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JP4572485B2 - 自動車乗員頭部の保護バッグ - Google Patents

自動車乗員頭部の保護バッグ Download PDF

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Air Bags (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車乗員頭部の保護バッグに係り、詳しくは、通常時には車室側面の上縁部に沿って折り畳み状態にて配置され、自動車の側面衝突時や横転時等にサイドドアの窓及びBピラー等に沿ってカーテン状に膨張するバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車乗員頭部の保護バッグとして、通常時(自動車が衝突等の緊急事態に遭遇していないとき。)には車室側面の上縁部に沿って折り畳み状態にて配置されており、自動車の側面衝突時や横転時等にはサイドドアの窓やBピラー等に沿ってカーテン状に膨張するカーテンバッグ等と称されるものがある。この頭部保護バッグとして、2枚のシートを重ね合わせ、該シートの縁部同士を縫糸の縫目による線状結合部によって結合して両シート間にガスが充満する空室を形成したものがある。
【0003】
この種の自動車乗員頭部の保護バッグの従来の構成例について第5図及び第6図を参照して説明する。第5図(a)は従来例に係る自動車乗員頭部の保護バッグ1の正面図、第5図(b)は第5図(a)のB−B線に沿う断面図、第5図(c)は第5図(a)のC−C線に沿う断面図であり、第6図(a)〜(e)はこのバッグ1の折り畳み状態からの膨張過程における態様を示す図である。
【0004】
この従来例に係る頭部保護バッグ1は、室内側シート2と窓側シート3とを重ね合わせ、これらシート2,3同士を縫合することにより、両シート2,3の間に空室4を形成したものである。なお、シート2,3は別体であるか、或いは1枚のシートを折り返して重ね合わせたものである。
【0005】
このシート2,3同士はシートの縁部を周回するように延在する(但し、一部はシート2,3の中央側に入り込んでいる。)線状結合部10と、空室4を細分化するための線状結合部11,12と、線状結合部11,12の端部付近を強固にするための環状結合部13とによって結合されている。この環状結合部13の中央側にあっては、シート2,3をくり抜いて円形の開口14が形成されている。
【0006】
このバッグ1は車室側面に沿って車両前後方向に延在される。このバッグ1の長手方向の前端と後端には、それぞれ前方及び後方に突片16,18が突設されており、該突片16,18にはそれぞれ車体への留付用の孔17,19が設けられている。また、このバッグ1の上辺に沿って上方へ複数の突片20が突設されており、該突片20にもそれぞれ車体への留付用の孔21が設けられている。
【0007】
バッグ1の前端又は後端(この従来例では後端)にインフレータ(図示略)からのガスの導入口5が設けられている。ただし、この導入口はこれ以外の部位に設けられることもあり、また、インフレータはバッグ内に配置されることもある。
【0009】
線状結合部12は上端及び下端がいずれも上辺及び下辺の線状結合部10から離隔しており、線状結合部12の上下両端がそれぞれ環状結合部13に連なっている。線状結合部11,12は空室4が過度に厚く膨張することを防止している。環状結合部13は線状結合部11,12の端部を補強している。
【0010】
このバッグ1は、例えば前端側の突片16が孔17を通してボルト或いはリベット等により自動車のAピラーに連結され、後端側の突片18が孔19を通してボルト或いはリベット等によりCピラーに連結され、上辺部の各突片20が孔21を通してボルト或いはリベット等によりルーフサイドレールに連結される。そして、このバッグ1はルーフサイドレールに沿って折り畳まれた状態(第6図(a))で車室側面の上縁部に沿って設置される。
【0011】
折り畳まれたバッグ1はカバー(図示略)で覆われる。このカバーは、バッグ1が膨張するときに裂けるか又は開き出すよう構成されている。
【0012】
