JP4573442B2 - 電子部品キャリア用ボトムカバーテープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチップ型電子部品の搬送用に使用される電子部品キャリア用ボトムカバーテープに関し、より詳細には、キャリアテープに対する接着性に優れ、かつ帯電防止性も良好であり、さらに、チップ型電子部品の付着防止性および腐食防止性に優れている電子部品キャリア用ボトムカバーテープに関する。
【0002】
【従来の技術】
チップ固定抵抗器、積層セラミックコンデンサ等のチップ型電子部品(チップ部品)などの電子部品の搬送形態としては、テープ状厚紙の長さ方向に一定の間隔でチップ型電子部品収納用打抜き角穴を形成した紙キャリア(キャリアテープ)の下面をボトムカバーテープで熱シール(テーピング)して収納用ポケットを作製し、その直後にチップ型電子部品を前記収納用ポケットに挿入し、前記紙キャリアの上面をトップカバーテープで熱シールしてチップ型電子部品を封入した後、リール状に巻取られ搬送されるという一連のテーピングリール方式が広く利用されている。そして、搬送先の回路基板等の作製工程においては、トップカバーテープを剥離後、収納されたチップ型電子部品をエアーノズルで自動的に吸着して基板上に供給する自動組入れシステムが主流となっている。
【0003】
このような自動組み入れシステムでは、キャリアテープにボトムカバーテープを接着させて用いており、ボトムカバーテープはキャリアテープに対して良好な接着性を有することが重要である。
【0004】
特に、近年、チップ部品がエアーノズルで吸着できない現象が発生し、吸着率の低下が問題となっている。この要因としては、チップ部品のさらなる小型化や軽量化に伴い、ボトムカバーテープの静電気発生によるチップ部品の接着剤層面への付着、チップ部品がエアーノズルで押しつけられることによるチップ部品の接着剤層面への付着、ボトムカバーテープのテーピング後から収納用ポケットへのチップ部品の挿入までの時間短縮化のための接着剤層の冷却不十分によるチップ部品の接着剤層への付着などが考えられる。
【0005】
また、このような懸念事項が生じているなかで、ボトムカバーテープによりチップ部品が腐食されることも重要な問題として生じており、チップ部品の腐食を抑制又は防止することができ、チップ部品に対する信頼性に優れているボトムカバーテープが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、キャリアテープに対する接着性に優れると共に、高い帯電防止性を示し、且つチップ部品の付着防止性及び腐食防止性に優れている電子部品キャリア用ボトムカバーテープを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、電子部品キャリア用ボトムカバーテープにおいて、支持基材層上に設ける接着剤層を特定の樹脂組成物で構成すると、キャリアテープに対する接着性、帯電防止性、チップ部品の付着防止性、およびチップ部品の腐食防止性の何れをも充足できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、支持基材層と、ベースポリマー100重量部に対して、脂環族飽和炭化水素系樹脂1〜50重量部、および、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいない両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤0.1〜20重量部を含有する接着剤層とを有し、接着剤層の表面粗さが0.1〜20μmであることを特徴とする電子部品キャリア用ボトムカバーテープを提供する。
なお、本明細書では、上記発明のほか、支持基材層と、ベースポリマー100重量部に対して、脂環族飽和炭化水素系樹脂1〜50重量部、および、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいない両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤0.1〜20重量部を含有する接着剤層とを有していることを特徴とする電子部品キャリア用ボトムカバーテープ、についても説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の電子部品キャリア用ボトムカバーテープの一例を示す概略断面図である。図1において、1はボトムカバーテープ、2は支持基材層、3は接着剤層である。このボトムカバーテープ1は、支持基材層2と、該支持基材層2上に設けられた接着剤層3とで構成されている。
【0010】
(支持基材層2)
