JP4588728B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
《機器構成》
本発明の実施の形態1の空気調和装置の構成を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置の冷媒回路である。図1において、1は圧縮機、2は四方弁、3は熱源側熱交換器、4はアキュムレータ、10は過冷却熱交換器であり、これらを順に接続して熱源側ユニットAのメイン回路を構成する。負荷側ユニットB1、B2は、11a、11bの流量調整弁からなる絞り装置、5a、5bの負荷側熱交換器によって構成されており、熱源側ユニットAと負荷側ユニットB1、B2は、第1の接続配管6と第2の接続配管7(これらは本発明の延長接続配管を構成する)、バルブ12a、12bにて接続されている。また、熱源側熱交換器3には空気を送風するファン8cが設けられており、負荷側熱交換器5a、5bにも同様に空気を送風するファン8a、8bが設けられている。これらのファン8a〜8cは、DCモータ(図示せず)によって駆動される遠心ファンや多翼ファン等から構成されており、送風量を調整することが可能になっている。また、圧縮機1は運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、たとえば、インバータにより制御されるモータによって駆動される容積式圧縮機から構成されている。なお、バルブ12a、12bは、ボールバルブや、開閉弁、操作弁などの開閉動作が可能な弁であればよい。
圧縮機1の吐出側には温度を検出する吐出温度センサ41(高圧側熱交換器入口側冷媒温度検出部)が設置されている。熱源側熱交換器3の冷房運転時における凝縮温度を検知するため熱源側熱交換器3の熱交温度センサ43c(冷房運転時は高圧冷媒温度(凝縮温度)検出部、暖房運転時は低圧冷媒温度(蒸発温度)検出部)が設けられ、熱源側熱交換器3の冷媒出口温度を検出するため熱交出口温度センサ44c(冷房運転時の高圧側熱交換器出口側冷媒温度検出部)が設けられている。44dは過冷却熱交換器10の一次側流路出口に設けられた温度センサ、44eは過冷却熱交換器10の二次側流路出口に設けられた温度センサである。これらの温度センサは冷媒配管に接するかあるいは挿入するように設けられ冷媒温度を検出するようになっている。熱源側熱交換器3が設置される室外の周囲温度は、吸込空気温度センサ40c(流体温度検出部)によって検出される。
制御部30は本発明の冷媒量判定手段を構成するものであり、本実施の形態では熱源側ユニットAに内蔵されており、温度、圧力などのセンサ類の測定を行う測定部30a、測定結果に基づき演算、比較、判定などの処理を行う演算部30b、演算結果に基づき、圧縮機、弁類、ファンなどを駆動する駆動部30cから構成されている。また、演算部30bによって得られた結果や予め定められた定数、冷媒の物性値(飽和圧力、飽和温度、エンタルピーなど)を計算する近似式やテーブルなどを記憶する記憶部30dも内蔵しており、必要に応じてこれらの記憶内容を参照、書き換えることが可能である。上記の測定部30a、演算部30b及び駆動部30cは例えばマイコンにより構成され、記憶部30dは半導体メモリなどによって構成される。また、制御部30には、マイコンによる処理結果をLEDやモニタなどにより表示したり、警告音などを出力したり、電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)により遠隔地へ情報を出力する出力部30f、リモコンや基板上のスイッチ類からの操作入力、電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)からの通信データ情報を入力する入力部31eが接続されている。
なお、上記の構成例では制御部30を熱源側ユニットAに内蔵する構成としたが、熱源側ユニットAにメイン制御部を、負荷側ユニットB1、B2に制御部の機能の一部を持つサブ制御部を設けて、メイン制御部とサブ制御部との間でデータ通信を行うことにより連携処理を行う構成や、負荷側ユニットB1、B2に全ての機能を持つ制御部を設置する構成、或いはこれらの外部に制御部を別置する形態などとしてもよい。
