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JP4573542B2 - ビタミンb1誘導体組成物 - Google Patents

ビタミンb1誘導体組成物 Download PDF

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JP4573542B2 JP2004055752A JP2004055752A JP4573542B2 JP 4573542 B2 JP4573542 B2 JP 4573542B2 JP 2004055752 A JP2004055752 A JP 2004055752A JP 2004055752 A JP2004055752 A JP 2004055752A JP 4573542 B2 JP4573542 B2 JP 4573542B2
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Description

本発明は、ビタミンB1誘導体、アセトアミノフェン、ステアリン酸金属塩を含有することを特徴とする錠剤、詳しくはビタミンB1誘導体、アセトアミノフェン、ステアリン酸マグネシウムを含有しても、経時安定試験におけるビタミンB1誘導体の残存率の低下を抑制した錠剤である。
一般用医薬品(OTC薬)として市販されているかぜ薬や解熱鎮痛製剤には、様々な成分が配合されている。その1つの成分であるアセトアミノフェンは、中枢のプロスタグランジンを抑制し、痛みや発熱を抑制する。また、他の成分として、筋肉の緊張、痙攣を緩和し、痛みを軽減するビタミンB1誘導体が含まれていることもある。
これら成分を含む錠剤を製造する場合、当該成分、賦形剤、結合剤等を顆粒に成形した後、滑沢剤と混合、圧縮成形し錠剤とする。この滑沢剤として汎用されるのが、ステアリン酸金属塩、特にステアリン酸マグネシウムである。特許文献1、2には、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有した錠剤について記載されている。
医薬品の開発において、一般的に試製品の安定性を調べる場合には40℃相対湿度75%の加速試験条件下および60℃相対湿度75%の苛酷試験条件下で経時保存試験を実施している。
特開平5−221857号公報 特開2000−169367号公報
しかしながら、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有した錠剤を40℃相対湿度75%の条件下で経時保存した結果、ビタミンB1誘導体の残存率が低下することが本発明者らの実験によって明らかとなった。また、試験期間を短縮するために、60℃、相対湿度75%の条件下で経時保存した場合も、40℃相対湿度75%の実験と同様、ビタミンB1誘導体の残存率が低下することが明らかとなった。特許文献1、2は、ビタミンB1誘導体の残存率が低下することや残存率低下を防止する方法等は開示も示唆もされていない。
今回、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有した製剤におけるビタミンB1誘導体の安定性を詳細に調べた結果、 意外にも、アセトアミノフェンとビタミンB1誘導体あるいはビタミンB1誘導体とステアリン酸マグネシウムが配合された場合において、ビタミンB1誘導体は安定であることが判明した。以上の知見を基に、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有した固形製剤であっても、1)アミノ酸塩を添加、2)アセトアミノフェンおよびビタミンB1誘導体を異なる層とした多層錠剤、または3)滑沢剤であるステアリン酸金属塩を0.1(w/w)%以下とした錠剤とすることによって、ビタミンB1誘導体の残存率の低下が抑制されることを見出し、以下の発明を完成した。
(1)アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体、ステアリン酸金属塩およびアミノ酸塩を含有することを特徴とする固形製剤。
(2)アミノ酸塩がアミノ酸塩酸塩またはアミノ酸硫酸塩である上記(1)記載の固形製剤。
(3)アミノ酸塩がアミノ酸塩酸塩である上記(1)記載の固形製剤。
(4)アミノ酸塩がL−グルタミン酸塩酸塩またはグリシン塩酸塩から選択される1または2である上記(1)記載の固形製剤。
(5)アミノ酸塩がL−グルタミン酸塩酸塩である上記(1)記載の固形製剤。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の固形製剤が、錠剤、顆粒剤および散剤から選択される1の製剤であることを特徴とする固形製剤。
(7)上記(1)から(5)のいずれかに記載の固形製剤が、錠剤であることを特徴とする固形製剤。
(8)アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸金属塩を含有し、アセトアミノフェンおよびビタミンB1誘導体が、それぞれ異なる層に配合された多層錠剤であることを特徴とする錠剤。
(9)アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸金属塩を含有し、1錠あたりのステアリン酸金属塩の配合割合が0.1%以下であることを特徴とする錠剤。
(10)1錠あたりのステアリン酸金属塩の配合割合が0.01〜0.1%であることを特徴とする上記(9)記載の錠剤。
(11)ビタミンB1誘導体が硝酸チアミン、ジベンゾイルチアミン、オクトチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、塩酸ジセチアミンおよび塩酸チアミンから選択される1または2以上である上記(1)から(10)のいずれかに記載の固形製剤または錠剤。
(12)ビタミンB1誘導体が塩酸ジセチアミンである上記(11)記載の固形製剤または錠剤。
(13)ステアリン酸金属塩がステアリン酸マグネシウムである上記(1)から(12)のいずれかに記載の固形製剤または錠剤。
本発明は、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有した固形製剤、特に錠剤であっても、1)アミノ酸塩を添加、2)アセトアミノフェンおよびビタミンB1誘導体を異なる層とした多層錠剤、または3)滑沢剤であるステアリン酸金属塩を0.1(w/w)%以下とした錠剤とすることによって、40℃、相対湿度75%の状態で6ヶ月間保存、あるいは60℃、相対湿度75%の状態で2週間保存しても、ビタミンB1誘導体の残存率の低下が抑制されることを見出した。