自動車が側面衝突したり横転すると、インフレータ(図示略)が作動し、ガス導入口5から空室4内にガスが流入し(第6図(b))、バッグ1が車室側面に沿って下方に向ってカーテン状に膨張展開し(第6図(c)〜(e))、乗員の頭部が保護される。
【0013】
このバッグ1は、第6図(a)に示すように下辺側から上辺側に向って蛇腹状(ジグザグ状)に折り畳まれることが多い。なお、第6図(a)〜(e)において、バッグ1の上辺部は白丸で示され、下辺部は黒丸で示されている。
【0014】
ところが、バッグ1がこのように折り畳まれていると、該バッグ1内にインフレータからガスの供給が開始され、バッグ1が上辺部側から下辺部側に向って膨張していく過程(第6図(b)〜(c)の過程)で、バッグ1の該下辺部が車室側面に引っ掛かる場合がある。この状態で高圧ガスがさらにバッグ1内に供給されて該下辺部が膨張を開始すると、内圧の上昇によりバッグ1の剛性が高まり、且つバッグ1が真っ直ぐに延びようとするために、該下辺部が車室側面に強く押し付けられて第6図(d)に示すように「く」字状に折れ曲がってしまい、下向きにスムーズに展開できなくなる場合がある。
【0015】
このような、バッグが展開する過程でその下辺部が車室側面に引っ掛かってスムーズに展開できなくなることを防止するために、第7,8図に示すバッグの折り畳み方法が考えられている。第7図(a)〜(c)はこの折り畳み過程を示す図であり、第8図(a)〜(d)はこの折り畳み方法により折り畳まれたバッグ1の膨張過程の態様を示すものである。なお、第7図及び第8図において、バッグ1の上辺部は白丸で示され、下辺部は黒丸で示されている。
【0016】
この折り畳み方法によると、バッグ1は、まずその下半側が該バッグ1の室内側の側面(前記シート2)に重なるように2つ折りに折り畳まれ(第7図(a))、さらに、このバッグ1の折り畳み体の下端から上端側にジグザグ状に折り畳まれる(第7図(b),(c))。
【0017】
従って、第8図(a)に示す折り畳み状態のバッグ1が、第8図(b)に示すように上辺側から膨張を開始すると、第8図(c)に示すようにバッグ1の下半側は車室側面から離れる側(車室内の中央に向かう側)に倒れるように移動して下方へ膨張展開する。
【0018】
かかる折り畳み方法にあっては、バッグ1はまず下半側が室内側の側面に重なるように2つ折りに折り畳まれ、続いて上下方向にジグザグ状に折り畳まれるので、バッグ1が展開するときにジグザグ状の折り畳みが解け、さらに2つ折りの折り畳みが解ける過程でバッグ1の下辺部は車室側面から離れた位置(即ち車室内の中央寄りの位置)を通るようになり、該下辺部が車室側面に引っ掛かることが防止される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第7,8図の保護バッグの折り畳み方法では、バッグ1の膨張過程において、第8図(b),(c)のように2つ折りの折り畳みが解ける際に該バッグ1の下半側全体が180°回転してから下方に向って膨らもうとするので、この膨張途中で該バッグの下部が室内中央に向って突出する可能性がある。例えば、第8図(c)の状態で蛇腹状部分が一気に膨張した場合、バッグ1の下部は第8図(c)の右方向に突き出すように膨張する。
【0020】
本発明は、膨張展開過程において車室側面に引っ掛かりにくく、且つ車室側面に沿って下方に膨張する自動車乗員頭部の保護バッグを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車乗員頭部の保護バッグは、上部が自動車の室内の天井部と側面部との交叉隅部付近に連結され、ガスによって該側面部に沿って下方に膨張する自動車乗員頭部の保護バッグにおいて、該バッグは、平らに展開された状態から、その下部側が、自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って該バッグの車室内側に重畳されるように偶数回ジグザグ状に折り畳まれて中間折り畳み体とされ、その後、この中間折り畳み体は、その上下方向の幅員が減じられるように、その下端側から上方に向って、重畳された部分も含めて、自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿ってジグザグ状に折り畳まれて最後の折り畳み体とされていることを特徴とするものである。
