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JP4566396B2 - インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報(文字情報等を含む)に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録媒体に画像(文字等を含む)を記録していくように構成されている。前記記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分けることができる。
上記記録装置のうち、インクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から被記録媒体にインクを吐出して記録を行うものであり、他の記録方式に比べて高精細化が容易でしかも高速で静粛性に優れ、かつ安価であるという優れた特徴を有する。
【0003】
また、近年においては、高精彩なカラー画像を出力可能な記録装置のニーズも高まりつつあり、複数の色のインクを吐出してカラー画像を記録可能なカラーインクジェット記録装置も数多く開発されている。
【0004】
上述のようなインクジェット記録装置としては、記録速度の向上のため、複数の記録素子を集積配列してなる記録ヘッドとして、インク吐出部としてのインク吐出口及び液路を複数集積したものを用い、さらにカラー対応として、複数個の前記記録ヘッドを備えたものが一般的である。
【0005】
図1は前記記録ヘッドで記録紙面上を印字していく際のプリンタ部の構成を示したものである。同図において、101で示す各構成はインクカートリッジである。これらは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のカラーインクがそれぞれ詰め込まれたインクタンクと、記録ヘッド102により構成されている。この記録ヘッド102には、複数の吐出口からなる吐出口列が形成されている。図2は、記録ヘッド102上に配列される複数の吐出口の様子を、図1に示す矢印z方向から見た概略図である。図2において、201は記録ヘッド102上に複数配列された吐出口である。
【0006】
また、図1において、103は紙送りローラで104の補助ローラとともに記録紙Pを抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録紙Pを副走査方向であるY方向に沿って、上流側から下流側へ随時送っていく。また105は給紙ローラであり記録紙の給紙を行うとともに、103、104と同様、記録紙Pを抑える役割も果たす。106は4つのインクカートリッジを支持し、印字とともにこれらを移動させるキャリッジである。これは印字を行っていないとき、あるいは記録ヘッドの回復作業などを行うときには、図の点線で示したホームポジション(h)に待機するようになっている。
【0007】
印字開始前、ホームポジションにあるキャリッジ106は、印字開始命令がくると、図1において矢印Xで示す方向へ沿って移動しながら、記録ヘッド102の吐出口面に形成された複数の吐出口201より、記録データに従ってインクを吐出することで記録を行う。紙面端部までデータの印字が終了するとキャリッジは元のホームポジションに戻り、再びX方向に対する移動とともに印字を行う。
【0008】
イメージ画像等を印字する場合には、発色性、階調性、一様性など様々な要素が必要となる。特に一様性に関しては、記録ヘッド製造工程で生じるわずかなノズル単位のばらつきが、印字したときに、各ノズルのインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的には印字画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となることが知られている。
【0009】
その具体例を図3、図4を用いて説明する。図3(a)において、31は記録ヘッドを模式的に示した図であり、この記録ヘッド31に設けられるノズル列は、8個のノズル32によって構成されている。また、33はノズル32よって吐出されたインクドロップレット(以下、「インク滴」もしくは単に「インク」とも称する。)を示している。また、図3(b)は、記録ヘッド31のノズル列により周期的にインクを吐出して形成した画像の一例を示しており、この図では、記録ヘッドを移動させながら、各ノズルにより8ドットずつ記録を行った例を示している。また、図3(c)は、図3(b)に示す画像の光学濃度を示すグラフであり、この図3(c)では、横軸が濃度に対応している。
【0010】
記録ヘッド31から吐出されるインク滴は、図3(a)に示すように揃った吐出量で、揃った方向に吐出されるのが理想である。このように理想的に吐出が行われれば、図3(b)に示したように紙面上に揃った大きさのドットが着弾され、その結果、図3(c)に示すように、全体的にも濃度ムラの無い一様な画像が得られることとなる。
【0011】
しかし、実際には先にも述べたようにノズル1つ1つにはそれぞれバラツキがあり、そのまま図3に示すようにインクを吐出して印字を行うと、ノズルより吐出されるインクドロップの大きさ及び向きのバラツキが原因となって濃度ムラを生じてしまう。
【0012】
図4は、記録ヘッドの複数のノズルにばらつきが生じた場合の、濃度ムラを説明する模式図である。図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ、図3(a)、(b)、(c)に対応するものであり、それぞれ比較することで、理想的に記録が行われる状態と、複数のノズルにばらつきがあって記録が行われる状態とを対比することができる。
【0013】
図4(a)は、記録ヘッドと、記録ヘッドのノズルから吐出されるインク滴の大きさや方向にばらつきが生じている状態を示している。図4(a)に示すようにそれぞれのノズルより吐出されるインクドロップの大きさ及び向きにバラツキがあった場合、紙面上においては図4(b)に示すように着弾される。この図によれば、ヘッド主走査方向に対し、周期的にエリアファクター100%を満たせない白紙の部分が存在したり、また逆に必要以上にドットが重なり合ったり、あるいはこの図中央に見られる様な白スジが発生したりしている。この様な状態で着弾されたドットの集まりはノズル並び方向に対し、図4(c)に示した濃度分布となり、結果的には、通常人間の目でみた限りで、これらの現象が濃度ムラとして感知される。また、紙送り量のバラツキに起因するスジも目立つ場合がある。
【0014】
上述したような濃度ムラの対策として、特開平06−143618号公報には、濃度ムラを低減させる方法が開示されている。以下、図5を参照して、その方法を簡単に説明する。
【0015】
図5に示す記録動作は、図3(b)、図4(b)で示した記録領域を、記録ヘッド31を3回走査することにより完成させるものであり、図5(a)に示す31a、31b、31cは、それぞれ1回目、2回目、3回目の走査における記録ヘッド31の相対位置を表している。この記録動作では、記録ヘッドを走査する毎に、副走査方向(図においては記録ヘッドのノズルの配列方向)へ沿って記録ヘッド31と記録紙とを相対移動させており、また、その相対移動の量は、記録ヘッド31に設けられる8ノズルの半分に対応した量である。
【0016】
この図5に示す記録動作の方法によると図3(b)、図4(b)で示した印字領域に対して記録ヘッド31を3回走査しているが、印字領域の半分、つまり、4ノズル分に対応する領域は、記録ヘッドの2回の走査(以下、2パス)で完成している。この場合記録ヘッドの8個のノズルは、上側の4ノズルと下側の4ノズルの2グループに分けられ、1ノズルが1回の主走査で印字するドットは、規定の画像データを、ある所定の画像データ配列に従い、約半分に間引いたものである。そして2回目の主走査時に残りの半分の画像データへドットを埋め込み、4画素単位領域の印字を完成させる。以上の様な記録方法を、以下マルチパス記録方法と称す。尚、図5に示す記録方法は、所定の領域が2回の走査で完成されていることから、2パス記録方法とも称する。
【0017】
この様な記録方法を用いると、図4で示した記録ヘッドと等しいものを使用しても、各ノズル固有の印字画像への影響が半減されるので、印字された画像は図5(b)の様になり、図4(b)のような黒スジや白スジが余り目立たなくなる。従って、濃度ムラも図5(c)に示す様に図4の場合と比べ、かなり緩和される。この様な記録を行う際、1主走査目と2主走査目では、画像データをある決まった配列に従い互いに埋め合わせる形で分割するが、通常この画像データ配列とは図6に示すように、縦横1画素おきの、千鳥格子状になるようなものを用いるのが最も一般的である。従って、単位印字領域(ここでは4画素単位)に於いては千鳥格子を印字する1主走査目と、逆千鳥格子(1走査目とは逆のパターン)を印字する2主走査目によって印字が完成されるものである。図6の(a)、(b)及び(c)は、それぞれこの千鳥、逆千鳥の間引きパターンを用いたときに一定の領域の記録がどのようになされていくかを、説明するためのものである。なお、この図6においても、31a、31b、31cは、それぞれ1回目、2回目、3回目の走査における記録ヘッド31の相対位置を示すものである。
【0018】
図6において、まず1主走査目では、下4ノズルを用いて千鳥の間引きパターンの記録を行う(図6(a))。次に2主走査目には紙送りを4画素(ヘッド長の1/2)だけ行い、逆千鳥の間引きパターンの記録を行う(図6(b))。更に3主走査目には再び4画素(ヘッド長の1/2)だけの紙送りを行い、再び千鳥の間引きパターンの記録を行う(図6(c))。この様にして順次4画素単位の紙送りと、千鳥、逆千鳥の間引きパターンの記録を交互に行うことにより、4画素単位の記録領域を1主走査毎に完成させていく。
【0019】
以上説明したように、同じ領域内に異なる2種類のノズルにより画像が完成されていくことにより、濃度ムラの無い高画質な画像を得ることが可能である。
【0020】
また、特開平06−135014号公報は、黒画像とカラー画像の隣接境界におけるにじみを防止した高品位な画像を記録する技術を開示している。その方法を簡単に説明すると、ブラックインクで印字を行う黒画像とカラーインクで印字を行うカラー画像が隣接する場合には、黒画像を形成する走査(上記X方向への走査)とカラー画像を記録する走査(上記X方向への走査)とが連続して行われないようにブラックインク吐出用の吐出群のうち所定の吐出部を使用する事で、黒画像とカラー画像の隣接境界におけるにじみ(ブリード)を防止した高品位な画像記録を達成させている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平06−135014号公報には、記録ヘッドを往方向への走査時と復方向への走査時の両方において記録を行う往復記録に関して着目した記載は無い。