本発明錠剤に用いられる薬物としては、アニリン系誘導体であるアセトアミノフェンおよびビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類であり、他の薬物を配合してもよい。他の薬物として、ラクチルフェネチジン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸時フェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレンニサリチル酸塩、マレイン三カルビノキサミン、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、 リン酸ジフェテロール、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素、塩酸アロクラミド、塩酸クロペラスチン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸チベピジンン、ジブナートナトリウム、臭化水素酸デキストロメトルファン、デキストロメトルフェン・フェノールフタレン塩、ヒベンズ酸チペピジン、フェンジゾ酸クロペラスチン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、安息香酸ナトリウム、カフェイン、無水カフェイン、塩酸ノシカピン、ノスカピン、dl-塩酸メチルエフェドリン、dl-塩酸メチルエフェドリンサッカリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、安息香酸ナトリウムカフェイン、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、メチレンジサリチル酸プロメタジン、パ塩酸パパベリン、フェナセチン、ジフロフェナクナトリウム等がある。さらに、緩和な生薬類、漢方類などの補助薬剤を適宜配合してもよい。
また、ビタミンB1誘導体として、硝酸チアミン、ジベンゾイルチアミン、オクトチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、塩酸ジセチアミンおよび塩酸チアミン等がある。特に、塩酸ジセチアミンを用いる場合に、本発明は有用である。
本発明において、固形製剤とは、第十四改正日本薬局方収載の製剤総則のうち、錠剤、顆粒剤または散剤のことをいう。このうち、顆粒剤、散剤は、カプセル剤に充填することも可能である。本発明において、特に好ましい固形製剤とは、錠剤である。なお、錠剤については以下に説明するが、顆粒剤および散剤については、当該分野で周知な添加剤および製造法を幅広く使用することができる。
本発明の錠剤中には、添加剤として、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤および/または安定化剤が配合される。当該賦形剤として、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。例えば、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、D−マンニトール、リン酸水素カルシウム、還元麦芽糖およびエリスリトール等がある。好ましくは乳糖、コーンスターチ、D−マンニトール、結晶セルロースがあり、より好ましくは結晶セルロース、D−マンニトール、である。
賦形剤の配合量としては、1錠中に0〜95(w/w)%、好ましくは5〜75(w/w)%、より好ましくは7.5〜50(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、錠剤を形成する前の造粒加工が困難となり、多ければ相対的に薬物含量が低下して錠剤のサイズが大きくなりすぎる恐れがある。
崩壊剤としては、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。例えば、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)、クロスカルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン等がある。好ましくは、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースカルシウムであり、より好ましくはカルメロースカルシウムである。
崩壊剤の配合量としては、1錠中に0〜20(w/w)%、好ましくは1〜10(w/w)%、より好ましくは2〜6(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、水中に錠剤をいれたときの錠剤の崩壊時間が極端に遅くなり、多ければ充分な硬度を有する錠剤を形成できない恐れがある。
錠剤製造時において、一旦、薬物を含有する混合末に結合剤の水溶液を添加し、湿式造粒法(押出し造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法等)によって湿式造粒顆粒を製し、これを打錠用顆粒とする。湿式造粒時の結合剤としては、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。湿式造粒時の結合剤としては、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチ、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム等がある。好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである。
結合剤の配合量としては、1錠中に0.25〜10(w/w)%、好ましくは0.5〜5(w/w)%、、より好ましくは1〜3(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、湿式造粒時に成長した造粒物が得られ難く、微粉末が多いため流動性が悪く、打錠時の重量変動が大きく成り易い、多ければ水中での錠剤の崩壊時間が極端に遅くなる恐れがある。なお、当該湿式造粒法は、当該分野で周知な方法を幅広く使用することが可能である。
