料の粘度が7mPa・s以下であり、
    前記工程(ii)において、スリットコータ法によって前記MgO原料の塗布を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
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