【0022】
かかる自動車乗員頭部の保護バッグは、まず、その下部側が該バッグの車室内側の面に重畳されるように自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って偶数回(2回の場合は3つ折りとなる。)ジグザグ状に折り畳まれて中間折り畳み体とされる。次いで、この保護バッグの中間折り畳み体が自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って蛇腹状に折り畳まれる。従って、このように折り畳まれた保護バッグは、該バッグの下端が折り畳み体の下端側に位置する。
【0023】
このバッグ折り畳み体が展開するときには、まずその車室側面に沿う蛇腹折りが解けた後、その他の折り重ねられた部分が車室側面から少し離れた位置を該車室側面に沿って下方へ展開する。これにより、バッグは展開時に車室側面に引っ掛かることなくスムーズに且つ確実に展開することができる。しかも、バッグの下端が折り畳み体の下端側に位置していることから、膨張過程において折り畳み体が180°反転することがなく、折り畳み体は常に下方に向って車室側面に沿って膨張する。
【0024】
なお、バッグを自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って2回折り返して3つ折りの中間折り畳み体とすることが、折り畳み易く、好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
第1図(a)、第2図(a)及び第3図(a)は、それぞれ本発明の実施の形態に係る自動車乗員頭部の保護バッグの折り畳み過程における正面図であり、第1図(b)、第2図(b)、第3図(b)は、それぞれ第1図(a)、第2図(a)、第3図(a)のB−B線に沿う断面図である。また、第4図(a)〜(d)は、それぞれこの保護バッグの折り畳み状態からの膨張展開過程における断面図である。なお、第1図(b)、第2図(b)、第3図(b)及び第4図(a)〜(d)において、該保護バッグの上辺部が白丸で示され、下辺部が黒丸で示されている。
【0027】
この実施の形態においても、頭部保護バッグ1は、室内側シート2と窓側シート3とを重ね合わせ、これらシート2,3同士を縫合することにより、両シート2,3の間に空室4を形成したものであり、このシート2,3同士はシートの縁部を周回するように延在する(但し、一部はシート2,3の中央側に入り込んでいる。)線状結合部10と、空室4を細分化するための線状結合部11,12と、線状結合部11,12の端部付近を強固にするための環状結合部13とによって結合されている。この環状結合部13の中央側にあっては、シート2,3をくり抜いて円形の開口14が形成されている。このバッグ1の後端にはインフレータ(図示略)からのガス導入口5が設けられている。
【0028】
また、このバッグ1は、例えば前端側の突片16がボルト或いはリベット等により自動車のAピラーに連結され、後端側の突片18がボルト或いはリベット等によりCピラーに連結され、上辺部の各突片20がボルト或いはリベット等によりルーフサイドレールに連結される。符号17,19,21はこのボルト又はリベットを通す小孔を示している。そして、このバッグ1はルーフサイドレールに沿って折り畳まれた状態で車体のドアの上縁部に沿って設置される。
【0029】
本発明の折り畳み方法では、バッグ1は、まず平らに展開された状態(第1図)からその下部側が自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って該バッグ1の車室内側(シート2側)に重畳されるように複数回折り畳まれて中間折り畳み体とされる(第2図)。なお、この実施の形態では、該バッグ1は2回折り返されて3つ折りの中間折り畳み体とされている。
【0030】
その後、このバッグ1の中間折り畳み体は、下端側から上方に向って蛇腹折りにされ、その高さ方向の幅員が減じられる(第3図及び第4図(a))。このバッグ1の最後の折り畳み体にあっては、該バッグ1の下辺部は該折り畳み体の下端側に位置する。
【0031】
なお、バッグ1は、上記のように折り畳まれた後に、車両に取り付けられるのが好ましい。
【0032】
