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JP4573209B2 - ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組成的に均質な無機のガラス組成を有するガラス物品の製造方法に関する。
無機ガラスは、種々の特徴的な性質を有するが、その中でもガラスの光学的な各種機能や、微細加工を可能とする成形性等の利点のため、様々な用途に利用されてきた。例えば、液晶表示素子用板ガラスやプラズマディスプレイ用板ガラス等の各種画像表示素子用途の薄板ガラス、各種の光ファイバーやそれを取り巻く光関連製品用途のレンズ部品や画像伝達用として利用される固体撮像素子用のカバーガラス等の高い透光性を有する光部品用ガラス、各種半導体やPDP等画像表示素子の信頼性確保のため精細な構造物を構築する粉末ガラス、建材の外壁材用途の結晶化ガラスや泡含有ガラス建材等の大型の構造物にまで寸法の大小に関わらず利用される構造構築用ガラス部材等がその代表的なものである。
このような各種ガラス製品の製造については、その用途に必要とされる形状を正確に成形する必要性から、新しい成形方法や研磨法等の各種加工方法に関する技術開発が行われている。また、要求される機能に応じた適正な性質を絞り込むことによって実現されるガラス組成については、多数の改善、開発が重ねられてきており、それに伴って幾多の発明がなされてきている。そして、このようなガラス形状、ガラス組成等と同様に重要なものとして、製造されるガラスをどれだけ構造的に均質な状態にできるかという問題がある。
ガラスの均質度に関する尺度は、注目するガラス構造の寸法に依存するものであって、その寸法の大きさはガラスの用途や要求される品質によって異なる。そしてこの尺度は、学術的には大きく3段階に別れる。この内、原子配置の配位方向に依存して短距離秩序(あるいは短距離構造ともいう。)と称されるものが最も小さい尺度であって、次いでこの短距離秩序の組み合わせによって構成される中距離秩序、そしてこの中距離秩序よりさらに大きい長距離秩序と言えるものは、1nmを超える距離となっていく。短距離秩序や中距離秩序としてガラス構造を捉えれば、どのようなガラスも組成に依存した構造的な特徴を有しているため、構造的に均質な状態であるという概念では表現し難い。よって均質という概念が適用されるのは、中距離秩序を超えた1nmより大きい寸法を問題とする場合であって、構造としては無秩序であると一般に定義される寸法より大きい距離を把握する概念を意味するものである。また、これらの短、中距離構造で捉えられるガラスの構造は、ガラスの均質度を記述する上で重要ではあるが、ガラスを商業規模で大量生産する段階で重要となるのは、さらに大きいスケールで捉えねばならないような均質度である場合が多い。
例えば、このような商業規模の生産段階では、液相中に気相が存在する、いわゆるガラス中の泡の存在はガラスの均質度を著しく低下させる大きな要因となる。また、泡の問題を回避することができても、ガラス組成如何によっては、熱履歴によって溶融ガラスからの結晶の析出に伴う失透現象の発生する危険性や、ガラス相が2種以上の異なる組成を有する異種のガラス相になる。すなわち、分相するといった現象についても留意が必要となる。これらの均質度を阻害する要因と同じく重要であって、しかもガラスの機能を損なう原因となる危険の大きいものとして、脈理、ノット、スジ等と称されるガラス欠陥がある。これらは、ガラス組成物中の特定構成成分の偏りによって生じるガラス構造の長距離秩序における均質度の乱れである。
このような脈理やノット等のガラス中の不均質部位については、光学的に掌握することができるため、屈折率等を高い精度で計測することによって、ガラスの品位を表して光学的な均質さを定義づけることが行われてきた。例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、いずれもこのような光学的な屈折率をある特定の範囲内とすることによって、均質度が向上したとするものである。
特開平6−345442号公報 特開平10−265226号公報 特開2002−338255号公報
しかしながら、ガラスの光学的な均質度と、ガラスの組成の均質度とは必ずしも一致するものではない。例えば、ガラスの光学的な均質度を表す目安として使用されるガラスの屈折率は、加熱成形されたガラスの冷却条件を調節することで、その値を意図的に変更することができる。すなわち、対比される2つのガラスが異なるガラス組成を有するものであっても、冷却速度を適切に調節すれば、2つのガラスの屈折率を同じ値に変更することが可能であるし、また、対比される2つのガラスが同じ組成を有するものであっても、ガラスに恒常的に作用している応力を意図的に調整することによって、2つのガラスの屈折率を異なった値にすることが可能である。例えば市販されている光学ガラスの中には、同じ屈折率で異なる組成を有するものが現実に存在している。従って、対比される2つのガラスの屈折率のみを測定しても、ガラスの組成的な均質度を計測比較していることにはならず、光学的な均質性のみを評価しているにすぎない。
