JP4571783B2 - 抗微生物剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抗微生物剤に関し、より詳細には、ヒドロキシ安息香酸の糖転移物、ヒドロキシケイ皮酸の糖転移物、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を、有効成分として含有してなる抗微生物剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、清潔な生活環境が求められるようになり、抗微生物剤は、医薬品用途以外にも、食品、衣服、化粧品、日用品、建材などの多くの物品に使用されている。しかしながら、抗微生物剤は、金属化合物や有機化合物を有効成分としており、それらの多くが環境及び人体に有害な物質である危険性を秘めている。例えば、ヘキサクロロフェン、ビチオノールなどのハロゲン化フェノール類、ハロゲン化サリチルアニリド、ホウ酸、過酸化水素水、水銀化合物、ホルムアルデヒドなどは、皮膚、呼吸器などへの感作性が強いことから、現在では使用が禁止されている。特に、ホルムアルデヒドは、建材に多量に含まれ、シックハウス症候群の原因物質としてよく知られている。また、医薬品として利用される抗生物質は、大腸における有用な菌叢を破壊したり、耐性菌が発生する危険性がある。
【0003】
安全性の高い抗微生物剤が求められる現在、植物の抽出物又はそれに含まれている成分は安全性が高いという観点から、食品や食品添加物用の抗微生物剤に利用されつつある。例えば、ヒノキチオール、孟宗竹抽出物、緑茶抽出物、藍抽出物、プロポリス抽出物などを抗微生物剤として利用することが提案されている。
しかしながら、これらの抽出物は、安全性及び抗微生物効果に優れるものの、有効成分として含まれる化合物の生体内での持続性及び水溶性が乏しいため、取り扱い性が良好ではないという問題を抱えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、生体に安全かつ十分な抗微生物効果を有し、取り扱い性が良好な抗微生物剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、植物の抽出物中に含まれるヒドロキシフェノール化合物に着目して研究を進めたところ、ヒドロキシ安息香酸の1種である没食子酸、及び、ヒドロキシケイ皮酸の1種であるカフェ酸は、植物由来の抗微生物性化合物の中でも比較的抗微生物効果に優れ、かつ、人体への毒性の低いという有利な特徴を有しているものの、摂取した場合、生体内での持続性が著しく低いという問題点があることを見い出した。そこで、没食子酸又はカフェ酸の糖転移物を調製し、抗微生物効果並びに生体内での持続性を調べたところ、これら糖転移物は、糖転移されてない没食子酸又はカフェ酸と比較して、抗微生物効果はやや劣るものの、抗微生物剤として利用可能なレベルの活性を有し、さらに水溶性が優れた取り扱い性が良好な化合物であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、ヒドロキシ安息香酸の糖転移物、ヒドロキシケイ皮酸の糖転移物、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を、有効成分として含有してなる抗微生物剤を提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいうヒドロキシ安息香酸は、植物成分のタンニンを構成する成分であり、その糖転移物は、本発明の抗微生物剤の有効成分として用いられる。本明細書では、ヒドロキシ安息香酸の一種の没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、分子量約170)について説明するが、本発明の効果を発揮するかぎり、他のヒドロキシ安息香酸を使用することができる。本発明で使用する没食子酸の調製方法としては、没食子酸又はその誘導体を豊富に含む植物から抽出し、必要に応じて、酸、アルカリ、加熱、酵素などを用いて、加水分解して得ることができる。本発明で使用する没食子酸は、その由来、調製方法を問わず、植物体から抽出・精製する方法以外にも、化学合成法によっても得ることができ、市販品を利用することも随意である。また、本発明の効果を損ねない限り、塩の形態のものを用いることもできる。
【0008】
本発明でいうヒドロキシケイ皮酸は、植物成分の1種であり、その糖転移物は、本発明の抗微生物剤の有効成分として用いられる。本明細書では、ヒドロキシケイ皮酸の一種のカフェ酸(3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、分子量約180)について説明するが、本発明の効果を発揮するかぎり、他のヒドロキシケイ皮酸を使用することができる。本発明で使用するカフェ酸の調製方法としては、カフェ酸又はその誘導体を豊富に含む植物から抽出し、必要に応じて、酸、アルカリ、加熱、酵素などを用いて、加水分解して得ることができる。本発明で使用するカフェ酸は、その由来、調製方法を問わず、植物体から抽出・精製する方法以外にも、化学的な合成、例えば、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドと無水酢酸及び酢酸カリウムとを反応させて合成する方法などによっても得ることができ、市販品を利用することも随意である。また、本発明の効果を損ねない限り、塩の形態のものを用いることもできる。
【0009】
本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸の糖転移物及びその誘導体、及び、カフェ酸の糖転移物及びその誘導体とは、化学的又は酵素的な糖転移反応により没食子酸又はその誘導体、及び、カフェ酸又はその誘導体に、それらの水酸基を介して糖が転移付加されたものである。糖転移された糖がグルコースの場合、その代表的な没食子酸糖転移物としては、化学式1乃至3のものを、カフェ酸糖転移物としては、化学式4及び5のものを例示できる。なお、式中、m及びnは0以上の整数を、Rは水素原子又は炭化水素基を示す。化学式1乃至5においては、グルコース間の結合は1,4結合であるが、1,3結合、1,6結合であってもよい。さらに、化学式1乃至5においては、糖質と没食子酸又はカフェ酸との結合様式としてα−グルコシド結合を例示しているが、必要に応じて、β−グルコシド結合を選択することも可能である。また、本発明の効果を損ねない範囲で、カフェ酸糖転移物又は没食子酸糖転移物を、塩の形態とすることもできる。
