JP4583139B2 - 無段変速機の組立構造および組立方法 - Google Patents
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Description
従動プーリからデファレンシャル装置に動力を伝達する場合、従動プーリを支持した従動軸の端部に出力ギヤを一体形成または固定し、この出力ギヤとデファレンシャル装置のリングギヤとを噛み合わせることにより、動力伝達を行っている。なお、従動軸とデファレンシャル装置との間にリダクションギヤが介在する場合もある。
従動軸100の一端部に形成されたスプライン部100aに円筒形状の出力ギヤ101をスプライン嵌合させ、出力ギヤ101に続いてローラベアリング102の内側レース102aを従動軸100の円筒部100bに嵌合させ、さらに従動軸100の軸端のねじ部100cにロックナット103を締結することで、出力ギヤ101および内側レース102aを軸方向に押圧し、出力ギヤ101の端面を従動軸100に取り付けられた部品104に押し当てて固定してある。ローラベアリング102の外側レース102bは変速機ケース105に嵌合保持されている。出力ギヤ101にはデファレンシャル装置のリングギヤ106が噛み合っている。
なお、デファレンシャル装置のリングギヤを出力ギヤに噛み合わせる場合だけでなく、リダクションギヤを出力ギヤに噛み合わせる場合(4軸構成の場合)でも同様の問題がある。
そこで、本発明では、出力ギヤを円筒状のギヤスリーブに形成しておき、このギヤスリーブの延長部にボールベアリングを予め嵌合固定しておく。
次に、変速機ケースに従動軸およびデファレンシャル装置を組み込み、その後で従動軸に対してギヤスリーブをスプライン嵌合させる。このとき、出力ギヤはボールベアリングに邪魔されることなく、デファレンシャル装置のリングギヤに容易に噛み合わせることができる。
次に、従動軸の軸端にロックナットを締結し、ギヤスリーブを従動軸のストッパ部に押し当てて固定する。これにより、出力ギヤは従動軸に対して軸方向および回転方向に確実に固定される。このとき、従動軸の他端側に設けられるベアリングには軸方向荷重が掛からず、ベアリングを損傷することがない。
最後に、ボールベアリングに変速機ケースの他方を嵌合させれば、組立は完了する。
また、ギヤスリーブを従動軸にロックナットで締結するため、従動軸の他端側を支持するベアリングに軸方向荷重がかからず、ベアリングを損傷することがない。
さらに、ボールベアリングはギヤスリーブに予め嵌合固定されてアッセンブリとされているので、出力ギヤとボールベアリングを同時に従動軸に固定することができ、組み付け作業性が向上する利点がある。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替装置4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
図1に示すように、従動軸20の後側(反エンジン側)の端部は、ボールベアリング25を介して変速機ケース5の一方のカバー部材5aによって回転自在に支持され、前側(エンジン側)の端部は、ボールベアリング26を介して変速機ケース5の他方のカバー部材(コンバータハウジング)5bによって回転自在に支持されている。
まず、従動プーリ21を支持した従動軸20の後側端部をボールベアリング25を介して変速機ケース5の一方のカバー部材5aに組み付けるとともに、カバー部材5aに固定された変速機ケース5の本体部材5cにデファレンシャル装置30を組み付ける。このデファレンシャル装置30には既にリングギヤ31が固定されている。この状態が図5の左側に示されている。
次に、上記のように変速機ケース5のカバー部材5aに組み付けられた従動軸20に対し、ボールベアリング26を予め嵌合固定したギヤスリーブ27をスプライン嵌合させる。この際、出力ギヤ27aをデファレンシャル装置30のリングギヤ31に噛み合わせる。大径なボールベアリング26は出力ギヤ27aより挿入方向後側に位置しているので、ボールベアリング26によって邪魔されることなく、ギヤスリーブ27を円滑に挿入できる。