続いて、実施の形態1の代表的な運転モードであり、後に説明する冷媒量判定モードと同じ冷媒の流れとなる冷房モードの運転動作について図1に基づき説明する。
圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒は、四方弁2を経て熱源側熱交換器3へ至り、ファン8cの送風作用により冷媒は凝縮液化する。このときの凝縮温度は温度センサ43cにより、もしくは圧力センサ31の圧力を飽和温度換算することにより求められる。また、凝縮器である熱源側熱交換器3の過冷却度は凝縮温度から温度センサ44cの値を引くことにより求められる。凝縮液化した冷媒は、過冷却熱交換器10にてさらに過冷却度が大きくなり、第2の接続配管7を経て流量調整弁11a、11bにて減圧され二相状態となる。過冷却熱交換器10では流量調整弁11cで減圧し低温低圧となった二相冷媒と主配管の冷媒が熱交換し、主冷媒配管側の液冷媒は冷却されて過冷却度が増す。流量調整弁11cを経た冷媒は過冷却熱交換器10で加熱ガス化し、アキュムレータ4の手前側に戻る。主冷媒配管の流量調整弁11a、11bにて減圧された二相冷媒は蒸発器である負荷側熱交換器5a、5bにてファン8a、8bの送風作用によりガス化する。このときの蒸発温度は温度センサ43a、43bにて測定され、熱交出口温度センサ44a、44bの値からそれぞれの蒸発温度を引くことにより熱交換器出口における過熱度が求められる。そしてガス冷媒は四方弁2、アキュムレータ4を経て圧縮機1へ戻る。なお、熱源側熱交換器3出口の過冷却度は、上記凝縮温度から熱源側熱交換器3の熱交出口温度センサ44cの値を差し引くことで求められる。また、過冷却熱交換器10の出口の過冷却度は、上記凝縮温度(過冷却熱交換器10付近に圧力センサを追加し、飽和温度換算して凝縮温度を求めてもよい)から、過冷却熱交換器10の熱交出口温度センサ44dの温度を差し引くことで求められる。
この場合には、冷媒が漏れて冷凍サイクル内の冷媒量が減少しても、過冷却度ではその変化を検出できず、過冷却度を指標とした冷媒量判定ができなくなる。
次に、本発明の特徴である冷媒乾き度の演算方法について、図3及び図4に基づいて説明する。始めに、乾き度について、図3の乾き度説明用の冷媒ph線図(横軸がエンタルピーh、縦軸が圧力pを表す)を用いて説明する。図3において、太い実線が冷媒の気相、二相、液相の状態変化の境界線を表し、中間域が二相となる。二相域は同一圧力線上で、気体であるガスの位置を1、液の位置を0とすると、0〜1の範囲で等間隔に分割することができ、これが乾き度を表す。図3では、乾き度0〜1まで、0.1刻みの等乾き度線を点線で表している。また、液相域についてもマイナスの乾き度を定義し、二相域と同一間隔で等マイナス乾き度線を破線で表す。例えば、Cの位置では過冷却度=SCであるが、マイナスの乾き度で表すと、乾き度=−0.2となる。
一方、乾き度が検出できれば、初期状態(基準状態)が図3のAの位置であっても、冷媒量が減少してBの位置へ移動したということを判定することが可能となる。また、マイナスの乾き度を利用すれば、過冷却度がつくCの位置においても冷媒量の増減を乾き度で評価することが可能となり、過冷却度がつく、つかないに関わらず、乾き度を指標とした冷媒量の判定が可能となる。例えば、図3の例で、Cの位置、すなわち乾き度−0.2が基準であった場合に、冷媒量が減少してAの乾き度0.1の位置に移動したとすると、乾き度は0.1−(−0.2)=0.3移動している。この乾き度の差異(移動量)により冷媒量減少の度合いを判定することが可能となる。
図4は乾き度の演算方法の概念を示すph線図である。図4において、過冷却熱交換器10の一次側である主冷媒配管における入口(冷房モード)の乾き度をX、同じ位置におけるエンタルピーをE1[kJ/kg]、同出口(冷房モード)におけるエンタルピーをE2[kJ/kg]、二次側である副冷媒配管出口のエンタルピーをE3[kJ/kg](副冷媒配管の入口におけるエンタルピーは流量調整弁11cにて冷媒は断熱膨張するためE2に同じ)、熱源側熱交換器3を通る主冷媒配管の流量をGrm[kg/s]、過冷却熱交換器10の出口にて2分岐する主冷媒配管側の冷媒流量をGrc[kg/s]、副冷媒流量側の冷媒流量をGrh[kg/s]、過冷却熱交換器10の高圧側熱交換量(主冷媒配管側)をQH[kW]、低圧側熱交換量(副冷媒配管側)をQL[kW]とすると、QHとQLは次式にて表される。