【0010】
【化1】
化学式1:
(式中、nは0以上の整数を表し、Rは水素原子又は炭化水素基を示す)
【0011】
【化2】
化学式2:
(式中、nは0以上の整数を表し、Rは水素原子又は炭化水素基を示す)
【0012】
【化3】
化学式3:
(式中、m及びnは0以上の整数を表し、Rは水素原子又は炭化水素基を示す)
【0013】
【化4】
化学式4:
(式中、nは0以上の整数を表し、Rは水素原子又は炭化水素基を示す)
【0014】
【化5】
化学式5:
(式中、nは0以上の整数を表し、Rは水素原子又は炭化水素基を示す)
【0015】
本発明の抗微生物剤には、没食子酸の糖転移物及びカフェ酸の糖転移物の誘導体を用いることができる。なお、没食子酸及びカフェ酸への糖転移化と誘導体化の順序は問わない。没食子酸の糖転移物及びカフェ酸の糖転移物の誘導体としては、酸、アルカリ、加熱などの処理により、比較的容易に加水分解されて、没食子酸又はカフェ酸が生成され得る化合物が用いられ、それらは天然物であっても人工的な合成物であってもよい。例えば、天然に存在する没食子酸の誘導体としては、加水分解性タンニンと総称される、グルコース1分子に1乃至5分子の没食子酸がエステル結合した化合物、例えば、ガロイルグルコース、ケブリン酸、ケブラグ酸、コリラギンなどが、一方、カフェ酸の誘導体としてクロロゲン酸などが例示できる。これらの誘導体の糖転移物は、加水分解後に没食子酸の糖転移物又はカフェ酸の糖転移物を生成し、抗微生物効果を示すので、本発明の抗微生物剤の成分として使用することができる。没食子酸又はカフェ酸の誘導体に対して糖転移を行う際には、没食子酸及びカフェ酸部分に糖転移可能な水酸基を有する化合物であるのが好ましく、さらに、没食子酸又はカフェ酸部分以外に糖転移可能な水酸基を有しない化合物が好適である。そのような誘導体としては、例えば、化学式6に示すガロイルグルコースの一種であるペンタガロイルグルコース(1,2,3,4,6−pentakis−O−galloyl−β−D−glucose)が挙げられる。
【0016】
【化6】
化学式6:
【0017】
さらに、没食子酸及びカフェ酸の誘導体としては、没食子酸及びカフェ酸の抗微生物効果を向上させるために、適宜の修飾を施した誘導体を利用することができる。このような誘導体としては、例えば、没食子酸及びカフェ酸のカルボキシル基に炭化水素基がエステル結合した化合物が挙げられる。エステル結合させる炭化水素基としては、鎖式炭化水素基であっても環式炭化水素基であってもよく、また、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。本発明における好適な炭化水素基は、鎖式炭化水素基、いわゆる脂肪族炭化水素基である。没食子酸及びカフェ酸と脂肪族炭化水素基とのエステル誘導体(以下、単にエステル誘導体ということもある。)は、脂肪族炭化水素基の炭素数に応じて抗微生物性が向上するという特徴を有しており、本発明の抗微生物剤として有利に用いられる。なお、没食子酸又はカフェ酸と脂肪族炭化水素基とのエステル誘導体は、炭化水素基の炭素数が多くなるほど水溶性に乏しくなる傾向があるものの、糖転移することにより水溶性が改善される。炭化水素基の炭素数は、本発明の抗微生物剤の使用方法、形態、対象となる微生物などに応じて適宜選択すればよく、通常、炭素数1乃至12の範囲、好ましくは3乃至8の範囲の炭化水素基とのエステル誘導体に糖転移したものが本発明の抗微生物剤として用いられる。炭素数12を超える炭化水素基とのエステル誘導体は、その水溶性が著しく低下しているので、糖転移によっても十分に水溶性が改善されず、本発明の抗微生物剤を生体に適用する際に好ましくない場合がある。また、没食子酸と炭素数3の脂肪族炭化水素基とのエステル誘導体である没食子酸n−プロピルは、炭化水素基の炭素数が少ない割に抗微生物性が高く、その糖転移物は、本発明の抗微生物剤として特に有利に用いられる。
【0018】
没食子酸の糖転移物、カフェ酸の糖転移物、及び、それらの誘導体(以下、単に「没食子酸の糖転移物」又は「カフェ酸の糖転移物」ということもある。)を得る方法としては、特に限定されず、化学合成法又は酵素反応法などによって製造可能である。このうち、糖転移酵素を利用した酵素反応法が簡便であることから、本発明においては有利に利用できる。例えば、没食子酸又はその誘導体、又は、カフェ酸又はその誘導体にデキストリン、サイクロデキストリン、澱粉あるいはこれらの混合物を添加し、これを、例えば、バチラス属に属する微生物が産生する糖転移酵素、例えば、バチラス・ステアロサーモフィラス由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)を作用させて糖転移し、次いで所望により、この酵素反応液にグルコアミラーゼ及び/又はβ−アミラーゼを作用させる方法が挙げられる。この方法によれば、没食子酸の糖転移物及びカフェ酸の糖転移物の糖質部分の重合度を調節することが可能である。
【0019】
また、没食子酸の糖転移物又はカフェ酸の糖転移物を得る方法として、これらを含有する植物体の抽出物をそのまま、又は精製工程の適宜の段階で、糖転移することも可能である。この場合、没食子酸又はその誘導体、又は、カフェ酸又はその誘導体とともに、他の成分の中に糖転移物となるものがあり、それらの成分の水溶性をも向上させるので、抽出物の水溶性を大幅に改善する効果も期待できる。没食子酸又はその誘導体、又は、カフェ酸又はその誘導体を含有する植物としては、緑茶、紅茶、コーヒーなどが一般的であり、その他に、モモタマナ属に属する植物、タデ藍(ポリゴナム属)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明の抗微生物剤には、没食子酸の糖転移物又はカフェ酸糖転移物以外にも、製法に由来する未糖転移物である没食子酸又はその誘導体、又は、カフェ酸又はその誘導体(以下、単に「未糖転移物」ということもある。)が含まれることがある。未糖転移物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの手法により糖転移物標品から除去可能であるが、未糖転移物を含んだまま本発明の抗微生物剤に配合することも、また必要に応じて、糖転移物とともに、それに対応する未糖転移物を本発明の抗微生物剤に配合することもできる。この場合、糖転移物の含有量は、糖転移物と未糖転移物との総和に対して、モル比で、通常10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上とする。糖転移物の割合が10%に満たない場合は、生体内での持続性及び水溶性を改善する効果が十分期待できず、好ましくない場合がある。