折り畳まれたバッグ1はカバー(図示略)で覆われる。このカバーは、バッグ1が膨張するときに裂けるか又は開き出すよう構成されている。このカバーは、車両のルーフガーニッシュであってもよい。
【0033】
自動車が側面衝突したり横転すると、インフレータが作動し、ガス導入口5から空室4内にガスが流入し、バッグ1が車室側面に沿って下方に向って膨張展開し、乗員の頭部が保護される。
【0034】
なお、折り畳まれたバッグ1が展開するときには、インフレータからのガスの供給によりその上辺部側から膨張し始め、まず第4図(b)の如く車室側面に沿う蛇腹折りが解ける。そして、その後、その他の折り重ねられた部分が車室側面から少し離れた位置を該車室側面に沿って下方へ展開する。このとき、バッグ1の下辺部は、該バッグ1の折り畳み体の下端側に位置していることから、該折り畳み体は常に下方に向って車室側面に沿って展開する。
【0035】
このように、本発明の折り畳み方法によって折り畳まれたバッグ1は、膨張展開時にはその下部側が車室側面から少し離れた位置を通って展開するため、該車室側面に引っ掛かることなくスムーズに且つ確実に膨張展開する。しかも、バッグ1の下端が折り畳み体の下端側に位置していることから、膨張過程において該バッグ1の折り畳み体が反転することがなく、該折り畳み体は常に下方に向って車室側面に沿って展開膨張する。これにより、例えば、第4図(c)の状態で蛇腹状部分が一気に膨張した場合であっても、バッグ1の下部が乗員側(第4図(c)の右方向)に突き出すことはない。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の自動車乗員頭部の保護バッグの折り畳み方法によると、保護バッグが膨張展開するときに車室側面に引っ掛かることが防止される。しかも、保護バッグの下端は該保護バッグの折り畳み体の下端側に位置していることから、保護バッグの折り畳み体は常に下方に向って車室側面に沿って膨張展開するようになり、保護バッグは膨張過程において車室中央方向に突き出すことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る自動車乗員頭部の保護バッグの折り畳み過程における正面図と断面図である。
【図2】保護バッグの折り畳み過程における正面図と断面図である。
【図3】保護バッグの折り畳み過程における正面図と断面図である。
【図4】保護バッグの膨張過程を示す説明図である。
【図5】従来例に係る保護バッグの構成図である。
【図6】第5図の保護バッグの従来の折り畳み状態からの膨張過程における態様を示す図である。
【図7】従来例に係る保護バッグの折り畳み過程を示す図である。
【図8】保護バッグの第7図の折り畳み状態からの膨張過程における態様を示す図である。
【符号の説明】
1 頭部保護バッグ
2 窓側シート
3 室内側シート

Claims (3)

  1. 上部が自動車の室内の天井部と側面部との交叉隅部付近に連結され、ガスによって該側面部に沿って下方に膨張する自動車乗員頭部の保護バッグにおいて、
    該バッグは、平らに展開された状態から、その下部側が、自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って該バッグの車室内側に重畳されるように偶数回ジグザグ状に折り畳まれて中間折り畳み体とされ、その後、この中間折り畳み体は、その上下方向の幅員が減じられるように、その下端側から上方に向って、重畳された部分も含めて、自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿ってジグザグ状に折り畳まれて最後の折り畳み体とされていることを特徴とする自動車乗員頭部の保護バッグ。
  2. 請求項1において、前記最後の折り畳み体において、前記バッグの展開状態における下辺部が該最後の折り畳み体の下端側に位置していることを特徴とする自動車乗員頭部の保護バッグ。
  3. 請求項1又は2において、前記バッグは、平らに展開された状態から、その下部側が、自動車の前後方向に延びる折り返し線に沿って該バッグの車室内側に重畳されるように2回折り返され3つ折りの中間折り畳み体とされていることを特徴とする自動車乗員頭部の保護バッグ。
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