QH = Grm・(E1−E2) ・・・(式1)
QL = Grh・(E3−E2) ・・・(式2)
QH=QLであるため、式1、式2から、
E1 = Grh/Grm・(E3−E2)+E2 ・・・(式3)
したがって、乾き度Xは次式となる。
X = (E1−Ec0)/(Ec1−Ec0) ・・・(式4)
ここで、
Grm=f(Pd,Ps,Fz) :(式5)圧縮機1冷媒流量[kg/s]
Grh=f(Pd,Ps,T44d,pls) :(式6)過冷却熱交換器10二次側冷媒流量 [kg/s]
E2=f(Pd,T44d) :(式7)過冷却熱交換器10一次側出口エンタルピー[kJ/kg]
E3=f(Ps,T44e) :(式8)過冷却熱交換器10二次側出口エンタルピー[kJ/kg]
Ec1=f(Pd) :(式9)圧力Pdにおける飽和ガスエンタルピー[kJ/kg]
Ec0=f(Pd) :(式10)圧力Pdにおける飽和液エンタルピー[kJ/kg]
なお、式5〜式10に使用されている記号の意味は下記のとおりである。
Pd:吐出圧力センサ31の値
Ps:吸入圧力センサ32の値
Fz:圧縮機運転周波数
T44d:過冷却熱交換器一次側出口温度(44d)
T44e:過冷却熱交換器二次側出口温度(44e)
pls:流量調整弁11cの開度
また、式5のGrmは、使用する圧縮機1の性能特性を近似式化したものであり、試験室試験結果や詳細なシミュレーション結果から式を作成する。式6のGrhは、流量調整弁11cの流量特性を近似式化したものであり、出入口圧力、出口液温度、弁開度から求められる。冷媒のエンタルピー(加熱ガス、飽和ガス、飽和液)は、冷媒の物性値を近似式化したもの、もしくはテーブル化したものから求める。なお、上記に説明した冷媒流量などの算出方法は一例であり、このほか、各測定値と出力値を全てテーブル化し、テーブルデータの間を線形補間するなどの方法により算出してもよい。また、式5、式7、式9、式10において、入力項目の圧力として圧縮機吐出圧力を使用したが、過冷却熱交換器10の前後に圧力センサを設け、この値を利用してもよい。
次に、乾き度Xを用いた冷媒量判定の方法について図5のフローチャートに基づき説明する。なお、以下に説明する冷媒量判定方法は、機器設置初期の冷媒充填運転や、メンテナンスのために冷媒を一度排出して再度充填する際などに適用してもよい。また、冷媒量判定運転は有線または無線での外部からの操作信号を制御部30に伝えることにより実施してもよい。
圧縮機の運転周波数は、冷凍サイクルの蒸発圧力(吸入圧力32の圧力を飽和温度換算した温度、もしくは負荷側ユニットの熱交温度センサ43a、43bなど)の出力が目標値(例えば0℃)と一致するように制御する。現在の蒸発温度が目標値より高い場合には周波数を上昇させる、目標値より低い場合には周波数を下降させるなどである。熱源側熱交換器3に空気を送風するファン8cの回転数は、冷凍サイクルの凝縮温度(吐出圧力センサ31の圧力を飽和温度換算した温度、もしくは熱源側熱交換器3の熱交温度センサ43cなど)が目標値(例えば45℃)と一致するように制御する。現在の凝縮温度が目標値より高い場合にはファン回転数を大きくする、低い場合は小さくするなどである。過冷却熱交換器二次側流量を調整する流量調整弁11cは、過冷却熱交換器10の二次側出口における冷媒過熱度(熱交出口温度センサ44dの温度から、吸入圧力センサ32の圧力の飽和温度換算値を差し引いた値)が一定値(例えば5℃)となるように開度を調整する。負荷側ユニット内に設けられた流量調整弁11a、11bは、負荷側熱交換器5a、5bの出口の冷媒過熱度(負荷側ユニットB1の場合は、熱交出口温度センサ44aの温度から、熱交温度センサ43aの値を差し引いた値。B2の場合も同様の位置)が目標値(例えば5℃)となるように開度を調整する。負荷側熱交換器に空気を送風するファン8a、8bは、固定の回転数で運転する。
なお、上記の運転制御では、凝縮温度、蒸発温度一定制御としたが、例えば、圧縮機1の運転周波数と、熱源側ユニットのファン8cの回転数を一定値として、凝縮温度と蒸発温度制御を行わない運転や、凝縮温度もしくは蒸発温度のいずれかひとつのみを目標値に制御する方法などでもよい。