一方、高い化学的な耐久性に加えて精密な寸法精度等、複数の高水準の要求を満たす必要に迫られる各種の高性能ガラス製品については、製品間でガラスの組成が同じになるように管理することが求められる。例えば、エッチング処理等を施すことによってガラス表面に微細な表面形状を形成しようとすれば、ガラス表面は同じエッチング速度で浸食される必要がある。なぜならば、均質度の低下によってもたらされるガラス組成の微妙なずれは、単位時間当たりのエッチングによる表面の浸食量に影響を与え、精密な形状を実現するのを妨げる要因となってしまうからである。このような事態を避けるべく、組成として高いレベルの均質性を実現するために、前記の屈折率ばかりでなく複数の物理的な諸性質を高精度に計測して、化学的な分析方法で実現できるガラス組成の精密分析の限界を補完することが行われている。
また、溶融段階における均質な製造条件を確認する手段、あるいはガラス溶融炉の流れ特性を評価する1つの有力な方法として、トレーサー法が用いられる。この方法においては、ガラス原料中にガラス着色作用を有する酸化コバルト等の金属酸化物をトレーサーとして微量添加し、あるいは、着色を与えず微量で分析可能な酸化鉛をトレーサーとして混合し、それらトレーサーがガラス製品中へ経時的にどのように流出するのかを評価することによって、ガラス溶融炉内部における溶融ガラスの熱履歴や撹拌による混合度、すなわち均質度を検知できる。しかし、ガラス溶融炉は高温操業時の熱効率向上のためわずかの開口部しか設けられておらず、溶融炉内部の任意位置にある溶融ガラスにトレーサーを所定量含有させることは困難である。また、ガラス製品に不測の着色が発生し、あるいは、重元素が混入することによってガラスの物理的な性質の変化などが伴うため、あまり頻繁にトレーサー法を実施することができないという問題もある。
本発明者らは、溶融段階においてガラスを均質化できる製造条件を確立することを可能とし、製造されたガラスの組成的な均質度を的確に評価するものとしても採用することができ、ガラス製品等を着色することもないガラス組成物とそのガラス物品の製造方法を開発するという課題に取り組み、ここにその成果を提示するものである。
本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス原料を加熱して溶融する工程と、溶融ガラスを均質化する工程と、均質化した溶融ガラスを所定の形状に成形する工程、成形したガラス成形体を室温まで冷却する工程とを含むガラス物品の製造方法において、ガラス原料を加熱して溶融する工程及び溶融ガラスを均質化する工程のうち少なくとも一の工程において、ヘリウムガスを溶融ガラスと接触させることにより、ヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)が、大気中に存在するヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)よりも小さくなるように、ヘリウムをガラス物品中に含有させ、溶融ガラス、ガラス成形体あるいはガラス物品中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体と質量数3の同位体との体積比率を計測することによって均質度を評価しつつ溶融ガラスの溶融、均質化を行うことを特徴とする。
すなわち、複数の原料を混合して調製したガラス原料を加熱することによって溶融ガラスとし、その溶融ガラスに撹拌やバブリング等の物理的な混合操作等を加えて溶融ガラスの組成を均質化し、種々の成形法によって板、管、球又は容器等の所定の形状に成形した後に室温まで冷却する、一連のガラスの製造プロセスにおいて、ガラス原料の加熱によってガラス化反応をおこさせ、溶融状態とする溶融工程とその溶融ガラスの組成の均質化を行う上記の工程のうちのいずれかの工程において、ヘリウムを直接溶融ガラスと接触させ、ヘリウムの上記体積比率を大気中のヘリウムの上記体積比率、すなわち1.4×10-6(0℃、1atm)より小さくなるように、ヘリウムをガラス物品中に含有させ、溶融ガラス中に含有される 3 He/ 4 Heの値を計測することによって組成の均質度を評価しつつ溶融ガラスの溶融、均質化を行う
一般にヘリウム(He)は、希ガス、不活性ガスと呼称する分類が行われることもあり、その原子構造は、構造的に安定な閉殻構造を有しており、単原子分子として存在する。そして、このヘリウムは、希ガス元素の中でも最も軽い元素であって、その大きさは非常に小さく、Van der Waals力による引力が非常に小さく、絶対零度でも常圧では固体化することがなく液体を呈する成分である。
ヘリウム(He)については、質量数3から質量数8までの6種類の同位体が確認されているが、質量数4(陽子数2、中性子数2、電子数2)の同位体と質量数3(陽子数2、中性子数1、電子数2)の同位体以外は不安定であるため、一般によく知られているのは質量数4の同位体である4Heと質量数3の同位体である3Heの2種である。ここで、同位体とは、アイソトープ、同位元素、同位核種あるいは同位核等と呼称されることもあるが、陽子数(すなわち原子番号)が等しく、陽子数と中性数の和で定義付けられる元素の質量数の異なる核種のことである。大気中においては、質量数3の同位体(3He)は、質量数4の同位体(4He)に対して、70万分の1、すなわち、1.4×10-6(=1.4ppm)存在するだけである。本発明のガラス組成物に含有されるヘリウムについては、その3Heの4Heに対する体積比率(以降、この体積比率を3He/4Heと記す。)の値が大気中に存在するヘリウムの3He/4Heの値よりも小さい。このように、3He/4Heが大気中のヘリウムよりも小さいヘリウムをガラス物品中に含有させることによって、ガラス物品の製造工程において、大気中から溶融ガラス中に溶出したヘリウムと明確に区別することが可能となる。