【0021】
また、本発明で用いる没食子酸の糖転移物又はカフェ酸の糖転移物において、グルコース以外にも、ガラクトース、マンノース、フコースなどの単糖、グルコサミン、ガラクトサミンなどのアミノ糖なども糖転移させる糖として選択することができる。糖転移物における糖質部分の重合度は、好ましくは1乃至5、さらに好ましくは1乃至3から選択され、最も好ましくは1である。糖質部分の重合度の高い糖転移物ほど、没食子酸及びカフェ酸の生体内での持続性及び水溶性を改善する効果に優れ、遅効性の抗微生物剤とする効果が期待できるものの、即効性が低下する傾向にある。したがって、即効性を期待する場合には、重合度が5を超える糖質部分を有する糖転移物は好ましくない場合がある。
【0022】
本発明の抗微生物剤は、没食子酸の糖転移物及び/又はカフェ酸の糖転移物を有効成分として含有し、さらには所望により没食子酸又はその誘導体、及び/又は、カフェ酸又はその誘導体を配合することできる。また、通常、注射用剤、皮膚外用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤又は経口用剤を構成するための成分の1又は複数を配合することができる。
【0023】
本発明の抗微生物剤は、用途に応じて、例えば、液状、ペースト状又は固状の注射用剤、皮膚外用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤、経口用剤などの形態に調製して用いられ、具体的には、注射剤、点眼剤、座剤、軟膏剤、さらには、歯磨き、うがい薬などの口腔清浄剤や、歯科領域における口腔殺菌剤をはじめとする口腔用剤の形態が好ましい。したがって、本発明の抗微生物剤は、散剤、細粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、リモナーデ剤、エリキシル剤、シロップ剤、芳香水剤、懸濁剤、乳剤、浸剤、煎剤、チンキ剤、エキス剤、流エキス剤、酒精剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、パップ剤、硬膏剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏剤、注射剤において汎用される、例えば、研磨剤、発泡剤、湿潤剤、粘結剤、香味料、甘味料、保存料、弗素化合物、酵素剤、消臭剤、さらには、賦形剤、軟膏基剤、溶解剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、乳化剤、噴射剤などの調製用薬などの1又は複数と組み合わせて用いることを妨げない。また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、斯かる剤形の薬剤において汎用される、例えば、止血剤、抗炎症剤、組織賦活剤、抗微生物剤、さらには、抗生物質、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγをはじめとする1又は複数の他の薬効成分との併用も妨げない。なお、注射用剤や経粘皮用剤、経鼻腔、口腔用剤における調製用薬としては、没食子の酸糖転移物及びカフェ酸の糖転移物を安定化する性質を兼備する点で、例えば、スクロース、グルコース、マルトース、トレハロース、フルクトース、環状四糖、マンニトール、マルチトールなどの糖又は糖アルコールさらには、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタマート、O−ホスホセリン、β−アラニン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、4−(4−アミノフェニル)酪酸、アミノフェニル酪酸、アミノ安息香酸、4−アミノ馬尿酸、アミノメチル安息香酸、ε−アミノカプロン酸、7−アミノへプタン酸、β−アスパラギン酸、γ−グルタミン酸、ε−リジン、メチオニンスルホン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、d−オルニチン、p−ニトロ−フェニルアラニン、ヒドロキシプロリン、チオプロリンなどのアミノ酸又はこれらのアミノ酸の誘導体若しくはオリゴペプチドが好ましく、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
【0024】
本発明の抗微生物剤の抗微生物スペクトルは比較的広く、グラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などの多くの微生物に対して抗微生物効果を示す。本発明の抗微生物剤が対象とする微生物としては、例えば、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属などに属する微生物が挙げられる。
【0025】
本発明の抗微生物剤へ配合する没食子酸の糖転移物及び/又はカフェ酸の糖転移物の量は、その剤形、使用方法などを考慮して適宜決定すればよいが、通常、没食子酸又はカフェ酸換算で、没食子酸とカフェ酸の合計量が、0.001乃至100%(w/w)、好ましくは、0.01乃至100%(w/w)、さらに好ましくは0.1乃至100%(w/w)の範囲内から選ばれる。また、投与量としては、抗微生物剤の適用対象、投与経路などにもよるけれども、通常、没食子酸又はカフェ酸換算で、没食子酸とカフェ酸の合計量が、1ng乃至1g/日/成人、好ましくは、10ng乃至100mg/日/成人とする。
【0026】