滑沢剤としては、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。例えば、ステアリン酸金属塩、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、より好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
滑沢剤の配合量としては、錠剤内部に滑沢剤を含有する内部滑沢法による錠剤の場合、1錠中に0.25〜6(w/w)%、好ましくは0.5〜3(w/w)%、、より好ましくは1〜2(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、錠剤形成時にスティッキングの発生の恐れがありし、多ければ、錠剤硬度の低下や水中における錠剤の崩壊時間が遅延する恐れがある。
安定化剤としては、当該分野で周知なものを幅広く使用することが可能である。特に、上述したように、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを混合した錠剤について経時安定性試験をした場合、ビタミンB1誘導体の残存率が低下するので、ビタミンB1誘導体の残存率低下を防止する物質であればよい。例えば、アミノ酸塩、好ましくはアミノ酸塩酸塩またはアミノ酸硫酸塩、より好ましくはL−グルタミン酸塩酸塩、L−システイン塩酸塩およびグリシン塩酸塩、特に好ましくはL−グルタミン酸塩酸塩である。
安定化剤の配合量としては、安定化剤のpHが酸性(pH1〜3)となるような配合量であればよい。具体的には、1錠中に0.001〜5(w/w)%、好ましくは0.005〜2.5(w/w)%、より好ましくは0.01〜1.5(w/w)%である。特に、L−グルタミン酸塩酸塩の場合、1錠中に0.05〜5(w/w)%、好ましくは0.2〜2.5(w/w)%、より好ましくは0.5〜1.5(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、ビタミンB1誘導体を安定化できない恐れがあり、多ければpHが高まり、薬物の分解を促進する可能性がある。なお、アミノ酸と塩酸のように、個別にアミノ酸と酸を添加してもよい。
錠剤を設計するにおいて、錠剤中を多層に分ける、いわゆる多層錠剤であれば、一方の層にアセトアミノフェン、他方の層にビタミンB1誘導体を含有させ、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて打錠し、特に安定化剤を含有しなくても、ビタミンB1誘導体残存率低下を抑制できる。多層に分けるとは、錠剤を二層またはそれ以上の層にしたものである。薬剤によっては安定化剤を配合してもよい場合がある。当然ながら賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤および安定化剤は、前記のものを使用できる。
錠剤の製造法としては、当該分野で周知な方法を幅広く使用することが可能である。例えば、1)錠剤に配合する薬物および添加剤を直接打錠する直接粉末圧縮法、2)薬物および添加剤を圧縮固化し、固化した成形物を適当な粒度分布に破砕して、顆粒(打錠用顆粒)を製造後、この顆粒を打錠する乾式顆粒圧縮法、3)薬物および添加剤を湿式造粒して顆粒(打錠用顆粒)を製造後、この顆粒を打錠する湿式顆粒圧縮法がある。この中で好ましくは湿式顆粒打錠法である。湿式造粒の方法としては、押し出し造粒法、転動造粒法、湿式破砕造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等があるが、好ましくは流動層造粒法である。前述した多層錠剤の場合も、同様に製造することができる。
錠剤を打錠する機械としては、単発打錠機、ロータリー打錠機があるが、好ましくはロータリー打錠機である。
また、従来の錠剤は、賦形剤、崩壊剤、結合剤および/または安定化剤を混合し、一旦顆粒剤を製造した後、この顆粒剤と滑沢剤を混合し、打錠するという内部滑沢法で錠剤を製造していた。しかしながら、前述したように、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを混合し、錠剤を製造する内部滑沢法で製造した錠剤を経時安定性試験に供した場合、ビタミンB1誘導体の残存率が低下する。一方、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムの配合量を減少すれば、ビタミンB1誘導体の残存率の低下を抑制できるが、滑沢剤の配合量を減少させた場合、錠剤において打錠障害を生じる。
そこで、微量の滑沢剤を杵・臼表面に直接付着させて打錠できる外部滑沢法によって錠剤を製造した場合、ビタミンB1誘導体の残存率の低下を抑制し、打錠障害が生じないことが明らかとなった。
外部滑沢法で製造した錠剤において、滑沢剤の配合量は、1錠あたり0.2(w/w)%以下、好ましくは0.01〜0.15(w/w)%、より好ましくは0.02〜0.1(w/w)%である。この配合量よりも少なければ、錠剤形成時にスティッキングの発生の恐れがあり、多ければ、ビタミンB1誘導体の分解が促進する可能性がある。
外部滑沢法で錠剤を製造する場合、一般的なロータリー式打錠機に外部滑沢噴霧装置を組み込んだ装置を用い、錠剤を製造することができる。外部滑沢噴霧装置としては例えば、菊水製作所から発売されているELS-P1-TypeIIIがある。
本発明の解熱鎮痛製剤は、頭痛、歯痛、抜歯の疼痛、生理痛の頭痛および悪寒、発熱時の解熱に対して有効である。投与量は、最大成人1日量として、アセトアミノフェンは1500mg、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類は25mgであり、投与方法は経口投与である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
A.ビタミンB1誘導体、アセトアミノフェン、ステアリン酸マグネシウムを混合した場合のビタミンB1誘導体の残存率(予備試験)
1.原料および実験方法
1)原料
薬物として、ビタミンB1誘導体である塩酸ジセチアミンとアセトアミノフェンを、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いた。
2)試料調製法
塩酸ジセチアミン、アセトアミノフェンおよびステアリン酸マグネシウムを重量比1:1:1で混合し、試料とした。
3)経時安定性試験法
60℃、相対湿度75%下において、2週間保存した。保存後、塩酸ジセチアミンの含量を測定した。