《機器構成》
実施の形態2の構成について図6を参照して説明する。
図6は実施の形態1の熱源側ユニットを2台(A1、A2)並列接続の構成とした場合の例であり、実施の形態1と同一部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
熱源側ユニットが複数台存在する場合には、冷媒量判定指標である熱源側熱交換器3出口の過冷却度や乾き度がそれぞれ異なる可能性がある。従来のように過冷却度で判定する場合には、複数台数の過冷却度を平均化した値を冷媒量判定の指標とすることが可能であったが、熱源側ユニットの容量や、設置状況、運転状況によっては冷媒分布にアンバランスが生じ、いずれかのユニットの過冷却度がつかない状態(=0)となることがあった。この場合には、冷媒量変化に応じて過冷却度が変化しなくなり、判定不能となる可能性があった。
Xm=(Qja・Xa+Qjb・Xb)/(Qja+Qjb) ・・・(式11)
ここで、
Qja:熱源側ユニットA1の空調容量[kW]
Qjb:熱源側ユニットA2の空調容量[kW]
Xa:熱源側ユニットA1の過冷却熱交換器手前乾き度[-]
Xb:熱源側ユニットA2の過冷却熱交換器手前乾き度[-]
なお、上記の実施の形態1にて説明したように、乾き度は冷媒の状態が二相でも液相でも演算が可能であり、どちらの場合においても冷媒量の増減を判定することができ、極めて適用範囲が広い。また式11は2台接続の場合の式であるが、これ以上の複数台数接続においても同様に加重平均することによりXmを求めることができる。
冷媒量判定方法は、基本的には実施の形態1と同様であり、冷房モードにて行う。熱源側ユニットが2台あるため、制御上の相違点としては、圧縮機の周波数の増減はそれぞれの圧縮機容量比に応じて変化させる点である。熱源側熱交換器3に送風するファン8c、流量調整弁11cの制御は熱源側ユニットが1台の場合と同一であり、それぞれの熱源ユニットに対応するセンサの出力値に基づき、個別制御を行う。
《機器構成》
実施の形態3の機器構成について図7及び図8を参照して説明する。
図7は、熱源側ユニットAと負荷側ユニットB1、B2の間に中継ユニットCを介在させて、熱源側ユニットAと中継ユニットCを接続する主冷媒配管が2本の回路構成で、負荷側ユニットの冷暖房同時運転が可能な空気調和機の回路構成であり、基本的な回路構成は、例えば特許文献6(特開平04−335967号公報)と同じである。本回路構成では、接続配管が2本で、負荷側ユニットの冷暖房同時運転が可能となるため、3本管冷暖同時方式に比べて、設置工事の省力化、使用部材(配管類)の削減が可能となる。
図7において、1は圧縮機、2は四方弁、3は熱源側熱交換器、4はアキュムレータであり、これらを順に接続して熱源側ユニットAのメイン回路を構成する。13aは熱源側熱交換器3と第2の接続配管7との間に設けられた逆止弁であり、熱源側熱交換器3から第2の接続配管7の方向へのみ冷媒流通を許容する。13bは四方弁2と第1の接続配管6との間に設けられた逆止弁であり、第1の接続配管6から四方弁2の方向へのみ冷媒流通を許容する。13cは四方弁2と第2の接続配管7との間に設けられた逆止弁であり、四方弁2から第2の接続配管7の方向へのみ冷媒流通を許容する。13dは熱源側熱交換器3と第1の接続配管6との間に設けられた逆止弁であり、第1の接続配管6から熱源側熱交換器3の方向へのみ冷媒流通を許容する。
電磁弁16a、16b、17a、17bは、接続配管21a、21bと、第2の接続配管7もしくは第1の接続配管6を選択的に接続するための弁であり、電磁弁16a、17aを開、電磁弁16b、17bを閉とすることで、接続配管21a、21bと第2の接続配管7を、これとは逆に電磁弁16a、17aを閉、電磁弁16b、17bを開とすることで、接続配管21a、21bと第1の接続配管6を接続することが可能となる。20は気液分離器であり、その気相部(図示せず)は、第2の接続配管7を経て電磁弁16a、17aに接続され、その液相部(図示せず)は第1の過冷却熱交換器18aに接続されている。