【0022】
上述したようなマルチパス記録方法により往復記録を行った場合の色ムラに着目して検討したところ、少なくとも2種類の吐出口列からインク吐出を行い各々の画像領域を完成させる場合に、第1の吐出口列で完成させる第1の画像領域と第2の吐出口列で完成させる第2の画像領域の重複画像領域内で、往復記録による時間差がある画像領域間で色ムラが発生することが確認できた。この現象は、第1の吐出口列で完成させられた第1の画像領域の記録媒体への浸透状態や定着状態が時間に応じて変化しているため、このように時間に応じて状態変化している第1の画像領域に、第2の吐出口列から吐出されたインクが重複又は隣接すると、重複又は隣接するまでの時間に応じて重複又は隣接したインクの記録媒体への浸透状態や定着状態が異なることに起因するものである。
【0023】
さらに、上記特開平06−135014号公報には、上述したようなマルチパス記録方法に着目した記載も無い。この点について、マルチパス記録方法における色間のにじみにも注目し検討したところ、1パス記録方法と異なる特性であることを発見した。また、にじみ以外にも、複数色のインクが記録媒体に着弾したときに、記録媒体上におけるインク滴の押し合いにより記録部が白っぽくなる現象についても、上記1パス記録方法により記録を行ったときと、上記マルチパス記録方法により記録を行ったときとでは異なる。これらの現象の差は、マルチパス記録方法が濃度ムラを防止する効果以外に、所定の単位面積に対して単位時間あたりに記録するドット数が少ないことで、記録媒体に対する浸透状態や定着状態が1パス記録方法と変化することに起因している。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記問題点に着目してなされたものであり、往復記録において発生する色ムラを防止し、さらにはマルチパス記録方法で発生する特有の色間でのにじみを低減した高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0025】
上述の課題を解決する本発明は、ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、前記記録手段の吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録する記録制御手段とを備え、前記記録制御手段は、第1の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回、1回の主走査毎に前記副走査手段により前記記録媒体を副走査する量をL(Lは正の数)とし、前記副走査方向の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が下流側へ(m+a)×Lの長さ離れていて、aの値を(m+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、前記第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回で、1主走査毎に副走査方向への記録媒体を搬送する搬送量をL(Lは正の数)とし、前記記録媒体の副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記副走査方向へ(n+a)×Lの長さ離れていて、aの値は(n+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に前記副走査方向へ前記記録媒体を副走査する量を少なくとも2種類備え、前記副走査手段による副走査の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも2種類の副走査の量を用いて(m+a)回連続して搬送する搬送量の長さに等しく、且つaの値を(m+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、前記第1の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に行う前記副走査手段による副走査の量を少なくとも2種類備え、前記副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも前記2種類の副走査の量を用いて(n+a)(aは正の整数)回連続して副走査する量の長さに等しく、aの値は(n+a)が偶数となる値となるよう制御することを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
図7は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。なお、インクジェット記録装置の機械的構成は図1に示したものと同様で、記録ヘッドを主走査方向に沿って走査して記録を行うシリアル方式の記録装置である。
【0031】
図7で、メインバスライン705に対して夫々アクセスする画像入力部703、それに対応する画像信号処理部704、中央制御部700といったソフト系処理手段と、操作部706、回復系制御回路707、インクジェットヘッド温度制御回路714、ヘッド駆動制御回路715、主走査方向へのキャリッジ駆動制御回路716、副走査方向への紙送り制御回路717といったハード系処理手段とに大別される。
【0032】
図7に示す中央制御部700は、通常ROM701とランダムメモリ(RAM)702を有し、CPU720の制御によって、入力情報に対して適正な記録条件を与えて記録ヘッド713を駆動して記録を行う。又,RAM702内には、予めヘッド回復タイミングチャートを実行するプログラムが格納されており、必要に応じて予備吐出条件等の回復条件を回復系制御回路707、記録ヘッド、保温ヒータ等に与える。回復系モータ708は、前述したような記録ヘッド713とこれに対向離間するクリーニングブレード709やキャップ710、吸引ポンプ911を駆動する。
【0033】
記録ヘッド713は、インクを吐出するインクジェット方式の記録ヘッド(以下、インクジェットヘッドともいう)である。本実施形態では、記録ヘッド713は、インクを吐出するための吐出手段としてインクに熱エネルギーを与える電気熱変換体を備え、熱エネルギーの印加によってインク中に気泡を発生させて記録ヘッド713の吐出口からインクを吐出させる、いわゆるバブルジェット方式の記録ヘッドである。また、本実施形態では、電気熱変換体としてヒータを採用している。
【0034】
ヘッド駆動制御回路715は、記録ヘッド713のインク吐出用電気熱変換体の駆動条件を実行するもので、通常予備吐出や記録用インク吐出を記録ヘッド713に行わせる。
【0035】
一方、記録ヘッド713のインク吐出用の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられており、記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調整することができるよう構成されている。また、ダイオードセンサ712は、同様に前記基板に設けられているもので、実質的な記録ヘッド内部のインク温度を測定するためのものである。尚、ダイオードセンサ712は、基板上ではなく外部に設けられていても良く記録ヘッドの周囲近傍にあっても良い。
【0036】
本発明による記録動作は、記録ヘッドを主走査方向へ走査しながら記録を行う記録動作と、記録媒体を副走査方向へ搬送(副走査)する動作とを繰り返し、記録媒体に対する画像形成を行うものであり、これらの制御については上述した中央制御部700の制御により実行可能に構成されている。
【0037】
また、以下に説明する各実施形態に用いられる記録ヘッド(以下、記録手段とも称する)は、インクに熱エネルギーを印加する電気熱変換体を備えて、熱エネルギーによりインク中に気泡を発生させてインクを吐出口から吐出させる構成のものである。なお、本発明はこのような記録ヘッドの構成に限らず、圧電素子を用いてインクを吐出させる方式においても適用可能である。
【0038】
以上の装置構成に基づく、本発明のいくつかの実施形態について以下に説明する。
【0039】
(第1の実施形態)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドを示す概略図である。
【0040】
図8に示したブラックインクを吐出する第1の記録ヘッド801は、1インチ当たりの吐出口数N=600個の密度で(600dpi)、吐出口数n=24の吐出口(24ノズル)を有している。また、図8に示したカラーインクを吐出する第2の記録ヘッド802は、1インチ当たりの吐出口数N=600個の密度で(600dpi)、吐出口数n=8の吐出口(8ノズル)を有している。
【0041】
図8、および以下説明する実施形態においては、カラーインク用の記録ヘッドについて、一つのみ示しているが、記録に用いるカラーインクの数に対応させて、図の矢印x方向に複数のカラーインク用ヘッドを搭載してもよい。本発明は、一般的に用いられるブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に適用可能なものであり、このような構成の場合、図8においては第2の記録ヘッド802を、x方向へ3個備えたものとなる。また、各カラーインクについて、濃度を異ならせたインクを複数用いる場合にはその構成に応じて複数の記録ヘッドを搭載したものとしてもよい。
【0042】
また、図8において、各記録ヘッド内に示した丸印が吐出口を示しており、黒く塗った丸が本実施形態の記録制御により記録の際に使用する吐出口、白い丸印が記録の際に使用しない吐出口を表している。つまり、本発明の第1の実施形態における記録方法においては、ブラックインク用の第1の記録ヘッド801においては、インク吐出に使用する吐出口をn17〜n24までの8個とし、また、カラーインク用の第2の記録ヘッド802については、n1〜n8までの8個の全吐出口を使用する。また、各記録ヘッド間の吐出口(ノズル)の位置関係は、図中の矢印yで示す副走査方向については、同じ吐出口番号の位置で一致して配列され、図中の矢印xで示す主走査方向については、所定の間隔をおいて配置されている。なお、矢印yは、図中左下に示す矢印(図1において方向を示す矢印と同様の矢印)Yに沿った方向である。また、矢印xについても、図中左下に示す矢印Xに沿った方向である。
【0043】
また、図8に示したブラックインクを吐出する記録ヘッド801とカラーインクを吐出する記録ヘッド802については、図9に記録ヘッド901として示すように一体の記録ヘッドとして構成されても良い。
【0044】