例えば、3He/4Heの値を大気中とは異ならせたヘリウムを溶融ガラス中に導入し、ガラス溶融炉内の所望の場所や冷却後のガラス物品からサンプリングした複数のガラス体中に含有する3He/4Heの値を測定装置によってそれぞれ計測し、その3He/4Heの値を大気中の3He/4Heの値を比較することによって、大気からガラス物品中に混入したヘリウムの3He/4Heの値より小さい所定範囲の3He/4Heの値へと各計測値が収束しているかどうかを知ることができる。これにより、ガラス溶融炉内で溶融ガラスが組性的に均質に混合される溶融均質化過程の進展状態を検知することができ、ガラス物品としても良好に均質化された組成であるどうかという知見を得ることが可能となる。また、この評価結果をガラスの溶融設備等の諸条件の設定又は変更に反映させることによって、ガラスの均質度を向上させ得る最適な製造条件を採用することが可能となる。
ヘリウムの上記体積比率は、より正確に大気中のヘリウムとの差を認識するためには、より小さい値とするほうが好適である。このような観点から、上記体積比率の値は、1.3×10-6(0℃、1atm)以下とするが好ましく、さらに好ましくは1.2×10-6(0℃、1atm)以下とすることであり、一層好ましくは1.1×10-6(0℃、1atm)以下とすることであり、より一層好ましくは1.0×10-6(0℃、1atm)以下とすることであり、さらに好ましくは0.8×10-6(0℃、1atm)以下とすることである。
また、3Heと4Heの質量数の違い及び3He/4Heの値は、例えば、質量分析計等によって分析して比較することが可能であるため、そのヘリウムが大気起源であるかそうではないかは分析をすれば明瞭になる。さらに、3Heと4Heの違いは質量数以外にも蒸気圧等の物理的な性質にも認められるため、このような物理的性質の違いに基づく分析手法を採用することで、両者の割合を分析することも可能である。そして、質量数3と質量数4の同位体元素量を計測する手段として質量分析等を採用する場合には、例えばガラス試料を粉砕、溶解あるいはレーザー抽出等を行うことによって、ガラス中に含有するヘリウムの同位元素を質量分析計等へ導入することもできる。
上記の各工程は相互に連続した工程であっても、独立した工程であってもよい。例えば、加熱溶融したガラスを急冷してカレットを作成し、作成したカレットを再溶融後に、溶融ガラスを均質化する工程を別の設備で行ってもよい。すなわち、ラフメルトカレットによって均質化を促進するような手段を併用することもできる。さらに、この考え方の延長線上で、複数の別種の組成を有するガラスを急冷ガラスとして作成し、それを再溶融する段階で適宜混合することも可能である。このような場合には、予め3He/4Heの値を複数種のガラス間で意図的に異ならせておき、それらを混合することによって得られるガラス中の3He/4Heの値を確認することによって、均質混合が行われたことを確認することも可能である。
また、ガラス原料を加熱して溶融する工程については、その加熱手段としてどのような方法を採用しても差し支えない。例えば、液体、気体燃料等を使用するバーナーによる加熱方法や電気を間接あるいは直接に利用する加熱方法、さらに赤外線等の電磁波を採用することが可能である。さらに、ガラス原料としては天然原料、人工精製物等を利用することができ、当然、ガラスカレットを使用することも可能である。さらに、溶融ガラスを均質化する工程で採用できる混合操作は、多様なものを採用することができる。例えば、スターラーによる撹拌、バブリング、超音波等である。
ヘリウムをガラス物品中に含有させる方法についても、特に限定されず、溶融ガラス中へのヘリウムガスのバブリング、ヘリウムガスを溶融雰囲気として溶融ガラス上方に保持することによるヘリウムの拡散、さらにガラス原料として使用するカレット中に予めヘリウムを所定量含有させておいてもよい。
また、本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え、含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が0.8×10-6以下(0℃、1atm)であり、かつ、質量数4の同位体と質量数3の同位体の総含有量が5.0×10-5〜2μl/g(0℃、1atm)となるように、ヘリウムガスをガラス物品中に含有させることが好適である。
質量数4の同位体と質量数3の同位体の体積比率が0.8×10-6以下(0℃、1atm)であることが、ガラス物品が均質な組成となっているかどうかを見極めるのに好適である。さらに、質量数4の同位体と質量数3の同位体の総含有量が5.0×10-5〜2μl/g(0℃、1atm)となるように、ヘリウムをガラス物品中に含有させることが、上記の同位体についての体積比率の計測に基づく算出値に対しての信頼性を高めるために好ましい。