支持基材層2を構成する支持基材としては、自己支持性を有するものであればよく、例えば、和紙、薄葉紙、クレープ紙、合成紙、混抄紙、複合紙などの紙;不織布、布;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酸共重合樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリプロピレン変性樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル等の熱可塑性樹脂で構成されたプラスチックフィルム又はシート;銅、アルミニウムなどの金属で構成された金属箔又は薄板;これらの積層体などが挙げられる。
【0011】
前記支持基材2は、融点が90℃以上であるのが好ましい。融点が90℃未満の場合には、例えば金属製アイロンなどを用いて熱圧着によりテーピングを行う際に、支持基材が溶融してアイロンなどに付着し、本来のカバーという目的を達成できなくなる恐れがある。
【0012】
支持基材層2の表面(接着剤層3とは反対側の面)は、慣用の表面処理、易滑処理、帯電防止処理などが施されていてもよい。また、支持基材層2のうち、接着剤層3側の面には、オゾン処理、コロナ処理などの投錨性を向上するための処理が施されていてもよく、特に支持基材がプラスチックフィルムの場合はアンカーコート剤塗布による投錨性向上手段が採られていてもよい。
【0013】
支持基材層2の厚みは、機械的強度、ハンドリング性などが損なわれない範囲で用途に応じて広い範囲で選択できるが、一般には5〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度である。
【0014】
(接着剤層3)
接着剤層3は、熱可塑性接着剤で構成されている。該熱可塑性接着剤は、ベースポリマーと、脂環族飽和炭化水素系樹脂と、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいない両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤とを少なくとも含有している。より具体的には、熱可塑性接着剤は、ベースポリマー100重量部に対して、脂環族飽和炭化水素系樹脂1〜50重量部、および、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいない両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤0.1〜20重量部を少なくとも含有している。
【0015】
(ベースポリマー)
ベースポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを使用できる。これらのベースポリマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
前記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒法ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合樹脂などのポリオレフィン;エチレン共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体;アイオノマー;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−ビニルアルコール共重合体など);ポリプロピレン変性樹脂などが挙げられる。
【0017】
酢酸ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0018】
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)、SEP(スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体)などのスチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系ブロックコポリマー;例えばスチレン含有量5重量%以上のスチレン系ブロックコポリマー);ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)とのポリマーブレンドなどのブレンド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0019】
(脂環族飽和炭化水素系樹脂)
脂環族飽和炭化水素系樹脂としては、例えば、芳香族石油樹脂(例えば、C9系石油樹脂)を完全水添した樹脂(「脂環族飽和石油樹脂」と称する場合がある)などを用いることができる。具体的には、商品名「ESCOREZ5300」、商品名「ESCOREZ5380」(以上、トーエネックス株式会社製)などが挙げられる。
【0020】