本発明の抗微生物剤は、斯かる用量で1日又は1週間に1回以上の頻度で注射又は経皮、経粘皮、経鼻腔用剤若しくは経口経路で適用することによって、生体における多種の病原性微生物の増殖を著明に抑制することから、鼻腔、口腔や気道、さらには視覚器、消化器、泌尿器、生殖器などへ侵入した病原性微生物が発症原因となる、例えば、肺炎などの呼吸器系疾患や、動脈硬化、虚血性心疾患などの循環器系疾患、結膜炎などの視覚器系疾患、直腸炎などの消化器系疾患、尿道炎などの泌尿器系疾患、副睾丸炎、卵管炎、子宮頚管炎、切迫早産、卵管の炎症、癒着、閉塞などの生殖器系疾患、食中毒の治療、予防に著効を発揮する。とりわけ、本発明の抗微生物剤は、抗生物質を有効成分とする経口用剤とは違って、耐性菌の出現を招来したり、長期連用しても大腸における有用な菌叢を破壊することがないので、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘、膨満感を生じたり、倦怠感、発湿などの副作用を惹起することがない。
【0027】
以上のとおり、没食子酸の糖転移物及び/又はカフェ酸の糖転移物は、生体中での持続性及び水溶性に優れるという利点を兼ね備えている。これらの特徴は、炭素数3以上の脂肪族炭化水素基を有する没食子酸エステル誘導体、カフェ酸及びカフェ酸エステル誘導体のように、水溶性に乏しい化合物を糖転移した場合にも発揮される。また、没食子酸の近接する3つの水酸基は鉄イオンと錯体を形成し、変色することが知られているところ、糖転移することによって、没食子酸の変色を防止する効果も期待できる。
【0028】
以下、本発明による抗微生物剤の性状及び効果につき、実験例に基づいて説明する。
【0029】
【実験例1】
<没食子酸、没食子酸エステル誘導体及びカフェ酸の糖転移物の調製>
1質量部の没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸n−プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル(以上、関東化学株式会社製)又はカフェ酸(和光純薬工業株式会社製)を、それぞれ10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過した。それぞれの反応液に、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸n−プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、又はカフェ酸1gあたり200mlの合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)を充填したカラムに負荷して吸着させ、水で洗浄後、5%(w/w)エタノール水溶液でさらに洗浄し、各試料の疎水性に応じて、15乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した。これらを、減圧乾固した後、水に再溶解した後、同じカラムで同じ操作を繰り返し、溶出液を減圧乾固して、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸の糖転移物、没食子酸メチルの糖転移物、没食子酸エチルの糖転移物、没食子酸n−プロピルの糖転移物、没食子酸オクチルの糖転移物、没食子酸ドデシルの糖転移物、カフェ酸の糖転移物を得た。これらを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、調製された糖転移物はすべてがモノグルコシドであり、それらの純度はどれもが95%以上であった。
なお、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの1Uは、1mM塩化カルシウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)に加熱溶解した0.3%(w/w)可溶性澱粉粉溶液5mlに酵素液0.2mlを加え、40℃、10分間反応させ、この反応液0.5mlを0.02Nの硫酸15mlに加え反応を停止し、これに、0.1Nヨウ素溶液を0.2mlを加えた後、660nmの吸光度を測定する場合において、吸光度を10%減少させる酵素量と定義されている。また、グルコアミラーゼの1Uは、1.0%(w/w)可溶性澱粉粉溶液(20mM酢酸緩衝液、pH4.5)5mlに、酵素液0.2mlを加え、40℃、10分間反応させ、生成した還元糖量をソモギー−ネルソン法で測定する場合において、40℃、1分間に1μmolのグルコースに相当する還元力を遊離する酵素量と定義されている。
【0030】
【実験例2】
<没食子酸、没食子酸エステル誘導体及びカフェ酸の糖転移物の水溶性>
実験例1で得られた糖転移物の37℃の水に対する溶解度を測定し、それぞれの未糖転移物と比較した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示す結果から、没食子酸、没食子酸エステル誘導体及びカフェ酸の糖転移物は、それぞれの未糖転移物よりも水溶性に優れており、特に、比較的水溶性に乏しい没食子酸n−プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル及びカフェ酸については、水溶性の改善効果が顕著であった。また、別途、転移した糖の重合度が1を超える糖転移物について、同様の実験を行ったところ、糖転移された糖質部分の重合度が高いものほど水溶性を改善する効果に優れていた。
【0033】
【実験例3】
<各種糖転移物の抗微生物効果>
実験例1により調製した各種糖転移物、後述の実施例5で調製したターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、及び、後述の実施例6で調製したタデ藍抽出物の糖転移物の抗微生物効果を、表2に記載の微生物について、常法にしたがい、最小生育阻止濃度(MIC)を測定した。また、対照として、それぞれの未糖転移物を用いた。結果を表2に示す。なお、表2における没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸n−プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル及びその糖転移物のグラム数は、没食子酸換算での数値を示し、ターミナリア ベリリカ抽出物及びタデ藍抽出物、及びそれらの糖転移物は固形分のグラム数で示した。
【0034】
【表2】
【0035】