ヘリウムは、ガラス組成中でガラスの網目構造の形成には関与しないが、ガラス組成中に5.0×10-5μl/g以上含有すると、質量分析計等を使用することによって、ガラス中のヘリウムの質量数3の同位体(3He)や質量数4の同位体(4He)の割合を確実に特定することが可能となる。また、上記の含有量のヘリウムは、溶融ガラス中に残存する微細な気泡の清澄を促進する働きもある。その一方、ヘリウムはガラス中に大量に含有する状態になると、特に一旦成形したガラスを再加熱するような用途で利用するような場合には、リボイルの原因となる危険性がある。このため、ガラス組成物中の上記ヘリウムの総含有量は、2μL/g(0℃、1atm)以下とする方が好ましい。
本発明において、溶融設備等の諸条件には、温度や炉内雰囲気濃度、圧力、原料投入速度、粉砕や造粒などの原料調整条件、製品成形速度、バブリング速度、バブリングガス濃度、スターラー回転速度、ガラスカレット使用量等が含まれる。
また、上記の均質度の評価に基づく溶融ガラスの溶融、均質化は、例えば、溶融設備に上記体積比率を計測する設備を直結し、その計測値を操炉条件にリアルタイムで反映させる方法を採用してもよいし、あるいは、上記体積比率を溶融設備とは分離した環境下で各種の方法によって計測し、その結果に基づいてガラスの製造条件の変更を行う方法を採用しても良い。
また、上記構成において、溶融ガラスを均質化する工程は、ガラス中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が1.0×10-9〜0.8×10-6となるように溶融ガラスを均質化するものとするのが好適である。
上記3He/4Heの値を1.0×10-9以上とすることによって、質量数3のヘリウムの存在を確実に検出して特定することができ、好適な結果を得ることができる。一方、上記3He/4Heの値を0.8×10-6以下とすることによって、大気中に含有される3He/4Heの値と明瞭に区分することができ、好ましい。より好ましくは、上記3He/4Heの値を0.5×10-8から0.8×10-6の範囲とすることであり、さらに好ましくは0.5×10-8から5×10-7の範囲とすることである。
また、本発明のガラス物品の製造方法は、上記の点以外については特に限定されるものではない。例えば、ガラスを成形する方法としてどのような成形方法を採用してもよいし、成形されたガラスをどのような加工手段をもって2次的に加工しても差し支えない、板ガラスを成形する場合を例に取ると、成形方法としてフロート法、フュージョン法、スリットダウン法、ロール成形法等の成形法を採用することができる。また、成形後の板ガラスの加工方法としては研磨、リードロー、メカニカルスクライブ、レーザースクライブ等の各種の加工法を採用することができる。さらに、その板ガラスの表面には各種のエッチング等の化学処理、フィルム、機能性薄膜等を施すことによって様々な用途に適用できる。
ヘリウムは、ガラス組成中でガラスの網目構造の形成には関与しないが、ガラス組成中に5.0×10-5μl/g以上含有すると、質量分析計等を使用することによって、ガラス中のヘリウムの質量数3の同位体(3He)や質量数4の同位体(4He)の割合を確実に特定することが可能となる。また、上記の含有量のヘリウムは、溶融ガラス中に残存する微細な気泡の清澄を促進する働きもある。その一方、ヘリウムはガラス中に大量に含有する状態になると、特に一旦成形したガラスを再加熱するような用途で利用するような場合には、リボイルの原因となる危険性がある。このため、ガラス組成物中の上記ヘリウムの総含有量は、2μL/g(0℃、1atm)以下とする方が好ましい。
また、本発明、酸化物多成分系ガラスからなるガラス物品の製造に好適である。
ここで、酸化物多成分系ガラスとは、その含有する構成成分を酸化物成分比として表現することができ、2種類以上の酸化物を含むものとして表されるものである。そして、好ましくは、その2成分以上の酸化物として表せる成分を、その合量の質量%表記で意図的に50%以上含有させているものである。また、単一の酸化物組成で表せるガラス組成物に不純物として複数の成分が混入するような場合については、本発明での酸化物多成分系ガラスには相当しない。例えば、ガラス組成物中の含有成分を質量%で表す場合に、99%近い単一の酸化物成分を含有するガラス組成物に小数点以下二桁台の0.09質量%以下の成分を複数含有するような場合は、本発明の酸化物多成分系ガラスには該当しない。
多成分系ガラスでは、溶融ガラス状態において複数の成分を均質な状態にすることが、ガラス組成物の性能を、設計されたように発揮させるために重要なものとなる。尚、本発明の酸化物多成分系ガラスは、多成分の酸化物を主成分としている限り、どのような他成分が混入しても良い。例えば、微量の塩素やフッ素等の気体成分は、必要に応じてガラス組成中に混入しても差し支えはない。
特に、本発明、珪酸塩ガラスからなるガラス物品の製造に好適である。
ここで、珪酸塩ガラスであるとは、シリカ(SiO2)を主成分とするガラスのことである。珪酸塩ガラスに対して本発明を適用することによって、多くの用途で利用されるガラス材質に対して高い均質度を実現することが可能になる。