第1の過冷却熱交換器18aと第2の過冷却熱交換器18bとの間には流量調整弁19aが接続されており、上記、第1の過冷却熱交換器18a〜流量調整弁19a〜第2の過冷却熱交換器18bを結ぶ主冷媒配管側流路を、以降、第1の過冷却熱交換器18aと第2の過冷却熱交換器18bの1次側と呼ぶ。第2の過冷却熱交換器18bは、さらに逆止弁14b、15bを経て接続配管22a、22bと接続している(逆止弁14b、15bはこの方向の冷媒流通のみ許容)。また、接続配管22a、22bは逆止弁14a、15aを経て、流量調整弁19aと第2の過冷却熱交換器18bの中間に接続されており(逆止弁14a、15aはこの方向の冷媒流通のみ許容)、逆止弁14a、14b、15a、15bは、接続配管22a、22bと中継ユニットC内の接続ポイントを負荷側ユニットの冷媒の流れに応じて選択的に接続可能な構成となっている。また、第1の過冷却熱交換器18aと第2の過冷却熱交換器18bの主冷媒回路を流れる冷媒と熱交換を行う冷媒が流れる副冷媒配管は、第2の過冷却熱交換器18bと逆止弁14b、15bの間に端を発し、流量調整弁19b〜第2の過冷却熱交換器18b〜第1の過冷却熱交換器18a〜第1の接続配管6へと繋がる構成となっている。上記、第2の過冷却熱交換器18b〜第1の過冷却熱交換器18aを結ぶ副冷媒配管側流路を、以降、第2の過冷却熱交換器18bと第1の過冷却熱交換器18aの2次側と呼ぶ。
熱源側ユニットAについては、実施の形態1とほぼ同じであり、差異は、本実施の形態では熱交出口温度センサ44eがない点のみであるため、その他説明は省略する。また、負荷側ユニットB1、B2については、実施の形態1と同一構成であるため説明を省略する。以下、中継ユニットCのセンサ類について説明する。46aは気液分離器20と第1の過冷却熱交換器18aの中間の主冷媒配管圧力を、46bは第1の過冷却熱交換器18aと流量調整弁19aの中間の主冷媒配管圧力を検出する圧力センサである。
また、45aは気液分離器20と第1の過冷却熱交換器18aの中間の主冷媒配管温度を、45bは第1の過冷却熱交換器18aと流量調整弁19aの中間の配管温度を、45cは第2の過冷却熱交換器18bと流量調整弁19bへと繋がる副冷媒配管接続部との中間の配管温度を、45dは第1の過冷却熱交換器と第1の接続配管6とを結ぶ副冷媒配管の配管温度を検出する温度センサである。
上記説明のように構成された空気調和装置では、大きく分けて3つの形態の運転が可能となる。即ち、複数台の負荷側ユニットの総てで冷房運転を行う場合(冷房モード)と、複数台の負荷側ユニットの総てで暖房運転を行う場合(暖房モード)と、複数台の負荷側ユニットのうち一部は冷房運転を行い、他の一部は暖房運転を行う場合(冷暖房同時運転モード)とである。各運転時の動作は基本的には特許文献6に同じであるため、ここでは、代表的な運転モードであり、後に説明する冷媒量判定モードと同じ冷媒の流れとなる冷房モードの運転動作についてのみ図7に基づき説明する。
続いて、本実施の形態の冷媒回路における乾き度の算出方法について図4と図7に基づいて説明する。乾き度算出方法は実施の形態1とほとんど同じであるが、回路構成が変わり、図4と冷媒回路との関係が異なるため、本実施の形態における算出法を改めて説明する。
図4において、図7における第1の過冷却熱交換器18aの一次側である主冷媒流路における入口(気液分離器20の出口側)の乾き度をX、同じく入口におけるエンタルピーをE1[kJ/kg]、第2の過冷却熱交換器18bの出口におけるエンタルピーをE2[kJ/kg]、二次側(副冷媒配管側)の第1の過冷却熱交換器18a出口のエンタルピーをE3[kJ/kg](副冷媒配管の入口すなわち流量調整弁19bにおけるエンタルピーは流量調整弁19bにて冷媒が断熱膨張するためE2に同じ)、熱源側熱交換器3を通る主冷媒配管の流量をGrm[kg/s]、第2の過冷却熱交換器18bの出口にて2分岐する主冷媒流路側の冷媒流量をGrc[kg/s]、副冷媒流路側の冷媒流量をGrh[kg/s]、第1の過冷却熱交換器18aと第2の過冷却熱交換器18bの合計の高圧側熱交換量(主冷媒流路側)をQH[kW]、同低圧側熱交換量(副冷媒流路側)をQL[kW]とすると、QHとQLは次式にて表される。
QH = Grm・(E1−E2) ・・・(式12)
QL = Grh・(E3−E2) ・・・(式13)