表2の結果から、微生物に対する最小生育阻止濃度は、糖転移の結果、同等乃至1/32の範囲で低下するものの、抗微生物効果は保持されることが判明した。一方、ターミナリア ベリリカ抽出物及び藍抽出物の場合、有効成分としての没食子酸又はカフェ酸の糖転移物の含量が抽出物の固形分あたり約1%であることを考慮すると抗微生物効果が意外に優れており、他の成分による効果が加算されていることが想定された。また、糖転移物の糖質部分の重合度が高いもので同様の試験を行ったところ、重合度が高くなるほど、抗微生物活性が低下する傾向が認められた。
【0036】
【実験例4】
<生体内での持続性>
実験例1で調製した各種糖転移物を、没食子酸又はカフェ酸換算で、0.1mg/mlの水溶液に調製し、除菌ろ過した。一方、後述の実施例5で調製したターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物及び後述の実施例6で調製したタデ藍抽出物の糖転移物を、それが含有する没食子酸又はカフェ酸が0.1mg/mlの水溶液となるように調製し、除菌ろ過した。これらをそれぞれ5週齢の雌性ウイスターラットの大腿部静脈に1ml(0.1mg)注射した。一定時間放置した後、ラットの尾静脈から経時的に血液を採取し、血清中の没食子酸、カフェ酸の含量を常法の液体高速クロマトグラフィー法により測定した。また、対照として、それぞれの未糖転移物を用いて同様に試験した。その結果、未糖転移物は静脈注射後約2時間で血中から検出できなくなるのに対し、糖転移物の場合は静脈注射後8時間までは血中から没食子酸、没食子酸エステル誘導体又はカフェ酸を検出できた。この結果は、糖転移物は、未糖転移物よりも生体内での持続性に優れることを物語っている。また、同時に、糖質部分の重合度が高い糖転移物で同様の試験を行ったところ、重合度が高くなるにつれて没食子酸、没食子酸エステル誘導体及びカフェ酸の生体内での持続性が向上する傾向が認められた。
【0037】
【実験例5】
<急性毒性試験>
実験例1で調製した各種糖転移物を、常法にしたがって8週齢の雄性マウス各10匹に経皮、経口あるいは腹腔内に投与した。その結果、これらのLD50は、いずれの投与経路による場合にも約100mg/kg(マウス体重)以上であった。この結果は、没食子酸の糖転移物及びカフェ酸の糖転移物がヒトへの投与を前提とする医薬品として安全であることを物語っている。
【0038】
以上の結果から、没食子酸の糖転移物及び/又はカフェ酸の糖転移物は、これらの未糖転移物よりも抗微生物効果に劣るものの、抗微生物剤として有用なレベル以上の抗微生物効果を有しており、さらに、生体内での持続性及び水溶性に優れていた。これらの糖転移物が有する特徴は、本発明の抗微生物剤が、生体に適用する抗微生物剤として有利であることを示している。
【0039】
以下、本発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
【0040】
【実施例1】
<没食子酸糖転移物の調製>
【0041】
【実施例1−1】
1質量部の没食子酸(関東化学株式会社製)を、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、10乃至20%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸糖転移物を得た。
【0042】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸糖転移物が10%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸糖転移物が4%、グルコース重合度が6以上の糖質を有する没食子酸糖転移物が6%、未反応のまま残った没食子酸酸が80%であった。
【0043】
【実施例1−2】
実施例1−1で得られたサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ処理後の反応液に、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、実施例1−1におけると同様に、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、20乃至30%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸糖転移物を得た。
【0044】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸糖転移物が80%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸糖転移物が4%、グルコース重合度が3以上の糖質部分を有する没食子酸糖転移物が1%、未反応のまま残った没食子酸が15%であった。
【0045】
【実施例2】
<没食子酸n−プロピル糖転移物の調製>
【0046】
【実施例2−1】
実施例1−1の方法に準じて、1質量部の没食子酸n−プロピル(関東化学株式会社製)を、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。
その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、35乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸n−プロピル糖転移物を得た。
【0047】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が14%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が10%、グルコース重合度が3以上の糖質を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が9%、未反応のまま残った没食子酸n−プロピルが67%であった。
【0048】
【実施例2−2】
実施例1−2の方法に準じて、実施例2−1で得られたサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ処理後の反応液に、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、実施例2−1におけると同様に、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、35乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸n−プロピル糖転移物を得た。