また、図10の(1)および(2)に示すように、吐出口の配列を1列ではなく、複数列とした構成としてもよい。この図10(1)の記録ヘッド1001、1002、および図10(2)に示す記録ヘッド1003は、吐出口を2列とし、2列がそれぞれ偶数番目の吐出口に対応した吐出口列(以下、吐出口群ともいう)と奇数番目の吐出口に対応した吐出口列となっており、偶数番目の吐出口と奇数番目の吐出口とが千鳥状に配列された構成となっている。なお、図10(1)に示す構成は、ブラックインク用の記録ヘッド1001と、カラーインク用の記録ヘッド1002とが別体に構成されて分離可能なものであり、また、図10に示す記録ヘッド1003は、ブラックインク用の吐出口列と、カラーインク用の吐出口列とを一体に備えた構成となっている。
【0045】
また、図11に示すようにカラーインクを吐出する第2の記録ヘッド1102をブラックインク用の第1の記録ヘッド1101と同じ吐出口数のヘッドを使用し、この第2の記録ヘッド1102について、インク吐出に使用する吐出口をn1〜n8までの8個の吐出口としても良い。
【0046】
なお、図9乃至11に図示する内容は、図8に示す内容に対応するものであって、図8と同様に、記録ヘッド内部に示す黒丸が記録に使用する吐出口、白丸が記録の際に使用しない吐出口に対応する。
【0047】
また、このような、図10に示すように吐出口列を構成した記録ヘッドを用いる際の駆動信号は、先行する吐出口群が後追する吐出口群よりもd/v〔秒〕だけ早いタイミングで与えられる。d〔インチ〕は奇数番号と偶数番号の吐出口群の間の距離であり、v〔インチ/秒〕は記録ヘッドの主走査方向への走査速度である。
【0048】
なお、上述した記録ヘッドの構成において、図8の構成においては、第1の記録ヘッド801を第1の吐出口列、第2の記録ヘッド802を第2の吐出口列と称し、801、802を含めて記録手段と称することができる。図9の構成においては、ブラックインク用の吐出口列を第1の吐出口列、カラーインク用の吐出口列を第2の吐出口列とし、記録ヘッド901を記録手段と称することができる。また、図10(1)については、1001を第1の吐出口列、1002を第2の吐出口列と称して、1001と1002を含めて記録を行う構成であることから、記録手段と称することができる。また、図10(2)については、ブラックインク用の吐出口列、カラーインク用の吐出口列をそれぞれ第1の吐出口列、第2の吐出口列と称して、記録ヘッド1003を記録手段と称することができる。
また、図11の構成においては、記録ヘッド1101を第1の吐出口列、記録ヘッド1102を第2の吐出口列と称し、1101と1102を含めて記録手段と称することができる。
【0049】
また、使用したブラックインクのブリストウ法におけるKa値は、1.0[ml・m-2・msec-1/2]、カラーインクのブリストウ法におけるKa値は、7.0[ml・m-2・msec-1/2]であり、ブラックインクの方がカラーインクより浸透性が低い特性のため、ブラックインクのKa値は小さい。
【0050】
本発明の第1の実施形態における1パス記録による往復記録方法を図12、図13、図14を参照して説明する。
【0051】
図12は、本実施形態における記録方法で完成させる画像領域について、往復の各走査に対応させて説明する図を示しており、画像領域Aと画像領域BはA4サイズの記録媒体の両端に位置している。この図12において、xfwで示す矢印が往方向への走査方向をしめし、xbaで示す矢印が復方向への走査方向を示している。従って、ここでは奇数回数目の走査が往方向への走査に対応し、偶数貝目の走査が復方向への走査に対応している。また、図13は、本実施形態における各画像領域を完成させる主走査間での時間差を表す表である。また、図14は、各画像領域を完成させるまでに各主走査で記録される画像を説明する図を示している。
【0052】
まず、図14に示す1走査目でブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する17から24番目までの8ノズルを用いて、図14のブラックデータのある領域14aにあたる図12の画像領域Aの12a、続いて画像領域Bの領域12aを、1パスで記録する。
【0053】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに8dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、2走査目では、1走査目とは反対方向(図12の矢印xbaで示す方向)に記録ヘッドを走査し、ブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する17から24番目までの8ノズルを用いて、図14のブラックデータのある領域14bにあたる図12の画像領域Bの12b、続いて画像領域Aの12bの領域を1パスで記録する。このときの1走査目と2走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するときの1走査目と2走査目の時間差T2は0.15秒である。
【0054】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに8dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、3走査目では、1走査目と同じ方向(図12の矢印xfwで示す方向)に記録ヘッドを走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する全8ノズルを用いて、図14のカラーデータのある領域14cにあたる図12の画像領域Aの12c、続いて画像領域Bの12cの領域を1パスで記録する。このときの2走査目と3走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録する際の2走査目と3走査目の時間差T1は0.35秒である。
【0055】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに8dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、4走査目では、2走査目と同じ方向に走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する全8ノズルを用いて、図14のカラーデータのある領域14dにあたる図12の画像領域Bの12d、続いて画像領域Aの12dの領域を1パスで記録する。このときの画像領域Aを3走査目と4走査目で記録する時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録する際の時間差T2は0.15秒である。
【0056】
以上のように、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列に対して、カラーインクを吐出する第2の吐出口列の記録媒体を給紙する給紙方向側から使用する吐出口先端部の位置を、1回の記録媒体の搬送量L=8dot/600dpi、ブラックインクを吐出する第1の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数m=1、カラーインクを吐出する第2の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数n=1より、(m+a)が偶数となるa=1から(m+1)×L=(1+1)×8=16dot/600dpiの長さ離すという本発明を利用する。1走査目から3走査目で完成させる12a、12cの画像領域Aの時間差は、図13よりT1+T2=0.5秒、そして画像領域Bの時間差も、図13よりT2+T1=0.5秒となり同じ時間差となる。2走査目から4走査目で完成させる12b、12dも同様に画像領域Aの時間差は、図13よりT2+T1=0.5秒、そして画像領域Bの時間差も、図13よりT1+T2=0.5秒となり同じ時間差となり、時間差を等しくすることで色ムラを防止できる。
【0057】
つまり、上述した本実施形態は、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列に対するカラーインクを吐出する第2の吐出口列の吐出口端部の位置を、第1の吐出口列で画像を完成させる記録走査回数m、カラーインクを吐出する第2の吐出口列で画像を完成させる記録走査回数n、及び(m+a)が偶数となるaの条件、に従って決定した長さの分離し、往復走査によって記録を行うことで、色間の記録時間差を等しくするものであり、その結果、往復記録により発生する問題を解決し、高品位な画像記録を達成することが可能とである。
【0058】
本実施形態においては、ブリストウ法によるKa値が低いブラックインクを、ブリストウ法によるKa値が高いカラーインクより先に記録媒体に記録することで、記録媒体上での浸透性及び定着性の向上が行え、更にブラックを記録してからカラーを記録するまでの時間差を常に0.5秒空けることができるため色間(ブラックとカラー間)でのにじみ防止への効果が得られた。
【0059】
本実施形態において、以上のような制御を行うことにより、往復記録方法における色ムラと色間でのにじみを防止した高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0061】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る記録ヘッドと、記録動作において使用する吐出口の概略を示す図である。図15に示したブラックインクを吐出する第1の記録ヘッド1501は、1インチ当たりN=600個の密度で(600dpi)n=28個の吐出口(28ノズル)を有しており、本発明の第2の実施形態における記録方法においては、インク吐出に使用する吐出口をn17〜n28までの12個とする。また、図15に示したカラーインクを吐出する第2の記録ヘッド1502は、1インチ当たりN=600個の密度で(600dpi)n=12個の吐出口(12ノズル)を有しており、本発明の第2の実施形態における記録方法においては、n1〜n12までの12個の全吐出口を使用する。なお、第1の実施形態と同様に、図15において、黒く塗られた丸印が本実施形態の記録動作においてインク吐出に使用する吐出口を示している。また、各記録ヘッド間の吐出口(ノズル)の位置関係は、副走査方向(図中矢印y)については、同じ吐出口番号の位置で一致して配列され、主走査方向(図中矢印x)については、所定の間隔をおいて配置されている。尚、前記ブラックインクを吐出する記録ヘッドとカラーインクを吐出する記録ヘッドは、第1の実施形態で説明した様に、分離型でなく一体型の記録ヘッドとして構成されても良く、また吐出口(ノズル)列が1列でなく千鳥状に配列されていても良く、また第2の記録ヘッドの吐出口数が第1の記録ヘッドと等しい構成でも良い。また、本実施形態で使用するインクは、第1の実施形態と同じものを使用する。
【0062】
本発明の第2の実施形態におけるマルチパスでの往復記録方法を図16、図17、図18、図19を用いて説明する。