脂環族飽和炭化水素系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。なお、接着剤層3を押出しラミネートにより形成する場合には高温で溶融化されるので、酸化に対する安定性の点から、脂環族飽和石油樹脂が特に好ましい。
【0021】
脂環族飽和炭化水素系樹脂を粘着付与樹脂として接着剤層3に含有させることにより、テーピング作業性が向上するとともに、キャリアテープに対して安定かつ良好な接着力を発揮させることができる。
【0022】
脂環族飽和炭化水素系樹脂の配合量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部程度である。脂環族飽和炭化水素系樹脂の配合量が、ベースポリマー100重量部に対して1重量部未満の場合には、例えば支持基材2として紙を用いた際、溶融した接着剤組成物が該紙基材2と接着せず(投錨性が得られず)、単なる押出しラミネートではなく、共押出し又はタンデム押出しラミネート等により中間層を設ける必要が生じる。また、キャリアテープ(紙キャリア)との接着性が得られにくくなる。
【0023】
一方、脂環族飽和炭化水素系樹脂の配合量が、ベースポリマー100重量部に対して50重量部を超えると、成膜加工時において、押出し直後に、接着剤層3とこの接着剤層3に接する金属ロールとの間にブロッキングが発生し、安定生産ができなくなる恐れがある。また、チップ部品が接着剤層23に付着して、回路基板作製工程においてエアーノズル吸着不良が発生しやすくなる。
【0024】
(両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤)
粘着剤層3に含まれる両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤としては、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいないものを用いている。このように、両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤からなる界面活性剤として、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含まないものを用いることにより、チップ部品の電極の腐食を防止することができる。
【0025】
なお、ハロゲン原子を含有する界面活性剤では、ハロゲン原子は、ハロゲンイオン(塩素イオンなど)の形態で含まれている場合が多い。また、イオウ原子を含有する界面活性剤では、イオウ原子は、硫酸イオンの形態で含まれている場合が多い。これらのハロゲンイオン(塩素イオンなど)や硫酸イオンのために、チップ部品の電極である金属が腐食される。しかしながら、本発明のボトムカバーテープでは、帯電防止剤としての界面活性剤において、ハロゲン原子やイオウ原子を有していないので、特に、ハロゲン原子やイオウ原子をそれぞれハロゲンイオンや硫酸イオンなどのイオンの形態で有していないので、チップ部品の電極を腐食することがない。
【0026】
両性系界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、N,N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0027】
また、非イオン系界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
【0028】
両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0029】
界面活性剤(両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤)の配合量は、有効成分換算又は固形分換算で、ベースポリマー100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。界面活性剤の配合量が、ベースポリマー100重量部に対して0.1重量部未満の場合には、帯電防止性が低下し、静電気によりチップ部品が接着剤層面に付着し、充分な帯電防止効果が得られない場合がある。具体的には、界面活性剤の配合量が、ベースポリマー100重量部に対して0.1重量部未満の場合には、接着剤層の表面の抵抗率が1×1013Ω/□を越え、また、接着剤層の摩擦帯電性が3000Vを越える場合がある。一方、界面活性剤の配合量が、ベースポリマー100重量部に対して20重量部を越える場合には、接着剤層の表面又は界面に、界面活性剤がブリードアウトして、被着体(キャリアテープ)への接着強度が充分に得られず、また、支持基材層2への密着強度が不十分となり、接着剤層3と支持基材層2との界面破壊が生じる場合がある。
【0030】
本発明では、粘着剤層3には、充填剤、酸化防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、防錆剤、カップリング剤、前記以外の帯電防止剤、架橋剤などの添加剤が添加されていてもよい。