4)含量測定法
本供試試料を100mLのメスフラスコに入れる。これに蒸留水約30mLを加えて37℃で約30分間激しく振とうした。これにメタノール約50mLを加え、液温が室温になるまで、底に内容物が固着しないようメスフラスコを時々転倒混和した。さらにメタノールを加え正確に100mLとし、この液1mLを正確に量り、内標準溶液1mLを正確に加え、メタノール/0.01M ジブチルアミンリン酸緩衝混液(18/82)を加えて正確に25mLとした。この液約5mLを孔径0.45μmのメンブランフィルター(HLC-DISK 13水系、関東化学)でろ過し、初流約2mLを捨て、次のろ液を試料溶液とした。別に以下のように標準品を用いて標準溶液を調製した。塩酸ジセチアミン約0.04gを精密に量り、100mLのメスフラスコに移し、メタノール/蒸留水混液(70/30)を加えて正確に100mLとし、この液を(A)液とした。また、アセトアミノフェンを約0.08g精密に量り、100mLのメスフラスコに移し、(A)液10mLを正確に加え、メタノール/蒸留水混液(70/30)を加えて正確に100mLとした。この液1mLを正確に量り、内標準溶液1mLを正確に加え、メタノール/0.01Mジブチルアミンリン酸緩衝混液(18/82)を加えて正確に25mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液40μLを注入して、以下に示した条件の液体クロマトグラフ法により、それぞれのピーク面積を測定した。
試料中に含まれる薬物量は以下の式により求める。