【0063】
図16は、本実施形態における記録方法で完成させる画像領域を示しており、画像領域Aと画像領域BはA4サイズの記録媒体の両端側に位置している。また、図17は、本実施形態における各画像領域を完成させる主走査間での時間差を示す表である。また、図18において(a)〜(c)で示すパターンは、相互に補完関係にある3種類の間引きパターンを示す図である。このパターンにおいて、格子状の内部が記録するドットの位置に対応し、また、黒で塗りつぶした位置がインクを吐出してドットを記録する位置であり、塗りつぶされていない位置は、間引かれてドットが記録されない位置である。従って、このような間引きパターンを用いて、記録ドットを示すデータをマスクすることで、パターンの黒で塗られた位置だけがマスクされずに記録されるようデータが変換されることとなる。
【0064】
まず、図19に示す1走査目で、記録ヘッドを矢印xfwの方向へ沿って走査し、ブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の25から28番目までの4ノズル(n25〜n28)を用い、図18の(a)で示す間引きパターンを用いて、図19のブラックデータのある領域19aに対応する図16の画像領域Aの16a、画像領域Bの領域16aを、画像領域A、Bの順に記録する。
【0065】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに4dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、2走査目では、1走査目とは反対方向(図中矢印xba方向)に走査し、ブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の21から24番目までの4ノズルについては、図18(b)の間引きパターンを用いて、図19のブラックデータのある領域19aに対応する図16の画像領域Bの16a、続いて画像領域Aの16aの領域を記録し、また、前回同様25から28番目までの4ノズルについては、図18(a)の間引きパターンを用いて図19のブラックデータのある領域19bに対応する図16の画像領域Bの16b、続いて画像領域Aの領域16bを記録する。このときの1走査目と2走査目で画像領域Aを記録するの時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録する際の時間差T2は0.15秒である。
【0066】
続いて前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行う。3走査目では1走査目と同じ方向に走査し、ブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の17から20番目までの4ノズルについては、図18(c)の間引きパターンを用いて、図19のブラックデータのある領域19aに対応する図16の画像領域Aの16a、続いて画像領域Bの16aの領域を完成させ、また、21から24目までの4ノズルについては前回の走査と同様に図18(b)の間引きパターンを用いて、図19のブラックデータのある領域19bに対応する図16の画像領域Aの16b、続いて画像領域Bの16bの領域を記録する。このときの2走査目と3走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間T2は0.15秒、画像領域Bを記録するのに要する時間T1は0.35秒である。
【0067】
さらに、前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、4走査目では2走査目と同じ方向に走査し、図19のブラックデータのある領域19aは既に完成しているため記録されず、前回同様にブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の17から20番目までの4ノズルについては図18(c)の間引きパターンを用いて、図19のブラックデータのある領域19bに対応する図16の画像領域Bの16b、続いて画像領域Aの16bの領域を完成させる。このときの3走査目と4走査目で画像領域Aを記録するときの時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するときの3走査目と4走査目の時間差T2は0.15秒である。
【0068】
さらに、前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、5走査目では1走査目と同じ方向に走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の9から12番目までの4ノズルは、図18(a)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19cにあたる図16の画像領域Aの16c、続いて画像領域Bの16cの領域を記録する。このときの4走査目と5走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録するのに要する時間差T1は0.35秒である。
【0069】
さらに、前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、6走査目では2走査目と同じ方向に走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の5から8番目までの4ノズルは、図18(b)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19cにあたる図16の画像領域Bの16c、続いて画像領域Aの16cの領域を順に記録し、前回同様に9から12番目までの4ノズルは、図18(a)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19dに対応する図16の画像領域Bの16d、続いて画像領域Aの16dの領域を順に記録する。このときの5走査目と6走査目で画像領域Aを記録するときの時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するときの時間差T2は0.15秒である。
【0070】
さらに、前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、7走査目では1走査目と同じ方向に走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の1から4番目までの4ノズルは、図18(c)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19cに対応する図16の画像領域Aの16c、続いて画像領域Bの16cの領域を順に記録してこの領域に対する記録を完成させ、また前回の走査と同様に5から8番目までの4ノズルについては、図18(b)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19dに対応する図16の画像領域Aの16d、続いて画像領域Bの16dの領域を順に記録する。このときの6走査目と7走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録するのに要する時間差T1は0.35秒である。
【0071】
さらに、前回同様に4dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、8走査目(不図示)では2走査目と同じ方向に走査し、図19のカラーデータのある領域19cは既に完成しているためこの走査においては記録はなされず、また、前回の走査と同様にカラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の1から4番目までの4ノズルは、図18(c)の間引きパターンを用いて、図19のカラーデータのある領域19dに対応する図16の画像領域Bの16d、続いて画像領域Aの16dの領域を順に記録し、この領域に対する記録を完成させる。このときの7走査目と8走査目で画像領域Aを記録する時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録する7走査目と8走査目の時間差T2は0.15秒である。
【0072】
以上のように、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列に対して、カラーインクを吐出する第2の吐出口列の記録媒体を給紙する給紙方向側から使用する吐出口先端部の位置を、1回の記録媒体の搬送量L=4dot/600dpi、ブラックインクを吐出する第1の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数m=3、カラーインクを吐出する第2の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数n=3より、(m+a)が偶数となるa=1から(m+1)×L=(3+1)×4=16dot/600dpiの長さ離すという本発明を利用する。ここで、ブラックの記録開始の1走査目からカラーの記録開始の5走査目まで走査において、領域16aを記録してから16cを記録するまでの時間差は、画像領域Aにおいては図17よりT1+T2+T1+T2=1.0秒となり、そして画像領域Bについても図17よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、同じ時間差となることがわかる。また、領域16b、16dについて、ブラックの記録開始の2走査目からカラーの記録開始の6走査目までの時間差についても、同様に画像領域Aにおける時間差は図17よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、そして画像領域Bの時間差についても、図17より、T1+T2+T1+T2=1.0秒と同じ時間差となる。
【0073】
このように、時間差を無くすことで色ムラを防止できる。また、各記録ヘッドが3回の記録走査で画像を完成させるマルチパス記録方法においても、マルチパス記録方法で特有の色間(ブラックとカラー間)でのにじみを防止できる。特に、本実施形態においては、ブリストウ法によるKa値が低いブラックインクを、ブリストウ法によるKa値が高いカラーインクより先に記録媒体に記録することで、記録媒体上での浸透性及び定着性の向上が行え、更にブラックを記録してからカラーを記録するまでの時間差を常に0.5秒空けることができるため色間(ブラックとカラー間)でのにじみ防止への効果が得られた。なお、本実施形態では、間引きパターンを固定的なパターンとしたが、画像データとの同調性を防止するためにランダムな間引きパターンを用いても良い。