【0031】
接着剤層3の厚みは、接着性やハンドリング性などが損なわれない範囲で適宜選択できるが、一般には5〜50μm程度である。接着剤層3の厚みが5μm未満であると、キャリアテープ(被着体)との接着強度が低下し、また加工性が困難になる。一方、50μmを越えると、ボトムカバーテープの総厚みが大きくなり、特に、長尺巻きの場合に重量増加によるハンドリング性の低下や、生産効率の低下などの問題が生じるようになる。
【0032】
本発明では、接着剤層3の軟化点は60〜170℃(好ましくは70〜150℃)程度であることが好ましい。該軟化点が60℃未満では、チップ部品が封入された電子部品搬送体において、高温、高湿度環境下に長期間晒された場合に、チップ部品が接着剤層3に付着又は接着される場合がある。また、接着剤層3の軟化点が170℃を越えると、成膜加工時の温度が高温になり、熱シール(テーピング)作業性が低下し、また、接着剤層3に含まれる界面活性剤(両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤)が気化し、帯電防止効果が低減するようになる。
【0033】
なお、接着剤層3の軟化点は、接着剤層3を構成するベースポリマー(熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなど)の種類などを適宜選択することにより調整することができる。
【0034】
また、接着剤層3の表面抵抗率は、108〜1013Ω/□(好ましくは108〜1012Ω/□)であることが好ましい。接着剤層3の表面抵抗率は、接着剤層3を構成する樹脂、界面活性剤(帯電防止剤)等の添加剤などの種類やその配合割合などを適宜選択することにより調整することができる。
【0035】
接着剤層3の摩擦帯電率は、3000V以下(特に1000V以下)であるのが好適である。該摩擦帯電圧は、接着剤層3の熱可塑性接着剤の種類や、該層の厚みなどを適宜選択することにより調整することができる。
【0036】
本発明では、接着剤層3の表面粗さ(平均粗さRa)は、0.1〜20μm(好ましくは1〜18μm)であることが好適である。該表面粗さが0.1μm未満であると、チップ部品との接触面積が増大し、チップ部品の付着性が高まり、チップ部品が接着剤層3に付着しやすくなる。一方、接着剤層3の表面粗さが20μmを越えると、成膜加工時の膜われや、キャリアテープ(被着体)に対する接着強度の低下などの問題が生じる場合がある。
【0037】
本発明では、支持基材層2と接着剤層3との間に、両層の密着性を高めるために中間層を設けることもできる。この中間層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムなどで構成できる。前記オレフィン系樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。これらの中間層を構成する成分は単独で又は2種以上混合して使用できる。中間層の厚みは、ボトムカバーテープの取扱性などが損なわれない範囲で適当に選択でき、例えば0〜40μm程度である。なお、中間層は必ずしも設ける必要はない。
【0038】
本発明のボトムカバーテープ1は、例えば、接着剤層3の構成成分を所定の配合割合に2軸混錬機でメルトブレンドしてペレット化したもの、又はドライブレンドしたものを慣用のシングル又はタンデム押出しラミネート法により、支持基材層2上に、中間層を介し又は介さずに、ラミネートすることにより製造できる。また、接着剤層3と中間層とを支持基材層2上に共押出しラミネートにより積層して製造することもできる。
【0039】
図2は図1に示したボトムカバーテープ1を用いたチップ型電子部品用キャリア材の使用状態を示す長さ方向の概略断面図である。チップ型電子部品用キャリア材(キャリア材)4は、チップ型電子部品収納用打ち抜き角穴7が長さ方向に一定の間隔で形成されたキャリアテープ5と、キャリアテープ5の下面に設けられるボトムカバーテープ1と、キャリアテープ5の上面に設けられるトップカバーテープ6とで構成される。このキャリア材4は、キャリアテープ5の下面をボトムカバーテープ1で熱シールすることにより形成される収納用ポケットにチップ型電子部品8を挿入し、キャリアテープ5の上面をトップカバーテープ6で熱シールした後、リール状に巻き取られ搬送される。
【0040】
この際、ボトムカバーテープ1の接着剤層3が、ベースポリマーと、特定の粘着付与剤と、特定の帯電防止剤(界面活性剤)とが特定の割合で含まれている樹脂組成物で構成されているので、ボトムカバーテープ1とキャリアテープ5とが強固に接着し、搬送中にボトムカバーテープ1が剥がれてチップ部品8が落下することがない。
【0041】