【0049】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が76%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が7%、グルコース重合度が3以上の糖質部分を有する没食子酸n−プロピル糖転移物が2%、未反応のまま残った没食子酸n−プロピルが15%であった。
【0050】
【実施例3】
<没食子酸オクチル糖転移物の調製>
【0051】
【実施例3−1】
実施例1−1の方法に準じて、1質量部の没食子オクチル(関東化学株式会社製)を、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、35乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸オクチル糖転移物を得た。
【0052】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸オクチル糖転移物が14%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸オクチル糖転移物が5%、グルコース重合度が3以上の糖質を有する没食子酸オクチル糖転移物が7%、未反応のまま残った没食子酸オクチルが74%であった。
【0053】
【実施例3−2】
実施例1−2の方法に準じて、実施例3−1で得られたサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ処理後の反応液に、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、実施例3−1におけると同様に、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、35乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いる没食子酸オクチル糖転移物を得た。
【0054】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有する没食子酸オクチル糖転移物が76%、グルコース重合度が2の糖質部分を有する没食子酸オクチル糖転移物が2%、グルコース重合度が3以上の糖質部分を有する没食子酸オクチル糖転移物が1%、未反応のまま残った没食子酸オクチルが21%であった。
【0055】
【実施例4】
<カフェ酸糖転移物の調製>
【0056】
【実施例4−1】
実施例1−1の方法に準じて、1質量部のカフェ酸(和光純薬工業株式会社製)を、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、35乃至50%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いるカフェ酸糖転移物を得た。
【0057】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有するカフェ酸糖転移物が19%、グルコース重合度が2の糖質部分を有するカフェ酸糖転移物が9%、グルコース重合度が3以上の糖質を有するカフェ酸糖転移物が7%、未反応のまま残ったカフェ酸が65%であった。
【0058】
【実施例4−2】
実施例1−2の方法に準じて、実施例4−1で得られたサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ処理後の反応液に、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、実施例4−1におけると同様に、ろ紙でろ過して、さらに、合成吸着剤(商品名『HP10』、三菱化学株式会社製)に負荷して吸着させ、水で洗浄して澱粉部分分解物を溶出させた後、20乃至30%(w/w)エタノール水溶液で溶出した画分を回収し、減圧乾固し、本発明の抗微生物剤に用いるカフェ酸糖転移物を得た。
【0059】
これを常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に供し、紫外部吸収を測定し組成比(モル比)を求めたところ、グルコース重合度が1の糖質部分を有するカフェ酸糖転移物が78%、グルコース重合度が2の糖質部分を有するカフェ酸糖転移物が3%、グルコース重合度が3以上の糖質部分を有するカフェ酸糖転移物が1%、未反応のまま残ったカフェ酸が18%であった。
【0060】
【実施例5】
<ターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物の調製>
モモタマナ属のターミナリア ベリリカ (Terminalia bellirica)の果実部1質量部をブレンダーにより粉砕し、10質量部の50%(w/w)エタノール水溶液を加え、50℃で60分間攪拌した。ろ紙でろ過して、ろ液を採取し、遠心分離により固形成分を除去した上清を減圧乾燥して固形分を得た。この固形分1質量部を、実施例1−1の方法に準じて、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、実施例1−2の方法に準じて、適量の水酸化ナトリウムを添加してpH4.5に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり50Uのグルコアミラーゼ(商品名『グルコチーム』、ナガセ生化学工業株式会社製)を加え、40℃で20時間インキュベートした。次いで、80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、ろ液を採取し、減圧乾固して、本発明の抗微生物剤に用いるターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物を得た。
【0061】
このろ液を常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法に供し、没食子酸糖転移物の含量を測定したところ、固形分当り、有効成分である没食子酸糖転移物は8mg/g、没食子酸は7mg/gであった。また、微量ながら、ペンタガロイルグルコースの糖転移物が検出された。
【0062】