QH=QLであるため、式12、式13から、
E1 = Grh/Grm・(E3−E2)+E2 ・・・(式14)
したがって、乾き度Xは次式となる。
X = (E1−Ec0)/(Ec1−Ec0) ・・・(式15)
ここで、
Grm=f(Pd,Ps,Fz) ・・・(式16)圧縮機1冷媒流量[kg/s]
Grh=f(P2,Ps,T45c,pls)・・・(式17)過冷却熱交換器18a、18b二次側冷媒流量[kg/s]
E2=f(P2,T45c)・・・(式18)第2の過冷却熱交換器18b一次側出口エンタルピー[k
J/kg]
E3=f(Ps,T45d)・・・(式19)第1の過冷却熱交換器18a二次側出口エンタルピー[k
J/kg]
Ec1=f(P2) ・・・(式20)圧力Pdにおける飽和ガスエンタルピー[kJ/kg]
Ec0=f(P2) ・・・(式21)圧力Pdにおける飽和液エンタルピー[kJ/kg]
なお、式16〜式21に使用されている記号の意味は下記のとおりである。
Pd:吐出圧力センサ31の値
Ps:吸入圧力センサ32の値
P2:圧力センサ46bの値
Fz:圧縮機運転周波数
T45c:第2の過冷却熱交換器一次側出口温度(45c)
T45d:第1の過冷却熱交換器二次側出口温度(45d)
pls:流量調整弁19bの開度
また、式16のGrmは、使用する圧縮機の性能特性を近似式化したものであり、試験室試験結果や詳細なシミュレーション結果から式を作成する。式17のGrhは、流量調整弁19bの流量特性を近似式化したものであり、出入口圧力、出口液温度、弁開度から求められる。冷媒のエンタルピー(加熱ガス、飽和ガス、飽和液)は、冷媒の物性値を近似式化したもの、もしくはテーブル化したものから求める。なお、上記に説明した冷媒流量などの算出方法は一例であり、このほか、各測定値と出力値を全てテーブル化し、テーブルデータの間を線形補間するなどの方法により算出してもよい。
冷媒量判定方法は、基本的には実施の形態1に同様である。本実施の形態では、過冷却熱交換器が第1と第2の二つあるが、中間にある流量調整弁19cを全開にすれば、ひとつの過冷却熱交換器とみなすことができる。実施の形態1との差異は、過冷却熱交換器が熱源側ユニット内に設けられているか、中継ユニット側に設けられているのかの違いであり、その他の回路構成、動作は冷房モードであれば基本的に同様であり、詳細な説明を省略する。
《機器構成》
続いて、実施の形態4について図9を参照して説明する。
図9は実施の形態1の熱源側ユニットから、過冷却熱交換器10及びこれに付随する流量調整弁、配管、センサを除去した回路構成であり、その他部位の構成は実施の形態1にほぼ同じである。本実施の形態では熱源側熱交換器3の入口側(冷房時)に熱交入口温度センサ17を追加している。その他、実施の形態1と同一部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。なお、11a、11bの絞り装置は、負荷側ユニットに内蔵する構成としたが、熱源側ユニットA内の熱源側熱交換器3とバルブ12bとの間に設けて、熱源側ユニットAに内蔵する構成としてもよい。
本実施の形態における冷媒乾き度演算方法について図10の冷媒ph線図(横軸がエンタルピーh、縦軸が圧力pを表す)を用いて説明する。
本実施の形態の回路構成では、過冷却熱交換器が存在しないため、実施の形態1〜3で説明した乾き度演算方法ではなく、熱源側熱交換器(凝縮器)の熱交換量バランス式から乾き度を算出する。
本実施の形態の回路構成では過冷却熱交換器が存在しない点が異なるが、その他の回路構成・動作は実施の形態1に説明の冷房モードと基本的に同様であり、詳細な説明を省略する。以下に乾き度演算方法について説明する。
Qo = Grm・(Eo1−Eo2) ・・・(式22)
Qo = A・K・(Tao−Tc) ・・・(式23)
上記2式から、
Eo2 = Eo1 − A・K・(Tao−Tc)/Grm ・・・(式24)
したがって、乾き度Xは次式となる。
X = (Eo2−Ec0)/(Ec1−Ec0) ・・・(式25)
ここで、
Grm=f(Pd,Ps,Fz) :(式26)圧縮機1冷媒流量[kg/s]
Eo1=f(Pd,T47) :(式27)熱源側熱交換器入口エンタルピー[kJ/kg]