また、ボトムカバーテープ1は、帯電防止性に優れており、チップ部品の付着防止性も優れている。具体的には、静電気によるボトムカバーテープ1の接着剤層3の表面へのチップ部品8の付着を抑制又は防止することができると共に、チップ部品の収納又は封入後の保存時においても、チップ部品8が接着剤層3の表面に付着又は融着するのを抑制又は防止することができる。
【0042】
このため、自動組入れシステムにおけるエアーノズルのチップ部品吸着率が著しく向上し、チップ部品を確実に取り出して、基板上に供給できる。
【0043】
しかも、接着剤層3にはチップ部品を腐食させる成分(塩素イオンなどのハロゲンイオンや、硫酸イオンなどのイオウ化合物など)が含まれておらず、チップ部品8の腐食を抑制又は防止することができ、チップ部品の腐食防止性が優れている。従って、電子部品搬送体として実装、保管時の信頼性を高めることができる。
【0044】
こうして得られるボトムカバーテープは、チップ固定抵抗器などの抵抗器、積層セラミックコンデンサなどのチップ型電子部品を搬送する際に用いられるボトムカバーテープとして好適に使用できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のボトムカバーテープは、接着剤層が特定の成分により構成されているので、キャリアテープに対する熱接着性に優れている。また、高い帯電防止性を発揮することができ、搬送中などにおいて、摩擦帯電圧が極めて低いため、静電気によるチップ部品の接着剤層表面への付着が抑制又は防止されており、チップ部品の付着防止性が優れている。さらに、ハロゲン原子やイオウ原子を有していない帯電防止剤を用いているので、チップ部品の電極への腐食がない。
従って、輸送時あるいは剥離時等における帯電によるチップ部品の付着やチップ部品の飛び出し、エアーノズルでチップ部品を押えることによる付着などの不具合が解消され、自動組入れシステムにおいてのエアーノズルの吸着ミスがなくなり、基板への円滑なチップ部品の供給が可能となる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0047】
実施例1
低密度ポリエチレン(LDPE)(ベースポリマー、商品名「LJ800」、三菱化学(株)製、密度0.918g/cm3、メルトフローレート(MFR)20g/10分、軟化点82℃)100重量部、脂環族炭化水素系樹脂(粘着付与樹脂、商品名「ESCOREZ5300」、トーエネックス(株)製)20重量部、及び非イオン系界面活性剤(帯電防止剤、商品名「ノニオンS−10」、日本油脂(株)製、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル)1.5重量部を2軸混練機にて、温度130℃で30分間混練りを行い、ペレット化した。次に、このペレットを用いて、押出しラミネーターにより、温度250℃にて成膜を行って、支持基材である和紙(厚み40μm、坪量19g/m2)にラミネートを行い、和紙上に膜厚25μmの接着剤層を積層して、積層テープ(ボトムカバーテープ)を得た。得られた積層テープは、総厚さが55μmであり、接着剤層の表面粗さRaが4μmであった。
【0048】
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)(ベースポリマー、商品名「LV140」、三菱化学(株)製、酢酸ビニル含有量2重量%、MFR1.5g/10分、軟化点87℃)100重量部、脂環族炭化水素系樹脂(粘着付与樹脂、商品名「ESCOREZ5380」、トーエネックス(株)製)10重量部、非イオン系界面活性剤(商品名「アイメックス300−LD」、三洋化成社製)5重量部を用いて、実施例1と同様にして、ペレット化を行った。次に、このペレットを用いて、押出しラミネーターにて、温度220℃にて成膜を行って、支持基材である和紙(厚み40μm、坪量18g/m2)にラミネートを行い、和紙上に膜厚20μmの接着剤層を積層して、総厚さが50μmである積層テープ(ボトムカバーテープ)を得た。その後、この積層テープを、接着剤層の表面粗さRaが15μmとなるようにサンドブラスト処理を行った。
【0049】
実施例3
低密度ポリエチレン(LDPE)(ベースポリマー、商品名「LJ800」、三菱化学(株)製、密度0.918g/cm3、メルトフローレート(MFR)20g/10分、軟化点82℃)100重量部、脂環族炭化水素系樹脂(粘着付与樹脂、商品名「ESCOREZ5300」、トーエネックス(株)製)20重量部、及びポリエチレングリコール(帯電防止剤、非イオン系界面活性剤)2重量部をバンバリーミキサーにて混練りを行い、ペレット化した。次に、このペレットを用いて、押出しラミネーターにより、温度250℃にて成膜を行って、支持基材である和紙(厚み25μm、坪量14g/m2)にラミネートを行い、和紙上に膜厚25μmの接着剤層を積層して、積層テープ(ボトムカバーテープ)を得た。得られた積層テープは、総厚さが50μmであり、接着剤層の表面粗さRaが3μmであった。
