JP4568836B2 - 実時間瞳孔位置検出システム - Google Patents
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Description
川口剛,モハメッドリゾン,日高大輔「ハフ変換と分離度フィルタによる人物顔からの両目の検出」電子情報通信学会論文誌D-II, Vol.J84-DII, No.10, pp.2190-2200 (2001)
この後で述べる複数の光源と画像差分を用いることにより眼鏡反射が眼鏡レンズ上に現れても、瞳孔像に重ならない限り検出可能である。顔が背景よりも光源の影響を明るくなりやすいため顔領域が判別しやすくする。
黒目に比較して瞳孔は目蓋に隠れにくいため、黒目の中心を瞳孔中心として検出するより、瞳孔中心を直接求めることにより、高い検出精度を得る。
本発明の目的は、マーカー等を用いることなく非接触で、実時間の瞳孔の検出が可能になる実時間瞳孔検出装置を提供することにある。
細部の効果としては、いくつかの閾値に経験値を利用したが、一度決定すると他の被験者でも閾値を変更せずにほぼ同様に使用できる。したがって、本システムでは、初めての被験者でもすぐに瞳孔検出が開始できる。
本発明は眼の座標を検出することは当然可能であるが、本質は精密に瞳孔中心を検出できることであり、ばらつきがほとんどない。
瞳孔を容易に検出するため、本システムでは顔に対して近赤外の照明を与えた。一般に、カメラから離れた場所からの照明の場合、瞳孔は周囲よりも暗く写る傾向が現れる(暗瞳孔)。しかし、瞳孔より暗く写る部分は背景を含めて他に多々存在する。一方で、カメラの開口部近くに光源を設置すると、瞳孔は周囲よりも明るく写る傾向(明瞳孔)、いわゆる赤目現象に相当する現象が生じる。
しかし、この場合も、周囲が明るいと瞳孔よりも明るい部分が他に存在し、やはり瞳孔の検出は難しい。そこで、カメラ開口部に近い光源と遠い光源を用意し、それらをビデオ信号の奇数、偶数フィールドに同期させ点滅させる。得られる明瞳孔画像と暗瞳孔画像を差分し、瞳孔以外の部分を相殺させると瞳孔部を浮き上がらせることができ、瞳孔検出が容易になる。
各カメラにおいて、それ自体に取り付けられた光源が点灯するフィールドでは、図2の(a)のように明瞳孔画像が得られ、もう一方のカメラに取り付けた光源が点灯するフィールドでは、図2の(b)のように暗瞳孔画像が得られた。明瞳孔画像から暗瞳孔画像を差分すると、基本的に図2の(c)のように瞳孔部が明るく浮き彫りになった。他にも首筋など明るい部分が存在するが画像処理でそれらを区別し、各カメラにおいて2個もしくは1個の瞳孔の2次元座標を画像処理に従ってサブピクセルで求めた。
狭角カメラは、検出された瞳孔の3次元位置に向けるために、高速のパン・チルト台(Directed Perception社,PTU-D46)に取り付け、画像処理も行う同一のパソコン(Pentium(登録商標)4, 3GHz)によりRS232Cを介して制御した。画像入力ボードにはMatrox社製Meteor2 MC/4を用いた。計3台のカメラには、近赤外領域に比較的強い感度を持つSONY XC-EI50を用いた。カメラのAGC は使用しなかった。
ア.顔全体がフレームに十分入る大きさで撮影するものとし、瞳孔は2個とも検出する。瞬き等で瞳孔が写っていない場合は、そのことが明確にわかるようにする。
イ.差分画像において睫毛,目蓋,髪の毛,服などが写り、瞳孔と誤判断するのを防ぐために、第1に、顔領域を抽出し、その中のみについて瞳孔を探索する。第2に、瞳孔にウインドウを与えて、その中だけを探索する。
ウ.眼鏡反射が瞳孔に重ならない限り、瞳孔を捕らえられるようにし、瞳孔中心はサブピクセル単位で高精度に検出する。
エ.カルマンフィルタにより、次フレームにおいて与えるべきウインドウの位置を予測し、速い頭部運動に対応できるようにする。ウインドウ内にて瞳孔が検出されなくなったら、ウインドウを解除し、瞬目を利用して瞳孔にウインドウを再度与える。
流れ図中の(1) の内容は、前処理(差分画像と顔領域差分画像の作成)で後述する。
流れ図中の(2) の内容は、瞬目による瞳孔検出(目領域差分画像の取得と瞳孔の有無の判断等)で後述する。
流れ図中の(3) 内容は、ウインドウ内における高精度瞳孔中心算出で後述する。