【0074】
本実施形態において、以上のような制御を行うことにより、マルチパスでの往復記録方法における色ムラと色間でのにじみを防止した高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0075】
(第3の実施形態)
図20は、本発明の第3の実施形態に係る記録ヘッドと、記録動作においてインク吐出に使用する吐出口を示す概略図である。
【0076】
図20に示したブラックインクを吐出する第1の記録ヘッド2001は、第1の実施形態で説明した記録ヘッドと同様に600dpiの密度で、吐出口数n=30の吐出口(30ノズル)を備えたものであり、本発明の第3の実施形態における記録方法においては、インク吐出に使用する吐出口をn1〜n6までの6個とする。また、図20に示したカラーインクを吐出する第2の記録ヘッド2002についても、同様に600dpiの密度で吐出口数n=12の吐出口(12ノズル)を配列したものであり、本発明の第3の実施形態における記録方法においては、n1〜n12までの12個の全吐出口を使用する。各記録ヘッド間の吐出口(ノズル)の位置関係は、副走査方向(図中矢印y)については、ブラックインクを吐出する記録ヘッドのn19〜n30の吐出口番号がカラーインクを吐出する記録ヘッドのn1〜n12の位置で一致して配列され、主走査方向(図中矢印x)については、所定の間隔をおいて配置されている。なお、前記ブラックインクを吐出する記録ヘッドとカラーインクを吐出する記録ヘッドは、第1の実施形態で説明した様に、別体とした分離型に限られるものではなく、一体型の記録ヘッドとして構成されても良く、また吐出口(ノズル)列が1列でなく千鳥状に配列されていても良く、また第2の記録ヘッドの吐出口数が第1の記録ヘッドと等しい構成でも良い。また、本実施形態で使用するインクは、第1の実施形態と同じものを使用する。
【0077】
本発明の第3の実施形態における往復記録方法を図21、図22、図23、図24を用いて説明する。図21は、本実施形態における記録方法で完成させる画像領域を示しており、画像領域Aと画像領域BはA4サイズの記録媒体の、主走査方向(図中矢印xで示す方向)に沿った両端側に位置している。また、先に説明した実施形態と同様に、xfwが主走査方向における往方向への走査、xbaが主走査方向における復方向への走査、を示している。
【0078】
図22は、本実施形態における各画像領域を完成させる主走査間での時間差を示す表である。また、図23に示す(a)、(b)のパターンは、相互に補完関係にある2種類の間引きパターンを示す図である。この図23については、図18において示した間引きパターンと同様に、格子状の内部が記録するドットの位置に対応し、また、黒で塗りつぶした位置がインクを吐出してドットを記録する位置であり、塗りつぶされていない位置は、間引かれてドットが記録されない位置である。従って、このような間引きパターンを用いて、記録ドットを示すデータをマスクすることで、パターンの黒で塗られた位置だけがマスクされずに記録されるようデータが変換されることとなる。図24(a)、(b)はそれぞれ記録されるドットを千鳥状に間引くものであり、また、互いに逆のパターンであることから、「千鳥パターン」、「逆千鳥パターン」とも称する。なお、このようなパターンについて、「チェッカーパターン」と称してもよい。また、図24は、各画像領域を完成させるまでに各主走査で記録される画像を説明する図を示している。
【0079】
まず、図24に示す1走査目において、カラーインクを吐出する記録ヘッド(図20に示す第2の記録ヘッド2002)の吐出に使用する12ノズルの内の7から12番目までの6ノズル(n7〜n12)を用い、図23(a)の千鳥の間引きパターンを用いて、図24のカラーデータのある領域24aに対応する図21の画像領域Aの21a、続いて画像領域Bの21aの領域を順に記録する。
【0080】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに6dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、2走査目では1走査目とは反対方向(図21に示す矢印xba方向)に走査し、カラーインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する12ノズルの内の1から6番目までの6ノズルは、図23(b)に示す逆千鳥の間引きパターンを用いて、図24のカラーデータのある領域24aに対応する図21の画像領域Bの21a、続いて画像領域Aの21aの領域を順に記録して完成させ、前回同様に7から12番目までの6ノズルについては、図23(a)の千鳥の間引きパターンを用いて、図24のカラーデータのある領域24bに対応する図21の画像領域Bの21b、続いて画像領域Aの21bの領域を順に記録する。
【0081】
さらに、前回同様に6dot/600dpi分記録媒体の搬送を行い、3走査目では1走査目と同じ方向に走査し、図20のカラーデータのある▲1▼の領域は既に完成しているため記録されず、前回同様に1から6番目までの6ノズルは、図23(b)の千鳥の間引きパターンを用いて、図24のカラーデータのある領域24bに対応する図21の画像領域Aの21b、続いて画像領域Bの21bの領域を順に記録し、この領域21bに対する記録を完成させる。
【0082】
さらに、前回同様に6dot/600dpi分記録媒体の搬送を行い、4走査目では2走査目と同じ方向に走査するが、図24のカラーデータのある24a、24bの領域に対する記録は既に完成しているため、カラーの記録ヘッドによる記録は行われない。また、図20に示したブラックインク用の記録ヘッド2001については、対応する記録位置にブラックの記録領域がないため、この記録ヘッド2001による記録も行われない。
【0083】
さらに、前回同様に6dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、5走査目では1走査目と同じ方向に走査し、ブラックインクを吐出する記録ヘッド(図20に示す記録ヘッド2001)の吐出に使用するn1〜n6までの6ノズルにより、図24のブラックデータのある領域24cに対応する図21の画像領域Aの21c、続いて画像領域Bの21cの領域を1パスで順に記録する。
【0084】
さらに、前回同様に6dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、6走査目では2走査目と同じ方向に記録ヘッドを走査し、図24のブラックデータのある21cの領域は既に完成しているため記録されず、前回同様にブラックインクを吐出する記録ヘッドの吐出に使用する6ノズルを用いて、図24のブラックデータのある領域24dに対応する図21の画像領域Bの21d、続いて画像領域Aの21dの領域を1パスで順に記録する。
【0085】
以上のように、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列に対して、カラーインクを吐出する第2の吐出口列の記録媒体を給紙する給紙方向側から使用する吐出口先端部の位置を、1回の記録媒体の搬送量L=6dot/600dpi、ブラックインクを吐出する第1の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数m=1、カラーインクを吐出する第2の記録ヘッドで画像を完成させる記録走査回数n=2より(n+a)が偶数となるa=2から(n+2)×L=(2+2)×4=16dot/600dpiの長さ離すという本発明を利用する。
【0086】
図21に示す画像領域Aについて、画像領域内のカラー領域21aと、この領域に隣接するブラックの領域21cに着目してみると、カラーの記録開始の1走査目からブラックの記録開始の5走査目までの時間差は、図22よりT1+T2+T1+T2=1.0秒となる。また、画像領域Bについても、同様に領域21a記録開始から領域21c記録開始までの時間差も、図22よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、画像領域AとBとで、カラー領域とブラック領域の記録の時間差が等しくなる。
【0087】
また、図21に示すカラー画像領域21bとブラック画像領域21dについても、画像領域Aにおいてカラーの記録開始の2走査目からブラックの記録開始の6走査目までの時間差は、図22よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、また、画像領域Bにおける時間差も、図22よりT1+T2+T1+T2=1.0秒となる。つまり、画像領域AとBとで、カラー記録開始からブラック記録開始までの時間差が等しくなる。このように、カラー領域の記録とブラック領域の記録との時間差を同様にすることで、色ムラを防止できる。
【0088】
また本実施形態において、第2の記録ヘッド(図20に示す記録ヘッド2002)で先に画像を完成させた後、第1の記録ヘッド(図20に示す記録ヘッド2001)で画像を完成させる場合においても、またカラーの記録ヘッドが3回の記録走査、ブラックの記録ヘッドが1回の記録走査で画像を完成させるマルチパス記録方法と1パス記録方法の組み合わせにおいても、マルチパス記録方法で発生する特有の色間(ブラックとカラー間)でのにじみを防止するのにも大変効果がある。なお、本実施形態では、間引きパターンを固定的なパターンとしたが、画像データとの同調性を防止するためにランダムな間引きパターンを用いても良い。
【0089】
本実施形態において、以上のような制御を行うことにより、マルチパスでの往復記録方法における色ムラと色間でのにじみを防止した高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0090】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0091】
図25は、本発明の第4の実施形態に係る記録ヘッドと、記録に使用する吐出口を示す概略図である。図24(1)および(2)において、2501はブラックインクを吐出する第1の記録ヘッドであり、また、2502はカラーインクを吐出する第2の記録ヘッドである。これら記録ヘッド2501、2502は、1インチ当たりの吐出口数N=600個の密度で(600dpi)吐出口を配列したものであり、第1の記録ヘッド2501については、吐出口数n=30の吐出口(30ノズル)を有し、また、第2の記録ヘッド2502については、吐出口数n=12個の吐出口(12ノズル)を有している。また、上述した実施形態と同様に黒く塗られた丸印が記録の際にインク吐出に使用される吐出口を示している。
【0092】