Figure 0004573542

At:試料溶液の内標準物質に対する有効成分のピーク面積比
As:標準溶液の内標準物質に対する有効成分のピーク面積比
Ws:標準溶液を調製した時の薬物の秤取量(mg)

(1)HPLC条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm及び254nm )
カラム:Symmetry ShieldTM RP18(3.5μm), 4.6mmφ×100mm(Waters製)
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:下記のタイムテーブルに従った0.01Mジブチルアミンリン酸緩衝液 /メタノールの混液







Figure 0004573542
(2)流量:0.9mL/分
(3)保持時間:
アセトアミノフェン:約3.0分
塩酸ジセチアミン:約7.7分
内標準物質(フェナセチン):約11.6分
(4)含量計算

Figure 0004573542

2.実験結果
経時保存後の供試した試料中の塩酸ジセチアミンの残存率を表2に示す。

Figure 0004573542

以上の結果から、塩酸ジセチアミン、アセトアミノフェンおよびステアリン酸マグネシウムを混合した場合、塩酸ジセチアミンは顕著に含量低下し、アセトアミノフェンと塩酸ジセチアミンあるいは塩酸ジセチアミンとステアリン酸マグネシウムを混合した系において、塩酸ジセチアミンは比較的安定であることが明らかとなった。
B.アミノ酸塩を添加した場合の塩酸ジセチアミンの安定性(1)
1.原料および実験方法
1)原料
薬物として、アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体である塩酸ジセチアミンを用いた。安定化剤として、グリシン、グリシン塩酸塩、L−システイン、L−システイン塩酸塩、クエン酸、塩化アンモニウム、L−グルタミン酸塩酸塩を用いた。

2)試料調製法
塩酸ジセチアミン、アセトアミノフェン、ステアリン酸マグネシウ及び安定化剤を重量比1:1:1:1で混合し、試料とした。

3)経時安定性試験法
60℃、相対湿度75%下において、2週間保存した。保存後、塩酸ジセチアミンの含量を測定した。

4)含量測定法
実施例1と同様の方法でおこなった。

2.実験結果
経時安定性試験後(保存条件:60℃、相対湿度75%、2週間保存)において、供試した試料中の塩酸ジセチアミンの残存率を表3に示す。

Figure 0004573542

以上の結果から、塩酸ジセチアミン、アセトアミノフェンおよびステアリン酸マグネシウムおよびアミノ酸塩酸塩であるグリシン塩酸塩を混合した場合、塩酸ジセチアミンの残存率は90%以上あり、他の安定化剤を添加した場合に比べ、塩酸ジセチアミンの残存率が高まった。
C.アミノ酸塩を添加した場合の塩酸ジセチアミンの安定性(2)
1.原料および実験方法
1)原料
表4に示す処方の原料を用いた。薬物として、エテンザミド、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、ビタミンB1誘導体である塩酸ジセチアミンを用いた。また、添加剤として結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(以下「カルメロースカルシウム」と略す。)、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC−SL」と略す。)、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを用いた。安定化剤としグリシン、グリシン塩酸塩、L−システイン、L−システイン塩酸塩、クエン酸、塩化アンモニウム、L−グルタミン酸塩酸塩を用いた。

Figure 0004573542
2)錠剤製造法
エテンザミド、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、カルメロースカルシウムおよび結晶セルロースを混合し、これに塩酸ジセチアミン、安定化剤、HPC−SLを溶解した水溶液を流動層造粒機内で噴霧して造粒、乾燥した後、調粒して造粒顆粒を得た(造粒条件は表5)。
前記造粒顆粒、カルメロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、表6の条件で打錠操作をおこなった。

Figure 0004573542
Figure 0004573542
3)経時安定性試験法
40℃、相対湿度75%下において、6ヶ月間保存した。保存後、塩酸ジセチアミンの含量を測定した。