(a)もし、前のフレームで2個の瞳孔が検出されていた場合、現在のフレームの差分画像において、カルマンフィルタによって予測される2個の瞳孔位置にウインドウ(21×21)を与え、(3) で述べた方法で瞳孔中心を精密に算出する。
(b)もし、前のフレームで瞳孔が1個も検出されなかった場合には、現在のフレームでは1つのウインドウも与えない。この場合は、まず、(2) で述べた方法により、目領域差分画像を作成し、最大値を示す画素を探索し、第1瞳孔候補の座標とする(低精度中心算出)。その座標を中心にした21×21画素のマスクを与え、マスク外で最大値を示す座標を求め、第2瞳孔候補の座標とする(低精度中心算出)。次に、両瞳孔候補のy座標の差が50未満であったら、両候補は共に瞳孔であると判断し、両瞳孔の座標を記録し、それを次のフレームにおいて、(3) で述べたカルマンフィルタの初期値として用いる。50以上であったら、両候補は共に瞳孔ではないと判断する。
(c)もし、前のフレームで片方の瞳孔のみが検出された場合、カルマンフィルタによって予測される瞳孔の位置にウインドウ(21×21)を与え、(3) の方法で瞳孔中心を高精度算出する。さらに、同位置をマスクし、目領域差分画像において、もう一方の瞳孔中心座標を最大値探索により低精度検出する。
瞳孔の低精度中心算出が行われると、2個の瞳孔中心のy座標が50画素以上離れていないと、必ず瞳孔中心候補座標が選択される。しかし、次のフレームにおいては、予測される位置にウインドウが与えられ、ウインドウ内で高精度中心算出が行われる。この際に、実際は瞳孔が存在しなければ、瞳孔がないと判定される。そのため、低精度算出が行われた段階では、その座標を出力せず、次のフレームの高精度中心算出の時点で、瞳孔の存在を判定したら、出力するようにする。
図3は、顔領域2値画像と顔領域差分画像を示す図である。
画像ボードを利用してパソコンメモリー上に画像(640×480画素)を取り込む。画像を奇数,偶数フィールドに分離して、それぞれを320×240画素でメモリー上にコピーする。
以下は、コピーされた画像を元に瞳孔検出を行う。眼鏡反射除去のために、Pタイル法により明瞳孔画像の高輝度部を除去してから、暗瞳孔画像を差分する。
差分後に平滑化を行う。この時点での画像を単に差分画像と呼ぶことにする。差分画像においては、顔以外の背景部分や顔と背景の境界部分に瞳孔と特徴が類似した部分が存在する場合があり、誤検出の原因となる。そこで、まず画像全体から画像内で顔領域を検出し、顔領域内で瞳孔を探索する。本方法では、顔全体を照明しているため、生画像においてカメラおよび光源から近い位置にある顔が背景よりも明るく写る。これを顔領域の判別に利用する。まず、差分画像ではなく奇数フィールド画像または偶数フィールド画像(明瞳孔を含む画像または暗瞳孔を含む画像)を判別分析法により2値化する。
瞳孔部にウインドウを与えると、他の部分を瞳孔と誤判断するのを防げる点では有効だが、瞬目の間に頭が動いてウインドウ外に瞳孔が出てしまった場合は瞳孔が検出できなくなる。そのため、ウインドウを一度解除して広い範囲を瞳孔探索し、再度、瞳孔にウインドウを与える。このときの誤判断を極力避けなければならない。そこで、瞬目時に生じる画像変化を利用して目の領域を限定してから、瞳孔を検出する。まず、最新の奇数フィールド画像と数フレーム前(例えば4フレーム前)の奇数フィールド画像の絶対値差分画像を得る。Pタイル法で輝度の高いから15%の閾値を求め2値化を行い、目領域の2値画像を得る(図4の(a))。これと、現在のフレームの顔領域差分画像との論理積演算を行い、目領域差分画像を得る(図4の(b))。この画像では、眼領域は顔領域内として検出されるため、顔領域外において画像が変化する場所を目領域として誤って判断しない。また、口など他の動く部分が目領域2値画像の一部と誤って判断されても、顔領域差分画像において瞳孔と口などは特性が異なるため、それらの論理積である目領域差分画像では、誤って検出されることがない。
目領域差分画像は、処理時間軽減のために、前のフレームにおいて瞳孔が2個未満であったと判断されたときのみに作り利用する。
ウインドウは差分画像に対して与える。まず、ウインドウ内に眼鏡反射除去の残骸や目蓋など、動く部分が差分画像中において明るく写るため、それらが瞳孔と誤判断される確率を低下させるために、ウインドウの中央を最大値とした2次元正規分布関数を用いて重み付けを行う。