【0050】
比較例1
支持基材層である和紙(厚み40μm、坪量18g/m2)に、接着剤層として、低密度ポリエチレン(商品名「LJ800」、三菱化学(株)製、密度0.918g/cm3、MFR20g/10分、軟化点82℃)を、押出しラミネーターにてラミネートを行い、総厚さが55μmであり、接着剤層の表面粗さRaが0.05μmである積層テープを得た。
【0051】
比較例2
直鎖状低密度ポリエチレン(商品名「UF240」、三菱化学(株)製、密度0.923g/cm3、MFR2g/10分、軟化点85℃)100重量部に、第4級アンモニウム塩(カチオン系帯電防止剤)5重量部を添加して、ニーダーにて混練りを行い、押出しラミネーターにて、支持基材層である和紙(厚み35μm、坪量15g/m2)に押出しラミネートを行い、総厚さ50μmであり、接着剤層の表面粗さRaが0.5μmである積層テープを得た。
【0052】
評価試験
実施例及び比較例で得られた各積層テープにつき、以下の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0053】
(引張り強度及び伸度)
テンシロンにより、引張り速度300mm/分の条件で、引張強度(N/5.25mm)および伸度(N/5.25mm)を測定した。
【0054】
(接着力)
紙キャリア(北越製紙(株)製、HOCTO−60)の表面に、各積層テープを熱シール機(東京ウェルズ(株)製のテーピングマシーン)を用いて、170℃、アイロン押さえ力1.5kgf(14.7N)、1200PCS/minの条件で熱シールした後、剥離試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度約180°の条件で接着力(N/5.25mm)を測定した。
【0055】
(表面抵抗率)
各積層テープの表面抵抗率(Ω)を、高抵抗率計ハイレスタUP(三菱化学(株)製)を用い、23℃/65%RHの雰囲気下、500V×30秒の条件で測定した。
【0056】
(摩擦帯電圧)
JIS L 1094に準拠して、各積層テープの接着剤層側の摩擦帯電圧(V)を測定した。
【0057】
(腐食性)
各積層テープの接着剤層をニッケル箔(Ni箔)に熱圧着し、60℃/90%RHの雰囲気下で100時間保存した後、積層テープを剥がして、Ni箔の変色度合いを調べ、変色が全くないものを「○」とし、一部変色したものを「△」とし、完全に変色したものを「×」として評価した。
【0058】
(イオン抽出量)
各積層テープの接着剤層について、該接着剤層の材料としてのペレット0.5gを純水50mlに浸し、100℃で45分間、還流させながら煮沸して、イオン成分を抽出した。該抽出液を冷却後、イオンクロマトグラフィーにより、抽出液に含まれている塩素イオン(Cl-)および硫酸イオン(SO4 2-)について、その検出量(抽出量)(ppm)を求めた。なお、表1中、「ND」は「検出せず」を意味している。
【0059】
【表1】
【0060】
表1より、実施例に係るボトムカバーテープは、キャリアテープに対する接着性が良好である。また、摩擦帯電圧が低く、さらに接着剤層の表面抵抗率も低い。従って、帯電防止性が優れており、チップの付着を抑制又は防止することができる。しかも、チップ部品と接触する接着剤層には、塩素イオンや硫酸イオンが含まれておらず、Niを腐食しない。従って、腐食防止性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボトムカバーテープの一例を示す概略断面図である。
【図2】図1にかかるボトムカバーテープを用いたチップ型電子部品用キャリア材の使用状態を示す長さ方向の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ボトムカバーテープ
2 支持基材層
3 接着剤層
4 チップ型電子部品用キャリア材
5 キャリアテープ
6 トップカバーテープ
7 チップ型電子部品収納用打ち抜き角穴
8 チップ型電子部品
Claims (3)
- 支持基材層と、ベースポリマー100重量部に対して、脂環族飽和炭化水素系樹脂1〜50重量部、および、ハロゲン原子及び/又はイオウ原子を含んでいない両性系界面活性剤及び/又は非イオン系界面活性剤0.1〜20重量部を含有する接着剤層とを有し、接着剤層の表面粗さが0.1〜20μmであることを特徴とする電子部品キャリア用ボトムカバーテープ。
- 接着剤層の厚みが5〜50μmであり、接着剤層の軟化点が60〜170℃であり、接着剤層の表面抵抗率が108〜1013Ω/□である請求項1記載の電子部品キャリア用ボトムカバーテープ。
- 接着剤層の摩擦帯電圧が3000V以下である請求項1又は2記載の電子部品キャリア用ボトムカバーテープ。
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