4)含量測定法
本品1錠を100mLのメスフラスコに入れる。これに蒸留水約30mLを加えて37℃で約30分間激しく振とうした。これにメタノール約50mLを加え、液温が室温になるまで、底に内容物が固着しないようメスフラスコを時々転倒混和した。さらにメタノールを加え正確に100mLとし、この液1mLを正確に量り、内標準溶液1mLを正確に加え、メタノール/0.01M ジブチルアミンリン酸緩衝混液(18/82)を加えて正確に25mLとした。この液約5mLを孔径0.45μmのメンブランフィルター(HLC-DISK 13水系、関東化学)でろ過し、初流約2mLを捨て、次のろ液を試料溶液とした。別に以下のように標準品を用いて標準溶液を調製した。塩酸ジセチアミン約0.04gを精密に量り、100mLのメスフラスコに移し、メタノール/蒸留水混液(70/30)を加えて正確に100mLとし、この液を(A)液とした。また、エテンザミドを約0.20g、アセトアミノフェンを約0.08g、アリルイソプロピルアセチル尿素を約0.03g、無水カフェインを約0.04g精密に量り、100mLのメスフラスコに移し、(A)液10mLを正確に加え、メタノール/蒸留水混液(70/30)を加えて正確に100mLとした。この液1mLを正確に量り、内標準溶液1mLを正確に加え、メタノール/0.01Mジブチルアミンリン酸緩衝混液(18/82)を加えて正確に25mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液40μLを注入して、以下に示した条件の液体クロマトグラフ法により、それぞれのピーク面積を測定した。

1錠中に含まれる薬物量は以下の式により求める。

Figure 0004573542

At:試料溶液の内標準物質に対する有効成分のピーク面積比
As:標準溶液の内標準物質に対する有効成分のピーク面積比
Ws:標準品の秤取量(mg)
(1)HPLC条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm及び254nm )
カラム:Symmetry ShieldTM RP18(3.5μm), 4.6mmφ×100mm(Waters製)
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:下記表7のタイムテーブルに従った0.01M D/メタノールの混液

Figure 0004573542
(2)流量:アリルイソプロピルアセチル尿素の保持時間が約17.8分になるように調整した。(通常0.9mL/分)
(3)保持時間:
アセトアミノフェン:約3.0分
無水カフェイン:約4.6分
塩酸ジセチアミン:約7.7分
エテンザミド:約9.7分
内標準物質(フェナセチン):約11.6分
アリルイソプロピルアセチル尿素:約17.8分
(4)含量計算
Figure 0004573542

2.実験結果
添加剤をL−グルタミン酸塩酸塩とし、40℃、相対湿度75%、6ヶ月で保存した経時安定性試験において、供試した試料中の塩酸ジセチアミンの残存率を表8に示す。

Figure 0004573542
実施例2と実施例3の結果、グリシン塩酸塩、L−システイン塩酸塩またはL−グルタミン酸塩酸塩を錠剤中に添加した場合、塩酸ジセチアミンの残存率低下は抑制された。
D.二層錠剤にした場合の塩酸ジセチアミンの安定性
1.原料および実験方法
1)原料
表9に示す処方の原料を用いた。薬物として、エテンザミド、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、ビタミンB1誘導体である塩酸ジセチアミンを用いた。また、添加剤として結晶セルロース、、D−マンニトール、カルメロースカルシウム、HPC−SL、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを用いた。

Figure 0004573542
2)錠剤製造法
エテンザミドおよびD−マンニトールを混合し、これに塩酸ジセチアミン、HPC−SLを溶解した水溶液を流動層造粒機内で噴霧して造粒、乾燥した後、調粒して造粒顆粒を得た(造粒条件は表3と同様)。この造粒顆粒にカルメロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウムを添加、混合して打錠用顆粒を製造した(以下「E顆粒」と略す)。
一方、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、結晶セルロースおよびカルメロースカルシウムを混合し、これにHPC−SLを溶解した水溶液を流動層造粒機内で噴霧して造粒、乾燥した後、調粒して造粒顆粒を得た(造粒条件は表5と同様)。この造粒顆粒にカルメロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウムを添加、混合して打錠用顆粒を製造した(以下「A顆粒」と略す)。
まず、下層としてE顆粒を臼に充填し、打錠圧約20kgで成型し、この上にA顆粒を上層として積層した後、打錠圧410kgで圧縮打錠することにより、二層錠剤を製造した。なお、錠剤は、10.5mmダブルR面の杵を用い、静的圧縮機で簡易的に圧縮成型して製造した。