また、本発明に係るガラス物品は、波長200.0nmから波長1050.0nmの範囲内の所定の波長を有する光線に対し、厚さ1.0mmの透過率が99.9%以下であることが好適である。
すなわち、紫外線に相当する200.0nmから可視光線である360nm〜830nm、さらに1050nmの赤外線までの波長範囲から選択される任意の1波長を有する光線に対して、ガラスの厚さ1.0mmについての透過率が0%から99.9%の範囲内にあることが好ましい。
そして、ここでの透過率は、ガラス表面に特殊なコーティング等を施した状態での計測による測定値を意味するものではなく、光線がガラス表面に入射する際のガラスの外表面での反射と光線がガラス内部から出射する際の内表面での反射を差し引いたガラスの内部透過率であって、ガラスの表面状態に依存しない値を意味している。ただし、この透過率の計測に当たっては、ガラス表面の表面粗さのRa値が0.5nm以下の状態で計測することが好ましく、いわゆる光学的な鏡面状態で積分球による測定値によって定義づけられるものである。
透過率はガラスの光学的な性質の中でも基本的な性質であるが、その値を所望の水準以上のものとするためには、ガラス中の特定成分による吸収や散乱現象などに加え、ガラス内部の組成的な均質性が重要な要素となる。すなわち、組性的な均質性に加えて光学的な均質性をも満足することによって、本発明のガラス組成物の品位をより良く実現することが可能となる。
また、本発明に係るガラス物品は、ガラス、セラミックス及び金属の中から選択される一の材料からなる部材と加熱封着して使用されることが好適である。
この場合、本発明に係るガラス物品は、上記の部材と加熱封着され、例えば1つの機能を持つことで構造部材等として利用される。
この用途で利用されるガラス物品は、例えば薄板状、管状等の形態を有するものであるが、上記の部材と加熱封着する際に軟化変形するのはガラス組成物であるため、ガラス組成物の組成の均質性は軟化形状の安定性や封止後の化学的な耐久性等に影響するため重要である。ガラス組成が均質であることによって、軟化形状の安定性や封止後の化学的な耐久性等について、大量生産されたガラス物品間の物理化学的な性質の差異が極めて小さい安定した品位のガラス物品を得ることができる。尚、ここでの加熱方法は、どのような方法であっても差し支えないが、例えば、バーナーによる加熱、間接的な電気抵抗発熱体による加熱、赤外線放射による加熱等を採用することができる。
また、本発明に係るガラス物品は、薄板状、管状に限らず、粉末状、微粒状、顆粒状、鱗片状、繊維状、ロッド状等の形態をとることもある。この場合、本発明の組成物を他の材料と併用して使用する場合もある。例えば、本発明の組成物にフィラーとして他の材料を添加することができる。フィラーとして添加する材料の種類は特に限定されず、例えば、セラミックス粉末のフィラー材としては、チタニア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア、ジルコン、ジルコン酸バリウム、コージエライト、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、ムライト、酸化亜鉛、酸化錫、炭化珪素、ウレマナイト等が利用可能である。
また、本発明に係るガラス物品は、ガラス内部及び/またはガラス表面に結晶が析出してなるものであることが好適である。
ここで、ガラス内部及び/またはガラス表面に結晶が析出してなるとは、ガラス内部あるいはガラス表面に複数の無機結晶物が析出した状態となっていることを意味している。
この結晶の種類やその大きさについては特に限定されるものではない。また、必要に応じて複数種の結晶種、複数の粒子形状となっても支障はない。いずれにせよ、結晶の分散状態は偏りのない状態で分散していることが好ましい。そして、長距離秩序の水準で粒子の分散に偏りがない状態となっていれば、ガラスの所望の機械的な性質を実現することができるため好ましい。
ガラス内部及び/またはガラス表面に結晶が析出する場合に、組成的な均質性が確保されていることによって、析出する結晶種のばらつき等を所定の範囲に抑制することができ、ガラス物品を結晶化ガラスとして利用する場合に安定した強度や熱特性を実現することが可能となる。
また、本発明に係るガラス物品には、清澄剤、消色剤、着色剤、乳濁剤、酸化剤、還元剤等の添加物を添加することができる。さらに、ガラスに溶解しない他材料をガラスと均質混合することも可能である。
本発明に係るガラス物品は、種々の用途に利用可能である。例えば、CRT用ガラス、液晶ディスプレイ基板用板ガラス、PDP基板用板ガラス、フィールドエミッションディスプレイ基板用板ガラス等の画像表示素子用の基板用板ガラス、あるいはCCD、CMOS等の固体撮像素子用のカバーガラス、リードスイッチ用管ガラス、ダイオード用管ガラス、キセノンランプ用管ガラス等の電子部品用細管ガラス、ガラスブロックや壁材用結晶化ガラス等の建材用ガラス、アンプル用細管や放射線遮蔽用防御窓用ガラスなどの医療用ガラス、蛍光灯用管ガラスや液晶バックライト用管ガラス等の照明用ガラス、レンズ用ガラスや光ファイバー接続用フェルール等の光部品用ガラス、多層基板用粉末ガラスやPDP用粉末ガラスのような気密封着用粉末ガラス、FRPやFRC等として利用さられる複合材料を形成するEファイバーやAファイバーなどのガラス繊維である。