【実施例6】
<藍抽出物の糖転移物>
タデ藍(Polygonum Tincorium)の地上部1質量部をブレンダーで粉砕した後、水1.5質量部を加え、ミキサーで攪拌した。ろ紙でろ過して、ろ液を採取し、121℃で10分間加熱し、遠心分離をして固形分を除去し、上清を回収した。次に、この上清を減圧乾燥して固形分を得た。これを実施例1−1の方法に準じて、藍抽出物1質量部に対し、10質量部の澱粉部分分解物(DE8、商品名『パインデックス#1』、松谷化学株式会社製)とともに200質量部の水に添加して加熱溶解した。適量の水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整した後、澱粉部分分解物1gあたり200Uのサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を加え、40℃で24時間インキュベートした。その後、100℃で20分間インキュベートして酵素を失活させた後、ろ紙でろ過して、ろ液を採取し、減圧乾固して、本発明の抗微生物剤に用いるタデ藍抽出物の糖転移物を得た。
【0063】
このろ液を常法の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法に供し、カフェ酸糖転移物の含量を測定したところ、固形分当り、有効成分であるカフェ酸糖転移物は5mg/g、カフェ酸が12mg/gの濃度で含まれていた。
【0064】
【実施例7】
<口腔清浄剤>
常法にしたがって、下記に示す口腔清浄剤の基本処方に対して、実施例1−1の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−1の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−1の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−1の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物をそれぞれ濃度1%(w/w)になるように配合して液状の口腔清浄剤を得た。
【0065】
エタノール 40質量部
グリセリン 15質量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1質量部
サッカリン 適量
香料 適量
クロルヘキシジン 適量
水 44重量部
【0066】
本例の口腔洗浄剤は、通常のうがい薬と同様に常用することによって、口腔内のグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物性を示す。例えば、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属及びカンディダ属の微生物の増殖を効果的に抑制し、それらが発症原因をなる各種疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0067】
【実施例8】
<錠剤>
常法にしたがって、マルトース粉末に、実施例1−2の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−2の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−2の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−2の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物をそれぞれ濃度1%(w/w)になるように配合した後、打錠機により、直径1cm、厚さ3.2mmに打錠し、一錠0.5gの錠剤を得た。
【0068】
本例の抗微生物剤は、通常の錠剤と同様に常用することによって、生体内で速やかに溶解し、生体における微生物の増殖を抑制し、かつ、生体における持続性が優れるので長時間抗微生物効果を発揮することから、グラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物性を示す。例えば、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0069】
【実施例9】
<練歯磨>
常法にしたがって、下記に示す練歯磨の基本処方に対して、実施例1−1の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−1の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−1の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−1の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物を、それぞれ濃度1%(w/w)になるように配合した後、アルミニウムラミネートチューブへ100gずつ充填してペースト状の抗微生物用の練歯磨を得た。
【0070】
第二燐酸カルシウム 42質量部
グリセリン 18質量部
カラギーナン 0.9質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.1質量部
香料 適量
サッカリン 適量
水 38質量部
【0071】
本例の抗微生物用の練歯磨は、通常の練歯磨と同様に常用することによって、口腔におけるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物効果を示す。したがって、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0072】
【実施例10】
<トローチ剤>
常法にしたがって、下記に示すトローチ剤の基本処方に対して、実施例1−1の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−1の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−1の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−1の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物をそれぞれ濃度1%(w/w)になるように配合し、成形して固状の抗微生物用のトローチ剤を得た。