3)経時安定性試験法(保存条件:40℃、相対湿度75%、6ヶ月保存)、含量測定法は、実施例1、2と同様である。

2.実験結果
経時安定性試験後の塩酸ジセチアミンの残存率を表10に示す。

Figure 0004573542
以上の結果から、二層錠剤にした場合、塩酸ジセチアミンの残存率の低下が抑制されることが明らかとなった。
E.滑沢剤を低減した場合の塩酸ジセチアミンの安定性
1.原料および実験方法
1)原料、経時安定性試験法(保存条件:40℃、相対湿度75%、0〜6ヶ月保存)、含量測定法は、実施例1、2と同様である。なお、錠剤の処方を、表11に示す。

Figure 0004573542
2)錠剤製造法
エテンザミド、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、カルメロースカルシウムおよび結晶セルロースを混合し、これに塩酸ジセチアミン、HPC−SLを溶解した水溶液を流動層造粒機内で噴霧して造粒、乾燥した後、調粒して造粒顆粒を得た(造粒条件は表5と同様)。
外部滑沢法の場合には、前記造粒顆粒にカルメロースカルシウムを混合し、表12の条件で打錠操作をおこなった。
内部滑沢法の場合には、前記造粒顆粒にカルメロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、表5の条件で打錠操作をおこなった。

Figure 0004573542

3)打錠障害の観察
錠剤製造後、打錠障害(スティッキングの有無等)を目視で観察した。

2.実験結果
1)打錠障害の有無
打錠障害の有無を表13に示す。その結果、内部滑沢法において滑沢剤の配合量が2.0mg以下であると、打錠障害が生じた(スティッキング)。一方、外部滑沢法においては、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムの配合量を低減しても、打錠障害は生じなかった。

Figure 0004573542

2)塩酸ジセチアミンの残存率
打錠障害が生じなかった錠剤A〜C、Fについて、40℃、相対湿度75%で0〜6月間保存し、塩酸ジセチアミン残存率の経時変化について図1に示す。その結果、内部滑沢法による錠剤(ステアリン酸マグネシウム 4mg)にくらべ、外部滑沢法による錠剤中(ステアリン酸マグネシウム 0.08〜0.21mg)の塩酸ジセチアミンの残存率は高かった。
外部滑沢法、内部滑沢法によって製造した錠剤中における塩酸ジセチアミンの残存率の経時変化

Claims (6)

  1. アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体、ステアリン酸マグネシウムおよびアミノ酸塩を含有し、ビタミンB1誘導体が硝酸チアミン、ジベンゾイルチアミン、オクトチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、塩酸ジセチアミンおよび塩酸チアミンから選択される1または2以上であり、アミノ酸塩がL−グルタミン酸塩酸塩、グリシン塩酸塩およびL−システイン塩酸塩から選択される1または2以上であることを特徴とする固形製剤。
  2. ビタミンB1誘導体が塩酸ジセチアミンであり、アミノ酸塩がL−グルタミン酸塩酸塩、グリシン塩酸塩およびL−システイン塩酸塩から選択される1または2以上である請求項1記載の固形製剤。
  3. 請求項1または2記載の固形製剤が、錠剤、顆粒剤および散剤から選択される1の製剤であることを特徴とする固形製剤。
  4. 請求項1または2記載の固形製剤が、錠剤であることを特徴とする固形製剤。
  5. アセトアミノフェン、ビタミンB1誘導体およびステアリン酸マグネシウムを含有し、1錠あたりのステアリン酸マグネシウムの配合割合が0.01〜0.15(w/w)%であり、ビタミンB1誘導体が硝酸チアミン、ジベンゾイルチアミン、オクトチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、塩酸ジセチアミンおよび塩酸チアミンから選択される1または2以上であり、外部滑沢法で製造することを特徴とする錠剤。
  6. ビタミンB1誘導体が塩酸ジセチアミンである請求項5記載の錠剤。
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