本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス原料を加熱して溶融する工程と、溶融ガラスを均質化する工程と、均質化した溶融ガラスを所定の形状に成形する工程と、成形したガラス成形体を室温まで冷却する工程とを含むガラス物品の製造方法において、ガラス原料を加熱して溶融する工程及び溶融ガラスを均質化する工程のうち少なくとも一の工程において、ヘリウムガスを溶融ガラスと接触させることにより、ヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)が、大気中に存在するヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)よりも小さくなるように、ヘリウムをガラス中に含有させ、溶融ガラス、ガラス成形体あるいはガラス物品中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体と質量数3の同位体との体積比率を計測することによって均質度を評価しつつ溶融ガラスの溶融、均質化を行うので、溶融ガラスの組成の均質性を効率よく向上させ、種々の用途で利用される高機能なガラスを高い製造歩留まりで生産すること可能となるまた、上記体積比率を指標としてガラスの均質度を監視することにより、ガラス製造における種々の変動要因を是正する対応を速やかに採ることが可能となる。これにより、ガラス製造現場で不定期にガラスの組性的な不均質部が生じた場合にも、その解消のための処置を迅速に行い、連続的に均質度の高いガラス物品の製造が可能となる。
また、含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が0.8×10-6以下(0℃、1atm)であり、かつ、質量数4の同位体と質量数3の同位体の総含有量が5.0×10-5〜2μl/g(0℃、1atm)となるように、ヘリウムガスを溶融ガラスと接触させるものであれば、効率的にヘリウムを溶融ガラス中に導入することで、溶融ガラスの状態について正確な評価を実現しやすくする。
また、溶融ガラスを均質化する工程が、ガラス物品中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が1.0×10-9〜0.8×10-6となるように溶融ガラスを均質化するものであれば、ガラスの組成的な均質性のばらつきに起因するガラス製品の性能のばらつきを極力減少させ、設計上求められる機能を実現することができる。
また、本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス物品中に混入することがあっても、環境上無害であって、ガラス物品を着色することもないトレーサーを採用することによってガラス物品の均質化を実現できるものであり、均質なガラス物品にする課程を監視しつつ製造する方法として、好適なものである。
以下に本発明のガラス組成物とその製造方法について、実施例に基づいて説明する。
本発明に係るガラス組成物の実施例を表1に示す。表1のガラス組成は、電子部品用細管ガラス、FPD用の薄板ガラス、放射線遮蔽用ガラス、医療用ガラス、結晶化ガラス用素材ガラス、FRP用ガラス繊維に利用される材質であって、酸化物多成分系の珪酸塩ガラスである。いずれの試料についても、予め酸化物等の複数のガラス原料をそれぞれ秤量し、小型の回転式原料混合機を使用して混合中の原料偏析等の発生せぬよう混合して、ガラス原料バッチを作成した。そして、その後このガラス原料バッチを高温耐熱性で1000ccの内容積を持つ白金合金製容器(白金−ロジウム15%容器)内に投入し、密閉型電気炉内で各々のガラス組成について、1×103dPa・secより小さい粘性となる温度条件に管理した条件(1480℃から1600℃までの温度)で、16時間の溶融時間で溶融を行った。そして高温化学反応によって原料バッチが溶融してガラス化が完了し、それより2時間経過した時点より、密閉型電気炉内へ挿管したガス導入管のコックを解放して、予め同位体質量数4に対する同位体質量数3の体積比率、すなわち3He/4Heの値を0.8×10-6以下(例えば、1.0×10-7)に調製したヘリウムガスを溶融ガラス上方の炉内雰囲気中に導入することで、溶融ガラス内への拡散によってヘリウムガスのガラス中への導入を行った。そして、いずれのガラスについても少なくとも5時間以上のヘリウムの拡散処理を行い、さらに炉内に取り付けてある溶融ガラスのスターラーによる撹拌操作で溶融ガラスの均質化を行い、その後、溶融ガラスをカーボン製の枠内に流出した。その後、このガラスを徐冷炉中に保持し、2日間の徐冷操作の後に室温まで降温し、得られたガラス中のヘリウム含有量とそのヘリウムについての質量数3に対する質量数4の同位体体積比率の計測を行った。またガラス組成についても確認のため湿式化学分析と機器分析を併用して行い、目標組成となっていることを確認した。以上の結果をまとめて表1に示す。