本実施形態における記録方法においては、ブラックインク用の第1の記録ヘッド2501についてインク吐出に使用する吐出口を図25(1)に示したn19〜n30までの12個、または、図25(2)に示したn16〜n27までの12個とする。また、図25に示したカラーインクを吐出する第2の記録ヘッド2502については、n1〜n12までの12個の全吐出口を使用する。各記録ヘッド間の吐出口(ノズル)の位置関係は、副走査方向(図中矢印yで示す方向)については、同じ吐出口番号の位置で一致して配列され、主走査方向(図中矢印xで示す方向)については、所定の間隔をおいて配置されている。なお、ブラックインク用の第1の記録ヘッド2501とカラーインク用の第2の記録ヘッド2502は、第1の実施形態で説明したように、別体として構成される分離型に限らず、ブラックインク用の吐出口列とカラーインク用の吐出口列とを一つの記録ヘッドに設けた一体型の記録ヘッドとして構成されても良く、また吐出口(ノズル)列が1列でなく千鳥状に配列されていても良く、また第2の記録ヘッド2502の吐出口数が第1の記録ヘッド2501の吐出口数と等しい構成でも良い。
また、本実施形態で使用するインクは、第1の実施形態と同じものを使用する。
【0093】
なお、本実施形態は、記録媒体の副走査方向の搬送について、2種類の異なる搬送量を備えた構成に関するものである。
【0094】
以下、本実施形態における往復記録による記録方法を、図26、図27、図28、図29を参照して説明する。
【0095】
図26は、本実施形態における記録方法で完成させる画像領域を示しており、画像領域Aと画像領域BはA4サイズの記録媒体の、主走査方向(図中矢印xで示す方向)に沿った両端側に位置している。
【0096】
図27は、本実施形態における各画像領域を完成させる主走査間での時間差を示している。また、図28は、相互に補完関係にある3種類の間引きパターンについて、吐出口数が3と6の場合について示した図である。この間引きパターンについては、先の実施形態と同様に、格子状の内部が記録するドットの位置に対応し、また、黒で塗りつぶした位置がインクを吐出してドットを記録する位置であり、塗りつぶされていない位置は、間引かれてドットが記録されない位置を示している。また、図29は、図26に示した画像領域A、Bについて、各主走査毎に対応させて記録される領域を説明する図である。
【0097】
まず、図29に示す1走査目では、ブラックインク用の第1の記録ヘッドについて、図29に2901a、及び図25(1)の2501に示す用にブラックインク用ヘッドの吐出口(ノズル)n1〜n30のうち、n19〜n30までの12の吐出口を用いて記録が行われる。また、n19〜n30のうち、n25〜n30までの6ノズルについては、図28の(b1)に示す間引きパターンを用いて、図29のブラックデータのある領域29aに対応する図26の画像領域Aの26a、画像領域Bの26aの領域を順に記録する。
【0098】
続いて、副走査方向に記録媒体を搬送するのに6dot/600dpi分の搬送距離を紙送り用のモータで駆動する。その後、2走査目では1走査目とは反対方向(図26に示す矢印xba方向)に記録ヘッドを走査し、図29の2901b、及び図25(2)の2501に示すように、ブラックインク用の記録ヘッドのn1〜n30の30ノズルの内、n16〜n27までの12ノズルを使用して記録が行われる。また、この2走査目の記録では、n16〜n27の12ノズルのうちのn19〜n24までの6ノズルについては、図28の(b2)に示す間引きパターンを用いて、図29のブラックデータのある領域29aに対応する図26の画像領域Bの26a、続いて画像領域Aの26aの領域を順に記録し、また、n25〜n27までの3ノズルについては、図28の(a1)に示す間引きパターンを用いて、図29のブラックデータのある領域29bに対応する図26の画像領域Bの26b、続いて画像領域Aの26bの領域を順に記録する。このときの1走査目と2走査目で画像領域Aを記録するときの時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するときの時間差T2は0.15秒である。
【0099】
続いて3dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行う。3走査目では1走査目と同じ方向(図26の矢印xfwで示す方向)に記録ヘッドを走査して記録を行う。この3走査目では、図29の2901b、図25(2)の2501に示すように、ブラックインク用ヘッドの全30ノズルのうち、n16〜n27までの12ノズルを使用して記録が行われる。また、この12ノズルについて、その内のn16〜n21までの6ノズルについては、図28の(b3)に示す間引きパターンを用いて図29のブラックデータのある領域29aに対応する図26の画像領域Aの26a、続いて画像領域Bの26aの領域を順に記録して完成させ、また、n22〜n24までの3ノズルについては、図28の(a2)に示す間引きパターンを用い、図29のブラックデータのある領域29bに対応する図26の画像領域Aの26b、続いて画像領域Bの26bの領域を順に記録し、また、n25〜n27までの3ノズルについては、図28(a1)に示す間引きパターンを用いて図29のブラックデータのある領域29cに対応する図26の画像領域Aの26c、続いて画像領域Bの26cの領域を順に記録する。このときの2走査目と3走査目で画像領域Aを記録するときの時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録するときの時間差T1は0.35秒である。
【0100】
さらに、3dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、4走査目では2走査目と同じ方向に走査し、ブラックインク用の記録ヘッドについては、図29の2901a、及び図25(1)の2501で示すように、全30ノズルのうち、n19〜n30の12ノズルを使用して記録を行う。また、ここでは、インク吐出に使用する12ノズルの内のn19〜n21までの3ノズルについては、図28(a3)の間引きパターンを用いて図29のブラックデータのある領域29bに対応する図26の画像領域Bの26b、続いて画像領域Aの26bの領域を順に記録し、この記録領域26bを完成させ、また、n22〜n24までの3ノズルについては、図28(a2)の間引きパターンを用いて図29のブラックデータのある領域29cに対応する図26の画像領域Bの26c、続いて画像領域Aの26cの領域を順に記録する。また、図29のブラックデータのある領域29aは既に完成しているため記録はされない。このときの3走査目と4走査目で画像領域Aを記録するのに要する時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するのに要する時間差T2は0.15秒である。
【0101】
さらに、6dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行った後の5走査目では1走査目と同じ方向に記録ヘッドを走査して記録を行う。ここでは、ブラックインク用の記録ヘッドについては、図29の2901b、図25(2)の2501に示すように、n16〜n27までの12ノズルを使用して記録を行い、また、カラーインク用の記録ヘッドについては、図29の2902、図25の2502に示すように全12ノズルを使用して記録を行う。
【0102】
この5走査目の記録において、ブラックインクの吐出に用いる12ノズルについては、その内のn16〜n18までの3ノズルについては図28(a3)の間引きパターンを用いて図29のブラックデータのある領域29cに対応する図26の画像領域Aの26c、続いて画像領域Bの26cの領域を順に記録し、この26cの領域に対する記録を完成させる。また、図29のブラックデータのある領域29bについては先の走査において既に完成しているため記録は行われない。また、この5走査目において、〜インク用記録ヘッドの12ノズルのうち、n7〜n12までの6ノズルについては図28(b1)の間引きパターンを用いて、図29のカラーデータのある領域29dに対応する図26の画像領域Aの26d、続いて画像領域Bの26dの領域を順に記録する。この5走査目の記録において、4走査目と5走査目で画像領域Aを記録するときの時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録するときの時間差T1は0.35秒である。
【0103】
さらに、3dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行ったあとに行う6走査目では2走査目と同じ方向に記録ヘッドを走査して記録を行う。この6走査目の記録では、ブラックインク用記録ヘッドについては、図29に示すブラックデータのある29c領域は既に完成しているため、記録は行われない。また、カラーインク用記録ヘッド(図29の2902、図25の2502)については、全12ノズルの内のn4〜n9までの6ノズルについては、図28(b2)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29dに対応する図26の画像領域Bの26d、続いて画像領域Aの26dの領域を順に記録し、また、n10〜n12までの3ノズルについては、図28(a1)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29eに対応する図26の画像領域Bの26e、画像領域Aの26eの領域を順に記録する。この6走査目の記録に関して、5走査目と6走査目との記録の時間差は、画像領域AについてはT1は0.35秒、画像領域BについてはT2は0.15秒である。
【0104】
さらに、3dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、7走査目では1走査目と同じ方向に記録ヘッドを走査して記録を行う。この走査では、図29に示すように、ブラックに対応した記録領域は既に完成している。カラーインク用の記録ヘッドによる記録動作は、全12ノズルのうち、n1〜n6までの6ノズルについては、図28(b3)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29dに対応する図26の画像領域Aの26d、続いて画像領域Bの26dの領域を順に記録して完成させ、また、n7〜n9までの3ノズルについては図28(a2)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29eに対応する図26の画像領域Aの26e、画像領域Bの26eの領域を順に記録し、また、n10〜n12までの3ノズルについては図28(a1)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29fに対応する図26の画像領域Aの26f、画像領域Bの26fの領域を順に記録する。この7走査目の記録における6走査目の記録からの時間差について、画像領域Aを記録するときの時間差T2は0.15秒、画像領域Bを記録するときの時間差T1は0.35秒である。