Ec1=f(Pd) :(式28)圧力Pdにおける飽和ガスエンタルピー[kJ/kg]
Ec0=f(Pd) :(式29)圧力Pdにおける飽和液エンタルピー[kJ/kg]
なお、式22〜式29に使用されている記号の意味は下記のとおりである。
Pd:吐出圧力センサ31の値
Ps:吸入圧力センサ32の値
Fz:圧縮機運転周波数
T47:熱源側熱交換器入口温度(47)
Tao:外気温度(40c)
Tc:凝縮温度(T43cもしくはPdの飽和温度換算値)
A:熱源側熱交換器表面積
K:熱源側熱交換器熱通過率(冷媒〜空気間)
式26のGrmは、使用する圧縮機の性能特性を近似式化したものであり、試験室試験結果や詳細なシミュレーション結果から式を作成する。冷媒のエンタルピー(加熱ガス、飽和ガス、飽和液)は、冷媒の物性値を近似式化したもの、もしくはテーブル化したものから求める。なお、上記に説明した冷媒流量などの算出方法は一例であり、このほか、各測定値と出力値を全てテーブル化し、テーブルデータの間を線形補間するなどの方法により算出してもよい。
本実施の形態の回路構成によれば、凝縮器出口(冷房モードでは熱源側熱交換器出口)の乾き度を算出して冷媒量判定指標とするため、凝縮器と蒸発器が入れ替わる暖房モードにおいても同様に凝縮器出口の乾き度から冷媒量判定を行うことが可能となる。以下にその方法について説明する。
Qo = Grm・(Eo1−Eo2) ・・・(式30)
Qo = A・K・(Tai−Tc) ・・・(式31)
上記2式から、
Eo2 = Eo1 − A・K・(Tai−Tc)/Grm ・・・(式32)
したがって、乾き度Xは次式となる。
X = (Eo2−Ec0)/(Ec1−Ec0) ・・・(式33)
ここで、
Grm=f(Pd,Ps,T43a,pls)・・・(式34)負荷側熱交換器5a冷媒流量 [kg/s]
Eo1=f(Pd,T44a)・・・(式35)負荷側熱交換器入口エンタルピー[kJ/kg]
Ec1=f(Pd) ・・・(式36)圧力Pdにおける飽和ガスエンタルピー[kJ/kg]
Ec0=f(Pd) ・・・(式37)圧力Pdにおける飽和液エンタルピー[kJ/kg]
なお、式30〜式37に使用されている記号の意味は下記のとおりである。
Pd:吐出圧力センサ31の値
Ps:吸入圧力センサ32の値
T43a:負荷側熱交換器温度(43a。T43aの代わりに、負荷側熱交換器5aと流量調整弁11aの間に温度センサを設けこの温度を用いてもよい)
T44a:負荷側熱交換器入口(暖房基準)温度(44a)
Tai:室内温度(40a)
Tc:凝縮温度(T43aもしくはPdの飽和温度換算値)
A:負荷側熱交換器表面積
K:負荷側熱交換器熱通過率(冷媒〜空気間)
ここで、式34のGrmは、流量調整弁11aの流量特性を近似式化したものである。上記説明は負荷側熱交換器5aについてであるが、負荷側熱交換器5bについても同様に乾き度Xを算出することができる。
Claims (16)
- 圧縮機と熱源側熱交換器と負荷側熱交換器とを備え、これらを配管接続して冷媒流路を形成する冷凍サイクルを有した空気調和装置であって、
前記熱源側熱交換器又は前記負荷側熱交換器の冷媒流路出口側における冷媒乾き度を、熱交換器の熱バランスに関する式を用いて演算する演算手段と、
前記冷媒乾き度に基づいて冷媒量を判定する冷媒量判定手段と
を備え、
前記演算手段は、
前記熱交換器の入口の冷媒のエンタルピー、前記熱交換器の出口の冷媒のエンタルピー、及び前記熱交換器の冷媒流量に基づいて求められる熱交換量(Qo)と、外気温又は室温と前記熱交換器の凝縮温度との差分に基づいて求められる熱交換量(Qo)とが、等しいとする熱交換器の熱バランスに関する式を用いて、前記冷媒乾き度を求める
ことを特徴とする空気調和装置。 - 圧縮機と熱源側熱交換器と負荷側熱交換器と過冷却熱交換器とを備え、これらを配管接続して冷媒流路を形成する冷凍サイクルを有した空気調和装置であって、
前記過冷却熱交換器の冷媒流路入口側における冷媒乾き度を熱交換器の熱バランスに関する式を用いて求める演算部と、
前記冷媒乾き度に基づいて冷媒量を判定する冷媒量判定手段と
を備え、
前記演算部は、