いずれの測定値についても、ヘリウムの計測方法は、室温まで冷却したガラス片から10〜500mgの試料を採取し、このガラスを1600℃に加熱した炉のMoルツボ内に投入後、20分間保持し、発生ガスを真空抽出して質量分析計に導き、装置内でHeをイオン化し、磁界によって同位体分離してファラデーカップでイオンを検出し、増倍管で増幅する方法である。なお、分析に使用した装置は、Micromass社製のダブルコレクター型希ガス質量分析計である。また、組成分析に使用したICP発光分析装置は、二次電子増倍管(SEM:Secondary electron multipiliers)を搭載して測定感度を向上させたセイコーインスツルメンツ(株)製のSPS1500VRであり、一回の分析に約0.5g程度のガラスを必要とした。
Figure 0004573209
表1から、試料No.1から試料No.12までのガラスは、いずれも3He/4Heの値が0.92×10-7から2.91×10-7の範囲内にあり、ガラス中のヘリウム含有量は、0.2×10-3μl(マイクロリットル)/gから562.1×10-3μl/gであって、泡や脈理等の外観観察から判明するガラス均質度の低下も認められなかった
次いで、本発明のガラスの製造方法について、実際のガラス溶融炉に適用した事例に従い、説明する。図1に本発明の製造方法を適用したガラス溶融炉の断面図を示す。このガラス溶融炉10では、多成分系珪酸塩ガラスのガラス原料Mは溶融室20に設置された原料投入機11から連続的に投入され、溶融室20内に配設されたバーナー13と電極12によって加熱されて溶融ガラスGとなる。そして、溶融ガラスGは溶融室20内にある空気バブリングAによって均質化操作を行った後、スロート60を経て清澄室30内で脱泡されて、その後清澄室30から二股に伸びたフィーダー40先端の成形部41ともう一つのフィーダー成形部42の2箇所で同時に板ガラスに成形されている。これらフィーダーでは配設されたスターラー14によって溶融ガラスGは充分に混合される。2つの成形部41、42におけるガラス成形体の成形量は、ほぼ等しく50ton/日であって、併せて100ton/日の生産を可能とする能力を持つものであった。ただし、このガラス溶融炉10には、ガラス製造当初より成形されたガラス物品の品位に問題の認められる状態であって、具体的には、成形部41の泡品位の方が優れて良品率が高く、成形部42では、泡品位が常に悪い状態にあった。
そこで、ヘリウムガスをガラス原料投入機11の下部にある溶融室20側壁の耐火物Rの全表面へと吹き付けるために配設し、このヘリウム拡散室50内のヘリウムを常に加圧状態に維持することによって、耐火物Rの隙間等から溶融ガラスG中へと拡散させた。そして成形部41、42における3He/4Heの値を追跡調査した。すなわち、3He/4Heの値が0.8×10-6以下になるまでの所要時間を求めたところ、成形部41では16時間を要したが、成形部42では13時間となり、3時間の差が認められることが判明した。このことから、成形部42では、溶融ガラスGが充分溶解して清澄されないままに流出する短経路のガラス流れ(早流れとも言う。)が清澄室30、フィーダー40等に形成されていることが判明した。
そこで、この現象を改善すべく溶融室20や清澄室30の温度条件、ガラス原料投入間隔、バブリング条件等の一連の問題点に対しての対策を施した所、成形部42における泡品位が改善して成形部41と遜色ない品位となった。この状態で再度確認のために、前記同様3He/4Heの値に関して計測を行ったところ、成形部41、成形部42の溶融ガラス中の3He/4Heの値が0.8×10-6以下になるまでの所要時間は、成形部41が15時間で成形部42が14.8時間となり、ほぼ同じガラス流れ状態となっていることが確認できた。
以上のように、本発明のガラスの製造方法は、溶融ガラスの均質性を向上させることが可能となるものであることが判明し、常時ヘリウムを溶融ガラス中に導入することによって、その3He/4Heの値の変化を追跡すれば、製造条件等の問題点を把握して製造を行う際に好適なものとできるものであることが判明した。
次いで図1とほぼ同じ構造を有し、ガラス製造量が65ton/日のガラス溶融炉について、本発明のガラスの製造方法を適用した。ここでは、図1のバブリング箇所より供給するガスを空気Aから予め3He/4Heの値を調製したヘリウムKへと切り替え、バブリングガスの切り替えの3日後にガラス溶解炉内部から溶融ガラスGを採取して、採取したガラスと成形後に冷却されたガラス製品における3He/4Heの値を比較した。その結果、溶融室20のバブリング箇所の近傍から採取された炉内溶融ガラスの3He/4Heの値は、0.2×10-6であり、スロート60手前の炉内溶融ガラスの3He/4Heの値は、0.3×10-6であり、さらに板ガラスとして成形された製品の3He/4Heの値は、0.2×10-6であった。
バブリング近傍の炉内溶融ガラスGとガラス製品中の3He/4Heの値が等しいことから、3日間の時間経過によってヘリウムバブリング開始時に炉内にあった溶融ガラスGは流出して製品となっていることが認められた。一方、炉内のスロート手前における炉内溶融ガラスGの3He/4Heの値は相対的に高く、3He/4Heの値の変化が遅れていることが判明した。すなわち、スロート手前の部位において溶融ガラスGが流出せずに滞留領域が形成されており、長時間にわたり高温環境下にさらされる結果、異質ガラスとなっている可能性が示唆された。