【0105】
さらに、6dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、8走査目(不図示)では2走査目と同じ方向に走査し、カラーインク用記録ヘッドの全12ノズルの内のn1〜n3までの3ノズルについては図28(a3)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29eに該当する図26の画像領域Bの26e、画像領域Aの26eの領域を順に記録して、この領域に対する記録を完成させ、また、n4〜n6までの3ノズルについては図28(a2)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29fに該当する図26の画像領域Bの26f、画像領域Aの26fの領域を順に記録する。この8走査目の記録における7走査目の記録からの時間差について、画像領域Aを記録するときの時間差T1は0.35秒、画像領域Bを記録するときの時間差T2は0.15秒である。
【0106】
さらに、3dot/600dpi分の記録媒体の搬送を行い、9走査目(不図示)では1走査目と同じ方向に走査し、カラーインク用記録ヘッドの全12ノズルのうち、n1〜n3までの3ノズルについては、図28(a3)の間引きパターンを用いて図29のカラーデータのある領域29fに該当する図26の画像領域Aの26f、画像領域Bの26fの領域を順に記録し、この領域26fに対する記録を完成させる。この9走査目の記録において、8走査目と9走査目との記録の時間差については、画像領域Aについては時間差T2は0.15秒、画像領域Bについては時間差T1は0.35秒である。
【0107】
以上のように、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列、カラーインクを吐出する第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数が各々3回で、1主走査毎に副走査方向へ記録媒体を搬送する1回の搬送量を6dot/600dpiと3dot/600dpiの2種類を備えた場合、ブラックインクを吐出する第1の吐出口列で画像を完成させる記録走査回数m=3、カラーインクを吐出する第1の吐出口列で画像を完成させる記録走査回数n=3より、(m+a)が偶数となるa=1から(m+a)=(3+1)=4回連続して記録媒体を搬送する搬送量は、(6+3+3+6)dot/600dpiの18dot/600dpiと(3+3+6+3)dot/600dpi又は(3+6+3+3)dot/600dpiの15dot/600dpiの2種類となる。ブラックインクを吐出する第1の吐出口列に対して、カラーインクを吐出する第2の吐出口列の記録媒体を給紙する給紙方向側から使用する吐出口先端部の位置を、図25(1)の2501、図29の2901aで示したように、18dot/600dpiの長さ、図25(2)の2501、図29の2901bで示したように、15dot/600dpiの長さにする本発明を利用する。本実施形態において、ブラックの記録開始の1走査目からカラーの記録開始の5走査目までの、図26の画像領域Aにおける領域26aと領域26dの記録の時間差は、図27よりT1+T2+T1+T2=1.0秒となり、画像領域Bにおける領域26aと領域26dとの記録の時間差も、図27よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、いずれも同じ時間差となる。また、ブラックの記録開始の2走査目からカラーの記録開始の6走査目までの、図26の画像領域Aにおける領域26bと領域26eとの記録の時間差についても、図27よりT2+T1+T2+T1=1.0秒となり、画像領域Bにおける領域26bと領域26eとの記録の時間差も、図27よりT1+T2+T1+T2=1.0秒となり、画像領域A、Bのいずれも同じ時間差となる。また、ブラックの記録開始の3走査目からカラーの記録開始の7走査目までの領域26c、26fについても同様であり、図26に示す画像領域Aにおける領域26cと領域26fの記録の時間差は、図27よりT1+T2+T1+T2=1.0秒、そして画像領域Bにおける領域26cと領域26fの記録の時間差も、図27よりT2+T1+T2+T1=1.0秒、と画像領域A、Bいずれも同じ時間差となる。このように時間差を無くすことで色ムラを防止できる。
【0108】
また本実施形態において、記録媒体を搬送する1回の搬送量を2種類備えた記録方法の組み合わせにおいても、色間(ブラックとカラー間)でのにじみを防止する効果もある。
【0109】
なお、本実施形態では、図25に示した記録ヘッド構成としたが、図30に示すようにブラックインク用の第1の記録ヘッド3001とカラーインク用の第2の記録ヘッド3002を配置し、カラー画像をブラック画像より先に記録するヘッド構成にしても良い。この図30に示した記録ヘッドの構成は、先の実施形態と同様に、ブラックインクを吐出する第1の記録ヘッド3001は、600dpiの密度で30個の吐出口(30ノズル)を有しており、この図30に示す構成ではn1〜n12までの12個の吐出口をインク吐出に使用する。また、図30において、カラーインク用の記録ヘッド3002は600dpiの密度で18個の吐出口(18ノズル)を有しており、インク吐出に使用する吐出口を図30(1)に示すようにn19〜n30までの12個、又は図30(2)に示すようにn16〜n27までの12個とし、記録走査に対応させて適宜変更して使用される。
【0110】
また、本実施形態では間引きパターンを固定的なパターンとしたが、画像データとの同調性を防止するためにランダムな間引きパターンを用いても良い。
【0111】
本実施形態において、以上のような制御を行うことにより、記録媒体を搬送する搬送量を2種類以上備えた往復記録方法において、色ムラと色間のにじみを防止した高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、往復記録で発生する色ムラを防止し、さらにはマルチパス記録方法で発生する特有の色間でのにじみを低減した高品位な画像を記録することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略説明図である。
【図2】本発明に適用可能な記録ヘッドにおけるノズル配列を模式的に示す図である。
【図3】インクジェット記録装置における理想的な印字状態を説明する図である。
【図4】インクジェット記録装置における濃度ムラを生じる印字状態を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態で用いるマルチパス記録方法による濃度ムラ低減を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態でにおけるマルチパス記録方法による濃度ムラ低減の他の例を説明する図である。
【図7】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの別形態の構成図である。
【図9】本発明に適用可能な記録ヘッドの構成を説明する概略図である。
【図10】本発明に適用可能な記録ヘッドの構成として、吐出口を千鳥状に配列した構成を説明する図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に適用可能な記録ヘッドの構成図である。
【図12】本発明の第1の実施形態による記録画像領域の位置を示した図である。
【図13】本発明の第1の実施形態による記録画像領域の走査毎の時間差を示した図である。
【図14】本発明の第1の実施形態による記録方法の説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態における記録ヘッドの別体型の構成図である。
【図16】本発明の第2の実施形態による記録画像領域の位置を示した図である。
【図17】本発明の第2の実施形態による記録画像領域の走査毎の時間差を示した図である。
【図18】本発明の第2の実施形態における、間引きパターンを模式的に示す図である。
【図19】本発明の第2の実施形態による記録方法の説明図である。
【図20】本発明の第3の実施形態において適用可能な記録ヘッドの構成を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態による記録画像領域の位置を示した図である。
【図22】本発明の第3の実施形態による記録画像領域の走査毎の時間差を示した図である。
【図23】本発明の第3の実施形態における、間引きパターンを模式的に示す図である。
【図24】本発明の第3の実施形態による記録方法の説明図である。
【図25】本発明の第4の実施形態における記録ヘッドの別体型の構成図である。
【図26】本発明の第4の実施形態による記録画像領域の位置を示した図である。
【図27】本発明の第4の実施形態による記録画像領域の走査毎の時間差を示した図である。
【図28】本発明の第4の実施形態における、間引きパターンを模式的に示す図である。
【図29】本発明の第4の実施形態による記録方法の説明図である。
【図30】本発明の第4の実施形態に適用可能な記録ヘッドの構成図である。
【符号の説明】
101 インクカートリッジ
102、41 記録ヘッド
103 紙送りローラ
104 補助ローラ
105 給紙ローラ
106 キャリッジ
201、32 吐出口
33 インクドロップレット
700 中央制御部(CPU)
701 ROM
702 RAM
703 画像入力部
704 画像信号処理部
705 バスライン
706 操作部
707 回復系制御部
708 回復系モータ
709 ブレード
710 キャップ
711 ポンプ
712 ダイオードセンサ
713 記録ヘッド
714 ヘッド温度制御回路
715 ヘッド駆動制御回路
716 キャリッジ駆動制御回路
717 紙送り制御回路

Claims (18)

  1. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、前記記録手段の吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、
    前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録する記録制御手段とを備え、