これは、カルマンフィルタで瞳孔位置を予測しているので、瞳孔がウインドウの中央に存在する確率が高いことを前提としているためである。
瞳孔の3次元計測をしたり、画像中に写る瞳孔の移動に合わせてパソコンのカーソルを動かそうとした場合などに、ピクセル単位での分解能では問題になる。高分解能で瞳孔中心を求めるには、重心法が一般的である。しかし、瞳孔に図6(b)に示すように、画像中に動く対象があると、瞳孔以外にも明るい部分として写る。この例では、目蓋である。このように、瞳孔近傍に同様に明るい部分が存在すると、重心を求める際のサンプル領域の広さの選択が問題となる。特に瞳孔の大きさは変化するため厄介である。一方で、最近、円形に近い黒目の検出のために、円形状のマスクを用いた分離度フィルタが用いられることがある。しかし、分離度が最大になる座標を求めるという方法ではピクセル単位の分解能でしか座標が検出できない。テンプレートマッチングも同様である。
そこで、分離度と輝度を考慮した重心法の混合法を提案する。
さらに、瞳孔特徴量P(x,y)を次式(1) のように定義し、ウインドウ内について求めた。
P(x,y)=I(x,y)・SM (x,y) (1)
ここで、注目すべき点は、ウインドウ内の差分画像が図6の(b)のように目蓋が写っている場合で、P(x,y)を示す画像は図6の(c)のようになり、目蓋が消えてほぼ瞳孔の中心部だけが高い値を持つ画像になることである。なお、瞳孔は通常は円であるが、正方形のマスクでも十分に高精度に検出できる。正方形のマスクを使用することにより、細長い形状のものはSM (x,y)が小さくなり、瞳孔と誤検出されにくい。
このように、高精度中心算出では瞳孔の有無が判断できて、低精度中心算出ではできない可能性が高いのは、低精度中心算出では、単に最高輝度を示す座標を探索しているからであり、眼鏡反射や眼鏡フレーム反射などの残骸が、瞳孔として誤認識される確率が高い(瞳孔のそばにあるためでもある。)。それに対して、高精度中心算出では、単に輝度だけでなく、対象が正方形に近いかどうか(横長や縦長ではなくて)を考慮する方法になっているからである。
C2 カメラ
L1 光源
L2 光源
Claims (4)
- 明瞳孔を含む顔画像と暗瞳孔を含む顔画像を撮像することができる撮影手段と、前記撮影手段の出力を処理演算する画像処理演算装置を用いて、
顔領域の差分画像を得る前処理ステップと、
前記前処理ステップにおいて得られた顔領域の差分画像における瞬目時に生じる画像変化により目領域差分画像を作成することで瞳孔を検出する瞳孔検出ステップと、
前記瞳孔検出ステップにおいて検出された瞳孔に基づき瞳孔の中心を算出する低精度中心算出ステップと、
検出された瞳孔にウインドウを与えてウインドウ内で瞳孔の中心を算出する高精度中心算出ステップと、
からなるフレームを繰り返し実行する実時間瞳孔位置検出システムにおいて、
各フレームにて、
前記前処理ステップを行い、
前のフレームで瞳孔が1個も検出されなかった場合は、前記瞳孔検出ステップに続けて前記低精度中心算出ステップを行い第1瞳孔および第2瞳孔の中心を算出し、
前のフレームで何れか一方の瞳孔が検出されなかった場合は、検出された瞳孔に対して前記高精度中心算出ステップを行い中心を算出し、検出されなかった瞳孔に対して前記瞳孔検出ステップに続けて前記低精度中心算出ステップを行い中心を算出し、
前のフレームで2個の瞳孔が検出された場合は、各瞳孔について、前記高精度中心算出ステップを行い中心を算出する、
ことを特徴とする実時間瞳孔位置検出システム。 - 前記前処理ステップは、前記明瞳孔を含む顔画像と暗瞳孔を含む顔画像の差分画像と、顔領域を区別する2値画像を作り、それらの論理積により顔領域差分画像を得るステップであることを特徴とする請求項1に記載の実時間瞳孔位置検出システム。
- 前記低精度中心算出ステップは、前記瞳孔検出ステップにおいて作成した目領域差分画像における輝度に基づき瞳孔の中心を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の実時間瞳孔位置検出システム。
- 前記高精度中心算出ステップは、ウインドウ内での輝度および分離度に基づき瞳孔の中心を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の実時間瞳孔位置検出システム。
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