次に、従動軸20の軸端のねじ部20bにロックナット28を締結する。ロックナット28の締付力によりギヤスリーブ27は軸方向に押され、円筒部27cの端面が従動軸20のピストン22bの背面に押し当てられ、固定される。このようにロックナット28の締付力はピストン22bの部分で終端となり、他方のボールベアリング25に波及しないので、ボールベアリング25に余計な負荷を与えずにすむ。
ロックナット28を締結した後、変速機ケース5の他方のカバー部材5bをボールベアリング26に嵌合させることにより、組み付けを完了する。
上記実施例では、ギヤスリーブ27の中央部に出力ギヤ27aを設け、軸方向両端に延長部27bと円筒部27cとを設けたが、円筒部27cを省略することもできる。
ギヤスリーブ27の軸方向端部を押し当てる従動軸20のストッパ部としては、実施例のようなピストン22bに限るものではなく、例えば従動軸20の途中に形成される段差部をストッパ部とすることもできる。
4 前後進切替装置
10 駆動軸
11 駆動プーリ
15 Vベルト
20 従動軸
21 従動プーリ
26 ボールベアリング
27 ギヤスリーブ
27a 出力ギヤ
27b 延長部
28 ロックナット
30 デファレンシャル装置
31 リングギヤ
Claims (2)
- Vベルトが巻きかけられた駆動プーリと従動プーリとを備え、上記従動プーリを支持した従動軸の両端部をベアリングを介して変速機ケースにより回転自在に支持し、上記従動軸の一端側にデファレンシャル装置のリングギヤまたはリダクションギヤと噛み合う出力ギヤを固定した無段変速機において、
上記出力ギヤは、円筒状のギヤスリーブの外周に形成され、
上記ギヤスリーブの軸方向一端部にギヤ部のない円筒状の延長部が形成され、
上記延長部の外周に上記出力ギヤの歯底径より大きな外径を持つボールベアリングが嵌合固定され、
上記従動軸の一端側の外周に外スプラインが形成され、かつ当該一端部の軸端にねじ部が形成され、
上記従動軸には上記ギヤスリーブの軸方向他端部を押し当てるためのストッパ部が設けられ、
上記ギヤスリーブの内周に上記従動軸の外スプラインと嵌合する内スプラインが形成され、
上記ギヤスリーブを上記従動軸にスプライン嵌合するとともに、上記出力ギヤを上記デファレンシャル装置のリングギヤまたはリダクションギヤと噛み合わせ、上記ギヤスリーブから突出した上記従動軸の軸端のねじ部にロックナットを締結することにより、上記ギヤスリーブを軸方向に押圧し、上記ギヤスリーブの軸方向他端部を上記従動軸のストッパ部に押し当てて固定したことを特徴とする無段変速機の組立構造。 - Vベルトが巻きかけられた駆動プーリと従動プーリとを備え、上記従動プーリを支持した従動軸の両端部をベアリングを介して変速機ケースにより回転自在に支持し、上記従動軸の一端側にデファレンシャル装置のリングギヤまたはリダクションギヤと噛み合う出力ギヤを固定する無段変速機の組立方法において、
外周に出力ギヤを有し、内周に内スプラインを有し、軸方向一端部にギヤ部のない円筒状の延長部が形成されたギヤスリーブを準備する工程と、
上記ギヤスリーブの延長部に、上記出力ギヤの歯底径より大きな外径を持つボールベアリングを嵌合固定する工程と、
上記変速機ケースの一方に上記従動軸の他端側をベアリングを介して支持する工程と、
上記変速機ケースの一方に上記デファレンシャル装置、又は上記デファレンシャル装置及びリダクションギヤを組み込む工程と、
上記従動軸の一端側に、上記ボールベアリングを嵌合固定した上記ギヤスリーブをスプライン嵌合するとともに、上記ギヤスリーブの出力ギヤを上記デファレンシャル装置のリングギヤまたはリダクションギヤと噛み合わせる工程と、
上記従動軸の上記ギヤスリーブから突出した軸端のねじ部にロックナットを締結することにより、上記ギヤスリーブを軸方向に押圧し、上記ギヤスリーブの軸方向他端部を上記従動軸のストッパ部に押し当てて固定する工程と、
上記ボールベアリングに上記変速機ケースの他方を嵌合させる工程と、を有することを特徴とする無段変速機の組立方法。
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