なお、このガラス溶融炉ではこれまでフラットパネルディスプレイ用の板ガラスの製造を行っていたが、製造された板ガラス中に脈理と呼ばれる異質ガラスによって発生する不均質部位の存在が確認されており、良品率が低い等の問題の原因としては明瞭であっても、何をどうすれば良い結果とできるか不明なため、試行錯誤が繰り返されてきていた。しかし、本結果に基づいてその発生源が特定されたため、その問題に対する対策が図られ、数日の後には脈理が著しく改善したガラス状態とすることができ、均質度の高いガラスの製造を行うことが可能となった。
均質度の高い板ガラスの製造が可能となった時点より一週間経過した後の安定条件下で、ガラス溶解炉内部から溶融ガラスを採取して、採取したガラスと成形後に冷却されたガラス製品における3He/4Heの値の比較をおこなった。その結果、前記したような3He/4Heの値の偏りは認められず、ガラスの均質性との相関が認められるものとなることが確認できた。なお、ここでも3He/4Heの値の分析については、前記同様の質量分析計によって計測を行った。
次いで、本発明の初期に行ったキセノンフラッシュランプに使用される電子部品用管ガラスに関する評価について、以下に示す。
このフラッシュランプに使用される細管ガラスは、質量百分率表示でSiO2 76%
、Al23 1%、B23 16% MO(M=Sr+Ca+Mg) 1%、R2O(R=Na+K+Li) 6%を有し、酸化物多成分系の珪酸塩ガラスである。このガラスは、ランプ用途で利用されるため、波長400nmから800nmまでは95%〜99.9%の内部透過率(厚み1mm)を有する材質である。しかし、このガラス材質は硼酸の含有量が多く、溶融時のガラス成分の蒸発速度が大きく、そのために脈理等のガラスの不均質な異質ガラス部位が発生し易く、溶融が困難であり組成的に均質なガラスを製造しにくいという点が指摘されていた。
そこで、本発明を試験するために、温度や雰囲気条件などの溶融条件を変更しつつ、予め3He/4Heの値を調整したヘリウムガスをバブリングによって炉内に導入した。そしてこのヘリウムの3He/4Heの値を計測することによって、種々の溶融条件の中で最適な条件を選択することができ、その結果従来から認められた脈理不良による不良率が2%改善することができた。ちなみに、最終的に得られるガラス中の3He/4Heの値は、通常の大気雰囲気中での溶融に比較して3He/4Heの値は小さくなり、その下限値が0.85×10-6(0℃、1atm)であった。
以上の結果から、本発明の有用性が理解され、ガラスの溶融における均質ガラスの製造に大きな効果をもたらすものであることが明瞭になった。
本発明の製造方法を実施したガラス溶融炉の説明図であって、(a)は断面図、(b)は要部平面図。
10 ガラス溶融炉
11 原料投入機
12 発熱体
13 バーナー
14 スターラー
20 溶融室
30 清澄室
40 フィーダー
40a 第一フィーダー
40b 第二フィーダー
41、42 成形部
50 ヘリウム拡散室
60 スロート
A 空気
G 溶融ガラス
K ヘリウムガス
M ガラス原料
R 耐火物

Claims (3)

  1. ガラス原料を加熱して溶融する工程と、溶融ガラスを均質化する工程と、均質化した溶融ガラスを所定の形状に成形する工程と、成形したガラス成形体を室温まで冷却する工程とを含むガラス物品の製造方法において、
    ガラス原料を加熱して溶融する工程及び溶融ガラスを均質化する工程のうち少なくとも一の工程において、ヘリウムガスを溶融ガラスと接触させることにより、ヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)が、大気中に存在するヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率(0℃、1atm)よりも小さくなるように、ヘリウムをガラス物品中に含有させ
    溶融ガラス、ガラス成形体あるいはガラス物品中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体と質量数3の同位体との体積比率を計測することによって均質度を評価しつつ溶融ガラスの溶融、均質化を行うことを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が0.8×10-6以下(0℃、1atm)であり、かつ、質量数4の同位体と質量数3の同位体の総含有量が5.0×10-5〜2μl/g(0℃、1atm)となるように、ヘリウムをガラス物品中に含有させることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 溶融ガラスを均質化する工程は、ガラス物品中に含有されるヘリウムの質量数4の同位体に対する質量数3の同位体の体積比率が1.0×10-9〜0.8×10-6となるように溶融ガラスを均質化するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス物品の製造方法。
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