前記過冷却熱交換器の高圧側入口の冷媒のエンタルピー、前記過冷却熱交換器の高圧側出口の冷媒のエンタルピー、及び前記過冷却熱交換器の高圧側の冷媒流量に基づいて求められる前記過冷却熱交換器の高圧側の熱交換量(QH)と、前記過冷却熱交換器の高圧側出口の冷媒のエンタルピー、前記過冷却熱交換器の低圧側出口の冷媒のエンタルピー、及び前記過冷却熱交換器の低圧側の冷媒流量に基づいて求められる前記過冷却熱交換器の低圧側の熱交換量(QL)とが、等しいとする熱交換器の熱バランスに関する式を用いて、前記冷媒乾き度を求める
ことを特徴とする空気調和装置。 - 前記冷媒乾き度は、過冷却域に対しては負の乾き度を定義することを特徴とする請求項1又は2記載の空気調和装置。
- 前記演算手段は、少なくとも冷媒圧力、温度、圧縮機運転周波数の情報を用いて、前記冷媒乾き度を演算することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の空気調和装置。
- 圧縮機循環流量特性、弁流量特性及び冷媒エンタルピーを記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は圧縮機循環流量特性、弁流量特性及び冷媒エンタルピーを近似式又はデータテーブルとして記憶することを特徴とする請求項4記載の空気調和装置。 - 前記冷媒量判定手段は、
前記熱源側熱交換器又は前記負荷側熱交換器の過冷却度がプラス域の場合には過冷却度により冷媒量判定し、過冷却度がゼロのときは前記冷媒乾き度により冷媒量判定をすることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の空気調和装置。 - 前記圧縮機及び前記熱源側熱交換器をそれぞれ有する複数の熱源側ユニットを備え、
前記冷媒量判定手段は、各熱源側熱交換器の冷媒流路出口側における前記冷媒乾き度の加重平均に基づいて冷媒量を判定することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。 - 前記各熱源側熱交換器の冷媒流路出口側における各冷媒乾き度どうしの値が所定の範囲内の近い値となるように運転制御を行う制御手段を
備えたことを特徴とする請求項7記載の空気調和装置。 - 前記負荷側熱交換器をそれぞれ有する複数の負荷側ユニットを備え、
前記冷媒量判定手段は、前記各負荷側熱交換器の冷媒流路出口側における各冷媒乾き度の加重平均に基づいて冷媒量を判定することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。 - 前記各負荷側熱交換器の冷媒流路出口側における各冷媒乾き度どうしの値が所定の範囲内の近い値となるように運転制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項9記載の空気調和装置。
- 前記過冷却熱交換器は、複数の過冷却熱交換器からなり、
前記冷媒量判定手段は、前記各過冷却熱交換器の冷媒流路入口側における各冷媒乾き度の加重平均に基づいて冷媒量を判定することを特徴とする請求項2記載の空気調和装置。 - 前記各過冷却熱交換器の冷媒流路入口側における各運転状態量予測演算値どうしの値が所定範囲内の近い値となるように運転制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項11記載の空気調和装置。
- 前記過冷却熱交換器を、前記圧縮機と前記熱源側熱交換器とを有する熱源側ユニット内に設けることを特徴とする請求項2、11又は12記載の空気調和装置。
- 前記過冷却熱交換器を、前記圧縮機と前記熱源側熱交換器とを有する熱源側ユニットと、前記負荷側熱交換器を有する負荷側ユニットとの間に設けられた延長接続配管の途中に設けることを特徴とする請求項2、11又は12記載の空気調和装置。
- 前記冷媒量判定手段は、前記冷媒乾き度を、基準状態と比較することにより冷媒量を判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の空気調和装置。
- 前記冷媒量判定手段は、前記冷媒乾き度の加重平均を、基準状態と比較することにより冷媒量を判定することを特徴とする請求項7〜12の何れか一項に記載の空気調和装置。
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