    前記記録制御手段は、第1の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回、1回の主走査毎に前記副走査手段により前記記録媒体を副走査する量をL(Lは正の数)とし、前記副走査方向の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が下流側へ(m+a)×Lの長さ離れていて、aの値を(m+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、前記記録手段の吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、
    前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録する記録制御手段とを備え、
    前記記録制御手段は、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、前記第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回で、1主走査毎に副走査方向への記録媒体を搬送する搬送量をL(Lは正の数)とし、前記記録媒体の副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記副走査方向へ(n+a)×Lの長さ離れていて、aの値は(n+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、前記記録手段の吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、
    前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録する記録制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に前記副走査方向へ前記記録媒体を副走査する量を少なくとも2種類備え、前記副走査手段による副走査の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも2種類の副走査の量を用いて(m+a)回連続して搬送する搬送量の長さに等しく、且つaの値を(m+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、前記記録手段の吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、
    前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録する記録制御手段とを備え、
    前記記録制御手段は、前記第1の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に行う前記副走査手段による副走査の量を少なくとも2種類備え、前記副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも前記2種類の副走査の量を用いて(n+a)(aは正の整数)回連続して副走査する量の長さに等しく、aの値は(n+a)が偶数となる値となるよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記第1の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向へ沿った記録幅と、前記第2の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向へ沿った記録幅とが等しいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第1の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向に沿った記録幅と、前記第2の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向へ沿った記録幅とが異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記第1の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向へ沿った記録幅に対して、前記第2の吐出口列で画像を完成させる1主走査あたりの前記副走査方向へ沿った記録幅の方が大きいことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第1の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さと、前記第2の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さとが等しいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第1の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さと、前記第2の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さとが異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記第1の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さが、前記第2の吐出口列の複数の吐出口が配列される長さよりも長いことを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第1の吐出口列と前記第2の吐出口列の少なくとも一方による画像の記録を、1回の主走査により記録される画像を間引くことによって複数回の主走査によって画像を完成させる制御に従って行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記第1の吐出口列から吐出するブラックのインクのブリストウ法におけるKa値が第2の吐出口列から吐出するカラーのインクのブリストウ法におけるKa値よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記カラーのインクは、少なくともシアン、マゼンタ、イエローのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記記録手段は、インクに熱エネルギーを印加する電気熱変換体を備えて、熱エネルギーによりインク中に気泡を発生させてインクを吐出口から吐出させることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  15. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、備えて、前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、第1の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回、1回の主走査毎に前記副走査手段により前記記録媒体を副走査する量をL(Lは正の数)とし、前記副走査方向の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が下流側へ(m+a)×Lの長さ離れていて、aの値を(m+a)が偶数となる値となるよう制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、備えて、前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、前記第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回で、1主走査毎に副走査方向への記録媒体を搬送する搬送量をL(Lは正の数)とし、前記記録媒体の副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記副走査方向へ(n+a)×Lの長さ離れていて、aの値は(n+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
  17. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、備えて、前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、前記第1の吐出口列により画像を完成させるための主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列により画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に前記副走査方向へ前記記録媒体を副走査する量を少なくとも2種類備え、前記副走査手段による副走査の上流側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも2種類の副走査の量を用いて(m+a)回連続して搬送する搬送量の長さに等しく、且つaの値を(m+a)が偶数となる値とするよう制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
  18. ブラックのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第1の吐出口列とカラーのインクを吐出するための複数の吐出口が配列される第2の吐出口列とを有する記録手段を用い、
    前記記録手段を前記記録媒体に対して相対的に、前記配列の方向とは異なる主走査方向へ沿って往復走査する主走査手段と、
    前記記録媒体を副走査方向へ沿って上流側から下流側へ副走査する副走査手段と、備えて、前記主走査手段による前記記録手段の走査の間に前記記録手段からインクを吐出して記録を行う記録動作と、前記副走査手段による副走査とを繰り返し、前記記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、前記第1の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をm(mは正の整数)回、第2の吐出口列で画像を完成させる主走査方向への記録走査回数をn(nは正の整数)回とするとともに、1主走査毎に行う前記副走査手段による副走査の量を少なくとも2種類備え、前記副走査の上流方向側から使用する吐出口先端部の位置が、前記第1の吐出口列に対し前記第2の吐出口列が前記少なくとも前記2種類の副走査量を用いて(n+a)(aは正の整数)回連続して副走査する量の長さに等しく、aの値は(n+a)が偶数となる値となるよう制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
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