【0073】
マルトース 35質量部
澱粉 34質量部
結晶セルロース 10質量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10質量部
ステアリン酸マグネシウム 1質量部
【0074】
本例の抗微生物用のトローチ剤は、通常のトローチ剤と同様に常用することによって、口腔内で速やかに溶解し、口腔内におけるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物効果を示す。したがって、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0075】
【実施例11】
<液剤>
常法にしたがって、イソロイシンを4質量%含有する注射用精製水に、実施例1−2の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−2の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−2の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−2の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物を濃度1%(w/w)になるように溶解させた後、精密濾過、容器に充填して液状の抗微生物効果を有する液剤を得た。
【0076】
本例の抗微生物効果を有する液剤は、注射用剤、経粘皮用剤、経鼻腔用剤、経口用剤などとして、気道、鼻腔、口腔、視覚器、消化器、泌尿器、生殖器などにおけるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物効果を示す。したがって、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0077】
【実施例12】
<軟膏>
常法にしたがって、実施例1−1の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−1の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−1の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−1の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物を濃度1%(w/w)になるように適量の燐酸緩衝生理食塩水(pH7.2)に溶解し、その水溶液100質量部を無水結晶マルトース49質量部と均一に配合した後、さらに450質量部の白色ワセリンと練り合わせて抗微生物用の軟膏を得た。
【0078】
本例の抗微生物用の軟膏は、皮膚外用剤、経粘皮用剤などとして、皮膚、泌尿器、生殖器などにおけるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物効果を示す。したがって、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0079】
【実施例13】
<点眼剤>
常法にしたがって、下記に示す点眼剤の基本処方に対して、実施例1−2の方法により得た没食子酸糖転移物、実施例2−2の方法により得た没食子酸n−プロピル糖転移物、実施例3−2の方法により得た没食子酸オクチル糖転移物、実施例4−2の方法により得たカフェ酸糖転移物、実施例5の方法により得たターミナリア ベリリカ抽出物の糖転移物、又は実施例6の方法により得たタデ藍抽出物の糖転移物を濃度1%(w/w)になるように配合して液状の抗微生物用の点眼剤を得た。
【0080】
トレハロース(2含水物) 20質量部
塩化ナトリウム 0.04質量部
塩化カリウム 0.02質量部
燐酸2水素ナトリウム 0.03質量部
硼砂 0.04質量部
塩化ベンザルコニウム 0.004質量部
精製水 80質量部
【0081】
本例の抗微生物用の点眼剤は、通常の点眼剤と同様に常用することによって、視覚器におけるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母などに抗微生物効果を示す。したがって、バチラス属、ミコバクテリウム属、シュードモナス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、サルモネラ属、クレブシラ属、プロテウス属、ビブリオ属、シゲラ属、ヘリコバクター属、クラミジア属、アスペルギルス属、カンディダ属の微生物が発症原因になる疾患を効果的に治療・予防することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の抗微生物剤は、生体に対する毒性が低いうえ、水溶性に優れ生体内における持続性に優れるので、注射又は経皮、経粘皮、経鼻腔若しくは経口経路など生体に適用することによって、生体にとって好ましくない微生物の増殖を著明に抑制することができる。したがって、鼻腔、口腔、食道や気道、さらには視覚器、消化器、泌尿器、生殖器などへ侵入した微生物が発症原因となる、例えば、肺炎などの呼吸器系疾患や、動脈硬化、虚血性心疾患などの循環器系疾患、結膜炎などの視覚器系疾患、直腸炎などの消化器系疾患、尿道炎などの泌尿器系疾患、副睾丸炎、卵管炎、子宮頚管炎、切迫早産、卵管の炎症、癒着、閉塞などの生殖器系疾患、食中毒などの治療、予防に著効を発揮する。
とりわけ、本発明の抗微生物用口腔用剤は、抗生物質を有効成分とする経口用剤とは違って、耐性菌の出現を招来したり、長期間連用しても大腸における有用な菌叢を破壊する恐れが少ないないので、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘、膨満感を生じたり、倦怠感、発湿などの副作用を惹起する恐れが少ない。
Claims (1)
- カフェ酸にグルコース重合度が1乃至5の糖質がα−グルコシド結合で付加した糖転移物を有効成分として含有してなる、バチラス属、エッセリシア属、スタフィロコッカス属、ヘリコバクター属、及びカンディダ属に属する微生物を適用対象とする抗微生物剤。
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